(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091696
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】半導体結晶ウェハの製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230623BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20230623BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20230623BHJP
B28D 5/04 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H01L21/304 611W
H01L21/304 631
B24B27/06 S
B24B7/04 Z
B28D5/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032217
(22)【出願日】2022-03-03
(62)【分割の表示】P 2021205896の分割
【原出願日】2021-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】502330849
【氏名又は名称】有限会社サクセス
(71)【出願人】
【識別番号】521081850
【氏名又は名称】有限会社ドライケミカルズ
(74)【代理人】
【識別番号】240000693
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人滝田三良法律事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 愼介
(72)【発明者】
【氏名】千葉 哲也
【テーマコード(参考)】
3C043
3C069
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C043BA01
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA11
3C043BA16
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5F057AA01
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5F057FA20
5F057FA37
(57)【要約】
【課題】本発明は、高品質な半導体結晶ウェハを簡易かつ確実に製造することができる半導体結晶ウェハの製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体結晶ウェハであるSiCウェハの製造方法は、円筒形状に研削加工されたSiCインゴットからスライス状に切り出したウェハの表面に高精度研削加工を施したSiCウェハを得る方法であって、溝加工工程(STEP100/
図1)と、切断工程(STEP120/
図1)と、うねり除去工程(STEP120/
図1)と、第1面加工工程(STEP130/
図1)と、第2面加工工程(STEP140/
図1)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状に研削加工された半導体結晶インゴットからスライス状にウェハを切り出す半導体結晶ウェハの製造方法であって、
前記半導体結晶インゴットを複数のワイヤーによりスライス状に切断して半導体結晶ウェハを得る切断工程と、
前記切断工程によりスライス状に切断した半導体ウェハに対して、その一面のうねりを除去するうねり除去工程と
を備え、
前記うねり除去工程は、前記切断工程により切断された複数の半導体結晶ウェハの2枚を一対として、両面が研削面の平板砥石を両側から挟み込んだ状態で、該一対の半導体結晶ウェハと該平板砥石とのいずれか一方または両方を摺動させることにより該一対の半導体ウェハの各一面のうねりを除去することを特徴とする半導体結晶ウェハの製造方法。
【請求項2】
円筒形状に研削加工された半導体結晶インゴットからスライス状にウェハを切り出す半導体結晶ウェハの製造装置であって、
前記半導体結晶インゴットに対して、複数のワイヤーを周回させながら前進させて切断するワイヤーソー部と、
前記ワイヤーソー部によりスライス状に切断された半導体ウェハに対して、その一面のうねりを除去するうねり除去部と
を備え、
前記うねり除去部は、
両面が研削面の平板砥石と、
前記ワイヤーソー部により切断された複数の半導体結晶ウェハの2枚を一対として、前記平板砥石を両側から挟み込んだ状態で支持するウェハ支持部と
