(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091479
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】組織支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230623BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206247
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】500426825
【氏名又は名称】アデコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】矢部 章一
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 輝
(72)【発明者】
【氏名】東 比沙諮
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】対象者などから得られる主観的なデータのみならず、客観的なデータも加味して組織の評価などを行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】対象者が属する企業のビジョンに関わる外的ビジョンデータを取得するとともに、対象者の生体に関わる内的ビジョンデータを取得するデータ取得部330と、外的ビジョンデータに基づいて、企業の評価値を算出する算出部341と、内的ビジョンデータに基づいて、算出された企業の評価値を補正する補正部342と、補正後の企業の評価値を、企業の最終的な評価情報として出力する評価出力部350とを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が属する企業のビジョンに関わる外的ビジョンデータを取得する第1取得部と、
前記対象者の生体に関わる内的ビジョンデータを取得する第2取得部と、
前記外的ビジョンデータに基づいて、前記企業の評価値を算出する算出部と、
前記内的ビジョンデータに基づいて、算出された前記企業の評価値を補正する補正部と、
補正後の前記企業の評価値を、前記企業の最終的な評価情報として出力する評価出力部と
を具備する組織支援システム。
【請求項2】
前記外的ビジョンデータは、前記対象者によるサーベイの回答情報を含み、
前記内的ビジョンデータは、前記対象者の動画情報、音声情報、及び身体情報を含み、
前記算出部は、前記サーベイの回答情報に基づき、前記企業の評価値を算出し、
前記補正部は、前記動画情報、音声情報、及び身体情報に基づき、前記サーベイの回答情報の真偽度を求めるとともに、前記対象者の発言内容のポジティブ度を求め、求めた前記サーベイの回答情報の真偽度及び前記対象者の発言内容のポジティブ度に基づき、算出された前記企業の評価値を補正する、請求項1に記載の組織支援システム。
【請求項3】
前記企業の評価値は、前記企業のビジョン共感度・実行度、部署別のSDGs実施状況、チームワーク度に関する評価値である、請求項1または2に記載の組織支援システム。
【請求項4】
前記外的ビジョンデータは、前記対象者によるサーベイの回答情報を含み、
前記内的ビジョンデータは、前記対象者の動画情報、音声情報、及び身体情報を含み、
前記算出部は、前記対象者のサーベイの回答情報に基づき、前記企業の求人希望条件を取り込むとともに、前記求人希望条件の各詳細項目を抽出し、
前記補正部は、前記対象者の動画情報、音声情報、及び身体情報に基づき、前記求人希望条件の各詳細項目の重要度を求め、求めた前記求人希望条件の各詳細項目の重要度に基づき、求めた前記求人希望条件の各詳細項目を補正し、
前記評価出力部は、補正後の前記求人希望条件を出力する、請求項1に記載の組織支援システム。
【請求項5】
コンピュータを、
対象者が属する企業のビジョンに関わる外的ビジョンデータを取得する第1取得部と、
前記対象者の生体に関わる内的ビジョンデータを取得する第2取得部と、
前記外的ビジョンデータに基づいて、前記企業の評価値を算出する算出部と、
前記内的ビジョンデータに基づいて、算出された前記企業の評価値を補正する補正部と、
