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  • 特開-鋼管接続用治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091579
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】鋼管接続用治具
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/04 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
E21D9/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206385
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521556657
【氏名又は名称】虎乃門建設機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂根 一聡
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀紀
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC20
2D054FA07
(57)【要約】
【課題】トンネル施工の補助工法において、地山に打ち込まれる鋼管を押し込み嵌合方式で一直線に接続する際の作業者の作業負荷を軽減する。
【解決手段】打ち込み用のドリルジャンボ20のガイドセル23に鋼管接続治具30を設ける。鋼管接続治具30の固定鋼管受け31をガイドセル23の先端部に固定する。固定鋼管受け31の前方に伸縮ガイド40を介して保持部32を進退可能に設ける。保持部32によって。継ぎ足されるべき鋼管10Bを相対移動不能かつ解放可能に保持する。進退駆動部50によって、保持部32を進退させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し込み嵌合によって一直線に連結される複数の鋼管を地山に打ち込むトンネル補助工法に用いる鋼管接続治具であって、
継ぎ足されるべき鋼管を管軸方向へスライド可能に受けるスライド受け部を有して、前記打ち込み用のドリルジャンボのガイドセルの先端部に固定された固定鋼管受けと、
前記固定鋼管受けの前方に進退可能に設けられ、前記継ぎ足されるべき鋼管を相対移動不能かつ解放可能に保持する保持部と、
前記保持部を進退させる進退駆動部と、
を備えたことを特徴とする鋼管接続治具。
【請求項2】
前記保持部が、前記継ぎ足されるべき鋼管の受け部を有する移動鋼管受けと、前記継ぎ足されるべき鋼管をクランプするクランプと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼管接続治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山岳トンネル施工の補助工法における鋼管どうしを一直線に接続するための治具に関し、特に、ネジ接合ではなく押し込み嵌合によって接続される鋼管に適用される鋼管接続治具に関する。
【背景技術】
【0002】
NATM(New Australian Tunneling Method)工法による山岳トンネルの構築に際して、掘削中の地山を補強するために、AGF(all ground fasting)工法や鏡ボルト工法等の補助工法が実施されることがある。この種の補助工法においては、例えばドリルジャンボなどの機械を用いて、鋼管を地山に打ち込む。複数の鋼管を順次、一直線に接続することによって長尺化する。一般に、鋼管どうしはネジ接合によって接続される(特許文献1等参照)。新たに継ぎ足す側の鋼管は、ドリルジャンボのガイドセルに搭載されて、打ち込み済の鋼管と一直線に並ぶように配置される。その後、作業者が、パイプレンチやチェーントングなどの工具を用いて、継ぎ足し側の鋼管を人力で引き出して回すことで、打ち込み済の鋼管の末端とネジ接合させる。
