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特開2023-91587プラント運転支援システム及びプラント運転支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091587
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】プラント運転支援システム及びプラント運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206403
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山野井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 信幸
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA06
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223FF04
3C223FF13
3C223FF42
3C223FF47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラントに対し、適切な運転を実施するための判断根拠となる運転支援情報を提供する。
【解決手段】少なくとも2つ以上の二軸グラフの各々においてプラントデータがとり得る領域の組合せと、その領域の組合せに対応するプラント状況とを設定したプラント状況設定データを保存するプラント状況設定データ保存部14と、プラントデータを分析し、評価対象とする評価プラントデータをプロットした2つ以上の二軸グラフと、2つ以上の二軸グラフ上の評価プラントデータがプロットされた領域の組合せに基づき、プラント状況設定データを参照することで得られる評価プラントデータのプラント状況を示す情報とを、出力するプラントデータ分析部15と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントから得られるプラントデータを分析し、分析結果を判定した二軸グラフを提供するプラント運転支援システムであって、
少なくとも2つ以上の前記二軸グラフの各々において前記プラントデータがとり得る領域の組合せと、前記領域の組合せに対応するプラント状況とを設定したプラント状況設定データを保存するプラント状況設定データ保存部と、
前記プラントデータを分析し、評価対象とする評価プラントデータをプロットした2つ以上の前記二軸グラフと、2つ以上の前記二軸グラフ上の前記評価プラントデータがプロットされた領域の組合せに基づき、前記プラント状況設定データを参照することで得られる前記評価プラントデータの前記プラント状況を示す情報とを、出力するプラントデータ分析部と、を備える
プラント運転支援システム。
【請求項2】
前記二軸グラフにおいて前記プラントデータがとり得る領域は、前記二軸グラフの管理項目に対する基準値によって分割されて形成された複数の領域の中のいずれかである
請求項1に記載のプラント運転支援システム。
【請求項3】
前記二軸グラフにプロットされる前記評価プラントデータの未来のある時点の予測値を推定する評価プラントデータ予測値推定部、を備え、
前記プラントデータ分析部は、前記評価プラントデータ予測値推定部で推定された前記評価プラントデータの予測値を取得し、過去、未来、及び過去から現在の間の少なくとも3点の前記評価プラントデータを前記二軸グラフ上にプロットして出力する
請求項2に記載のプラント運転支援システム。
【請求項4】
前記二軸グラフの少なくともいずれか一方の管理項目に対する基準値は、2つ以上の値で構成される
請求項2又は3に記載のプラント運転支援システム。
【請求項5】
前記プラントデータ分析部の分析結果を基に、前記二軸グラフ上にプロットされる2つの管理項目を持つ前記評価プラントデータを、関数を用いて1つの変換管理項目に変換する管理項目変換部、を備え、
前記管理項目変換部は、前記二軸グラフに対応する、前記変換管理項目についての時間変動グラフを出力する
請求項2に記載のプラント運転支援システム。
【請求項6】
前記管理項目変換部は、前記二軸グラフと併せて、当該二軸グラフに対応する、前記変換管理項目についての時間変動グラフを出力する
請求項5に記載のプラント運転支援システム。
【請求項7】
前記二軸グラフの前記基準値によって分割された前記領域のうち、2つ以上の前記二軸グラフ上の前記評価プラントデータがプロットされる領域の組合せに基づいて、望ましい領域を選択する良好領域選択部、を備え、
前記良好領域選択部は、選択された前記望ましい領域に応じて前記管理項目変換部で用いられる前記関数を選択する
請求項5に記載のプラント運転支援システム。
【請求項8】
1つの前記二軸グラフの管理項目は、消費電力量原単位と処理水質である
請求項2に記載のプラント運転支援システム。
【請求項9】
プラントから得られるプラントデータを分析し、分析結果を判定した二軸グラフを提供するプラント運転支援システムによるプラント運転支援方法であって、
前記プラント運転支援システムにより、少なくとも2つ以上の前記二軸グラフの各々において前記プラントデータがとり得る領域の組合せと、前記領域の組合せに対応するプラント状況とを設定したプラント状況設定データを保存部に保存する処理と、
前記プラント運転支援システムにより、前記プラントデータを分析し、評価対象とする評価プラントデータをプロットした2つ以上の前記二軸グラフと、2つ以上の前記二軸グラフ上の前記評価プラントデータがプロットされた領域の組合せに基づき、前記プラント状況設定データを参照することで得られる前記評価プラントデータの前記プラント状況を示す情報と、を出力する処理と、を含む
プラント運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント運転支援システム、及びプラント運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラント運営において経営上トレードオフとなる項目をモニタリングし、異常や低パフォーマンスであれば、現場で原因を突き止めて改善していくことは非常に重要である。例えば、下水処理プラントにおいて、トレードオフとなる項目に「水質」と「エネルギー」がある。水環境を保全する立場からは放流する「水質」を改善する必要がある一方で、資源保全・コストやCO低減の立場からはコスト要因となる省エネルギーを追求していく必要がある。
【0003】
きめ細かな水環境管理の推進にあたって、水質管理目標とエネルギー削減目標をバランスよく設定し、最適な管理を行う管理手法として、国土交通省から2018年3月に「水質とエネルギーの最適管理のためのガイドライン ~下水処理場における二軸管理~」(非特許文献1)が公表された。二軸管理とは、二軸グラフを活用した管理手法である。二軸グラフは、2つの評価軸(例えば、縦軸、横軸)からなるグラフ(散布図)である。二軸グラフを活用してプラントの運転状況を見える化することで、評価軸の項目に関する現状の把握や課題の抽出が容易になる、とされている。
【0004】
この二軸管理、二軸グラフであるが、標準的には処理水質と消費エネルギーをグラフの軸として選択し、年度や月ごとの変化や、処理場ごとの違い、省エネルギー機器導入などの導入効果の見える化に活用されている。
