(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091467
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】油性廃棄物の焼却方法
(51)【国際特許分類】
F23G 7/05 20060101AFI20230623BHJP
F23G 7/04 20060101ALI20230623BHJP
F23G 5/20 20060101ALI20230623BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F23G7/05 K ZAB
F23G7/05 Z
F23G7/04 601K
F23G7/04 602B
F23G7/04 603A
F23G5/20 A
C02F11/00 M
C02F11/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206228
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000156581
【氏名又は名称】日鉄環境株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100224926
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】長屋 孝司
(72)【発明者】
【氏名】辻本 渉
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝平
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 良至
(72)【発明者】
【氏名】八鍬 守
(72)【発明者】
【氏名】松山 守
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀行
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩志
【テーマコード(参考)】
3K261
4D059
【Fターム(参考)】
3K261AA04
3K261DA13
4D059AA10
4D059BB01
4D059BF15
4D059BJ00
4D059EA06
4D059EB02
4D059EB06
(57)【要約】
【課題】油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる油性廃棄物の焼却方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る油性廃棄物の焼却方法は、ロータリーキルンの管理温度を設定する管理温度設定工程と、第1含油スラッジ貯留槽に貯留される第1含油スラッジと、油分スラッジ貯留槽に貯留されるとともに単独で焼却した際に前記第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない油分スラッジと、を混合した油性廃棄物を生成する混合工程と、前記油性廃棄物を前記ロータリーキルンで焼却するとともに、前記ロータリーキルン内の温度を測定する焼却工程と、前記管理温度を参照し、前記焼却工程で測定した温度に基づいて、前記第1含油スラッジと前記油分スラッジとの混合比を設定する混合比設定工程と、を備え、前記混合比設定工程で設定した混合比となるように調整して混合した油性廃棄物を生成し、焼却する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーキルンにより油性廃棄物を焼却する油性廃棄物の焼却方法であって、
予め取得したロータリーキルン内の温度とクリンカの発生との関係に基づいて、前記ロータリーキルンの管理温度を設定する管理温度設定工程と、
第1含油スラッジ貯留槽に貯留される第1含油スラッジと、油分スラッジ貯留槽に貯留されるとともに単独で焼却した際に前記第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない油分スラッジと、を混合した油性廃棄物を生成する混合工程と、
前記油性廃棄物を前記ロータリーキルンで焼却するとともに、前記ロータリーキルン内の温度を測定する焼却工程と、
前記管理温度を参照し、前記焼却工程で測定した温度に基づいて、前記第1含油スラッジと前記油分スラッジとの混合比を設定する混合比設定工程と、を備え、
前記混合工程では、前記第1含油スラッジと前記油分スラッジとを前記混合比設定工程で設定した混合比となるように調整して混合した油性廃棄物を生成し、
前記焼却工程では、混合比を調整した後の油性廃棄物を焼却すること
を特徴とする油性廃棄物の焼却方法。
【請求項2】
前記混合比設定工程では、前記焼却工程で測定した温度に基づいて、当該焼却工程で焼却した油性廃棄物の混合比よりも前記油分スラッジを増加させた混合比に設定すること
