(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009160
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】高い近接場コントラスト比を有するLEDモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 33/60 20100101AFI20230112BHJP
【FI】
H01L33/60
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179221
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2019531885の分割
【原出願日】2017-12-08
(31)【優先権主張番号】62/434,680
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17150551.4
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベーシン,グリゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ベリャーエフ,アントン
(72)【発明者】
【氏名】コソウスキー,レックス
(72)【発明者】
【氏名】ゴー,イー,シャン
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA12
5F142BA32
5F142CB22
5F142CD02
5F142CE03
5F142CE08
5F142CE15
5F142CE18
5F142DA14
5F142FA21
5F142FA48
5F142GA01
5F142GA21
5F142GA29
(57)【要約】
【課題】高い近接場コントラスト比を有するLEDモジュールを提供する。
【解決手段】一体化されたリフレクタ構成(70)は、少なくとも1つの発光ダイオード構造(10)の発光領域(11)を介して放射された光を反射するためのリフレクタ面(72)を備え、一体化されたリフレクタ構成(70)は、発光ダイオード構造(10)の側面を介して放射された光を拡散的に反射して発光ダイオード構造(10)に戻すための後方反射面(74)を更に備え、後方反射面(74)は、発光ダイオードモジュール(100)の動作中に発光ダイオード構造(10)の側面による迷光の放射が減少するように、発光ダイオード構造(10)の側面の少なくとも一部に直接取り付けられる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードモジュールを製造する方法であって、
キャリア構造上に複数の発光ダイオード構造を配置するステップと、
前記発光ダイオード構造の発光領域が保護面によって被覆されるように、モールドチェイスにより、キャビティ内で前記発光ダイオード構造を取り囲むステップと、
流体成形材料を前記キャビティ内に提供するステップであって、前記発光ダイオード構造の側面の一部は、前記流体成形材料により被覆され、前記発光ダイオード構造の前記光変換構造の前記発光領域を介して放射された光を反射するリフレクタ面が形成される、ステップと、
前記成形材料を硬化するステップであって、前記発光ダイオード構造の前記側面の一部に、後方反射面が直接取り付けられる、ステップと、
を有し、
前記保護面は、前記発光ダイオード構造、および前記発光ダイオード構造の前記発光領域である、前記発光ダイオード構造の上面を被覆し、前記発光ダイオード構造の前記発光領域には、硬化材料が存在せず、
前記モールドチェイスは、前記流体成形材料を提供するステップおよび硬化するステップにより、一体化リフレクタ配置を提供するように配置され、
前記一体化リフレクタ配置は、前記発光ダイオード構造の前記発光領域を介して放射された光を反射する、後方反射面およびリフレクタ面を有し、
前記リフレクタ面は、前記複数の発光ダイオード構造の全てのリフレクタを構成する、方法。
【請求項2】
前記保護面は、前記モールドチェイスによって構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体成形材料は前記キャビティ内でプレスされ、前記流体成形材料を与えている間の前記キャビティ内の圧力は1Pa未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
発光ダイオードモジュールであって、
