(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091550
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】浴室の換気構造
(51)【国際特許分類】
E06B 7/10 20060101AFI20230623BHJP
E06B 7/084 20060101ALI20230623BHJP
E06B 1/04 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
E06B7/10
E06B7/084
E06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206350
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 佑太
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036JA06
2E036JC01
2E036KA03
2E036LA01
2E036MA06
2E036MA07
(57)【要約】
【課題】脱衣室側から浴室側への水の流れをスムーズにすることができる浴室の換気構造を提供すること。
【解決手段】浴室の換気構造7は、下枠22を有する枠体2と、枠体2内に配置される障子3,4と、を備える建具に設けられる浴室の換気構造7であって、下枠22は、下枠本体5と、下枠本体5の上方側に配置される下枠上部材6と、を有し、下枠本体5と下枠上部材6との間に設けられ浴室と脱衣室とを連通する換気通路71と、換気通路71に配置される少なくとも1枚の羽根板72,73と、を備え、羽根板72,73と下枠本体5との間に隙間Sが形成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠を有する枠体と、前記枠体内に配置される障子と、を備える建具に設けられる浴室の換気構造であって、
前記下枠は、下枠本体と、前記下枠本体の上方側に配置される下枠上部材と、を有し、
前記下枠本体と前記下枠上部材との間に設けられ浴室と脱衣室とを連通する換気通路と、
前記換気通路に配置される少なくとも1枚の羽根板と、を備え、
前記羽根板と前記下枠本体との間に隙間が形成される、浴室の換気構造。
【請求項2】
前記下枠本体の上方に設けられ、前記羽根板が取り付けられる羽根板取付部材を備え、
前記羽根板取付部材と前記下枠本体との間に前記隙間が形成される、請求項1に記載の浴室の換気構造。
【請求項3】
前記羽根板取付部材は、前記下枠本体との間に前記隙間を形成した状態で、前記下枠本体にスペーサ部材を介して固定される、請求項2に記載の浴室の換気構造。
【請求項4】
前記下枠本体の長手方向の両端部に取り付けられる一対の端部支持部材を有し、
前記端部支持部材は、前記下枠上部材と前記下枠本体との間に空間を形成するように前記下枠上部材を前記下枠本体との間に配置される空間形成支持部を有する、請求項1~3のいずれかに記載の浴室の換気構造。
【請求項5】
前記端部支持部材は、支持部材外側部材と、前記支持部材外側部材の内部側に配置される芯材と、を有する、請求項4に記載の浴室の換気構造。
【請求項6】
前記下枠本体の上方に設けられ、前記羽根板が取り付けられる羽根板取付部材を備え、
前記羽根板取付部材は、前記下枠本体との間に前記隙間を形成した状態で、前記端部支持部材に固定される、請求項4又は5に記載の浴室の換気構造。
【請求項7】
前記羽根板を複数備え、
複数の前記羽根板は、前記下枠本体の上方に設けられる羽根板取付部材に取り付けられることで一体に構成される、請求項1~6のいずれかに記載の浴室の換気構造。
【請求項8】
前記羽根板は、前記下枠本体の上方に設けられる羽根板取付部材に取り付けられ、
前記隙間は、前記羽根板取付部材と前記下枠本体との間に形成され、
前記羽根板取付部材における浴室側の端部側の下面に設けられ、浴室の床面まで延びる止水材を備える、請求項1~7のいずれかに記載の浴室の換気構造。
【請求項9】
前記止水材は、前記下枠の長手方向に延びて形成され、
前記止水材により止水された水は、前記止水材の長手方向の両端部から排水される、請求項8に記載の浴室の換気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴室の換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室と脱衣室とを連通する開口部に設けられる建具において、枠体の下枠に浴室の換気構造が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の換気構造においては、浴室と脱衣室とを連通する換気通路により浴室の換気を行うことができると共に、水が浴室側から換気通路に流入した場合に換気通路に設けられた羽根板が回転することにより水の脱衣室側への流入を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の浴室の換気構造においては、羽根板の根元が下枠に固定されているため、羽根板が回転して換気通路を塞いだ場合に、脱衣室側の水が浴室側に抜けにくい。
【0005】
本開示は、脱衣室側から浴室側への水の流れをスムーズにすることができる浴室の換気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、下枠を有する枠体と、前記枠体内に配置される障子と、を備える建具に設けられる浴室の換気構造であって、前記下枠は、下枠本体と、前記下枠本体の上方側に配置される下枠上部材と、を有し、前記下枠本体と前記下枠上部材との間に設けられ浴室と脱衣室とを連通する換気通路と、前記換気通路に配置される少なくとも1枚の羽根板と、を備え、前記羽根板と前記下枠本体との間に隙間が形成される、浴室の換気構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の建具を浴室側から見た図である。