【0005】
しかし、見える化した後の改善方法については他のデータやこれまでの動向も考慮して、熟練者の暗黙知も活用して探索していくことが必要となる。しかし、人口減少のさなか、熟練者も年々減少しており、現在の計測データと状況とを紐づけ改善方法探索の手助けとなる運転支援システムの導入が望まれる。
【0006】
特許文献1には、多変量統計的プロセス監視(MSPC:Multivariate Statistical Process Control)を用いて、監視対象の異常診断を迅速に行うことを支援するプロセス状態監視装置が開示されている。このプロセス状態監視装置は、監視対象から取得した2以上の測定変数から診断用データを演算し、診断用データと判断基準とによりプロセスの異常が検出された場合に、その要因となる状態変化要因候補変数の変数名を列挙し、表示部に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-138044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、統計的に平均となる通常状態に対する異常状態を検知する技術であり、要因となる状態変化要因候補変数を列挙するにとどまる。その結果、考えられる状況が何であるのかの理解と、次にどうすればいいのかの判断は、結局は熟練者の経験、暗黙知に頼る必要がある。さらに、特許文献1に記載されたプロセス状態監視装置は、通常状態に対する異常状態を検知する装置であり、通常状態である現状から改善したい場合に示唆を与えるものではない、といった課題がある。
【0009】
上記の状況から、プラントに対し、適切な運転を実施するための判断根拠となる運転支援情報を提供する手法が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様のプラント運転支援システムは、プラントから得られるプラントデータを分析し、分析結果を判定した二軸グラフを提供するプラント運転支援システムであって、少なくとも2つ以上の二軸グラフの各々においてプラントデータがとり得る領域の組合せと、その領域の組合せに対応するプラント状況とを設定したプラント状況設定データを保存するプラント状況設定データ保存部と、プラントデータを分析し、評価対象とする評価プラントデータをプロットした2つ以上の二軸グラフと、2つ以上の二軸グラフ上の評価プラントデータがプロットされた領域の組合せに基づき、プラント状況設定データを参照することで得られる評価プラントデータのプラント状況を示す情報とを、出力するプラントデータ分析部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の少なくとも一態様によれば、プラントに対し、適切な運転を実施するための判断根拠となる運転支援情報を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係るプラント運転支援システムにより生成された運転支援情報として表示される画面の例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るプラント状況設定部で設定されるプラント状況の設定例を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る評価プラントデータ将来分析部により演算された結果である、過去と将来の予測値を含む二軸グラフの例(1)を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る評価プラントデータ将来分析部により演算された結果である、過去と将来の予測値を含む二軸グラフの例(2)を示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る二軸グラフにおける領域分割の例(1)を示す図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る二軸グラフにおける領域分割の例(2)を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る二軸グラフにおける領域分割の例(3)を示す図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
図11】本発明の第4の実施形態に係る二軸管理項目からなる二軸グラフの例を示す図である。
図12】本発明の第4の実施形態に係る、図11の二軸グラフに対応する二軸管理項目トレンドグラフの例(1)を示す図である。
図13】本発明の第4の実施形態の変形例に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係る、図11の二軸グラフに対応する二軸管理項目トレンドグラフの例(2)を示す図である。
図15】本発明の第1~第4の実施形態に係るプラント運転支援システムが備える計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係るプラント運転支援システムについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る運転支援情報として表示される画面の例を示す図である。運転支援情報は、後述するプラント運転支援システムにより生成される。
【0015】
図1に示した運転支援情報1は、2つの二軸グラフを含む事例である。二軸グラフとは散布図のことである。図1の例では、プラント運転支援システムの支援対象プラントが下水処理プラントであることを想定し、横軸(X軸)を第一管理項目である“A”、縦軸(Y軸)を第二管理項目である“B”として第一二軸グラフを構成している。本実施形態では、“A”をブロワの消費電力量(電力量原単位[送風])とし、第二管理項目“B”を処理水BOD(生物学的酸素要求量)としている。ここでの電力量原単位は、下水処理プラントへの流入流量あたりの消費電力量である。本明細書では、電力量原単位を「消費電力量原単位」とも表記する。なお、具体的な管理項目は、図1の例に限らない。第一二軸グラフは、第一管理項目の基準値であるAを用いたX=Aの直線と、第二管理項目の基準値であるBを用いたY=Bの直線とにより、4つの領域(領域I、領域II、領域III、領域IV)に分割されている。
【0016】
第二二軸グラフでは、第一二軸グラフと同様に、横軸(X軸)は第一管理項目である“A”(電力量原単位[送風])であるが、縦軸(Y軸)は第三管理項目である“C”(空気倍率)である。ここでの空気倍率は、下水処理プラントへの流入流量あたりのブロワ風量(生物反応槽に吹き込む空気流量)である。第二二軸グラフは、第一管理項目の基準値であるAを用いたX=Aの直線と、第三管理項目の基準値であるCを用いたY=Cの直線とにより、4つの領域(領域I、領域II、領域III、領域IV)に分割されている。
【0017】
ある時刻の評価対象のプラントデータ(以下「評価プラントデータ」)は、時刻情報と、第一管理項目、第二管理項目及び第三管理項目の各値の情報とを持つ。図1の例では、第一二軸グラフの領域IIと、第二二軸グラフの領域IIのそれぞれに、評価プラントデータがプロットされている。また、図1の例では、運転支援情報1として、第一二軸グラフ及び第二二軸グラフと併せて、評価プラントデータのデータ状況を示す表が示されている。評価プラントデータのデータ状況からプラントの状態を推定することができる。