補正後の前記企業の評価値を、前記企業の最終的な評価情報として出力する評価出力部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織の最適化を支援する組織支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織の構成員(対象者)に対してアンケート(サーベイ)を行い、サーベイ結果を分析して組織の業務内容や対象者の意識などを含む組織の業務の実態を把握できるようにすることで、組織の管理者が業務を改善することを支援するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、各構成員に対して複数のアンケート項目からなるアンケートを行い、アンケートの結果を分析して各構成員の意識に関する得点を算出し、算出した得点に基づいて、各構成員の状態と集団全体の状態を分析するシステムが開示されている。かかるシステムを用いることにより、組織の業務の実態を把握して、現在の業務実態に対して適切な改善方法を検討することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているシステムは、対象者が自ら回答を行うといったサーベイ形式をとっているため、組織の評価などは主観的なものに留まり、正当な評価がなされているか疑わしい、という問題があった。
【0006】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、対象者などから得られる主観的なデータのみならず、客観的なデータも加味して組織の評価などを行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る組織支援システムは、対象者が属する企業のビジョンに関わる外的ビジョンデータを取得する第1取得部と、対象者の生体に関わる内的ビジョンデータを取得する第2取得部と、外的ビジョンデータに基づいて、企業の評価値を算出する算出部と、内的ビジョンデータに基づいて、算出された前記企業の評価値を補正する補正部と、補正後の企業の評価値を、企業の最終的な評価情報として出力する評価出力部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の所定の態様によれば、対象者などから得られる主観的なデータのみならず、客観的なデータも加味して組織の評価などを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る組織支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図5】端末、サーベイサーバ、管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】管理サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】企業のビジョン共感度・実行度について評価する場合の説明図である。
【
図8】部署別のSDGs実施状況について評価する場合の説明図である。
【
図9】組織のチームワーク度を評価する場合の説明図である。
【
図10】求人希望条件について評価する場合の説明図である。
【
図11】企業の組織に関する評価情報を例示した図である。
【
図12】求人希望条件に関する評価情報を例示した図である。
【
図13】組織支援処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
A.本実施形態
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る組織支援システム1000の構成の一例を示す図である。
本システム1000は、対象者などから得られる主観的なデータのみならず、客観的なデータも加味して組織の評価などを行うことを可能とする。なお、「主観的なデータ」とは、対象者が属する企業のビジョンに関わるデータ(以下、外的ビジョンデータ)を意味し、「客観的データ」とは、当該企業に属する対象者に関わるデータ(以下、内的ビジョンデータ)を意味する。
【0012】
ここで、「企業のビジョン」とは、企業理念のみならず、各組織(部署など)の目標や、組織に属する構成員の個人的な目標などを含む広い概念を意味する。また、「外的ビジョンデータ」とは、例えば、
図2に示すように、対象者によるサーベイの回答情報IF1、企業のWeb情報IF2、求人情報IF3などのテキストデータを意味する。さらに、「内的ビジョンデータ」とは、例えば、
図3に示すように、対象者の動画情報IF4、音声情報IF5、身体情報IF6など、対象者の生体(表情、音声、体温、心拍数など)に関わる生体関連データを意味する。
【0013】
組織支援システム1000は、対象者が使用する端末100と、サーベイを提供するサーベイサーバ200と、外的ビジョンデータや内的ビジョンデータを利用して組織の評価などを行う管理サーバ300とを備えて構成される。
【0014】
端末100と、サーベイサーバ200と、管理サーバ300とは、ネットワークNを介して相互通信可能となっている。なお、