【
図4】第1羽根板及び第2羽根板の下方の隙間を示す拡大断面図である。
【
図6】下枠から複数の換気ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図7】換気ユニットを下方側から見た斜視図である。
【
図8】換気ユニットを上方側から見た分解斜視図である。
【
図9】換気ユニットを下方側から見た分解斜視図である。
【
図13】止水材が防水パンに接触した状態を浴室側の正面側から見た図である。
【
図14】可動閉止部材が配置された部分の拡大断面図である。
【
図15】可動閉止部材を下枠から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図17A】第2実施形態の浴室の換気構造を示す断面図である。
【
図17B】第2実施形態の羽根板取付部材の取り付け構造を示す斜視図である。
【
図18】第3実施形態の浴室の換気構造を示す断面図である。
【
図19】第4実施形態の可動閉止部材を示す断面図である。
【
図20】第5実施形態の可動閉止部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に配置された開口部に納められた建具におけるガラスパネルの面方向を意味する。見付方向において、横方向を左右方向という。「見込方向」とは、上記ガラスパネルの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。本実施形態においては、面材の一例としてガラスパネルを用いた場合について説明する。面材はガラスパネルに限定されない。
【0009】
図1~
図3に示すように、第1実施形態の建具1は、建物としてのユニットバス(図示省略)に形成される開口部に設けられる。建具1は、いわゆる引き違い障子であり、
図1に示すように、枠体2と、枠体2内に開閉可能に嵌め込まれた内障子3(障子)及び外障子4(障子)と、浴室の換気構造7と、を備える。本実施形態においては、引き違い障子において、浴室側X1に配置される障子を内障子3といい、脱衣室側X2に配置される障子を外障子4という。建具1は、内障子3及び外障子4により枠体2内の開口部分を開閉可能である。
【0010】
枠体2は、建物としてのユニットバス(図示省略)に形成される開口部に設けられる。ユニットバスの内側には、
図2に示すように、防水パン111及び浴槽(図示省略)等が設けられる浴室空間が形成される。ユニットバスの開口部は、浴室と脱衣室とを連通する。
【0011】
枠体2は、
図1~
図3に示すように、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。上枠21は、枠体2の上部において左右方向に延びる長尺状に形成される。下枠22は、枠体2の下部において左右方向に延びる長尺状に形成される。左右の縦枠23,24は、上枠21及び下枠22の左右方向の両端部において上下方向に延びる。
【0012】
内障子3及び外障子4は、枠体2内をスライド可能である。内障子3及び外障子4は、いずれも引き戸であり、これらを左右方向にスライドさせることで、枠体2の内側の開口部分を開放又は閉鎖する、いわゆる引き違い障子を構成する。
【0013】
内障子3は、
図1~
図3に示すように、いずれも、細幅で長尺状の上框31、下框32及び召合せ框33(框),戸先框34(框)により矩形に枠組みされた框体35と、框体35内に嵌め込まれて固定されたガラスパネル36(面材)と、を含んで構成される。ガラスパネル36は、細幅の框(上框31、下框32、召合せ框33及び戸先框34)に嵌め込まれて固定されており、内障子3は、スッキリとしたデザイン性を有する。
【0014】
外障子4は、いずれも、細幅で長尺状の上框41、下框42及び召合せ框43(框),戸先框44(框)により矩形に枠組みされた框体45と、框体45内に嵌め込まれて固定されたガラスパネル46(面材)と、を含んで構成される。ガラスパネル46は、細幅の框(上框41、下框42、召合せ框43及び戸先框44)に嵌め込まれて固定されており、外障子4は、スッキリとしたデザイン性を有する。
【0015】
上枠21は、
図2に示すように、浴室側X1に設けられる上枠浴室側呑み込み部211と、脱衣室側X2に設けられる上枠脱衣室側呑み込み部212と、を有する。上枠浴室側呑み込み部211及び上枠脱衣室側呑み込み部212は、見込方向に隣り合って並んで配置され、下方に向けて開放する枠状に形成される。上枠浴室側呑み込み部211には、内障子3の上框31の上端が呑み込まれて配置される。上枠脱衣室側呑み込み部212には、外障子4の上框41の上端が呑み込まれて配置される。
【0016】
下枠22は、
図2に示すように、下枠本体5と、下枠本体5の上方側に配置される下枠スロープ部材6(下枠上部材)と、を有する。下枠本体5及び下枠スロープ部材6は、いずれも、左右方向に延びる長尺状に形成されると共に、見込方向に所定長さ延びる。下枠22には、浴室の換気構造7が設けられている。
【0017】
浴室の換気構造7は、下枠22を構成する下枠本体5及び下枠スロープ部材6と、第1羽根板72と、第2羽根板73と、止水材75と、を備える。
【0018】
下枠本体5は、見込方向において、浴室内の防水パン111と脱衣室内の脱衣室側床材112を跨ぐように延びる。下枠本体5は、上面が段差状に形成される。