かかるネジ接合方式は、継ぎ足し側の鋼管を回転させる必要があるため、時間がかかる。加えて、ネジ接合部が構造的に弱点となる。
【0003】
そこで、ネジ接合に代えて、押し込み嵌合によって鋼管どうしを接続することが提案されている(特許文献2等参照)。押し込み嵌合方式の一方の鋼管の端部には、環状に並んだ複数の係止爪が形成されている。他方の鋼管の端部には、環状の係止溝が形成されている。継ぎ足す側の鋼管を、管軸に沿って、打ち込み済の鋼管へ向けて真っ直ぐ押し込むと、係止爪が弾性変形されながら係止溝に嵌って係止される。これによって、鋼管どうしを直線移動だけでワンタッチで接続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-12144号公報
【特許文献2】特開2020-111880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記押し込み嵌合方式においては、継ぎ足し側の鋼管を強く押し込んで係止爪を弾性変形させなければならず、例えば1kN程度の力が必要である。このため、パイプレンチ、チェーントングなどの工具を使っても、人力だけでは、作業負荷が過大であった。加えて、作業は通常、ドリルジャンボのマンゲージ等の高所作業台上で行うために、足元が悪くて踏ん張れずに反力が取りづらく、作業条件がさらに困難になることが多かった。ドリルジャンボの既存の機構をそのまま使用して接合するのも容易ではなかった。
本発明は、かかる事情に鑑み、トンネル施工の補助工法において、地山に打ち込まれる鋼管を押し込み嵌合方式で一直線に接続する際の作業者の作業負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、発明者は、鋼管接続治具を用いて、継ぎ足し側の鋼管に対して押し込み力を作業者に代わって付与することを着想した。
本発明は、かかる着想に基づいてなされたものであり、押し込み嵌合によって一直線に連結される複数の鋼管を地山に打ち込むトンネル補助工法に用いる鋼管接続治具であって、
継ぎ足されるべき鋼管を管軸方向へスライド可能に受けるスライド受け部を有して、前記打ち込み用のドリルジャンボのガイドセルの先端部に固定された固定鋼管受けと、
前記固定鋼管受けの前方に進退可能に設けられ、前記継ぎ足されるべき鋼管を相対移動不能かつ解放可能に保持する保持部と、
前記保持部を進退させる進退駆動部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記保持部が、前記継ぎ足されるべき鋼管の受け部を有する移動鋼管受けと、前記継ぎ足されるべき鋼管をクランプするクランプと、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トンネル施工の補助工法において、地山に打ち込まれる鋼管を押し込み嵌合方式で一直線に接続する際の作業者の作業負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る鋼管接続用治具を装着したドリルジャンボの側面図である。
図2図2(a)は、前記鋼管接続用治具を、押し込み準備状態で示す平面図である。図2(b)は、前記押し込み準備状態の鋼管接続用治具の側面図である。
図3図3は、前記鋼管接続用治具の分解斜視図である。
図4図4(a)は、前記鋼管接続用治具を押し込み状態で示す側面図である。図4(b)は、前記鋼管接続用治具を退避状態で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、NATM工法によって構築施工中のトンネル1を示したものである。地山2が掘削されてトンネル1が構築されている。施工に際して、地山補強のための補助工法として、例えばAGF工法によって多数(図では1本だけ図示)の長尺の先受け鋼管9(地山補強管)が切羽前方の地山に打ち込まれている。打ち込みには、ドリルジャンボ20が用いられている。長尺先受け鋼管9は、複数(例えば4本程度)の鋼管10によって構成されている。これら鋼管10が一直線に連結されている。
【0011】
