(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091586
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】意匠性発光装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/04 20060101AFI20230623BHJP
G09F 13/08 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G09F13/04 K
G09F13/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206401
(22)【出願日】2021-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】592193683
【氏名又は名称】株式会社ダイカン
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】仁義 修
(72)【発明者】
【氏名】仁義 健
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 明男
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 和也
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA24
5C096BA01
5C096BB22
5C096CA13
5C096CA22
5C096CA25
5C096CA32
5C096CB01
5C096CB04
5C096CC06
5C096CC23
5C096CF04
5C096FA02
(57)【要約】
【課題】文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供する。
【解決手段】LED60を面上に複数配置させた発光シート5と、複数のLEDの発光を制御する受信機4と、文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて発光シート5の発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材61と、発光シート5の発光面側で少なくとも意匠性透光部材61以外の領域に配置された余白部材62とを備え、受信機4は、意匠性透光部材61の位置に対応するLED60を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、意匠性透光部材61は、発光素子60の光を拡散する光拡散素材により形成された意匠性発光装置1とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を面上に複数配置させた発光シートと、
複数の前記発光素子の発光を制御する制御装置と、
文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて前記発光シートの発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材と、
前記発光シートの発光面側で少なくとも前記意匠性透光部材以外の領域に配置された余白部材とを備え、
前記制御装置は、前記意匠性透光部材の位置に対応する前記発光素子を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、
前記意匠性透光部材は、前記発光素子の光を拡散する光拡散素材により形成された
意匠性発光装置。
【請求項2】
前記余白部材は、光を透過する透過度が前記意匠性透光部材の透過度と異なる素材によって形成された
請求項1記載の意匠性発光装置。
【請求項3】
前記発光シートが同一面上に隣接して複数設けられ、
前記制御装置は、複数の前記発光シートのすべての前記発光素子の発光を制御する構成であり、
前記意匠性透光部材の少なくとも一部は、2枚の前記発光シートのつなぎ目をまたぐように前記発光面側に配置された
請求項1または2記載の意匠性発光装置。
【請求項4】
前記発光シートは、発光面の最も端の前記発光素子から当該発光面の縁までの長さが、隣り合う前記発光素子の間の長さの40%~60%である
請求項1,2、または3記載の意匠性発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、文字、図形、または模様を表示する意匠性発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店名やロゴを明るく表示する照明サインや照明広告と呼ばれるような意匠性発光装置が提供されている。このような意匠性発光装置は、文字や線図等の形状に合わせて、光源の光で店名やロゴ等の意匠を明るく表示するものである。この意匠性発光装置は、視認性が高く美しいことから、店舗の正面や入口でブランド名を表示するなど、様々な場所で利用されている。
【0003】
このような意匠性発光装置は、従来のネオンサインや蛍光サインから、近年ではLEDを用いたLEDサインまで多様化しており、様々な意匠性が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、「株」の文字に形成したケーシング内に複数のLEDとその配線を配置した、いわゆる箱文字と言われる内照式疑似金属ケーシングが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の内照式疑似金属ケーシングなどの箱文字は、複数のLEDを使用し、また、そのLEDに電力供給する配線が必要となる。このため、LEDの配置と配線およびケーシングの形状は、制作する箱文字の形状によって異なり、顧客の注文に応じて一品制作的に作成しなければならずコスト高になるという問題点があった。また、制作する箱文字が大きくなるほど必要なLEDの数が増加し、それに伴って配線も増加するため、配線が箱文字内に収まらず収納場所の確保が難しいという問題もあった。
【0007】
本願発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、発光素子を面上に複数配置させた発光シートと、複数の前記発光素子の発光を制御する制御装置と、文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて前記発光シートの発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材と、前記発光シートの発光面側で少なくとも前記意匠性透光部材以外の領域に配置された余白部材とを備え、前記制御装置は、前記意匠性透光部材の位置に対応する前記発光素子を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、前記意匠性透光部材は、前記発光素子の光を拡散する光拡散素材により形成された意匠性発光装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】意匠表示部材および発光シートのA-A矢視側断面図。
【
図6】意匠性発光装置のB-B、C-C範囲正面拡大図。
【
図7A】意匠表示部材および発光シートの第2の形態の縦断左側面図。
【
図7B】意匠表示部材および発光シートの第3の形態の縦断左側面図。
【
図7C】意匠表示部材および発光シートの第4の形態の縦断左側面図。
【
図7D】意匠表示部材および発光シートの第5の形態の縦断左側面図。
【
図8】意匠表示部材および発光シートの別の形態における斜視による写真画像図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0012】
図1は、意匠性発光装置1の斜視図である。
意匠性発光装置1は、立方体で中が空洞の箱型形状の外装7を有する。意匠性発光装置1は、外装7の少なくとも正面に複数の意匠表示部材6が隙間なく隣接して配置され、その表面に発光シート5が重ねて配置されている。なお、外装7の形状は、立方体に限定されず、内部空洞の種々の立体形状とすることができる。
なお、
図1では、重ねている意匠表示部材6を仮想線で示している。また、本実施例では、
図1における上下方向を意匠性発光装置1の上下方向とし、発光シート5が配置されている面の正面を意匠性発光装置1の正面とする。
【0013】
外装7は、外観形状が立方体で内部が空洞の箱型形状を有している。なお、外装7の外観形状は、立方体に限定されず、立方体以外の角柱、円柱、角錐、円錐といった外観形状とすることができる。外装7は、表面が金属板などの磁性体により構成されており、少なくとも表面に発光シート5が配置されている。この発光シート5は、裏面がゴム磁石等の磁化した磁性体により構成されているか、裏面に磁力が及ぶように磁性体が配置されており、その磁性体の磁力によって外装7に吸着する。外装7と発光シート5とは、外装7の側面と発光シート5の側面(縁)である発光シート縁57とをつなぐようにビニールテープ等のテープで接続(接着)されている。したがって、外装7の内部は、雨水等が入らない程度に密閉されている。なお、外装7と発光シート5との接続方法はこれに限定されず、例えば、奥行き方向または左右方向にねじ止めによって固定する方法としてもよい。
【0014】
外装7の内部には、
図2に示した動画再生装置2と、送信機3と、受信機4が収納されている。なお、動画再生装置2と、送信機3と、受信機4は、これらの内の1つ以上を外装7に収納せず、別途備えてもよい。
【0015】
発光シート5は、長方形で薄板形状を有する。発光シート5は8mmの厚みを有する。また、発光シート5の厚みは、3mm~15mmとすることができ、5mm~12mmとすることが好ましく、8mm~10mmとすることがより好ましい。発光シート5は、発光素子である複数のLED50(発光部)と、すべてのLED50が一方の面に配置された発光しない基礎シート51(非発光部)で構成される。また、発光シート5は、裏面に磁性層(図示省略)が設けられている。この磁性層は、裏面全体に設けられているゴム磁石の層である。なお、本実施例では、磁性層が設けられているが、発光シート5は、外装7の位置に対応する裏面の位置に磁力を及ぼすように、一部に磁石が配置されていればよい。例えば、外装7の位置に対応する裏面に薄い磁石を配置してもよい。発光シート5は、図示省略するフレキシブル基板上に全てのLED50が電気的に接続して設けられ、すべてのLED50が制御されるように受信機4と信号ケーブル(図示省略)で接続されている。
【0016】
また、発光シート5は、LED50が配置された面(発光素子の発光する発光面)に重なるように意匠表示部材6が配置されている。したがって、発光シート5の発光面は、意匠性発光装置1の正面側に配置され、意匠表示部材6がない状態では正面側から発光面が全面視認される。
【0017】
本実施例の意匠性発光装置1は、同じ大きさおよび厚みを有する2枚の発光シート5A、5Bが互いに対向する1辺全体をズレなく隙間なく隣接して配置されている。なお、発光シート5の枚数は特に限定されず、意匠性発光装置1の大きさに合わせて1枚以上とすることができる。本実施例では、意匠性発光装置1の上部に配置された発光シート5Aと、意匠性発光装置1の下部に配置された発光シート5Bは、お互いに同一平面上に配置されている。そして、発光シート5Aの長手となる下辺と、発光シート5Bの長手となる上辺とが意匠性発光装置1の上下方向の中心で接しており、シートつなぎ目56(つなぎ目)を形成している。なお、2枚の発光シート5A、5Bは、平面でなく厚み方向に全体的に湾曲していてもよく、厚み方向に波形状に湾曲していてもよい。ただし、2枚の発光シート5A、5Bは、どの形態であってもお互いに同一面上に配置されている。
【0018】
図2は、意匠性発光装置1の構成を示すブロック図である。
意匠性発光装置1は、動画再生装置2と、動画を送信する送信機3と、動画を受信する受信機4と、外装7と、動画を表示する2枚の発光シート5(5A、5B)と、発光シート5の発光する面に重ねて配置された意匠表示部材6とで構成される。
【0019】
動画再生装置2は、例えば、CPUとROMとRAM等で構成されて各種演算や制御動作を実行する制御部と、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成されて情報のリードライトを許容する記憶部と、LANボードやWiFiユニット等で構成されて有線または無線でインターネットに接続されてデータの送受信を行う通信部と、タッチパネル、キーボード、マウス、押下ボタン、又はこれらの複数で構成されて接触操作による入力を受け付ける入力部と、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されて文字や図等の画像を表示する表示部とを備えたコンピュータ端末である。記憶部には、動画データが記憶されている。この動画データは、1つのLED50を1画素として全LED50分の画素を有する動画のデータである。動画再生装置2は、送信機3とモニタケーブルによって接続されており、動画データを再生して映像信号として送信機3へ送信する。なお、本実施例では、動画再生装置2をコンピュータ端末としたが、動画データを送信機3に送信する機能を有していればこの形態に限定されない。動画再生装置2は、例えば、スマートフォン等の携帯情報端末やメディアプレイヤーであってもよい。
【0020】
送信機3は、動画再生装置2とモニタケーブルによって接続され、受信機4とLANケーブルによって接続されている。送信機3は、映像信号として受信した動画データを発光シート5の発光色および発光パターンを示す発光パターンデータに変換する動画データ変換機能を有する。送信機3は、変換した発光パターンデータを、受信機4に送信する。この発光パターンデータは、1つのLED50を1画素として全LED50分の画素を有する動画データにより構成される。
【0021】
受信機4は、送信機3とLANケーブルによって接続され、複数の発光シート5と信号ケーブルで接続されている。受信機4は、発光パターンデータを分割する発光パターンデータ分割機能を有する。受信機4は、送信機3から受信した発光パターンデータを発光パターンデータ分割機能によって分割し、分割した各発光パターンデータを対応するそれぞれの発光シート5に送信する。この発光パターンデータ分割機能により、発光パターンデータは、それぞれの発光シート5毎の発光パターンデータに分割される。分割後の1つの発光パターンデータは、1つの発光シート5の全LED50に対応する画素数の動画データとなる。なお、本実施例では、受信機4は、LANケーブル(有線)のよって送信機3と接続されているが、無線LANといった無線手段によって受信機4と接続されていてもよい。