【0019】
下枠本体5は、下枠本体5の下端に設けられ見込方向に延びる中空状の下端中空部51と、下端中空部51の浴室側X1の端部の上面から浴室側X1に延びる浴室側延在部52と、下端中空部51の脱衣室側X2の端部から上方に延びる段差部53と、段差部53の上端から脱衣室側X2に延びる脱衣室側延在部54と、段差部53の上端から浴室側X1に突出する突出片55と、を有する。浴室側延在部52の浴室側X1の端部は、浴室の防水パン111の上面に配置される。脱衣室側延在部54の脱衣室側X2の端部は、脱衣室側床材112の上面に配置される。
【0020】
下枠スロープ部材6は、左右方向に延びる長尺の板状に形成され、見込方向に所定長さ延びる。下枠スロープ部材6は、下枠本体5との間に換気通路71を構成する空間Kを形成して、下枠本体5の上方側に配置される。換気通路71は、下枠本体5と下枠スロープ部材6との間に設けられ、浴室と脱衣室とを連通する。
【0021】
下枠スロープ部材6は、
図2に示すように、脱衣室側延在部60と、ガイド凹部61と、浴室側延在部62と、スロープ傾斜部63と、脱衣室側端部傾斜突出片64と、を有する。脱衣室側延在部60、ガイド凹部61、浴室側延在部62及びスロープ傾斜部63は、脱衣室側X2から浴室側X1に向けてこの順に配置される。
【0022】
ガイド凹部61は、
図2に示すように、上方側が凹んだ枠状に形成される。ガイド凹部61は、内障子3及び外障子4の下方に配置される。ガイド凹部61には、内障子3の下端突起3a及び外障子4の下端突起4aが配置される。ガイド凹部61は、スライド移動可能な内障子3及び外障子4の下端をガイドする。
【0023】
脱衣室側延在部60は、ガイド凹部61の脱衣室側X2の端部から脱衣室側X2に水平に所定長さ延びる。浴室側延在部62は、ガイド凹部61の浴室側X1の端部から浴室側X1に水平に所定長さ延びる。スロープ傾斜部63は、浴室側延在部62の浴室側X1の端部から浴室側X1に下り傾斜で所定長さ延びる。
【0024】
脱衣室側端部傾斜突出片64は、脱衣室側延在部60の脱衣室側X2の端部において、下方に突出する。脱衣室側端部傾斜突出片64は、脱衣室側X2から浴室側X1に向かうに従って、下方に向かうように傾斜する。
【0025】
下枠スロープ部材6は、見込方向において、下枠本体5の段差部53の上端から浴室側X1に離れて配置される。下枠スロープ部材6は、下枠本体5との間に空間Kを有して配置される。
【0026】
空間Kは、浴室と脱衣室とを連通する換気通路71を構成する。換気通路71は、換気機構を構成し、建具1の見込方向に延びて形成される。換気通路71は、浴室側X1に形成される浴室側開口711と、脱衣室側X2に形成される脱衣室側開口712と、を有する。
【0027】
浴室側開口711は、換気通路71における浴室側X1に設けられる開口であり、浴室側X1において防水パン111と下枠スロープ部材6の浴室側X1の先端との間に形成される。脱衣室側開口712は、換気通路71における脱衣室側X2に設けられる開口であり、下枠スロープ部材6の脱衣室側X2の端部と下枠本体5の段差部53との間に形成される。脱衣室側開口712は、上方に向けて開口する。浴室の換気構造7は、換気通路71を通して、浴室を換気する。換気通路71における脱衣室側開口712の下方には、可動閉止部材9が配置される。可動閉止部材9の詳細については後述する。
【0028】
下枠本体5は、段差部53の上端から浴室側X1に突出する突出片55を有する。突出片55は、脱衣室側開口712の一部を塞ぐように、下枠本体5の段差部53の上端から脱衣室側開口712側に突出する。突出片55は、下方に向けて開放するL字状に形成される。突出片55は、換気通路71において、2枚の第1羽根板72及び第2羽根板73を突破して脱衣室側X2に流入した水を、脱衣室側開口712から溢れないように、一定程度抑制することができる。
【0029】
換気通路71には、
図2に示すように、第1羽根板72、第2羽根板73及び可動閉止部材9が配置される。第1羽根板72及び第2羽根板73は、羽根板取付部材81に取り付けられる。第1羽根板72及び第2羽根板73は、羽根板取付部材81に取り付けられることで、一体に構成される。
【0030】
そのため、第1羽根板72及び第2羽根板73を換気通路71に設ける場合に、一体で下枠本体5に取り付ければよいので、容易に取り付けることができる。また、第1羽根板72及び第2羽根板73を一体とすることで、取付位置のばらつきを抑制できる。これにより、第1羽根板72及び第2羽根板73を一体として取付位置のばらつきを抑制することで、第1羽根板72及び第2羽根板73が回転した場合において、第1羽根板72の先端及び第2羽根板73の先端を、下枠スロープ部材6の下面に確実に当接させる位置に容易に取り付けることができる。
【0031】
羽根板取付部材81は、
図4に示すように、下枠本体5の上方に設けられる。羽根板取付部材81と下枠本体5との間に隙間Sが形成されることで、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間には、隙間Sが形成される。羽根板取付部材81は、下枠本体5との間に隙間Sを形成した状態で、下枠スロープ部材6に固定されている。
【0032】
第1羽根板72及び第2羽根板73は、3つの換気ユニット8それぞれにおいて、羽根板取付部材81に取り付けられた状態で、羽根板取付部材81を介して下枠スロープ部材6に固定される。3つの換気ユニット8は、
図5及び
図6に示すように、下枠本体5の上面に、左右方向(長手方向)に並んで配置される。
【0033】