図1では、説明の便宜上、2台の端末100と、1台のサーベイサーバ200と、1台の管理サーバ300を図示しているが、これらの数に制限されるものではない。
【0015】
ネットワークNのうちの1つまたは複数の部分は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよい。ネットワークNは、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(登録商標)、衛星通信など、または、これらの2つ以上の組合せを含むことができる。
【0016】
端末100は、対象者が使用する端末であり、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータデバイス、スマートフォン、携帯電話、ウェアラブル端末などによって構成されている。端末100には、対象者の生体関連データを取得するための各種センサ(例えば、カメラ、GPS、温度センサ、脈波センサ、ストレス計測センサなど)が搭載されている。なお、ストレス計測センサには、例えば体温・心拍数を測定するための専用の時計型ウェアラブル端末を用いることができるが、他のツール(例えば、指先で心拍を計測するものなど)を用いてもよい。
【0017】
端末100は、対象者の操作に応じて、本システム1000を利用するために必要な初期設定情報などの登録や、サーベイの回答入力を受け付ける。端末100は、入力されたサーベイの回答を、サーベイの回答情報としてサーベイサーバ200に送信する一方、各種センサによって取得される所得される対象者の生体関連データを、内的ビジョンデータとして管理サーバ300に送信する。
【0018】
サーベイサーバ200は、例えばサーバコンピュータにより構成され、組織の管理者(例えば、経営者、人事担当者など)からのサーベイ実施登録を受け、対象者の端末100にサーベイを提供する一方、対象者の端末100からサーベイの回答情報を受信する。サーベイサーバ200は、サーベイやサーベイの回答情報を登録するためのデータベースを備えている。
【0019】
図4は、サーベイサーバ200が提供するサーベイSVを例示した図である。
サーベイSVは、複数の質問項目から構成されており、例えば、企業のビジョンを知っているかどうかを問う項目や、企業のビジョンへの共感や、実行に関連した項目などを含んで構成されている。
【0020】
サーベイサーバ200は、各対象者の端末100からサーベイの回答情報を受け取ると、これをデータベースに格納するとともに、データベースに格納した各対象者のサーベイの回答情報を集計し、これを外的ビジョンデータとして管理サーバ300に送信する。
【0021】
管理サーバ300は、上述した外的ビジョンデータや内的ビジョンデータを取得する機能、取得した外的ビジョンデータや内的ビジョンデータを解析し、解析結果に基づいて組織の評価を行う機能、さらには、組織の評価の結果を出力する機能などを備えている(詳細は後述)。
【0022】
ここで、端末100、サーベイサーバ200、管理サーバ300を構成するコンピュータは、必ずしも1台である必要はなく、ネットワークN上に分散する複数のコンピュータやストレージから構成されてもよい。
【0023】
<ハードウェア構成>
図5は、端末100、サーベイサーバ200、管理サーバ300のハードウェア構成の一例を示す図である。端末100、サーベイサーバ200、管理サーバ300は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置2、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)3、入力操作を受け付ける入力デバイス4、及び情報の出力を行う出力デバイス5を有する。入力デバイス4は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、マイク等である。出力デバイス5は、例えば、ディスプレイ(画面)及び/又はスピーカ等である。
【0024】
以下、図面を参照しながら、管理サーバ300の機能構成及び機能概要について説明する。
【0025】
<機能構成及び機能概要>
図6は、管理サーバ300の機能構成を示すブロック図である。
【0026】
管理サーバ300は、設定登録部310と、記憶部320と、データ取得部330と、データ解析部340と、評価出力部350とを含んで構成される。
【0027】
設定登録部310と、データ取得部330と、データ解析部340と、評価出力部350は、管理サーバ300のCPU1が記憶装置2に記憶された各種プログラムを実行することによって実現される。なお、プログラムは、USBメモリやCD-ROM等の記憶媒体に格納することができる。
【0028】