【0022】
図3は、発光シート5の一部正面拡大図である。
複数のLED50は、様々な光色の発光素子であり、すべてが同一の形状および大きさを有する。本実施例では、LED50の形状を一方向から見て正方形としたが、これに限定されない。例えばLED50の形状は、一方向から見て円形や長方形とすることもできる。複数のLED50は、基礎シート51の一方の面に設けられた設置穴52に埋め込まれて縦方向および横方向に等間隔で整列配置される。したがって、発光シート5は、発光するLED50(発光部)の間に発光しない基礎シート51(非発光部)が配置される構成である。基礎シート51の表面の色は適宜の色とすることができるが、LED50の発光が目立つように黒色とすることが好ましい。複数のLED50間の発光素子間隔53は、少なくともLED50の辺の長さ(円形であれば直径)である発光素子長さ54よりも広くすることができ、発光素子長さ54の1.5倍以上とすることが好ましく、発光素子長さ54の2倍以上とすることがより好ましい。また、左右および上下方向の最も端に配置されたLED50と発光シート5の発光シート縁57との間隔である端部間隔55は、発光素子間隔53の50%の長さである。なお、端部間隔55の長さは、発光素子間隔53の長さの40~60%の範囲とすることができ、45~55%の範囲とすることが好ましく、50%とすることがより好ましい。LED50と設置穴52の大きさ(発光方向から見た大きさ)は、0.5mm~3mmとすることができ、0.7mm~2mmとすることが好ましく、1mm程度とすることがより好ましい。
【0023】
基礎シート51は、不透明なゴム素材によって形成され、長方形の薄板形状を有する。基礎シート51は、少なくとも裏面に磁力が及ぶように、裏面部分(LED50が配置されていない面部分)の一部がゴム磁石により構成されている。すなわち、基礎シート51は、ゴム素材とゴム磁石の2層構造、ゴム素材の外装7に当接する位置の少なくとも一部に磁石が配置されている(外部に接着されているか内部に埋め込まれている)1層構造、または、全体がゴム磁石による1層構造により構成されている。なお、基礎シート51の素材および形状はこれに限定されない。例えば、素材は、ゴム素材でなくアクリル樹脂のような固いプラスチック素材であってもよい。また、基礎シート51は、円形形状を有していてもよい。さらに、基礎シート51は、ゴム磁石を備えず、ねじ孔といった外装7と固定されるための別の手段を備えていてもよい。この場合は、外装7側にも、基礎シート51側のねじ孔の位置に対応する位置にねじ孔を有し、基礎シート51(発光シート5)と外装7とがねじ止めされる。また、磁性層の代わりに、基礎シート51の裏面と外装7の表面に面ファスナの雄と雌をそれぞれ対向させて設けても良い。この場合も発光シート5を外装7に対して自由に着脱できる。基礎シート51は、一方の面に複数の設置穴52を有する。設置穴52は、直交する縦方向および横方向に等間隔に整列配置され、それぞれにLED50が埋め込まれている。したがって、設置穴52の開口面は、発光面である。各LED50間の間隔は、1~5mmの範囲とすることができ、1.5~4mmの範囲とすることがより好ましい。なお、基礎シート51へのLED50の配置方法は、これに限定されない。例えば、設置穴52を設けずに一部またはすべてのLED50が基礎シート51の一方の面上に配置されていてもよい。設置穴52およびLED50は、基礎シート51の長手方向に128個、短手方向に64個配置されている。なお、設置穴52およびLED50の数は、長手方向に50個以上とすることができ、80個以上とすることが好ましく、短手方向に25個以上とすることができ、50個以上とすることが好ましい。また、基礎シート51は、正方形を含む様々な四角形とすることができ、その場合の設置穴52およびLED50の数は、少なくとも短手方向(正方形であれば短手が無いから1辺方向)を25個以上とすることができ、50個以上とすることがより好ましい。
【0024】
なお、本実施例では、発光シート5は、基礎シート51と発光素子であるLED50とで構成されているが、この形態に限定されない。例えば、発光シート5は、複数の発光素子を備えたモニターであってもよい。
【0025】
図4は、意匠性発光装置1の斜視による写真画像図である。
意匠表示部材6は、正方形の薄板形状を有する。意匠表示部材6は、最も面積が大きい面(表面)の大きさが2枚の発光シート5A,5Bが並んだ正面側の全面の大きさと等しく、発光シート5の正面側の面にぴったり重なるように配置されている。意匠表示部材6は、意匠性透光部材61と、意匠性透光部材61以外に配置された余白部材62で構成されている。言い換えると、意匠表示部材6は、正方形の余白部材62の一部に文字、図形、または模様を表す線形状(ストロークにより文字、図形、または模様を表す意匠形状)の意匠性透光部材61が設けられている。
【0026】
意匠性透光部材61は、乳白色(半透明)の光拡散性および透光性を有する素材(光拡散素材)で形成される。すなわち、発光シート5の発光面側から照射されて意匠性透光部材61の裏面から意匠性透光部材61に入射した光(光線)は、意匠性透光部材61の内部を透過しつつ内部で拡散されて正面側(表面側)の露出面から射出される。意匠性透光部材61は、一定の太さ(幅)を有する線によって正面側から視認できるように文字、図形、または模様の形に形成される。また、意匠性透光部材61は、線形状の幅方向の中央が厚み方向の正面側(表面側)に半円状に盛り上がるように湾曲した形状を有する。本実施例における意匠性透光部材61は、「B」を縁取りして表す意匠と、「O」を縁取りして表す意匠と、「直径の異なる3つの半円」を表す意匠に形成されている。
【0027】
意匠性透光部材61の幅方向の長さ(線形状の線の太さ)は、少なくとも各LED50の発光素子長さ54以上の長さであって、一列に並ぶLED50の2つ以上を含む長さを有し、3つ以上を含む長さであることが好ましく、4つ以上を含む長さであることがより好ましく、5つ以上を含む長さであることが好適である。また、意匠性透光部材61における上述の幅方向の長さの条件を満たすものは、個別意匠(1文字、1図形、1模様)の1つ以上とすることができ、複数の個別意匠のうち半数以上とすることが好ましく、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。また、1つの個別意匠の中で上述の幅方向の長さの条件を満たす線形状のものは、1つ以上とすることができ、半数以上とすることができ、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。また、意匠性透光部材61における上述の幅方向の長さの条件を満たす1つの線形状において、上述の幅方向の長さの条件を満たす部分は、5割以上とすることができ、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。
【0028】
なお、意匠性透光部材61は、その太さ(幅)が一定でなくてもよく、徐々に太くなる(徐々に細くなる)形や、1部だけが太い(1部だけが細い)形を有していてもよい。意匠性透光部材61は、10mmの厚みを有し、71.7~73.1%の透過度(全光線透過率)を有する乳白色のアクリル素材により形成されている。これは、意匠性透光部材61が乳白色である場合、裏側に配置された発光シート5からの発光(光の射出)を受けて、光を内部で拡散し、正面側に透過する程度の厚みおよび透過度であり、発光シート5からの光を透過した際に、正面側から見て発光シート5を構成するLED50(後述)が視認できない程度の厚みおよび透過度である。
図3に示すように、意匠性透光部材61が配置されている「B」と「直径の異なる3つの半円」の意匠は、発光しているLED50が視認できないが、意匠性透光部材61が配置されていない「O」の意匠は、発光しているLED50が視認できる。
なお、意匠性透光部材61は、上述した構成に限らず、5mmの厚みを有し、42.3%の透過度(全光線透過率)を有する乳白色のアクリル素材とするなど、適宜の半透明素材により構成することができる。意匠性透光部材61の厚みは、3mm~15mmとすることができ、4mm~12mmとすることが好ましく、5mm~10mmとすることがより好ましい。また、意匠性透光部材61の透過度は、10%~90%とすることができ、20%~80%とすることが好ましく、30%~70%とすることがより好ましい。また、意匠性透光部材61の透過度は、意匠性透光部材61の厚みによって好適な範囲を異ならせることができ、意匠性透光部材61の厚みが3mm以上8mm未満であれば、透過度は、全光線透過率で10~60%の範囲とすることができ、20~55%の範囲とすることが好ましく、30~50%の範囲とすることがより好ましい。また、例えば、意匠性透光部材61の厚みが8mm以上15mm未満であれば、透過度は、全光線透過率で40~90%の範囲とすることができ、50~80%の範囲とすることが好ましく、60~75%の範囲とすることがより好ましい。
【0029】
余白部材62は、薄板であり、不透明のプラスチックで形成される。したがって、正面側からは余白部材62を通して発光シート5を視認することはできない。余白部材62は、1枚のプラスチック板において、一定の太さ(幅)の線形状で「B」、「O」、および「直径の異なる3つの半円」を表す意匠の形状にくり抜かれた3種類の意匠を表す余白部材孔63が設けられており、各余白部材孔63に意匠性透光部材61が嵌め込まれている。すなわち、余白部材62は、意匠表示部材6における意匠性透光部材61以外の大部分またはすべてを構成する。なお、本実施例では、余白部材62を不透明としたが、意匠性透光部材61と透過度(透明性)が異なっていれば不透明に限定されない。例えば、余白部材62は、意匠性透光部材61よりも高い透過度(透明性)を有していてもよい。
【0030】
図5は、
図1における意匠表示部材6および発光シート5のA-A矢視側断面図である。
意匠表示部材6は、2枚の発光シート5A、5Bと重ねて配置された状態のとき、意匠性透光部材61の一部とシートつなぎ目56が重なるように配置される。言い換えると、意匠性透光部材61は、2枚の発光シート5A、5Bのシートつなぎ目56をまたいで覆うように、2枚の発光シート5A、5BのLED50が発光する面側に配置される。意匠性透光部材61の光透過方向となる高さ方向(図示左右方向)の厚みは、余白部材62の高さ方向(図示左右方向)の厚みよりも厚く構成されている。意匠性透光部材61は、裏面(図示左側面)が余白部材62の裏面と面一になり、かつ、周面(図示上面および下面)が余白部材62の余白部材孔63の周面(図示上面および下面)に隙間なく当接するように構成されている。
【0031】
図6は、
図1における意匠性発光装置1のB-B、C-C範囲正面拡大図である。
2枚の発光シート5A、5Bは、意匠表示部材6と重ねて配置された状態のとき、LED50が、太さ(幅)を有する線で表された意匠性透光部材61の範囲内に上下左右の1方向において複数含まれるように配置されている。
【0032】
ここで、意匠性発光装置1が実際にサイン広告として使用される際の動作を説明する。
動画再生装置2には、あらかじめ再生する動画データが記憶されている。なお、動画再生装置2は、動画データを外部からリアルタイムに取得して送信機3へ送信する構成としてもよい。動画再生装置2は、動画データを送信機3に送信する。動画データは、意匠性透光部材61の意匠(文字、図形、または模様)に対応した動画である。この動画は、例えば、「B」の文字において左上から徐々に「B」の文字が現れるような動画や、「直径の異なる3つの半円」において、それぞれの端部から徐々に「直径の異なる3つの半円」の図形が現れる動画、あるいは、「B」、「O」、「直径の異なる3つの半円」等の図形が明るく他の部分が暗い動画(もしくは静止画)とすることができる。なお、この実施例では動画データを使用する構成としているが、動画再生装置2により再生する画像は、これに限らず静止画データを使用するなど、適宜の画像データ(動画像および静止画像を含む)を使用することができる。
【0033】
送信機3は、動画再生装置2から送信された動画データを受信し、受信した動画データを動画データ変換機能によってLED50の発光パターンデータに変換する。送信機3は、発光パターンデータを受信機4に送信する。
【0034】
受信機4は、送信機3から送信された発光パターンデータを受信し、受信した発光パターンデータを発光パターンデータ分割機能によって2枚の発光シート5A、5Bに対応するように分割する。この実施例では、正方形の表示エリア内に表示される動画データの上半分を発光シート5Aに表示させ、下半分を発光シート5Bに表示させるように分割する。受信機4は、分割した発光パターンデータを発光シート5A、5Bに出力し、すべてのLED50の発光色および発光パターンを制御する。したがって、受信機4は、発光シート5の制御装置として機能する。なお、本実施例では制御装置を受信機4としたが、送信機3または動画再生装置2を制御装置としてもよい。
【0035】
発光シート5は、すべてのLED50が受信機4によって制御される。そして、LED50は、発光パターンデータに対応するように正面方向に向けて発光する。発光によって射出された光(光線)は、意匠性透光部材61の内部で拡散され、正面方向に透過する。このとき、正面側(発光面を視認できる側)からは、むらなく満遍なく光る意匠性透光部材61の意匠がはっきりと視認される。すなわち、受信機4は、意匠性透光部材61の位置や意匠の形状に対応する発光パターンをもって、意匠性透光部材61の意匠を強調するようにLED50の発光を制御する意匠強調発光を実行する。この意匠強調発光では、意匠性透光部材61の位置や意匠の形状に対応する部分や、余白部材62の位置に対応した演出を実行する部分といった意匠性を有する部分のみが発光され、それ以外は発光しないように発光パターンが制御される。
【0036】
以上の構成により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することができる。