前記平板砥石と前記一対の半導体結晶ウェハとのいずれか一方または両方を、板面方向において摺動させる摺動機構と、
を有し、前記ウェハ支持部により一対の半導体ウェハが前記平板砥石を両側から挟み込んだ状態で、前記摺動機構により該一対の半導体結晶ウェハと該平板砥石とのいずれか一方または両方を摺動させることで該一対の半導体ウェハの各一面のうねりを除去することを特徴とする半導体結晶ウェハの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形状に研削加工された半導体結晶インゴットからスライス状に切り出したウェハの表面に高精度研削加工を施した半導体結晶ウェハの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の半導体結晶ウェハであるSiCウェハの製造方法としては、下記特許文献1に示すように、ウェハ形状形成工程として、結晶成長させた単結晶SiCの塊を円柱状のインゴットに加工するインゴット成形工程と、インゴットの結晶方位を示す目印となるよう、外周の一部に切欠きを形成する結晶方位成形工程と、単結晶SiCのインゴットをスライスして薄円板状のSiCウェハに加工するスライス工程と、修正モース硬度未満の砥粒を用いてSiCウェハを平坦化する平坦化工程と、刻印を形成する刻印形成工程と、外周部を面取りする面取り工程とを含み、次に、加工変質層除去工程として、先行の工程でSiCウェハに導入された加工変質層を除去する加工変質層除去工程を含み、最後に、鏡面研磨工程として、研磨パッドの機械的な作用とスラリーの化学的な作用を併用して研磨を行う化学機械研磨(CMP)工程を含むSiCウェハの製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来のSiCウェハの製造方法では、製造工程が多く複雑であり、装置構成が複雑となり製造コストが嵩むという問題ある。
【0005】
一方で、製造工程を簡略化した場合には、SiCウェハに要求される品質を安定して得ることが困難となる。
【0006】
そこで、本発明は、高品質な半導体結晶ウェハを簡易かつ確実に製造することができる半導体結晶ウェハの製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の半導体結晶ウェハの製造方法は、円筒形状に研削加工された半導体結晶インゴットからスライス状にウェハを切り出す半導体結晶ウェハの製造方法であって、
前記半導体結晶インゴットを複数のワイヤーによりスライス状に切断して半導体結晶ウェハを得る切断工程と、
前記切断工程によりスライス状に切断した半導体ウェハに対して、その一面のうねりを除去するうねり除去工程と
を備え、
前記うねり除去工程は、前記切断工程により切断された複数の半導体結晶ウェハの2枚を一対として、両面が研削面の平板砥石を両側から挟み込んだ状態で、該一対の半導体結晶ウェハと該平板砥石とのいずれか一方または両方を摺動させることにより該一対の半導体ウェハの各一面のうねりを除去することを特徴とする。
【0008】
第1発明の半導体結晶ウェハの製造方法によれば、まず、ワイヤーにより半導体結晶インゴットを精度よくスライス状に切断する。
【0009】
そして、スライス状に切断した複数の半導体ウェハの2枚を1組として、両面が研削面の平板砥石を両側から挟み込んだ状態で、一対の半導体結晶ウェハと平板砥石とのいずれか一方または両方を摺動(例えば、揺動と回転とのいずれか一方または両方)させることにより一対の半導体ウェハの各一面のうねりを除去することができる。
【0010】
これにより、切断面のうねりや筋を磨き上げて除去して基準面とするすることができ、平坦化工程において一般的に行われている遊離砥石加工、すなわち1次~4次の複数回のラップなど複雑な製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0011】
このように、第1発明の半導体結晶ウェハの製造方法によれば、高品質な半導体結晶ウェハを簡易かつ確実に製造することができる。
【0012】
第2発明の半導体結晶ウェハの製造装置は、円筒形状に研削加工された半導体結晶インゴットからスライス状にウェハを切り出す半導体結晶ウェハの製造装置であって、
前記半導体結晶インゴットに対して、複数のワイヤーを周回させながら前進させて切断するワイヤーソー部と、
前記ワイヤーソー部によりスライス状に切断された半導体ウェハに対して、その一面のうねりを除去するうねり除去部と
を備え、
前記うねり除去部は、
両面が研削面の平板砥石と、
前記ワイヤーソー部により切断された複数の半導体結晶ウェハの2枚を一対として、前記平板砥石を両側から挟み込んだ状態で支持するウェハ支持部と