設定登録部310は、管理者による端末100の操作に応じて、本システム1000の利用に必要な初期設定情報などを受け付け、記憶部320に記憶する。
【0029】
ここで、初期設定情報は、各対象者の基本的な個人情報(例えば、配属部署、従業者ID、氏名、年齢、性別、住所、連絡先、メールアドレス、職務経歴)などが含まれる。
【0030】
データ取得部330は、
図2に示すような外的ビジョンデータを取得する第1取得部331と、
図3に示すような内的ビジョンデータを取得する第2取得部332とを備えている。
【0031】
データ解析部340は、データ取得部330によって取得された外的ビジョンデータ及び内的ビジョンデータを解析し、解析結果に基づいて、下記に示す4項目の組織の評価を行う。
(1)企業のビジョン共感度・実行度
(2)部署別のSDGs実施状況
(3)チームワーク度
(4)求人希望条件
【0032】
データ解析部340について詳述すると、外的ビジョンデータに基づいて企業の評価値を算出する算出部341と、算出された企業の評価値を補正する補正部342とを備えている。
【0033】
<企業のビジョン共感度・実行度について評価する場合>
図7は、企業のビジョン共感度・実行度について評価する場合の説明図である。
算出部341は、外的ビジョンデータに含まれるサーベイの回答情報を利用して、
図7に示す企業理念共感度、部署目標共感度、企業理念実行度、部署目標実行度の各評価値を算出する。
図7では、企業理念共感度、部署目標共感度、企業理念実行度、部署目標実行度の各評価値が、0点~5点の範囲で算出される場合を想定するが、これに限る趣旨ではない。
【0034】
一方、補正部342は、内的ビジョンデータに含まれる対象者の動画情報、音声情報、身体情報を利用して、補正係数を導出する。
【0035】
一例を挙げて説明すると、補正部342は、まず、動画情報及び音声情報を解析することで、対象者の表情が6つの感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のいずれに該当するかを判別するとともに、身体情報を解析することで、対象者のストレス度を導出する。
【0036】
そして、補正部342は、対象者の感情の判別結果やストレス度をもとに、対象者によるサーベイの回答情報の真偽度を求める。真偽度は、例えば「0%」(偽)~「100%」(真)の間で求めることができる。さらに、補正部342は、対象者の音声情報を解析することで、発言内容のポジティブ度を求める。ポジティブ度は、例えば「+1」(ポジティブ)または「-1」(ネガティブ)のいずれかが選択される。補正部342は、例えば、対象者の発言の多くが、企業理念の実行に向けて否定的である場合には、ネガティブであると判断し、ポジティブ度として「-1」を選択する。
【0037】
補正部342は、このようにして求めたサーベイの回答情報の真偽度と、発言内容のポジティブ度をもとに、最終的な補正係数CFを算出する。一例として、サーベイの回答項目別の真偽度をp_1,p_2,…%とし、対応するポジティブ度をN_1,N_2,…とした場合の補正係数CF_1,CF_2,…は、下記式(1)によって導出することができる。
CF_(k)=N_(k)×(1-p_(k)/100) ・・・(1)
ただし、添え字kはサーベイ項目番号である。
【0038】
補正部342には、このようにして求めた補正係数を、算出部341が算出した評価値に加算することで、補正後の評価値を得る。
図7には、企業理念共感度、部署目標共感度、企業理念実行度、部署目標実行度の各評価値に関する計算例が示されている。
【0039】
<部署別のSDGs(Sustainable Development Goals)実施状況を評価する場合>
図8は、部署別のSDGs実施状況について評価する場合の説明図である。
算出部341は、外的ビジョンデータに含まれるWeb情報(例えば、企業のWebサイトなど)を利用して、
図8に示す対象者が属する企業のSDGsの各目標(ラベル)を取得するとともに、外的ビジョンデータに含まれる対象者のサーベイの回答情報を利用して、
図8に示す各ラベルの評価値を算出する。
図8では、各ラベルの評価値が、0点~5点の範囲で算出される場合を想定するが、これに限る趣旨ではない。
【0040】
一方、補正部342は、内的ビジョンデータに含まれる対象者の動画情報、音声情報、身体情報を利用して、補正係数を導出する。
【0041】
一例を挙げて説明すると、補正部342は、まず、動画情報及び音声情報を解析することで、対象者の表情が6つの感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のいずれに該当するかを判別するとともに、身体情報を解析することで、対象者のストレス度を導出する。