【0018】
なお、「ある時刻」と説明したように、本発明では、二軸グラフにプロットする評価プラントデータの時刻指定が可能である。つまり、運転支援情報1の二軸グラフには、基本的に、最新(例えば、リアルタイム)の評価プラントデータ、又は過去の評価プラントデータを表示することが可能である。ただし、後述する第2の実施形態において説明するように、本発明は、運転支援情報1として将来の評価プラントデータを予測して表示することも可能である。
【0019】
以下、運転支援情報1の表示に至るまでの流れについて図2を用いて説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。プラント運転支援システム10は、ネットワークを介してプラント20からプラントデータを収集し、収集したプラントデータに基づいてプラント20に対する運転支援情報を生成して出力する。また、プラント運転支援システム10は、図示しないネットワークを介して、PC(Personal Computer)等の外部装置と通信を行い、システム管理者の指示を入力したり処理結果を出力したりする。
【0020】
プラント運転支援システム10が運転支援の対象とするプラント20は、主として、変動する被処理物を連続的に受け入れて処理するプラントである。以下では、プラント20に下水処理プラントを適用して説明する。
【0021】
プラント20は、プラント運転支援システム10と連携するための機能として、大きく分けて次の3つの機能を有する。プラント20は、プラントデータ取得部21、プラントデータ保存部22、及び二軸管理項目表示部23を備える。
【0022】
プラントデータ取得部21は、プラント20のプラントデータとして、プラント20が備える設備やセンサ等から稼働データやセンサデータを所定の時間間隔で取得する。また、プラントデータ取得部21は、周期的な取得タイミングとは別に発生するアラート等のデータをプラントデータとして取得する。プラントデータ取得部21は、取得したプラントデータを、当該プラントデータを取得した時点の時刻情報(年月日)と紐づけてプラントデータ保存部22へ出力する。
【0023】
プラントデータ保存部22は、プラントデータ取得部21で取得された各種のプラントデータを保存する。そして、プラントデータ保存部22は、プラント運転支援システム10からの要求に従い、要求されたプラントデータをプラント運転支援システム10に出力する。プラントデータ保存部22は、周期的に取得されるプラントデータを保存、蓄積するデータベースである。
【0024】
二軸管理項目表示部23は、プラント20がプラント運転支援システム10から受信したプラント20の運転支援情報1を表示する。二軸管理項目表示部23は、プラント20の運転支援情報として、二軸管理項目すなわち二軸グラフと、評価プラントデータのデータ状況とを表示する。本発明では、二軸管理項目表示部23は、複数の二軸グラフを表示する。
【0025】
図2に示すように、プラント運転支援システム10は、管理項目設定部11、基準値設定部12、プラント状況設定部13、プラント状況設定データ保存部14、及びプラントデータ分析部15を備える。
【0026】
管理項目設定部11は、入力装置75(図15参照)から入力されるシステム管理者の指示に従って、運転支援情報1に含める管理項目を設定する。本実施形態では、管理項目設定部11は、管理項目として、第一管理項目と、第二管理項目と、第三管理項目とを設定する。図1に示したとおり、第一管理項目は“A”(消費電力量原単位)、第二管理項目は“B”(処理水BOD)、第三管理項目は“C”(空気倍率)である。
【0027】
基準値設定部12は、入力装置75から入力されるシステム管理者の指示に従って、又は、自動で、各管理項目の基準値を設定する。例えば、図1の例では、基準値設定部12は、第一管理項目Aの基準値A、第二管理項目Bの基準値B、及び第三管理項目Cの基準値Cを設定する。ここで、それぞれの基準値はプラントの管理指針に沿って設定してもよいし、プラントデータ保存部22に保存されているプラントデータを用いて演算して設定してもよい。典型的な演算例としては指定の期間の平均値がある。
【0028】
プラント状況設定部13は、入力装置75(図15参照)から入力されるシステム管理者の指示に従って、管理項目設定部11で設定された管理項目と、基準値設定部12で設定された基準値に基づいて定義された領域とを用いて、考えられるプラント状況(の設定内容を示した表)を設定する。プラント状況設定部13は、設定したプラント状況をプラント状況設定データとして、プラント状況設定データ保存部14に保存する。
【0029】
プラントデータ分析部15は、プラントデータ保存部22からプラントデータを取得し、当該プラントデータを、プラント状況設定データ保存部14に保存されているプラント状況設定データに基づいて分析する。そして、プラントデータ分析部15は、その分析の結果である運転支援情報(例えば、図1の運転支援情報1)を表示用データとして、プラント20に送信する。
【0030】
プラント20では、プラント運転支援システム10から表示用データ(プラント20の運転支援情報)を受信し、プラント20の二軸管理項目(二軸グラフ)とプラント状況を含む運転支援情報を二軸管理項目表示部23に表示する。
【0031】
図3は、プラント状況設定部13で設定されるプラント状況の設定例を示す図である。
プラント状況設定データ14Dは、プラント状況設定データ保存部14に保存されるプラント状況設定データの一例である。プラント状況設定データ14Dは、「No」フィールド、「第一グラフ」フィールド、「第二グラフ」フィールド、及び「考えられる状況と対策」フィールドを有する。
【0032】
「No」フィールドは、プラント状況設定データ14Dに含まれる各レコードを識別する識別子(本実施形態では番号)である。
「第一グラフ」フィールドは、第一二軸グラフの領域Iから領域IVのいずれかの領域を示す。
「第二グラフ」フィールドは、第二二軸グラフの領域Iから領域IVのいずれかの領域を示す。
「考えられる状況と対策」フィールドは、評価プラントデータが、「第一グラフ」フィールドで示された領域、及び「第二グラフ」フィールドで示された領域に存在する場合に、考えられるプラント20の状況と、その状況への対策を示す。
【0033】
図3において、プラント状況設定データ14DのNo.1からNo.4には、第一二軸グラフの領域Iから領域IVに評価プラントデータがプロットされた場合に、考えられる状況と対策が記入されている。例えば、第一二軸グラフでプロットされた、電力量原単位[送風]が基準値より小さく、処理水BODが基準値より大きい領域II(No.2)での考えられる状況と対策は、「曝気風量不足。原水濃度大。風量設定時増加」である。ここでの第一二軸グラフは、いわゆる国交省から提示されている二軸グラフの典型的な管理項目を有するが、通常、運転員としては二軸グラフを見て「曝気風量不足。原水濃度大。風量設定時増加」が適切な判断であると考える。
【0034】
一方で、プラント状況設定データ14DのNo.5からNo.8には、第二二軸グラフの領域Iから領域IVに評価プラントデータがプロットされた場合に、考えられる状況と対策が記入されている。第二二軸グラフでプロットされた、電力量原単位[送風]が基準値より小さく、空気倍率が基準値より大きい領域II(No.6)での考えられる状況は、「風量大で高効率運転」である。通常、運転員は、電力量原単位[送風]が小さく空気倍率が大きくなっていることから、ブロワの効率が良い定格(最大)運転であるというように良好な運転と考える。
