(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091453
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ストーカ及びストーカ炉
(51)【国際特許分類】
F23H 7/08 20060101AFI20230623BHJP
F23H 7/18 20060101ALI20230623BHJP
F23G 5/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F23H7/08 Z
F23H7/18
F23G5/00 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206205
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 崇之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敬
(72)【発明者】
【氏名】利弘 淳
(72)【発明者】
【氏名】奥田 博史
(72)【発明者】
【氏名】谷口 暢子
(72)【発明者】
【氏名】赤木 良
(72)【発明者】
【氏名】南 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小澤 奎太
【テーマコード(参考)】
3K261
【Fターム(参考)】
3K261AA06
3K261BA06
3K261BA12
3K261BA17
(57)【要約】
【課題】従来の並列揺動式ストーカと同等のせん断効果及び耐久性を備えつつ、従来の並列揺動式ストーカのデメリットを軽減できるストーカの構造を提案する。
【解決手段】ストーカは、搬送物の送り方向と略直交する水平方向に交互に並ぶ固定火格子列及び可動火格子列と、可動火格子列を凸軌道を描いて送り方向の下流側へ前進させ、可動火格子列を凹軌道又は水平軌道を描いて送り方向の上流側へ後進させる駆動装置と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の送り方向と略直交する水平方向に交互に並ぶ固定火格子列及び可動火格子列と、
前記可動火格子列を凸軌道を描いて前記送り方向の下流側へ前進させ、前記可動火格子列を凹軌道又は水平軌道を描いて前記送り方向の上流側へ後進させる駆動装置と、を備える、
ストーカ。
【請求項2】
前記固定火格子列及び前記可動火格子列の搬送面が略水平である、又は、水平に対し前記送り方向の下流へ行くに連れて上る傾斜を有する、
請求項1に記載のストーカ。
【請求項3】
前記可動火格子列は、前記送り方向に離れた後支持部と前支持部とを有し、
前記駆動装置は、前記後支持部を昇降させる後リフト装置と、前記前支持部を昇降させる前リフト装置と、前記可動火格子列を前記送り方向へ前進及び後進させるシフト装置とを有する、
請求項1又は2に記載のストーカ。
【請求項4】
前記後リフト装置と前記前リフト装置は、同期動作及び独立動作が可能である、
請求項3に記載のストーカ。
【請求項5】
前記可動火格子列は前記後支持部及び前支持部の各々に配置されたローラを有し、
前記後リフト装置及び前リフト装置の各々は、凸レールと、水平レール及び凹レールのうち少なくとも一方との複数のレールを有するレールブロックと、前記ローラが前記複数のレールのうちいずれかの上を転動するように前記レールブロックを動作させるアクチュエータとを有する、
請求項3又は4に記載のストーカ。
【請求項6】
前記可動火格子列は、前記送り方向に離れた後支持部と前支持部とを有し、
前記駆動装置は、前記後支持部を昇降させるとともに前記送り方向へ移動させる後リフト装置と、前記前支持部を昇降させるとともに前記送り方向へ移動させる前リフト装置とを有する、
請求項1又は2に記載のストーカ。
【請求項7】
前記後リフト装置及び前リフト装置の各々は、楕円リンク機構と、前記楕円リンク機構を動作させるアクチュエータとを含む、
請求項6に記載のストーカ。
【請求項8】
前記後リフト装置及び前リフト装置の各々は、チェビシェフリンク機構と、前記チェビシェフリンク機構を動作させるアクチュエータとを含む、
請求項6に記載のストーカ。
【請求項9】
前記後リフト装置及び前リフト装置の各々は、前記可動火格子列と高さ方向に変位可能に連結されたレバーと、前記レバーを揺動させるアクチュエータと、前記可動火格子列と前記レバーとの連結位置の高さを調整する高さ調整装置とを含む、
請求項6に記載のストーカ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のストーカを備える、
ストーカ炉。
【請求項11】
前記ストーカが、前記送り方向に並ぶ複数のストーカを含み、
前記複数のストーカの少なくとも1つは、前記固定火格子列及び前記可動火格子列の搬送面が水平に対し前記送り方向の下流へ行くに連れて上る傾斜を有する、
請求項10に記載のストーカ炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ストーカ及びそれを備えるストーカ炉の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ごみなどの被焼却物をストーカの上で乾燥・加熱し、撹拌・移動させながら燃焼させるストーカ炉が知られている。ストーカの種類は様々なものがあり、例えば、並列揺動式と平行揺動式(階段摺動式ともいう)がある。
【0003】
特許文献1には、並列揺動式ストーカが開示されている。並列揺動式ストーカは、搬送物の送り方向と直交する水平方向である横方向に交互に並ぶ固定火格子列及び可動火格子列と、可動火格子列の駆動機構とを備える。各火格子列は、搬送物の送り方向に階段状に並ぶ複数の火格子を備え、上面は全体として搬送物の送り方向に向かって下る傾斜を有する。駆動機構が可動火格子列を前後、斜め上方、又は円弧状に往復動又は揺動させることにより、搬送物の搬送と攪拌とが行われる。
【0004】
平行揺動式ストーカは、搬送物の送り方向に交互に並ぶ固定火格子段及び可動火格子段と、可動火格子段の駆動機構とを備える。各火格子段は横方向に並ぶ複数の火格子を備え、上面が搬送物の送り方向に向かって上る傾斜を有する。そして、駆動機構が可動火格子段を固定火格子段の上を斜め上方へ往復運動させることにより、搬送物の搬送と攪拌が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57-30545号公報
【特許文献2】実開昭58-194333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
並列揺動式ストーカは、平行揺動式ストーカと比較して、搬送物のせん断効果が高いため低発熱量処理対象物の乾燥にも適するうえ、火格子同士の摩擦が少ないため耐久性に優れるというメリットがある。一方で、従来の並列揺動式ストーカは、搬送物の送り方向に下り勾配となるように火格子が配置されることから、ストーカの設置高さが大きくなることからストーカ炉の建設コストが嵩むというデメリットがある。これに対し、平行揺動式ストーカは、ストーカの設置高さが小さいことからストーカ炉の建物高さを抑えることができる。