を特徴とする請求項1記載の油性廃棄物の焼却方法。
【請求項3】
前記混合工程では、前記第1含油スラッジよりも含油濃度の低い前記油分スラッジを混合すること
を特徴とする請求項1又は2記載の油性廃棄物の焼却方法。
【請求項4】
前記混合工程では、第2含油スラッジ貯留槽に貯留される第2含油スラッジとスカム脱水ケーキ貯留槽に貯留されるスカム脱水ケーキとの少なくとも何れかを前記油分スラッジとして、前記第1含油スラッジと混合した油性廃棄物を生成すること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の油性廃棄物の焼却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性廃棄物の焼却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含油スラッジを焼却炉にて焼却した際、燃焼温度が高くなりすぎると燃焼残渣(鉄系スラッジ)が焼き固められたクリンカが炉壁に固着するおそれがある。クリンカが固着することにより、焼却炉の容積が減少することから、含油スラッジの処理量が減少し、焼却効率が低下する。また、クリンカが固着することにより、含油スラッジが焼却炉の投入口側に逆流してしまい、最悪の場合には、設備故障や火災等が発生するおそれがある。このため、クリンカが固着した場合には、焼却炉の操業を停止し、固着したクリンカを除去する必要がある。
【0003】
従来、含油スラッジの焼却方法に関する技術として、特許文献1~4が開示されている。
【0004】
特許文献1には、高揮発性廃油にその性状に応じてカロリーまたは粘度の調整油を添加して混合することにより高カロリー助燃油を製造し、この高カロリー助燃油を補助燃料として、含油スラッジ及び廃油を含む油性廃棄物の焼却を行う油性廃棄物焼却炉の操業方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ロータリーキルン式焼却炉にて含油スラッジを焼却するに際し、含油スラッジを木屑、紙屑等の雑芥に付着させてロータリーキルン式焼却炉内に装入し焼却することよりなる含油スラッジの焼却方法が開示されている。
【0006】
特許文献3には、一般雑芥、廃油等と、鉄ないし酸化鉄を主成分とする含油スラッジを焼却する焼却炉であって、一般雑芥、廃油等を高温焼却する主燃焼室と、含油スラッジを低温焼却する副燃焼室とを接続し、この副燃焼室と主燃焼室の接続部にスラッジ分離室を配置し、主燃焼室および副燃焼室からの排ガスが合流する排ガス流路に2次燃焼室を配置した含油スラッジ焼却方法が開示されている。
【0007】
特許文献4には、ロータリーキルン式焼却炉にて含油スラッジを焼却するに際し、該含油スラッジを高温に加熱されたキルン内壁面に1~10mmの小塊状にして分散させて焼却する含油スラッジの焼却方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-44956号公報
【特許文献2】特開2002-323213号公報
【特許文献3】特開2001-317717号公報
【特許文献4】特開1996-121736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1~4の開示技術では、含油スラッジ等の油性廃棄物に、高カロリー補助燃料や雑芥等の助燃料を添加している。これにより、焼却物全体としてのカロリーを増加させ、ロータリーキルン内の温度を上昇させる。このように従来技術では、助燃料を添加することにより、焼却を促進させる手法が採られていた。
【0010】
一方、助燃料を添加する量は、含油スラッジのカロリー等に基づいて定められるが、含油スラッジの含油濃度や水分量、灰分等は変動するため、助燃料の添加量を定めるために含油スラッジのカロリー、含油濃度、水分量等を測定する必要がある。しかしながら、この測定には時間を要することから、測定結果に基づいて助燃料を添加したとしても、測定に用いた含油スラッジの性状が実際に焼却炉で焼却する含油スラッジの性状と異なる事態が生じ得る。このため、ロータリーキルン内を適切な温度に調整するための臨機応変な対応を現場で行うことが難しく、例えばロータリーキルン内の温度が過上昇し、ロータリーキルンの炉壁にクリンカが固着するおそれがある。特に、鉄鋼製造工程において生じる各種含油スラッジの中には含油濃度の変動がとりわけ大きいものもあり、この含油スラッジを焼却した場合にはその傾向が顕著に表れる。