前記平板砥石と前記一対の半導体結晶ウェハとのいずれか一方または両方を、板面方向において摺動させる摺動機構と、
を有し、前記ウェハ支持部により一対の半導体ウェハが前記平板砥石を両側から挟み込んだ状態で、前記摺動機構により該一対の半導体結晶ウェハと該平板砥石とのいずれか一方または両方を摺動させることで該一対の半導体ウェハの各一面のうねりを除去することを特徴とする。
【0013】
第2発明の半導体結晶ウェハの製造装置によれば、第1発明の半導体結晶ウェハの製造方法を実現する装置である。
【0014】
まず、ワイヤーソー部により、半導体結晶インゴットをワイヤーで精度よくスライス状に切断する。
【0015】
次いで、うねり除去部のウェハ支持部により切断した複数の半導体ウェハの2枚を1組として、両面が研削面の平板砥石を両側から挟み込んだ状態とすることができ、この状態で、摺動機構により一対の半導体結晶ウェハと平板砥石とのいずれか一方または両方を摺動(例えば、揺動と回転とのいずれか一方または両方)させることで一対の半導体ウェハの各一面のうねりを除去することができる。
【0016】
これにより、切断面のうねりや筋を磨き上げて除去して基準面とするすることができ、平坦化工程において一般的に行われている遊離砥石加工、すなわち1次~4次の複数回のラップなど複雑な製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0017】
このように、第2発明の半導体結晶ウェハの製造装置によれば、実際に高品質な半導体結晶ウェハを簡易かつ確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態のSiCウェハ(半導体結晶ウェハ)の製造方法の工程全体を示すフローチャート。
【
図2】
図1のSiCウェハの製造方法における溝加工工程および切断工程の内容を示す説明図。
【
図3】
図1のSiCウェハの製造方法におけるうねり除去工程の内容を示す説明図。
【
図4】
図1のSiCウェハの製造方法における第1面加工工程および第2面加工工程の内容を示す説明図。
【
図5】
図1のSiCウェハの製造方法におけるうねり除去工程の変更例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、本実施形態において、半導体結晶ウェハであるSiCウェハの製造方法は、円筒形状に研削加工されたSiCインゴットからスライス状に切り出したウェハの一面のうねり除去を施したSiCウェハを得る方法であって、溝加工工程(STEP110/
図1)と、切断工程(STEP120/
図1)と、うねり除去工程(STEP130/
図1)と、第1面加工工程(STEP140/
図1)と、第2面加工工程(STEP150/
図1)とを備える。
【0020】
図2~
図5を参照して各工程の詳細および各工程で用いられる装置について説明する。
【0021】
まず、
図2に示すSTEP100の溝加工工程では、予め結晶させたSiC結晶に対して、インゴット加工工程において、結晶方位を定めて円筒研削加工を施して得られる円筒形状のSiCインゴット10を準備する。
【0022】
そして、STEP100の溝加工工程では、かかるSiCインゴット10に対して、側面全体に周回する複数の凹溝11を形成する。
【0023】
具体的に、STEP100の溝加工工程では、凹溝11に対応した凸部21が側面に形成された溝加工ドラム砥石20を互いに平行な回転軸上でそれぞれ回転させながらSiCインゴット10に圧接することにより凹溝11を形成する。
【0024】
なお、溝加工工程により得られたSiCインゴット10(特に凹溝11)に対して化学処理的手法によりノンダメージの鏡面加工を施すことが望ましい。
【0025】
次に、STEP110の切断工程では、溝加工工程において形成された複数の凹溝11に配置された複数のワイヤー31によりSiCインゴット10をスライス状に切断してSiCウェハ100を得る。
【0026】
具体的に切断工程では、切断加工装置であるワイヤーソー装置3(本発明のワイヤーソー部に相当する)の複数のワイヤー31を、溝加工工程で形成した複数の凹溝11にそれぞれ合せて、ワイヤーを周回させながら前進させることによりSiCインゴット10をスライス状に切断する。
【0027】
このとき、ワイヤーソー装置3の複数のワイヤー32を周回させるワイヤーソーボビン31の側面全体に複数の凸溝21に対応した複数のボビン溝を形成しておくことが好ましい。
【0028】
これにより、複数の凹溝11と同一形状のボビン溝が形成されたワイヤーボビン31を介してワイヤー32が周回することにより、複数の凹溝11に正確に配置された複数のワイヤー32で精度よくSiCインゴット10を1回でスライス状に精度よく切断することができる。