換気ユニット8は、
図7~
図9に示すように、それぞれ、下枠スロープ部材6と、第1羽根板72及び第2羽根板73が取り付けられた羽根板取付部材81と、一対の端部支持キャップ82(端部支持部材)と、中間支持部材83と、を有する。
【0034】
羽根板取付部材81は、下枠スロープ部材6の下方に配置され、下枠スロープ部材6の左右方向(長手方向)に延びる。羽根板取付部材81は、一対の端部支持キャップ82及び中間支持部材83を介して、下枠本体5との間に隙間S(
図4参照)を形成した状態で、下枠スロープ部材6に固定される。羽根板取付部材81と下枠本体5との間に隙間Sが形成されることで、羽根板取付部材81と下枠本体5との間の隙間Sを介して、脱衣室側X2から浴室側X1へ水をスムーズに流すことができる。
【0035】
一対の端部支持キャップ82は、
図8及び
図9に示すように、下枠スロープ部材6の左右方向(長手方向)の両端部に取り付けられる。一対の端部支持キャップ82は、それぞれ、見込方向に延びて形成される。
【0036】
端部支持キャップ82は、
図10に示すように、端部支持キャップ本体821(支持部材外側部材)と、端部支持キャップ本体821の内部側に配置され見込方向に延びる芯材822と、を有する。芯材822は、端部支持キャップ82の浴室側X1において、上方に向けて開放すると共に見込方向に延びる収容部に収容される。芯材822が端部支持キャップ本体821の内部側に配置されることで、下枠スロープ部材6の強度を補強して、下枠スロープ部材6の浴室側X1が足で踏み付けられた場合の荷重を支えることができる。
【0037】
一対の端部支持キャップ82は、
図8及び
図9に示すように、それぞれ、下枠スロープ部材6の左右方向の端部に嵌め込まれる。一対の端部支持キャップ82は、それぞれ、空間形成支持部825を有する。空間形成支持部825は、下枠スロープ部材6と下枠本体5との間に空間K(
図4参照)を形成するように下枠スロープ部材6を下枠本体5との間に配置される。一対の端部支持キャップ82は、下枠スロープ部材6を下枠本体5との間に空間形成支持部825を配置することで、
図11に示すように、換気ユニット8の左右方向の両端部において、下枠スロープ部材6を下枠本体5の上面において支持する。
【0038】
一対の端部支持キャップ82の下面には、それぞれ、ネジ823により、羽根板取付部材81の脱衣室側部分815の左右方向の端部が固定される。これにより、羽根板取付部材81は、下枠本体5との間に隙間S(
図4参照)を形成した状態で端部支持キャップ82に固定される。端部支持キャップ82の脱衣室側X2の空間形成支持部825は、下枠本体5の上面に配置される。
【0039】
中間支持部材83は、
図8及び
図9に示すように、下枠スロープ部材6の左右方向の中央において、見込方向に延びて形成される。
【0040】
中間支持部材83は、
図8に示すように、中央支持部材本体831と、中央支持部材本体831の内部側に配置され見込方向に延びる芯材832と、を有する。芯材832は、中間支持部材83の浴室側X1において、上方に向けて開放すると共に見込方向に延びる収容部に収容される。芯材832が中央支持部材本体831の内部側に配置されることで、下枠スロープ部材6の強度を補強して、下枠スロープ部材6の浴室側X1が足で踏み付けられた場合の荷重を支えることができる。
【0041】
中間支持部材83は、
図8及び
図9に示すように、それぞれ、空間形成支持部835を有する。空間形成支持部835は、下枠スロープ部材6と下枠本体5との間に空間Kを形成するように下枠スロープ部材6を下枠本体5との間に配置される。これにより、中間支持部材83は、下枠スロープ部材6を下枠本体5との間に空間形成支持部835を配置することで、
図12に示すように、換気ユニット8の左右方向の中央において、下枠スロープ部材6を下枠本体5の上面において支持する。
【0042】
中間支持部材83は、
図8、
図9及び
図12に示すように、下枠スロープ部材6の下面の左右方向の中央に嵌め込まれる。中間支持部材83の下面には、ネジ833により、羽根板取付部材81の脱衣室側部分815の左右方向の中央部分が固定される。中間支持部材83の脱衣室側X2の空間形成支持部835は、
図12に示すように、下枠本体5の上面に配置される。これにより、中間支持部材83は、換気ユニット8の左右方向の中央を、下枠本体5の上面において支持する。
【0043】
なお、本実施形態においては、中間支持部材83を1つ設けたが、これに限定されない。中間支持部材83の数は、換気ユニット8の左右方向の長さに応じて設定される。例えば、換気ユニット8の左右方向の長さが一対の端部支持キャップ82により支持できる長さである場合には、中間支持部材83を設けなくてもよいし、換気ユニット8の左右方向の長さが長い場合には、中間支持部材83を2つ以上設けてもよい。
【0044】
羽根板取付部材81は、
図4に示すように、見込方向に延びる羽根板取付部材本体811と、第1羽根板取付部812(羽根板取付部)と、第2羽根板取付部813(羽根板取付部)と、止水材取付部814と、を有する。羽根板取付部材81は、下枠本体5の浴室側X1の端部に配置され、下枠本体5の浴室側X1の端部から浴室側X1に突出する。
【0045】
第1羽根板取付部812は、羽根板取付部材本体811の浴室側X1の端部の下部に設けられる。第1羽根板取付部812は、浴室側X1に向けて開放するC字状に形成され、左右方向に延びる。第1羽根板取付部812には、第1羽根板72の回動軸72aが取り付けられる。
【0046】