複数の発光ダイオード構造であって、該発光ダイオード構造は、発光ダイオードダイおよび光変換構造を有し、前記光変換構造は、前記発光ダイオードダイの発光側に取り付けられ、前記発光ダイオード構造の前記発光領域は、前記光変換構造の表面である、複数の発光ダイオード構造と、
一体化リフレクタ配置であって、前記発光ダイオード構造の前記発光領域を介して放射された光を反射するリフレクタ面を有する、一体化リフレクタ配置と、
を有し、
前記一体化リフレクタ配置は、さらに、前記発光ダイオード構造の側面を介して放射される光を拡散的に反射して、前記発光ダイオード構造に戻す後方反射面を有し、
前記後方反射面は、前記発光ダイオード構造の前記側面に直接取り付けられ、当該発光ダイオードモジュールの動作の間、前記発光ダイオード構造の前記側面による迷光の放射が低減され、
前記後方反射面は、少なくとも前記発光領域のレベルまで延在し、前記光変換構造の上面、および前記発光領域を直接取り囲む前記一体化リフレクタ配置の一部は、1つの共通の平坦面を構築し、
前記リフレクタ面は、前記複数の発光ダイオード構造の全てのリフレクタを構成する、発光ダイオードモジュール。
【請求項5】
前記一体化リフレクタ配置は、当該発光ダイオードモジュールの動作中に近接場コントラストが少なくとも150になるように、前記発光ダイオード構造の前記光変換構造の前記発光領域の外側に鋭い輝度カットオフを提供するように構成される、請求項4に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項6】
前記後方反射面は、少なくとも95%の反射率によって特徴付けられる、請求項4または5に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項7】
前記一体化リフレクタ配置は、酸化物粒子を充填したシリコン樹脂を含む材料を含み、前記酸化物粒子は、SiO2、TiO2、Zr2O3、Y2O3、Al2O3のグループから選択される少なくとも1つの酸化物を含む、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項8】
前記シリコン樹脂はSiO2とTiO2の混合物が充填される、請求項7に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項9】
前記シリコン樹脂内の前記酸化物粒子の含有量は、少なくとも60%であり、好ましくは少なくとも70%であり、より好ましくは少なくとも80%である、請求項7または8に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項10】
前記リフレクタ面は、前記発光領域のレベルに対して100μmの距離で前記リフレクタ面により取り囲まれた開口が、前記発光ダイオード構造の前記発光領域の2倍未満となるように配置される、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項11】
前記リフレクタ面は、前記発光領域に対して垂直に配置された反射領域を有する、請求項4乃至10のいずれか一項に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項12】
前記発光ダイオード構造は、サブマウント上に配置され、
前記一体化リフレクタ配置は、前記サブマウントの少なくとも一部を埋設する、請求項4乃至11のいずれか一項に記載の発光ダイオードモジュール。
【請求項13】
請求項4乃至12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの発光ダイオードモジュールを含む、フラッシュモジュール、自動車フロントライティング又は投影発光ダイオードシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い近接場コントラスト比(high near field contrast ratio)を有するLEDモジュールに関する。本発明は更に、高い近接場コントラスト比を有するLEDモジュールを製造する方法に関する。本発明は、最終的に、少なくとも1つの発光ダイオードモジュールを含む、フラッシュモジュール、自動車フロントライティング(ヘッドライト)又は投影発光ダイオードシステムのような照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)モジュールの高い近接場コントラストの要求は、防眩照明器具の撮像光学系設計のためにますます重要になっている。近接場コントラストは個々のチップとパッケージのレイアウトに強く依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、高い近接場コントラスト比を有するLEDモジュールを提供することにある。更なる目的は、高い近接場コントラスト比を有するLEDモジュールを製造する改良された方法を提供することにある。
