(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091663
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ヘッドピン
(51)【国際特許分類】
A61B 90/14 20160101AFI20230623BHJP
【FI】
A61B90/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206525
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】522304970
【氏名又は名称】株式会社スパインテック
(74)【代理人】
【識別番号】100120053
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 哲明
(71)【出願人】
【識別番号】596039936
【氏名又は名称】株式会社タカイコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120053
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 哲明
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】小関 宏和
(72)【発明者】
【氏名】森 良介
(72)【発明者】
【氏名】森田 康平
(72)【発明者】
【氏名】村山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】土田 健司
(72)【発明者】
【氏名】古田 泰浩
(57)【要約】
【課題】 ディスポーザビリティに優れ、アーチファクトを軽減できるヘッドピンを提供することができる。
【解決手段】 本発明のヘッドピンは、動物の頭部を固定可能なヘッドピンであって、30重量%乃至70重量%の第1の強化繊維と30重量%乃至70重量%の第1の樹脂を含む第1の強化プラスチックを有する前記ヘッドピンの体部と、前記体部の先端に固定され、前記頭部と接触可能であり、金属、セラミックス、サーメット、及び第2の強化プラスチックの少なくとも1つを含む前記ヘッドピンの先端部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の頭部を固定可能なヘッドピンであって、
30重量%乃至70重量%の第1の強化繊維と30重量%乃至70重量%の第1の樹脂を含む第1の強化プラスチックを有する前記ヘッドピンの体部と、
前記体部の先端に固定され、前記頭部と接触可能であり、金属、セラミックス、サーメット、及び第2の強化プラスチックの少なくとも1つを含む前記ヘッドピンの先端部と、
を備えることを特徴とするヘッドピン。
【請求項2】
前記第2の強化プラスチックは、30重量%乃至70重量%の第2の強化繊維と30重量%乃至70重量%の第2の樹脂を含む強化プラスチックであることを特徴とする請求項1に記載のヘッドピン。
【請求項3】
前記強化プラスチックは、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、カーボン繊維強化プラスチック、ボロン繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、ケプラ繊維強化プラスチック、ダイニーマ繊維強化プラスチック、及びザイロン繊維強化プラスチックの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘッドピン。
【請求項4】
前記樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヘッドピン。
【請求項5】
前記強化繊維は、長さが0.5mm乃至5mmの炭素繊維であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のヘッドピン。
【請求項6】
前記先端部は、ステンレス、チタン、鉄、ニッケル、コバルト、及び超硬合金の少なくとも1つを前記金属として含み、略錐体、略錐台、及び略回転体の少なくとも1つの形状を含み、前記形状の底面の長さの最大値が1.5mm乃至3mmであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のヘッドピン。
【請求項7】
前記先端部は、ジルコニア、アルミナ、炭化ケイ素、チッ化ケイ素、サイアロン、コーディエライト、フェライト、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フォルステライト、ジルコン、ムライト、ステアタイト、及び窒化アルミニウムの少なくとも1つを前記セラミックスとして含み、略錐体及び略錐台の少なくとも1つの形状を含み、前記略錐体及び前記略錐台の少なくとも1つの底面の長さの最大値が1.5mm乃至3mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のヘッドピン。
【請求項8】
前記先端部は、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、カーボン繊維強化プラスチック、ボロン繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、ケプラ繊維強化プラスチック、ダイニーマ繊維強化プラスチック、及びザイロン繊維強化プラスチックの少なくとも1つを前記第2の強化プラスチックとして含み、略錐体、略錐台、及び略回転体の少なくとも1つの形状を含み、前記略錐体、前記略錐台、及び前記略回転体の少なくとも1つの底面の長さの最大値が1.5mm乃至3mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のヘッドピン。
