(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091697
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】商品見積注文装置及び商品見積注文プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0283 20230101AFI20230623BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230623BHJP
【FI】
G06Q30/02 490
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047040
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2021205639の分割
【原出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】516187518
【氏名又は名称】株式会社フクル
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】木島 広
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
5L049BB55
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の排出削減活動を促進する商品見積注文装置等を提供する。
【解決手段】本発明に係る商品見積注文装置は、ユーザのユーザ端末とネットワークを介して接続され、前記ユーザが所望する商品の価格見積り及び注文を受け付ける商品見積注文装置であって、ユーザに商品の仕様条件を選択させる仕様条件選択手段と、仕様条件における商品の製造過程で排出される第1のCO2排出量を表示するCO2排出量表示手段と、ユーザに第1のCO2排出量のうちオフセットを所望する第2のCO2排出量を選択させるオフセットCO2排出量選択手段と、CO2排出削減に関する設備投資費用に基づいて、第2のCO2排出量をオフセットするためのユーザ負担額を算定するユーザ負担額算定手段と、仕様条件における商品の第1の価格、及び、ユーザ負担額を表示する見積表示手段と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのユーザ端末とネットワークを介して接続され、前記ユーザが所望する商品の価格見積り及び注文を受け付ける商品見積注文装置であって、
ユーザに前記商品の仕様条件を選択させる仕様条件選択手段と、
前記仕様条件における前記商品の製造過程で排出される第1のCO2排出量を表示するCO2排出量表示手段と、
ユーザに前記第1のCO2排出量のうちオフセットを所望する第2のCO2排出量を選択させるオフセットCO2排出量選択手段と、
CO2排出削減に関する設備投資費用に基づいて、前記第2のCO2排出量をオフセットするためのユーザ負担額を算定するユーザ負担額算定手段と、
前記仕様条件における前記商品の第1の価格、及び、前記ユーザ負担額を表示する見積表示手段と、
を有することを特徴とする商品見積注文装置。
【請求項2】
コンピュータに、
ユーザに商品の仕様条件を選択させる仕様条件選択手段と、
前記仕様条件における前記商品の製造過程で排出される第1のCO2排出量を表示するCO2排出量表示手段と、
ユーザに前記第1のCO2排出量のうちオフセットを所望する第2のCO2排出量を選択させるオフセットCO2排出量選択手段と、
CO2排出削減に関する設備投資費用に基づいて、前記第2のCO2排出量をオフセットするためのユーザ負担額を算定するユーザ負担額算定手段と、
前記仕様条件における前記商品の第1の価格、及び、前記ユーザ負担額を表示する見積表示手段として機能させるための商品見積注文プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品見積注文装置及び商品見積注文プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば衣料品のような嗜好性商品は顧客の嗜好やニーズが多様であることから、インターネットを利用したオンライン商取引(ネットショッピング)においては、顧客が自ら好みの仕様(縫製や仕立て等)を選択しながらオリジナル仕様の完成商品を決定した上で、完成商品の見積り及び注文できる商品注文システムが知られている。ネットショッピングサイトを通じて商品注文を受注すると、縫製工場側は、顧客から注文されたオリジナルの縫製仕様書に従って当該商品を製造の上、顧客に対してオリジナル仕様の完成商品を納品する。
【0003】
これに関する技術として、例えば特許文献1には、顧客が、自分の好みのデザイン、サイズ、特性、価格等の必要な商品情報を得たうえで、オリジナル商品を自ら情報端末機を用いて手軽に、かつ安心してオリジナル商品を注文し購入することができるオリジナル商品注文システム及びオリジナル商品提供システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、世界規模での地球温暖化問題が広く認知される中、企業にとっても二酸化炭素(CO2)の排出削減は経営課題の一つである。一般的な製造業では、製造設備に関わる消費エネルギーが大半を占めていることから、企業としては、例えば太陽光発電設備、消費電力やCO2排出量のより少ない製造設備の導入に積極的に取り組んでいるところである。