【0007】
本開示は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の並列揺動式ストーカと同等のせん断効果及び耐久性を備えつつ、従来の並列揺動式ストーカのデメリットを軽減できるストーカの構造を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係るストーカは、
搬送物の送り方向と略 直交する水平方向に交互に並ぶ固定火格子列及び可動火格子列と、
前記可動火格子列を凸軌道を描いて前記送り方向の下流側へ前進させ、前記可動火格子列を凹軌道又は水平軌道を描いて前記送り方向の上流側へ後進させる駆動装置と、を備えるものである。
【0009】
また、本開示の一態様に係るストーカ炉は、上記ストーカを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
上記した本開示の一態様によれば、従来の並列揺動式ストーカと同等のせん断効果及び耐久性を備えつつ、従来の並列揺動式ストーカのデメリットを軽減できるストーカの構造を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るストーカを採用したストーカ炉を備えるボイラ施設の全体的な構成を示す図である。
【
図3】
図3は、火格子列を横方向から見た側面図である。
【
図4】
図4は、可動火格子列の順送り動作を説明する図である。
【
図5】
図5は、可動火格子列の順送り動作の変形例を説明する図である。
【
図6】
図6は、可動火格子列と駆動装置の基本構成を示す図である。
【
図7】
図7は、順送り動作のタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、逆送り動作のタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、中央寄せ動作のタイミングチャートである。
【
図11】
図11は、前部順送り動作のタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、後部順送り動作のタイミングチャートである。
【
図13】
図13は、前部逆送り動作のタイミングチャートである。
【
図14】
図14は、後部逆送り動作のタイミングチャートである。
【
図17】
図17は、駆動装置の構成例2の変形例を示す図である。
【
図18】
図18は、駆動装置の構成例3を横方向から見た側面図である。
【
図19】
図19は、駆動装置の構成例3を送り方向から見た側面図である。
【
図20】
図20は、構成例3の変形例1に係る駆動装置を送り方向から見た側面図である。
【
図23】
図23は、構成例3の変形例2に係る駆動装置を横方向から見た側面図である。
【
図24】
図24は、構成例3の変形例2に係る駆動装置を送り方向から見た側面図である。
【
図28】
図28は、駆動装置の構成例6において、高さ調整装置によってピンの位置がロックされている状態を示す図である。
【
図29】
図29は、駆動装置の構成例6において、高さ調整装置の変形例を示す図である。
【
図30】
図30は、ストーカ炉において送り方向に並んだ複数のストーカの配置のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
図1は本開示の一実施形態に係るストーカ炉1を備えるボイラ施設100の構成を示す図である。
図1に示すボイラ施設100は、燃料Fを燃焼するストーカ炉1と、ストーカ炉1の排熱を回収するボイラ2とを備える。
【0013】
ストーカ炉1には、主燃焼室である一次燃焼室14と、二次燃焼室19とが設けられている。一次燃焼室14の入口には、シュート13を介して投入ホッパ12が接続されている。一次燃焼室14の床部には、ストーカ15が設けられている。ストーカ15の下流側には、一次燃焼室14から焼却灰を排出する排出シュート18が設けられている。
【0014】
ストーカ15の下方からは一次燃焼空気21が供給され、この一次燃焼空気21がストーカ15を下方から貫いて一次燃焼室14内へ導入される。また、一次燃焼室14の天井から一次燃焼室14内へ向けて二次燃焼空気22が供給される。
【0015】
上記構成のストーカ炉1では、投入ホッパ12へ投入された燃料Fは、シュート13を通じて一次燃焼室14の入口へ導入される。一次燃焼室14に導入された燃料Fは、ストーカ15で送り方向90(
図2、参照)に搬送される。燃料Fは乾燥ストーカ上を搬送されるうちに、乾燥され、加熱され、着火する。着火した燃料Fの一部は熱分解して、可燃性の熱分解ガスを発生する。この熱分解ガスは、一次燃焼空気21に乗って一次燃焼室14の上部へ移動して、二次燃焼空気22と共に燃焼する。着火した燃料Fの残部は搬送されるうちに燃焼し、燃焼後に残った焼却灰は排出シュート18から排出され、図示しない灰処理設備へ送られる。一次燃焼室14の燃焼排ガスは、一次燃焼室14の下流側の天井部分から吹き出す二次燃焼空気22と混合され、二次燃焼室19で完全燃焼する。
【0016】
ストーカ炉1の二次燃焼室19には煙道20が接続されている。煙道20には、ストーカ炉1からの燃焼排ガスから熱エネルギーを回収するボイラ2が設けられている。煙道20の壁にはボイラドラム24と接続された水管23が張り巡らされている。ボイラドラム24は、過熱器25と接続されている。また、煙道20の流路内には過熱器25の過熱管が設けられている。ボイラドラム24から送られてきた温水は、過熱器25で燃焼排ガスとの熱交換により蒸発させられ、更に過熱される。このようにして過熱器25で生成された過熱蒸気は、発電設備等で利用される。煙道20を通過した燃焼排ガスは、排気路28へ排出される。排気路28には、バグフィルタや誘引式送風機などが設けられており、ボイラ2の排ガスは、バグフィルタでダストが分離された後、煙突から大気へ排出される。
【0017】
〔ストーカ15の構造〕
次に、ストーカ炉1が備えるストーカ15について詳細に説明する。
図2は、ストーカ15の概略構成を示す平面図である。ストーカ15は、並列揺動式であって、固定火格子列31と、可動火格子列32と、可動火格子列32の駆動装置33とを備える。固定火格子列31と可動火格子列32は、搬送物(即ち、ごみ)の送り方向90と略直交する水平方向である横方向91に交互に並んでいる。
【0018】
固定火格子列31は、火格子列30がストーカ炉1の炉構造部材11(
図6、参照)に固定されたものである。また、可動火格子列32は、火格子列30が搬送物の送り方向90へ往復移動可能にストーカ炉1の炉構造部材11に支持されたものである。固定火格子列31及び可動火格子列32の火格子列30は、実質的に同じ形状を有していてよい。
【0019】
図3は、火格子列30を横方向91から見た側面図である。