【0035】
しかし、第一二軸グラフで領域II、第二二軸グラフで領域IIを同時に見た場合に考えられる状況(No.14)は、「原水濃度が極めて大きい可能性あり。風量増加不可の場合は滞留時間確保や流入制限検討(返送流量一時低減、一時貯留など)」となる。これは、原水濃度が高いため多くの風量を吹き込んだにもかかわらず、処理水BODが良好でなかったことから、原水濃度が想定以上に高い状況となっていることが考えられる。現場の対策としては、一時的に返送汚泥流量を低下して滞留時間を増加させることや、下水処理プラントへの流入下水の一部を管路に滞留させて流入流量を低下させるなどの対策がある。
【0036】
上記の状況が長期的な状況になる場合は、汚泥混合液中の浮遊物質(MLSS:Mixed Liquor Suspended Solids)を増加させるなどの対策を検討することも必要になる。図1の右側には、「データ状況」として、第一二軸グラフのみ、第二二軸グラフのみ、又は両方、から考えられる状況を抽出して表示している。本実施形態によれば、プラント20のリアルタイム(もしくは最新の)又は指定した時刻の状況を、監視制御システムの表示画面(二軸管理項目表示部23)に表示することで、処理水BODの適正値を考えながら省エネルギーを実現する制御設定を現場で判断することが可能となる。
【0037】
消費電力量原単位と処理水質は、インプットに対するアウトプットであり管理上重要な項目である。また、消費電力量原単位と処理水質には、制御できないパラメーターとして季節や降雨の影響も受けて外部から流入してくる、流入流量と流入水質が大きく影響する。さらに、下水処理は微生物の処理であり、水温や、直接性能を制御することが困難な微生物の活性が影響する。一定の運転状態を保つプラントでの処理と異なり、変動する被処理物である下水を連続的に受け入れて処理する下水処理プラントでは、複雑な変動外部因子が多数存在する。
【0038】
したがって、下水処理プラントでは、重要な管理項目である消費電力量原単位と処理水質との関係(第一二軸グラフ)だけでなく、その他の関連する因子(第二二軸グラフ)の相互影響を同時に分析し、予め科学的知見に基づいて、相互影響が考えられる状況と対策(プラント状況設定データ14D)として記述した上で、想定される状況と対策(データ状況)を抽出する本発明が有効となる。
【0039】
このように、本実施形態に係るプラント運転支援システム10は、下水処理プラントのように主として変動する被処理物を連続的に受け入れて処理するプラント(例えば、プラント20)において、適切な運転を実施するための判断根拠となる運転支援情報(例えば、運転支援情報1)を提供することができる。
【0040】
以上のとおり、本発明の第1の実施形態に係るプラント運転支援システム10は、プラントから得られるプラントデータを分析し、分析結果を判定した二軸グラフをプラント20(監視制御システム)に提供するシステムである。プラント運転支援システム10は、プラント状況設定データ保存部14と、プラントデータ分析部15とを備える。プラント状況設定データ保存部14は、少なくとも2つ以上の二軸グラフの各々においてプラントデータがとり得る領域の組合せと、その領域の組合せに対応するプラント状況とを設定したプラント状況設定データを保存する。プラントデータ分析部15は、プラントデータを分析し、評価対象とする評価プラントデータをプロットした2つ以上の二軸グラフと、2つ以上の二軸グラフ上の評価プラントデータがプロットされた領域の組合せに基づき、プラント状況設定データを参照することで得られる評価プラントデータのプラント状況を示す情報と、を含む運転支援情報1を出力する。
【0041】
本実施形態では、二軸グラフにおいてプラントデータがとり得る領域は、二軸グラフの管理項目に対する基準値によって分割されて形成された複数の領域の中のいずれかである。
【0042】
なお、本実施形態では、二軸グラフ上への評価プラントデータのプロット点が1点のみの場合を表示したが、過去の値を連続的に表示してもよい。例えば、令和1年度、令和2年度、令和3年度と3点のプロット点を表示して時系列がわかるように順に線で結んでもよい。各プロット点は、年度に限らず、秒、分、時間、日、週、月、四半期、半期、年、又は任意の設定間隔としてもよい。複数のプロット点がある場合は、あるプロット点を選択して、選択されたプロット点のタイミングにおいて、プラントデータ分析部15で考えらえる状況を分析して二軸管理項目表示部23で表示してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、2つの二軸グラフの横軸の管理項目を同一(例えば、電力量原単位[送風])としたが、必ずしも2つの二軸グラフで横軸同士及び縦軸同士の管理項目を揃える必要はない。
【0044】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るプラント運転支援システムについて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態のプラント運転支援システム10(図2参照)に対して、将来の評価プラントデータを予想する機能を設けた例である。
【0045】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。本実施形態に係るプラント運転支援システム10Aは、第1の実施形態に係るプラント運転支援システム10の構成に加えて、評価プラントデータ将来分析部16を備える。
【0046】
評価プラントデータ将来分析部16は、プラントデータ保存部22に保存されたプラントデータと、プラント状況設定データ保存部14に保存されたプラント状況設定データの情報を受け取って、指定された時刻(又は年月日)の評価プラントデータの予測値(将来値)を推定し、その予測値の情報をプラントデータ分析部15に送る。
【0047】
図5は、評価プラントデータ将来分析部16により演算された結果である、過去と将来の予測値を含む二軸グラフの例(1)を示す図である。図5には、評価プラントデータのうち、昨年度の結果51、今年度(現在まで)の結果52、及び今年度(年度末の予測値)の結果53の例が表示されている。それぞれの結果51~53は該当する期間のプラントデータに基づく演算値であって、例えば、平均値が挙げられる。ここでの「現在まで」は、例えば、年度初めの4月から現在まで(例えば7月)の結果を示している。
【0048】
年度末の予測値は、現在から過去の評価プラントデータを用いて演算する。例えば、現在(ここでは7月)の値が8月から年度末(3月)まで継続すると仮定して演算するといった方法がある。その他、季節的なサイクル性を考慮して8月から3月は昨年度同月の評価プラントデータを用いて、年度末の予測値を演算するといった方法がある。また、今年度の当月(7月)までの結果と、昨年度の同期間の7月までの結果とのずれを補正係数として考慮して、昨年度同月の結果を補正して年度末の予測値を演算するといった方法がある。
【0049】