ロータリーキルンの炉壁にクリンカが固着した場合には、ロータリーキルンの操業を停止してクリンカを除去しなければならず、油性廃棄物の焼却効率が低下してしまう、という事情があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる油性廃棄物の焼却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る油性廃棄物の焼却方法は、ロータリーキルンにより油性廃棄物を焼却する油性廃棄物の焼却方法であって、予め取得したロータリーキルン内の温度とクリンカの発生との関係に基づいて、前記ロータリーキルンの管理温度を設定する管理温度設定工程と、第1含油スラッジ貯留槽に貯留される第1含油スラッジと、油分スラッジ貯留槽に貯留されるとともに単独で焼却した際に前記第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない油分スラッジと、を混合した油性廃棄物を生成する混合工程と、前記油性廃棄物を前記ロータリーキルンで焼却するとともに、前記ロータリーキルン内の温度を測定する焼却工程と、前記管理温度を参照し、前記焼却工程で測定した温度に基づいて、前記第1含油スラッジと前記油分スラッジとの混合比を設定する混合比設定工程と、を備え、前記混合工程では、前記第1含油スラッジと前記油分スラッジとを前記混合比設定工程で設定した混合比となるように調整して混合した油性廃棄物を生成し、前記焼却工程では、混合比を調整した後の油性廃棄物を焼却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る油性廃棄物の焼却システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る油性廃棄物の焼却システムの一例における投入装置とロータリーキルンを主に示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る油性廃棄物の焼却システムの一例における投入管を主に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例1において横軸を操業日数とし、縦軸を炉壁温度と第1含油スラッジと油分スラッジの割合としたグラフである。
【
図5】
図5は、実施例1において横軸を第1含油スラッジと油分スラッジとの和に対する第1含油スラッジの割合とし、縦軸を炉壁温度としたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態に係る油性廃棄物の焼却方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
油性廃棄物の焼却方法では、油性廃棄物の焼却システム100が用いられる。以下、油性廃棄物の焼却システム100を、単に焼却システム100という。
【0017】
焼却システム100は、第1含油スラッジ貯留槽1と、油分スラッジ貯留槽2と、混合槽4と、廃油貯留槽5と、移送管6と、投入装置7と、ロータリーキルン8と、ガス処理設備9と、を備える。
【0018】
第1含油スラッジは、第1含油スラッジ貯留槽1に貯留される。第1含油スラッジは、油分スラッジとは発生由来(発生工程)の異なる含油スラッジである。第1含油スラッジは、例えば含油濃度が油分スラッジの含油濃度よりも高いもの、又は含油濃度が不明なものである。第1含油スラッジは、例えば含油濃度の変動性が油分スラッジよりも大きい。第1含油スラッジの変動性が大きいことから、第1含油スラッジの含油濃度は、油分スラッジの含油濃度よりも低くなることも起こり得る。したがって、第1含油スラッジは、単独でロータリーキルン8で焼却した際にクリンカが発生する場合も発生しない場合もあり得る。第1含油スラッジは、例えば複数の含油スラッジから構成される混合物であってもよい。第1含油スラッジは、例えば油分スラッジよりも含油濃度の変動性が大きい1種の含油スラッジであってもよい。第1含油スラッジは、油分スラッジよりもカロリーが高いものであってもよい。第1含油スラッジは、鉄や酸化鉄を主成分とするものであり、更に油分、水分を含む。第1含油スラッジは、例えば圧延工程で発生する使用済圧延油を回収し、ろ過して発生する油分を含むスラッジを含んでもよい。第1含油スラッジは、例えば圧延工程で発生する油分を含む研削スラッジを含んでもよい。第1含油スラッジは、例えば油を使用する工場の浚渫・清掃で発生する油分を含むスラッジを含んでもよい。
【0019】
油分スラッジは、油分スラッジ貯留槽2に貯留される。油分スラッジは、含油濃度が低く、含油濃度の変動性が小さいことが既知の発生由来(発生工程)のものを集めたものである。したがって、油分スラッジは、単独でロータリーキルン8で焼却した際にクリンカが発生しない、または、ほとんど発生せず、第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない。油分スラッジは、第1含油スラッジの含油濃度の変動により、炉壁温度が管理温度程度まで高くなった場合に、ロータリーキルン8内の温度を下げる性質を有するものである。油分スラッジは、第1含油スラッジと混合した油性廃棄物を焼却することで、ロータリーキルン8内の温度を、管理温度以下に調整するものである。
【0020】
