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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091540
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ビームスプリッタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/04 20060101AFI20230623BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20230623BHJP
   G02B 1/115 20150101ALI20230623BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G02B5/04 D
G02B5/04 B
G02B5/04 E
G02B5/28
G02B1/115
G02B5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206333
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219738
【氏名又は名称】東海光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘宗
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2K009
【Fターム(参考)】
2H042CA10
2H042CA11
2H042CA14
2H042CA15
2H042CA17
2H148FA22
2H148FA24
2H148GA07
2H148GA24
2H148GA33
2K009AA02
(57)【要約】
【課題】更に機能が向上したビームスプリッタを提供する。
【解決手段】ビームスプリッタは、第1斜面2Sを有する第1プリズム2と、第1多層膜6を介して第1斜面2Sと合わせられる第2斜面4Sを有する第2プリズム4と、を備えている。第1多層膜6は、1つの金属層22Mを有する第1金属膜部22と、1つの金属層26Mを有する第2金属膜部26と、第1斜面2Sと第1金属膜部22との間に配置されており、2つの誘電体層を有している第1誘電体膜部20と、第1金属膜部22と第2金属膜部26との間に配置されており、1以上の誘電体層を有している第2誘電体膜部24と、第2金属膜部26と第2斜面4Sとの間に配置されており、2つの誘電体層を有している第3誘電体膜部28と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1斜面を有する第1プリズムと、
第1多層膜を介して前記第1斜面と合わせられる第2斜面を有する第2プリズムと、
を備えており、
前記第1多層膜は、
1以上の金属層を有する第1金属膜部と、
1以上の金属層を有する第2金属膜部と、
前記第1斜面と前記第1金属膜部との間に配置されており、複数の誘電体層を有している第1誘電体膜部と、
前記第1金属膜部と前記第2金属膜部との間に配置されており、1以上の誘電体層を有している第2誘電体膜部と、
前記第2金属膜部と前記第2斜面との間に配置されており、複数の誘電体層を有している第3誘電体膜部と、
を備えている
ことを特徴とするビームスプリッタ。
【請求項2】
前記第2誘電体膜部は、誘電体層として、低屈折率層及び高屈折率層を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項3】
前記第2誘電体膜部は、前記第1金属膜部側から順に、前記低屈折率層、前記高屈折率層及び前記低屈折率層を有している
ことを特徴とする請求項2に記載のビームスプリッタ。
【請求項4】
前記第2誘電体膜部は、前記第1金属膜部側から順に、Al製の前記低屈折率層、LaOTi製の前記高屈折率層及びSiO製の前記低屈折率層を有している
ことを特徴とする請求項3に記載のビームスプリッタ。
【請求項5】
前記第1金属膜部及び前記第2金属膜部の少なくとも一方は、銀製の前記金属層を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のビームスプリッタ。
【請求項6】
前記第2誘電体膜部は、誘電体層として、低屈折率層及び高屈折率層を有しており、
前記第1誘電体膜部は、誘電体層として、前記第2誘電体膜部の低屈折率層と同一材料の低屈折率層及び前記第2誘電体膜部の高屈折率層と同一材料の高屈折率層の少なくとも一方を有しており、
前記第3誘電体膜部は、誘電体層として、前記第2誘電体膜部の低屈折率層と同一材料の低屈折率層及び前記第2誘電体膜部の高屈折率層と同一材料の高屈折率層の少なくとも一方を有している
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のビームスプリッタ。
【請求項7】
前記第2誘電体膜部の低屈折率層として、SiO製の層及びAl製の層の少なくとも一方が含まれ、
前記第2誘電体膜部の高屈折率層として、LaOTi製の層及びTa製の層の少なくとも一方が含まれる
ことを特徴とする請求項6に記載のビームスプリッタ。
【請求項8】
前記第1プリズムは、入射光が入射する入射光面と、反射光が出射する反射光面と、を有しており、
前記第2プリズムは、透過光が出射する透過光面を有しており、
更に、前記入射光面に形成されており複数の波長域において反射を抑制する第2多層膜、前記透過光面に形成されており複数の波長域において反射を抑制する第3多層膜、及び前記反射光面に形成されており複数の波長域において反射を抑制する第4多層膜、の少なくとも何れかが設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のビームスプリッタ。
【請求項9】
入射光を透過光と反射光とに分けるビームスプリッタであって、
第1波長域における前記透過光の光量と前記反射光の光量との大小関係に対し、第2波長域における前記透過光の光量と前記反射光の光量との大小関係が逆転している
ことを特徴とするビームスプリッタ。
【請求項10】
前記第1波長域は、可視域であり、
前記第2波長域は、近赤外域である
ことを特徴とする請求項9に記載のビームスプリッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を透過光及び反射光に分けるビームスプリッタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開昭60-113203号公報)及び特許文献2(特開昭60-64304号公報)には、2つの直角二等辺三角プリズムの各斜面の接合面に、1層の銀薄膜層を含む誘電体多層膜が配置された非偏光(無偏光)のビームスプリッタが開示されている。
特許文献1の実施例1(第3図)では、誘電体多層膜は、銀薄膜層の上下に対称に、高屈折率誘電体薄膜(H層)、低屈折率誘電体薄膜(L層)、H層が配置された全7層となっている。そして、当該実施例1は、633nm(ナノメートル)の波長の光を、透過光量及び反射光量がほぼ等しく(分岐比が約1:1であり)、又透過光量と反射光量の比がP成分及びS成分ともほぼ1となる(非偏光である)状態で分ける。