以上のとおり、本発明の第2の実施形態に係るプラント運転支援システム10Aは、二軸グラフにプロットされる評価プラントデータの未来のある時点の予測値を推定する評価プラントデータ予測値推定部16、を備える。プラントデータ分析部15は、評価プラントデータ予測値推定部16で推定された評価プラントデータの予測値を取得し、過去、未来、及び過去から現在の間の少なくとも3点の評価プラントデータを二軸グラフ上にプロットして出力するように構成されている。
【0050】
本実施形態によれば、リアルタイムのプラント状況(現在得られるプラントデータ)に基づく将来の予測値を、過去から現在までの評価プラントデータと同時に二軸グラフに表示することで、現状の運転の影響をいち早く推測できる。それにより、省エネルギーや水質改善などを実現する制御設定を、運転員が下水処理プラントの現場で早期に判断することが可能となる。
【0051】
なお、図5に示した例では、過去として昨年度、未来として今年度(年度末)に、その間の時期の情報として今年度(現在まで)を追加して3点をプロットしたが、さらに過去、さらに未来、あるいは間の時期の情報を加えて、4点以上をプロットしてもよい。図6に、4点以上をプロットした二軸グラフの例を示す。
【0052】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る評価プラントデータ将来分析部16により演算された結果である、過去と将来の予測値を含む二軸グラフの例(2)を示す図である。図6の例では、図5に示した評価プラントデータの情報(結果51~53)に、現在(当月)の評価プラントデータの情報(結果61)が追加されている。具体的には、図6に示すように、今年度(現在まで)の結果52と今年度(年度末の予測値)の結果53との間に、現在(当月)の結果61が表示される。このような表示により、現状の運転の影響をいち早く推測できるとともに、現状の運転の状況とその影響との関係性(別の側面では状況の推移)をより正確に把握することができる。
【0053】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るプラント運転支援システムについて説明する。第3の実施形態では、二軸グラフにおける領域分割の方法に特徴がある。以下に、本発明の第3の実施形態に係る二軸グラフにおける領域分割の例を、図7図9を参照して説明する。各図に示したグラフの横軸及び縦軸の管理項目は、図1に示した第一二軸グラフと同じである。
【0054】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る二軸グラフにおける領域分割の例(1)を示す図である。図7では、第1の実施形態(図2)及び第2の実施形態(図4)の基準値設定部12で設定される第一管理項目Aの基準値として、高位基準値Aと低位基準値Aを持つ。これにより、二軸グラフは、領域Iから領域VIの6つの領域に分割されている。
【0055】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る二軸グラフにおける領域分割の例(2)を示す図である。図8では、第1の実施形態(図2)及び第2の実施形態(図4)の基準値設定部12で設定される第一管理項目Aの基準値として、高位基準値Aと低位基準値Aを持ち、第二管理項目Bの基準値として、高位基準値Bと低位基準値Bを持つ。これにより、二軸グラフは、領域Iから領域IXの9つの領域に分割されている。
【0056】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る二軸グラフにおける領域分割の例(3)を示す図である。図9では、第1の実施形態(図2)及び第2の実施形態(図4)の基準値設定部12で設定される第一管理項目Aの基準値として、高位基準値Aと基準中位値Aと低位基準値Aを持ち、第二管理項目Bの基準値として、高位基準値Bと基準中位値Bと低位基準値Bを持つ。これにより、二軸グラフは、領域Iから領域Vの5つの領域に分割されている。なお、図9の例では、領域Vは縦軸及び縦軸に平行な辺で構成される矩形であるが、座標(A,B)、(A,B)、(A,B)、(A,B)を通過するのであれば、曲線に囲まれた領域や縦軸及び縦軸に平行な辺を持たない四角形でもよい。
【0057】
高位基準値(A、B)と低位基準値(A-、)の取り方として、例えば、平均値に対する標準偏差をσとして、±σ、±2σ、などプラントデータ値のばらつきの度合いを表す指標を用いることが考えられる。または、管理基準値としての上限値、下限値などを用いてもよい。あるいは、下水道維持管理指針などにおける標準値、標準範囲など一般的な数値を用いてもよい。例えば、標準活性汚泥法の場合では、上限値及び下限値で規定される範囲は、MLSSで1500~2000[mg/L]、BOD-SS負荷で0.2~0.4[kgBOD/(kgSS・d)]などである。
【0058】
以上のとおり、本発明の第3の実施形態に係るプラント運転支援システムでは、二軸グラフの少なくともいずれか一方の管理項目に対する基準値は、2つ以上の値で構成される。
【0059】
本実施形態では、二軸グラフの領域数は増加するが、プラント状況の設定についての考え方は第1の実施形態の場合と同様である。すなわち、各二軸グラフの分割領域に対して、また、複数の二軸グラフの分割領域の組合せに対して、図3に示したプラント状況を同様に設定すればよい。その結果、本発明によれば、標準的な状態と、その状態から高位側(大きい側)及び低位側(基準値よりも小さい側)に外れた場合の状況とを把握し、対処したいというニーズに対して、考えられる状況をより正確に分析できる。それによって、より適切で、かつより効果的な対策が可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、二軸グラフ上への評価プラントデータのプロット点が1点のみの場合を表示したが、過去の値を連続的に表示してもよい。例えば、令和1年度、令和2年度、令和3年度と3点のプロット点を表示して時系列がわかるように順に線で結んでもよい。各プロット点は、年度に限らず、秒、分、時間、日、週、月、四半期、半期、年、又は任意の設定間隔としてもよい。複数のプロット点がある場合は、あるプロット点を選択して、選択されたプロット点のタイミングにおいて、プラントデータ分析部15で考えられる状況を分析して二軸管理項目表示部23で表示してもよい。
【0061】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係るプラント運転支援システムについて説明する。
図10は、本発明の第4の実施形態に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
【0062】
本実施形態に係るプラント運転支援システム10Bは、第1の実施形態に係るプラント運転支援システム10の構成に加えて、プラントデータ分析部15の後段に、管理項目変換部17を備える点が異なる。すなわち、プラント運転支援システム10Bは、プラント20が備える二軸管理項目表示部23の前段に相当する部分に、管理項目変換部17を備える。
【0063】
管理項目変換部17は、プラントデータ分析部15の分析結果を基に、二軸グラフ上にプロットされる二つの管理項目(二軸の評価軸)を持つ評価プラントデータを、1つの変換管理項目(一軸の評価軸)を有する評価プラントデータに変換する機能を有する。管理項目変換部17は、分析対象の評価プラントデータが持つ2つの管理項目を、新たな1つの管理項目(変換管理項目)に変換したり、2つの管理項目を新たな一つの評価軸(例えば、縦軸)に表現したりすることで、評価プラントデータから二軸管理項目トレンドグラフを作成する。