意匠性発光装置1は、LED50(発光素子)を面上に複数配置させた発光シート5と、文字、図形、または模様を表す線形状に形成され、光拡散素材により形成された意匠性透光部材61と、意匠性透光部材61以外の領域に配置された余白部材62とを備え、受信機4によって、意匠性透光部材61の位置に対応するようにLED50を発光させる意匠強調発光を制御する構成である。この構成により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができる。また、意匠性透光部材61に対応する位置のLED50が直接的には視認されないため意匠性透光部材61がドット状に見えることがなく、意匠性透光部材61内で光が拡散して意匠性透光部材61が均一に発光する状態となるため、はっきりと意匠性透光部材61の意匠を認識することができる。また、筐体まで個別オーダーに合わせて制作しなければならない従来の箱文字に比べて、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ないため、安価な意匠性発光装置1とすることができる。
【0037】
また、余白部材62は、光を透過する透過度(透明性)が意匠性透光部材61の透過度(透明性)と異なる素材によって形成されている。この構成により、意匠性透光部材61と余白部材62の境界線が明確となり、よりはっきりと意匠性透光部材61の意匠を認識することができる。具体的には、余白部材62を不透明な素材とすることで、意匠性透光部材61のみを発光させることができ、意匠を明瞭に認識させることができる。
【0038】
また、受信機4は、LED50の発光を、動画データを変換した発光パターンデータによって制御する。この構成により、LED50の発光の色や明るさを様々に変化させることができ、意匠性透光部材61が様々な色や明るさに変化する演出を実現できる。
【0039】
また、受信機4は、複数の発光シート5のすべてのLED50の発光を制御し、意匠性透光部材61の少なくとも一部(意匠性透光部材61を含む)は、2枚の発光シート5A、5Bのシートつなぎ目56をまたぐように配置されている。この構成により、意匠性透光部材61の大きさがどれだけ大きい場合であっても、巨大な1枚の発光シート5を準備する必要がなく、複数の発光シート5を並べることで対応することができる。すなわち、意匠性発光装置1を様々な場所に設置することができ、屋外広告として好適に使用することができる。
【0040】
そして、シートつなぎ目56部分の上に意匠性透光部材61が存在することにより、LED50からの光が意匠性透光部材61内で拡散し、シートつなぎ目56部分の上部も暗くならずに均一に発光させることができる。特に、端のLED50から発光シート縁57までの距離が、隣接するLED50間の距離の半分であることにより、シートつなぎ目56をまたぐ部分のLED50間の距離が他の部分のLED50間の距離と同一となる。これにより、シートつなぎ目56部分の意匠性透光部材61が若干暗くあるいは若干明るくなるといったことが無く、均一に発光させることができる。
【0041】
また、発光シート5において、左右および上下方向の最も端に配置されたLED50と発光シート5の端部との間隔である端部間隔55は、発光素子間隔53の40~60%の範囲の長さを有する。この構成により、シートつなぎ目56に重なった位置の意匠性透光部材61においても、シートつなぎ目56によって影が形成されることがなく、意匠性透光部材61を均一に発光させることができる。
【0042】
また、意匠性透光部材61は、乳白色であって、5mm~12mmの範囲の厚みと30~80%の範囲の透過度(全光線透過率)を有する。この構成により、遠くからはっきりと意匠性透光部材61の意匠を視認でき、かつ意匠性透光部材61と対応する位置にあるLED50を視認できない程度の意匠性透光部材61の透過性を実現できる。
【0043】
また、発光シート5A,5Bに設けられた複数のLED50のうち、意匠性透光部材61の裏面に対向する位置に設けられているものを発光させ、他のLED50を発光させないことにより、意匠性透光部材61のみを明瞭に明るく発光させてサインを際立たせ、かつ、他の部分のLED50を発光させないことにより、意匠性透光部材61を明るく目立たせることができる。また、意匠性透光部材61の裏面に対向しない位置のLED50は、発光しないことにより、光が適宜の隙間等から漏れ出して発光シート5A,5Bと意匠性透光部材61による演出や視認させたい文字、図形、または模様を表す線形状を邪魔することなく、明瞭な視認性を得ることができる。また、また、意匠性透光部材61の裏面に対向しない位置のLED50が発光しないことにより、余分な電力を使用することを防止できる。
【0044】
また、発光シート5の裏面がゴム磁石であるか、発光シート5の裏面に磁力が及ぶように磁性体が配置されているため、平面に限らず湾曲面や球面にも吸着させて利用することができる。
【0045】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、余白部材62を不透明の素材でなく意匠性透光部材61よりも透過度(透明性)が低い半透明の素材によって形成してもよい。このような形態であれば、意匠性透光部材61と余白部材62との境界線がぼんやり光っているように視認させることができ、意匠性を変化させることができる。この場合は、例えば、意匠性透光部材61の形状に発光させるLED50を、意匠性透光部材61の縁に外側へ向かって少しずつ明度が落ちるように発光させることで、意匠性透光部材61のまわりをぼんやり光らせることができる。また、余白部材62に対応する位置のLED50の発光パターンを設定することで、意匠性透光部材61の発光パターンとは異なる印象与えるような演出を行うことができる。具体的には、余白部材62は、意匠性透光部材61の存在しない場所で発光したLED50の光を拡散できるため、例えば、LED50の発光パターンによって形成された花などの図柄を余白部材62に複数置いてぼんやり発光させるといった演出ができる。
【0046】
また、例えば、余白部材62を透明な導光板によって形成してもよい。このような形態であれば、余白部材62に対応した位置にあるLED50を視認することができる。したがって、意匠性透光部材61で表された意匠は、LED50を視認できない演出とし、余白部材62に対応するLED50の発光パターンはドット状で視認できる演出とすることができる。そして、このような演出方法の違いを活用することで、より注目度の高い広告宣伝効果を発揮することができる。
【0047】
また、例えば、受信機4を複数設け、複数の受信機4を1つの送信機3に接続してもよい。このような形態であれば、1つの発光パターンを複数の発光シート5に表示することができる。したがって、例えば、店舗外に設けられた複数の発光シート5および意匠表示部材6に対して、店舗内に設ける送信機3を1つだけとすることができ、利便性が向上する。
【0048】
図7Aは、意匠表示部材6および発光シート5の第2の形態の縦断左側面図であり、
図7Bは、意匠表示部材6および発光シート5の第3の形態の縦断左側面図であり、
図7Cは、意匠表示部材6および発光シート5の第4の形態の縦断左側面図であり、
図7Dは、意匠表示部材6および発光シート5の第5の形態の縦断左側面図である。
【0049】
例えば、意匠性透光部材61の形状を、余白部材62に埋め込まれた箇所から外周方向に向かって膨らむように形成することができる。この場合、意匠性透光部材61は、余白部材62に埋め込まれている埋め込み部611と、正面側に露出している意匠部615を有する。
【0050】
埋め込み部611は、余白部材孔63に対応した形状(孔の幅と同じ幅および孔高さと同じ高さ)を有し、余白部材孔63に嵌合される。詳細には、埋め込み部611は、余白部材孔63のすべてまたは一部の幅と同じ幅を有し、余白部材孔63の孔高さ以下の高さを有する。埋め込み部611は、余白部材孔63の少なくとも一部に埋めこまれている。したがって、意匠性透光部材61は、埋め込み部611によって余白部材62に固定されている。
【0051】
意匠部615は、埋め込み部611から連続して形成され、埋め込み部611の幅よりも幅が太く形成されており、最も幅広となる意匠形状の外周方向の端部となる意匠端部612を有する。このとき、意匠部615の幅方向の長さが、意匠部615の幅である意匠部幅614となる。意匠部幅614は、埋め込み部611の幅である埋め込み部幅613より幅方向両側へ広がるように長い(太い)。したがって、正面側から意匠性透光部材61の意匠形状(意匠部615)が視認された場合に、意匠部615によって、埋め込み部611と余白部材62との境界線は視認されない。この場合、埋め込み部611から意匠端部612までの形状は、正面側から見た際に、埋め込み部611と余白部材62との境界線が隠される(埋め込み部611と余白部材62との境界線が視認されない)形状であればよい。例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面が、その直径が埋め込み部611の幅よりも大きい球状であってもよい(
図7A参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面において、埋め込み部611から意匠端部612までを直線的な傾斜としてもよい(
図7B参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面が、その直径が埋め込み部611の幅よりも大きい半円形状であってもよい(
図7C参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面において、埋め込み部611および意匠端部612までを連続した直線的な傾斜としてもよい(
図7D参照)。
【0052】
図8は、意匠表示部材6および発光シート5の別の形態における斜視による写真画像図である。
このように意匠部615が埋め込み部611より幅広となる形状とすることで、
図8に示すように正面側から意匠性透光部材61が視認された場合に、余白部材62から意匠性透光部材61の意匠形状(文字、図形、または模様)が浮き出ているように視認させることができ、意匠性を向上することができる。
【0053】
また、外装7において、発光シート5の端部付近が重なる位置に、磁性体のネジが設けられていてもよい。詳細には、外装7の発光シート5に配置されている磁石に対応して重なる位置に、奥行き方向に止められたネジを備えることができる。このような構成であれば、発光シート5の奥行方向の位置調整および傾き調整を簡単に行うことができる。詳細には、外装に備えられたネジ(調整ネジ)を締めることで発光シート5の位置をより奥行き方向に配置することができる。または、外装に備えられたネジ(調整ネジ)を緩めることで発光シート5の位置をより正面方向に配置することができる。また、複数設けられた発光シート5を確実に同一面上に配置することができる。したがって、奥行き方向のずれによる光の距離の差(光量のムラ)を生じさせることなく、より均一に発光する意匠性発光装置1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、広告として設置されて使用される意匠性発光装置の製造および販売に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…意匠性発光装置
2…動画再生装置
3…送信機
4…受信機
5…発光シート
50…LED
51…基礎シート
53…発光素子間隔
54…発光素子長さ
55…端部間隔
56…シートつなぎ目
6…意匠表示部材
61…意匠性透光部材
62…余白部材
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を面上に複数配置させた発光シートと、
複数の前記発光素子の発光を制御する制御装置と、
文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて前記発光シートの発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材と、
前記発光シートの発光面側で少なくとも前記意匠性透光部材以外の領域に配置された余白部材とを備え、
前記制御装置は、前記意匠性透光部材の位置に対応する前記発光素子を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、
前記意匠性透光部材は、前記発光素子の光を拡散する光拡散素材により形成され、
前記余白部材は、前記発光シートの発光面側に当接、隣接、または近接した状態で重ねて配置されている
意匠性発光装置。
【請求項2】
前記意匠性透光部材は、前記余白部材から盛り上がって露出している
請求項1記載の意匠性発光装置。
【請求項3】
前記意匠性透光部材が前記余白部材に埋め込まれて形成され、
前記意匠性透光部材は、
前記余白部材に埋め込まれている埋め込み部と、
前記余白部材から露出している意匠部とを有し、
前記意匠部の幅は、前記埋め込み部の幅よりも大きい
請求項1または2記載の意匠性発光装置。
【請求項4】
前記意匠性透光部材は、線形状の幅方向の中央が厚み方向に半円状に盛り上がるように湾曲した形状を有する
請求項1、2、または3記載の意匠性発光装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、文字、図形、または模様を表示する意匠性発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店名やロゴを明るく表示する照明サインや照明広告と呼ばれるような意匠性発光装置が提供されている。このような意匠性発光装置は、文字や線図等の形状に合わせて、光源の光で店名やロゴ等の意匠を明るく表示するものである。この意匠性発光装置は、視認性が高く美しいことから、店舗の正面や入口でブランド名を表示するなど、様々な場所で利用されている。
【0003】
このような意匠性発光装置は、従来のネオンサインや蛍光サインから、近年ではLEDを用いたLEDサインまで多様化しており、様々な意匠性が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、「株」の文字に形成したケーシング内に複数のLEDとその配線を配置した、いわゆる箱文字と言われる内照式疑似金属ケーシングが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の内照式疑似金属ケーシングなどの箱文字は、複数のLEDを使用し、また、そのLEDに電力供給する配線が必要となる。このため、LEDの配置と配線およびケーシングの形状は、制作する箱文字の形状によって異なり、顧客の注文に応じて一品制作的に作成しなければならずコスト高になるという問題点があった。また、制作する箱文字が大きくなるほど必要なLEDの数が増加し、それに伴って配線も増加するため、配線が箱文字内に収まらず収納場所の確保が難しいという問題もあった。
