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  • 特開-止液機構 図1
  • 特開-止液機構 図2
  • 特開-止液機構 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091682
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】止液機構
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/22 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
F16K31/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206556
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】504466937
【氏名又は名称】三協エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】加来 裕生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 貞利
(72)【発明者】
【氏名】白井 孝明
【テーマコード(参考)】
3H068
【Fターム(参考)】
3H068AA01
3H068BB04
3H068BB52
3H068DD05
3H068EE01
3H068FF01
3H068FF02
3H068FF06
3H068FF07
3H068FF08
3H068GG02
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で高速な給液を可能にする。
【解決手段】止水機構1は、水面W1の上昇に伴うフロート16の上昇に連動して、供給側と排出側との間の弁20を閉じる。止水機構1は、第2弁部材14と、圧力室81と、を備える。第2弁部材14は、弁20を構成する。第2弁部材14は、フロート16の上昇に伴って弁20が閉じられるように動作し、フロート16の下降に伴って弁20が開かれるように動作する。圧力室81は、水が流れる方向において第2弁部材14よりも上流側に形成され、弁20の開度が減少した場合に供給側の水が導かれる。圧力室81に導かれた水の圧力により、第2弁部材14を閉弁方向に移動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面の上昇に伴うフロートの上昇に連動して供給側と排出側との間の弁を閉じる止液機構であって、
前記弁を構成し、前記フロートの上昇に伴って前記弁が閉じられるように動作し、前記フロートの下降に伴って前記弁が開かれるように動作する弁部材と、
液体が流れる方向において前記弁部材よりも上流側に形成され、前記弁の開度が減少した場合に供給側の液体が導かれる圧力室と、
を備え、
前記圧力室に導かれた液体の圧力により、前記弁部材を閉弁方向に移動させることを特徴とする止液機構。
【請求項2】
請求項1に記載の止液機構であって、
前記弁は、円錐面によって液体の流路の開閉を切り替えることを特徴とする止液機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の止液機構であって、
ベース部材を備え、
前記弁は、2つの弁部材同士の接触状態及び離間状態を切り替えることで、開閉が切り替えられ、
一方の弁部材は前記ベース部材に固定され、他方の弁部材は前記フロートと連動して移動することを特徴とする止液機構。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の止液機構であって、
前記圧力室に導かれた液体の圧力により前記弁部材を閉弁方向に移動させた状態において、前記圧力室の圧力が維持される限り、液面が低下しても前記弁が閉弁状態で維持されることを特徴とする止液機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面の上昇に伴うフロートの上昇に連動して弁を閉じる止液機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の止液機構を開示する。特許文献1に開示されるボールタップ装置は、フロートを水の浮力で押し上げ、リンク機構によって弁を閉じる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-147356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成は、水面が所定の高さになることにより給水を止めることができるが、部品のバラツキ等により、給水が停止するタイミングにバラツキが発生していた。ボールタップは、フロートが水面とともに上昇することで弁を閉じるが、水面の上昇は通常緩やかであるため、弁の閉鎖も緩やかに行われる。従って、完全に給水が止まるまで時間が掛かっていた。また、大きく開いた状態と完全に閉じた状態との間の過渡的な状態が長時間継続するため、弁の状態が曖昧で、給水が停止したか否かを外部から判断することが必ずしも容易でなかった。