【0064】
本実施形態では、第1の実施形態から第3の実施形態におけるプラントデータ分析部15の分析結果に基づいて、追加の演算として、管理項目変換部17が変換管理項目である二軸管理項目トレンド指標を演算する。そして、管理項目変換部17は、演算した二軸管理項目トレンド指標の時間変動を表す二軸管理項目トレンドグラフを作成してプラント20に送信し、二軸管理項目表示部23において二軸管理項目トレンドグラフを表示する。運転支援情報として、二軸管理項目トレンドグラフと、二軸グラフ及びデータ状況とを一緒の画面に表示してもよいし、別画面に表示してもよい。
【0065】
二軸グラフとそれに対応する二軸管理項目トレンドグラフの一例を、図11図12及び図14に示す。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る二軸管理項目からなる二軸グラフの例を示す図である。
図12は、本発明の第4の実施形態に係る、図11の二軸グラフに対応する二軸管理項目トレンドグラフの例(1)を示す図である。
図14は、本発明の第4の実施形態に係る、図11の二軸グラフに対応する二軸管理項目トレンドグラフの例(2)を示す図である。
【0066】
図11に、電力量原単位[送風](kwh/m)と処理水T-N濃度(mg/L)とからなる二軸グラフを示す。また、図12及び図14に、電力量原単位[送風]と処理水T-N濃度とを用いて算出された変換管理項目を表す二軸管理項目トレンドグラフを示す。処理水T-N濃度は、処理水に含まれる全窒素(Total-Nitrogen)の濃度である。
【0067】
図11の例では、A浄化センターにおけるH25年度からH27年度の四半期ごとの評価プラントデータを二軸グラフにプロットしてあり、横軸は第一管理項目として電力量原単位[送風](kwh/m)、縦軸は第二管理項目として処理水T-N濃度(mg/L)を示す。同じ年度の評価プラントデータは1Q(記号●)から4Q(矢印先端)まで時間順に線でつないでいる。第一管理項目及び第二管理項目に対する基準値には、それぞれのH27年度の平均値を与えている。
【0068】
この図11では、12点(線の端部及び屈折点の数の合計)の評価プラントデータがプロットされているが、重畳している部分も多く、必ずしも可読性が良いわけではない。しかし、過去から現在の値、そして評価プラントデータ将来分析部16で演算する将来の予測値のトレンドを一目で把握することができる。このような評価プラントデータのトレンド(経時的な変化)がわかるグラフは、早期の判断及び対応が求められる現場の運転員へ提供する情報として非常に重要である。そこで、第一管理項目に対する基準値及び第二管理項目に対する基準値の二つを用いて、新たに二軸管理項目トレンド指標を作成し、そのトレンドグラフを表示する。
【0069】
[二軸管理項目トレンドグラフの例(1)]
図12の例では、縦軸に、(第一管理項目)/(第一管理項目の基準値)と、(第二管理項目)/(第二管理項目の基準値)とを乗じた値を示している。例えば、(第一管理項目)/(第一管理項目の基準値)は、第一管理項目の値を第一管理項目の基準値で割ることを意味する。つまり、縦軸は、管理項目変換部17で算出された新たな管理項目(変換管理項目)を用いた二軸管理項目トレンド指標であり、横軸は、四半期ごとの時間を表している。
【0070】
図12において、傾向として、図11で各管理項目の値と各基準値が交わる点は1.00、電力量原単位[送風]と処理水T-N濃度とが互いに低減する望ましい方向は1.00未満から0.00までで表され、下水処理の状況が望ましい方向に変化しているのか否かが一目で判別できる。0.00(良好)、1.00(標準)、1.00を超える(懸念)と演算されてトレンドグラフに表示されることは、可読性が容易なため運転管理上好ましい。
【0071】
以上のとおり、本発明の第4の実施形態に係るプラント運転支援システム10Bは、プラントデータ分析部15の分析結果を基に、二軸グラフ上にプロットされる2つの管理項目を持つ評価プラントデータを、関数を用いて1つの変換管理項目(二軸管理項目トレンド指標)に変換する管理項目変換部17、を備える。そして、管理項目変換部17は、上記二軸グラフに対応する、変換管理項目についての時間変動グラフ(二軸管理項目トレンドグラフ)を出力するように構成されている。または、管理項目変換部17は、二軸グラフと併せて、当該二軸グラフに対応する、変換管理項目についての時間変動グラフを出力する。
【0072】
図12の例では、図11の領域IIIが望ましい領域と選択した結果、(第一管理項目)/(第一管理項目の基準値)と、(第二管理項目)/(第二管理項目の基準値)との乗算、という関数を選択した。望ましい領域が異なる場合、変換管理項目の演算に使用される関数も異なる。
【0073】
例えば、図11の領域Iが望ましい領域と選択した場合、(第一管理項目)/(第一管理項目の基準値)と、(第二管理項目)/(第二管理項目の基準値)との乗算の逆数で、0.00(良好)、1.00(標準)、1.00を超える(懸念)と演算される。
【0074】
また、図11の領域IIが望ましい領域と選択した場合、(第一管理項目)/(第一管理項目の基準値)を、(第二管理項目)/(第二管理項目の基準値)で除した値で、0.00(良好)、1.00(標準)、1.00を超える(懸念)と演算される。
【0075】
さらに、図11の領域IVが望ましい領域と選択した場合、(第二管理項目)/(第二管理項目の基準値)を、(第一管理項目)/(第一管理項目の基準値)で除した値で、0.00(良好)、1.00(標準)、1.00を超える(懸念)と演算される。領域IVの場合に選択される関数による計算結果は、領域IIの場合の逆数である。
【0076】
このように、プラント運転支援システムが、二軸グラフから評価プラントデータのデータ状況を表すのに望ましい領域を選択する機能を設け、その選択に応じて二軸管理項目トレンドグラフを表示する際に使用する関数(計算方法)を選択してもよい。望ましい領域と関数との対応関係は、予め不揮発性ストレージ76等(図15参照)に保存されているものとする。他の言い方をすれば、望ましい領域が“領域I”と“領域III”である場合の関数は、原点からの距離を求める関数であり、望ましい領域が“領域II”と“領域IV”である場合の関数は、原点を通る直線の傾きを求める関数であるとも言える。
【0077】
また、二軸グラフ又は二軸管理項目トレンドグラフ上に選択した望ましい領域(図11図12及び図14の場合には“領域III”)を、二軸管理項目表示部23に表示してもよい。
【0078】
[第4の実施形態の変形例]
次に、第4の実施形態の変形例として、二軸グラフから評価プラントデータのデータ状況を表すのに望ましい領域を選択する機能を有するプラント運転支援システムについて、図13を参照して説明する。
【0079】
図13は、本発明の第4の実施形態の変形例に係るプラント運転支援システムの制御系の構成例を示すブロック図である。図13に示すプラント運転支援システム10Cは、図10のプラント運転支援システム10Bの構成に、良好領域選択部18を加えた構成である。すなわち、プラント運転支援システム10Cでは、図10に示した基準値設定部12とプラント状況設定部13との間に、良好領域選択部18が加わる。
【0080】