図3に示すように、火格子列30の上面である搬送面39の断面プロファイルは長辺部36と短辺部37とが規則的に繰り返された鋸刃形状の起伏を有する。長辺部36は短辺部37よりも長い。長辺部36は送り方向90の下流側へ向かって上る傾斜を有する。短辺部37は送り方向90の下流側へ向かって下る傾斜を有する。連接する長辺部36と短辺部37の組み合わせを1段の火格子41として、火格子列30には複数段の火格子41が送り方向90に連接されている。各段の火格子41には長辺部36と短辺部37とによって、上向きに凸の頂部38が形成されている。1つの火格子列30には複数の頂部38が存在する。初期位置にある火格子列30において、頂部38を繋ぐ線分Lは略水平である、又は、水平に対し下流側へ向かって上る若干の傾斜を有する。
【0020】
図4は可動火格子列32の順送り動作を説明する図である。
図4では、(A)初期位置且つ後進端、(B)前進中、(C)前進端、(D)後進中の可動火格子列32の一連の運動の様子が示されている。なお、送り方向90の下流へ向かう移動を「前進」、送り方向90の上流へ向かう移動を「後進」とする。
【0021】
ストーカ15では、搬送物の順送り時に、可動火格子列32が固定火格子列31に対して前進及び後進する。可動火格子列32は、初期位置である後進端から前進端までの前進と、前進端から後進端までの後進とを1ストロークとして繰り返す。
【0022】
順送り動作時の可動火格子列32(特に、可動火格子列32の搬送面39)は、横方向91から見て、凸軌道を描いて前進する。ここで「凸軌道」は、前方又は後方へのシフト移動と、上昇及びその後の降下の昇降移動とを組み合わせた軌道である。凸軌道には、例えば、上方へ凸の円弧状、上方へ凸の山形状、上方へ凸の四角形状、及び、上方へ凸の台形状の軌道が含まれる。可動火格子列32が凸軌道を描いて前進すると、搬送面39の上昇による搬送物の持ち上げと、搬送面39の前進とが同時に行われて、搬送物が送り方向90の下流へ送られる。
【0023】
順送り動作時の可動火格子列32は、横方向91から見て、凹軌道を描いて後進する。ここで「凹軌道」は、前方又は後方へのシフト移動と、降下及びその後の上昇の昇降移動とを組み合わせた軌道である。凹軌道には、例えば、下方へ凹の円弧状、下方へ凹の逆さ山形状、逆さ台形状の軌道が含まれる。可動火格子列32が凹軌道を描いて後進すると、搬送面39の降下と後進とが同時に行われて、搬送面39が搬送物に作用することなく可動火格子列32が後進端へ戻る。
【0024】
但し、
図5に示すように、順送り動作時の可動火格子列32は、横方向91から見て、水平軌道を描いて後進してもよい。ここで「水平軌道」は、昇降を伴わない、前方又は後方へのシフト移動の軌道である。可動火格子列32が水平軌道を描いて後進すると、搬送面39は搬送物層の底面を摺動するが搬送物を送り方向90へ殆ど送ることなく、可動火格子列32が後進端へ戻る。
【0025】
〔駆動装置33〕
続いて、可動火格子列32の駆動装置33について説明する。
図6は、可動火格子列32と駆動装置33の基本構成を示す図である。
【0026】
図6に示すように、ストーカ15の可動火格子列32の各々は、フレーム42と、フレーム42に固定された複数の火格子41とを備える。複数の火格子41は、送り方向90に並んでいる。フレーム42は、送り方向90の上流端である後部に配置された後支持部43と、送り方向90の下流端である前部に配置された前支持部44とを有する。後支持部43と前支持部44は送り方向90に離れている。なお、後支持部43及び前支持部44は、フレーム42の横方向91に分散した複数個所に設けられていてもよい。
【0027】
駆動装置33は、可動火格子列32の全体を略水平方向に移動させるシフト装置50と、可動火格子列32の後支持部43を昇降させる後リフト装置51と、可動火格子列32の前支持部44を昇降させる前リフト装置52と、シフト装置50、後リフト装置51、及び前リフト装置52の動作を制御するコントローラ53とを含む。後リフト装置51と前リフト装置52の各々が、シフト装置50としての機能を併せ備えてもよい。
【0028】
可動火格子列32が前進、前進端で保持、後進、及び、後進端で保持、からなるシフト移動の1サイクルを周期的に繰り返すように、コントローラ53はシフト装置50を制御する。同時に、可動火格子列32のシフト移動のタイミングに合わせて後支持部43及び前支持部44の高さレベルが変化するように、コントローラ53は後リフト装置51及び前リフト装置52を制御する。後支持部43及び前支持部44の高さレベルは、固定火格子列31の搬送面39と可動火格子列32の搬送面39とが実質的に同じレベルになる標準レベル、標準レベルよりも高い高レベル、標準レベルよりも低い低レベルの3段階で表される。
【0029】
後リフト装置51及び前リフト装置52は、同期動作を行うことができる。換言すれば、後リフト装置51及び前リフト装置52は、両者が同時に上昇、及び、両者が同時に降下、の動作を行うことが可能である。後リフト装置51及び前リフト装置52の同期動作によって、可動火格子列32は順送り動作及び逆送り動作が可能である。
【0030】
後リフト装置51及び前リフト装置52は、同期動作に加えて、独立動作可能であることが望ましい。換言すれば、後リフト装置51及び前リフト装置52が、両者が同時に上昇、両者が同時に降下、及び、一方が上昇し他方が降下、の動作を行うことが可能であることが望ましい。このように、後リフト装置51と前リフト装置52とが独立して動作することができれば、可動火格子列32に順送り動作及び逆送り動作だけではなく、目的に応じた動作を行わせることができる。
【0031】
以下、可動火格子列32の目的に応じた動作について説明する。表1は、ストーカ15の動作の種類と、動作の種類ごとの可動火格子列32の前進中及び後進中の後支持部43及び前支持部44の高さレベルの関係を示している。なお、表1には示さないが、可動火格子列32が前進端及び後進端にあるとき、後支持部43及び前支持部44は標準レベルにある。
【0032】
【0033】
<順送り>
図7は、可動火格子列32の順送り動作のタイミングチャートである。以下、タイミングチャートの上段は可動火格子列32の前後位置を表し、中段は後支持部43の高さレベルを表し、下段は前支持部44の高さレベルを表す。コントローラ53は、シフト装置50による可動火格子列32のシフト移動の状況に合わせて、可動火格子列32の後支持部43及び前支持部44の高さレベルが変化するように後リフト装置51及び前リフト装置52を制御する。なお、タイミングチャートにおいて高さレベルの変化は折れ線で示されているが、前進及び後進の開始時と終了時、並びに、上昇及び降下の開始時と終了時に、可動火格子列32が滑らかに移動するように加速度が調整されてよい。また、タイミングチャートに示された高さレベルの変化は一例であって、可動火格子列32の駆動装置33の構造や搬送物の性状に応じて高さレベルの変化の態様が調整されてよい。
【0034】
図7及び表1に示されるように、順送り動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43及び前支持部44が高レベルにあり、後進中に後支持部43及び前支持部44が低レベルにある。順送り動作では、可動火格子列32は凸軌道を描いて前進して搬送物が送り方向90の下流側へ送られ、可動火格子列32は凹軌道を描いて後進して搬送物の送りを伴わずに後進端へ戻る。