油分スラッジは、第1含油スラッジとは発生由来の異なる第2含油スラッジと、スカム脱水ケーキと、の少なくとも何れかで構成される。油分スラッジ貯留槽2は、第2含油スラッジが貯留される第2含油スラッジ貯留槽21と、スカム脱水ケーキが貯留されるスカム脱水ケーキ貯留槽22と、を有する。
【0021】
第2含油スラッジは、第2含油スラッジ貯留槽21に貯留される。第2含油スラッジは、例えば第1含油スラッジよりも含油濃度が低く、含油濃度の変動性が第1含油スラッジよりも小さい。したがって、第2含油スラッジは、単独でロータリーキルン8で焼却した際にクリンカが発生しない、または、ほとんど発生せず、第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない。第2含油スラッジは、第1含油スラッジよりもカロリーが低いものであってもよい。第2含油スラッジは、鉄や酸化鉄を主成分とする含油スラッジであり、更に油分、水分を含む。第2含油スラッジは、第1含油スラッジとは発生工程が異なるものであり、例えば沈殿池スラッジ、ろ過器の逆洗スラッジ等の圧延工程から生じる廃水の処理過程で回収される油分を含むスラッジを含んでもよい。
【0022】
スカム脱水ケーキは、スカム脱水ケーキ貯留槽22に貯留される。スカム脱水ケーキは、例えば第1含油スラッジよりも含油濃度が低く、含油濃度の変動性が第1含油スラッジよりも小さい。したがって、スカム脱水ケーキは、単独でロータリーキルン8で焼却した際にクリンカが発生しない、または、ほとんど発生せず、第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない。スカム脱水ケーキは、第1含油スラッジよりもカロリーが低いものであってもよい。スカム脱水ケーキは、鉄や酸化鉄を主成分とし、更に油分、水分を含む。スカム脱水ケーキは、第1含油スラッジとは発生工程が異なるものであり、例えば鉄鋼製造工程の油分を含む廃水の処理過程で回収されるスカムを、凝集して脱水した後に残った汚泥状のものである。
【0023】
なお、本発明の油分スラッジは、発生工程を廃水処理で固液分離により回収されたものと限定するものではなく、含油濃度が低く、その変動性が小さい発生工程のスラッジであれば他の発生工程のスラッジを油分スラッジとしてもよい。
【0024】
変動性は、例えば複数回測定したうちの最大値と最小値との差である変動幅を評価指標とする。なお、変動性は、標準偏差や相対標準偏差等を評価指標としてもよい。
【0025】
混合槽4は、第1含油スラッジ貯留槽1に貯留された第1含油スラッジと、第2含油スラッジ貯留槽21に貯留された第2含油スラッジとスカム脱水ケーキ貯留槽22に貯留されるスカム脱水ケーキとで構成される油分スラッジと、を混合して油性廃棄物を生成するものである。油性廃棄物の混合比は、例えば第1含油スラッジと油分スラッジとの体積比である。なお、油性廃棄物の混合比は、第1含油スラッジと油分スラッジとの重量比であってもよい。
【0026】
油分スラッジにおける第2含油スラッジとスカム脱水ケーキの混合比は、例えば体積比で1:1であるが、任意の比率で構成される。すなわち、油分スラッジは、第2含油スラッジのみで構成されてもよいし、スカム脱水ケーキのみで構成されてもよい。なお、油分スラッジにおける第2含油スラッジとスカム脱水ケーキの混合比は、重量比であってもよい。油分スラッジの含油濃度は、例えば第1含油スラッジよりも含油濃度が低い。また、油分スラッジは、含油濃度の変動性が第1含油スラッジよりも小さい。油分スラッジは、第1含油スラッジよりもカロリーが低いものであってもよい。
【0027】
廃油貯留槽5は、助燃料として用いられる廃油が貯留される。廃油は、例えば作動油、タールスラッジ、含油廃液等である。油性廃棄物と別系統の移送管および投入口からロータリーキルン8内に噴霧される廃油は、油性廃棄物全体に対して例えば8体積%~10体積%で混合されるが、その比率は任意であり、省略されてもよい。
【0028】
移送管6は、混合槽4にて生成した油性廃棄物を投入装置7に移送する配管である。移送管6は、図示しないピストンポンプ等の圧送装置により、油性廃棄物を投入装置7に圧送することができる。
【0029】
投入装置7は、油性廃棄物をロータリーキルン8に投入するものである。投入装置7は、廃油貯留槽5に接続される投入管71と、移送管6とに接続される投入管72を有する。投入管71は、廃油貯留槽5に貯留された廃油をロータリーキルン8に投入するものである。投入管72は、移送管6から移送された油性廃棄物をロータリーキルン8に投入するものである。
【0030】
投入管72は、
図3に示すように、受け皿73と、噴射部74と、を有する。受け皿73は、投入管72の出口に設けられ、投入管72の出口から排出される油性廃棄物を受けるものである。噴射部74は、受け皿73にある油性廃棄物に向けて高圧空気や蒸気等高圧流体を噴射するものである。受け皿73の油性廃棄物を噴射部74により高圧の流体で噴射することにより、ロータリーキルン8内において油性廃棄物を分散させることができる。なお、投入管72は、受け皿73と、噴射部74とが省略されてもよい。