特許文献1の実施例2(第4図)では、誘電体多層膜は、銀薄膜層の上下に対称に、H層、L層、H層、L層が配置された全9層となっている。そして、当該実施例2は、830nmの波長の光を、分光比が約1:1であり、又非偏光である状態で分ける。
特許文献2(第1図,第2図)では、銀薄膜の両面に半透明膜を被覆した3層構造膜が設けられている。そして、760~850nmの波長域において、透過率と反射率の分岐比が約1:1であり、透過P偏光T=透過S偏光T、且つ反射P偏光R=反射S偏光R、即ち非偏光である状態で、光が分けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-113203号公報
【特許文献2】特開昭60-64304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の各ビームスプリッタは、1つの波長域において特定された分岐比で入射光を分割する。よって、上述の各ビームスプリッタは、入射光を複数の波長域毎に処理するものではなく、機能向上の余地がある。
【0005】
本開示の主な目的は、更に機能が向上したビームスプリッタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記主な目的を達成するために、第1斜面を有する第1プリズムと、第1多層膜を介して前記第1斜面と合わせられる第2斜面を有する第2プリズムと、を備えており、前記第1多層膜は、1以上の金属層を有する第1金属膜部と、1以上の金属層を有する第2金属膜部と、前記第1斜面と前記第1金属膜部との間に配置されており、複数の誘電体層を有している第1誘電体膜部と、前記第1金属膜部と前記第2金属膜部との間に配置されており、1以上の誘電体層を有している第2誘電体膜部と、前記第2金属膜部と前記第2斜面との間に配置されており、複数の誘電体層を有している第3誘電体膜部と、を備えたビームスプリッタが提供される。
又、上記主な目的を達成するために、入射光を透過光と反射光とに分けるビームスプリッタであって、第1波長域における前記透過光の光量と前記反射光の光量との大小関係に対し、第2波長域における前記透過光の光量と前記反射光の光量との大小関係が逆転しているビームスプリッタが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の主な効果は、更に機能が向上したビームスプリッタが提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係るビームスプリッタの模式的な断面図である。
図2図1のビームスプリッタにおける第1多層膜の模式的な断面図である。
図3図1のビームスプリッタにおける第1多層膜の変更例の模式的な断面図である。
図4図1のビームスプリッタにおける第1多層膜の別の変更例の模式的な断面図である。
図5図1のビームスプリッタにおける第2多層膜の模式的な断面図である。
図6】比較例のビームスプリッタにおける第1多層膜の模式的な断面図である。
図7】比較例の第1多層膜における可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率の分布及び各種の反射率の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
図8】比較例の第1多層膜における400nm以上1000nm以下での各種の透過率の分布及び各種の反射率の分布(実測値)を示すグラフである。
図9】比較例の第2多層膜における400nm以上1000nm以下での平均反射率の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
図10】実施例1の第1多層膜における可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率の分布及び各種の反射率の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
図11】実施例1の第2多層膜における400nm以上1000nm以下での平均反射率の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
図12】実施例2の第1多層膜における可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率の分布及び各種の反射率の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
図13】実施例3の第1多層膜における可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率の分布及び各種の反射率の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施の形態の例が、適宜図面を用いて説明される。
尚、本開示は、以下の例に限定されない。
【0010】
図1に示されるように、本開示のビームスプリッタ1は、第1プリズム2と、第2プリズム4と、第1多層膜6と、第2多層膜10と、第3多層膜12と、第4多層膜14と、を備えている。尚、図1においては、分かり易くするため、第1多層膜6から第4多層膜14の物理膜厚が、第1プリズム2の大きさ及び第2プリズム4の大きさに対して誇張して描かれている。
ビームスプリッタ1は、入射光Iを、透過光Tと反射光Rとに分ける。
入射光Iは、第2多層膜10及び第1プリズム2の第1-1面IS(入射光面)から第1プリズム2に入射して、第1多層膜6に達し、透過光Tと反射光Rとに分岐する。
透過光Tは、第2プリズム4を通過し、第2プリズム4の第2-1面TS(透過光面)及び第3多層膜12を経て外部に出射する
反射光Rは、第1プリズム2を通過し、第1プリズム2の第1-2面RS(反射光面)及び第4多層膜14を経て外部に出射する。
【0011】
第1プリズム2は、直角二等辺三角形を底面とする柱状のプリズムである。第1プリズム2は、第1斜面2Sと、第1-1面ISと、第1-2面RSと、を有する。尚、第1プリズム2は、直角二等辺三角柱以外の、第1斜面2Sを有する形状を有していても良い。
第1プリズム2は、透光性を有する。第1プリズム2の可視域の光(可視光)及び近赤外域の光(近赤外光)の各透過率は、ほぼ100%となっている。第1波長域としての可視域は、ここでは450nm以上700nm以下である。第2波長域としての近赤外域は、ここでは800nm以上875nm以下である。尚、可視域及び近赤外域の少なくとも一方は、上述のものから変更されても良い。
第1プリズム2の材料(材質)として、例えばガラスが用いられる。尚、第1プリズム2の材料は、プラスチック等、ガラス以外であっても良い。
【0012】
第2プリズム4は、第1プリズム2と同様に成る。第2プリズム4は、第2斜面4Sと、第2-1面TSと、を有する。