【0004】
本発明は独立請求項に記載される。従属請求項は好ましい実施形態を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様によれば、発光ダイオードモジュールを製造する方法が提供される。本方法は:
キャリア構造上に少なくとも1つの発光ダイオード構造を配置するステップと、
少なくとも1つの発光ダイオード構造の発光領域が保護面によって覆われるように、少なくとも1つの発光ダイオード構造をキャビティ内でモールドチェイスによって囲むステップと、
発光ダイオード構造の側面の少なくとも一部が流体成形材料によって覆われ、少なくとも1つの発光ダイオード構造の光変換構造の発光領域を介して放射された光を反射するためのリフレクタ面(reflector surface)が形成されるように、流体成形材料をキャビティ内に与えるステップと、
後方反射面(back reflection surface)が発光ダイオード構造の側面の一部に直接取り付けられ、発光ダイオードモジュールの動作中に発光ダイオード構造の側面による迷光の放射を低減するか又は抑制をもするように、成形材料を硬化させるステップと、
を含む。
【0006】
保護面は、モールドチェイスによって構成されてよい。
【0007】
流体成形材料は、好ましくは、キャビティ内でプレスされ得る。キャビティは、好ましくは、キャビティ内で流体成形材料をプレスする前に排気され得る。キャビティ内の圧力は、好ましくは、流体成形材料を与えている間、1Pa未満であってよい。したがって、上述の発光ダイオードモジュールは、好ましくは、一体化されたリフレクタ構成(integrated reflector arrangement)が、トランスファー成形プロセスによって製造される材料の1片から成るように、トランスファー成形プロセスによって製造され得る。発光領域又は複数の発光領域のその後のクリーニングは、一体化されたリフレクタ構成のいかなる損傷も回避するために、保護面によって回避され得る。
【0008】
更なる態様によれば、発光ダイオードモジュールが提供される。発光ダイオードモジュールは、
少なくとも1つの発光ダイオード構造と、
一体化されたリフレクタ構成と、を含み、一体化されたリフレクタ構成は、少なくとも1つの発光ダイオード構造の発光領域を介して放射された光を反射するためのリフレクタ面を含み、一体化されたリフレクタ構成は、発光ダイオード構造の側面を介して放射された光を拡散的に反射して発光ダイオード構造に戻すための後方反射面を更に含み、後方反射面は、発光ダイオードモジュールの動作中に発光ダイオード構造の側面による迷光の発光を低減又は抑制をもするように、発光ダイオード構造の側面の少なくとも一部に直接取り付けられる。
【0009】
典型的には、特にフリップチップLEDの側壁をカプセル化する方法はほとんどない。最も典型的なものはディスペンス処理(dispense process)であり、オーバーモールディング処理を使用して、高反射性材料でLED源の側壁をカプセル化している。オーバーモールディングの場合の過剰コーティング材料は、サンドブラスティングによってLED源の発光領域から除去される。実験は、サイドコーティングとその後のサンドブラスティングは迷光を招き、したがって、不十分な近接場コントラストを招くことを示している。加えて、蛍光体層の露出した側壁及び/又はサブマウントから散乱又は反射された光に起因する増大した表面積によって、エタンデュ(etendue)の増加が引き起こされる可能性がある。ディスペンス処理の場合、材料の流れに対する制御が困難であることに加えて、側壁におけるディスペンス材料のメニスカスによって、エタンデュの増加が引き起こされる可能性がある。すべての言及した要因は迷光を生じ、これは、フラッシュモジュール、自動車フロントライティング又は投影LEDシステムのような用途にとって有害である。
【0010】
上記及び下記で説明される発光ダイオードモジュールは、迷光を低減し、かつエタンデュの増加を回避することを助けることができる。
【0011】
少なくとも1つの発光ダイオード構造は、発光ダイオードダイと光変換構造とを含む。光変換構造は、発光ダイオードダイの発光側に取り付けられてよい。少なくとも1つの発光ダイオード構造の発光領域は、光変換構造の表面であってよい。
【0012】
光変換構造は、通常、発光ダイオード(LED)ダイの発光面に取り付けられる変換材料のプレートであってよい。LEDダイの発光面は、フリップチップLEDダイの場合、電気接点から離れて配置されるLEDダイの上面である(