【0031】
ロータリーキルン8は、焼却炉として油性廃棄物を焼却するものである。ロータリーキルン8は、回転ドラム81と、バーナー82と、覗き窓83と、焼却灰排出口84と、ガス排出口85と、を有する。
【0032】
回転ドラム81は、筒状に形成され、回転可能に構成される。回転ドラム81は、回転ドラム81の基端側に投入管72とバーナー82とが配置される。
【0033】
バーナー82は、回転ドラム81内の温度を上昇させるバーナーであり、回転ドラム81内の油性廃棄物の焼却に用いられる。
【0034】
覗き窓83は、回転ドラム81の内部を観測するためのものである。温度計86は、回転ドラム81の覗き窓83より非接触で炉壁温度を計測するものであり、例えば赤外線放射温度計等である。なお、炉壁温度の計測方法は、炉壁温度とクリンカの発生との関係を調べることができるものであれば、CCDカメラや赤外線サーモカメラなどでもよい。
【0035】
焼却灰排出口84は、油性廃棄物の焼却により発生する焼却灰を排出するためのものであり、ガス排出口85は、油性廃棄物の焼却により発生するガスを排出するためのものである。
【0036】
ガス処理設備9は、ロータリーキルン8のガス排出口85から排出されるガスを処理する周知のものである。ガス処理設備9は、例えば、二次燃焼室、ボイラー、スタビライザー、電気集塵機、煙突等で構成され、ガス排出口85から排出されるガスを大気に排出できるように適切に処理することができる。
【0037】
次に、油性廃棄物の焼却方法の一例について説明する。油性廃棄物の焼却方法は、管理温度設定工程と、混合工程と、焼却工程と、混合比設定工程と、を備える。
【0038】
油性廃棄物の焼却方法は、第1含油スラッジを第1含油スラッジ貯留槽1に貯留し、単独で焼却した際に第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない油分スラッジを油分スラッジ貯留槽2に貯留する。このとき、第2含油スラッジを第2含油スラッジ貯留槽21に貯留しておく。また、スカム脱水ケーキは、スカム脱水ケーキ貯留槽22に貯留しておく。このように、発生工程ごとにスラッジを分け、含油濃度が低く、含油濃度の変動性が小さい油分スラッジ(第2含油スラッジとスカム脱水ケーキ)と、油分スラッジとは発生工程の異なる第1含油スラッジとは、分別して貯留しておく。
【0039】
管理温度設定工程では、ロータリーキルン8で油性廃棄物を焼却した際の温度を計測し、ロータリーキルン8内の温度とクリンカの発生との関係を予め取得する。管理温度設定工程では、予め取得したロータリーキルン8内の温度とクリンカの発生との関係に基づいて、ロータリーキルン8の管理温度を設定する。
【0040】
ロータリーキルン8の炉壁温度の温度測定個所を決めておき、その測定個所で計測した温度と炉内のクリンカ発生との関係をあらかじめ調べておき、クリンカが発生する温度を管理温度とする。管理温度は、例えば1000℃と設定する。
【0041】
混合工程では、第1含油スラッジ貯留槽1に貯留される第1含油スラッジと、第2含油スラッジ貯留槽21に貯留される第2含油スラッジと、スカム脱水ケーキ貯留槽22に貯留される脱水ケーキと、をバックホウ等により混合槽4に投入する。混合工程では、第1含油スラッジと、第2含油スラッジとスカム脱水ケーキとで構成される油分スラッジとを、バックホウ等の混合装置を用いて混合槽4にて混合し、油性廃棄物を生成する。混合工程では、最初に焼却する油性廃棄物として、第1の混合比r1にて、第1含油スラッジと油分スラッジとを混合する。第1の混合比r1として、例えば第1含油スラッジと油分スラッジとを体積比で2:1で混合する。
【0042】
そして、混合工程では、混合槽4にて混合した油性廃棄物を移送管6により投入装置7に移送する。
【0043】
次に、焼却工程では、油性廃棄物を、投入管72によりロータリーキルン8の回転ドラム81に投入し、油性廃棄物を焼却する。このとき、廃油貯留槽5に貯留された廃油も投入管71によりロータリーキルン8の回転ドラム81に投入する。また、焼却工程では、回転ドラム81内の炉壁温度を温度計86により測定する。
【0044】
そして、混合比設定工程では、予め設定された管理温度を参照し、焼却工程で測定した温度に基づいて、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比を設定する。
【0045】
混合比設定工程の後、再び混合工程を行う。この混合工程では、混合比設定工程で設定した混合比に調整した新たな油性廃棄物を生成する。
【0046】