図1に示すように、互いに隣接する2つの鋼管10における、先端側(図1において左)の鋼管の末端10e、及び後端側(図1において右)の鋼管の先端10fには、ワンタッチ接続部11が形成されている。図2(a)に示すように、ワンタッチ接続部11は、先端側の鋼管の末端10eの内周面に形成された環状の係止溝12と、後端側の鋼管の先端10fに形成された係止爪13とを含む。例えば、係止溝12は、クサビ形の凹断面形状に形成されている。係止爪13は、クサビ形の凸断面形状に形成されている(特許文献2参照)。係止爪13は、環状をなすとともに、スリット14によって、複数の係止爪部13aに分かれている。係止爪部13aひいては係止爪13が、係止溝12に係止されている。先端側の鋼管の末端10eの内部に後端側の鋼管の先端10fが差し込まれることによって、係止溝12に係止爪13が嵌っている。
【0012】
鋼管10における係止溝12及び係止爪13を含む末端10e及び先端10fは、好ましくは、高張力鋼によって構成されている。鋼管10の末端10e及び先端10fを除く中間部分は、普通鋼によって構成されていてもよい。
【0013】
なお、先受け鋼管9の内部には、掘削ロッド24(図1にのみ図示)が挿通されている。掘削ロッド24の先端には掘削ビット25が設けられている。掘削ロッド24の後端は、ドリルジャンボ20のガイドセル23上のドリフタ26に接続されている。
【0014】
図1に示すように、前記鋼管10どうしの接続のために、鋼管接続治具30が用意されている。鋼管接続治具30は、ドリルジャンボ20に組み込まれている。ドリルジャンボ20の機体21からブーム22が延び、ブーム22の先端にガイドセル23が設けられている。ガイドセル23の先端に鋼管接続治具30が取り付けられている。好ましくは、鋼管接続治具30は、ガイドセル23に対して、取り付け・取り外し可能である。
【0015】
図2(a)及び同図(b)に示すように、鋼管接続治具30は、固定鋼管受け31と、保持部32と、伸縮ガイド40(ガイド部材)と、進退駆動部50を備えている。固定鋼管受け31は、厚めの鋼板によって構成されている。該固定鋼管受け31が、ガイドセル23の長手方向(前後方向)と直交するように向けられ、ガイドセル23の先端面に突き当てられて固定されている。図3に示すように、固定鋼管受け31は、一対の凸板部31a,31bを有している。凸板部31a,31bは、固定鋼管受け31の底部の左右両側部から上方へ突出されている。左右の凸板部31a,31bの上端高さは互いに異なっている。これら凸板部31a,31bの間にスライド受け部31cが形成されている。スライド受け部31cは、固定鋼管受け31を前後に貫くとともに固定鋼管受け31の上端に開放されたU字穴形状をなし、継ぎ足されるべき鋼管10Bをガイドセル23の長手方向へスライド可能に受ける。鋼管10Bの管軸方向は、ガイドセル23の長手方向へ向けられている。
ガイドセル23に備え付けの鋼管用セントラライザーを、固定鋼管受け31として利用してもよい。
【0016】
図3に示すように、ガイドセル23の先端から前方へ伸縮ガイド40が突出されている。伸縮ガイド40は、筒状の固定ガイド部41と、それよりひとまわり小さい筒状の可動ガイド部42を含み、二重筒構造になっている。伸縮ガイド40の軸方向は、ガイドセル23の長手方向へ向けられている。固定ガイド部41及び可動ガイド部42の断面は、四角形であるが、これに限らず、円形であってもよい。固定ガイド部41の後端部が、固定鋼管受け31に固定されている。図2(b)及び図4(a)に示すように、固定ガイド部41の内部に可動ガイド部42が軸方向へ進退可能に収容されている。可動ガイド部42の進退によって、伸縮ガイド40が軸方向(前後方向)へ伸縮される。
【0017】
固定鋼管受け31の前方(図2(b)において左方)に伸縮ガイド40を介して保持部32が配置されている。保持部32は、伸縮ガイド40の伸縮によって前後方向へ進退可能である。かつ、保持部32は、鋼管10Bを、当該保持部32に対して相対移動不能かつ解放可能に保持する。
【0018】
