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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091469
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】超音波溶断装置
(51)【国際特許分類】
   B26F 3/00 20060101AFI20230623BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20230623BHJP
   G01V 1/00 20060101ALN20230623BHJP
【FI】
B26F3/00 E
B26D7/08 A
G01V1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206230
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069431
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 成則
(74)【代理人】
【識別番号】100102761
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 元也
(72)【発明者】
【氏名】福島 達弘
【テーマコード(参考)】
2G105
3C060
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB01
2G105DD02
2G105EE01
2G105GG03
2G105HH04
3C060AA03
3C060CA03
(57)【要約】
【課題】溶断対象物の切断完了をアンビルから発生する固有の音響振動から検知するようにすることで、低加圧条件下においても必要十分なホーンの超音波発振を可能にして不快な音の発生を防止するとともに、ホーンやアンビルの長寿命化を可能にした超音波溶断装置を提供する。
【解決手段】溶断部に対応する突起部21を有するアンビル20上にシート状体Sを載置し、超音波振動を印加したホーン60をシート状体Sに所定の圧力で当接し、シート状体Sを溶断する超音波溶断装置100であって、ホーン60がシート状体Sに当接するに際してアンビル20 から発生する固有の音響振動を検知するマイクロフォン80と、マイクロフォン80で音響振動を検知してから一定時間経過後にホーン60の超音波振動を停止制御する超音波端発振機70と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶断部に対応する突起部を有するアンビル上に溶断対象物を載置し、超音波振動を印加した超音波ホーンを前記溶断対象物に所定の圧力で当接し、前記溶断対象物を前記溶断部で溶断する超音波溶断装置であって、
前記超音波ホーンが前記溶断対象物に当接するに際して前記アンビルから発生する固有の音響振動を検知する音響振動センサと、
前記音響振動センサで前記音響振動を検知してから一定時間経過後に前記超音波ホーンの超音波振動を停止制御する超音波制御手段と、
を具備することを特徴とする超音波溶断装置。
【請求項2】
前記超音波ホーンの前記溶断対象物に対する当接面は、前記アンビルに対してその長さ方向で所定の角度で傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波溶断装置。
【請求項3】
前記アンビルの突起部の先端は、前記超音波ホーンの前記溶断対象物に対する当接面に対してその長さ方向で所定の角度で傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波溶断装置。
【請求項4】
前記超音波ホーンは、前記溶断対象物にその長さ方向で所定の時間差をもって当接し、前記一定時間は、前記時間差に対応して設定される
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の超音波溶断装置。
【請求項5】
前記音響振動センサは、
前記アンビルの近傍に配設されたマイクロフォンである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波溶断装置。
【請求項6】
前記マイクロフォンは、
前記アンビルから発生する前記音響振動を選択的に検知するようにした周波数特性を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の超音波溶断装置。
【請求項7】
前記マイクロフォンは、
前記アンビルから発生する前記音響振動を選択的に検知するようにした指向性を有する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の超音波溶断装置。