第2羽根板取付部813は、羽根板取付部材本体811の脱衣室側X2の端部の上部に設けられる。第2羽根板取付部813は、浴室側X1に向けて開放するC字状に形成され、左右方向に延びる。第2羽根板取付部813には、第2羽根板73の回動軸73aが取り付けられる。
【0047】
止水材取付部814は、第1羽根板取付部812の下端から浴室側X1に突出した部分の下面に設けられる。止水材取付部814は、下方に向けて開放する溝状に形成され、左右方向に延びる。止水材取付部814には、止水材75が取り付けられる。
【0048】
第1羽根板72及び第2羽根板73は、
図4に示すように、羽根板取付部材81に取り付けられており、浴室側X1から換気通路71に流入する水を受けて、脱衣室側X2に流れ込むことを低減させる。
【0049】
第1羽根板72及び第2羽根板73は、換気通路71の見込方向において、例えば、内障子3が配置される位置よりも浴室側X1に配置される。換気通路71の下部において、第1羽根板72は、浴室側X1に配置され、第2羽根板73は、第1羽根板72よりも脱衣室側X2に配置される。
【0050】
第1羽根板72は、一端部に形成される回動軸72aが、換気通路71の下部において、羽根板取付部材81の第1羽根板取付部812に取り付けられる。第1羽根板72は、換気通路71を浴室側X1から脱衣室側X2に移動する水を受けた場合に、回動軸72aを中心に回動可能である。
【0051】
第1羽根板72は、水を受ける前の状態において、回動軸72aから浴室側X1に直線状に延びる。第1羽根板72は、換気通路71の浴室側X1の浴室側開口711から、比較的少量の水が流入した場合に、回動軸72aを中心に回動して、換気通路71に流入した水を受ける部材である。比較的少量の水としては、例えば、シャワー装置(図示省略)により散水されるシャワー散水などがある。
【0052】
第1羽根板72は、所定角度回動した場合に、先端が下枠スロープ部材6の下面に当接する。第1羽根板72は、シャワー散水などの比較的少量の水の流入を抑制する回動角度及び長さに設定される。第1羽根板72の回動角度及び見込方向の長さは、適宜設定される。
【0053】
第2羽根板73は、一端部に形成される回動軸73aが、換気通路71の下部の第1羽根板72よりも脱衣室側X2において、羽根板取付部材81の第2羽根板取付部813に取り付けられる。第2羽根板73は、換気通路71を浴室側X1から脱衣室側X2に移動する水を受けた場合に、回動軸73aを中心に回動可能である。
【0054】
第2羽根板73は、水を受ける前の状態において、回動軸73aから浴室側X1に直線状に延びる。第2羽根板73は、換気通路71の浴室側X1の浴室側開口711から、比較的大量の水が流入した場合に、回動軸73aを中心に回動して、換気通路71に流入した水を受ける部材である。比較的多量の水としては、例えば、浴槽を満水にした状態で入浴する際に溢れ出る、溢れ水(オーバーフロー水)などがある。
【0055】
第2羽根板73は、所定角度回動した場合に、先端が下枠スロープ部材6の下面に当接する。第2羽根板73は、オーバーフロー水などの比較的多量の水の流入を抑制する回動角度及び長さに設定される。第2羽根板73の回動角度及び見込方向の長さは、適宜設定される。
【0056】
換気通路71における第2羽根板73よりも脱衣室側X2の部分は、
図2に示すように、第1羽根板72及び第2羽根板73によりせき止められなかった水を溜める水溜め部74を構成する。水溜め部74の大きさは、第1羽根板72及び第2羽根板73の見込方向の位置を調整することで、適宜設定される。
【0057】
止水材75は、
図4に示すように、羽根板取付部材81側の浴室側X1の端部の下面において、止水材取付部814に取り付けられる。止水材75は、第1羽根板取付部812における浴室側X1の端部側の下面から、浴室側X1に下り傾斜で突出する。止水材75は、羽根板取付部材81側の浴室側X1の端部の下面から防水パン111に向かうに従って浴室側X1に下り傾斜で下るように形成される。
【0058】
止水材75は、第1羽根板取付部812における浴室側X1の端部側の下面から浴室の防水パン111(床面)まで延びて形成され、先端が浴室の防水パン111に接触する。止水材75は、
図13に示すように、左右の縦枠23,24の間の範囲において、下枠22の左右方向に延びる。
【0059】
止水材75は、先端が変形した状態で、防水パン111に接触する。止水材75は、先端が防水パン111に接触することで、気密性能及び水密性能を確保する。
【0060】
可動閉止部材9は、
図14に示すように、換気通路71の脱衣室側X2に配置される。可動閉止部材9は、換気通路71内における脱衣室側開口712(開口部)の下方において、換気通路71の底部に配置される。可動閉止部材9は、
図15に示すように、左右方向に延びて形成される。
【0061】
可動閉止部材9は、
図14に示すように、脱衣室側開口712を開閉することで、換気通路71を閉鎖する閉位置(
図14に示す二点鎖線の位置)と、換気通路71を開放する開位置(
図14に示す実線の位置)と、に回転移動可能である。
【0062】
可動閉止部材9は、扇状筒状部91と、操作突起92と、を有する。扇状筒状部91は、見込方向に切断した断面形状が扇形の筒状に形成される。
【0063】
扇状筒状部91は、円弧状部911と、一方側辺部912と、他方側辺部913と、を有する。一方側辺部912及び他方側辺部913は、所定の中心角θを有した状態で、一側の端部同士が接続され、他側の端部同士の間には円弧状部911が配置される。
【0064】
一方側辺部912と他方側辺部913とが成す中心角θは、例えば、30°~90°である。本実施形態においては、一方側辺部912と他方側辺部913とが成す中心角θを、例えば60°に形成している。
