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  • 特開-排水トラップ及び排水装置 図1
  • 特開-排水トラップ及び排水装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091447
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】排水トラップ及び排水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20230623BHJP
   E03C 1/22 20060101ALI20230623BHJP
   E03C 1/29 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
E03C1/28 B
E03C1/22 A
E03C1/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206198
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】穴沢 信寛
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA03
2D061DD04
2D061DE01
(57)【要約】
【課題】漏水の発生しにくい排水トラップを提供すること。
【解決手段】排水トラップ1は、排水口210と排水管220の間に設けられ、有底筒状の底部に排水孔44が形成された本体部4と、底部42から下方に延びて排水管220に接続される接続管部5と、排水孔44の周縁から本体部の上部に向かって延び、前記底部に封水を貯水可能な封水筒6と、封水筒6から下方に延び、接続管部5の内径よりも小さな外径を有して排水管220の内部に挿入可能な延出管7と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口と排水管の間に設けられ、有底筒状の底部に排水孔が形成された本体部と、
前記底部から下方に延びて前記排水管に接続される接続管部と、
前記排水孔の周縁から前記本体部の上部に向かって延び、前記底部に封水を貯水可能な封水筒と、
前記封水筒から下方に延び、前記接続管部の内径よりも小さな外径を有して前記排水管の内部に挿入可能な延出管と、を有する、排水トラップ。
【請求項2】
前記封水筒と、前記延出管とは、一体に成型されている、請求項1に記載の排水トラップ。
【請求項3】
前記封水筒の内周面と、前記延出管の内周面とは、段差なく連続している、請求項1又は2に記載の排水トラップ。
【請求項4】
前記接続管部の内周面と、前記延出管の外周面との間に、前記排水管を挿入可能な隙間が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の排水トラップ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の排水トラップと、
前記排水管の外側に接続された前記接続管部の外周に沿って配置されるロックナットと、
前記ロックナットの内周側に配置され、前記排水管と前記接続管部との間の隙間を塞ぐ弾性部材と、を備える排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水トラップ及び排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所や流し台等の排水口は、排水管に接続されて排水される。排水口と排水管との間には、略有底筒状の排水トラップが配置される。排水トラップは、排水管の外側に取り付けられ、排水トラップと排水管の重なった部分をナットで締結して接続することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-13175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナットの締め付けが緩かった場合、排水トラップと排水管の間から漏水する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、排水口と排水管の間に設けられ、有底筒状の底部に排水孔が形成された本体部と、前記底部から下方に延びて前記排水管に接続される接続管部と、前記排水孔の周縁から前記本体部の上部に向かって延び、前記底部に封水を貯水可能な封水筒と、前記封水筒から下方に延び、前記接続管部の内径よりも小さな外径を有して前記排水管の内部に挿入可能な延出管と、を有する、排水トラップに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の排水装置を示す断面模式図である。
図2】本実施形態の排水装置の部分拡大斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、排水装置10は、台所のシンクや洗面台の流し台等、湯水を吐水して排水する排水設備200に設けられる。排水装置10は、排水トラップ1と、ロックナット2と、弾性部材としてのVパッキン3と、を有する。