【0035】
表1に示されるように、順送り動作において、可動火格子列32の後進中に後支持部43及び前支持部44が標準レベルにあってもよい。このような順送り動作では、可動火格子列32は凸軌道を描いて前進して搬送物が送り方向90の下流側へ送られ、可動火格子列32は水平軌道を描いて後進して搬送物の送りを伴わずに後進端へ戻る。
【0036】
<逆送り>
図8は、可動火格子列32の逆送り動作のタイミングチャートである。搬送物の逆送りは、例えば、ストーカ15上で搬送物が滞留した場合などに行われる。
【0037】
図8及び表1に示すように、逆送り動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43及び前支持部44が低レベルにあり、後進中に後支持部43及び前支持部44が高レベルにある。逆送り動作において、可動火格子列32の前進中に後支持部43及び前支持部44が標準レベルにあってもよい。逆送り動作では、可動火格子列32は凹軌道を描いて前進して搬送物の送りを伴わずに前進端まで移動し、可動火格子列32は凸軌道を描いて後進して搬送物が送り方向90の上流側へ送られる。
【0038】
<中央寄せ>
図9は、可動火格子列32の中央寄せ動作のタイミングチャートである。可動火格子列32が中央寄せ動作を行うと、ストーカ15上の搬送物は前後中央へ集まる。搬送物の中央寄せは、例えば、ストーカ15の前端と後端で搬送物が滞留した場合などに行われる。
【0039】
図9及び表1に示すように、中央寄せ動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43が高レベル且つ前支持部44が低レベルにあり、後進中に後支持部43が低レベル且つ前支持部44が高レベルにある。低レベルは、標準レベルに代えてもよい。中央寄せ動作では、可動火格子列32の後部は凸軌道を描いて前進し、可動火格子列32の前部は凹軌道を描いて前進する。また、可動火格子列32の後部は凹軌道を描いて後進し、可動火格子列32の前部は凸軌道を描いて後進する。凹軌道は、水平軌道に代えてもよい。
【0040】
<分散>
図10は、可動火格子列32の分散動作のタイミングチャートである。可動火格子列32が分散動作を行うと、ストーカ15上の搬送物は前後に分散する。搬送物の分散は、例えば、ストーカ15の前後中央部で搬送物が滞留した場合などに行われる。
【0041】
図10及び表1に示すように、分散動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43が低レベル且つ前支持部44が高レベルにあり、後進中に後支持部43が高レベル且つ前支持部44が低レベルにある。低レベルは、標準レベルに代えてもよい。分散動作では、可動火格子列32後部は凹軌道を描いて前進し、可動火格子列32の前部は凸軌道を描いて前進する。また、可動火格子列32の後部は凸軌道を描いて後進し、可動火格子列32の前部は凹軌道を描いて後進する。凹軌道は、水平軌道に代えてもよい。
【0042】
<前部順送り>
図11は、可動火格子列32の前部順送りI動作のタイミングチャートである。
図11及び表1に示すように、前部順送りI動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43が低レベル且つ前支持部44が高レベルにあり、後進中に後支持部43及び前支持部44が低レベルにある。低レベルは、標準レベルに代えてもよい。前部順送りI動作では、可動火格子列32の後部は凹軌道を描いて前進し、可動火格子列32の前部は凸軌道を描いて前進する。また、可動火格子列32は前部及び後部ともに凹軌道を描いて後進する。凹軌道は、水平軌道に代えてもよい。
【0043】
表1の前部順送りII動作は、前部順送りI動作と対比して前進中及び後進中の後支持部43が高レベルにある点のみ相違する。
【0044】
上記のように可動火格子列32が前部順送りI動作又は前部順送りII動作を行うと、ストーカ15上の後部の搬送物よりも前部の搬送物が送り方向90の下流側へ大きく送られる。前部順送りI動作及び前部順送りII動作は、例えば、ストーカ15上の前部のみの搬送物の移動を促進したい場合などに行われる。
【0045】
<後部順送り>
図12は、可動火格子列32の後部順送りI動作のタイミングチャートである。
図12及び表1に示すように、後部順送りI動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43が高レベル且つ前支持部44が低レベルにあり、後進中に後支持部43及び前支持部44が低レベルにある。低レベルは、標準レベルに代えてもよい。後部順送りI動作では、可動火格子列32の後部は凸軌道を描いて前進し、可動火格子列32の前部は凹軌道を描いて前進する。また、可動火格子列32の前部及び後部は凹軌道を描いて後進する。凹軌道は、水平軌道に代えてもよい。
【0046】
表1の後部順送りII動作は、後部順送りI動作と対比して前進中及び後進中の前支持部44が高レベルにある点のみ相違する。
【0047】
上記のように可動火格子列32が後部順送りI動作又は後部順送りII動作を行うと、ストーカ15上の前部の搬送物よりも後部の搬送物が送り方向90の下流側へ大きく送られる。後部順送りI動作又は後部順送りII動作は、例えば、ストーカ15上の後部のみの搬送物の移動を促進したい場合などに行われる。
【0048】
<前部逆送り>
図13は、可動火格子列32の前部逆送りI動作のタイミングチャートである。
図13及び表1に示すように、前部逆送りI動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43及び前支持部44が低レベルにあり、後進中に後支持部43が低レベル且つ前支持部44が高レベルにある。低レベルは、標準レベルに代えてもよい。前部逆送りI動作では、可動火格子列32の前部及び後部は凹軌道を描いて前進する。また、可動火格子列32の後部は凹軌道を描いて後進し、前部は凸軌道を描いて後進する。凹軌道は、水平軌道に代えてもよい。
【0049】
表1の前部逆送りII動作は、前部逆送りI動作と対比して前進中及び後進中の後支持部43が高レベルにある点のみ相違する。
【0050】
上記のように可動火格子列32が前部逆送りI動作又は前部逆送りII動作を行うと、ストーカ15上の後部の搬送物よりも前部の搬送物が送り方向90の上流側へ大きく送られる。前部逆送りI動作ではストーカ15上の後部の搬送物は殆ど移動しないが、前部逆送りII動作ではストーカ15上の後部の搬送物は解される。前部逆送りI動作及び前部逆送りII動作は、例えば、ストーカ15上の前部に搬送物の滞留が生じて、ストーカ15の上の搬送物を解したい場合などに行われる。
【0051】
<後部逆送り>
図14は、可動火格子列32の後部逆送りI動作のタイミングチャートである。