【0065】
可動閉止部材9は、回転軸Jを中心に回転可能に構成される。可動閉止部材9の回転軸Jは、扇状筒状部91の一方側辺部912及び他方側辺部913の接続部に形成され、可動閉止部材9の下方側であって換気通路71の底部に配置される。
【0066】
本実施形態においては、可動閉止部材9は、例えば、一方側辺部912と他方側辺部913とが成す中心角θと同じ回転角度αの範囲で回転可能である。なお、可動閉止部材9の回転角度は、これに限定されず、適宜設定される。
【0067】
可動閉止部材9が閉位置(
図14の二点鎖線で示す位置)に位置する場合には、可動閉止部材9が下枠スロープ部材6の脱衣室側X2の端部に形成される脱衣室側端部傾斜突出片64に当接して、脱衣室側開口712を閉じる。可動閉止部材9が開位置(
図14の実線で示す位置)に位置する場合には、可動閉止部材9が下枠スロープ部材6の脱衣室側X2の端部に形成される脱衣室側端部傾斜突出片64から離れて、脱衣室側開口712を開く。
【0068】
操作突起92は、可動閉止部材9を開位置から閉位置に移動する場合に、使用者の手により操作される突起である。操作突起92は、扇状筒状部91の浴室側X1の端部から突出する。操作突起92は、下枠スロープ部材6の脱衣室側延在部60の上面60aよりも低い位置に配置される。
【0069】
これにより、操作突起92は、下枠スロープ部材6の脱衣室側延在部60の上面60aに隠されるため、視認されにくい。よって、意匠性を向上できる。また、操作突起92は、下枠スロープ部材6の脱衣室側延在部60の上面60aよりも低い位置に配置されており、下枠スロープ部材6の上面60aから突出しないため、使用者はつまずきにくい。
【0070】
可動閉止部材9は、閉位置において上部側に円弧状部911が配置され、開位置において円弧状部911が脱衣室側X2に配置される。これにより、可動閉止部材9は、閉位置に位置する場合において、上部側が円弧状に形成される。
【0071】
円弧状部911は、可動閉止部材9を閉位置から開位置に移動する場合に、上部に配置され、可動閉止部材9の円弧状の上面を指で触れることにより、使用者の手により、可動閉止部材9を回転操作することができる。
【0072】
円弧状部911は、上面が円弧状に形成されるため、可動閉止部材9を回転させた場合に、円弧状部911の円弧状の上面と下枠本体5の上端から脱衣室側開口712側に突出するL字状の突出片55の下端との距離を一定に保つことができる。
【0073】
可動閉止部材9は、
図15及び
図16に示すように、下枠22の長手方向に延びる可動閉止部材本体95と、可動閉止部材本体95の長手方向の両端部に配置される一対の端部キャップ96と、を有する。可動閉止部材本体95は、断面形状が、扇形の筒状に形成される扇状筒状部91を構成する。
【0074】
端部キャップ96は、可動閉止部材本体95の長手方向の端部の側面に配置される扇状の扇状側面板961と、扇状側面板961の扇の頂部から可動閉止部材本体95の長手方向の外側に突出する軸構成突起962と、可動閉止部材本体95の長手方向の端部に挿入される取付部材963と、を有する。
【0075】
軸構成突起962は、可動閉止部材9の回転中心となる回転軸Jを構成する。軸構成突起962は、
図15に示すように、下枠22の脱衣室側X2において縦枠23,24に形成される軸支孔23a,24aに挿入されて、軸支される。
【0076】
取付部材963は、可動閉止部材本体95の長手方向の端部に挿入されることで、端部キャップ96を可動閉止部材本体95の端部に取り付けられる。
【0077】
可動閉止部材本体95は、アルミニウム材料又は硬質の樹脂材料で形成される。端部キャップ96は、樹脂材料で形成される。なお、可動閉止部材本体95及び端部キャップ96の材質は限定されない。
【0078】
次に、浴室の換気構造7の作用について説明する。浴槽の換気構造7においては、下枠本体5と下枠スロープ部材6との間の空間Kを換気通路71とすることで、換気通路71を通して、浴室の換気を行うことができる。浴室の換気構造7が下枠22に設けられるため、上枠21に設けられるよりも視認されにくいため、意匠性を向上できる。
【0079】
浴室の換気構造7において、換気通路71における浴室側X1の浴室側開口711から、水が流入した場合には、換気通路71に配置される2つの羽根板(第1羽根板72及び第2羽根板73)により、換気通路71に流入した水を2段階の流入低減構造により受けることができるため、水の脱衣室側X2への流入を低減できる。
【0080】
更に、第1羽根板72においては、例えば比較的少量の水が換気通路71に流入した場合に、脱衣室側X2への水の流入を低減することができる。第2羽根板73においては、例えば比較的多量の水が換気通路71に流入した場合に、脱衣室側X2への水の流入を低減することができる。これにより、換気通路71に流入する水の量が異なる場合においても、効率よく、脱衣室側X2に流入する水を低減できる。
【0081】
そのため、浴室側X1の浴室側開口711から換気通路71に流入した水が、比較的少量又は比較的多量のいずれの場合であっても、それぞれの場合に効果的な羽根板により水の流入を大きく低減できる。更に、換気通路71に沿って羽根板を2つ配置しているため、水の流入を大きく低減できる効果が高い羽根板により水の流入を低減させつつ、別の羽根板においても補助的に水の流入を低減できる。よって、効果的に、水の脱衣室側X2への流入を低減できる。
【0082】