【請求項8】
前記音響振動センサは、
前記アンビルに取り付けられた振動センサである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波溶断装置。
【請求項9】
前記振動センサは、
前記アンビルから発生する前記音響振動を選択的に検知するようにした周波数特性を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の超音波溶断装置。
【請求項10】
前記溶断対象物は、
不織布を積層したシート状体からなる
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の超音波溶断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波溶断装置に関し、詳しくは、不織布等のシート状の溶断対象物の溶断に適した超音波溶断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布等のシート状の切断対象物をアンビルと超音波ホーン(以下、単にホーンという)との間に挟んで切断する装置としては、特許文献1に開示された「超音波切断装置」が知られている。
【0003】
この特許文献1に開示された「超音波切断装置」においては、切断対象物の切断完了を下降制御されるホーンがアンビルに電気的に接触したことで検知していた。しかし、ホーンとアンビルとの電気的接触は、ホーンとアンビルとの部分的な接触で発生するため、切断対象物の完全な切断完了を担保するために、ホーンとアンビルとの電気的接触を検知してからホーンの超音波発振を一定時間継続する必要がある。
【0004】
更に、不織布等のシート状の切断対象物の切断においては、切断対象物の切断面がほつれないようにするために、切断対象物の切断面を溶解する溶断の必要性がある。
【0005】
ところで、不織布等のシート状の切断対象物を溶断するにあたり、溶着強度を所定の強度以上に確保するには、ホーンを低圧加工条件で稼働させる必要があり、またアンビルの形状も先端を鈍らせる必要がある。
【0006】
このような条件の中で、不織布等のシート状の溶断対象物をホーンとアンビルとの間に挟んで超音波溶断する場合を考えると、溶融した不織布がホーンとアンビルとの間で薄い樹脂膜状となりこれがホーンとアンビルとの電気的接触を妨げる場合があるので、溶断完了をホーンとアンビルとの電気的接触で検知したのでは、実際には溶断対象物の溶断が実質的に完了しているのにも拘わらずホーンの超音波発振が必要以上に持続されてしまうことがある。
【0007】
ホーンとアンビルが近接した状態でホーンの超音波発振を続けると、4KHzから8KHz程度の周波数で、80dBを超える不快な音が発生し、また、ホーンやアンビルの摩耗が余計に進み、ホーンやアンビルの寿命が著しく短くなるいう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-0005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、溶断対象物の切断完了をアンビルから発生する固有の音響振動から検知するようにすることで、低加圧条件下においても必要十分なホーンの超音波発振制御を可能にして不快な音の発生を防止するとともに、ホーンやアンビルの長寿命化を可能にした超音波溶断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、溶断部に対応する突起部を有するアンビル上に溶断対象物を載置し、超音波振動を印加した超音波ホーンを前記溶断対象物に所定の圧力で当接し、前記溶断対象物を前記溶断部で溶断する超音波溶断装置であって、前記超音波ホーンが前記溶断対象物に当接するに際して前記アンビルから発生する固有の音響振動を検知する音響振動センサと、前記音響振動センサで前記音響振動を検知してから一定時間経過後に前記超音波ホーンの超音波振動を停止制御する超音波制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記超音波ホーンの前記溶断対象物に対する当接面は、前記アンビルに対してその長さ方向で所定の角度で傾斜していることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記アンビルの突起部の先端は、前記超音波ホーンの前記溶断対象物に対する当接面に対してその長さ方向で所定の角度で傾斜していることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記超音波ホーンは、前記溶断対象物にその長さ方向で所定の時間差をもって当接し、前記一定時間は、前記時間差に対応して設定されることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明において