【請求項9】
前記先端部は、前記体部側に延伸する突起部を含み、
前記突起部は、前記体部に埋没することにより、前記先端部を前記体部に固定可能とすることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のヘッドピン。
【請求項10】
前記突起部は、円柱形状、テーパー形状、ネジ形状、フランジ形状、及び矢じり形状の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のヘッドピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の頭部を固定可能なヘッドピンに関する。
【背景技術】
【0002】
脳神経外科等の分野の手術において動物(特に、人間)の頭部を固定するために、頭部に突刺する先端部を含むヘッドピンが開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
従来は、頭部を固定する強度を保つために、略全体が金属製(ステンレス等)のヘッドピンの先端部がサファイアであるヘッドピンが提案されている。また、生体へ侵襲するヘッドピンの先端部の衛生を保つために、先端部に金属製等のキャップを着脱するヘッドピンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、略全体が金属製(ステンレス等)のヘッドピンは、頭部の医用画像を撮像する際にアーチファクトの原因となり、医用画像を確認しながら手術等を行うときの妨げとなる。また、サファイアのヘッドピンは、アーチファクトを軽減できないだけでなく、高価であるため、ディスポーザブル(使い捨て可能)なヘッドピンとしては不向きである。また、先端部に着脱する金属製等のキャップは、ディスポーザビリティに優れるが、侵襲部を広く覆う必要があるため、金属製等のキャップによるアーチファクトを軽減できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヘッドピンは、動物の頭部を固定可能なヘッドピンであって、30重量%乃至70重量%の第1の強化繊維と30重量%乃至70重量%の第1の樹脂を含む第1の強化プラスチックを有する前記ヘッドピンの体部と、前記体部の先端に固定され、前記頭部と接触可能であり、金属、セラミックス、サーメット、及び第2の強化プラスチックの少なくとも1つを含む前記ヘッドピンの先端部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ディスポーザビリティに優れ、アーチファクトを軽減できるヘッドピンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態のヘッドピンの側面図と正面図である。
【
図3】体部の強化繊維と樹脂の組成比率(重量%)を変化させた場合の圧縮強度と内部空洞の有無の実験結果を示す表である。
【
図5】先端部の形状及びサイズの例を示す図である。
【
図6】ヘッドピンを模擬骨に突刺した実験結果を示す図である。
【
図7】従来のヘッドピンのアーチファクトを示す図である。
【
図8】本実施形態のヘッドピンのアーチファクトを示す図である。
【
図9】ヘッドピンのアーチファクトを評価した表である。
【
図10】その他の本実施形態のヘッドピンの側面図と正面図と斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1に、発明者は、動物の頭部を固定可能なヘッドピンに適切な圧縮強度と低アーチファクトを両立させる強化繊維と樹脂の組成比率を見出した。第2に、発明者は、確実に頭部を固定するため、特に強度を必要とするヘッドピンの先端部を高強度の素材とし、当該先端部による頭部固定の確実性と低アーチファクトを両立させる先端部の素材、形状、及びサイズの少なくとも1つを見出した。
【0010】
本実施形態によれば、低アーチファクトを実現するヘッドピンを提供することができる。また、本実施形態に係るヘッドピンは強化繊維と樹脂を主要な組成物とするため、金型を用いた射出成型により、容易に大量生産が可能であり、廉価でディスポーザビリティに優れたヘッドピンを提供することができる。
【0011】
本実施形態のヘッドピンについて、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のヘッドピンの側面図と正面図である。
図2は、本実施形態のヘッドピンの斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、ヘッドピン100は、体部10(軸部1とテーパー部2)と先端部3とを備える。先端部3は、体部10の先端に固定される。
【0013】
図3は、体部10の強化繊維(1mmの炭素繊維)と樹脂(ビニルエステル)の組成比率(重量%)を変化させた場合の圧縮強度と内部空洞の有無の実験結果を示す表である。体部10は、主に強化繊維及び樹脂により組成されることから、低アーチファクトを実現することは可能であるが、適切な圧縮強度が必要である。
【0014】
実験結果から、強化繊維の組成比率が増加すると圧縮強度が増加することが分かった。これにより、圧縮強度は強化繊維の組成比率に依存することが分かった。また、
図4(a)に示すように、樹脂の組成比率が増加すると内部空洞が発生することが分かった。これにより、内部空洞は樹脂の組成比率に依存することが分かった。実際、
図4(b)に示すように、樹脂のみで形成されたヘッドピンに内部空洞が発生していることを確認した。
【0015】