【0005】
更に、特許文献1の構成は、複雑なリンク機構によって弁の開閉の切替えを実現しており、製造コストが増大する原因となっていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、簡素な構成で高速な給液を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の止液機構が提供される。即ち、この止液機構は、液面の上昇に伴うフロートの上昇に連動して、供給側と排出側との間の弁を閉じる。止液機構は、弁部材と、圧力室と、を備える。前記弁部材は、前記弁を構成する部材である。前記弁部材は、前記フロートの上昇に伴って前記弁が閉じられるように動作し、前記フロートの下降に伴って前記弁が開かれるように動作する。前記圧力室は、液体が流れる方向において前記弁部材よりも上流側に形成される。前記圧力室には、前記弁の開度が減少した場合に供給側の液体が導かれる。前記圧力室に導かれた液体の圧力により、前記弁部材を閉弁方向に移動させる。
【0009】
これにより、給水完了が近づいたタイミングで流量が低下するのを簡単な構成で防止して、高速な給水を実現することができる。また、弁が閉じるタイミングを安定させることができる。更に、開弁から閉弁への切替えが極めて短時間で行われるため、給水完了を外部から容易に理解することができる。
【0010】
前記の止液機構においては、前記弁は、円錐面によって液体の流路の開閉を切り替えることが好ましい。
【0011】
これにより、弁が閉じることに伴う大きな衝撃(例えば、ウォーターハンマー)が発生することを防止できる。
【0012】
前記の止液機構においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、止液機構は、ベース部材を備える。前記弁は、2つの弁部材同士の接触状態及び離間状態を切り替えることで、開閉が切り替えられる。一方の弁部材は前記ベース部材に固定され、他方の弁部材は前記フロートと連動して移動する。
【0013】
これにより、弁の開閉のための簡素な構成を実現できる。
【0014】
前記の止液機構においては、前記圧力室に導かれた液体の圧力により前記弁部材を閉弁方向に移動させた状態において、前記圧力室の圧力が維持される限り、液面が低下しても前記弁が閉弁状態で維持されることが好ましい。
【0015】
これにより、意図しない弁の開放を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る止水機構の全体的な構成を示す断面図。
図2図1の状態から水面が上昇し、フロートが第2弁部材を閉弁方向に移動させた状態を示す断面図。
図3図2の状態から水が圧力室に導かれ、第2弁部材が圧力室の水圧によって閉弁方向に移動する状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る止水機構1の全体的な構成を示す断面図である。
【0018】
本実施形態の止水機構(止液機構)1は、加湿器に設けられている。加湿器は、水を貯留するタンク5を備える。タンク5は、内部の水を加湿器に供給する。止水機構1は、タンク5の内部空間の上部に設けられている。
【0019】
止水機構1は、タンク5に外部から水を供給する経路の途中に設けられている。
【0020】
止水機構1は、ベース筒(ベース部材)11と、ホース接続筒12と、第1弁部材13と、第2弁部材14と、カバー筒15と、フロート16と、を備える。
【0021】
第1弁部材13及び第2弁部材14は、水の流れの許容及び阻止を切り替えることが可能な弁20を構成する。この弁20は、タンク5において水が満量に近くなると、自動的に閉じる。
【0022】
ベース筒11は、円筒状の部材として形成されている。止水機構1において、ベース筒11は、軸を上下方向に向けて配置される。ベース筒11は、タンク5の上部に固定されている。ベース筒11の上部には、水を受けるための円形の受け皿31が一体的に形成されている。受け皿31は、ベース筒11の上端部から径方向外側へ広がるように形成されている。
【0023】
ベース筒11の中心には、貫通状の軸孔が上下方向に形成されている。この軸孔の上部には、後述のホース接続筒12が固定される。更に、軸孔の下部には、後述の第1弁部材13が有する円筒状部分41が固定されている。
【0024】
ホース接続筒12は、概ね円筒状の部材として形成されている。ホース接続筒12は、軸を上下方向に向けて配置される。ホース接続筒12は、ベース筒11の上部に固定されている。ホース接続筒12の上部は、受け皿31から上側に突出するように配置されている。ホース接続筒12の上端部には、例えば水道ホース7を着脱可能に接続することができる。