【0008】
排水トラップ1は、図1に示すように、排水設備200の排水口210と排水管220を接続する部材であり、排水管220側から排水口210を介して室内へ悪臭や害虫等が侵入することを防止する。排水トラップ1は、本体部4と、接続管部5と、封水筒6と、延出管7と、椀蓋部8と、を有する。
【0009】
本体部4は、排水口210と排水管220の間に設けられ、有底筒状の形状を有する。本体部4は、側壁部41と、底部42と、上部開口43と、排水孔44と、を有する。
【0010】
側壁部41は、筒の側面であり、上方から下方に向かって、緩やかに縮径するとともに、段差を有している。底部42は、側壁部41の下端から、側壁部41の延びる方向に交差して径方向内側へ延びる平坦な面である。上部開口43は、底部42に対向する上部が開放されている。上部開口43は、排水口210に接続される。上部開口43の周縁は、外周側にねじ溝が形成され、ナット等で排水設備200に接続される口金部431を有する。排水孔44は、底部42の径方向の中心側に形成される貫通孔である。排水孔44を介して、本体部4の内部と排水管220が連通する。
【0011】
接続管部5は、図2に示すように、本体部4の底部42から下方に延びる略円筒形の部分である。接続管部5は、排水管220の外側に接続される部分であり、排水管220の外径よりも大きな内径を有する、接続管部5は、ねじ溝51と、傾斜面52と、を有する。ねじ溝51は、接続管部5の外周に形成され、後述するロックナット2と係合可能に形成される。傾斜面52は、接続管部5の下端部で、外周側から内周側に向かって上方に傾斜した平坦な面である。傾斜面52には、後述するVパッキン3が当接する。
【0012】
封水筒6は、本体部4の排水孔44の周縁から上部に向かって起立するように延びる筒状の部分である。封水筒6は、封水筒側壁部61と、封水筒開口62と、を有する。封水筒側壁部61は、本体部4の中心側で上下方向に延びる。封水筒側壁部61の高さは、例えば本体部4の半分より低い程度である。本体部4の内部で封水筒6が上方に向かって延びることで、封水筒側壁部61と、本体部4の側壁部41と、底部42との間に封水を貯水可能に配置される。封水筒開口62は、本体部4の上部開口43よりも下方で、上方に向かって開放される。
【0013】
延出管7は、封水筒6と一体に成型され、封水筒6の下端から下方に向かって延びる筒状の部分である。延出管7の内周面と、封水筒6の内周面とは、段差なく連続している。延出管7は、接続管部5の内径よりも小さな外径を有し、接続管部5の内側に配置される。延出管7の外周面と、接続管部5の内周面との間には、隙間S1が形成されている。図1に示すように、この隙間S1に、排水管220の上端が挿入可能になっており、排水管220の上部と重なるようにして延出管7が排水管220の内部に挿入されている。延出管7の外周には、径方向外側に向かって順に、排水管220の上部、後述するVパッキン3、接続管部5、後述するロックナット2が配置されている。延出管7の上下方向の寸法は、特に限定されないが、長すぎると施工性が低下し、短すぎると排水が毛細管現象により排水が上がってくる懸念がある。延出管7の長さは、例えば20mm程度であることを例示できる。
【0014】
椀蓋部8は、図1に示すように、断面視略コの字型で、下方に向かって開口した椀蓋の形状をしている。椀蓋部8は、封水筒6の上部に被せるように配置される。椀蓋部8で封水筒開口62が軽く塞がれているので、排水管220から連続している封水筒6から逆流する悪臭や害虫等が、室内に流入することが防止される。
【0015】
ロックナット2は、環状に形成され、接続管部5の外周に沿って配置される。ロックナット2は、接続管部5のねじ溝51に係合し、排水管220の上流端と、接続管部5とが重なった部分を、接続管部5の上から締結する。ロックナット2は、ナット側壁部22と、ナット上部貫通孔23aと、ナット下部貫通孔23bと、ナット底面部24と、を有する。
【0016】
ナット側壁部22は、接続管部5の外周面に沿い、上下方向に延びる部分である。ナット側壁部22の内周面に、接続管部5のねじ溝51に係合するねじ溝21が形成されている。
【0017】
ナット上部貫通孔23aは、接続管部5に締結した状態で、上端側に形成される略円形状の貫通孔である。ナット上部貫通孔23aの直径は、接続管部5の外形よりも大きい。ナット下部貫通孔23bは、接続管部5に締結した状態で、下端側に形成される略円形状の貫通孔である。ナット下部貫通孔23bの直径は、排水管220の外径よりも大きく、接続管部5の外形よりも小さい。
【0018】
ナット底面部24は、ナット側壁部22の下端から、ロックナット2の径方向内側に向かって延びる平坦な部分である。ナット底面部24の中心側に、ナット下部貫通孔23bが形成されている。
【0019】
Vパッキン3は、ロックナット2の内周側に配置可能な環状の弾性体であり、例えばゴム等により構成される。Vパッキンは、パッキン側部31と、パッキン下面32と、パッキン傾斜面33と、パッキン貫通孔34と、を有する。
【0020】