第2プリズム4は、第1プリズム2と同様の変更例を有する。又、第2プリズム4の形状等は、第1プリズム2と異なっていても良い。
【0013】
第1プリズム2及び第2プリズム4は、第1斜面2Sと第2斜面4Sとが互いに向かい合う状態で接合されている。
第1多層膜6は、第1プリズム2及び第2プリズム4の間に配置されている。
尚、第1多層膜6と、第1プリズム2及び第2プリズム4の少なくとも一方との間に、中間膜が介装されても良い。中間膜は、1つの層を有する単層膜であっても良いし、複数の層を有する多層膜であっても良い。かような中間膜が設けられた場合、第1多層膜6は、第1プリズム2及び第2プリズム4の少なくとも一方に対し、間接的に形成される。
【0014】
図2に示されるように、第1多層膜6は、第1プリズム2側から順に、第1誘電体膜部20と、第1金属膜部22と、第2誘電体膜部24と、第2金属膜部26と、第3誘電体膜部28と、を有している。
尚、第1多層膜6は、第2プリズム4側から捉えられても良い。
【0015】
第1多層膜6は、例えば物理蒸着により形成され、より詳しくは真空蒸着法あるいはイオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等により形成される。
第1多層膜6は、より容易に形成する観点から、好ましくは蒸着により形成される。即ち、接合前の単体の第1プリズム2における斜面F1に、第1多層膜6が蒸着される。尚、第1プリズム2の斜面F1に代えて、あるいは第1プリズム2の斜面F1と共に、第2プリズム4の斜面F2に第1多層膜6の全部あるいは一部が形成されても良い。又、第1多層膜6の一部の製法は、他の部分の製法と異なっていても良い。例えば、第1金属膜部22及び第2金属膜部26が蒸着で形成され、第1誘電体膜部20、第2誘電体膜部24及び第3誘電体膜部28がスパッタで形成されても良い。
斜面F1に第1多層膜6が形成された第1プリズム2は、接着剤により第2プリズム4と接合される。接着剤の透過率は、好ましくは、第1プリズム2及び第2プリズム4の各透過率の少なくとも一方と同様である。尚、第1プリズム2及び第2プリズム4の接合は、接着剤による接着以外でなされても良い。
【0016】
第1誘電体膜部20は、複数の誘電体層を有する誘電体多層膜である。
第1誘電体膜部20は、比較的に低屈折率である低屈折率材料から形成された1層以上の低屈折率層20L(誘電体層の一種)と、比較的に低屈折率である低屈折率材料から形成された1層以上の高屈折率層20H(誘電体層の別の一種)と、を有する。
所望の機能を効率的に実現する観点から、低屈折率層20L及び高屈折率層20Hは、好ましくは交互に配置される。第1プリズム2側との密着性を向上する観点から、好ましくは、第1プリズム2側から数えて(以下同様)1層目の層は、低屈折率層20Lとされる。より製造を容易にする観点から、低屈折率層20Lは、複数設けられる場合、好ましくは同じ材料から形成される。同様に、高屈折率層20Hは、複数設けられる場合、好ましくは同じ材料から形成される。尚、比較的に中屈折率である中屈折率材料から形成された1層以上の中屈折率層が、更に設けられても良い。
【0017】
高屈折率材料は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、チタン酸ランタン(LaOTi)、シリコン(Si)、若しくは酸化プラセオジム(Pr)又はこれらの二種以上の混合物である。
又、低屈折率材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化アルミニウムと酸化プラセオジムとの組合せ(Al-Pr)、酸化アルミニウムと酸化ランタンとの組合せ(Al-La)、若しくは酸化アルミニウムと酸化タンタルとの組合せ(Al-Ta)、又はこれらの二種以上の混合物である。
中屈折率材料は、例えば、Al、Pr、La、Al-Pr、Al-La、といった中屈折率材料から形成される。
尚、例えばAlのように、中屈折率材料の少なくとも何れかは、低屈折率材料あるいは高屈折率材料の何れか一方に属するものと扱われても良い。
【0018】
第1金属膜部22は、1以上の金属層22Mを有する部分である。
より製造を容易にし、又コストを低減する観点から、第1金属膜部22は、好ましくは1つの金属層22Mを有する。
第1金属膜部22の金属材料は、例えば、銀(Ag)若しくはその合金、アルミニウム(Al)若しくはその合金、又はこれらの二種以上の合金である。
入射光の分割をより所望の状態でより容易に行う観点から、第1金属膜部22の材料は、好ましくはAgとされる。
第1金属膜部22は、低廉性及び質を両立する観点から、好ましくは真空蒸着により形成され、又第1誘電体膜部20と同じ製法で形成される。尚、第1金属膜部22は、真空蒸着以外の他の物理蒸着等により形成されても良いし、第1誘電体膜部20と異なる製法で形成されても良い。又、第1金属膜部22は、複数の金属層22Mを有する場合、一部の金属層22Mが他と異なる製法で形成されても良い。
【0019】
第2誘電体膜部24は、1以上の誘電体層を有する誘電体多層膜である。
第2誘電体膜部24は、図2のように1つの誘電体層を有する場合、好ましくは、誘電体層は、高屈折率層24Hとされる。更に、第1誘電体膜部20における第1金属膜部22に隣接する層は、好ましくは高屈折率層とされる。この場合、第1金属膜部22が各高屈折率層に挟まれ、入射光の分割をより所望の状態でより容易に行える。尚、第2誘電体膜部24、及び第1誘電体膜部20における第1金属膜部22に隣接する層の少なくとも一方は、高屈折率層24H以外の層(例えば低屈折率層24L)とされても良い。
又、第2誘電体膜部24は、図3(第1多層膜6の変更例に係る第1多層膜6A),図4(第1多層膜6の別の変更例に係る第1多層膜6B)のように複数の誘電体層を有する場合、第1誘電体膜部20と、製法及び変更例も含め同様に成る。即ち、この場合、第2誘電体膜部24は、1層以上の低屈折率層24Lと、1層以上の高屈折率層24Hと、を有する。図3では、第2誘電体膜部24は、1つの低屈折率層24Lと、1つの高屈折率層24Hと、を有する。図4では、第2誘電体膜部24は、2つの低屈折率層24Lと、1つの高屈折率層24Hと、を有する。尚、第2誘電体膜部24における低屈折率層24L及び高屈折率層24Hの少なくとも一方の層数は、図2から図4のもの以外であっても良い。
【0020】
第2金属膜部26は、1以上の金属層26Mを有する部分である。
第2金属膜部26は、第1金属膜部22と、製法及び変更例も含め同様に成る。
【0021】
第3誘電体膜部28は、複数の誘電体層を有する誘電体多層膜である。
第3誘電体膜部28は、第1誘電体膜部20と、製法及び変更例も含め同様に成る。第3誘電体膜部28は、1層以上の低屈折率層28Lと、1層以上の高屈折率層28Hと、を有する。
耐環境性及び長期安定性を確保する観点から、第1多層膜6における1層目及び最終層目の少なくとも一方の層は、好ましくは低屈折率層20L,28Lとされる。
【0022】
第2多層膜10から第4多層膜14は、同様に形成される。第2多層膜10から第4多層膜14において、それぞれの配置が互いに異なる。