図1を参照されたい)。一体化されたリフレクタ構成は、光変換構造の側面及びLEDダイの側面を介して実質的に光がLED構造から出ることができないように、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)構造を包含する。後方反射面は、LED構造と直接接触しており、したがって、LED構造の側面に直接取り付けられる。LED構造は、1つの側面(例えば円形のLED構造)又は2つ以上の側面(例えば矩形のLED構造の場合は4つ)を含んでよい。LED構造を包含する材料の材料及び厚さは、発光領域の周囲の光のハロー(halo)を回避するように選択される。一体化されたリフレクタ構成は、LED構造を部分的に埋め込む材料の1片から成る。
【0013】
一体化されたリフレクタ構成は、好ましくは、発光領域の周囲(例えば光変換構造の上面)の一体化されたリフレクタ構成の表面が、発光領域と少なくとも同じレベルになるように配置される。一体化されたリフレクタ構成は、例えば光変換構造の上面(発光領域)と、発光領域の直接周囲にある一体化されたリフレクタ構成の部分とが、1つの共通の平らな面を構成するように配置されてよい。発光領域の周囲の平らな領域は、LED構造の側面の任意の部分、特に光変換構造が露出され、それによりLED構造の側面のそのような部分を介して光が直接放射され得ることを回避する。さらに、一体化されたリフレクタ構成は、リフレクタ面又は複数のリフレクタ面を発光領域に近接して配置することを可能にする。
【0014】
一体化されたリフレクタ構成は、好ましくは、発光ダイオードモジュールの動作中に近接場コントラストが少なくとも150、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも250となるように、少なくとも1つの発光ダイオード構造の光変換構造の発光領域の外側に鋭い輝度カットオフ(sharp luminance cut-off)を提供するように構成される。
【0015】
近接場コントラストは、LEA(発光領域)の中央輝度(median luminescence)と、LEAのエッジから150μm離れた線における中央輝度の比として計算される。
Contrast=Emed_LEA/Emed_150um
【0016】
発光領域の外側の鋭い輝度カットオフは、発光ダイオードモジュールのうちの1つ以上を含む光源によって構成される光学デバイスによって発光ダイオードモジュールにより放射される、光のその後の操作を簡単にする。少なくとも150の高い近接場コントラストは、発光領域の周囲のハローによって生じ得るグレアを回避する。高い近接場コントラストは更に、照明用途で使用できない大きな角度で放射される光を制限することができる。
【0017】
後方反射面は、好ましくは、少なくとも95%の反射率によって特徴付けられる。
【0018】
後方反射面は、発光領域の上の半球内の発光ダイオードモジュールから漏れ出る可能性がある迷光を本質的に回避するように、発光ダイオード構造の側面の少なくとも一部を包含する。少なくとも95%又は99%もの高反射率は、迷光を抑制し、側面、特に光変換構造の側面を介して放射された光を反射して、発光ダイオード構造に拡散的に戻す。拡散反射は、この光の少なくとも一部が再利用されて発光領域を介して出ることを可能にすることができる。
【0019】
後方反射面は、上述したように、少なくとも1つの発光領域のレベルまで延びてもよい。後方反射面は特に、発光ダイオード構造、特に発光領域が、該発光領域に垂直なリフレクタ面によって囲まれるように、発光領域のレベルを越えて延びてもよい。リフレクタ面は、発光領域のレベルより上のリフレクタ面の高さに依存して、発光領域に垂直な光軸に対してより大きな角度の光の量を減少させることができるように、発光領域を介して放射された光を拡散的に反射するように構成される。発光領域のレベルより上のリフレクタ面の高さは、例えば500μmであってもよい。高さは、リフレクタ面によって囲まれる1つ又は複数の発光領域のサイズに依存してもよい。
【0020】
一体化されたリフレクタ構成は、酸化物粒子を充填したシリコン樹脂を含む材料を含んでよい。酸化物粒子は、SiO2、TiO2、Zr2O3、Y2O3、Al2O3のグループから選択される少なくとも1つの酸化物を含み得る。
【0021】
酸化物粒子は、一体化されたリフレクタ構成の高い(拡散)反射率を可能にするために、シリコン樹脂に埋め込まれる。シリコン樹脂のような材料は、一体化されたリフレクタ構成を製造するために、トランスファー成形を使用することができる。一体化されたリフレクタ構成の材料のロバスト性を高めるために、酸化物繊維又はガラスファイバのような更なる材料を加えてもよい。
【0022】