良好領域選択部18は、管理項目設定部11で設定された管理項目と、基準値設定部12で設定された対象とする管理項目の基準値とに基づいて、二軸グラフにおいて評価プラントデータのデータ状況を表すのに望ましい領域を選択する。このとき、良好領域選択部18は、入力装置75から入力されるシステム管理者の指示に従って、又は、自動で、二軸グラフごとに望ましい領域を選択する。自動で望ましい領域を選択する場合、管理項目ごとに基準値よりも大きい側又は小さい側のいずれが望ましい運転状況であるかが設定され、その設定情報が不揮発性ストレージ76等(図15参照)に予め保存されているものとする。良好領域選択部18は、その設定情報を参照して、第一管理項目と第二管理項目の組合せに応じて、二軸グラフ上での望ましい領域を選択する。
【0081】
管理項目変換部17は、良好領域選択部18で選択された上記二軸グラフ上での望ましい領域に対応する関数を取得する。次いで、管理項目変換部17は、プラントデータ分析部15の分析結果に対し、望ましい領域に対応する関数を用いて、上記二軸グラフを構成する二つの管理項目を持つ評価プラントデータを一つの変換管理項目に変換する。そして、管理項目変換部17は、変換管理項目すなわち二軸管理項目トレンド指標の時間変動を表す二軸管理項目トレンドグラフを作成してプラント20に送信する。
【0082】
以上のとおり、本実施形態に係るプラント運転支援システム10Cは、二軸グラフの基準値によって分割された領域のうち、2つ以上の二軸グラフ上の評価プラントデータがプロットされる領域の組合せに基づいて、望ましい領域を選択する良好領域選択部18、を備える。そして、良好領域選択部18は、選択された望ましい領域に応じて管理項目変換部17で用いられる関数を選択するように構成されている。
【0083】
[二軸管理項目トレンドグラフの例(2)]
図14の例は、管理項目である電力量原単位[送風]と処理水T-N濃度のうち、より関心ある管理項目として電力量原単位[送風]を主として選択したことを想定した場合に表示される、二軸管理項目トレンドグラフである。縦軸は、電力量原単位[送風](kwh/m)、及び処理水T-N濃度の1/100の値(mg/L)を表し、横軸は、四半期ごとの時間を表している。図14では、各時刻(四半期の時期)の評価指標として、電力量原単位[送風]と、処理水T-N濃度の平均からのずれとの二次元からなる評価指標を与える。また、図14では、基準値を電力量原単位[送風]の平均値(一点鎖線)とし、電力量原単位[送風]のトレンドグラフと併記し、電力量原単位[送風]の各時刻に、エラーバーの形で処理水T-N濃度の平均値からの増加分(あるいは低減分)を重畳する。
【0084】
通常、二つの管理項目を同一のトレンドグラフ上に重畳させた場合、可読性が低下する。特に、例えば、3箇所の下水処理プラントの分析結果の比較のために分析結果を重畳させる場合、2×3で6本のトレンドグラフが記述されることになり、可読性が著しく低下する。本実施形態によれば、3か所の下水処理プラントの分析結果を比較するときは、3本のトレンドグラフで済むため、可読性が著しく低下することはない。
【0085】
図14では、有次元の単位の値をトレンドグラフに表記したが、図12と同様に無次元化してもよい。また、相対的に関心が高くない管理項目の表記をエラーバー形式としたが、限定するものではなく、例えば、関心が高くない管理項目をプロット点として表記してもよい。
【0086】
なお、本実施形態において、各プロット点は、年度及び四半期に限らず、秒、分、時間、日、週、月、半期、年、任意の設定間隔としてもよい。複数のプロット点がある場合は、あるプロット点を選択して、選択されたプロット点のタイミングにおいて、プラントデータ分析部15で考えられる状況を分析して二軸管理項目表示部23で表示してもよい。
【0087】
<プラント運転支援システムのハードウェア構成>
上述した各実施形態に係るプラント運転支援システム10,10A~10Cの機能は、ソフトウェアにより実現できる。以下、各実施形態に係るプラント運転支援システム10,10A~10Cを構成する計算機のハードウェア構成を説明する。
【0088】
図15は、本発明の第1~第4の実施形態に係るプラント運転支援システムが備える計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。図示する計算機70は、各実施形態に係るプラント運転支援システム10,10A~10Cとして動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。プラント運転支援システム10,10A~10Cは、計算機70(コンピューター)がプログラムを実行することにより、プラント運転支援システムの各機能ブロックが連携して行うプラント運転支援方法を実現する。
【0089】
計算機70は、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)73、表示装置74、入力装置75、不揮発性ストレージ76、及びネットワークインターフェース77を備える。
【0090】
CPU71は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM72から読み出してRAM73にロードし、実行する。RAM73には、CPU71の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU71によって適宜読み出される。CPU71がROM72から読み出したプログラムコードを実行することで、プラント運転支援システム内の各機能ブロックの機能が実現される。ただし、CPU71に代えてMPU(Micro Processing Unit)等の他のプロセッサを用いてもよい。
【0091】
表示装置74は、液晶ディスプレイなどのモニタであり、GUI画面やCPU71で行われた処理の結果等を表示する。入力装置75は、システム管理者の操作に応じた入力信号を生成してCPU71へ出力する。入力装置75には、例えば、マウス、キーボードなどが用いられ、システム管理者は入力装置75を操作して情報や指示を入力することが可能である。表示装置74と入力装置75とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。
【0092】
不揮発性ストレージ76としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、又は不揮発性のメモリ等が用いられる。例えば、不揮発性ストレージ76には、プラント状況設定データ保存部14(図2他)、二軸グラフ上での望ましい領域と関数との対応関係(第4の実施形態)、並びに、管理項目ごとに基準値に対して大きい側又は小さい側のいずれが望ましい運転状況であるかの設定情報(第4の実施形態の変形例)などが保存される。この不揮発性ストレージ76には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機70を機能させるためのプログラムが記録されていてもよい。ROM72及び不揮発性ストレージ76は、CPU71が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機70によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0093】