例えば、第1の混合比r1の油性廃棄物を焼却した際、焼却工程で測定した温度が予め設定した管理温度である1000℃未満の場合、混合比設定工程では、引き続き第1の混合比r1に設定する。そして、混合工程では、第1の混合比r1となるように調整して第1含油スラッジと油分スラッジとを混合する。そして、第1の混合比r1にて混合して生成された油性廃棄物を順次移送管6により投入装置7に移送する。なお、焼却工程で測定した温度が予め設定した管理温度未満の場合、混合比設定工程では、第1の混合比r1から第1含油スラッジに対して油分スラッジを低下させた第2の混合比r2に設定してもよい。そして、混合工程では、油分スラッジを低下させた第2の混合比r2にて第1含油スラッジと油分スラッジとを混合してもよい。そして、焼却工程において、混合比を調整した後の油性廃棄物を焼却し、ロータリーキルン8内の温度を調整する。
【0047】
例えば、第1の混合比r1の油性廃棄物を焼却した際、所定の期間、焼却工程で測定した温度が管理温度である1000℃以上となった場合、混合比設定工程では、第1の混合比r1から油分スラッジを増加させた第2の混合比r2に設定する。そして、混合工程では、油分スラッジを増加させた第2の混合比r2にて第1含油スラッジと油分スラッジとを混合して、新たな油性廃棄物を生成する。第2の混合比r2として、例えば第1の混合比r1から第1含油スラッジに対して油分スラッジを増加させるように、第1含油スラッジと油分スラッジとを体積比で1:1で混合する。そして、第2の混合比r2にて混合した油性廃棄物を順次移送管6により投入装置7に移送する。
【0048】
そして、焼却工程において、第1含油スラッジと油分スラッジとの体積比が1:1の第2の混合比r2にて混合して生成された油性廃棄物を焼却する。これにより、ロータリーキルン8内の温度を低下させるように調整する。第1含油スラッジと油分スラッジとの体積比が1:1の第2の混合比r2の油性廃棄物を焼却した際、焼却工程において測定した温度が管理温度未満の場合、引き続きこの第2の混合比r2にて混合し、油性廃棄物を焼却する。
【0049】
例えば、焼却工程において、第2の混合比r2にて混合した生成された油性廃棄物を焼却した際に測定した温度が管理温度以上となった場合、混合比設定工程では、第2の混合比r2から更に油分スラッジを増加させた第3の混合比r3に設定する。そして、混合工程では、第3の混合比r3となるように調整して第1含油スラッジと油分スラッジとを混合する。第3の混合比r3として、例えば第2の混合比r2から第1含油スラッジに対して油分スラッジを増加させるように、第1含油スラッジと油分スラッジとを体積比で1:2で混合する。そして、第3の混合比r3にて混合した油性廃棄物を順次移送管6により投入装置7に移送し、引き続き焼却工程を行う。
【0050】
このように、油性廃棄物の焼却方法では、混合工程と、焼却工程と、混合比設定工程と、を繰り返す。
【0051】
油性廃棄物の焼却により発生する焼却灰は、焼却灰排出口84から排出される。油性廃棄物の焼却により発生するガスは、ガス排出口85から排出され、ガス処理設備9にて適切に処理される。
【0052】
ここで、第1含油スラッジは、例えば含油濃度の変動性が比較的高い、又は含油濃度が不明なものであり、クリンカの発生量が比較的多いものである。このため、第1含油スラッジのみを焼却する従来の方法では、ロータリーキルン内の温度を安定化させることが難しく、ロータリーキルン内の温度が急低下や急上昇した場合には、油性廃棄物の焼却効率が低下してしまうおそれがある。特に、燃焼温度が高くなりすぎると燃焼残渣が焼き固められたクリンカが炉壁に固着するおそれがある。
【0053】
この点、本実施形態によれば、予め取得したロータリーキルン8の温度とクリンカの発生との関係に基づいて、ロータリーキルン8の管理温度を設定する管理温度設定工程と、第1含油スラッジ貯留槽1に貯留される第1含油スラッジと、油分スラッジ貯留槽2に貯留されるとともに単独で焼却した際に第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ない油分スラッジと、を混合した油性廃棄物を生成する混合工程と、油性廃棄物をロータリーキルン8で焼却するとともに、ロータリーキルン8内の温度を測定する焼却工程と、管理温度を参照し、焼却工程で測定した温度に基づいて、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比を設定する混合比設定工程と、を備え、混合工程では、第1含油スラッジと油分スラッジとを混合比設定工程で設定した混合比となるように調整して混合した油性廃棄物を生成し、焼却工程では、混合比を調整した後の油性廃棄物を焼却する。
【0054】
このように、予め設定した管理温度を参照し、焼却工程で測定した温度に基づいて、予め分別された第1含油スラッジと油分スラッジとを用いて、第1含油スラッジの変動に対して油分スラッジの混合量を調整する。そして、混合比を調整した油性廃棄物を生成し、混合比を調整した後の油性廃棄物を焼却することにより、ロータリーキルン8内の温度を調整するフィードバック操業を行う。これにより、含油濃度が不明な第1含油スラッジであっても、ロータリーキルン内の温度の急上昇や急低下に対して、現場で即座に対応することができる。このため、第1含油スラッジと油分スラッジとを予め分別しておくだけで、新たな設備を設けなくてもクリンカの固着を抑制できる。その結果、油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる。