、前記音響振動センサは、前記アンビルの近傍に配設されたマイクロフォンであることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記マイクロフォンは、前記アンビルから発生する前記音響振動を選択的に検知するようにした周波数特性を有することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項5又は6の発明において、前記マイクロフォンは、前記アンビルから発生する前記音響振動を選択的に検知するようにした指向性を有することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発明において、前記音響振動センサは、前記アンビルに取り付けられた振動センサであることを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、 請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記振動センサは、前記アンビルから発生する前記音響振動を選択的に検知するようにした周波数特性を有することを特徴とする。
【0019】
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発明において、前記溶断対象物は、不織布を積層したシート状体からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、溶断部に対応する突起部を有するアンビル上に溶断対象物を載置し、超音波振動を印加した超音波ホーンを前記溶断対象物に所定の圧力で当接し、前記溶断対象物を前記溶断部で溶断する超音波溶断装置であって、前記超音波ホーンが前記溶断対象物に当接するに際して前記アンビルから発生する固有の音響振動を検知する音響振動センサと、前記音響振動センサで前記音響振動を検知してから一定時間経過後に前記超音波ホーンの超音波振動を停止制御する超音波制御手段と、を具備して構成したので、低加圧条件下においても必要十分なホーンの超音波発振を可能にして不快な音の発生を防止するとともに、ホーンやアンビルの長寿命化を可能にした超音波溶断装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明に係る超音波溶断装置の一実施例の概略を示す側面図である。
図2図2は、図1に示した超音波溶断装置で用いるホーンの側面図及びアンビルの側面図、上面図である。
図3図3は、図1に示した超音波溶断装置で用いるホーンの他の側面図及びアンビルの他の側面図、上面図である。
図4図4は、図1に示した超音波溶断装置による溶断対象物の溶断動作を説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明に係る超音波溶断装置の他の実施例の概略を示す側面図である。
図6図6は、本発明に係る超音波溶断装置の更に他の実施例の概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための実施例について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る超音波溶断装置の概略を示す側面図である。
【0024】
図1において、本発明に係る超音波溶断装置100は、台座10と、台座10上に固定され、溶断対象物であるシート状体Sが載置されるアンビル20と、支柱部30と、支柱部30に上下動可能に取り付けられた超音波プレス機40と、超音波プレス機40の内部に設けられた図示しない超音波振動子(以下、単に振動子という)から発生された超音波振動が伝達されるコーン50と、コーン50を介して超音波振動が伝達されるホーン60と、超音波プレス機40の内部の振動子に超音波振動を発生させる超音波発振機70と、ホーン60がアンビル20上に載置されたシート状体Sに当接する際にアンビル20から発生される音響振動を検知するマイクロフォン80と、マイクロフォン80で検知された音響振動からホーン60がシート状体Sに当接したことを検出してその検出出力を超音波発振器に出力し、超音波プレス機40の内部の振動子から発生される超音波振動を制御するタッチセンサ90とを具備して構成される。
【0025】
図2(A)は、図1に示した超音波溶断装置100で用いるホーン60の側面図、図2(B)は、図1に示した超音波溶断装置100で用いるアンビル20の側面図、図2(C)は、図2(B)に示したアンビル20の上面図である。
【0026】
ホーン60は、図2(A)に示すように、シート状体Sに当接する当接面61が、アンビル20に対して、その長さ方向で所定の角度θで傾斜している。
【0027】
また、アンビル20は、図2(B)、図2(C)に示すように、その上面に、シート状体Sの溶断部に沿った曲線状の突起部21が形成されている。
【0028】