第2多層膜10は、第1プリズム2の第1-1面IS上に配置される。第3多層膜12は、第2プリズム4の第2-1面TS上に配置される。第4多層膜14は、第1プリズム2の第1-2面RS上に配置される。
以下、主に第2多層膜10が説明され、第3多層膜12及び第4多層膜14の説明は、適宜省略される。
尚、第2多層膜10から第4多層膜14の少なくとも何れかに係る構成及び製法の少なくとも一方は、互いに異なっていても良い。又、第2多層膜10から第4多層膜14の少なくとも何れかと、第1プリズム2あるいは第2プリズム4との間に、中間膜が設けられても良い。更に、第2多層膜10から第4多層膜14の上(空気側)に、防汚膜等の表層膜が設けられても良い。
【0023】
図5に示されるように、第2多層膜10は、低屈折率層10L及び高屈折率層10Hを有する全7層の光学多層膜である。尚、第2多層膜10の全層数は、6以下であっても良いし、8以上であっても良い。
第2多層膜10は、可視域及び近赤外域における反射率を抑制する反射防止膜である。第2多層膜10における400nm以上1000nm以下の光の反射率は、好ましくは全域で1.2%以下、より好ましくは全域で1.0%以下である。
【0024】
第2多層膜10において、低屈折率層10Lは、低屈折率層20Lと同様に成る。又、高屈折率層10Hは、高屈折率層20Hと同様に成る。更に、低屈折率層10L及び高屈折率層10Hの組合せは、低屈折率層20L及び高屈折率層20Hの組合せと同様である。
図5の例では、第2多層膜10の1層目は低屈折率層10Lであり、以降高屈折率層10Hと低屈折率層10Lとが交互に配置される。
耐環境性及び長期安定性を確保する観点から、第1多層膜6における1層目及び最終層目の少なくとも一方の層は、好ましくは低屈折率層10Lとされる。
【0025】
第2多層膜10は、第1多層膜6と同様に、例えば物理蒸着により形成される。
尚、第2多層膜10の製法は、第1多層膜6の製法と同様の変更例を適宜有する。
【0026】
第3多層膜12及び第4多層膜14は、それぞれ、第2多層膜10と同様に、可視域及び近赤外域における反射率を抑制する。
第3多層膜12及び第4多層膜14の各構成は、何れも第2多層膜10と同様である。
尚、第3多層膜12及び第4多層膜14のうち少なくとも一方の構成は、第2多層膜10と異なっていても良い。又、第2多層膜10から第4多層膜14の少なくとも何れかは、省略されても良い。更に、第2プリズム4の第2-2面(残りの側面)に、第5多層膜が形成されても良い。第5多層膜は、第2多層膜10から第4多層膜14の少なくとも何れかと同様に形成されても良い。
【0027】
ビームスプリッタ1は、可視域における透過光Tの光量と反射光Rの光量との大小関係に対し、近赤外域における透過光Tの光量と反射光Rの光量との大小関係が逆転した状態で、入射光Iを透過光Tと反射光Rに分ける。
例えば、ビームスプリッタ1は、可視域において透過光Tの光量が反射光Rの光量より小さい関係を有するのに対し、近赤外域において透過光Tの光量が反射光Rの光量より大きい関係を有する状態で、入射光Iを透過光Tと反射光Rに分ける。
あるいは、ビームスプリッタ1は、可視域において透過光Tの光量が反射光Rの光量より大きい関係を有するのに対し、近赤外域において透過光Tの光量が反射光Rの光量より小さい関係を有する状態で、入射光Iを透過光Tと反射光Rに分ける。
尚、ビームスプリッタ1における光量の大小関係の逆転は、可視域及び近赤外域の少なくとも一方以外の複数の波長域で起こるようにしても良い。例えば、ビームスプリッタ1は、可視域において透過光Tの光量が反射光Rの光量より小さい関係を有するのに対し、遠赤外域において透過光Tの光量が反射光Rの光量より大きい関係を有する状態で、入射光Iを透過光Tと反射光Rに分けても良い。
【実施例0028】
次いで、本開示の好適な実施例、及び好適な実施例に属さない比較例が説明される。
尚、本開示は、以下の実施例に限定されない。又、本開示の捉え方により、下記の実施例が実質的には比較例となったり、下記の比較例が実質的には好適な実施例となったりすることがある。
【0029】
≪実施例1~3の構成等≫
実施例1~3は、上述の実施形態又は変更例に対応する。
実施例1~3の第1プリズム2及び第2プリズム4は、何れも底面の短辺が20mm(ミリメートル)で高さが20mmの直角二等辺三角柱である。実施例1~3の第1プリズム2及び第2プリズム4の各材質は、何れもBK7(ボロシリケートクラウンガラス)である。
【0030】
又、次の表1に示されるように、実施例1~3の第1多層膜6がそれぞれ形成される。
【0031】
【表1】
【0032】
即ち、実施例1において、第1多層膜6は、図2の構成を有する。
更に、実施例1の第1多層膜6は、第1プリズム2の第1斜面2S側に対し、中間膜のない状態で順に、第1誘電体膜部20の低屈折率層20LとしてのSiO層(物理膜厚181nm)、第1誘電体膜部20の高屈折率層20LとしてのLaOTi層(物理膜厚125nm)、第1金属膜部22の1つの金属層22MとしてのAg層(物理膜厚10nm)、第2誘電体膜部24の1つの高屈折率層24HとしてのLaOTi層(物理膜厚344nm)、第2金属膜部26の1つの金属層26MとしてのAg層(物理膜厚15nm)、第3誘電体膜部28の高屈折率層28HとしてのLaOTi層(物理膜厚219nm)、第3誘電体膜部28の低屈折率層28LとしてのSiO層(物理膜厚277nm)、を有する。低屈折率層28Lは、第2プリズム4の第2斜面4Sに接触する。実施例1の第1多層膜6は、全7層である。
実施例1の第1多層膜6の各層は、真空蒸着法により形成される。
【0033】
又、実施例2において、第1多層膜6Aは、図3の構成を有する。
更に、実施例2の第1多層膜6Aは、第1プリズム2の第1斜面2S側に対し、中間膜のない状態で順に、低屈折率層20LとしてのSiO層(物理膜厚26nm)、高屈折率層20LとしてのTa層(物理膜厚145nm)、金属層22MとしてのAg層(物理膜厚14nm)、第2誘電体膜部24の1つの高屈折率層24HとしてのTa層(物理膜厚255nm)、第2誘電体膜部24の1つの低屈折率層24LとしてのSiO層(物理膜厚93nm)、金属層26MとしてのAg層(物理膜厚13nm)、高屈折率層28HとしてのTa層(物理膜厚182nm)、低屈折率層28LとしてのSiO層(物理膜厚337nm)、を有する。低屈折率層28Lは、第2プリズム4の第2斜面4Sに接触する。実施例2の第1多層膜6Aは、全8層である。
実施例2の第1多層膜6Aの各層は、真空蒸着法により形成される。
【0034】
又更に、実施例3において、第1多層膜6Bは、図4の構成を有する。
更に、実施例3の第1多層膜6Bは、第1プリズム2の第1斜面2S側に対し、中間膜のない状態で順に、低屈折率層20LとしてのSiO層(物理膜厚355nm)、高屈折率層20LとしてのLaOTi層(物理膜厚186nm)、金属層22MとしてのAg層(物理膜厚18nm)、第2誘電体膜部24の1つ目の低屈折率層24LとしてのAl層(物理膜厚85nm)、1つの高屈折率層24HとしてのLaOTi層(物理膜厚255nm)、第2誘電体膜部24の2つ目の低屈折率層24LとしてのSiO層(物理膜厚72nm)、金属層26MとしてのAg層(物理膜厚18nm)、高屈折率層28HとしてのTa層(物理膜厚189nm)、低屈折率層28LとしてのSiO層(物理膜厚350nm)、を有する。低屈折率層28Lは、第2プリズム4の第2斜面4Sに接触する。実施例3の第1多層膜6Bは、全9層である。