図14及び表1に示すように、後部逆送りI動作では、可動火格子列32の前進中に後支持部43及び前支持部44が低レベルにあり、後進中に後支持部43が高レベルにあり且つ前支持部44が低レベルにある。低レベルは、標準レベルに代えてもよい。後部逆送りI動作では、可動火格子列32の前部及び後部は凹軌道を描いて前進し、可動火格子列32の後部は凸軌道を描いて後進し、可動火格子列32の前部は凹軌道を描いて後進する。凹軌道は、水平軌道に代えてもよい。
【0052】
表1の後部逆送りII動作は、後部逆送りI動作と対比して前進中及び後進中の前支持部44が高レベルにある点のみ相違する。
【0053】
上記のように可動火格子列32が後部逆送りI動作又は後部逆送りII動作を行うと、ストーカ15上の前部の搬送物よりも後部の搬送物が送り方向90の上流側へ大きく送られる。後部逆送りI動作ではストーカ15上の前部の搬送物は殆ど移動しないが、後部逆送りII動作ではストーカ15上の前部の搬送物は解される。後部逆送りI動作及び後部逆送りII動作は、例えば、ストーカ15上の前後中央部に搬送物の滞留が生じて、ストーカ15の上の搬送物を解したい場合などに行われる。
【0054】
〔駆動装置33の構成例〕
続いて、駆動装置33の具体的な構成例1~6について説明する。
【0055】
<駆動装置33の構成例1>
図15は、駆動装置33の構成例1を示す図である。構成例1に係る駆動装置33aでは、後リフト装置51a及び前リフト装置52aの同期動作及び独立動作が可能である。
図15に示すように、構成例1に係る駆動装置33aは可動火格子列32を支持する台車55を備える。台車55はストーカ炉1の炉構造部材11の上を走行可能である。駆動装置33aのシフト装置50aは、炉構造部材11に対し台車55を前進及び後進させる。シフト装置50aは、例えば、流体圧シリンダである。台車55には、フレーム42の後支持部43を昇降可能に支持する後リフト装置51aが設けられている。台車55には、フレーム42の前支持部44を昇降可能に支持する前リフト装置52aが設けられている。後リフト装置51a及び前リフト装置52aは、例えば、流体圧シリンダである。後リフト装置51aとしての流体圧シリンダのシリンダ本体が台車55と結合され、シリンダロッドが後支持部43と結合され、シリンダロッドの伸縮によってフレーム42の後支持部43が昇降する。同様に、前リフト装置52aとしての流体圧シリンダのシリンダ本体が台車55と結合され、シリンダロッドが前支持部44と結合され、シリンダロッドの伸縮によってフレーム42の前支持部44が昇降する。なお、前リフト装置52a及び後リフト装置51aのうち一方においてシリンダロッドの先端部が送り方向90に変位可能に可動火格子列32と結合されていてもよい。
【0056】
<駆動装置33の構成例2>
図16は、駆動装置33の構成例2を示す図である。構成例2に係る駆動装置33bでは、後リフト装置51b及び前リフト装置52bの同期動作及び独立動作が可能である。
図16に示すように、構成例2に係る駆動装置33bは可動火格子列32を支持する昇降台56を備える。可動火格子列32の後支持部43には後ローラ57が回動自在に支持されており、可動火格子列32の前支持部44には前ローラ58が回動自在に支持されている。これらのローラ57,58は昇降台56の上を転動可能である。昇降台56と可動火格子列32との間には、昇降台56に対し可動火格子列32を前進及び後進させるシフト装置50bが設けられている。シフト装置50bは、例えば、流体圧シリンダである。シフト装置50bとしての流体圧シリンダのシリンダ本体が昇降台56と結合され、シリンダロッドがフレーム42と結合されており、シリンダロッドの伸縮によって可動火格子列32が前後進する。なお、前リフト装置52b及び後リフト装置51bのうち一方においてシリンダロッドの先端部が送り方向90に変位可能に昇降台56と結合されていてもよい。
【0057】
昇降台56の後部は後リフト装置51bに支持され、昇降台56の前部は前リフト装置52bに支持されている。後リフト装置51b及び前リフト装置52bは、炉構造部材11に支持されている。後ローラ57は後リフト装置51bの上方に位置し、前ローラ58は前リフト装置52bの上方に位置する。
【0058】
後リフト装置51b及び前リフト装置52bは、例えば、流体圧シリンダである。後リフト装置51bである流体圧シリンダのシリンダ本体が炉構造部材11と結合され、シリンダロッドが昇降台56と結合されている。後リフト装置51bのシリンダロッドの伸縮によって昇降台56の後部が昇降する。同様に、前リフト装置52bである流体圧シリンダのシリンダ本体が炉構造部材11と結合され、シリンダロッドが昇降台56と結合されている。前リフト装置52bのシリンダロッドの伸縮によって昇降台56の前部が昇降する。
【0059】
或いは、
図17に示すように、後リフト装置51bは、レバー59とアクチュエータ60の組み合わせで構成されていてもよい。アクチュエータ60は、モータ又は流体圧シリンダであってよい。レバー59の中央部が炉構造部材11に回動自在に支持されており、レバー59の一方の端部に昇降台56の後部が回動可能に結合され、レバー59の他方の端部に流体圧シリンダのシリンダロッドが回動可能に結合されている。後リフト装置51bのアクチュエータ60の動作によりレバー59が回動して昇降台56の後部が昇降する。前リフト装置52bも後リフト装置51bと同様に構成されており、前リフト装置52bのアクチュエータ60の動作によりレバー59が回動して昇降台56の前部が昇降する。なお、
図17に示す後リフト装置51b及び前リフト装置52bは同期動作が可能であるが、更に独立動作を可能とするために、前リフト装置52b及び後リフト装置51bのうち一方においてレバー59の端部が昇降台56に対し送り方向90に変位可能に結合されていてもよい。
【0060】
<駆動装置33の構成例3>
図18及び
図19は、駆動装置33の構成例3を示す図である。構成例3に係る駆動装置33cでは、後リフト装置51c及び前リフト装置52cの同期動作及び独立動作が可能である。
図18及び
図19に示すように、構成例3に係る駆動装置33cのシフト装置50cは、炉構造部材11に対して可動火格子列32を前進及び後進させる。シフト装置50cは、例えば、流体圧シリンダであって、流体圧シリンダのシリンダ本体が炉構造部材11と結合され、シリンダロッドがフレーム42と結合される。シフト装置50cのシリンダロッドの伸縮によって可動火格子列32が前進及び後進する。
【0061】
可動火格子列32の後支持部43には回動自在に後ローラ57が支持されている。可動火格子列32の前支持部44には回動自在に前ローラ58が支持されている。炉構造部材11には送り方向90に離間して配置された2つのレールブロック62が支持されており、ローラ57,58はレールブロック62の上面を転動する。レールブロック62の上面は、前水平部63、後水平部64、凸レール65、及び、凹レール66を有する。前水平部63と後水平部64は送り方向90に離間しており、これらの間に凸レール65及び凹レール66が配置されている。凸レール65と凹レール66は横方向91に並んでいる。但し、