シリコン樹脂は、好ましくは、SiO2とTiO2の混合物が充填される。
【0023】
シリコン樹脂中の酸化物粒子の含有量は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%である。含有量は、シリコン樹脂内のそれぞれの酸化物粒子又は酸化物粒子の混合物の質量分率又は質量パーセンテージを指す。シリコン樹脂内の酸化物粒子の高い含有量は、硬化した樹脂の95%を超える高い反射率を可能にする。特に、酸化シリコンと酸化チタンの混合物は、5GPaを超えるヤング率のロバストな材料を可能にし、一体化されたリフレクタ構成の十分な信頼性を可能にする。
【0024】
リフレクタ面は、少なくとも1つの発光領域に対して100μmの距離でリフレクタ面に囲まれる開口部が、少なくとも1つの発光ダイオード構造の発光領域の2倍より小さくなるように配置され得る。リフレクタ面の開口部は、発光領域に平行な平面を画定する。発光領域が1つだけの場合において、リフレクタ面(例えば矩形の発光領域)が発光領域のレベルを超えて延びて、その延長部が発光領域に垂直なリフレクタ面を画定する場合、開口部は、発光領域と同じサイズを有する。この場合、開口部は、リフレクタ面の高さとは無関係に、発光領域の面積と同じサイズを有する。この場合、開口部のサイズと発光領域のサイズの比は1となる。発光領域の周囲のすべての平坦なリム、及びリフレクタ面と発光領域との間の90°を超える角度は、発光領域のサイズに対する開口のサイズを増大させることになる。同じことは、発光領域のアレイに関しても有効である。したがって、開口部と発光領域との間の比を減少させるために、発光ダイオード構造を相互にできるだけ近くに配置することが好ましい。
【0025】
発光ダイオードモジュールは、サブマウント上に配置される少なくとも2つの発光ダイオード構造を含んでよい。一体化されたリフレクタ構成は、サブマウントの少なくとも一部を埋め込む。
【0026】
サブマウントの少なくとも一部を埋め込むことは、多数のLED構造(LEDアレイ)を含む発光ダイオードモジュールの製造を単純化することができる。
【0027】
更なる態様によれば、フラッシュモジュール、自動車フロントライティング又は投影発光ダイオードシステムが提供される。フラッシュモジュール、自動車フロントライティング又は投影発光ダイオードシステムは、上述のような少なくとも1つの発光ダイオードモジュールを含むことができる。照明装置は、上述のように、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の発光ダイオードモジュールを含むことができる。
【0028】
上述の発光ダイオードモジュールによる迷光の低減は、そのような発光ダイオードモジュールを含む任意の照明装置によって提供され得る光パターンを改善するために使用され得る。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、それぞれの独立請求項と従属請求項の任意の組合せとすることもできることを理解されたい。
【0030】
更に有利な実施形態は、以下で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかであり、それらの実施形態に関連して解明されるであろう。
【0032】
次に、本発明は、添付の図面に関連して実施形態に基づいて例として説明される。図面は以下のとおりである。
【
図1】発光ダイオードの主要な概略を示す図である。
【
図2】発光ダイオードアレイの主要な概略を示す図である。
【
図3】発光ダイオードモジュールを生成する第1生産工程の主要な概略を示す図である。
【
図4】発光ダイオードモジュールを生成する第2生産工程の主要な概略を示す図である。
【
図5】発光ダイオードモジュールを生成する第3生産工程の主要な概略を示す図である。
【
図6】発光ダイオードモジュールを生成する第4生産工程の主要な概略を示す図である。
【
図7】発光ダイオードモジュールのアレイの上面図の主要な概略を示す図である。
【
図8】発光ダイオードモジュールの第1実施形態を示す図である。
【
図9】発光ダイオードモジュールの第2実施形態を示す図である。
【0033】
図において、同様の数字は全体を通して同様のオブジェクトを指す。図中のオブジェクトは、必ずしもスケーリングして描かれてはいない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の様々な実施形態を図によって説明する。
【0035】