実施例3の第1多層膜6Bの各層は、真空蒸着法により形成される。
【0035】
加えて、図5及び次の表2に示されるように、実施例1の第2多層膜10が形成される。
【0036】
【表2】
【0037】
即ち、実施例1の第2多層膜10は、第1プリズム2の第1-1面IS側に対し、中間膜及び表層膜のない状態で順に、低屈折率層10LとしてのAl層(物理膜厚100nm)、高屈折率層10LとしてのZrO層(物理膜厚28nm)、低屈折率層10LとしてのMgF層(物理膜厚27nm)、高屈折率層10LとしてのZrO層(物理膜厚61nm)、低屈折率層10LとしてのMgF層(物理膜厚31nm)、高屈折率層10LとしてのZrO層(物理膜厚26nm)、低屈折率層10LとしてのMgF層(物理膜厚119nm)、を有する。
実施例1の第2多層膜10の各層は、真空蒸着法により形成される。
【0038】
そして、実施例1の第3多層膜12及び第4多層膜14は、それぞれ実施例1の第2多層膜10と同様に形成される。
又、実施例2の第2多層膜10~第4多層膜14は、それぞれ実施例1の第2多層膜10と同様に形成される。
更に、実施例3の第2多層膜10~第4多層膜14は、それぞれ実施例1の第2多層膜10と同様に形成される。
【0039】
実施例1における、第1多層膜6、第2多層膜10及び第4多層膜14を形成した第1プリズム2の第1斜面2Sと、第3多層膜12を形成した第2プリズム4の第2斜面4Sとは、硬化後においてこれらと類似する屈折率を有する接着剤により接合される。
又、実施例2における、第1多層膜6A、第2多層膜10及び第4多層膜14を形成した第1プリズム2の第1斜面2Sと、第3多層膜12を形成した第2プリズム4の第2斜面4Sとは、硬化後においてこれらと類似する屈折率を有する接着剤により接合される。
更に、実施例3における、第1多層膜6B、第2多層膜10及び第4多層膜14を形成した第1プリズム2の第1斜面2Sと、第3多層膜12を形成した第2プリズム4の第2斜面4Sとは、硬化後においてこれらと類似する屈折率を有する接着剤により接合される。
【0040】
≪比較例の構成等≫
比較例は、第1多層膜~第4多層膜を除き、実施例1と同様に成る。
【0041】
比較例は、図6及び上記表1の右側に示されるように、第1多層膜6Cを有する。
第1多層膜6Cは、2つの低屈折率層6Lと、2つの高屈折率層6Hと、1つの金属層6Mとを有する全5層の多層膜である。
比較例の第1多層膜6Cは、第1プリズム2の第1斜面2S側に対し、中間膜のない状態で順に、低屈折率層6LとしてのSiO層(物理膜厚355nm)、高屈折率層6HとしてのLaOTi層(物理膜厚186nm)、1つの金属層22MとしてのAg層(物理膜厚18nm)、低屈折率層6LとしてのAl層(物理膜厚85nm)、高屈折率層6HとしてのLaOTi層(物理膜厚225nm)、を有する。5層目の高屈折率層6Hは、第2プリズム4の第2斜面4Sに接触する。
比較例の第1多層膜6Cの各層は、真空蒸着法により形成される。
【0042】
比較例の第2多層膜は、全5層であり、上記表2の右側に示されるように形成される。
比較例の第3多層膜~第4多層膜は、何れも、比較例の第2多層膜と同様に形成される。
【0043】
≪実施例1~3及び比較例の特性等≫
図7は、比較例の第1多層膜6Cにおける可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率[%]及び各種の反射率[%]の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。図8は、比較例の第1多層膜6Cにおける400nm以上1000nm以下での各種の透過率及び各種の反射率の分布(実測値)を示すグラフである。
各種の透過率は、P偏光透過率Tと、S偏光透過率Tと、平均透過率Tと、を含む。
各種の反射率は、P偏光反射率Rと、S偏光反射率Rと、平均反射率Rと、を含む。
【0044】
比較例の第1多層膜6Cにおける各種の透過率の分布及び各種の反射率の分布の各実測値は、各シミュレーション値と極めて類似している。
比較例の第1多層膜6Cにおける各種の透過率は、400nm以上1000nm以下で概ね単調増加している。比較例の第1多層膜6Cにおける各種の反射率は、400nm以上1000nm以下で概ね単調減少している。
【0045】
比較例の第1多層膜6Cは、可視域内の波長650nmの光を、実測値で、約25%透過し、約70%反射する。尚、残りの約5%は、吸収及び散乱の少なくとも一方によるものと考えられる。
又、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光透過率T及びS偏光透過率Tは、波長650nmにおいて、ほぼ同じである。更に、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光反射率R及びS偏光反射率Rは、波長650nmにおいて、ほぼ同じである。
よって、比較例の第1多層膜6Cは、波長650nmの入射光Iを、およそ透過光T:反射光R=1:3の比率において、非偏光で分ける。
そして、比較例の第1多層膜6Cの平均透過率Tは、実測値で、可視域全体において、25±10ポイントの数値域内に入っている。又、比較例の第1多層膜6Cの平均反射率Rは、実測値で、可視域全体において、65±10ポイントの数値域内に入っている。更に、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、実測値で、可視域全体において、10ポイント以内となっている。加えて、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、実測値で、可視域全体において、10ポイント以内となっている。
【0046】
他方、比較例の第1多層膜6Cは、近赤外域内の波長850nmの光を、実測値で、約12%透過し、約82%反射する。
又、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、5ポイント程度である。更に、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、5ポイント程度である。
よって、比較例の第1多層膜6Cは、波長850nmの入射光Iを、およそ透過光T:反射光R=1:8の比率において、非偏光で分ける。
そして、比較例の第1多層膜6Cの平均透過率Tは、実測値で、近赤外域全体において、12.5±2.5ポイントの数値域内に入っている。又、比較例の第1多層膜6Cの平均反射率Rは、実測値で、近赤外域全体において、82±3ポイントの数値域内に入っている。更に、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、実測値で、近赤外域全体において、5ポイント以内となっている。加えて、比較例の第1多層膜6CにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、実測値で、近赤外域全体において、5ポイント以内となっている。