また、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間に隙間Sが形成されるため、換気通路71が第1羽根板72及び第2羽根板73により塞がれていても、換気通路71における脱衣室側X2に存在する水を、脱衣室側X2から浴室側X1にスムーズに流すことができる。
【0083】
第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間の隙間Sに流れた水は、防水パン111上において止水材75に止水される。止水材75により止水された水は、止水材75が設けられた左右方向の範囲において止水材75の先端が浴室の防水パン111に接触するため、止水材75の長手方向の両端部から外側に排出される。
【0084】
また、使用者は、浴室の使用時に、操作突起92を手動で操作することで、可動閉止部材9を開位置から閉位置に回転させることができる。これにより、換気通路71を閉鎖して、例えば、浴室をミストサウナとして使用してる場合に脱衣室側X2への蒸気の流出を抑制したり、浴室の使用時に脱衣室の冷気が浴室に流入しないように抑制して暖かい空気の流出を抑制できる。浴室の使用後には、使用者は、可動閉止部材9を閉位置から開位置に回転させることで、脱衣室側X2から浴室側X1に空気を通して浴室内を乾燥させる。
【0085】
以上のように構成される第1実施形態の浴室の換気構造7は、以下の効果を奏する。
【0086】
本実施形態の浴室の換気構造7は、下枠22を有する枠体2と、枠体2内に配置される内障子3及び外障子4と、を備える建具1に設けられ、下枠22は、下枠本体5と、下枠本体5の上方側に配置される下枠スロープ部材6と、を有し、下枠本体5と下枠スロープ部材6との間に設けられ浴室と脱衣室とを連通する換気通路71と、換気通路71に配置される第1羽根板72及び第2羽根板73と、を備え、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間に隙間Sが形成される。これにより、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間の隙間Sにより、脱衣室側X2から浴室側X1に水を流すことができるため、脱衣室側X2から浴室側X1への水の流れをスムーズにすることができる。
【0087】
本実施形態においては、下枠本体5の上方に設けられ、第1羽根板72及び第2羽根板73が取り付けられる羽根板取付部材81を備え、羽根板取付部材81と下枠本体5との間に隙間Sが形成される。これにより、羽根板取付部材81と下枠本体5との間に隙間Sを形成することで、簡易な構成で、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間に隙間Sを形成できる。
【0088】
本実施形態においては、下枠本体5の長手方向の両端部に取り付けられる一対の端部支持キャップ82を有し、端部支持キャップ82は、下枠スロープ部材6と下枠本体5との間に空間Kを形成するように下枠スロープ部材6を下枠本体5との間に配置される空間形成支持部825を有する。これにより、空間形成支持部825で下枠スロープ部材6を支持することにより、簡易な構成で、下枠スロープ部材6と下枠本体5との間に空間Kを形成することができる。
【0089】
本実施形態においては、端部支持キャップ82は、端部支持キャップ本体821と、端部支持キャップ本体821の内部側に配置される芯材822と、を有する。これにより、芯材822が端部支持キャップ本体821の内部側に配置されることで、下枠スロープ部材6の強度を補強して、下枠スロープ部材6の浴室側X1が足で踏み付けられた場合の荷重を支えることができる。
【0090】
本実施形態においては、羽根板取付部材81は、下枠本体5との間に隙間Sを形成した状態で、端部支持キャップ82に固定される。これにより、羽根板取付部材81を端部支持キャップ82に固定することで、端部支持キャップ82を介して、羽根板取付部材81を下枠スロープ部材6に取り付けることができる。よって、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間に容易に隙間Sを形成できる。
【0091】
本実施形態においては、第1羽根板72及び第2羽根板73は、下枠本体5の上方に設けられる羽根板取付部材81に取り付けられることで一体に構成される。そのため、第1羽根板72及び第2羽根板73を換気通路71に設ける場合に、一体で下枠本体5に取り付ければよいので、容易に取り付けることができる。また、第1羽根板72及び第2羽根板73を一体とすることで、取付位置のばらつきを抑制できる。これにより、第1羽根板72及び第2羽根板73が回転した場合において、第1羽根板72の先端及び第2羽根板73の先端を、下枠スロープ部材6の下面に確実に当接させる位置に容易に取り付けることができる。
【0092】
本実施形態においては、羽根板取付部材81における浴室側X1の端部側の下面に取り付けられ浴室の防水パン111まで延びる止水材75を備える。これにより、止水材75により、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間に形成された隙間Sから流出した水の浴室側X1への浸入を抑制できる。
【0093】
本実施形態においては、止水材75は、下枠22の長手方向に延びて形成され、止水材75により止水された水は、止水材75の長手方向の両端部から排水される。これにより、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間に形成された隙間Sから流出した水を、左右方向の両端部から排出して、浴室側X1への水の浸入を抑制できる。
【0094】