図1は、発光ダイオード(LED)構造10の断面の主要な概略を示している。LED構造10は、nコンタクト5によって電気的に接触することができるn層3を含む。n層3の後に活性層4が続く。活性層4は、活性層の組成(例えばAIInGaN)によって決定される波長で光を放射するように配置される、量子井戸構造を含んでもよい。活性層4は、n層3とp層7との間に埋め込まれる。p層7は、pコンタクト9によって電気的に接触されることができる。n層3、活性層4、p層7、nコンタクト5及びpコンタクト9の配置は、フリップチップLEDダイを構築する。pコンタクトとnコンタクトは、LEDダイの同じ側に配置される。図示されていない更なる支持層が存在してもよい。活性層4に取り付けられるn層3の表面とは反対のn層3の上面に光変換構造1が取り付けられる。n層3の上面は、LEDダイの発光面である。光変換構造1は、セリウムドープ蛍光体ガーネットYAG:Ceのような蛍光体を含んでよい。光変換構造1は、活性層4によって放射された一次光(例えば青色光)を、一次光よりも長い波長によって特徴付けられる二次光(例えば黄色光)に変換するように構成される。LED構造10は、光変換構造1の上面を介して光の少なくとも主な部分を放射するように構成される。なお、光変換構造1の上面は、n層3に取り付けられる光変換構造1の表面とは反対である。光変換構造1の上面は、LED構造10の発光領域11である。一部の光は、光変換構造1の側面から漏れる可能性があり、活性層4及び隣接する層の側面を介して漏れる可能性もある。LED構造10の側面を介する光のこの漏れは、照明用途における近接場コントラストを低減させる可能性がある。
【0036】
図2は、発光ダイオードアレイ30の断面の主要な概略を示している。発光ダイオードアレイ30は、サブマウント20に取り付けられる複数のLED構造10(断面には3つが図示されている)を含む。サブマウント20は、LED構造10が取り付けられるサブマウントチップ21と、LED構造10のnコンタクト及びpコンタクト(図示せず)を電気的に接続することができる電気接点パッド23とを備える。
【0037】
図3は、発光ダイオード(LED)モジュール100を生成する第1生産工程の主要な概略を示している。LED構造10は、テープ40(又は他の任意の適切なキャリア構造)上に配置される。LED構造10は、
図4に示される第2生産工程でモールドチェイス50によって囲まれる。モールドチェイス50は、LED構造10の上面(発光領域11)を覆うように配置された保護面52を備える。モールドチェイス50は、一体化されたリフレクタ構成70の形態を提供するLED構造10の周囲にキャビティが存在するように、キャリア構造上のLED構造10を包囲する。このキャビティは排気され、流体の成形材料60がテープ40とモールドチェイス50との間のキャビティ内でプレスされる。成形材料60は、この場合、酸化シリコンと酸化チタンの粒子の混合物を充填したシリコン樹脂を含む。成形材料60中の酸化物粒子の質量分率又はパーセンテージは、この例では80%である。成形材料60は硬化され、モールドチェイス50は、
図6に示される第4処理工程で除去される。保護面52が、LED構造10、特にLED構造10の発光領域11であるLED構造10の上面を覆った。したがって、LED構造10の発光領域11には硬化した複合材料(hardened compound material)が存在しない。したがって、LED構造10の発光領域11のその後のクリーニング工程は回避される。モールドチェイス50及び保護面52は、LED構造10の周りの成形材料60の硬化した材料が、LED構造10の上面と少なくとも同じレベルになるように配置される。硬化した成形材料60は、LED構造10によって放射される光が、発光領域11のうちの1つを介して発光の第2のチャンスを可能にするために、好ましくは、拡散的に反射してLED構造10に戻るように配置される。硬化した成形材料60の反射率は、この場合97%である。残りの光は、好ましくは、発光領域11の周囲の光の漏れを可能な限り抑制するために、硬化した複合材料60によって吸収される。発光領域の周りの平坦なリムは、200μmの幅によって特徴付けられる。この実施形態の近接場コントラストは160である。
【0038】
図7は、
図3~
図6に関して検討した処理工程に従って生産された発光ダイオードモジュール100のアレイの上面図の主要な概略を示している。硬化した成形材料60は、該硬化した成形材料の一部がリフレクタ面72を形成するように、LED構造10の発光領域11を包含する。ここで、各リフレクタ面はそれぞれの発光領域11を包含する。リフレクタ面72は、発光領域11に平行な面と約80°の角度で囲んでいる。リフレクタ面72は、発光領域11によって放射された光を反射するためにそれぞれの発光領域11の周囲にリフレクタを構築するように、発光領域11のレベルから始まる。リフレクタ面72の間のブリッジは、例えばダイシングによって各LEDモジュール100の分離を可能にする。