【0007】
本願発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、発光素子を面上に複数配置させた発光シートと、複数の前記発光素子の発光を制御する制御装置と、文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて前記発光シートの発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材と、前記発光シートの発光面側で少なくとも前記意匠性透光部材以外の領域に配置された余白部材とを備え、前記制御装置は、前記意匠性透光部材の位置に対応する前記発光素子を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、前記意匠性透光部材は、前記発光素子の光を拡散する光拡散素材により形成され、前記余白部材は、前記発光シートの発光面側に当接、隣接、または近接した状態で重ねて配置されている意匠性発光装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】意匠表示部材および発光シートのA-A矢視側断面図。
【
図6】意匠性発光装置のB-B、C-C範囲正面拡大図。
【
図7A】意匠表示部材および発光シートの第2の形態の縦断左側面図。
【
図7B】意匠表示部材および発光シートの第3の形態の縦断左側面図。
【
図7C】意匠表示部材および発光シートの第4の形態の縦断左側面図。
【
図7D】意匠表示部材および発光シートの第5の形態の縦断左側面図。
【
図8】意匠表示部材および発光シートの別の形態における斜視による写真画像図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0012】
図1は、意匠性発光装置1の斜視図である。
意匠性発光装置1は、立方体で中が空洞の箱型形状の外装7を有する。意匠性発光装置1は、外装7の少なくとも正面に複数の意匠表示部材6が隙間なく隣接して配置され、その表面に発光シート5が重ねて配置されている。なお、外装7の形状は、立方体に限定されず、内部空洞の種々の立体形状とすることができる。
なお、
図1では、重ねている意匠表示部材6を仮想線で示している。また、本実施例では、
図1における上下方向を意匠性発光装置1の上下方向とし、発光シート5が配置されている面の正面を意匠性発光装置1の正面とする。
【0013】
外装7は、外観形状が立方体で内部が空洞の箱型形状を有している。なお、外装7の外観形状は、立方体に限定されず、立方体以外の角柱、円柱、角錐、円錐といった外観形状とすることができる。外装7は、表面が金属板などの磁性体により構成されており、少なくとも表面に発光シート5が配置されている。この発光シート5は、裏面がゴム磁石等の磁化した磁性体により構成されているか、裏面に磁力が及ぶように磁性体が配置されており、その磁性体の磁力によって外装7に吸着する。外装7と発光シート5とは、外装7の側面と発光シート5の側面(縁)である発光シート縁57とをつなぐようにビニールテープ等のテープで接続(接着)されている。したがって、外装7の内部は、雨水等が入らない程度に密閉されている。なお、外装7と発光シート5との接続方法はこれに限定されず、例えば、奥行き方向または左右方向にねじ止めによって固定する方法としてもよい。
【0014】
外装7の内部には、
図2に示した動画再生装置2と、送信機3と、受信機4が収納されている。なお、動画再生装置2と、送信機3と、受信機4は、これらの内の1つ以上を外装7に収納せず、別途備えてもよい。
【0015】
発光シート5は、長方形で薄板形状を有する。発光シート5は8mmの厚みを有する。また、発光シート5の厚みは、3mm~15mmとすることができ、5mm~12mmとすることが好ましく、8mm~10mmとすることがより好ましい。発光シート5は、発光素子である複数のLED50(発光部)と、すべてのLED50が一方の面に配置された発光しない基礎シート51(非発光部)で構成される。また、発光シート5は、裏面に磁性層(図示省略)が設けられている。この磁性層は、裏面全体に設けられているゴム磁石の層である。なお、本実施例では、磁性層が設けられているが、発光シート5は、外装7の位置に対応する裏面の位置に磁力を及ぼすように、一部に磁石が配置されていればよい。例えば、外装7の位置に対応する裏面に薄い磁石を配置してもよい。発光シート5は、図示省略するフレキシブル基板上に全てのLED50が電気的に接続して設けられ、すべてのLED50が制御されるように受信機4と信号ケーブル(図示省略)で接続されている。
【0016】
また、発光シート5は、LED50が配置された面(発光素子の発光する発光面)に重なるように意匠表示部材6が配置されている。したがって、発光シート5の発光面は、意匠性発光装置1の正面側に配置され、意匠表示部材6がない状態では正面側から発光面が全面視認される。
【0017】
本実施例の意匠性発光装置1は、同じ大きさおよび厚みを有する2枚の発光シート5A、5Bが互いに対向する1辺全体をズレなく隙間なく隣接して配置されている。なお、発光シート5の枚数は特に限定されず、意匠性発光装置1の大きさに合わせて1枚以上とすることができる。本実施例では、意匠性発光装置1の上部に配置された発光シート5Aと、意匠性発光装置1の下部に配置された発光シート5Bは、お互いに同一平面上に配置されている。そして、発光シート5Aの長手となる下辺と、発光シート5Bの長手となる上辺とが意匠性発光装置1の上下方向の中心で接しており、シートつなぎ目56(つなぎ目)を形成している。なお、2枚の発光シート5A、5Bは、平面でなく厚み方向に全体的に湾曲していてもよく、厚み方向に波形状に湾曲していてもよい。ただし、2枚の発光シート5A、5Bは、どの形態であってもお互いに同一面上に配置されている。
【0018】
図2は、意匠性発光装置1の構成を示すブロック図である。
意匠性発光装置1は、動画再生装置2と、動画を送信する送信機3と、動画を受信する受信機4と、外装7と、動画を表示する2枚の発光シート5(5A、5B)と、発光シート5の発光する面に重ねて配置された意匠表示部材6とで構成される。
【0019】
動画再生装置2は、例えば、CPUとROMとRAM等で構成されて各種演算や制御動作を実行する制御部と、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成されて情報のリードライトを許容する記憶部と、LANボードやWiFiユニット等で構成されて有線または無線でインターネットに接続されてデータの送受信を行う通信部と、タッチパネル、キーボード、マウス、押下ボタン、又はこれらの複数で構成されて接触操作による入力を受け付ける入力部と、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されて文字や図等の画像を表示する表示部とを備えたコンピュータ端末である。記憶部には、動画データが記憶されている。この動画データは、1つのLED50を1画素として全LED50分の画素を有する動画のデータである。動画再生装置2は、送信機3とモニタケーブルによって接続されており、動画データを再生して映像信号として送信機3へ送信する。なお、本実施例では、動画再生装置2をコンピュータ端末としたが、動画データを送信機3に送信する機能を有していればこの形態に限定されない。動画再生装置2は、例えば、スマートフォン等の携帯情報端末やメディアプレイヤーであってもよい。
【0020】
送信機3は、動画再生装置2とモニタケーブルによって接続され、受信機4とLANケーブルによって接続されている。送信機3は、映像信号として受信した動画データを発光シート5の発光色および発光パターンを示す発光パターンデータに変換する動画データ変換機能を有する。送信機3は、変換した発光パターンデータを、受信機4に送信する。この発光パターンデータは、1つのLED50を1画素として全LED50分の画素を有する動画データにより構成される。
【0021】
受信機4は、送信機3とLANケーブルによって接続され、複数の発光シート5と信号ケーブルで接続されている。受信機4は、発光パターンデータを分割する発光パターンデータ分割機能を有する。受信機4は、送信機3から受信した発光パターンデータを発光パターンデータ分割機能によって分割し、分割した各発光パターンデータを対応するそれぞれの発光シート5に送信する。この発光パターンデータ分割機能により、発光パターンデータは、それぞれの発光シート5毎の発光パターンデータに分割される。分割後の1つの発光パターンデータは、1つの発光シート5の全LED50に対応する画素数の動画データとなる。なお、本実施例では、受信機4は、LANケーブル(有線)のよって送信機3と接続されているが、無線LANといった無線手段によって受信機4と接続されていてもよい。
【0022】
図3は、発光シート5の一部正面拡大図である。
複数のLED50は、様々な光色の発光素子であり、すべてが同一の形状および大きさを有する。本実施例では、LED50の形状を一方向から見て正方形としたが、これに限定されない。例えばLED50の形状は、一方向から見て円形や長方形とすることもできる。複数のLED50は、基礎シート51の一方の面に設けられた設置穴52に埋め込まれて縦方向および横方向に等間隔で整列配置される。したがって、発光シート5は、発光するLED50(発光部)の間に発光しない基礎シート51(非発光部)が配置される構成である。基礎シート51の表面の色は適宜の色とすることができるが、LED50の発光が目立つように黒色とすることが好ましい。複数のLED50間の発光素子間隔53は、少なくともLED50の辺の長さ(円形であれば直径)である発光素子長さ54よりも広くすることができ、発光素子長さ54の1.5倍以上とすることが好ましく、発光素子長さ54の2倍以上とすることがより好ましい。また、左右および上下方向の最も端に配置されたLED50と発光シート5の発光シート縁57との間隔である端部間隔55は、発光素子間隔53の50%の長さである。なお、端部間隔55の長さは、発光素子間隔53の長さの40~60%の範囲とすることができ、45~55%の範囲とすることが好ましく、50%とすることがより好ましい。LED50と設置穴52の大きさ(発光方向から見た大きさ)は、0.5mm~3mmとすることができ、0.7mm~2mmとすることが好ましく、1mm程度とすることがより好ましい。
【0023】
基礎シート51は、不透明なゴム素材によって形成され、長方形の薄板形状を有する。基礎シート51は、少なくとも裏面に磁力が及ぶように、裏面部分(LED50が配置されていない面部分)の一部がゴム磁石により構成されている。すなわち、基礎シート51は、ゴム素材とゴム磁石の2層構造、ゴム素材の外装7に当接する位置の少なくとも一部に磁石が配置されている(外部に接着されているか内部に埋め込まれている)1層構造、または、全体がゴム磁石による1層構造により構成されている。なお、基礎シート51の素材および形状はこれに限定されない。例えば、素材は、ゴム素材でなくアクリル樹脂のような固いプラスチック素材であってもよい。また、基礎シート51は、円形形状を有していてもよい。さらに、基礎シート51は、ゴム磁石を備えず、ねじ孔といった外装7と固定されるための別の手段を備えていてもよい。この場合は、外装7側にも、基礎シート51側のねじ孔の位置に対応する位置にねじ孔を有し、基礎シート51(発光シート5)と外装7とがねじ止めされる。また、磁性層の代わりに、基礎シート51の裏面と外装7の表面に面ファスナの雄と雌をそれぞれ対向させて設けても良い。この場合も発光シート5を外装7に対して自由に着脱できる。基礎シート51は、一方の面に複数の設置穴52を有する。設置穴52は、直交する縦方向および横方向に等間隔に整列配置され、それぞれにLED50が埋め込まれている。したがって、設置穴52の開口面は、発光面である。各LED50間の間隔は、1~5mmの範囲とすることができ、1.5~4mmの範囲とすることがより好ましい。なお、基礎シート51へのLED50の配置方法は、これに限定されない。例えば、設置穴52を設けずに一部またはすべてのLED50が基礎シート51の一方の面上に配置されていてもよい。設置穴52およびLED50は、基礎シート51の長手方向に128個、短手方向に64個配置されている。なお、設置穴52およびLED50の数は、長手方向に50個以上とすることができ、80個以上とすることが好ましく、短手方向に25個以上とすることができ、50個以上とすることが好ましい。また、基礎シート51は、正方形を含む様々な四角形とすることができ、その場合の設置穴52およびLED50の数は、少なくとも短手方向(正方形であれば短手が無いから1辺方向)を25個以上とすることができ、50個以上とすることがより好ましい。
【0024】
なお、本実施例では、発光シート5は、基礎シート51と発光素子であるLED50とで構成されているが、この形態に限定されない。例えば、発光シート5は、複数の発光素子を備えたモニターであってもよい。
【0025】
図4は、意匠性発光装置1の斜視による写真画像図である。
意匠表示部材6は、正方形の薄板形状を有する。意匠表示部材6は、最も面積が大きい面(表面)の大きさが2枚の発光シート5A,5Bが並んだ正面側の全面の大きさと等しく、発光シート5の正面側の面にぴったり重なるように配置されている。意匠表示部材6は、意匠性透光部材61と、意匠性透光部材61以外に配置された余白部材62で構成されている。言い換えると、意匠表示部材6は、正方形の余白部材62の一部に文字、図形、または模様を表す線形状(ストロークにより文字、図形、または模様を表す意匠形状)の意匠性透光部材61が設けられている。
【0026】
意匠性透光部材61は、乳白色(半透明)の光拡散性および透光性を有する素材(光拡散素材)で形成される。すなわち、発光シート5の発光面側から照射されて意匠性透光部材61の裏面から意匠性透光部材61に入射した光(光線)は、意匠性透光部材61の内部を透過しつつ内部で拡散されて正面側(表面側)の露出面から射出される。意匠性透光部材61は、一定の太さ(幅)を有する線によって正面側から視認できるように文字、図形、または模様の形に形成される。また、意匠性透光部材61は、線形状の幅方向の中央が厚み方向の正面側(表面側)に半円状に盛り上がるように湾曲した形状を有する。本実施例における意匠性透光部材61は、「B」を縁取りして表す意匠と、「O」を縁取りして表す意匠と、「直径の異なる3つの半円」を表す意匠に形成されている。
【0027】