実験番号1,2では、それぞれ2700N、3000N以上の十分な圧縮強度があるが、樹脂の組成比率が高いことに起因して内部空洞が発生するため、ヘッドピンとしての性能を保証できない。つまり、内部空洞の位置や形状によっては、ヘッドピンとしての圧縮強度を得られない危険性がある。したがって、実験結果から、樹脂の組成比率が70重量%以下であることが適切である。
【0016】
実験番号3,4では、それぞれ2700N、3000N以上の十分な圧縮強度があり、内部空洞も発生しないため、ヘッドピンとしての圧縮強度を得るためには、体部10は、30重量%以上の強化繊維(第1の強化繊維)の組成比率が必要である。
【0017】
一方、強化繊維(第1の強化繊維)の組成比率を30重量%以上とし、樹脂の組成比率を70重量%以下とすると、体部10の内部空洞を防止しつつ圧縮強度を増加することができるが、樹脂の組成比率が30重量%未満となったとき、体部10を射出成型する際に、粘性が不十分となり射出成型がうまくできなかった。
【0018】
したがって、体部10の十分な圧縮強度を得ることができ、且つ射出成型に適した体部10の組成比率は、第1の強化繊維を30重量%乃至70重量%とし、樹脂を30重量%乃至70重量%とすることである。強化繊維は樹脂より高価であるため、より廉価でディスポーザビリティに優れたヘッドピンを提供するために、好ましくは、体部10の組成比率は、第1の強化繊維を30重量%乃至50重量%とし、樹脂を50重量%乃至70重量%とすることである。
【0019】
このように、体部10は、30重量%乃至70重量%の第1の強化繊維と30重量%乃至70重量%の第1の樹脂を含む第1の強化プラスチックを有する。第1の強化プラスチックは、炭素繊維強化プラスチックが好ましいが、ガラス繊維強化プラスチック、カーボン繊維強化プラスチック、ボロン繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、ケプラ繊維強化プラスチック、ダイニーマ繊維強化プラスチック、及びザイロン繊維強化プラスチックの少なくとも1つであっても、体部10の十分な圧縮強度を得られる。また、内部空洞及び射出成型時の粘性は樹脂の組成比率に依存するため、これらの強化繊維であっても、体部10の組成比率は炭素繊維と同様である。なお、一般的に、組成物である強化繊維の長さが長いほど強度が増加する。
図3の実験では、1mmの炭素繊維を用いたが、0.5mm乃至5mmの炭素繊維を用いても十分な強度を得られることが分かっている。
【0020】
先端部3は、動物の頭部と接触可能であり、当該頭部を確実に固定するヘッドピンを提供するために、好ましくは、動物の頭部に突刺可能である。先端部3には特に力がかかるため、体部10の圧縮強度より高い圧縮強度が要求される。この場合、体部10の圧縮強度より高い圧縮強度は、先端部3の素材、形状、及びサイズの少なくとも1つに依存する。
【0021】
また、先端部3によるアーチファクトも、先端部3の素材、形状、及びサイズの少なくとも1つに依存する。例えば、先端部3の素材が強化繊維である場合は、形状及びサイズにかかわらず、低アーチファクトを実現することができる。先端部3の素材が金属である場合は、アーチファクトを発生させやすいが、適切な形状及びサイズを選択することで、低アーチファクトを実現することができる。
【0022】
まず、先端部3の素材は、金属、セラミックス、サーメット、及び第2の強化プラスチックの少なくとも1つを含む素材である。
【0023】
頭部を確実に固定するためには、先端部3の素材は、金属、セラミックス、及びサーメットの少なくとも1つが好ましい。また、アーチファクトを低減するためには、先端部3の素材は、強化プラスチックが好ましい。
【0024】
次に、先端部3の形状及びサイズは、略錐体、略錐台、及び略回転体の少なくとも1つの形状を含む形状であり、アーチファクトを低減するために、当該形状の底面の長さの最大値が1.5mm乃至3mmであるサイズであることが好ましい。
【0025】
なお、先端部3のサイズは、アーチファクトを発生させやすい金属を基準に設定しており、それ以外の素材では、アーチファクトはより低減される。
【0026】
図5は、先端部の形状及びサイズの例を示す図である。素材は金属(チタン)である。
図5では、先端部3-1,3-2,3-3は、略錐体(略回転体)30-1,30-2,30-3を含み、略錐体(略回転体)30-1,30-2,30-3の底面の長さがそれぞれ1mm、2mm、及び3mmである。
【0027】
また、先端部3-1,3-2,3-3は、体部10側に延伸する突起部31-1,31-2,31-3を含み、突起部31-1,31-2,31-3は、体部10に埋没することにより、先端部30-1,30-2,30-3を体部10に固定可能とする。
【0028】
図5の突起部31-1,31-2,31-3は円柱形状であるが、体部10に固定する固定強度を高めるため、突起部31は、テーパー形状、ネジ形状、フランジ形状、及び矢じり形状の少なくとも1つを含んでもよい。体部10に固定する固定強度をより高めるため、好ましくは、突起部31はフランジ形状である。また、突起部31を体部10から着脱可能にして、より廉価でディスポーザビリティに優れたヘッドピンを提供するために、好ましくは、突起部31はネジ形状である。この場合、体部10の埋没孔(図示せず)は、ネジ形状の突起部31と螺合する形状を有する。
【0029】
図6は、
図5の先端部30-1,30-2,30-3(チタン製)をそれぞれ備えるヘッドピンを模擬骨に突刺した実験結果を示す図である。先端部30-1,30-2,30-3のそれぞれの突起部(図示せず)は、体部10側に延伸して、体部10に埋没している。
図6では、ヘッドピンに27.2kg(60ポンド)と54.4kg(120ポンド)の力を加えて、先端部3を模擬骨に突刺した結果を示している。
【0030】
図6(a)は、先端部30-1を備えるヘッドピンを模擬骨に突刺した実験結果を示す図である。両方の加重において、先端部30-1は模擬骨に突刺し、十分な圧縮強度と固定強度を示した。