【0039】
図8は、LEDモジュール100の第1実施形態の断面図を示している。LEDモジュール100は、
図3~
図6に示すトランスファー成形プロセスに従って処理された。LEDモジュールは最終的に、
図7に関連して図示及び議論されたものと同様に、LEDモジュール100のアレイからダイシングされた。一体化されたリフレクタ構成70は、硬化した成形材料から成り、この場合、矩形のLED構造10を包含する4つの後方反射面74を含む。後方反射面74は、LED構造10の側面を介して放射される本質的にすべての光が反射されてLED構造10に戻るように配置される。一体化されたリフレクタ構成70は更にリフレクタ面72を含む。リフレクタ面72は、この場合、発光領域11に平行な表面と90°の角度で囲んでいる。リフレクタ面72は実際には、この場合、後方反射面74の延長部である。リフレクタ面72の高さは、発光領域11のレベルより上の300μmである。発光ダイオードモジュール100から光が漏れ出る可能性があるリフレクタ面72の開口部は、この場合、リフレクタ面72の各高さにおいて、発光領域11の面積サイズと同じサイズを有する。
【0040】
図9は、発光ダイオードモジュール100の断面の第2実施形態を示している。断面図は、サブマウント20上に取り付けられた5つのLED構造10を示している。サブマウント20は、該サブマウント20上に取り付けられたすべてのLED構造10の電気的接続を提供する。サブマウント20及びすべてのLED構造10は、一体化されたリフレクタ構成70が形成されるように、硬化した成形材料60によって包含され、この場合、リフレクタ面72が、サブマウント20上に設けられたすべてのLED構造10(例えば3×5のLED構造10のアレイ)のためのリフレクタを構成する。一体化されたリフレクタ構成70は更に、LED構造10の間の一体化されたリフレクタ構成70の表面が、上述した光変換構造1の上面である発光領域11と同一のレベルであるように、各LED構造10を包含する後方反射面74を含む。LED構造10は、互いに対して40μmの距離で配置される。
【0041】
あるいは、一体化されたリフレクタ構成70は、サブマウント20の上部で処理されてもよい。LED構造10が取り付けられる多数のサブマウント20が相互に結合されてもよく、それぞれの一体化されたリフレクタ構成70を構築するキャビティのアレイを含むモールドチェイス50が、結合されたサブマウント20の上に配置されてもよい。この場合、LED構造10のアレイを各々含むLEDモジュール100は、
図3~
図6に関して説明した方法と本質的に同じ方法で処理され、テープは、結合されたサブマウント20によって置き換えられる。サブマウントは最終的に後続の処理工程で分離される。
【0042】
本発明を、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明してきたが、そのような図示及び説明は、例示又は例示的とみなされるべきであり、限定的ではない。
【0043】
本開示を読むことにより、当業者には他の修正が明らかであろう。そのような修正は、当技術分野で既に知られており、本明細書で既に説明した特徴に代えて又はそれに加えて使用され得る、他の特徴を含んでよい。
【0044】
開示された実施形態に対する変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、当業者によって理解され、実行され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語は、他の要素又は工程を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数の要素又は工程を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に利用することができないことを示すものではない。
【0045】
特許請求の範囲におけるすべての参照符号は、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0046】
1 光変換構造
3 n層
4 活性層
5 nコンタクト
7 p層
9 pコンタクト
10 発光ダイオード(LED)構造
11 発光領域
20 サブマウント
21 サブマウントチップ
23 電気接点パッド
30 発光ダイオード(LED)アレイ
40 テープ
50 モールドチェイス
52 保護面
60 成形材料
70 一体化されたリフレクタ構成
72 リフレクタ面
74 後方反射面
100 発光ダイオード(LED)モジュール
【外国語明細書】