意匠性透光部材61の幅方向の長さ(線形状の線の太さ)は、少なくとも各LED50の発光素子長さ54以上の長さであって、一列に並ぶLED50の2つ以上を含む長さを有し、3つ以上を含む長さであることが好ましく、4つ以上を含む長さであることがより好ましく、5つ以上を含む長さであることが好適である。また、意匠性透光部材61における上述の幅方向の長さの条件を満たすものは、個別意匠(1文字、1図形、1模様)の1つ以上とすることができ、複数の個別意匠のうち半数以上とすることが好ましく、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。また、1つの個別意匠の中で上述の幅方向の長さの条件を満たす線形状のものは、1つ以上とすることができ、半数以上とすることができ、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。また、意匠性透光部材61における上述の幅方向の長さの条件を満たす1つの線形状において、上述の幅方向の長さの条件を満たす部分は、5割以上とすることができ、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。
【0028】
なお、意匠性透光部材61は、その太さ(幅)が一定でなくてもよく、徐々に太くなる(徐々に細くなる)形や、1部だけが太い(1部だけが細い)形を有していてもよい。意匠性透光部材61は、10mmの厚みを有し、71.7~73.1%の透過度(全光線透過率)を有する乳白色のアクリル素材により形成されている。これは、意匠性透光部材61が乳白色である場合、裏側に配置された発光シート5からの発光(光の射出)を受けて、光を内部で拡散し、正面側に透過する程度の厚みおよび透過度であり、発光シート5からの光を透過した際に、正面側から見て発光シート5を構成するLED50(後述)が視認できない程度の厚みおよび透過度である。
図3に示すように、意匠性透光部材61が配置されている「B」と「直径の異なる3つの半円」の意匠は、発光しているLED50が視認できないが、意匠性透光部材61が配置されていない「O」の意匠は、発光しているLED50が視認できる。
なお、意匠性透光部材61は、上述した構成に限らず、5mmの厚みを有し、42.3%の透過度(全光線透過率)を有する乳白色のアクリル素材とするなど、適宜の半透明素材により構成することができる。意匠性透光部材61の厚みは、3mm~15mmとすることができ、4mm~12mmとすることが好ましく、5mm~10mmとすることがより好ましい。また、意匠性透光部材61の透過度は、10%~90%とすることができ、20%~80%とすることが好ましく、30%~70%とすることがより好ましい。また、意匠性透光部材61の透過度は、意匠性透光部材61の厚みによって好適な範囲を異ならせることができ、意匠性透光部材61の厚みが3mm以上8mm未満であれば、透過度は、全光線透過率で10~60%の範囲とすることができ、20~55%の範囲とすることが好ましく、30~50%の範囲とすることがより好ましい。また、例えば、意匠性透光部材61の厚みが8mm以上15mm未満であれば、透過度は、全光線透過率で40~90%の範囲とすることができ、50~80%の範囲とすることが好ましく、60~75%の範囲とすることがより好ましい。
【0029】
余白部材62は、薄板であり、不透明のプラスチックで形成される。したがって、正面側からは余白部材62を通して発光シート5を視認することはできない。余白部材62は、1枚のプラスチック板において、一定の太さ(幅)の線形状で「B」、「O」、および「直径の異なる3つの半円」を表す意匠の形状にくり抜かれた3種類の意匠を表す余白部材孔63が設けられており、各余白部材孔63に意匠性透光部材61が嵌め込まれている。すなわち、余白部材62は、意匠表示部材6における意匠性透光部材61以外の大部分またはすべてを構成する。なお、本実施例では、余白部材62を不透明としたが、意匠性透光部材61と透過度(透明性)が異なっていれば不透明に限定されない。例えば、余白部材62は、意匠性透光部材61よりも高い透過度(透明性)を有していてもよい。
【0030】
図5は、
図1における意匠表示部材6および発光シート5のA-A矢視側断面図である。
意匠表示部材6は、2枚の発光シート5A、5Bと重ねて配置された状態のとき、意匠性透光部材61の一部とシートつなぎ目56が重なるように配置される。言い換えると、意匠性透光部材61は、2枚の発光シート5A、5Bのシートつなぎ目56をまたいで覆うように、2枚の発光シート5A、5BのLED50が発光する面側に配置される。意匠性透光部材61の光透過方向となる高さ方向(図示左右方向)の厚みは、余白部材62の高さ方向(図示左右方向)の厚みよりも厚く構成されている。意匠性透光部材61は、裏面(図示左側面)が余白部材62の裏面と面一になり、かつ、周面(図示上面および下面)が余白部材62の余白部材孔63の周面(図示上面および下面)に隙間なく当接するように構成されている。
【0031】
図6は、
図1における意匠性発光装置1のB-B、C-C範囲正面拡大図である。
2枚の発光シート5A、5Bは、意匠表示部材6と重ねて配置された状態のとき、LED50が、太さ(幅)を有する線で表された意匠性透光部材61の範囲内に上下左右の1方向において複数含まれるように配置されている。
【0032】
ここで、意匠性発光装置1が実際にサイン広告として使用される際の動作を説明する。
動画再生装置2には、あらかじめ再生する動画データが記憶されている。なお、動画再生装置2は、動画データを外部からリアルタイムに取得して送信機3へ送信する構成としてもよい。動画再生装置2は、動画データを送信機3に送信する。動画データは、意匠性透光部材61の意匠(文字、図形、または模様)に対応した動画である。この動画は、例えば、「B」の文字において左上から徐々に「B」の文字が現れるような動画や、「直径の異なる3つの半円」において、それぞれの端部から徐々に「直径の異なる3つの半円」の図形が現れる動画、あるいは、「B」、「O」、「直径の異なる3つの半円」等の図形が明るく他の部分が暗い動画(もしくは静止画)とすることができる。なお、この実施例では動画データを使用する構成としているが、動画再生装置2により再生する画像は、これに限らず静止画データを使用するなど、適宜の画像データ(動画像および静止画像を含む)を使用することができる。
【0033】
送信機3は、動画再生装置2から送信された動画データを受信し、受信した動画データを動画データ変換機能によってLED50の発光パターンデータに変換する。送信機3は、発光パターンデータを受信機4に送信する。
【0034】
受信機4は、送信機3から送信された発光パターンデータを受信し、受信した発光パターンデータを発光パターンデータ分割機能によって2枚の発光シート5A、5Bに対応するように分割する。この実施例では、正方形の表示エリア内に表示される動画データの上半分を発光シート5Aに表示させ、下半分を発光シート5Bに表示させるように分割する。受信機4は、分割した発光パターンデータを発光シート5A、5Bに出力し、すべてのLED50の発光色および発光パターンを制御する。したがって、受信機4は、発光シート5の制御装置として機能する。なお、本実施例では制御装置を受信機4としたが、送信機3または動画再生装置2を制御装置としてもよい。
【0035】
発光シート5は、すべてのLED50が受信機4によって制御される。そして、LED50は、発光パターンデータに対応するように正面方向に向けて発光する。発光によって射出された光(光線)は、意匠性透光部材61の内部で拡散され、正面方向に透過する。このとき、正面側(発光面を視認できる側)からは、むらなく満遍なく光る意匠性透光部材61の意匠がはっきりと視認される。すなわち、受信機4は、意匠性透光部材61の位置や意匠の形状に対応する発光パターンをもって、意匠性透光部材61の意匠を強調するようにLED50の発光を制御する意匠強調発光を実行する。この意匠強調発光では、意匠性透光部材61の位置や意匠の形状に対応する部分や、余白部材62の位置に対応した演出を実行する部分といった意匠性を有する部分のみが発光され、それ以外は発光しないように発光パターンが制御される。
【0036】
以上の構成により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することができる。
意匠性発光装置1は、LED50(発光素子)を面上に複数配置させた発光シート5と、文字、図形、または模様を表す線形状に形成され、光拡散素材により形成された意匠性透光部材61と、意匠性透光部材61以外の領域に配置された余白部材62とを備え、受信機4によって、意匠性透光部材61の位置に対応するようにLED50を発光させる意匠強調発光を制御する構成である。この構成により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができる。また、意匠性透光部材61に対応する位置のLED50が直接的には視認されないため意匠性透光部材61がドット状に見えることがなく、意匠性透光部材61内で光が拡散して意匠性透光部材61が均一に発光する状態となるため、はっきりと意匠性透光部材61の意匠を認識することができる。また、筐体まで個別オーダーに合わせて制作しなければならない従来の箱文字に比べて、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ないため、安価な意匠性発光装置1とすることができる。
【0037】
また、余白部材62は、光を透過する透過度(透明性)が意匠性透光部材61の透過度(透明性)と異なる素材によって形成されている。この構成により、意匠性透光部材61と余白部材62の境界線が明確となり、よりはっきりと意匠性透光部材61の意匠を認識することができる。具体的には、余白部材62を不透明な素材とすることで、意匠性透光部材61のみを発光させることができ、意匠を明瞭に認識させることができる。
【0038】
また、受信機4は、LED50の発光を、動画データを変換した発光パターンデータによって制御する。この構成により、LED50の発光の色や明るさを様々に変化させることができ、意匠性透光部材61が様々な色や明るさに変化する演出を実現できる。
【0039】
また、受信機4は、複数の発光シート5のすべてのLED50の発光を制御し、意匠性透光部材61の少なくとも一部(意匠性透光部材61を含む)は、2枚の発光シート5A、5Bのシートつなぎ目56をまたぐように配置されている。この構成により、意匠性透光部材61の大きさがどれだけ大きい場合であっても、巨大な1枚の発光シート5を準備する必要がなく、複数の発光シート5を並べることで対応することができる。すなわち、意匠性発光装置1を様々な場所に設置することができ、屋外広告として好適に使用することができる。
【0040】
そして、シートつなぎ目56部分の上に意匠性透光部材61が存在することにより、LED50からの光が意匠性透光部材61内で拡散し、シートつなぎ目56部分の上部も暗くならずに均一に発光させることができる。特に、端のLED50から発光シート縁57までの距離が、隣接するLED50間の距離の半分であることにより、シートつなぎ目56をまたぐ部分のLED50間の距離が他の部分のLED50間の距離と同一となる。これにより、シートつなぎ目56部分の意匠性透光部材61が若干暗くあるいは若干明るくなるといったことが無く、均一に発光させることができる。
【0041】
また、発光シート5において、左右および上下方向の最も端に配置されたLED50と発光シート5の端部との間隔である端部間隔55は、発光素子間隔53の40~60%の範囲の長さを有する。この構成により、シートつなぎ目56に重なった位置の意匠性透光部材61においても、シートつなぎ目56によって影が形成されることがなく、意匠性透光部材61を均一に発光させることができる。
【0042】
また、意匠性透光部材61は、乳白色であって、5mm~12mmの範囲の厚みと30~80%の範囲の透過度(全光線透過率)を有する。この構成により、遠くからはっきりと意匠性透光部材61の意匠を視認でき、かつ意匠性透光部材61と対応する位置にあるLED50を視認できない程度の意匠性透光部材61の透過性を実現できる。
【0043】
また、発光シート5A,5Bに設けられた複数のLED50のうち、意匠性透光部材61の裏面に対向する位置に設けられているものを発光させ、他のLED50を発光させないことにより、意匠性透光部材61のみを明瞭に明るく発光させてサインを際立たせ、かつ、他の部分のLED50を発光させないことにより、意匠性透光部材61を明るく目立たせることができる。また、意匠性透光部材61の裏面に対向しない位置のLED50は、発光しないことにより、光が適宜の隙間等から漏れ出して発光シート5A,5Bと意匠性透光部材61による演出や視認させたい文字、図形、または模様を表す線形状を邪魔することなく、明瞭な視認性を得ることができる。また、また、意匠性透光部材61の裏面に対向しない位置のLED50が発光しないことにより、余分な電力を使用することを防止できる。
【0044】
また、発光シート5の裏面がゴム磁石であるか、発光シート5の裏面に磁力が及ぶように磁性体が配置されているため、平面に限らず湾曲面や球面にも吸着させて利用することができる。
【0045】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、余白部材62を不透明の素材でなく意匠性透光部材61よりも透過度(透明性)が低い半透明の素材によって形成してもよい。このような形態であれば、意匠性透光部材61と余白部材62との境界線がぼんやり光っているように視認させることができ、意匠性を変化させることができる。この場合は、例えば、意匠性透光部材61の形状に発光させるLED50を、意匠性透光部材61の縁に外側へ向かって少しずつ明度が落ちるように発光させることで、意匠性透光部材61のまわりをぼんやり光らせることができる。また、余白部材62に対応する位置のLED50の発光パターンを設定することで、意匠性透光部材61の発光パターンとは異なる印象与えるような演出を行うことができる。具体的には、余白部材62は、意匠性透光部材61の存在しない場所で発光したLED50の光を拡散できるため、例えば、LED50の発光パターンによって形成された花などの図柄を余白部材62に複数置いてぼんやり発光させるといった演出ができる。
【0046】
また、例えば、余白部材62を透明な導光板によって形成してもよい。このような形態であれば、余白部材62に対応した位置にあるLED50を視認することができる。したがって、意匠性透光部材61で表された意匠は、LED50を視認できない演出とし、余白部材62に対応するLED50の発光パターンはドット状で視認できる演出とすることができる。そして、このような演出方法の違いを活用することで、より注目度の高い広告宣伝効果を発揮することができる。