図20に示すように、レールブロック62Aの上面は、前水平部63と後水平部64の間に水平レール67を更に備えてもよい。レールブロック62Aでは、前水平部63と後水平部64の間に、凸レール65、水平レール67、及び凹レール66が横方向91に並ぶ。或いは、レールブロック62Aの上面は、前水平部63と後水平部64の間に凸レール65及び水平レール67を備えてもよい。
【0062】
後リフト装置51cは、後ローラ57が転動するレールブロック62と、当該レールブロック62を横方向91へ往復移動させるアクチュエータ68とを備える。前リフト装置52cは、前ローラ58が転動するレールブロック62と、当該レールブロック62を横方向91へ往復移動させるアクチュエータ68とを備える。レールブロック62の横方向91の移動により、ローラ57,58が凸レール65と凹レール66のいずれを通るかを切り替えることができる。後ローラ57が前水平部63及び後水平部64の上にあるとき、可動火格子列32の後支持部43は標準高さにある。同様に、前ローラ58が前水平部63及び後水平部64の上にあるとき、可動火格子列32の前支持部44は標準高さにある。後ローラ57が凸レール65の上にあるとき、可動火格子列32の後支持部43は、標準高さよりも高い位置にある。同様に、前ローラ58が凸レール65の上にあるとき、可動火格子列32の前支持部44は、標準高さよりも高い位置にある。後ローラ57が凹レール66の上にあるとき、可動火格子列32の後支持部43は、標準高さよりも低い位置にある。同様に、前ローラ58が凹レール66の上にあるとき、可動火格子列32の前支持部44は、標準高さよりも低い位置にある。例えば、後ローラ57が、前水平部63、凸レール65、及び後水平部64の上を順に移動する場合、可動火格子列32の後支持部43は、標準高さから上昇して標準高さへ戻る凸軌道を描いて後進する。また、例えば、後ローラ57が、前水平部63、凹レール66、及び後水平部64の上を順に移動する場合、可動火格子列32の後支持部43は、標準高さから降下して標準高さへ戻る凹軌道を描いて後進する。
【0063】
図21は、凸レール65のバリエーションを示す図である。
図21Aに示すように、凸レール65を横方向91から見た場合のプロファイルは上に凸の円弧であってよい。或いは、
図21Bに示すように、凸レール65を横方向91から見た場合のプロファイルは山形であってよい。或いは、
図21Cに示すように、凸レール65を横方向91から見た場合のプロファイルは台形であってよい。或いは、
図21Dに示すように、凸レール65を横方向91から見た場合のプロファイルは山が周期的に繰り返された波形であってよい。
【0064】
図22は、凹レール66のバリエーションを示す図である。
図22Aに示すように、凹レール66を横方向91から見た場合に、凹レール66のプロファイルは下に凹の円弧であってよい。或いは、
図22Bに示すように、凹レール66を横方向91から見た場合に、凹レール66のプロファイルは樋形であってよい。
【0065】
上記のレールブロック62は進退移動によって凸レール65と凹レール66とが切り替わるが、レールブロック62は回転移動によって凸レール65と凹レール66とが切り替わるように構成されていてもよい。
【0066】
図23は、構成例3の変形例2に係る駆動装置33cを横方向91から見た側面図であり、
図24は、構成例3の変形例2に係る駆動装置33cを送り方向90から見た側面図である。
図23及び
図24に示すように、変形例2に係る駆動装置33cのレールブロック62Bはローラ形であって、アクチュエータ68の動作によってレールブロック62Bが回動する。レールブロック62Bの周面には、凸レール65と凹レール66とが形成されている。レールブロック62Bの前方には前水平部63が配置されており、レールブロック62Bの後方には後水平部64が配置されている。可動火格子列32の後支持部43に設けられた後ローラ57は、前進時に後水平部64、凸レール65又は凹レール66、及び、前水平部63の上を順に転動する。また、後ローラ57は、後進時に前水平部63、凸レール65又は凹レール66、及び、後水平部64の上を順に転動する。後ローラ57が凸レール65と凹レール66のうちいずれの上を転動するかは、レールブロック62Bの回転位置によって選択可能である。
【0067】
<駆動装置33の構成例4>
図25は、駆動装置33の構成例4を示す図である。構成例4に係る駆動装置33dでは、後リフト装置51d及び前リフト装置52dの同期動作が可能である。
図25に示すように、構成例4に係る駆動装置33dは、後リフト装置51dがシフト装置としての機能を併せ備え、前リフト装置52dがシフト装置としての機能を併せ備えている。
【0068】
後リフト装置51dは、楕円リンク機構70とアクチュエータ69とを備える。アクチュエータ69は、例えば、モータや流体圧シリンダとギヤの組み合わせであってよい。楕円リンク機構70は、回転リンク701、連結リンク702、及び、規制リンク703からなる。回転リンク701は、アクチュエータ69の出力を受けて基端部を中心として回転する。連結リンク702は、回転リンク701の先端部と回動可能に連結された基端部と、可動火格子列32の後支持部43と回動可能に連結された先端部とを有する。規制リンク703は、連結リンク702の中央部に連結された先端部と、炉構造部材11に回動可能に連結された基端部とを有する。前リフト装置52dは、後リフト装置51dと実質的に同じ構成を有する。
【0069】
後リフト装置51d及び前リフト装置52dにおいて、アクチュエータ69の駆動により回転リンク701が基端部を中心として回転すると、可動火格子列32は上下に扁平な楕円状の軌道を描いて前進及び後進する。横方向91に並ぶ複数の可動火格子列32において、回転リンク701は同じ回転位相であってもよいが、回転リンク701の回転位相を相違させることによって複数の可動火格子列32に各々異なる動きをさせてもよい。また、構成例4に係る駆動装置33dでは、後リフト装置51d及び前リフト装置52dは同期動作が可能であるが、更に独立動作を可能とするために、前リフト装置52d及び後リフト装置51dのうち一方において連結リンク702の先端部が送り方向90に変位可能に可動火格子列32と結合されていてもよい。
【0070】
<駆動装置33の構成例5>
図26は、駆動装置33の構成例5を示す図である。構成例5に係る駆動装置33eでは、後リフト装置51e及び前リフト装置52eの同期動作が可能である。
図26に示すように、構成例5に係る駆動装置33eは、後リフト装置51eがシフト装置としての機能を併せ備え、前リフト装置52eがシフト装置としての機能を併せ備えている。
【0071】
後リフト装置51eは、チェビシェフリンク機構75とアクチュエータ76とを備える。チェビシェフリンク機構75は、回転リンク751、連結リンク752、及び、規制リンク753からなる。回転リンク751は、アクチュエータ76の出力を受けて回転する。連結リンク752は、回転リンク751と回動可能に連結された基端部と、可動火格子列32の後支持部43と回動可能に連結された先端部とを有する。規制リンク753は、連結リンク752の中央部に連結された先端部と、炉構造部材11に回動可能に連結された基端部とを有する。前リフト装置52eは、後リフト装置51eと実質的に同じ構成を有する。
