(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091687
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】トレーニング方法
(51)【国際特許分類】
A63B 24/00 20060101AFI20230623BHJP
A61N 1/06 20060101ALN20230623BHJP
【FI】
A63B24/00
A61N1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206561
(22)【出願日】2021-12-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月28日に、Conbertのスタジオ (愛知県名古屋市昭和区山里町69 グランドール山手 1F)において公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】521557207
【氏名又は名称】株式会社松栄通信
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】時松 伸司
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053AA10
4C053BB02
(57)【要約】
【課題】長時間を要せずに、かつ効率的なそう身のためのトレーニング方法を提案する。
【解決手段】この発明で提案するそう身のためのトレーニング方法は、無酸素運動によりトレーニーの体に負荷を与える無酸素運動ステップと、
無酸素運動ステップの後に、有酸素運動により前記トレーニーの体に負荷を与える有酸素運動ステップと、
有酸素運動を行った後に前記トレーニーの体の筋肉に高周波の刺激を与える高周波刺激ステップと、を行うトレーニング方法である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無酸素運動によりトレーニーの体に負荷を与える無酸素運動ステップと、
該無酸素運動ステップの後に、有酸素運動により前記トレーニーの体に負荷を与える有酸素運動ステップと、
前記有酸素運動を行った後に前記トレーニーの体の筋肉に高周波の刺激を与える高周波刺激ステップと、
を行うトレーニング方法。
【請求項2】
前記有酸素運動ステップの後、前記高周波刺激ステップは前記トレーニーの脈拍が定常状態に戻る前に行う、請求項1に記載のトレーニング方法。
【請求項3】
前記高周波の刺激は、前記トレーニーの体にモノポーラ方式で高周波電流を印加する、請求項1又は2に記載のトレーニング方法。
【請求項4】
前記高周波電流は5kHz~1000kHzである、請求項1~3の何れかに記載のトレーニング方法。
【請求項5】
前記高周波電流は400kHz~700kHzである、請求項1~3のいずれかに記載のトレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はそう身に適したトレーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の健康ブームの求めに応じて、そう身のための種々のトレーニング方法が提案されている。
そう身の為、一般的には、無酸素運動を行った後に有酸素運動を行うことが有効とされている。その理由の一つとして、無酸素運動に伴い分泌が活発化される成長ホルモンにより基礎代謝が向上し、体脂肪が分解されやすい状態となる。この状態で有酸素運動を行えば、効率的に脂肪を燃焼させられると考えられるからである。
ただし、有酸素運動による脂肪燃焼効果は有酸素運動開始後20分経過した頃から発揮されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-170455号公報
【特許文献2】特開2018-134651号公報
【特許文献3】特開平9-38746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、例えばエアロバイク(登録商標)などの器具をつかった有酸素運動により十分に脂肪を燃焼させるには、例えば60分程度の継続運動が必要とされる。
無酸素運動の効果(成長ホルモンの分泌)を得るにも20分以上が必要であるので、両者を併せれば80分を超える長時間のトレーニングが必要となる。当然ながら、トレーニングの後には、心拍数を低下安定させるための、クールダウンの時間も必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
トレーニーに長時間のトレーニングや拘束時間を課すことは、現役世代のトレーニーにとってはトレーニング自体の忌避の原因となりかねない。
そこで、本発明者は、長時間を要せずに、かつ効率的なそう身のためのトレーニング方法について検討してきた。
その結果、下記この発明の第1局面のトレーニング方法に想到した。即ち、
無酸素運動によりトレーニーの体に負荷を与える無酸素運動ステップと、
該無酸素運動ステップの後に、有酸素運動により前記トレーニーの体に負荷を与える有酸素運動ステップと、
前記有酸素運動を行った後に前記トレーニーの体の筋肉に高周波の刺激を与える高周波刺激ステップと、
を行うトレーニング方法。
【0006】
このように規定される第1局面のトレーニング方法において、トレーニーから見たとき、有酸素運動後に高周波刺激の施術を受けることとなる。
この高周波刺激の施術がいわゆるクールダウンとなる一方、高周波により筋肉が刺激されるので、その間も筋肉は有酸素運動と同様な活性状態を維持する。
これにより、有酸素運動ステップに要する時間を、有酸素運動の効果が出始める時間(例えば20分)とし、その後、続けて高周波刺激ステップを実行することで、当該高周波刺激ステップにおいて、筋肉おける有酸素運動の効果が維持される。他方、高周波刺激ステップではトレーニーの心肺機能には実質的な負担がかからないので、トレーニーにとってのクールダウンの時間にもなる。
例えば、準備運動を含めた無酸素運動ステップを20分、その後の有酸素運動を20分、そして最後に高周波刺激ステップを20分とすれば、合計60分の拘束時間において、実質的に後半の40分間は有酸素運動を行ったこととなる。高周波刺激ステップにより活性化されたトレーニーの筋肉は、このステップの終了後においても有酸素運動と同様に脂肪を燃焼させる。
以上、この発明のトレーニング方法によれば、短時間で効率よくトレーニーの脂肪を燃焼させられる。
【0007】