【0042】
そして、補正部342は、対象者の感情の判別結果やストレス度をもとに、対象者によるサーベイの回答情報の真偽度を求める。真偽度は、例えば「0%」(偽)~「100%」(真)の間で求めることができる。さらに、補正部342は、対象者の音声情報を解析することで、対象者の発言内容からSDGs関連のキーワード(例えば、男女に関する差別発言や省エネに関する発言など)を抽出するとともに、発言内容のポジティブ度を求める。ポジティブ度は、例えば「+1」(ポジティブ)または「-1」(ネガティブ)のいずれかが選択される。補正部342は、例えば、対象者が、企業として性差がなくなるように人事評価制度を見直すべき等の発言を積極的に行っている場合には、ポジティブであると判断し、ポジティブ度として「+1」を選択する。
【0043】
補正部342は、このようにして求めたサーベイの回答情報の真偽度と、発言内容のポジティブ度をもとに、最終的な補正係数CFを算出する。補正係数CFは、上述した式(1)によって導出することができる。
補正部342には、このようにして求めた補正係数を、算出部341が算出した評価値に加算することで、補正後の評価値を得る。
図8には、SDGsの各目標(ラベル)の各評価値に関する計算例が示されている。
【0044】
<チームワーク度を評価する場合>
図9は、組織のチームワーク度を評価する場合の説明図である。
算出部341は、外的ビジョンデータに含まれるサーベイの回答情報を利用して、
図9に示す相互フィードバック性、評価の正当性、成長性、相互扶助性の各評価値を算出する。
図9では、相互フィードバック性、評価の正当性、成長性、相互扶助性の各評価値が、0点~5点の範囲で算出される場合を想定するが、これに限る趣旨ではない。
【0045】
一方、補正部342は、内的ビジョンデータに含まれる対象者の動画情報、音声情報、身体情報を利用して、補正係数を導出する。
【0046】
一例を挙げて説明すると、補正部342は、まず、動画情報及び音声情報を解析することで、対象者の表情が6つの感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のいずれに該当するかを判別するとともに、身体情報を解析することで、対象者のストレス度を導出する。
【0047】
そして、補正部342は、対象者の感情の判別結果やストレス度をもとに、対象者によるサーベイの回答情報の真偽度を求める。真偽度は、例えば「0%」(偽)~「100%」(真)の間で求めることができる。さらに、補正部342は、対象者の音声情報を解析することで、チームワーク度に関連するキーワード(例えば、新規プロジェクトに関する相談など)を抽出するとともに、発言内容のポジティブ度を求める。ポジティブ度は、例えば「+1」(ポジティブ)または「-1」(ネガティブ)のいずれかが選択される。補正部342は、例えば、対象者によるキーワードを含む発言が強制的である場合には、ネガティブであると判断し、ポジティブ度として「-1」を選択する。一方、補正部342は、例えば、対象者によるキーワードを含む発言が自主性を重んじた発言である場合には、ポジティブであると判断し、ポジティブ度として「+1」を選択する。
【0048】
補正部342は、このようにして求めたサーベイの回答情報の真偽度と、発言内容のポジティブ度をもとに、最終的な補正係数CFを算出する。補正係数CFは、上述した式(1)によって導出することができる。
【0049】
補正部342には、このようにして求めた補正係数を、算出部341が算出した評価値に加算することで、補正後の評価値を得る。
図9には、相互フィードバック性、評価の正当性、成長性、相互扶助性の各評価値に関する計算例が示されている。
【0050】
<求人希望条件について評価する場合>
図10は、求人希望条件について評価する場合の説明図である。
算出部341は、外的ビジョンデータとして組織の管理者から入力された求人希望条件を利用して、
図10に示すような企業側の求人希望条件を取り込むとともに、求人希望条件の各項目(以下、詳細項目)を抽出(算出)する。
図10では、詳細項目として、業務内容、就業場所、就業時間、休日、賃金、時間外労働、企業理念、部署目標、求める人物像、職場の雰囲気が挙げられているが、これに限る趣旨ではない。
【0051】
一方、補正部342は、内的ビジョンデータに含まれる対象者の動画情報、音声情報、身体情報を利用して、改善度を導出する。
【0052】
一例を挙げて説明すると、補正部342は、まず、動画情報、音声情報、身体情報を解析することで、対象者(例えば人事担当者)の表情が6つの感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のいずれに該当するかを判別する。