超音波プレス機40の内部の振動子が超音波発振機70から発生された超音波振動により発振されるとこの振動子により発振された超音波振動はコーン50を介してホーン60に伝達される。
【0029】
この状態で、支柱部30に上下動可能に取り付けられた超音波プレス機40が下方に移動し、ホーン60がシート状体Sに当接すると、ホーン60から発生された超音波によりシート状体Sの切断面が溶融され、シート状体Sの溶断が行われる。
【0030】
ここで、シート状体Sに対するホーン60の当接は図2(A)に示したようにホーン60のシート状体Sに対する当接面61が、その長さ方向で所定の角度θで傾斜しているので、シート状体Sに対してその長さ方向で所定の時間差をもって当接し、これによりシート状体Sは所定の時間差をもって溶断される。
【0031】
この溶断に際して、ホーン60が低加圧条件下でシート状体Sに当接すると、ホーン60の超音波振動がシート状体Sを介してアンビル20に伝達し、これによりアンビル20から固有の音響振動を発生する。
【0032】
この実施例の超音波溶断装置100では、このシート状体Sの溶断に際してアンビル20からから発生される固有の音響振動をマイクロフォン80で検知し、この音響振動の検知出力を利用して超音波発振機70からの超音波の発生を制御する。具体的には、ホーン60がシート状体Sに当接すると、アンビル20からから固有の音響振動を発生し、この固有の音響振動は急激に立ち上がる。この急激に立ち上がる音響振動をマイクロフォン80で検知し、マイクロフォン80の検知音圧レベルが所定の閾値を超えると、シート状体Sの溶断が開始されたとしてこれをタッチセンサ90で検出し、この検出出力を超音波発振機70に出力する。
【0033】
超音波発振機70は、このタッチセンサ90からの検出出力を入力すると、シート状体Sの溶断が完了するまでの上記所定の時間差に対応する時間超音波発振を継続した後、超音波発振を停止する。
【0034】
これにより必要以上にホーン60の超音波振動を持続することがなくなり、アンビル20からから発生する固有の音響振動に基づく4KHzから8KHz程度の周波数で、80dBを超える不快な音の発生が抑えられ、またホーン60やアンビル20の摩耗も少なくなり、ホーンやアンビルの長寿命化が図れ、かつ、不織布等の溶断対象物であるシート状体Sを確実に溶断することができる。
【0035】
なお、不織布等の溶断対象物であるシート状体Sを所定の時間差をもって溶断するために、図2に示した構成においては、図2(A)に示したように、ホーン60のシート状体Sに当接する当接面61を、アンビル20に対して、その長さ方向で所定の角度θで傾斜しているように構成したが、図3(B)に示すように、アンビル20の突起部21の突起部21の先端をホーン60のシート状体Sに当接する当接面61に対してその長さ方向で所定の角度θで傾斜しているように構成してもよい。
【0036】
すなわち、図3(A)は、図1に示した超音波溶断装置100で用いるホーン60の側面図、図3(B)は、図1に示した超音波溶断装置100で用いるアンビル20の側面図、図3(C)は、図2(B)に示したアンビル20の上面図である。
【0037】
ここで、図3(A)に示すホーン60シート状体Sに当接する当接面61には傾斜は形成されていないが、アンビル20は、図3(B)、図3(C)に示すように、その上面に、シート状体Sの溶断部に沿った曲線状の突起部21が形成されており、アンビル20の突起部21の突起部21の先端はホーン60のシート状体Sに当接する当接面61に対してその長さ方向で所定の角度θで傾斜している。
【0038】
このような構成においても、ホーン60は、シート状体Sに対してその長さ方向で所定の時間差をもって当接し、これによりシート状体Sは所定の時間差をもって溶断される。
【0039】
この構成においても、シート状体Sの溶断に際してアンビル20からから発生される固有の音響振動はマイクロフォン80で検知され、この音響振動の検知出力を利用して超音波発振機70からの超音波の発生が制御される。すなわち、ホーン60がシート状体Sに当接すると、アンビル20から固有の音響振動を発生し、この固有の音響振動は急激に立ち上がるので、この急激に立ち上がる音響振動をマイクロフォン80で検知し、マイクロフォン80の検知音圧レベルが所定の閾値を超えると、これをタッチセンサ90で検出し、この検出出力に基づき超音波発振機70は、シート状体Sの溶断が完了するまでの上記所定の時間差に対応する時間超音波発振を継続し、その後超音波発振を停止する。
【0040】
これにより、アンビル20からから発生する固有の音響振動に基づく不快な音の発生が抑えられ、またホーン60やアンビル20の摩耗も少なくなり、ホーンやアンビルの長寿命化が図れ、かつ、不織布等の溶断対象物であるシート状体Sを確実に溶断することができる。
【0041】