【0031】
図6(b)は、先端部30-2を備えるヘッドピンを模擬骨に突刺した実験結果を示す図である。両方の加重において、先端部30-2は模擬骨に突刺し、十分な圧縮強度と固定強度を示した。
【0032】
図6(c)は、先端部30-3を備えるヘッドピンを模擬骨に突刺した実験結果を示す図である。27.2kg(60ポンド)の加重に到達する前に、先端部30-2の先端が曲がり、十分な圧縮強度と固定強度を示すことができなかった。
【0033】
なお、
図6には示さないが、先端部3が略錐体(略回転体)を含み、当該略錐体(略回転体)の底面の長さが1.5mmである先端部3について、同様の実験を行った結果、両方の加重において、先端部30-2は模擬骨に突刺し、十分な圧縮強度と固定強度を示した。
【0034】
したがって、実験結果から、先端部3の十分な圧縮強度と固定強度を得るためには、当該略錐体(略回転体)の底面の長さが1.5mm以上であることが適切である。
【0035】
次に、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さが1mm、1.5mm、2mm、及び3mmであるヘッドピンによるアーチファクトの評価実験の結果を示す。
【0036】
図7は、従来のヘッドピンのアーチファクトを示す図である。
図8は、本実施形態のヘッドピンのアーチファクトを示す図である。動物の頭部を模したファントムにそれぞれのヘッドピンを3カ所で固定して、CT画像(コーンビームCT画像)を撮像した。
【0037】
図7(a)は、ステンレスのヘッドピンのアーチファクトを示す図である。
図7(b)は、サファイアのヘッドピンのアーチファクトを示す図である。
図7(c)は、先端部にステンレスのキャップを装着したヘッドピンのアーチファクトを示す図である。
【0038】
図8(a)は、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さが1mmのヘッドピンによるアーチファクトを示す図である。
図8(b)は、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さが1.5mmのヘッドピンによるアーチファクトを示す図である。
図8(c)は、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さが2mmのヘッドピンによるアーチファクトを示す図である。
図8(d)は、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さが3mmのヘッドピンによるアーチファクトを示す図である。
【0039】
図9は、それぞれのヘッドピンのアーチファクトを評価した表を示す。
図7のCT画像では、ヘッドピンの先端部から放射線状にアーチファクトが発生し、評価はC,Bと低かった。
図8のCT画像では、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さが長くなるほどヘッドピンの先端部から放射線状にアーチファクトが発生するが、評価はA
+,A,A
-と高かった。評価はA
-まで許容される。
【0040】
したがって、先端部3の十分な圧縮強度と固定強度を考慮すると、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さは1.5mm以上であり、低アーチファクトを考慮すると、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さは3mm以下であることが適切である。先端部3の十分な圧縮強度と固定強度及び低アーチファクトの両立を考慮すると、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さは1.5mm以上2.5mm以下であることが好ましい。さらには、先端部3に含まれる略錐体(略回転体)の底面の長さは1.5mm以上2mm以下であることが好ましい。
【0041】
チタンの他、先端部3は、ステンレス、鉄、ニッケル、コバルト、及び超硬合金の少なくとも1つを金属として含んでもよい。
【0042】
以上、本発明にかかる実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において変更・変形することが可能である。
【0043】
第1の強化プラスチックと同様の理由で、第2の強化プラスチックは、30重量%乃至70重量%の第2の強化繊維と30重量%乃至70重量%の第2の樹脂を含む強化プラスチックであればよい。第2の強化プラスチックは、第1の強化繊維より高圧縮強度の強化プラスチックであることが好ましい。したがって、第2の強化プラスチックは、50重量%乃至70重量%の第2の強化繊維と30重量%乃至50重量%の第2の樹脂を含む強化プラスチックであることが好ましい。また、第1の強化プラスチックと同様、第2の強化プラスチックは、炭素繊維強化プラスチックであることが好ましいが、その他の強化プラスチックであってもよい。
【0044】
また、樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含む。例えば、樹脂は、エポキシ系、フェノール系、及び不飽和ポリエステル系等の樹脂から選択されればよい。
【0045】
また、先端部3は、
図10に示すような形状であってもよい。この形状も、略錐体に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ディスポーザビリティに優れ、アーチファクトを軽減できるヘッドピンとして有用である。
【符号の説明】
【0047】
1…軸部
2…テーパー部
3,30…先端部
10…体部
31…突起部
100…ヘッドピン