【0025】
第1弁部材13は、円筒状部分41と、円錐状部分42と、を一体的に結合した形状となっている。円筒状部分41及び円錐状部分42は、何れも、軸を上下方向に向けて配置される。円筒状部分41は上側に位置し、円錐状部分42は下側に位置している。
【0026】
円筒状部分41の上部は、ベース筒11の軸孔に差し込まれた状態で固定される。円筒状部分41の下部は、ベース筒11から下方へ突出するように配置される。円筒状部分41の軸孔は、ホース接続筒12の軸孔と接続している。円筒状部分41の軸孔は、水が流れる第1流路51となっている。
【0027】
円錐状部分42は、円筒状部分41の下端部に接続するように配置される。円錐状部分42は、下方へ近づくにつれて径が小さくなるような台形円錐状に形成されている。円錐状部分42における径の最大値(即ち、上端部分の径)は、円筒状部分41の外径よりも大きい。
【0028】
円錐状部分42の内部には、水が流れる第2流路52が形成される。第2流路52は、前述の第1流路51と接続される。第2流路52は、第1流路51との接続箇所から複数に分岐するように形成される。分岐された第2流路52のそれぞれの端部は、円錐状部分42の外周面に開口を形成する。
【0029】
円錐状部分42の下部の外周面には、シールリング68が配置されている。シールリング68は、円錐状部分42に形成されている第2流路52の開口よりも下側に配置される。
【0030】
第2弁部材14は、第1弁部材13の外周側に配置される。
【0031】
第2弁部材14は、円錐筒状部分61と、ガイドフランジ部分62と、を備える。円錐筒状部分61とガイドフランジ部分62は、互いに動かないように固定される。円錐筒状部分61及びガイドフランジ部分62は、何れも、軸を上下方向に向けて配置される。ガイドフランジ部分62は上側に位置し、円錐筒状部分61は下側に位置している。
【0032】
円錐筒状部分61は、中空状の部材である。円錐筒状部分61の内部には、上述の円錐状部分42の外周面と対応した形状の円錐状の空間が形成されている。
【0033】
第1弁部材13の円錐状部分42に取り付けられているシールリング68は、円錐筒状部分61の内周面に接触可能である。円錐筒状部分61が円錐状部分42に対して閉じた状態では、シールリング68が円錐状部分42と円錐筒状部分61の両方に接触する。これにより、円錐状部分42と円錐筒状部分61の間の流路を封止することができる。
【0034】
円錐筒状部分61の内壁面である円錐面が、円錐状部分42の外壁面である円錐面(厳密には、シールリング68)と接触したり離れたりすることで、弁20が開閉される。部材の円錐面の接触及び離間によって弁20が開閉する構成であるので、例えば弁20が閉じた場合に強い衝撃が生じにくい。
【0035】
ガイドフランジ部分62は、リング状の部材である。ガイドフランジ部分62の下部には、フランジ63が形成されている。フランジ63は、ガイドフランジ部分62の下端部から径方向外側へ広がるように形成されている。フランジ63の下面に、上述の円錐筒状部分61の上端部が固定される。フランジ63と円錐筒状部分61との固定箇所には、水密性を確保するためのシールリング66が配置されている。
【0036】
ガイドフランジ部分62は、第1弁部材13の円筒状部分41の外周側に配置される。ガイドフランジ部分62は、円筒状部分41に沿って上下方向にスライド移動することができる。円筒状部分41の外周面には、ガイドフランジ部分62との間で水密性を確保するためのシールリング67が配置されている。
【0037】
ガイドフランジ部分62の下方には円錐状部分42が位置し、ガイドフランジ部分62の上方にはベース筒11が位置する。ガイドフランジ部分62の上下方向の移動ストローク(言い換えれば、第2弁部材14の移動ストローク)は、円錐状部分42及びベース筒11によって規定される。
【0038】
第1弁部材13には、流通路85が形成されている。流通路85は、第1弁部材13の内部に形成されている流路と、第1弁部材13の外側と、を繋ぐように貫通状に形成される。流通路85の流路断面積は、第1流路51の流路断面積と比較して小さく、第2流路52の流路断面積と比較しても小さい。流通路85は、第1弁部材13の内部を流れる水を外部に導いて、ガイドフランジ部分62と円錐状部分42との間に流すことができる。
【0039】
カバー筒15は、概ね円筒状の部材として構成されている。カバー筒15は、軸を上下方向に向けて配置される。カバー筒15のうち上側の部分は、ベース筒11の下部の外側を覆うように配置される。カバー筒15の上部は、ベース筒11の円筒部分に対して上下方向にスライド移動可能である。カバー筒15の内部空間には、第1弁部材13及び第2弁部材14が配置される。
【0040】