【0047】
比較例の第1多層膜6Cは、可視域及び近赤外域の何れの領域においても、透過光Tの光量より反射光Rの光量が大きい状態で(透過光T<反射光R)、入射光Iを非偏光で分ける。
【0048】
図9は、比較例の第2多層膜における400nm以上1000nm以下での平均反射率Rの分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
比較例の第2多層膜は、可視域全域で0.6%以下となるような低反射特性を呈する一方、可視域より長波長側ではかような低反射特性を呈さない。又、比較例の第3多層膜及び第4多層膜は、何れも比較例の第2多層膜と同様に成る。
よって、比較例では、入射光I並びに透過光T及び反射光Rにおいて赤外光が含まれていたとしても、その赤外光の一部あるいは大部分が、カットされる。
【0049】
図10は、実施例1の第1多層膜6における可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率[%]及び各種の反射率[%]の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
実施例1の第1多層膜6における各種の透過率と各種の反射率との大小関係は、675nm付近で逆転している。即ち、可視域の下限である450nm以上で675nm未満の波長域において、各種の透過率は各種の反射率より小さい。但し、P偏光透過率Tは、(450nm以上)475nm未満の波長域で、P偏光反射率Rより大きい。これに対し、675nm以上で近赤外域の上限である875nm以下の波長域において、各種の透過率は各種の反射率より大きい。
【0050】
実施例1の第1多層膜6は、可視域内の波長650nmの光を、約42%透過し、約53%反射する。
又、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光透過率T及びS偏光透過率Tの差の絶対値は、波長650nmにおいて、4ポイント程度である。更に、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光反射率R及びS偏光反射率Rの差の絶対値は、波長650nmにおいて、1ポイント程度である。
よって、実施例1の第1多層膜6は、波長650nmの入射光Iを、およそ透過光T:反射光R=4:5の比率において、非偏光で分ける。
そして、実施例1の第1多層膜6の平均透過率Tは、可視域全体において、40±10ポイントの数値域内に入っている。又、実施例1の第1多層膜6の平均反射率Rは、可視域全体において、55±22ポイントの数値域内に入っている。更に、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、可視域全体において、40ポイント以内となっており、特に波長550nm以上では10ポイント以内となっている。加えて、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、可視域全体において、35ポイント以内となっており、特に波長550nm以上では8ポイント以内となっている。
【0051】
他方、実施例1の第1多層膜6は、近赤外域内の波長850nmの光を、約78%透過し、約5%反射する。
又、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、5ポイント程度である。更に、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、7ポイント程度である。
よって、実施例1の第1多層膜6は、波長850nmの入射光Iを、およそ透過光T:反射光R=16:1の比率において、非偏光で分ける。
そして、実施例1の第1多層膜6の平均透過率Tは、近赤外域全体において、77±3ポイントの数値域内に入っている。又、実施例1の第1多層膜6の平均反射率Rは、近赤外域全体において、8±3ポイントの数値域内に入っている。更に、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、近赤外域全体において、10ポイント以内となっている。加えて、実施例1の第1多層膜6におけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、近赤外域全体において、17ポイント以内となっている。
【0052】
実施例1の第1多層膜6は、可視域では透過光Tの光量より反射光Rの光量が大きい状態で入射光Iを非偏光で分け、近赤外域では透過光Tの光量より反射光Rの光量が小さい状態で入射光Iを非偏光で分ける。
実施例1の第1多層膜6では、可視域での透過光Tの光量及び反射光Rの光量の大小関係(透過光T<反射光R)は、近赤外域での透過光Tの光量及び反射光Rの光量の大小関係(透過光T>反射光R)に対して逆転している。
【0053】
図11は、実施例1の第2多層膜10における400nm以上1000nm以下での平均反射率Rの分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
実施例1の第2多層膜10は、可視域の全域及び近赤外域の全域で1%以下となるような低反射特性を有している。又、実施例1の第3多層膜12及び第4多層膜14は、何れも実施例1の第2多層膜10と同様に成る。
よって、実施例1では、入射光I並びに透過光T及び反射光Rにおける可視光及び赤外光の反射が抑制される。
実施例1の第2多層膜10から第4多層膜14における低屈折率層10Lは、1層目を除き、MgFとされている。よって、可視域及び近赤外域を含む広い領域における反射防止機能が、よりシンプルな設計でより容易に確保される。又、実施例1の第2多層膜10から第4多層膜14における1層目の低屈折率層10Lは、Alとされている。よって、第1プリズム2又は第2プリズム4に対するより強固な密着性が確保される。これらは、実施例2~3の第2多層膜10から第4多層膜14においても同様である。
【0054】
実施例1のビームスプリッタ1は、平均的に、可視域では透過光T:反射光R=1:2程度で入射光Iを非偏光で分け、近赤外域では透過光T:反射光R=10:1程度で入射光Iを非偏光で分ける。
例えば、実施例1のビームスプリッタ1は、撮影対象からの光を入射光Iとし、透過光T側に近赤外光カメラを置き、反射光R側に可視光カメラを置く光学系に用いることができる。これは、実施例2,3においても同様である。
【0055】
図12は、実施例2の第1多層膜6Aにおける可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率[%]及び各種の反射率[%]の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