【0047】
また、例えば、受信機4を複数設け、複数の受信機4を1つの送信機3に接続してもよい。このような形態であれば、1つの発光パターンを複数の発光シート5に表示することができる。したがって、例えば、店舗外に設けられた複数の発光シート5および意匠表示部材6に対して、店舗内に設ける送信機3を1つだけとすることができ、利便性が向上する。
【0048】
図7Aは、意匠表示部材6および発光シート5の第2の形態の縦断左側面図であり、
図7Bは、意匠表示部材6および発光シート5の第3の形態の縦断左側面図であり、
図7Cは、意匠表示部材6および発光シート5の第4の形態の縦断左側面図であり、
図7Dは、意匠表示部材6および発光シート5の第5の形態の縦断左側面図である。
【0049】
例えば、意匠性透光部材61の形状を、余白部材62に埋め込まれた箇所から外周方向に向かって膨らむように形成することができる。この場合、意匠性透光部材61は、余白部材62に埋め込まれている埋め込み部611と、正面側に露出している意匠部615を有する。
【0050】
埋め込み部611は、余白部材孔63に対応した形状(孔の幅と同じ幅および孔高さと同じ高さ)を有し、余白部材孔63に嵌合される。詳細には、埋め込み部611は、余白部材孔63のすべてまたは一部の幅と同じ幅を有し、余白部材孔63の孔高さ以下の高さを有する。埋め込み部611は、余白部材孔63の少なくとも一部に埋めこまれている。したがって、意匠性透光部材61は、埋め込み部611によって余白部材62に固定されている。
【0051】
意匠部615は、埋め込み部611から連続して形成され、埋め込み部611の幅よりも幅が太く形成されており、最も幅広となる意匠形状の外周方向の端部となる意匠端部612を有する。このとき、意匠部615の幅方向の長さが、意匠部615の幅である意匠部幅614となる。意匠部幅614は、埋め込み部611の幅である埋め込み部幅613より幅方向両側へ広がるように長い(太い)。したがって、正面側から意匠性透光部材61の意匠形状(意匠部615)が視認された場合に、意匠部615によって、埋め込み部611と余白部材62との境界線は視認されない。この場合、埋め込み部611から意匠端部612までの形状は、正面側から見た際に、埋め込み部611と余白部材62との境界線が隠される(埋め込み部611と余白部材62との境界線が視認されない)形状であればよい。例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面が、その直径が埋め込み部611の幅よりも大きい球状であってもよい(
図7A参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面において、埋め込み部611から意匠端部612までを直線的な傾斜としてもよい(
図7B参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面が、その直径が埋め込み部611の幅よりも大きい半円形状であってもよい(
図7C参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面において、埋め込み部611および意匠端部612までを連続した直線的な傾斜としてもよい(
図7D参照)。
【0052】
図8は、意匠表示部材6および発光シート5の別の形態における斜視による写真画像図である。
このように意匠部615が埋め込み部611より幅広となる形状とすることで、
図8に示すように正面側から意匠性透光部材61が視認された場合に、余白部材62から意匠性透光部材61の意匠形状(文字、図形、または模様)が浮き出ているように視認させることができ、意匠性を向上することができる。
【0053】
また、外装7において、発光シート5の端部付近が重なる位置に、磁性体のネジが設けられていてもよい。詳細には、外装7の発光シート5に配置されている磁石に対応して重なる位置に、奥行き方向に止められたネジを備えることができる。このような構成であれば、発光シート5の奥行方向の位置調整および傾き調整を簡単に行うことができる。詳細には、外装に備えられたネジ(調整ネジ)を締めることで発光シート5の位置をより奥行き方向に配置することができる。または、外装に備えられたネジ(調整ネジ)を緩めることで発光シート5の位置をより正面方向に配置することができる。また、複数設けられた発光シート5を確実に同一面上に配置することができる。したがって、奥行き方向のずれによる光の距離の差(光量のムラ)を生じさせることなく、より均一に発光する意匠性発光装置1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、広告として設置されて使用される意匠性発光装置の製造および販売に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…意匠性発光装置
2…動画再生装置
3…送信機
4…受信機
5…発光シート
50…LED
51…基礎シート
53…発光素子間隔
54…発光素子長さ
55…端部間隔
56…シートつなぎ目
6…意匠表示部材
61…意匠性透光部材
62…余白部材
【手続補正書】
【提出日】2022-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を面上に複数配置させた発光シートと、
複数の前記発光素子の発光を制御する制御装置と、
文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて前記発光シートの発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材と、
前記発光シートの発光面側で少なくとも前記意匠性透光部材以外の領域に配置された余白部材とを備え、
前記制御装置は、前記意匠性透光部材の位置に対応する前記発光素子を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、
前記意匠性透光部材は、前記発光素子の光を拡散する光拡散素材により形成され、前記光拡散素材は、3mm~15mmの厚みを有し、
前記余白部材は、前記発光シートの発光面側に当接、隣接、または近接した状態で重ねて配置され、
前記余白部材には余白部材孔が形成され、当該余白部材孔に前記光拡散素材で形成された前記意匠性透光部材が嵌め込まれている
意匠性発光装置。
【請求項2】
発光素子を面上に複数配置させた発光シートと、
複数の前記発光素子の発光を制御する制御装置と、
文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて前記発光シートの発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材と、
前記発光シートの発光面側で少なくとも前記意匠性透光部材以外の領域に配置された余白部材とを備え、
前記制御装置は、前記意匠性透光部材の位置に対応する前記発光素子を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、
前記意匠性透光部材は、前記発光素子の光を拡散する光拡散素材により形成され、
前記余白部材は、前記発光シートの発光面側に当接、隣接、または近接した状態で重ねて配置され、
前記意匠性透光部材は、
前記余白部材に埋め込まれている埋め込み部と、
前記余白部材から露出している意匠部とを有し、
前記意匠部の幅は、前記埋め込み部の幅よりも大きい
意匠性発光装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、文字、図形、または模様を表示する意匠性発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店名やロゴを明るく表示する照明サインや照明広告と呼ばれるような意匠性発光装置が提供されている。このような意匠性発光装置は、文字や線図等の形状に合わせて、光源の光で店名やロゴ等の意匠を明るく表示するものである。この意匠性発光装置は、視認性が高く美しいことから、店舗の正面や入口でブランド名を表示するなど、様々な場所で利用されている。
【0003】
このような意匠性発光装置は、従来のネオンサインや蛍光サインから、近年ではLEDを用いたLEDサインまで多様化しており、様々な意匠性が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、「株」の文字に形成したケーシング内に複数のLEDとその配線を配置した、いわゆる箱文字と言われる内照式疑似金属ケーシングが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の内照式疑似金属ケーシングなどの箱文字は、複数のLEDを使用し、また、そのLEDに電力供給する配線が必要となる。このため、LEDの配置と配線およびケーシングの形状は、制作する箱文字の形状によって異なり、顧客の注文に応じて一品制作的に作成しなければならずコスト高になるという問題点があった。また、制作する箱文字が大きくなるほど必要なLEDの数が増加し、それに伴って配線も増加するため、配線が箱文字内に収まらず収納場所の確保が難しいという問題もあった。
【0007】
本願発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、発光素子を面上に複数配置させた発光シートと、複数の前記発光素子の発光を制御する制御装置と、文字、図形、または模様を表す線形状に形成されて前記発光シートの発光面側に当該発光面を視認する側から当該文字、図形、または模様の全体を視認できるように配置された透光性の意匠性透光部材と、前記発光シートの発光面側で少なくとも前記意匠性透光部材以外の領域に配置された余白部材とを備え、前記制御装置は、前記意匠性透光部材の位置に対応する前記発光素子を発光させる意匠強調発光を実行する構成であり、前記意匠性透光部材は、前記発光素子の光を拡散する光拡散素材により形成され、前記光拡散素材は、3mm~15mmの厚みを有し、前記余白部材は、前記発光シートの発光面側に当接、隣接、または近接した状態で重ねて配置され、前記余白部材には余白部材孔が形成され、当該余白部材孔に前記光拡散素材で形成された前記意匠性透光部材が嵌め込まれている意匠性発光装置意匠性発光装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】意匠表示部材および発光シートのA-A矢視側断面図。
【
図6】意匠性発光装置のB-B、C-C範囲正面拡大図。
【
図7A】意匠表示部材および発光シートの第2の形態の縦断左側面図。
【
図7B】意匠表示部材および発光シートの第3の形態の縦断左側面図。
【
図7C】意匠表示部材および発光シートの第4の形態の縦断左側面図。
【
図7D】意匠表示部材および発光シートの第5の形態の縦断左側面図。
【
図8】意匠表示部材および発光シートの別の形態における斜視による写真画像図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0012】
図1は、意匠性発光装置1の斜視図である。
意匠性発光装置1は、立方体で中が空洞の箱型形状の外装7を有する。意匠性発光装置1は、外装7の少なくとも正面に複数の意匠表示部材6が隙間なく隣接して配置され、その表面に発光シート5が重ねて配置されている。なお、外装7の形状は、立方体に限定されず、内部空洞の種々の立体形状とすることができる。
なお、
図1では、重ねている意匠表示部材6を仮想線で示している。また、本実施例では、
図1における上下方向を意匠性発光装置1の上下方向とし、発光シート5が配置されている面の正面を意匠性発光装置1の正面とする。
【0013】
外装7は、外観形状が立方体で内部が空洞の箱型形状を有している。なお、外装7の外観形状は、立方体に限定されず、立方体以外の角柱、円柱、角錐、円錐といった外観形状とすることができる。外装7は、表面が金属板などの磁性体により構成されており、少なくとも表面に発光シート5が配置されている。この発光シート5は、裏面がゴム磁石等の磁化した磁性体により構成されているか、裏面に磁力が及ぶように磁性体が配置されており、その磁性体の磁力によって外装7に吸着する。外装7と発光シート5とは、外装7の側面と発光シート5の側面(縁)である発光シート縁57とをつなぐようにビニールテープ等のテープで接続(接着)されている。したがって、外装7の内部は、雨水等が入らない程度に密閉されている。なお、外装7と発光シート5との接続方法はこれに限定されず、例えば、奥行き方向または左右方向にねじ止めによって固定する方法としてもよい。
【0014】
外装7の内部には、
図2に示した動画再生装置2と、送信機3と、受信機4が収納されている。なお、動画再生装置2と、送信機3と、受信機4は、これらの内の1つ以上を外装7に収納せず、別途備えてもよい。
【0015】
発光シート5は、長方形で薄板形状を有する。発光シート5は8mmの厚みを有する。また、発光シート5の厚みは、3mm~15mmとすることができ、5mm~12mmとすることが好ましく、8mm~10mmとすることがより好ましい。発光シート5は、発光素子である複数のLED50(発光部)と、すべてのLED50が一方の面に配置された発光しない基礎シート51(非発光部)で構成される。また、発光シート5は、裏面に磁性層(図示省略)が設けられている。この磁性層は、裏面全体に設けられているゴム磁石の層である。なお、本実施例では、磁性層が設けられているが、発光シート5は、外装7の位置に対応する裏面の位置に磁力を及ぼすように、一部に磁石が配置されていればよい。例えば、外装7の位置に対応する裏面に薄い磁石を配置してもよい。発光シート5は、図示省略するフレキシブル基板上に全てのLED50が電気的に接続して設けられ、すべてのLED50が制御されるように受信機4と信号ケーブル(図示省略)で接続されている。
【0016】
また、発光シート5は、LED50が配置された面(発光素子の発光する発光面)に重なるように意匠表示部材6が配置されている。したがって、発光シート5の発光面は、意匠性発光装置1の正面側に配置され、意匠表示部材6がない状態では正面側から発光面が全面視認される。
【0017】