カバー筒15の下部には、カバーフランジ71が形成されている。カバーフランジ71は、カバー筒15の下端部から径方向外側へ広がるように形成されている。カバーフランジ71の外周部分の下面には、フロート16の上端部が固定される。カバー筒15は、フロート16の上下方向の移動を案内することができる。
【0041】
フロート16は、角柱状に形成されている。フロート16は、軸を上下方向に向けて配置される。フロート16は、水(タンク5に供給される液体)よりも比重が軽い部品である。このようなフロート16は、例えば合成樹脂のブロー成形によって内部に空気を密閉したり、発泡樹脂を用いたりすることで、実現することができる。フロート16に貫通状に形成されている上下方向の軸孔は、水の流路を構成している。第1弁部材13と第2弁部材14の間から下方に落下した水は、この流路を介して下方へ流れ、下側の開口からタンク5の底面へ落下する。フロート16は、角柱状に代えて、例えば円柱状に形成することもできる。
【0042】
フロート16の上面に軸孔が形成する開口の周囲は、第2弁部材14が備える円錐筒状部分61の下端部と、上下方向で対面している。従って、フロート16が上昇するのに伴って、第2弁部材14を押し上げることができる。
【0043】
カバー筒15が備えるカバーフランジ71は、第2弁部材14が備えるフランジ63よりも上側にあり、かつ、フランジ63と上下方向で対面している。従って、フロート16が下降するのに伴って、カバー筒15を介して第2弁部材14を引き下げることができる。
【0044】
次に、止水機構1の動作について説明する。
【0045】
図1の状態は、タンク5が空である状態を示している。図1の状態では、自重が作用するフロート16はカバー筒15を下方へ引っ張る。この結果、フロート16、カバー筒15、及び第2弁部材14は、何れも、上下方向の可動ストロークの中で下端位置にある。
【0046】
この状態で、例えば加湿器の使用者は、タンク5に水を貯めるために、ホース接続筒12に水道ホース7を繋ぎ、蛇口を開いて水道水を供給する。図1の状態で、ホース接続筒12を通過した水は第1流路51、第2流路52の順に流れる。図1の状態では第2弁部材14が下降位置にあるので、第1弁部材13から第2弁部材14が離れている。即ち、弁20は開いた状態である。第1弁部材13と第2弁部材14の間を通過した水は、フロート16の軸孔の流路を介して下方へ流れ、タンク5に溜められていく。
【0047】
タンク5内での水量の増加に伴って、タンク5内の水面が上昇する。水量がタンク5の満量に近づいた適宜のタイミングで、フロート16に作用する浮力が重力を上回るようになり、フロート16は上昇を開始する。水面とともに少しずつ上昇するフロート16は、第2弁部材14の円錐筒状部分61に接触し、円錐筒状部分61を押し上げる。
【0048】
第1弁部材13の円錐状部分42の外周に形成されている流路が、第2弁部材14の円錐筒状部分61によって徐々に閉鎖されていく。この結果、第1流路51及び第2流路52における水圧が上昇する。図2には、水面W1とともにフロート16が上昇した結果、押し上げられた第2弁部材14によって弁20が殆ど閉鎖された状態が示されている。
【0049】
弁20が閉じていくのに連動して、第1流路51及び第2流路52における水圧が上昇する。水圧がある程度上昇すると、第1弁部材13の内部の水は、流通路85を通過して、円筒状部分41の下端部周囲に形成されているリング状の圧力室81に導入される。この結果、圧力室81の水圧によってガイドフランジ部分62が持ち上げられるので、上昇する第2弁部材14の円錐筒状部分61が第1弁部材13の円錐状部分42に対して強く密着し、強力な閉弁状態が得られる。この状態が図3に示されている。
【0050】
図2の状態で、第1弁部材13の内部の水圧が所定の大きさを上回り、圧力室81への水の導入が開始されたとする。それから図3の状態への移行は極めて短時間で行われる。従って、強力な閉弁状態(言い換えれば、給水完了状態)に移行したことを、水流の急速な遮断に伴う音、第2弁部材14の動作音等に基づいて外部から判別することは容易である。
【0051】
図3の状態で、ユーザは水道の蛇口を締め、ホース接続筒12から水道ホース7を外す。その後、タンク5内の水を用いた加湿器の運転が行われる。
【0052】
いったん図3の閉弁状態になると、以下の2つの条件の両方が満たされない限り、弁20が閉じた状態が維持される。(1)タンク5の内部の水が消費されて水面W1が下降し、フロート16に生じる浮力よりも重力の方がある程度上回る状態となる。(2)圧力室81における水圧が失われる。
【0053】
即ち、いったん圧力室81の水圧によって弁20が強力に閉じた後は、水道ホース7を接続した状態であれば、何らかの理由で水面W1が下降しても弁20は開かれない。これにより、弁20の意図しない開放を防止することができる。
【0054】