【0029】
このように、溝加工工程において、予めSiCインゴットの側面全体に周回する凹溝11を形成しておき、凹溝11をガイドとしてワイヤー31によりSiCインゴット10を精度よくスライス状に切断することができ、改めて面取り工程を行う必要がない。
【0030】
次に、
図3に示すように、STEP120のうねり除去工程では、切断工程により得られたSiCウェハ100に対して、その一面のうねりを除去する。
【0031】
具体的にうねり除去工程では、うねり除去装置40(本発明のうねり除去部に相当する)が用いられる。
【0032】
うねり除去装置40は、両面が研削面の平板砥石41(例えばダイヤモンド平板砥石)と、平板砥石41を板面方向に揺動させる揺動機構42(本発明の摺動機構に相当する、例えばアクチュエータ装置など)と、SiCウェハ100の2枚を一対として、平板砥石41を両側から挟み込んだ状態で平板砥石41に押圧するように支持するウェハ支持部43とを備える。
【0033】
ここで、SiCウェハ100は、研磨面を平板砥石41に対向させて、ウェハ支持部43のテンプレート内(SiCウェハ100が嵌まり込む樹脂製のテンプレート)に格納された状態で、平板砥石41に押圧される。
【0034】
このとき、ウェハ支持部43のテンプレート内には、例えば、水分を含ませたスポンジ状のバックパッドが装備されており、図中に矢印で示す方向に、適度な力でSiCウェハ100が平板砥石41に押圧される。
【0035】
さらに、このとき、図中に矢印で示すように、平板砥石41が揺動機構42により板面方向に揺動することで、一対のSiCウェハ100のそれぞれの研磨面110が同時に研磨される。
【0036】
これにより、研磨面110は、切断時のうねりや筋が磨き上げられて除去され、後述する面加工工程における基準面とするすることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、揺動機構42が横方向に2箇所設置されているように図示しているが、一方をアクチュエータなどの揺動装置とすると共に、他方をばねなどの付勢手段による揺動補助手段としてもよい。また、揺動機構42は横方向に代えて又は加えて縦方向に設置(揺動補助手段も併せて設置)してもよい。
【0038】
次に、
図4に示すように、STEP130の第1面加工工程では、SiCウェハ100の研磨面110を支持面として、残る他面120にメカニカルポリッシュ(高精度研削加工)を施す。ここで、STEP120のうねり除去工程により研磨されたSiCウェハ100は、その研磨面110が高い平滑性を有するため支持面(基準面)とすることができるためである。
【0039】
具体的には、第1面加工工程では、メカニカルポリッシュを施すメカニカルポリッシュ装置50(超高合成高精度研削加工装置)により、研削加工を行う。
【0040】
メカニカルポリッシュ装置50は、スピンドル51と、定盤であるプラテン52上のダイアモンド砥石53とを備える。
【0041】
まず、ここで研磨面110を上面として、スピンドル51の吸着プレートである真空ポーラスチャック54に吸着させて支持させ、他面120を下面として、ダイアモンド砥石53により他面120を研削加工する。
【0042】
このとき、スピンドル51およびダイアモンド砥石53は、図示しない駆動装置により回転駆動されると共に、図示しないコンプレッサーなどによりスピンドル51がダイアモンド砥石53に押圧されることにより残る他面120に研削加工が施される。
【0043】
なお、研削加工後には、ドレッサー等によりダイアモンド砥石53へのドレッシングが施されてもよい。
【0044】
また、メカニカルポリッシュ装置50は、必要に応じて、加工時に複数の機能水を使用可能なように機能水供給配管を有してもよい。
【0045】
次に、STEP140の第2面加工工程では、第1面加工工程により、高精度研削加工が施された他面120を上面として、一面110(研磨面)に対して、第1面加工工程と同様の高精度研削加工を施す。
【0046】
すなわち、他面120を上面として、スピンドル51の吸着プレートである真空ポーラスチャック54に吸着させ、一面110を下面として、ダイアモンド砥石53により一面110を研削加工する。
【0047】
この場合にも、必要に応じて、ドレッサー等をダイアモンド砥石53に押圧することによりドレッシングが施されてもよい。
【0048】