【0006】
しかしながら、言うまでもなくこのような設備を導入するには莫大な設備投資費用がかかるという問題がある。特に経営環境の厳しい企業などにとっては設備投資費用の捻出が難しい上、ユーザには直接見えにくいこのような費用への料金転嫁は理解が得られにくいといった側面もあり、なかなか導入が進まないという現状がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、二酸化炭素の排出削減活動を促進する商品見積注文装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る商品見積注文装置は、ユーザのユーザ端末とネットワークを介して接続され、前記ユーザが所望する商品の価格見積り及び注文を受け付ける商品見積注文装置であって、ユーザに前記商品の仕様条件を選択させる仕様条件選択手段と、前記仕様条件における前記商品の製造過程で排出される第1のCO2排出量を表示するCO2排出量表示手段と、ユーザに前記第1のCO2排出量のうちオフセットを所望する第2のCO2排出量を選択させるオフセットCO2排出量選択手段と、CO2排出削減に関する設備投資費用に基づいて、前記第2のCO2排出量をオフセットするためのユーザ負担額を算定するユーザ負担額算定手段と、前記仕様条件における前記商品の第1の価格、及び、前記ユーザ負担額を表示する見積表示手段と、を有する。
【0009】
また上記の課題を解決するため、本発明に係る商品見積注文プログラムは、コンピュータに、ユーザに前記商品の仕様条件を選択させる仕様条件選択手段と、前記仕様条件における前記商品の製造過程で排出される第1のCO2排出量を表示するCO2排出量表示手段と、ユーザに前記第1のCO2排出量のうちオフセットを所望する第2のCO2排出量を選択させるオフセットCO2排出量選択手段と、CO2排出削減に関する設備投資費用に基づいて、前記第2のCO2排出量をオフセットするためのユーザ負担額を算定するユーザ負担額算定手段と、前記仕様条件における前記商品の第1の価格、及び、前記ユーザ負担額を表示する見積表示手段として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施の形態によれば、二酸化炭素の排出削減活動を促進する商品見積注文装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る商品見積注文システムのネットワーク構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る商品見積注文サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る商品見積注文サーバのソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るユーザDBのデータ構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る商品DBのデータ構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るCO2オフセット負担額マスターのデータ構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るユーザの商品見積注文画面例1を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るユーザの商品見積注文画面例2を示す図である。
【
図9】本実施形態に係るユーザのカーボンオフセット参加画面1を示す図である。
【
図10】本実施形態に係るユーザのカーボンオフセット参加画面2を示す図である。
【
図11】本実施形態に係るユーザの商品見積注文画面例3を示す図である。
【
図12】本実施形態に係るユーザの商品見積注文画面例4を示す図である。
【
図13】本実施形態に係るユーザのカーボンオフセット参加画面3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
<システム構成>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る商品見積注文システムのネットワーク構成例を示す図である。
図1の商品見積注文システム100は、商品見積注文サーバ10、ユーザ端末20及び製造者端末30を含み、ネットワーク50を介して接続されている。
【0013】
商品見積注文サーバ(以下単に注文サーバともいう)10は、ユーザが自ら好みの仕様(縫製や仕立て等)を選択しながらオリジナル仕様の衣料品を決定した上で、完成衣料商品の見積り及び注文できるサーバ装置である。
【0014】