【0072】
後リフト装置51e及び前リフト装置52eにおいて、アクチュエータ76の駆動により回転リンク751が基端部を中心として回転すると、可動火格子列32は上方へ凸の円弧状の凸軌道を描いて前進し、水平軌道を描いて後進する。なお、横方向91に並ぶ複数の可動火格子列32において、回転リンク751は同じ回転位相であってもよいが、回転リンク751の回転位相を相違させることによって複数の可動火格子列32に各々異なる動きをさせてもよい。また、構成例5に係る駆動装置33eでは、後リフト装置51e及び前リフト装置52eは同期動作が可能であるが、更に独立動作を可能とするために、前リフト装置52e及び後リフト装置51eのうち一方において連結リンク752の端部がフレーム42に対し送り方向90に変位可能に結合されていてもよい。
【0073】
<駆動装置33の構成例6>
図27は、駆動装置33の構成例6を示す図である。構成例6に係る駆動装置33fでは、後リフト装置51f及び前リフト装置52fの同期動作が可能である。
図27に示すように、構成例6に係る駆動装置33fは、後リフト装置51fがシフト装置としての機能を併せ備え、前リフト装置52fがシフト装置としての機能を併せ備えている。
【0074】
可動火格子列32のフレーム42には、後支持部43と前支持部44との間に少なくとも1つのローラ78が回動自在に支持されている。ローラ78は、炉構造部材11に支持されたレール79の上を転動する。ローラ78がレール79の上を転動しているとき、可動火格子列32の後支持部43及び前支持部44は標準レベル、又は、標準レベルよりも若干低いレベルにある。
【0075】
後リフト装置51fは、レバー82と、レバー82を揺動させるアクチュエータ81と、高さ調整装置83とを有する。前リフト装置52fは、後リフト装置51fと実質的に同じ構成を有する。
【0076】
アクチュエータ81は、レバー82をその基端部を中心として前後に揺動させる。アクチュエータ81は、モータ又は流体圧シリンダであってよい。レバー82の先端部にはピン821が設けられており、可動火格子列32の後支持部43に開口した上下方向の長孔84にピン821が挿入されている。つまり、レバー82の先端部は、可動火格子列32に対し高さ位置が変位可能に連結されている。
【0077】
高さ調整装置83は、可動火格子列32とレバー82の連結位置の高さを調整する。具体的には、高さ調整装置83は、可動火格子列32の長孔84に対するピン821の位置を調整することができる。高さ調整装置83の態様は特に限定されないが、
図27に示す高さ調整装置83の一例は、ピン821の動きを阻止可能なブロック831と、ブロック831をロック位置とロック解除位置との間で変位させるアクチュエータ832とを有する。高さ調整装置83によってピン821の位置のロックが解除されている状態では、ピン821は長孔84内を上下に移動することができる。また、
図28に示すように、高さ調整装置83によってピン821の位置がロックされている状態では、ロック位置にあるブロック831によってピン821の動きが規制され、ピン821は長孔84内の所定位置に保持される。なお、
図29に示すように、ブロック831に複数の係止部が設けられてもよい。ブロック831のいずれかの係止部にピン821が当接することによって、ピン821の長孔84内の位置がロックされる。これにより、ロック状態のピン821の位置を長孔84内の複数の位置から選択できる。
【0078】
図27に戻って、後リフト装置51f及び前リフト装置52fにおいて、高さ調整装置83によってピン821が長孔84の下部にロックされている状態で、レバー82を後ろから前へ揺動すると、可動火格子列32は凸軌道を描いて前進する。同様に、高さ調整装置83によってピン821が長孔84の下部にロックされている状態で、レバー82を前から後ろへ揺動すると、可動火格子列32は凸軌道を描いて後進する。また、後リフト装置51f及び前リフト装置52fにおいて、高さ調整装置83によるピン821のロックが解除された状態で、レバー82を前から後ろへ又はその逆へ回転すると、ローラ78がレール79上を走行できるようにピン821は長孔84内を自在に移動する。このように、駆動装置33fでは、レバー82で可動火格子列32を揺動させつつ、レバー82と可動火格子列32の連結位置の高さを調整することで、可動火格子列32に所定の軌道を描いて前進又は後進させている。
【0079】
〔総括〕
以上に説明したように、本開示に係るストーカ炉1は、ストーカ15を備える。
そして、本開示に係るストーカ15は、
搬送物の送り方向90と略直交する水平方向(即ち、横方向91)に交互に並ぶ固定火格子列31及び可動火格子列32と、
可動火格子列32を凸軌道を描いて送り方向90の下流側へ前進させ、可動火格子列32を凹軌道又は水平軌道を描いて送り方向90の上流側へ後進させる駆動装置33,33a~33fと、を備えることを特徴としている。
【0080】
上記構成のストーカ15によれば、可動火格子列32の搬送面39の上昇による搬送物の持ち上げと、搬送面39の前進とが同時に行われて、搬送物が送り方向90の下流へ送られる。また、可動火格子列32の搬送面39の降下と後進とが同時に行われて、搬送面39が搬送物に作用することなく可動火格子列32が後進端へ戻る。或いは、可動火格子列32が水平軌道を描いて後進して、搬送面39は搬送物層の底面を摺動するが搬送物を送り方向90へ殆ど送ることなく、可動火格子列32が後進端へ戻る。
【0081】
上記構成のストーカ15では、従来の並列揺動式ストーカと同様に可動火格子列32が固定火格子列31に対して前進及び後進を繰り返すことから、従来の並列揺動式ストーカと同等のせん断効果(即ち、攪拌力と移送力)を備えることができる。また、上記構成のストーカ15では、火格子41同士が摺動しないことから、従来の平行揺動式ストーカと比較して優れた耐久性を備える。
【0082】
更に、上記構成のストーカ15では、従来の並列揺動式ストーカのように搬送面39に送り方向90の下流側へ下る傾斜を設けることなく、搬送物を送り方向90へ安定して送ることができる。よって、従来の平行揺動式ストーカのように、固定火格子列31及び可動火格子列32の前後高低差を設けないストーカ15を実現可能である。これにより、ストーカ15の設置高さが抑えられ、ひいては、ストーカ炉1の建物高さが抑えられる。このように、上記構成のストーカ15によれば、従来の並列揺動式ストーカのメリットを承継しつつ、デメリットを解消できる。
【0083】
上記構成のストーカ15において、固定火格子列31及び可動火格子列32の搬送面39が略水平である、又は、水平に対し送り方向90の下流へ行くに連れて上る傾斜を有していてよい。
【0084】
一般に、ストーカ炉1では、複数のストーカ15が送り方向90に並んで配置される。
図30A乃至
図30Dは、ストーカ炉1において送り方向90に並んだ複数のストーカ15の配置のバリエーションを示す図である。