かかるSTEP130の第1面加工工程およびSTEP140の第2面加工工程のメカニカルポリッシュ(高精度研削加工)処理によれば、うねり除去工程により得られた高い平坦性を有する研磨面110を支持面(吸着面)として、残りの面に順次、メカニカルポリッシュ(高精度研削加工)を施していくことで、いわゆる転写を防止して高品質なSiCウェハを得ることができると共に、従来の遊離砥石加工、すなわち1次~4次の複数回のラップなど複雑な製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0049】
より具体的には、砥石を替えて粗研削や複数回の仕上げ研削を行う必要がなく、例えば、♯30000以上の砥石により直接1回の研削加工により仕上げまで行うことができるため、簡易であるばかりでなく、SiCウェハ100から利用できる真性半導体層を大きく確保するすることができるという優位性がある。
【0050】
なお、STEP130の第1面加工工程およびSTEP140の第2面加工工程の高精度研削加工処理において、SiCウェハ100のサイズは、現在8インチまでであり、それぞれの口径のウェハはヘッドの面積に応じて、セットされ、(12インチまでが可能)高精度研削加工処理が行われる。
【0051】
以上が本実施形態のSiCウェハの製造方法の詳細である。以上、詳しく説明したように、かかる本実施形態のSiCウェハの製造方法によれば、高品質なSiCウェハを簡易かつ確実に製造することができる。
【0052】
なお、本実施形態のSiCウェハの製造方法において、上述の一連の処理の後、必要に応じて、化学機械研磨(CMP)工程やウェハ洗浄工程が行われてもよい。
【0053】
また、本実施形態は、半導体結晶ウェハの製造方法として、SiCインゴットからSiCウェハを製造する場合について説明したが、半導体結晶は、SiCに限定されるものはなく、ガリヒソ、インジュウムリン、シリコン、その他の化合物半導体であってもよい。
【0054】
なお、本実施形態のSiCウェハの製造方法において、うねり除去工程で用いられるうねり除去装置40は、
図5に示すように変更してもよい。なお、
図5において、同一構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図5において、平板砥石41は、リンク機構42´(本発明の摺動機構に相当する)の一端に連結され、図示しない他端側の回転駆動部により、板面方向に揺動可能または揺動回転可能に構成されてもよい。
【0056】
なお、リンク機構42´に代えて、クランク機構を採用して、平板砥石41を板面方向において往復運動させてもよく、リンク機構42´の代わりにギア機構を介して平板砥石41を単に回転させるようにしてもよい。
【0057】
また、
図5において、ウェハ支持部43により、SiCウェハ100の2枚を一対として、平板砥石41を両側から挟み込んだ状態で平板砥石41に押圧する際に、図示しないモータなどの回転駆動手段の回転軸にユニバーサルジョイント44(本発明の摺動機構に相当する)を介して連結して押圧することで、一対のSiCウェハ100を揺動回転させるようにしてもよい。
【0058】
なお、ユニバーサルジョイント44を省略して、ウェハ支持部43を単に回転させてもよく、ユニバーサルジョイント44および回転駆動手段の代わりに、(揺動機構42と同様に)ウェハ支持部43を板面方向に揺動させるアクチュエータなどの揺動装置を、ウェハ支持部43の端部に設けて、単に揺動させるようにしてもよい。
【0059】
このように、うねり除去工程では、各種摺動機構により一対のSiCウェハ100と平板砥石41とのいずれか一方または両方を摺動(例えば、揺動と回転とのいずれか一方または両方を含むがこれに限定されないを)させることでうねりを除去するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、溝加工工程の後に切断工程を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、溝加工工程を省略したり、溝加工工程に代えて他の他の切断前処理工程を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…SiC結晶(半導体結晶)、10…SiCインゴット(半導体結晶インゴット)、11…凹溝、20…溝加工ドラム砥石、21…凸部、30…ワイヤーソー装置(ワイヤーソー部)、31…ワイヤーソーボビン、32…ワイヤー、40…うねり除去装置(うねり除去部)、41…平板砥石、42…揺動機構(摺動機構)、42´…リンク機構(摺動機構)43…ウェハ支持部、44…ユニバーサルジョイント(摺動機構)、50…メカニカルポリッシュ装置(超高合成高精度研削加工装置)、51…スピンドル、52…プラテン、53…ダイアモンド砥石、54…真空ポーラスチャック(吸着プレート)、100…SiCウェハ(半導体結晶ウェハ)、110…研磨面(基準面、一面)、120…他面。