ユーザ端末20は、例えばスマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータなどであり、ユーザが注文サーバ10にアクセスするための情報端末である。ユーザはユーザ端末20を用いて注文サーバ10にアクセス・ログインし、注文サーバ10のウェブサイト上から購入したい商品の検索、仕様決定、見積、注文等を行うことができる。なお、ユーザ端末20には、注文サーバ10にアクセスするために、予め所定のアプリケーションプログラム(汎用ウェブブラウザや専用アプリ)がインストールされる。
【0015】
製造者端末30は、例えばスマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータなどであり、商品の製造者が注文サーバ10にアクセスするための情報端末である。製造者は製造者端末30を用いて注文サーバ10にアクセス・ログインし、サイト上で商品登録・管理、ユーザ注文の受信等を行うことができる。製造者は、ユーザ注文されたオリジナルの縫製仕様に従って商品を製造の上、完成商品を納品する。
【0016】
ネットワーク50は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク50は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などを含む。
【0017】
(ハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る商品見積注文サーバのハードウェア構成例を示す図である。商品見積注文サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、及び通信装置15を有する。
【0018】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置15は、ネットワーク50を介して他装置との通信を行う。
【0019】
(ソフトウェア構成)
図3は、本実施形態に係る商品見積注文サーバのソフトウェア構成例を示す図である。商品見積注文サーバ10は、主な機能部として、仕様条件選択部101、CO2排出量算定表示部102、オフセットCO2排出量選択部103、ユーザ負担額算定部104、見積算定表示部105、及び記憶部107を有する。
【0020】
仕様条件選択部101は、ユーザに商品の仕様条件を選択させる機能を有している。
【0021】
CO2排出量算定表示部102は、ユーザが選択した仕様条件における商品の製造過程で排出される第1のCO2排出量を算定し表示する機能を有している。
【0022】
オフセットCO2排出量選択部103は、ユーザに第1のCO2排出量のうちオフセットを所望する第2のCO2排出量を選択させる機能を有している。
【0023】
ユーザ負担額算定部104は、CO2排出削減に関する設備投資費用に基づいて、第2のCO2排出量をオフセットするためのユーザ負担額を算定する機能を有している。
【0024】
見積算定表示部105は、ユーザが選択した仕様条件における商品の第1の価格、及び、第2のCO2排出量をオフセットするためのユーザ負担額を算定し表示する機能を有している。また見積算定表示部105は、は、第1の価格及びユーザ負担額を合算した第2の価格を合算し表示する機能を有している。
【0025】
記憶部107は、ユーザDB107a、商品DB107b、CO2オフセット負担額マスター107cを記憶する。詳しくは後述する。
【0026】
なお、これら各機能部は、本発明に係る機能部であって、商品見積注文サーバ10が商品を供するために必要な各種機能部を他にも備えていることは言うまでもない。また各機能部は、商品見積注文サーバ10を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。また、商品見積注文サーバ10における記憶部107の各DBは、ネットワーク50上の外部記憶装置に配置することも可能である。また、上記コンピュータプログラム及びアプリケーションプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されていてもよい。
【0027】
(データベース情報)
図4は、本実施形態に係るユーザDBのデータ構成例を示す図である。ユーザDB107aは、ユーザのユーザ情報が予め登録されたDBである。本実施形態に係るユーザDB107aは、例えば「ユーザID」、「パスワード」、「メールアドレス」、「氏名」、「住所」、「電話番号」、「購入履歴」などのデータ項目を有する。
【0028】
「ユーザID」は、ユーザ毎に付番される固有の識別子である。「ユーザID」及び「パスワード」は、ユーザが注文サーバ10にアクセス・ログインするためのID及びパスワードである。「メールアドレス」、「氏名」、「住所」、「電話番号」は、それぞれユーザのメールアドレス、氏名、住所(兼配送先)、電話番号である。「購入履歴」は、過去にユーザが購入した商品に関する購入履歴情報である。
【0029】
図5は、本実施形態に係る商品DBのデータ構成例を示す図である。商品DB107bは、製造者により注文サーバ10のウェブサイト上で販売される商品情報が予め登録されたDBである。本実施形態に係る商品DB107bは、例えば「商品ID」、「商品名」、「縫製仕様1」、「縫製仕様2」、「価格」、「工種機械区分」、「電力区分」、「単位時間(秒)あたりのCO2排出量(kg)」、「作業時間(秒)」、「CO2排出量(kg)」、「総作業時間(秒)」、「総CO2排出量(kg)」などのデータ項目を有する。