【0053】
さらに、補正部342は、対象者の音声情報を解析することで、対象者の発言内容から求人希望条件の各詳細項目のキーワード(例えば、時間外労働は極力なくす旨の発言など)を抽出する。そして、補正部342は、抽出した求人希望条件の各詳細項目のキーワードとともに、対象者の感情の判別結果を利用して、求人希望条件の各詳細項目の重要度を確定する。重要度は、例えば「1」~「10」の10段階で評価することができる。補正部342は、例えば、キーワードの発言回数が多く、かつ、喜びの感情が強いものほど、重要度を高く設定する。
【0054】
補正部342は、このようにして求めた求人希望条件の各詳細項目の重要度に基づき、求人希望条件の各詳細項目を変更(補正)する。例えば、重要度の高い順に、求人希望条件の各詳細項目の並べ替えを行う。
【0055】
図6に戻り、評価出力部350は、補正後の企業の評価値や、補正後の求人希望条件の各詳細項目を、最終的な企業の評価情報として、端末100や管理サーバ300のディスプレイに出力する。
【0056】
図11は、企業の組織に関する評価情報を例示した図であり、
図12は、求人希望条件に関する評価情報を例示した図である。
評価出力部350は、補正後の企業の評価値を適宜加工することで、部署別の評価情報EI1、従業員別の評価情報EI2を出力するだけでなく、他部署の評価情報と比較した比較情報CI1や、同職・同規模の部署平均の評価情報と比較した比較情報CI2などを出力する(
図11参照)。
【0057】
また、評価出力部350は、補正後の求人希望条件を適宜加工することで、重要度の高い詳細項目(ここでは、「企業理念」、「賃金」、「業務内容」)に対し、“要改善”等のコメントCMを付した形で補正後の求人希望条件を出力する(
図12参照)。
【0058】
管理者は、ディスプレイに表示される企業の組織に関する評価情報を確認することで、自部署での弱点の発見や、各従業員の配置の最適化を図ることが可能となる。
また、管理者は、ディスプレイに表示される求人企業に関する評価情報を確認することで、求人希望条件のどの項目を改善すべきか、速やかに把握することが可能となる。
【0059】
<動作>
図13は、管理サーバ300によって実行される組織支援処理の流れを示すフローチャートである。前提として、対象者は端末100を操作することで、本システム1000を利用するために必要な初期設定情報などの登録や、サーベイの回答入力などを行っているものとする。
【0060】
管理サーバ300は、企業のWebサイトやサーベイサーバ200から外的ビジョンデータを取得するとともに、対象者の端末100から内的ビジョンデータを取得する(ステップS1)。
【0061】
管理サーバ300は、取得した外的ビジョンデータに基づいて、企業の評価値(または求人希望条件の各詳細項目)を算出する(ステップS2)。
【0062】
管理サーバ300は、取得した内的ビジョンデータに基づいて、算出された企業の評価値(または求人希望条件の各詳細項目)を補正する(ステップS3)。
【0063】
管理サーバ300は、補正後の企業の評価値(または補正後の求人希望条件の各詳細項目)を、企業の最終的な評価情報として出力し(ステップS4)、処理を終了する。
【0064】
かかる構成によれば、対象者によるサーベイの回答などの外的ビジョンデータだけでなく、対象者の感情や発言などの内的ビジョンデータに基づいて、組織の業務の実態を把握するため、現在の業務実態に対して適切な組織の評価や求人希望条件の設定などを行うことが可能となる。
【0065】
B.変形例
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0066】
本明細書において、「部」とは、単に物理的構成を意味するものではなく、その「部」が実行する処理をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が実行する処理を2つ以上の物理的構成や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置が実行する処理を1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1000…組織支援システム、100…端末、200…サーベイサーバ、300…管理サーバ、310…設定登録部、320…記憶部、330…データ取得部、331…第1取得部、332…第2取得部、340…データ解析部、341…算出部、342…補正部、350…評価出力部、IF1…サーベイの回答情報、IF2…企業のWeb情報、IF3…求人情報、IF4…動画情報、IF5…音声情報、IF6…身体情報、SV…サーベイ。