詳しくは、図2(a)に示すように、保持部32は、移動鋼管受け33と、クランプ34を含む。移動鋼管受け33は、固定鋼管受け31と同様に、厚めの鋼板によって構成されている。該移動鋼管受け33が、ガイドセル23の長手方向(前後方向)と直交するように向けられ、可動ガイド部42の先端面に突き当てられて固定されている。図3に示すように、移動鋼管受け33は、一対の凸板部33a,33bを有している。凸板部33a,33bは、移動鋼管受け33の底部の左右両側部から上方へ突出されている。左右の凸板部33a,33bの上端高さは互いに異なっており、しかも、高低が固定鋼管受け31の凸板部31a,31bとは、左右逆になっている。凸板部33a,33bの間に受け部33cが形成されている。受け部33cは、移動鋼管受け33を前後に貫くとともに移動鋼管受け33の上端に達するU字穴形状をなしている。受け部33cは、鋼管10Bを受ける。
移動鋼管受け33ひいては保持部32と、固定鋼管受け31とが、前後に対向されるとともに、伸縮ガイド40を介して接近・離間可能に連結されている。
【0019】
図2(a)及び(b)に示すように、移動鋼管受け33の前方にクランプ34が配置されている。好ましくは、クランプ34は、移動鋼管受け33の前面に突き当てられている。クランプ34は、鋼管10Bにおける移動鋼管受け33より前方部分の外周に着脱可能に装着されている。
【0020】
図3の実線にて示すように、クランプ34は、一対のクランプ部材34aと、締め込み具34bを含む。各クランプ部材34aは、半円状に形成されている。一対のクランプ部材34aどうしが、ヒンジ34cを介して回転可能に連結されている。図3の二点鎖線にて示すように、これらクランプ部材34aが、鋼管10Bを両側から挟み付けている。クランプ部材34aにおけるヒンジ34cとは180度反対側の端部どうしが、締め込み具34bによって分離可能に連結されている。締め込み具34bは、例えばボルト等を含む。締め込み具34bが緊締されることによって、クランプ34が鋼管10Bの外周に固定される。締め込み具34bを緩めて外すことで、クランプ34が鋼管10Bから分離される。
【0021】
図2(a)に示すように、進退駆動部50は、一対の油圧シリンダ51を含む。一対の油圧シリンダ51が、伸縮ガイド40を挟んで左右両側(図2(a)において上下)に配置されている。各油圧シリンダ51のシリンダ部52が、ガイドセル23の側方に連結されて支持されている。油圧シリンダ51のピストンロッド53の先端部が、移動鋼管受け33に直接又はブラケット(図示省略)を介して連結されている。図示は省略するが、ドリルジャンボ20の一部の油圧ホースが油圧シリンダ51に接続されている。これによって、油圧シリンダ51の油圧駆動力がドリルジャンボ20から供給されている。
一対の油圧シリンダ51からなる進退駆動部50の伸縮駆動によって、伸縮ガイド40が伸縮されるとともに、保持部32が進退される。
【0022】
前記の鋼管接続治具30は、次のように使用される。
<打ち込み工程>
図1に示すように、ドリルジャンボ20によって先受け鋼管9を地山2に打ち込む。先受け鋼管9のうち最後尾の鋼管10Aが完全に地山2に埋まる前に打ち込みを停止し、末端10eをトンネル1内へ突出させておく。
【0023】
<鋼管設置工程>
続いて、図3に示すように、継ぎ足すべき鋼管10Bを、鋼管接続治具30の移動鋼管受け33から固定鋼管受け31に跨るように設置する。鋼管接続治具30を、移動鋼管受け33の受け部33cに差し入れて支持させるとともに、固定鋼管受け31のスライド受け部31cに差し入れて支持させる。
<掘削ロッド継ぎ足し工程>
前記鋼管設置工程と前後して、掘削ロッド24(図1)を鋼管10Bの長さ分だけ継ぎ足す。
【0024】
<クランプ装着工程>
図2(a)及び同図(b)に示すように、鋼管10Bにおける移動鋼管受け33の前方部分には、クランプ34を装着してクランプする。一対のクランプ部材34aによって鋼管10Bを両側から挟み付け、締め込み具34bを緊締することで、鋼管10Bにクランプ34を固定する。好ましくは、クランプ34を移動鋼管受け33の前面に突き当てる。
【0025】
<位置決め工程>