本実施例の意匠性発光装置1は、同じ大きさおよび厚みを有する2枚の発光シート5A、5Bが互いに対向する1辺全体をズレなく隙間なく隣接して配置されている。なお、発光シート5の枚数は特に限定されず、意匠性発光装置1の大きさに合わせて1枚以上とすることができる。本実施例では、意匠性発光装置1の上部に配置された発光シート5Aと、意匠性発光装置1の下部に配置された発光シート5Bは、お互いに同一平面上に配置されている。そして、発光シート5Aの長手となる下辺と、発光シート5Bの長手となる上辺とが意匠性発光装置1の上下方向の中心で接しており、シートつなぎ目56(つなぎ目)を形成している。なお、2枚の発光シート5A、5Bは、平面でなく厚み方向に全体的に湾曲していてもよく、厚み方向に波形状に湾曲していてもよい。ただし、2枚の発光シート5A、5Bは、どの形態であってもお互いに同一面上に配置されている。
【0018】
図2は、意匠性発光装置1の構成を示すブロック図である。
意匠性発光装置1は、動画再生装置2と、動画を送信する送信機3と、動画を受信する受信機4と、外装7と、動画を表示する2枚の発光シート5(5A、5B)と、発光シート5の発光する面に重ねて配置された意匠表示部材6とで構成される。
【0019】
動画再生装置2は、例えば、CPUとROMとRAM等で構成されて各種演算や制御動作を実行する制御部と、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成されて情報のリードライトを許容する記憶部と、LANボードやWiFiユニット等で構成されて有線または無線でインターネットに接続されてデータの送受信を行う通信部と、タッチパネル、キーボード、マウス、押下ボタン、又はこれらの複数で構成されて接触操作による入力を受け付ける入力部と、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されて文字や図等の画像を表示する表示部とを備えたコンピュータ端末である。記憶部には、動画データが記憶されている。この動画データは、1つのLED50を1画素として全LED50分の画素を有する動画のデータである。動画再生装置2は、送信機3とモニタケーブルによって接続されており、動画データを再生して映像信号として送信機3へ送信する。なお、本実施例では、動画再生装置2をコンピュータ端末としたが、動画データを送信機3に送信する機能を有していればこの形態に限定されない。動画再生装置2は、例えば、スマートフォン等の携帯情報端末やメディアプレイヤーであってもよい。
【0020】
送信機3は、動画再生装置2とモニタケーブルによって接続され、受信機4とLANケーブルによって接続されている。送信機3は、映像信号として受信した動画データを発光シート5の発光色および発光パターンを示す発光パターンデータに変換する動画データ変換機能を有する。送信機3は、変換した発光パターンデータを、受信機4に送信する。この発光パターンデータは、1つのLED50を1画素として全LED50分の画素を有する動画データにより構成される。
【0021】
受信機4は、送信機3とLANケーブルによって接続され、複数の発光シート5と信号ケーブルで接続されている。受信機4は、発光パターンデータを分割する発光パターンデータ分割機能を有する。受信機4は、送信機3から受信した発光パターンデータを発光パターンデータ分割機能によって分割し、分割した各発光パターンデータを対応するそれぞれの発光シート5に送信する。この発光パターンデータ分割機能により、発光パターンデータは、それぞれの発光シート5毎の発光パターンデータに分割される。分割後の1つの発光パターンデータは、1つの発光シート5の全LED50に対応する画素数の動画データとなる。なお、本実施例では、受信機4は、LANケーブル(有線)のよって送信機3と接続されているが、無線LANといった無線手段によって受信機4と接続されていてもよい。
【0022】
図3は、発光シート5の一部正面拡大図である。
複数のLED50は、様々な光色の発光素子であり、すべてが同一の形状および大きさを有する。本実施例では、LED50の形状を一方向から見て正方形としたが、これに限定されない。例えばLED50の形状は、一方向から見て円形や長方形とすることもできる。複数のLED50は、基礎シート51の一方の面に設けられた設置穴52に埋め込まれて縦方向および横方向に等間隔で整列配置される。したがって、発光シート5は、発光するLED50(発光部)の間に発光しない基礎シート51(非発光部)が配置される構成である。基礎シート51の表面の色は適宜の色とすることができるが、LED50の発光が目立つように黒色とすることが好ましい。複数のLED50間の発光素子間隔53は、少なくともLED50の辺の長さ(円形であれば直径)である発光素子長さ54よりも広くすることができ、発光素子長さ54の1.5倍以上とすることが好ましく、発光素子長さ54の2倍以上とすることがより好ましい。また、左右および上下方向の最も端に配置されたLED50と発光シート5の発光シート縁57との間隔である端部間隔55は、発光素子間隔53の50%の長さである。なお、端部間隔55の長さは、発光素子間隔53の長さの40~60%の範囲とすることができ、45~55%の範囲とすることが好ましく、50%とすることがより好ましい。LED50と設置穴52の大きさ(発光方向から見た大きさ)は、0.5mm~3mmとすることができ、0.7mm~2mmとすることが好ましく、1mm程度とすることがより好ましい。
【0023】
基礎シート51は、不透明なゴム素材によって形成され、長方形の薄板形状を有する。基礎シート51は、少なくとも裏面に磁力が及ぶように、裏面部分(LED50が配置されていない面部分)の一部がゴム磁石により構成されている。すなわち、基礎シート51は、ゴム素材とゴム磁石の2層構造、ゴム素材の外装7に当接する位置の少なくとも一部に磁石が配置されている(外部に接着されているか内部に埋め込まれている)1層構造、または、全体がゴム磁石による1層構造により構成されている。なお、基礎シート51の素材および形状はこれに限定されない。例えば、素材は、ゴム素材でなくアクリル樹脂のような固いプラスチック素材であってもよい。また、基礎シート51は、円形形状を有していてもよい。さらに、基礎シート51は、ゴム磁石を備えず、ねじ孔といった外装7と固定されるための別の手段を備えていてもよい。この場合は、外装7側にも、基礎シート51側のねじ孔の位置に対応する位置にねじ孔を有し、基礎シート51(発光シート5)と外装7とがねじ止めされる。また、磁性層の代わりに、基礎シート51の裏面と外装7の表面に面ファスナの雄と雌をそれぞれ対向させて設けても良い。この場合も発光シート5を外装7に対して自由に着脱できる。基礎シート51は、一方の面に複数の設置穴52を有する。設置穴52は、直交する縦方向および横方向に等間隔に整列配置され、それぞれにLED50が埋め込まれている。したがって、設置穴52の開口面は、発光面である。各LED50間の間隔は、1~5mmの範囲とすることができ、1.5~4mmの範囲とすることがより好ましい。なお、基礎シート51へのLED50の配置方法は、これに限定されない。例えば、設置穴52を設けずに一部またはすべてのLED50が基礎シート51の一方の面上に配置されていてもよい。設置穴52およびLED50は、基礎シート51の長手方向に128個、短手方向に64個配置されている。なお、設置穴52およびLED50の数は、長手方向に50個以上とすることができ、80個以上とすることが好ましく、短手方向に25個以上とすることができ、50個以上とすることが好ましい。また、基礎シート51は、正方形を含む様々な四角形とすることができ、その場合の設置穴52およびLED50の数は、少なくとも短手方向(正方形であれば短手が無いから1辺方向)を25個以上とすることができ、50個以上とすることがより好ましい。
【0024】
なお、本実施例では、発光シート5は、基礎シート51と発光素子であるLED50とで構成されているが、この形態に限定されない。例えば、発光シート5は、複数の発光素子を備えたモニターであってもよい。
【0025】
図4は、意匠性発光装置1の斜視による写真画像図である。
意匠表示部材6は、正方形の薄板形状を有する。意匠表示部材6は、最も面積が大きい面(表面)の大きさが2枚の発光シート5A,5Bが並んだ正面側の全面の大きさと等しく、発光シート5の正面側の面にぴったり重なるように配置されている。意匠表示部材6は、意匠性透光部材61と、意匠性透光部材61以外に配置された余白部材62で構成されている。言い換えると、意匠表示部材6は、正方形の余白部材62の一部に文字、図形、または模様を表す線形状(ストロークにより文字、図形、または模様を表す意匠形状)の意匠性透光部材61が設けられている。
【0026】
意匠性透光部材61は、乳白色(半透明)の光拡散性および透光性を有する素材(光拡散素材)で形成される。すなわち、発光シート5の発光面側から照射されて意匠性透光部材61の裏面から意匠性透光部材61に入射した光(光線)は、意匠性透光部材61の内部を透過しつつ内部で拡散されて正面側(表面側)の露出面から射出される。意匠性透光部材61は、一定の太さ(幅)を有する線によって正面側から視認できるように文字、図形、または模様の形に形成される。また、意匠性透光部材61は、線形状の幅方向の中央が厚み方向の正面側(表面側)に半円状に盛り上がるように湾曲した形状を有する。本実施例における意匠性透光部材61は、「B」を縁取りして表す意匠と、「O」を縁取りして表す意匠と、「直径の異なる3つの半円」を表す意匠に形成されている。
【0027】
意匠性透光部材61の幅方向の長さ(線形状の線の太さ)は、少なくとも各LED50の発光素子長さ54以上の長さであって、一列に並ぶLED50の2つ以上を含む長さを有し、3つ以上を含む長さであることが好ましく、4つ以上を含む長さであることがより好ましく、5つ以上を含む長さであることが好適である。また、意匠性透光部材61における上述の幅方向の長さの条件を満たすものは、個別意匠(1文字、1図形、1模様)の1つ以上とすることができ、複数の個別意匠のうち半数以上とすることが好ましく、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。また、1つの個別意匠の中で上述の幅方向の長さの条件を満たす線形状のものは、1つ以上とすることができ、半数以上とすることができ、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。また、意匠性透光部材61における上述の幅方向の長さの条件を満たす1つの線形状において、上述の幅方向の長さの条件を満たす部分は、5割以上とすることができ、7割以上とすることがより好ましく、9割以上とすることが好適である。
【0028】
なお、意匠性透光部材61は、その太さ(幅)が一定でなくてもよく、徐々に太くなる(徐々に細くなる)形や、1部だけが太い(1部だけが細い)形を有していてもよい。意匠性透光部材61は、10mmの厚みを有し、71.7~73.1%の透過度(全光線透過率)を有する乳白色のアクリル素材により形成されている。これは、意匠性透光部材61が乳白色である場合、裏側に配置された発光シート5からの発光(光の射出)を受けて、光を内部で拡散し、正面側に透過する程度の厚みおよび透過度であり、発光シート5からの光を透過した際に、正面側から見て発光シート5を構成するLED50(後述)が視認できない程度の厚みおよび透過度である。
図3に示すように、意匠性透光部材61が配置されている「B」と「直径の異なる3つの半円」の意匠は、発光しているLED50が視認できないが、意匠性透光部材61が配置されていない「O」の意匠は、発光しているLED50が視認できる。
なお、意匠性透光部材61は、上述した構成に限らず、5mmの厚みを有し、42.3%の透過度(全光線透過率)を有する乳白色のアクリル素材とするなど、適宜の半透明素材により構成することができる。意匠性透光部材61の厚みは、3mm~15mmとすることができ、4mm~12mmとすることが好ましく、5mm~10mmとすることがより好ましい。また、意匠性透光部材61の透過度は、10%~90%とすることができ、20%~80%とすることが好ましく、30%~70%とすることがより好ましい。また、意匠性透光部材61の透過度は、意匠性透光部材61の厚みによって好適な範囲を異ならせることができ、意匠性透光部材61の厚みが3mm以上8mm未満であれば、透過度は、全光線透過率で10~60%の範囲とすることができ、20~55%の範囲とすることが好ましく、30~50%の範囲とすることがより好ましい。また、例えば、意匠性透光部材61の厚みが8mm以上15mm未満であれば、透過度は、全光線透過率で40~90%の範囲とすることができ、50~80%の範囲とすることが好ましく、60~75%の範囲とすることがより好ましい。
【0029】
余白部材62は、薄板であり、不透明のプラスチックで形成される。したがって、正面側からは余白部材62を通して発光シート5を視認することはできない。余白部材62は、1枚のプラスチック板において、一定の太さ(幅)の線形状で「B」、「O」、および「直径の異なる3つの半円」を表す意匠の形状にくり抜かれた3種類の意匠を表す余白部材孔63が設けられており、各余白部材孔63に意匠性透光部材61が嵌め込まれている。すなわち、余白部材62は、意匠表示部材6における意匠性透光部材61以外の大部分またはすべてを構成する。なお、本実施例では、余白部材62を不透明としたが、意匠性透光部材61と透過度(透明性)が異なっていれば不透明に限定されない。例えば、余白部材62は、意匠性透光部材61よりも高い透過度(透明性)を有していてもよい。
【0030】
図5は、
図1における意匠表示部材6および発光シート5のA-A矢視側断面図である。
意匠表示部材6は、2枚の発光シート5A、5Bと重ねて配置された状態のとき、意匠性透光部材61の一部とシートつなぎ目56が重なるように配置される。言い換えると、意匠性透光部材61は、2枚の発光シート5A、5Bのシートつなぎ目56をまたいで覆うように、2枚の発光シート5A、5BのLED50が発光する面側に配置される。意匠性透光部材61の光透過方向となる高さ方向(図示左右方向)の厚みは、余白部材62の高さ方向(図示左右方向)の厚みよりも厚く構成されている。意匠性透光部材61は、裏面(図示左側面)が余白部材62の裏面と面一になり、かつ、周面(図示上面および下面)が余白部材62の余白部材孔63の周面(図示上面および下面)に隙間なく当接するように構成されている。
【0031】
図6は、
図1における意匠性発光装置1のB-B、C-C範囲正面拡大図である。
2枚の発光シート5A、5Bは、意匠表示部材6と重ねて配置された状態のとき、LED50が、太さ(幅)を有する線で表された意匠性透光部材61の範囲内に上下左右の1方向において複数含まれるように配置されている。
【0032】
ここで、意匠性発光装置1が実際にサイン広告として使用される際の動作を説明する。