実施例2の第1多層膜6Aにおける各種の透過率と各種の反射率との大小関係は、680nm付近で逆転している。即ち、可視域の下限である450nm以上で約680nm未満の波長域において、各種の透過率は各種の反射率より小さい。これに対し、約680nm以上で近赤外域の上限である875nm以下の波長域において、各種の透過率は各種の反射率より大きい。
【0056】
実施例2の第1多層膜6Aは、可視域内の波長600nmの光を、約27%透過し、約68%反射する。
又、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光透過率T及びS偏光透過率Tの差の絶対値は、波長600nmにおいて、20ポイント程度である。更に、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光反射率R及びS偏光反射率Rの差の絶対値は、波長600nmにおいて、21ポイント程度である。
よって、実施例2の第1多層膜6Aは、波長600nmの入射光Iを、およそ透過光T:反射光R=3:7の比率において、非偏光で分ける。
そして、実施例2の第1多層膜6Aの平均透過率Tは、可視域全体において、36±18ポイントの数値域内に入っている。又、実施例2の第1多層膜6Aの平均反射率Rは、可視域全体において、55.5±15.5ポイントの数値域内に入っている。更に、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、可視域全体において、34ポイント以内となっており、特に波長550nm以上では22ポイント以内となっている。加えて、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、可視域全体において、40ポイント以内となっており、特に波長550nm以上では25ポイント以内となっている。尚、実施例2の第1多層膜6Aにおける、可視域でのP偏光透過率T及びS偏光透過率Tの差の絶対値、並びにP偏光反射率R及びS偏光反射率Rの差の絶対値は、他の例に比べて大きくなっている。
【0057】
他方、実施例2の第1多層膜6Aは、近赤外域内の波長850nmの光を、約83%透過し、約0%反射する(即ち反射しない)。
又、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、3ポイント程度である。更に、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、0.2ポイント程度である。
よって、実施例2の第1多層膜6Aは、波長850nmの入射光Iのほぼ全てを、非偏光で透過する。
そして、実施例2の第1多層膜6Aの平均透過率Tは、近赤外域全体において、81.5±2.5ポイントの数値域内に入っている。又、実施例2の第1多層膜6Aの平均反射率Rは、近赤外域全体において、2.5±2.5ポイントの数値域内に入っている。更に、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、近赤外域全体において、4ポイント以内となっている。加えて、実施例2の第1多層膜6AにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、近赤外域全体において、5.5ポイント以内となっている。
【0058】
実施例2の第1多層膜6Aは、可視域では透過光Tの光量より反射光Rの光量が大きい状態で入射光Iを非偏光で分け、近赤外域では透過光Tの光量より反射光Rの光量が小さい状態で入射光Iを非偏光で分ける。
実施例2の第1多層膜6Aでは、可視域での透過光Tの光量及び反射光Rの光量の大小関係(透過光T<反射光R)は、近赤外域での透過光Tの光量及び反射光Rの光量の大小関係(透過光T>反射光R)に対して逆転している。
【0059】
実施例2のビームスプリッタ1は、平均的に、可視域では透過光T:反射光R=1:2程度で入射光Iを非偏光で分け、近赤外域では殆ど全てが透過光Tとなるように入射光Iを非偏光で分ける。
実施例2は、他の実施例に比べ、近赤外域の非偏光性が高く、近赤外域の非偏光性が可視域の非偏光性に比べ重視される場合に好適である。
【0060】
図13は、実施例3の第1多層膜6Bにおける可視域及び近赤外域並びにそれらの隣接領域(400nm以上1000nm以下)での各種の透過率[%]及び各種の反射率[%]の分布(シミュレーション値)を示すグラフである。
実施例3の第1多層膜6Bにおける各種の透過率と各種の反射率との大小関係は、730nm付近で逆転している。即ち、可視域の下限である450nm以上で約730nm未満の波長域において、各種の透過率は各種の反射率より小さい。これに対し、約730nm以上で近赤外域の上限である875nm以下の波長域において、各種の透過率は各種の反射率より大きい。
【0061】
実施例3の第1多層膜6Bは、可視域内の波長600nmの光を、約10%透過し、約85%反射する。
又、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光透過率T及びS偏光透過率Tの差の絶対値は、波長600nmにおいて、12ポイント程度である。更に、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光反射率R及びS偏光反射率Rの差の絶対値は、波長600nmにおいて、14ポイント程度である。
よって、実施例3の第1多層膜6Bは、波長600nmの入射光Iを、およそ透過光T:反射光R=2:17の比率において、非偏光で分ける。
そして、実施例3の第1多層膜6Bの平均透過率Tは、可視域全体において、18±9ポイントの数値域内に入っている。又、実施例3の第1多層膜6Bの平均反射率Rは、可視域全体において、76.3±8.5ポイントの数値域内に入っている。更に、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、可視域全体において、30ポイント以内となっており、特に波長500nm以上では16.2ポイント以内となっている。加えて、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、可視域全体において、36ポイント以内となっており、特に波長500nm以上では20.1ポイント以内となっている。
【0062】
他方、実施例3の第1多層膜6Bは、近赤外域内の波長850nmの光を、約74.2%透過し、約2.3%反射する(即ちほぼ反射しない)。
又、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、3.5ポイント程度である。更に、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、波長850nmにおいて、2.5ポイント程度である。
よって、実施例3の第1多層膜6Bは、波長850nmの入射光Iのほぼ全てを、非偏光で透過する。