続いて、図2(a)及び同図(b)に示すように、ドリルジャンボ20のブーム22を操作することによって、鋼管10Bの管軸を先行して打設した先受け鋼管9の管軸と一致させるとともに、鋼10Bの先端10fを、直前の鋼管10Aの末端10eと近接させる。好ましくは、ドリルジャンボ20の操作者(図示省略)とは別の作業者Aを、高所作業台27で鋼管10A,10Bの接続予定部の近くに配置して、作業者Aが確認しながら位置決めを行う。
【0026】
<押し込み工程>
次いで、進退駆動部50の油圧シリンダ51を伸長駆動して、移動鋼管受け33を前進させる。すると、図4(a)に示すように、移動鋼管受け33と共に、該移動鋼管受け33に突き当てられたクランプ34が前進され、クランプ34に固定された鋼管10Bが前進される。鋼管10Bは、スライド受け部31c上を滑る。伸縮ガイド40は伸長される。
【0027】
前進する鋼管10Bの先端10fが鋼管10Aの末端10eに押し込まれ、係止爪13が弾性変形されながら係止溝12と嵌合して係止される。これによって、鋼管10Bの先端10fが鋼管10Aの末端10eとワンタッチ接続され、鋼管10Bを打設中先受け鋼管9に継ぎ足すことができる。
進退駆動部50によって押し込み力を得ることができ、作業者Aが人力で押し込む必要が無い。したがって、作業者Aは、前記位置決め工程を行えば済む。これによって、作業者Aの負担を大幅に軽減することができる。
【0028】
<退避工程>
その後、締め込み具34bを緩めることによって、鋼管10Bをクランプ34から解放する。好ましくは、クランプ34を鋼管10Bから撤去する。さらに、図4(b)に示すように、油圧シリンダ51を収縮させることによって、移動鋼管受け33を後退(退避)させるとともに、伸縮ガイド40を収縮させる。このとき、受け部33cが、鋼管10Bに沿って摺動される。
【0029】
<打ち込み工程再開>
続いて、ドリフタ26(図1)をガイドセル23に沿って前進させて鋼管10Bの末端に接続し、ドリルジャンボ20による先受け鋼管9の打ち込みを再開する。
移動鋼管受け33を後退(退避)させておくことによって(図4(b))、鋼管接続治具30が鋼管打ち込みの障害となるのを避けることができる。したがって、打ち込み再開時にクランプ34だけを撤去すれば、鋼管接続治具30全体をガイドセル23から撤去する必要は無い。
【0030】
以上の操作を、先受け鋼管9を構成する鋼管10の本数分だけ繰り返す。これによって、地山2に所定長さの先受け鋼管9を打ち込むことができる。
【0031】
本発明は、前記実施形態に限らず、種々の改変をなすことができる。
例えば、移動鋼管受け33が、鋼管10Bを固定するクランプを一体に有していてもよい。移動鋼管受け33の受け部33cが、鋼管10Bを解放可能にクランプするクランプであってもよい。この場合、鋼管設置工程において、継ぎ足すべき鋼管10Bを移動鋼管受け33に支持させる際に、移動鋼管受け33と一体のクランプによって鋼管10Bをクランプする。続いて、進退駆動部50による押し込み工程によって、移動鋼管受け33及びそれと一体のクランプが前進されることで、鋼管10Bが前進されて鋼管10Aと接続される。その後、退避工程の際は、移動鋼管受け33と一体のクランプを緩めて、鋼管10Bからクランプを解放したうえで、移動鋼管受け33及びそれと一体のクランプを後退させる。
伸縮ガイド40が進退駆動部50を一体に有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、山岳トンネルの構築施工における地山補強のための補助工法に適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 トンネル
2 地山
9 長尺先受け鋼管
10 鋼管
10B 継ぎ足されるべき鋼管
10e 末端
10f 先端
11 ワンタッチ接続部
12 係止溝
13 係止爪
13a 係止爪部
14 スリット
20 ドリルジャンボ
21 機体
22 ブーム
23 ガイドセル
24 掘削ロッド
25 掘削ビット
26 ドリフタ
30 鋼管接続治具
31 固定鋼管受け
1c スライド受け部
32 保持部
33 移動鋼管受け
33c 受け部
34 クランプ
34a クランプ部材
34b 締め込み具
34c ヒンジ
40 伸縮ガイド
50 進退駆動部
51 油圧シリンダ
52 シリンダ部
53 ピストンロッド
図1
図2
図3
図4