動画再生装置2には、あらかじめ再生する動画データが記憶されている。なお、動画再生装置2は、動画データを外部からリアルタイムに取得して送信機3へ送信する構成としてもよい。動画再生装置2は、動画データを送信機3に送信する。動画データは、意匠性透光部材61の意匠(文字、図形、または模様)に対応した動画である。この動画は、例えば、「B」の文字において左上から徐々に「B」の文字が現れるような動画や、「直径の異なる3つの半円」において、それぞれの端部から徐々に「直径の異なる3つの半円」の図形が現れる動画、あるいは、「B」、「O」、「直径の異なる3つの半円」等の図形が明るく他の部分が暗い動画(もしくは静止画)とすることができる。なお、この実施例では動画データを使用する構成としているが、動画再生装置2により再生する画像は、これに限らず静止画データを使用するなど、適宜の画像データ(動画像および静止画像を含む)を使用することができる。
【0033】
送信機3は、動画再生装置2から送信された動画データを受信し、受信した動画データを動画データ変換機能によってLED50の発光パターンデータに変換する。送信機3は、発光パターンデータを受信機4に送信する。
【0034】
受信機4は、送信機3から送信された発光パターンデータを受信し、受信した発光パターンデータを発光パターンデータ分割機能によって2枚の発光シート5A、5Bに対応するように分割する。この実施例では、正方形の表示エリア内に表示される動画データの上半分を発光シート5Aに表示させ、下半分を発光シート5Bに表示させるように分割する。受信機4は、分割した発光パターンデータを発光シート5A、5Bに出力し、すべてのLED50の発光色および発光パターンを制御する。したがって、受信機4は、発光シート5の制御装置として機能する。なお、本実施例では制御装置を受信機4としたが、送信機3または動画再生装置2を制御装置としてもよい。
【0035】
発光シート5は、すべてのLED50が受信機4によって制御される。そして、LED50は、発光パターンデータに対応するように正面方向に向けて発光する。発光によって射出された光(光線)は、意匠性透光部材61の内部で拡散され、正面方向に透過する。このとき、正面側(発光面を視認できる側)からは、むらなく満遍なく光る意匠性透光部材61の意匠がはっきりと視認される。すなわち、受信機4は、意匠性透光部材61の位置や意匠の形状に対応する発光パターンをもって、意匠性透光部材61の意匠を強調するようにLED50の発光を制御する意匠強調発光を実行する。この意匠強調発光では、意匠性透光部材61の位置や意匠の形状に対応する部分や、余白部材62の位置に対応した演出を実行する部分といった意匠性を有する部分のみが発光され、それ以外は発光しないように発光パターンが制御される。
【0036】
以上の構成により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができ、かつ、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ない意匠性発光装置を提供することができる。
意匠性発光装置1は、LED50(発光素子)を面上に複数配置させた発光シート5と、文字、図形、または模様を表す線形状に形成され、光拡散素材により形成された意匠性透光部材61と、意匠性透光部材61以外の領域に配置された余白部材62とを備え、受信機4によって、意匠性透光部材61の位置に対応するようにLED50を発光させる意匠強調発光を制御する構成である。この構成により、文字、図形、または模様を表す線形状を際立たせて発光させることができる。また、意匠性透光部材61に対応する位置のLED50が直接的には視認されないため意匠性透光部材61がドット状に見えることがなく、意匠性透光部材61内で光が拡散して意匠性透光部材61が均一に発光する状態となるため、はっきりと意匠性透光部材61の意匠を認識することができる。また、筐体まで個別オーダーに合わせて制作しなければならない従来の箱文字に比べて、一品制作物として個別制作しなければならない部分が少ないため、安価な意匠性発光装置1とすることができる。
【0037】
また、余白部材62は、光を透過する透過度(透明性)が意匠性透光部材61の透過度(透明性)と異なる素材によって形成されている。この構成により、意匠性透光部材61と余白部材62の境界線が明確となり、よりはっきりと意匠性透光部材61の意匠を認識することができる。具体的には、余白部材62を不透明な素材とすることで、意匠性透光部材61のみを発光させることができ、意匠を明瞭に認識させることができる。
【0038】
また、受信機4は、LED50の発光を、動画データを変換した発光パターンデータによって制御する。この構成により、LED50の発光の色や明るさを様々に変化させることができ、意匠性透光部材61が様々な色や明るさに変化する演出を実現できる。
【0039】
また、受信機4は、複数の発光シート5のすべてのLED50の発光を制御し、意匠性透光部材61の少なくとも一部(意匠性透光部材61を含む)は、2枚の発光シート5A、5Bのシートつなぎ目56をまたぐように配置されている。この構成により、意匠性透光部材61の大きさがどれだけ大きい場合であっても、巨大な1枚の発光シート5を準備する必要がなく、複数の発光シート5を並べることで対応することができる。すなわち、意匠性発光装置1を様々な場所に設置することができ、屋外広告として好適に使用することができる。
【0040】
そして、シートつなぎ目56部分の上に意匠性透光部材61が存在することにより、LED50からの光が意匠性透光部材61内で拡散し、シートつなぎ目56部分の上部も暗くならずに均一に発光させることができる。特に、端のLED50から発光シート縁57までの距離が、隣接するLED50間の距離の半分であることにより、シートつなぎ目56をまたぐ部分のLED50間の距離が他の部分のLED50間の距離と同一となる。これにより、シートつなぎ目56部分の意匠性透光部材61が若干暗くあるいは若干明るくなるといったことが無く、均一に発光させることができる。
【0041】
また、発光シート5において、左右および上下方向の最も端に配置されたLED50と発光シート5の端部との間隔である端部間隔55は、発光素子間隔53の40~60%の範囲の長さを有する。この構成により、シートつなぎ目56に重なった位置の意匠性透光部材61においても、シートつなぎ目56によって影が形成されることがなく、意匠性透光部材61を均一に発光させることができる。
【0042】
また、意匠性透光部材61は、乳白色であって、5mm~12mmの範囲の厚みと30~80%の範囲の透過度(全光線透過率)を有する。この構成により、遠くからはっきりと意匠性透光部材61の意匠を視認でき、かつ意匠性透光部材61と対応する位置にあるLED50を視認できない程度の意匠性透光部材61の透過性を実現できる。
【0043】
また、発光シート5A,5Bに設けられた複数のLED50のうち、意匠性透光部材61の裏面に対向する位置に設けられているものを発光させ、他のLED50を発光させないことにより、意匠性透光部材61のみを明瞭に明るく発光させてサインを際立たせ、かつ、他の部分のLED50を発光させないことにより、意匠性透光部材61を明るく目立たせることができる。また、意匠性透光部材61の裏面に対向しない位置のLED50は、発光しないことにより、光が適宜の隙間等から漏れ出して発光シート5A,5Bと意匠性透光部材61による演出や視認させたい文字、図形、または模様を表す線形状を邪魔することなく、明瞭な視認性を得ることができる。また、また、意匠性透光部材61の裏面に対向しない位置のLED50が発光しないことにより、余分な電力を使用することを防止できる。
【0044】
また、発光シート5の裏面がゴム磁石であるか、発光シート5の裏面に磁力が及ぶように磁性体が配置されているため、平面に限らず湾曲面や球面にも吸着させて利用することができる。
【0045】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、余白部材62を不透明の素材でなく意匠性透光部材61よりも透過度(透明性)が低い半透明の素材によって形成してもよい。このような形態であれば、意匠性透光部材61と余白部材62との境界線がぼんやり光っているように視認させることができ、意匠性を変化させることができる。この場合は、例えば、意匠性透光部材61の形状に発光させるLED50を、意匠性透光部材61の縁に外側へ向かって少しずつ明度が落ちるように発光させることで、意匠性透光部材61のまわりをぼんやり光らせることができる。また、余白部材62に対応する位置のLED50の発光パターンを設定することで、意匠性透光部材61の発光パターンとは異なる印象与えるような演出を行うことができる。具体的には、余白部材62は、意匠性透光部材61の存在しない場所で発光したLED50の光を拡散できるため、例えば、LED50の発光パターンによって形成された花などの図柄を余白部材62に複数置いてぼんやり発光させるといった演出ができる。
【0046】
また、例えば、余白部材62を透明な導光板によって形成してもよい。このような形態であれば、余白部材62に対応した位置にあるLED50を視認することができる。したがって、意匠性透光部材61で表された意匠は、LED50を視認できない演出とし、余白部材62に対応するLED50の発光パターンはドット状で視認できる演出とすることができる。そして、このような演出方法の違いを活用することで、より注目度の高い広告宣伝効果を発揮することができる。
【0047】
また、例えば、受信機4を複数設け、複数の受信機4を1つの送信機3に接続してもよい。このような形態であれば、1つの発光パターンを複数の発光シート5に表示することができる。したがって、例えば、店舗外に設けられた複数の発光シート5および意匠表示部材6に対して、店舗内に設ける送信機3を1つだけとすることができ、利便性が向上する。
【0048】
図7Aは、意匠表示部材6および発光シート5の第2の形態の縦断左側面図であり、
図7Bは、意匠表示部材6および発光シート5の第3の形態の縦断左側面図であり、
図7Cは、意匠表示部材6および発光シート5の第4の形態の縦断左側面図であり、
図7Dは、意匠表示部材6および発光シート5の第5の形態の縦断左側面図である。
【0049】
例えば、意匠性透光部材61の形状を、余白部材62に埋め込まれた箇所から外周方向に向かって膨らむように形成することができる。この場合、意匠性透光部材61は、余白部材62に埋め込まれている埋め込み部611と、正面側に露出している意匠部615を有する。
【0050】
埋め込み部611は、余白部材孔63に対応した形状(孔の幅と同じ幅および孔高さと同じ高さ)を有し、余白部材孔63に嵌合される。詳細には、埋め込み部611は、余白部材孔63のすべてまたは一部の幅と同じ幅を有し、余白部材孔63の孔高さ以下の高さを有する。埋め込み部611は、余白部材孔63の少なくとも一部に埋めこまれている。したがって、意匠性透光部材61は、埋め込み部611によって余白部材62に固定されている。
【0051】
意匠部615は、埋め込み部611から連続して形成され、埋め込み部611の幅よりも幅が太く形成されており、最も幅広となる意匠形状の外周方向の端部となる意匠端部612を有する。このとき、意匠部615の幅方向の長さが、意匠部615の幅である意匠部幅614となる。意匠部幅614は、埋め込み部611の幅である埋め込み部幅613より幅方向両側へ広がるように長い(太い)。したがって、正面側から意匠性透光部材61の意匠形状(意匠部615)が視認された場合に、意匠部615によって、埋め込み部611と余白部材62との境界線は視認されない。この場合、埋め込み部611から意匠端部612までの形状は、正面側から見た際に、埋め込み部611と余白部材62との境界線が隠される(埋め込み部611と余白部材62との境界線が視認されない)形状であればよい。例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面が、その直径が埋め込み部611の幅よりも大きい球状であってもよい(
図7A参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面において、埋め込み部611から意匠端部612までを直線的な傾斜としてもよい(
図7B参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面が、その直径が埋め込み部611の幅よりも大きい半円形状であってもよい(
図7C参照)。または、例えば、意匠性透光部材61の意匠形状の正面奥行き方向断面において、埋め込み部611および意匠端部612までを連続した直線的な傾斜としてもよい(
図7D参照)。
【0052】
図8は、意匠表示部材6および発光シート5の別の形態における斜視による写真画像図である。
このように意匠部615が埋め込み部611より幅広となる形状とすることで、
図8に示すように正面側から意匠性透光部材61が視認された場合に、余白部材62から意匠性透光部材61の意匠形状(文字、図形、または模様)が浮き出ているように視認させることができ、意匠性を向上することができる。
【0053】
また、外装7において、発光シート5の端部付近が重なる位置に、磁性体のネジが設けられていてもよい。詳細には、外装7の発光シート5に配置されている磁石に対応して重なる位置に、奥行き方向に止められたネジを備えることができる。このような構成であれば、発光シート5の奥行方向の位置調整および傾き調整を簡単に行うことができる。詳細には、外装に備えられたネジ(調整ネジ)を締めることで発光シート5の位置をより奥行き方向に配置することができる。または、外装に備えられたネジ(調整ネジ)を緩めることで発光シート5の位置をより正面方向に配置することができる。また、複数設けられた発光シート5を確実に同一面上に配置することができる。したがって、奥行き方向のずれによる光の距離の差(光量のムラ)を生じさせることなく、より均一に発光する意匠性発光装置1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、広告として設置されて使用される意匠性発光装置の製造および販売に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…意匠性発光装置
2…動画再生装置
3…送信機
4…受信機
5…発光シート
50…LED
51…基礎シート
53…発光素子間隔
54…発光素子長さ
55…端部間隔
56…シートつなぎ目
6…意匠表示部材
61…意匠性透光部材
62…余白部材