そして、実施例3の第1多層膜6Bの平均透過率Tは、近赤外域全体において、69.8±10.5ポイントの数値域内に入っている。又、実施例3の第1多層膜6Bの平均反射率Rは、近赤外域全体において、16.5±12.5ポイントの数値域内に入っている。更に、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光透過率TとS偏光透過率Tとの差の絶対値は、近赤外域全体において、21ポイント以内となっている。加えて、実施例3の第1多層膜6BにおけるP偏光反射率RとS偏光反射率Rとの差の絶対値は、近赤外域全体において、24.5ポイント以内となっている。
【0063】
実施例3の第1多層膜6Bは、可視域では透過光Tの光量より反射光Rの光量が大きい状態で入射光Iを非偏光で分け、近赤外域では透過光Tの光量より反射光Rの光量が小さい状態で入射光Iを非偏光で分ける。
実施例3の第1多層膜6Bでは、可視域での透過光Tの光量及び反射光Rの光量の大小関係(透過光T<反射光R)は、近赤外域での透過光Tの光量及び反射光Rの光量の大小関係(透過光T>反射光R)に対して逆転している。
【0064】
実施例3のビームスプリッタ1は、平均的に、可視域では透過光T:反射光R=1:5程度で入射光Iを非偏光で分け、近赤外域では殆ど全てが透過光Tとなるように(透過光T:反射光R=14:1程度で)入射光Iを非偏光で分ける。
実施例3は、他の実施例に比べ、可視域の非偏光性と近赤外域の非偏光性とのバランスに優れ、又可視域における各種の透過率分布及び各種の反射率分布の各平坦性と近赤外域における各種の透過率分布及び各種の反射率分布の各平坦性とのバランスに優れる。
【0065】
≪まとめ等≫
実施例1~3のビームスプリッタ1は、第1斜面2Sを有する第1プリズム2と、第1多層膜6を介して第1斜面2Sと合わせられる第2斜面4Sを有する第2プリズム4と、を備えており、第1多層膜6は、1つの金属層22Mを有する第1金属膜部22と、1つの金属層26Mを有する第2金属膜部26と、第1斜面2Sと第1金属膜部22との間に配置されており、2つの誘電体層を有している第1誘電体膜部20と、第1金属膜部22と第2金属膜部26との間に配置されており、1以上の誘電体層を有している第2誘電体膜部24と、第2金属膜部26と第2斜面4Sとの間に配置されており、2つの誘電体層を有している第3誘電体膜部28と、を備えている。
よって、実施例1~3のビームスプリッタ1は、複数の波長域の一部において、透過光Tの光量と反射光Rの光量との大小関係が、複数の波長域の残部における透過光Tの光量と反射光Rの光量との大小関係と異なる状態で、入射光Iを透過光Tと反射光Rに分岐可能である。従って、実施例1~3のビームスプリッタの機能は、更に向上する。
【0066】
更に、実施例2~3において、第2誘電体膜部24は、誘電体層として、低屈折率層24L及び高屈折率層24Hを有している。又、実施例3において、第2誘電体膜部24は、第1金属膜部22側から順に、低屈折率層24L、高屈折率層24H、及び低屈折率層24Lを有している。よって、各波長域における非偏光性の程度、透過光Tと反射光Rとの比率、透過光Tの分布態様、反射光Rの分布態様の少なくとも何れか等が更に調整し易くなる。
又更に、実施例3において、第2誘電体膜部24は、第1金属膜部22側から順に、Al製の低屈折率層24L、LaOTi製の高屈折率層24H、及びSiO製の低屈折率層24Lを有している。よって、各波長域においてバランスのとれた状態とする等、任意の設計意図が具体的により反映させ易くなる。
【0067】
加えて、実施例1~3において、第1金属膜部22及び第2金属膜部26は、銀製の金属層22M,26Mを含む。よって、第1金属膜部22及び第2金属膜部26が、より構成し易い。
更に、実施例1において、第2誘電体膜部24は、誘電体層として、低屈折率層24L及び高屈折率層24Hを有しており、第1誘電体膜部20は、誘電体層として、高屈折率層24Hと同一材料の高屈折率層20Lを有しており、第3誘電体膜部28は、誘電体層として、高屈折率層24Hと同一材料の高屈折率層28Hを有している。又、実施例2~3において、第2誘電体膜部24は、誘電体層として、低屈折率層24L及び高屈折率層24Hを有しており、第1誘電体膜部20は、誘電体層として、低屈折率層24Lと同一材料の低屈折率層20L、及び高屈折率層24Hと同一材料の高屈折率層20Lを有しており、第3誘電体膜部28は、誘電体層として、低屈折率層24Lと同一材料の低屈折率層28L、及び高屈折率層24Hと同一材料の高屈折率層28Hを有している。よって、第1多層膜6,6A,6Bがより形成し易く、ビームスプリッタ1がより形成し易い。
又更に、実施例2,3では、第2誘電体膜部24の低屈折率層24Lとして、SiO製の層が含まれる。又、実施例2では、第2誘電体膜部24の高屈折率層24Hとして、Ta製の層が含まれる。他方、実施例3では、第2誘電体膜部24の高屈折率層24Hとして、LaOTi製の層が含まれる。よって、より形成し易いビームスプリッタ1の第1多層膜6A,6Bが、より具体的に提示される。
【0068】
又、実施例1~3において、第1プリズム2は、入射光Iが入射する第1-1面ISと、反射光Rが出射する第1-2面RSと、を有しており、第2プリズム4は、透過光Tが出射する第2-1面TSを有しており、更に、ビームスプリッタ1には、第1-1面ISに形成されており複数の波長域において入射光Iの反射を抑制する第2多層膜10、第2-1面TSに形成されており複数の波長域において透過光Tの反射を抑制する第3多層膜12、及び第1-2面RSに形成されており複数の波長域において反射光Rの反射を抑制する第4多層膜14が設けられている。
よって、入射光Iの入射、並びに透過光Tの出射及び反射光Rの出射に係る性能が、より一層良好となる。
【0069】
そして、実施例1~3のビームスプリッタ1は、入射光Iを透過光Tと反射光Rとに分けるものであって、第1波長域における透過光Tの光量と反射光Rの光量との大小関係に対し、第2波長域における透過光Tの光量と反射光Rの光量との大小関係が逆転したものである。又、実施例1~3のビームスプリッタ1において、第1波長域は、可視域であり、第2波長域は、近赤外域である。
よって、第1波長域(可視域)と第2波長域(近赤外域)とで透過光Tの光量と反射光Rの光量との大小関係が互いに異なる特性を有する、機能の向上したビームスプリッタ1が提供される。
【符号の説明】
【0070】
1・・ビームスプリッタ、2・・第1プリズム、2S・・第1斜面、4・・第2プリズム、4S・・第2斜面、6,6A,6B・・第1多層膜、10・・第2多層膜、12・・第3多層膜、14・・第4多層膜、20・・第1誘電体膜部、20H・・高屈折率層(第1誘電体膜部)、20L・・低屈折率層(第1誘電体膜部)、22・・第1金属膜部、22M,26M・・金属層、24・・第2誘電体膜部、24H・・高屈折率層(第2誘電体膜部)、24L・・低屈折率層(第2誘電体膜部)、26・・第2金属膜部、28・・第3誘電体膜部、28H・・高屈折率層(第3誘電体膜部)、28L・・低屈折率層(第3誘電体膜部)、I・・入射光、IS・・第1-1面(入射光面)、R・・反射光、RS・・第1-2面(反射光面)、T・・透過光、TS・・第2-1面(透過光面)。
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