【0055】
本実施形態によれば、混合比設定工程では、焼却工程で測定した温度に基づいて、当該焼却工程で焼却した油性廃棄物の混合比よりも油分スラッジを増加させた混合比に設定する。これにより、ロータリーキルン8内の温度を、油分スラッジの混合比を増加させる前の油性廃棄物を焼却した際に測定された温度よりも低くなるように調整し易い。このため、クリンカが炉壁に固着するのを未然に防止することができ、クリンカの固着を除去するためにロータリーキルン8の操業を停止する必要がない。その結果、油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる。
【0056】
本実施形態によれば、混合工程では、第1含油スラッジよりも含油濃度の低い油分スラッジを混合する。これにより、油分スラッジを増加させることで油性廃棄物全体としての含油濃度を低減させ、油分スラッジを低減させることで油性廃棄物全体としての含油濃度を増加させることができる。このため、ロータリーキルン8内の温度をより確実に調整できる。その結果、油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる。
【0057】
本実施形態によれば、混合工程では、第1含油スラッジよりもカロリーの低い油分スラッジを混合する。これにより、油分スラッジを増加させることで油性廃棄物全体としてのカロリーを低減させ、油分スラッジを低減させることで油性廃棄物全体としてのカロリーを増加させることができる。このため、ロータリーキルン8内の温度をより確実に調整できる。その結果、油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる。
【0058】
本実施形態によれば、混合工程では、第2含油スラッジ貯留槽21に貯留される第2含油スラッジとスカム脱水ケーキ貯留槽22に貯留されるスカム脱水ケーキとの少なくとも何れかを油分スラッジとして、第1含油スラッジと混合した油性廃棄物を生成する。これにより、混合比を調整するために必要な油分スラッジの量を確保できる。このため、油性廃棄物の焼却効率を更に向上させることが可能となる。
【0059】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【実施例0060】
実施例1では、油性廃棄物を焼却させた際、油性廃棄物の油分スラッジと第1含油スラッジとの混合比rと、ロータリーキルンの炉壁温度の関係を検討した。
【0061】
表1に、実施例1で用いた第1含油スラッジと油分スラッジとの含油濃度の平均値と変動幅を示す。含油濃度の測定は、乾燥後の試料について、溶剤としてヘキサンを用いたソックスレー抽出/重量法により行った。なお、本発明の油分スラッジは、発生工程を廃水処理で固液分離により回収されたものと限定するものではなく、単独で焼却した際に第1含油スラッジ単独で焼却するよりもクリンカの発生量が少ないものであれば他の発生工程のスラッジを油分スラッジとしてもよい。
【0062】
【0063】
図4は、実施例1において横軸を操業日数とし、縦軸を炉壁温度と第1含油スラッジと油分スラッジとの割合としたグラフである。左側の縦軸を炉壁温度とし、折れ線グラフで示す。右側の縦軸を第1含油スラッジと油分スラッジとの割合とし、棒グラフで示す。炉壁温度については、ロータリーキルンのバーナーから4m離間した地点(4m地点)と、7m離間した地点(7m地点)の2か所において測定した。
【0064】
図4に示すように、操業日数が1日目~8日目である第1期間では、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比r1を1:2とし、操業日数が9日目~28日目である第2期間では、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rを1:1とし、操業日数が29日目~38日目である第3期間では、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rを2:1とし、操業日数が39日目~47日目である第4期間では、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rを1:1とした。
【0065】
表2は、各期間におけるクリンカの発生状況を示す。クリンカの発生状況として、炉壁に堆積したクリンカの厚みを計測した。
【0066】
【0067】
図4及び表2に示すように、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rが1:2である第1期間では、炉壁温度が1000℃未満の状態が維持された。第1期間では、クリンカの堆積が確認されなかった。また、第1期間では、4m地点の炉壁温度の平均値は、586℃であり、7m地点の炉壁温度の平均値は、603℃であった。