図4は、図1に示した超音波溶断装置100による溶断対象物の溶断動作を説明するフローチャートである。
【0042】
この溶断対象物の溶断動作が開始されると、まず、ホーン40を下降制御する(ステップ401)。そして、超音波発振機70からホーン60に印加する超音波発振を開始する(ステップ402)。
【0043】
次に、タッチセンサ90は、マイクロフォン80の検知出力を監視し、マイクロフォン80で検知されるアンビル20から発生される音響振動の音圧レベルが所定の閾値を超えたかを調べる(ステップ403)。
【0044】
ここで、アンビル20から発生される音響振動の音圧レベルが所定の閾値を超えていない場合は(ステップ403でNO)、ステップ403に戻り、マイクロフォン80の検知出力の監視を続ける。
【0045】
ステップ403で、アンビル20から発生される音響振動の音圧レベルが所定の閾値を超えたと判断されると、ホーン60がシート状体Sに当接する時間差に対応する所定の一定時間を計時するタイマをスタートさせる(ステップ404)。
【0046】
次に、タイマによる計時時間が一定時間を経過したかを調べ(ステップ405)、一定時間を経過していない場合は(ステップ405でNO )、ステップ405に戻り、ホーン60の超音波発振を続けるが、一定時間を経過したと判断された場合は(ステップ405でYES)、発振機70を制御してホーン60の超音波発振を停止させる(ステップ406)。
【0047】
そして、ホーン60を上昇させ(ステップ407)、次に、溶断対象物の溶断が終了か、すなわちこの加工終了かを調べ(ステップ408)、加工終了でない場合は(ステップ408でNO)、ステップ401に戻り、上記溶断対象物の溶断動作を続けるが、加工終了である場合は(ステップ408でYES)、この溶断対象物の溶断動作を終了する。
【0048】
ここで、ホーン60がシート状体Sに当接してアンビル20から固有の音響振動が発生する時間は、ステップ404のタイマで設定された一定の時間だけであり、この一定の時間は、例えば、0.5秒以下の非常に短い時間であり、アンビル20から発生される固有の音響振動が作業者等に不快感を与えることはなく、また、ホーン60やアンビル20の摩耗も最小限に抑えられ、ホーン60やアンビル20の長寿命化が図れる。
【0049】
なお、本願発明の超音波溶断装置100においては、ホーン60がシート状体Sに当接してアンビル20から発生される固有の音響振動をマイクロフォン80で検知して、この検知出力に基づき超音波発振機70を制御しているので、周囲の騒音からの影響を考慮しなければならない。
【0050】
そのために、本願発明の超音波溶断装置100で用いるマイクロフォン80としては、周囲の騒音からの影響を受けないために、ホーン60がシート状体Sに当接する際にアンビル20から発生する音響振動を選択的に検知するようにした周波数特性および/又は指向性を有するものを用いるのがよい。
【0051】
図5は、本発明に係る超音波溶断装置の他の実施例の概略を示す側面図である。
【0052】
図5に示す超音波溶断装置100においては、ホーン60がシート状体Sに当接する際にアンビル20から発生する音響振動を検知するマイクロフォン80とアンビル20との間に集音管81を配設して、マイクロフォン80が周囲の騒音の影響を受けないようにしている。その他の構成は図1に示した超音波溶断装置100と同様である。
【0053】
図6は、本発明に係る超音波溶断装置の更に他の実施例の概略を示す側面図である。
【0054】
図6に示す超音波溶断装置200においては、図1及び図5に示した超音波溶断装置100のマイクロフォン80の代わりに振動センサ82を用い、この振動センサ82をアンビル82に取り付け、この振動センサ82によりホーン60がシート状体Sに当接する際にアンビル20から発生する音響振動を検知するように構成している。その他の構成は図1に示した超音波溶断装置100と同様である。
【0055】
以上が本発明の一実施例の説明であるが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。
【0056】
なお、上記実施例では、溶断対象物として不織布等のシート状体Sを用いたが、不織布等以外の溶断対象物を用いても同様に構成できる。また、図5では、マイクロフォン80の指向性を高める手法として集音管81設ける構成を示したが、その他の周知の指向性を高める手法を採用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…台座
20…アンビル
21…突起部
30…支柱部
40…超音波プレス機
50…コーン
60…ホーン
70…超音波発振機
80…マイクロフォン
81…集音管
82…振動センサ
90…タッチセンサ
100…超音波溶断装置
200…超音波溶断装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6