パッキン側部31は、ナット側壁部22の内側で、ナット側壁部22に対向して配置される。パッキン側部31は、上下方向に延びる円筒形の筒の部分である。パッキン側部31の内周面は、排水管220の外周面に密着するように嵌め込まれる。パッキン下面32は、Vパッキン3をロックナット2の内周側に配置した状態で、ロックナット2のナット底面部24の上に配置される。パッキン傾斜面33は、パッキン側部31の外周面側の上端から、内周面側の上端に向かって上方に傾斜する面である。パッキン傾斜面33は、接続管部5の傾斜面52に接するように配置される。パッキン貫通孔34は、パッキン側部31の内側に形成される貫通孔である。パッキン貫通孔34の内径は、排水管220の外周面に当接可能に、排水管220の外径と合っている。
【0021】
本実施形態の排水トラップ1を使用した排水装置10における排水の流れについて説明する。図1及び図2に示すように、ロックナット2は、内部にVパッキン3を収容し、Vパッキン3のパッキン傾斜面33と接続管部5の傾斜面52とを合わせて、パッキン傾斜面33の細い上端が、排水管220の外周面と接続管部5の内周面との間に形成される隙間S2を塞ぐように締結される。ここで、ロックナット2の締結が甘かった場合、もし延出管7が形成されていなかったら、封水筒6の下端を下方へ伝い落ちる水や、排水管220の上端を流れる水の一部が、排水管220の上端から、排水管220と接続管部5との隙間S2から排水管220の外側へ漏れる懸念がある。排水管220の外に漏れた水は、ロックナット2から染み出て漏水することも考えられる。しかし、本実施形態では、封水筒6の下端から下方に延出管7が延びており、延出管7は排水管220の中に挿入されている。このため、図2に示す矢印のように封水筒6を伝い落ちた水はそのまま延出管7を伝って落ち、排水管220の内部を流れていく。
【0022】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。排水トラップ1を、排水口210と排水管220の間に設けられ、有底筒状の底部に排水孔44が形成された本体部4と、底部42から下方に延びて排水管220に接続される接続管部5と、排水孔44の周縁から本体部4の上部に向かって延び、底部42に封水を貯水可能な封水筒6と、封水筒6から下方に延び、接続管部5の内径よりも小さな外径を有して排水管220の内部に挿入可能な延出管7と、を含んで構成した。封水筒6から延出管7が下方に延び、かつ延出管7が排水管220の内部に挿入されているので、封水筒6を伝い落ちた水は、延出管7を伝って排水管220の内部を流れていく。このため、接続管部5と排水管220との間に隙間が生じたとしても、排水は延出管7を伝って排水管220内に流入するので、隙間から水が漏れにくくなり、漏水の発生を防止又は抑制することができる。例えば、排水トラップ1の施工時に、ロックナット2の締結が甘かったというような場合があるが、そのような場合でも漏水が防止されるため、施工者の技術に寄らず、漏水を防止又は抑制することができる。
【0023】
本実施形態によれば、封水筒6と、延出管7とを、一体に成型した。封水筒6と延出管7とを一体に形成することで、製造及び施工が容易になると同時に、封水筒6と延出管7との間に継ぎ目等が形成されないため、排水をスムーズに伝い落ちるようにすることができる。
【0024】
本実施形態によれば、封水筒6の内周面と、延出管7の内周面とを、段差なく連続させた。これにより、排水をスムーズに伝い落ちるようにすることができ、上記と同様の効果を奏する。
【0025】
本実施形態によれば、接続管部5の内周面と、延出管7の外周面との間に、排水管220を挿入可能な隙間S1を形成した。これにより、隙間S1に排水管220の上端を挿入することで、排水トラップ1を簡易に排水管220の取り付けることができるとともに、漏水を防止又は抑制することができる。
【0026】
本実施形態によれば、排水装置10を、上述の排水トラップ1と、排水管220の外側に接続された接続管部5の外周に沿って配置されるロックナット2と、ロックナット2の内周側に配置され、排水管220と接続管部5との間の隙間S1を塞ぐVパッキン3と、を含んで構成した。ロックナット2で接続管部5を排水管220に対して締結する場合に、ロックナット2の締結が緩く、Vパッキン3が排水管220と接続管部5との間を密着させることができなかった場合でも、上記の排水トラップ1を用いることで、漏水を防止又は抑制することができる。
【0027】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。上記実施形態では、延出管7は排水管220に接しておらず、排水管220の内周面との間に隙間S1が形成された状態が図示されている。しかし、延出管7が排水管220の内周面に接していてもよい。延出管7は、排水管220の管の厚さが厚くても薄くても、排水管220の内周面の内部に挿入されていればよい。
【符号の説明】
【0028】
1 排水トラップ、 2 ロックナット、 3 弾性部材、 4 本体部、 5 接続管部、 6 封水筒、 7 延出管、 10 排水装置、 42 底部、 44 排水孔、 210 排水口、 220 排水管
図1
図2