ネットワークインターフェース77には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。例えば、プラント運転支援システムがプラント20とプラントデータを送受信するインターフェース、プラント運転支援システムがプラント20に表示用データ(運転支援情報)を送信するインターフェースは、ネットワークインターフェース77により構成される。
【0094】
なお、プラント運転支援システムがサーバとして構成され、例えばウェブアプリケーションサーバがプラント20にプラント運転支援機能を提供する場合、計算機70は、表示装置74及び入力装置75を備えなくてもよい。この場合、システム管理者が使用するPCやタブレット端末を介して、プラント運転支援システムに対する管理項目及び基準値等の情報の入力及び出力が行われる。
【0095】
なお、プラント20の監視制御システムや、プラント運転支援システムと接続する外部装置のハードウェアも、図15の計算機70を用いて構成することができる。プラント20の監視制御システムの場合、監視制御システムが備える計算機70のCPU71がROM72から読み出したプログラムコードを実行することで、プラントデータ取得をはじめとする監視制御機能が実現される。例えば、プラントデータ保存部22を不揮発性ストレージ76で構成し、二軸管理項目表示部23を表示装置74で構成することができる。
【0096】
また、外部装置が備える計算機70のCPU71がROM72から読み出したプログラムコードを実行することで、ネットワークを介してプラント運転支援システム10との接続や、プラント状況設定等を含む各種の設定機能及び入力機能が実現される。また、システム管理者が設定機能及び入力機能を実行する際に、表示装置74及び入力装置75を用いることができる。外部装置とプラント運転支援システムとの通信は、ネットワークインターフェースにより実現できる。
【0097】
<変形例>
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0098】
第1~第3の実施形態では、第一二軸グラフと第二二軸グラフのX軸が第一管理項目であるAで共通であったが、必ずしも共通でなくてよい。また、二軸グラフの数は2つに限定するものではなく、必要な数の二軸グラフを用いてもよい。また、管理項目の数は3つに限定するものではなく、必要な数の管理項目を用いてもよい。例えば、第一二軸グラフの管理項目はAとB、第二管理グラフの管理項目はCとD、第三二軸グラフの管理項目はCとE、第四二軸グラフの管理項目はFとGであって、GはAの関数、といった形でもよい。
【0099】
また、第1~第4の実施形態の管理項目として、流入負荷(流入流量×原水水質)、溶存酸素濃度(DO)、循環流量、返送流量、循環ポンプ消費電力量、返送ポンプ消費電力量、ブロワ消費電力量、循環ポンプ消費電力量原単位、返送ポンプ消費電力量原単位、ブロワ消費電力量原単位、MLSS、処理水SS濃度、処理水全窒素(T-N)濃度、処理水アンモニア濃度、処理水全リン(T-P)濃度、原水SS濃度、原水T-N濃度、原水アンモニア濃度、原水T-P濃度、SV30、SVI、HRT(Hydraulic retention time)、SRT(Sludge retention time)、AOR(必要酸素量)、BOD容積負荷、BOD-SS負荷、及び、水面積負荷などが考えられる。
【0100】
また、上述した各実施形態では、消費電力量原単位としたが、消費電力原単位、消費電力量、消費電力、CO排出換算量、CO排出換算量原単位、などとしてもよい。また、1つの二軸グラフ(例えば、図1図11)の管理項目は、消費電力量原単位と、処理水質(例えば、処理水BOD、処理水T-N濃度)であるが、この例に限らない。
【0101】
また、プラントデータの分析対象の範囲は、下水処理プラント(処理場)全体で考えてもよいし、下水処理プラントの一部でもよい。例えば、下水処理プラントでは同設備が並列に稼働しているため、各設備について系列ごとに個別に分析・評価してもよい。また、系列ごとの評価結果をまとめて表示して運転者が比較できるようにしてもよい。
【0102】
また、上述した各実施形態では、プラント運転支援システムの支援対象に下水処理プラントを適用した例を説明したが、下水処理プラントに限定せず、他のプラントや施設に適用してもよい。例えば、浄水プラントや雨水ポンプ場、汚泥処理プラントなどに適用してもよい。また、二軸グラフとしては、原水水質-溶存酸素濃度(Dissolved Oxygen:DO)、曝気風量-消費電力、DO-空気倍率、流入水質-DO、MLSS-SVI(Sludge volume index)、BOD-SS負荷-原水BODなど、状況分析に用いることができる様々な組合せがある。
【0103】
また、上述した各実施形態では、プラント状況設定部13で設定されるプラント状況の設定例を示し、図1において評価プラントデータのデータ状況として表示画面に表示する例を示した。ここで、第一二軸グラフの評価プラントデータがプロットされた領域と、第二二軸グラフの評価プラントデータがプロットされた領域との組合せの各時刻の結果は、プラントデータ保存部22に保存できる。すなわち、時刻ごとに二軸グラフの領域の組合せを保存したデータベースを構築することができる。例えば、プラントデータ保存部22にプラントデータと同時に保存される、DO設定値変更や計測センサ洗浄、一系列停止、など対策状況データ(対策実績)も用いて、例えば過去に同じ領域の組合せがあった場合の時刻と、対策状況データとを抽出するための検索機能として活用してもよい。すなわち、対象プラントに同じ状況が発生した別の日時を参照したり、将来同じ状況が発生したと想定した場合のセンサ値を予測したりすることが可能となる。
【0104】
本実施形態では、プラントデータ保存部22からの評価プラントデータとして特に制限を設けず説明したが、例えば、雨天時のデータや一部の系列が「停止」、「工事あり」、「水温20度以上」、などのイベントや条件を指定して、評価プラントデータから取り除く、フィルタリング機能を追加してもよい。それにより、例えば、雨天時のデータを除いた場合、晴天時の傾向の変化のみを確認でき、状況分析の精度を上げることが可能となる。
【0105】
なお、上述した第1~第4の実施形態は本発明を分かりやすく説明するためにプラント運転支援システムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成要素に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0106】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
【0107】
また、上述した各実施形態に係るプラント運転支援システムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…運転支援情報、 10…プラント運転支援システム、 10A…プラント運転支援システム、 10B…プラント運転支援システム、 10C…プラント運転支援システム、 11…管理項目設定部、 12…基準値設定部、 13…プラント状況設定部、 14…プラント状況設定データ保存部、 14D…プラント状況設定データ、 15…プラントデータ分析部、 16…評価プラントデータ将来分析部、 17…管理項目変換部、 18…良好領域選択部
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