次に、第2実施形態~第5実施形態について説明する。第2実施形態~第5実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略又は簡略化する。第2実施形態~第5実施形態において説明しない構成については、第1実施形態の説明を援用する。
【0095】
第2実施形態について説明する。第2実施形態の浴室の換気構造7Aは、第1実施形態と比べて、羽根板取付部材81の取り付け構造が異なる。第2実施形態においては、
図17A及び
図17Bに示すように、羽根板取付部材81を、スペーサ部材85を介して下枠本体5に固定する。
【0096】
羽根板取付部材81は、
図17Aに示すように、下枠本体5との間に隙間Sを形成した状態で、下枠本体5に複数のスペーサ部材85を介して固定される。複数のスペーサ部材85は、
図17Bに示すように、下枠本体5の浴室側X1の浴室側延在部52の上面に、左右方向に並んで配置される。羽根板取付部材81を含む換気ユニット8は、複数のスペーサ部材85を挟んで、下枠本体5の上方に配置されることで、羽根板取付部材81は、下枠本体5との間に隙間Sを形成した状態で、複数のスペーサ部材85を介して下枠本体5に固定される。
【0097】
第2実施形態によれば、羽根板取付部材81を複数のスペーサ部材85を介して下枠本体5に固定することで、簡易な構成で、第1羽根板72及び第2羽根板73と下枠本体5との間に隙間Sを形成できる。
【0098】
第3実施形態について説明する。第3実施形態の浴室の換気構造7Bは、羽根板取付部材81が下枠本体5に直接固定されている点において、第1実施形態と主に異なる。第3実施形態においては、第1実施形態と同様に、
図18に示すように、第1羽根板72及び第2羽根板73は、羽根板取付部材81に取り付けられることで、一体に構成される。第3実施形態においては、第1実施形態とは異なり、羽根板取付部材81と下枠本体5との間には、隙間が形成されていない。
【0099】
第3実施形態によれば、第1羽根板72及び第2羽根板73を換気通路71に設ける場合に、一体で下枠本体5に取り付ければよいので、容易に取り付けることができる。また、第1羽根板72及び第2羽根板73を一体とすることで、取付位置のばらつきを抑制できる。これにより、第1羽根板72及び第2羽根板73が回転した場合において、第1羽根板72の先端及び第2羽根板73の先端を、下枠スロープ部材6の下面に確実に当接させる位置に容易に取り付けることができる。
【0100】
第4実施形態について説明する。第4実施形態の浴室の換気構造7Cは、第1実施形態と比べて、可動閉止部材9Aの構成が異なる。
図19に示すように、第4実施形態の可動閉止部材9Aは、扇状筒状部91と、操作突起92Aと、を有する。第3実施形態においては、扇状筒状部91と操作突起92Aとは別部材で構成され、操作突起92Aは扇状筒状部91の円弧状部911に取り付けられている。
【0101】
操作突起92Aは、例えば断面L字状に形成され、扇状筒状部91の円弧状部911の上面における長手方向の途中の一部に設けられる。なお、操作突起92Aは、扇状筒状部91の長手方向の途中の一部ではなく、扇状筒状部91の長手方向の全域に亘って延びて形成されていてもよい。
【0102】
第5実施形態について説明する。第5実施形態の浴室の換気構造7Dは、第1実施形態と比べて、可動閉止部材9Bの構成が異なる。
図20に示すように、第5実施形態の可動閉止部材9Bは、脱衣室側開口712を開閉する可動平板93と、操作突起94と、を有する。
【0103】
可動平板93は、脱衣室側開口712を開閉する位置に配置され、見込方向に所定幅で延びると共に下枠22の長手方向に延びる板状に形成される。可動平板93は、脱衣室側開口712を開閉するように見込方向にスライド移動可能である。操作突起94は、可動平板93の上面に接続され、上方に突出する。
【0104】
これにより、操作突起94に手を掛けて可動平板93を見込方向にスライド移動させることで、可動平板93により脱衣室側開口712を開閉して、可動閉止部材9Bを、換気通路71を閉鎖する閉位置(
図20に示す実線の位置)と、換気通路71を開放する開位置(
図20に示す二点鎖線の位置)と、に移動させることが可能である。よって、簡易な構成で、可動閉止部材9Bを設けることができる。
【0105】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0106】
前記実施形態では、本開示に係る建具について、開口部を開閉する引違いの障子を備える建具として説明した。本開示は、片引きの引戸(障子)や、2枚以上の引戸(障子)を備える建具にも適用可能である。本開示は、開口部に対して弧を描いて開閉する開き戸や、折戸にも適用可能である。本開示は、引き違い窓、縦滑り出し窓、横滑り出し窓等にも適用可能である。浴室と脱衣室とを連通する開口部に設けられた建具にも限定されない。建物の内外を連通する建物開口部に設けられた建具に適用してもよい。
【0107】
前記実施形態では、換気通路に羽根板を1つ又は2つ設けた。しかし、これに限定されない。換気通路に羽根板を3つ以上設けてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 建具、2 枠体、3 内障子(障子)、4 外障子(障子)、5 下枠本体、6 下枠スロープ部材(下枠上部材)、7 浴室の換気構造、22 下枠、71 換気通路、72 第1羽根板(羽根板)、73 第2羽根板(羽根板)、75 止水材、81 羽根板取付部材、82 端部支持キャップ(端部支持部材)、85 スペーサ部材、111 防水パン(床面)、821 端部支持キャップ本体(支持部材外側部材)822 芯材、825 空間形成支持部、S 隙間