この発明の第2局面は次のように規定される。即ち、
第1局面のトレーニング方法において、前記有酸素運動ステップの後、前記高周波刺激ステップは前記トレーニーの脈拍が定常状態に戻る前に行う。
高周波刺激ステップは、筋肉を刺激することにより有酸素運動と同等の脂肪燃焼効果を得ようとするものとするところ、有酸素運動ステップに引き続き、絶え間なく、高周波刺激ステップを実行することが好ましい。両ステップの間に長い時間があくと、20分経過後に効果が現れはじめる有酸素運動をこの時間で終了させるおそれがあるからである。
本発明者の検討によれば、有酸素運動ステップを実行したトレーニーの心拍が定常状態に戻る前までに、高周波刺激の施術を行うことで、脂肪燃焼効率が高まる。
【0008】
この発明の第3局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2局面に記載のトレーニング方法において、前記高周波の刺激は、前記トレーニーの体にモノポーラ方式で高周波電流を印加する。
モノポーラ方式の高周波電流を用いることにより、トレーニーの体の深い位置にある筋肉までを刺激可能となる。
本発明者らの検討によれば、無酸素運動及び有酸素運動に続けて行う施術として5kHz~1000kHzの周波数の高周波電流(モノポーラ方式)を採用したとき、脂肪燃焼効果が維持される(第3局面)。
図1に示す周波数と人体内部インピーダンスの関係から、5kHzを超える周波数から人体内部インピーダンスが低下するので、電流が人体内部まで浸透しやすくなることがわかる。より高周波数側とすることにより、人体深部の筋肉を刺激可能になると考えられるが、装置の価格やメンテナンスの関係から1000kHzを上限とすることが経済的であると考えた。
なお、
図1の関係は、平成26年度 電気・情報関連学会九州支部連合会(05-2P-06)、堀 晃太郎ら、「低周波から中間周波における人体内部インピーダンス測定装置の開発」による。
この論文では、5kHz~100kHzの周波数帯を中間周波とよんでいるが、エステテックの分野ではラジオ波や高周波と呼ぶことがあるので、この明細書では高周波に含まれるものとしている。
本発明者らは、施術の経験から、無酸素運動ステップ及び有酸素運動ステップを行った後の高周波刺激ステップにおいて採用する高周波として400kHz~700kHzの電流を用いることが好ましいと考える(第5局面)。
電子レンジに適用される高周波(数十MHz)を用いることでも、トレーニーの体の筋肉の刺激が可能である。この場合、施術時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は電流の周波数と人体内部インピーダンスとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明のトレーニング方法は次のようにして実行される。
(A) 無酸素運動ステップ
トレーニーは、簡単なストレッチを含む準備体操の後、体の大きな筋肉を使った無酸素運動を約20分間にわたり実行する。
例えば
(A-1) スミスマシンを使い、大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋に負荷をかける運動を15回30秒3回(インターバル時間30秒)行う。
(A-2) 次に、(A-1)から60秒のインターバルをおいて、20kgのオリンピックバー又は、ヘクスバーを使い、脊柱起立筋に負荷をかける運動を15回30秒3回(インターバル時間30秒)行う。
(A-3) 次に、(A-2)から60秒のインターバルをおいて、スミスマシンを使い、胸筋に負荷をかける運動を15回30秒15回(インターバル時間30秒)行う。
(A-4) 次に、(A-3)から60秒のインターバルをおいて、レッグプレスを使い、大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋に負荷をかける運動を15回30秒3回(インターバル時間30秒)行う。
(A-5) 次に、(A-4)から60秒のインターバルをおいて、プルダウンを使い、広背筋に負荷をかける運動を15回30秒3回(インターバル時間30秒)行う。
このステップで好適に実行されるべき無酸素運動として、上記の他にブルガリアンスクワット等を挙げることができる。
無酸素運動ステップの継続時間は20分に限定されるものではなく、トレーニーの特性に合わせて任意に設定される。
【0011】
(B)有酸素運動ステップ
この有酸素運動ステップは、(A)無酸素運動ステップの終了後、2~3分のインターバルをおいて約20分間にわたり実行する。このインターバルには、有酸素運動を行うときに使用する器具のセットアップに使う時間も含まれる。
この有酸素運動としては、バイクやランニングとは異なり、全身の筋肉を使う運動が好ましい。
例えば
(B-1) 10分間のBungeeSuperFly又は、トランポリンを行う。
(B-2) (B-1)の運動に引き続き、ボクシングを3ラウンド(インターバル30秒)行う。
有酸素運動ステップの継続時間は20分以上とすることが好ましい。脂肪燃焼を確実にするためである。
【0012】
(C)高周波刺激ステップ
トレーニーは、有酸素運動を終了した後、汗を拭いて、呼吸を整わせ、高周波刺激の施術台にて、上半身裸の状態でうつ伏せになる。
腹部又は胸部と施術台の間には電極板が介在される。
その後、汎用的なエステティックマシンのモノポーラ電極をトレーニーの背中に満遍なく押し当てながら、高周波電流を印加する(約20分間)。
高周波電流の周波数:520kHz、最大電圧:163Vrms±10%、出力45Wであった。
高周波刺激ステップの継続時間は特に限定されないが、10分以上とすることが好ましい。有酸素運動による脂肪燃焼効果を得つつ、クールダウンを行うためである。
【0013】
図2に高周波刺激ステップの施術に使用する高周波刺激装置1の概略構成を示す。
この装置1は、高周波電源2、電極3及び電極5を備えてなり、既述の定格でトレーニー10へ高周波電流を印加する。
施術者は電極3を手に取り、トレーニー10の背中へ満遍なく押し当てる。電極5はトレーニー10の腹部と施術台15との間に介在される。
本発明者の経験によれば、上記(A)~(C)のステップを毎週1回、2か月間行うトレーニーのうちの85%の人の体重に10%の以上の減少がみられた。
【0014】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0015】
1 高周波刺激装置
2 高周波電源
3、5 電極
10 トレーニー
15 施術台