本実施形態の止水機構1によれば、第1弁部材13と第2弁部材14の間は通常は図1のように大きく開いているため、大きな流量で給水することができる。一方、タンク5が満水状態付近になると、第1弁部材13と第2弁部材14の間は、図3に示すように、水圧によって急速に完全に閉止される。従って、タンク5を空の状態から満水状態とするまでの時間を効果的に短縮することができる。また、本実施形態の止水機構1は、開弁状態から閉弁状態への切り換わりが明確であり、状態の変化が外部から把握し易い。従って、タンク5への給水完了の判断がユーザにとって容易であり、作業性が良好である。また、本実施形態では、上記の機能が1つの弁20だけで実現されている。従って、構成のコンパクト化、コスト低減を実現することができる。
【0055】
本実施形態においては、ベース筒11、ホース接続筒12、第1弁部材13、第2弁部材14、カバー筒15及びフロート16の全てが、合成樹脂により製造されている。従って、製造コストが安価である。ただし、上記のうち少なくとも何れかを、合成樹脂とは異なる材料(例えば、金属)により構成しても良い。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の止水機構1は、水面W1の上昇に伴うフロート16の上昇に連動して、供給側と排出側との間の弁20を閉じる。本実施形態の止水機構1は、第2弁部材14と、圧力室81と、を備える。第2弁部材14は、弁20を構成する。第2弁部材14は、フロート16の上昇に伴って弁20が閉じられるように動作し、フロート16の下降に伴って弁20が開かれるように動作する。圧力室81は、水が流れる方向において第2弁部材14よりも上流側に形成される。圧力室81には、弁20の開度が減少した場合に、供給側の水が導かれる。圧力室81に導かれた水の圧力により、第2弁部材14が閉弁方向に移動する。
【0057】
これにより、タンク5が満量間近になったタイミングで流量が低下するのを簡単な構成で防止して、タンク5への高速な給水を実現することができる。また、弁20が閉弁するタイミングを安定させることができる。更に、開弁状態から完全な閉弁状態への切替えが極めて短時間で行われるため、給水完了を外部から容易に理解することができる。
【0058】
本実施形態の止水機構1において、弁20は、第2弁部材14が有する円錐面によって、第2流路52の開閉を切り替える。
【0059】
これにより、弁20が閉じることに伴う大きな衝撃(例えば、ウォーターハンマー)が発生することを防止できる。
【0060】
本実施形態の止水機構1は、ベース筒11を備える。弁20は、第1弁部材13と第2弁部材14の接触状態及び離間状態を切り替えることで、開閉が切り替えられる。第1弁部材13はベース筒11に固定され、第2弁部材14はフロート16と連動して移動する。
【0061】
これにより、弁20の開閉のための簡素な構成を実現できる。
【0062】
本実施形態の止水機構1では、圧力室81に導かれた液体の圧力により第2弁部材14を閉弁方向に移動させた状態において、圧力室81の圧力が維持される限り、水面W1が低下しても弁20が閉弁状態で維持される。
【0063】
これにより、意図しない弁20の開放を防止することができる。
【0064】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。変更は単独で行われても良いし、複数の変更が任意に組み合わせて行われても良い。
【0065】
ホース接続筒12に水道ホース7を接続するのに代えて、液体ポンプの吐出口からのホースを接続することもできる。このとき、ポンプの吐出側の圧力を適宜のセンサによって監視し、圧力の上昇が検知されると直ちにポンプを停止するように制御することが好ましい。これにより、ポンプの過大な負荷を効果的に防止することができる。上記の実施形態においては、開弁状態から閉弁状態への切替えが短時間で行われる。従って、センサによる圧力検出に基づいて給水の完了を判断することは容易である。
【0066】
流通路85を省略することもできる。この場合でも、弁20が殆ど閉じられた図2の状態で第1流路51及び第2流路52における水圧が上昇すると、第2流路52から円錐状部分42の外周側に出た水が、円錐状部分42の上部と円錐筒状部分61の上部の間のリング状の隙間を通過して、圧力室81に導入される。この結果、流通路85を形成した場合と同様に、ガイドフランジ部分62を水圧で上昇させて弁20を強力に閉止することができる。
【0067】
上記実施形態の止水機構1は、加湿器以外の製品に設けることもできる。
【0068】
本発明の止液機構は、水以外の液体(例えば、油)に対して適用することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1 止水機構(止液機構)
11 ベース筒(ベース部材)
14 第2弁部材(弁部材)
16 フロート
20 弁
81 圧力室
W1 水面(液面)
図1
図2
図3