【0068】
第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rが1:1である第2期間では、炉壁温度が1000℃未満の状態が維持された。第2期間では、クリンカの堆積が確認されなかった。また、第2期間では、4m地点の炉壁温度の平均値は、777℃であり、7m地点の炉壁温度の平均値は、816℃であった。
【0069】
第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rが2:1である第3期間では、炉壁温度が1000℃以上の状態が確認された。第3期間では、クリンカが炉壁に7cm堆積していた。また、第3期間では、4m地点の炉壁温度の平均値は、918℃であり、7m地点の炉壁温度の平均値は、922℃であった。
【0070】
油分スラッジと第1含油スラッジとの混合比rが1:1である第4期間では、炉壁温度が1000℃未満になることが確認された。また、第4期間では、第3期間におけるクリンカの堆積状況と同様であり、新たなクリンカの堆積は確認されなかった。また、第4期間では、4m地点の炉壁温度の平均値は、891℃であり、7m地点の炉壁温度の平均値は、879℃であった。
【0071】
図5は、実施例1において横軸を第1含油スラッジと油分スラッジとの和に対する第1含油スラッジの割合とし、縦軸を炉壁温度としたグラフである。
図5に示すように、第1含油スラッジの増加に伴い、炉壁温度が上昇する傾向が確認された。
【0072】
以上の結果から、油性廃棄物を焼却する際に、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rを変えることにより、炉壁温度を調整することが可能となる。特に、第1期間~第3期間の結果に示すように、油分スラッジを低下させることで炉壁温度の平均値を上昇させることが可能となる。また、第3期間~第4期間の結果に示すように、油分スラッジを増加させることで炉壁温度の平均値を低下させることが可能となる。
【0073】
本実施例では、炉壁温度が1000℃以上の状態が確認された第3期間でクリンカの堆積が確認されたため、管理温度を1000℃に設定した。管理温度は、例えばクリンカの堆積量の閾値を予め定めておき、その閾値に基づいて設定してもよい。管理温度は、それぞれの操業条件にあわせて、ロータリーキルン内の温度とクリンカの発生との関係に基づいて、設定すればよい。混合比は、管理温度を超える炉壁温度が1回計測されたときに変えてもよいし、管理温度を超える炉壁温度が複数回計測されたときに変えてもよいし、炉壁温度の平均値が管理温度を超えたときに変えてもよい。
実施例1を参照し、実施例2では、比較例と本発明例について、ロータリーキルンを3年間操業させた際、第1含油スラッジと油分スラッジと含む油性廃棄物の焼却に伴って発生するクリンカを除去するためにロータリーキルンの焼却を停止した消炎回数を評価した。比較例では、ロータリーキルンの炉壁温度によらず、第1含油スラッジと油性廃棄物の油分スラッジとの混合比rを2:1で一定とし、フィードバック操業を行わないものである。本発明例では、管理温度を参照し、ロータリーキルンの炉壁温度に基づいて、第1含油スラッジと油分スラッジとの混合比rを調整して混合し、炉壁温度を調整するものであり、フィードバック操業を行ったものである。特に、ロータリーキルンの炉壁温度が1000℃以上となった場合に、第1含油スラッジに対して油分スラッジを増加させるように混合比rを調整して混合し、ロータリーキルン内の温度を調整した。表3に消炎回数の結果を示す。なお、表に示す消炎回数は、定期メンテナンスのためにロータリーキルンを停止(消炎)したものを除く。
表3に示すように、本発明例の消炎回数は、0回であったのに対し、比較例では、2回又は3回であり、本発明例では消炎回数が減少した。本発明例では、クリンカの堆積がほとんどなかったのに対し、比較例では、1年目~3年目のいずれにおいてもロータリーキルンの炉壁に15cm~20cmのクリンカが堆積していた。
本発明例では、予め設定した管理温度を参照し、焼却工程で測定した温度に基づいて、予め分別された第1含油スラッジと油分スラッジとを用いて、第1含油スラッジの変動に対して油分スラッジの混合量を調整する。そして、混合比を調整した後の油性廃棄物を焼却することにより、ロータリーキルン内の温度を調整するフィードバック操業を行った。これにより、含油濃度が不明な第1含油スラッジであっても、ロータリーキルン内の温度の急上昇や急低下に対して、現場で即座に対応することができる。このため、第1含油スラッジと油分スラッジとを予め分別しておくだけで、新たな設備を設けなくても、クリンカの固着を抑制できる。その結果、油性廃棄物の焼却効率を向上させることが可能となる。