図30Aでは、複数のストーカ15の搬送面39の高さレベルは略同一であり、複数のストーカ15の搬送面39は略同一水平面となっている。このように、固定火格子列31及び可動火格子列32の搬送面39が略水平であることによって、ストーカ15の設置高さが抑えられ、ひいては、ストーカ炉1の建物高さが抑えられる。
【0085】
図30Bでは、一段目のストーカ15の搬送面39の高さレベルが、二段目及び三段目のストーカ15の搬送面39の高さレベルよりも高い。即ち、一段目のストーカ15の搬送面39と二段目のストーカ15の搬送面39との間に段差が設けられている。
図30Cでは、三段目のストーカ15の搬送面39の高さレベルが、一段目及び二段目のストーカ15の搬送面39よりも低い。即ち、二段目のストーカ15の搬送面39と三段目のストーカ15の搬送面39との間に段差が設けられている。
図30B及び
図30Cに示すように、ストーカ15の間に上下方向の段差が設けられても、各ストーカ15の搬送面39が略水平であることで、ストーカ15の設置高さが抑えられている。ストーカ15間の上下方向の段差で搬送物が落下することによって、搬送物の塊が割れて、内部の水の蒸発や熱分解が促進され、ストーカ炉1の燃え残りを減らすことができる。このような観点から、ストーカ炉1には、ストーカ15間の上下方向の段差が設けられていることが望ましい。
【0086】
図30Dでは、二段目及び三段目のストーカ15の搬送面39は略水平であるが、一段目のストーカ15の搬送面39は送り方向90の下流へ行くに連れて上る傾斜を有する。そのため、一段目のストーカ15の前端と二段目のストーカ15の後端との間に段差が生じている。このように、ストーカ炉1は、送り方向90に並ぶ複数のストーカ15を含み、複数のストーカ15の少なくとも1つが固定火格子列31及び可動火格子列32の搬送面39が水平に対し送り方向90の下流へ行くに連れて上る傾斜を有することが望ましい。これにより、ストーカ15の設置高さを抑えつつ、ストーカ15間に上下方向の段差が形成されたストーカ炉1が提供される。なお、
図30Dに示す例では、一段目のストーカ15のみが搬送面39が傾斜したものであるが、一段目乃至三段目のストーカ15のうちいずれか一つが搬送面39が傾斜したものであってもよいし、一段目乃至三段目のストーカ15のうち複数が搬送面39が傾斜したものであってもよい。
【0087】
また、上記構成のストーカ15において、可動火格子列32は、送り方向90に離れた後支持部43と前支持部44とを有し、駆動装置33,33a~33cは、後支持部43を昇降させる後リフト装置51,51a~51cと、前支持部44を昇降させる前リフト装置52,52a~52cと、可動火格子列32を送り方向90へ前進及び後進させるシフト装置50,50a~50cとを有していてよい。
【0088】
上記構成のストーカ15において、後リフト装置51,51a~51cと前リフト装置52,52a~52cは、同期動作及び独立動作が可能であってよい。
【0089】
これにより、可動火格子列32に順送り動作及び逆送り動作だけではなく、目的に応じた様々な動作を行わせることができる。
【0090】
例えば、本開示に係るストーカ15においては、可動火格子列32は後支持部43及び前支持部44の各々に配置されたローラ57,58を有し、駆動装置33cは、可動火格子列32を送り方向90へ前進及び後進させるシフト装置50cと、上面に凸レール65と、水平レール67及び凹レール66のうち少なくとも一方とを含む複数のレールを有するレールブロック62と、ローラ57,58が複数のレールのうちいずれかの上を転動するようにレールブロック62を動作させるアクチュエータ68とを有する。
【0091】
このように構成された駆動装置33cによれば、後リフト装置51cと前リフト装置52cは、同期動作及び独立動作が可能である。
【0092】
また、上記構成のストーカ15において、可動火格子列32は、送り方向90に離れた後支持部43と前支持部44とを有し、駆動装置33,33d~33fは、後支持部43を昇降させるとともに送り方向90へ移動させる後リフト装置51,51d~51fと、前支持部44を昇降させるとともに送り方向90へ移動させる前リフト装置52,52d~52fとを有していてよい。
【0093】
例えば、本開示に係るストーカ15においては、後リフト装置51d及び前リフト装置52dの各々が、楕円リンク機構70と当該楕円リンク機構70を動作させるアクチュエータ69とを含む。
【0094】
例えば、本開示に係るストーカ15においては、後リフト装置51e及び前リフト装置52eの各々が、チェビシェフリンク機構75と当該チェビシェフリンク機構75を動作させるアクチュエータ76とを含む。
【0095】
例えば、本開示に係るストーカ15においては、後リフト装置51f及び前リフト装置52fの各々は、可動火格子列32と高さ方向に変位可能に連結されたレバー82と、レバー82を揺動させるアクチュエータ81と、可動火格子列32とレバー82との連結位置の高さを調整する高さ調整装置83とを含む。
【0096】
上記構成の後リフト装置51d~51f及び前リフト装置52d~52fによれば、可動火格子列32を凸軌道を描いて前進させ、可動火格子列32を凹軌道又は水平軌道を描いて後進させることができる。
【0097】
本明細書で開示するコントローラ53の機能は、開示された機能を実行するように構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせを含む回路、又は、処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見做される。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、或いは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0098】
本開示の前述の議論は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明では、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で1つの実施形態にまとめられている。但し、本開示に含まれる複数の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 :ストーカ炉
15 :ストーカ
30 :火格子列
31 :固定火格子列
32 :可動火格子列
33,33a~33f:駆動装置
39 :搬送面
41 :火格子
42 :フレーム
43 :後支持部
44 :前支持部
50,50a~50c:シフト装置
51,51a~51f:後リフト装置
52,52a~52f:前リフト装置
53 :コントローラ
57,58:ローラ
59 :レバー
60 :アクチュエータ
62,62A,62B:レールブロック
65 :凸レール
66 :凹レール
69 :アクチュエータ
70 :楕円リンク機構
75 :チェビシェフリンク機構
76 :アクチュエータ
78 :ローラ
79 :レール
81 :アクチュエータ
82 :レバー
83 :高さ調整装置
84 :長孔
90 :送り方向
91 :横方向