【0030】
「商品ID」は、管理上商品毎に付番される固有の識別子である。「商品名」は、商品の名称である。「縫製仕様1」は、部位毎の縫製の仕様種類である。商品名「ベーシックジャケット」の場合、縫製仕様対象となる部位として例えば仕立て、ペント、胸ポケット、腰ポケットなどがある。「縫製仕様2」は、「縫製仕様1」を更に細分化した仕様種類である。ユーザは「縫製仕様2」の中から仕様種類を任意に選択可能である。縫製仕様1「仕立て」の場合、仕立て種類として例えば総裏仕立て、背抜き仕立て、衵裏のみなどがある。「価格」は、「縫製仕様2」に応じた価格である。ユーザが選択した「縫製仕様2」に応じて価格が変動する。ユーザが例えば総裏仕立てを選択した場合は1156円、背抜き仕立てを選択した場合は2176円、衵裏のみを選択した場合は1459円となる。
【0031】
「工種機械区分」は、製造者側の縫製仕様に応じた工種及び工種で使用される機械の区分である。例えばCAM(裁断機)、芯貼機、ミシン、アイロン、手作業などがある。「電力区分」は、使用電力の要否を示す。CAM、芯貼機、ミシン、アイロンなど電力を消費する機械の場合は「電力」、手作業や非電動の機械などの場合は「なし」となる。
【0032】
「単位時間(秒)あたりのCO2排出量(kg)」は、電力を消費する機械の場合に、排出される単位時間(秒)あたりのCO2排出量である。「工種機械区分」毎の機械に応じたCO2排出係数(kg-CO2/kWh)等に基づいて算出されうる。なお、作業や非電動の機械などの場合には、「単位時間(秒)あたりのCO2排出量(kg)」は0である。「作業時間(秒)」は、「工種機械区分」毎に要する製造者側の作業時間である。「CO2排出量(kg)」は、「工種機械区分」毎に排出されるCO2排出量である。「CO2排出量(kg)」=「単位時間(秒)あたりのCO2排出量(kg)」×「作業時間(秒)」により算出される。
【0033】
「総作業時間(秒)」は、「縫製仕様2」毎の総作業時間である。「作業時間(秒)」の総和により算出される。「総CO2排出量(kg)」は、「縫製仕様2」毎に排出される総CO2排出量である。「CO2排出量(kg)」の総和により算出される。具体的に、商品名「ベーシックジャケット」においてユーザが「総裏仕立て」の縫製を選択した場合、作業者の「総作業時間(秒)」は1654秒(27.5分)であり、このときに排出される「総CO2排出量(kg)」は0.28059kgとなる。
【0034】
なお、本実施形態に係る商品DB107bのデータ構成はあくまで一例であり、説明の便宜上割愛したデータ項目もある。他にも例えば、商品説明情報、商品紹介画像、商品クチコミ情報、商品評価情報などがあってもよい。
【0035】
図6は、本実施形態に係るCO2オフセット負担額マスターのデータ構成例を示す図である。CO2オフセット負担額マスター107cは、商品の製造過程で排出されるCO2排出量をオフセット(間接的な吸収・相殺・埋め合わせをいう)する場合に、ユーザが負担すべき単位量(例えば100kg)あたりの費用の金額の情報が予め登録されたものである。
【0036】
製造者が例えば太陽光発電設備や消費電力・CO2排出量のより少ない製造設備などを導入した場合もしくは将来に導入計画がある場合、その設備投資費用と、当該設備導入に伴うCO2削減効果(CO2排出削減量)とを勘案し、CO2オフセット負担額マスター107cにおいて、CO2削減効果(CO2排出削減量)の単位量に応じた設備投資費用を、ユーザ負担額として換算し予め登録しておく。上述したように、商品の製造過程において電力を消費する機械設備が使用される場合、CO2が排出されるが、そのCO2排出量相当をオフセット(間接的な吸収・相殺・埋め合わせ)するための設備投資費用を根拠として、ユーザにその設備投資費用の一部を負担可能とするためである。なお、ユーザ負担額は、初期導入費用や維持費用を含む設備投資費用の他、耐用年数、更に機械設備の場合は使用電力、発電設備の場合は発電量等も加味して算定することができる。
【0037】
<画面例>
(ユーザの商品見積注文画面例)
図7は、本実施形態に係るユーザの商品見積注文画面例1を示す図である。上述したようにユーザはユーザ端末20を用いて、注文サーバ10のサイト上で販売される商品を注文することができる。
【0038】
具体的に、ユーザはユーザ端末20を用いてサイト上で注文したい商品情報を検索すると、商品DB107bが参照されることにより、ユーザ端末20の画面上に商品画面が表示される。本実施形態に係る商品は例えば衣料品であり、ユーザが自ら好みの仕様(縫製や仕立て等)を選択しながらオリジナル仕様の完成商品を決定した上で、完成商品の見積り及び注文が可能である。ユーザは、商品画面上から注文したい商品(例えばベーシックジャケット)111が決まると、「仕様選択・見積」112の押下操作を行う。
【0039】
図8は、本実施形態に係るユーザの商品見積注文画面例2を示す図である。次にユーザは、商品(例えばベーシックジャケット)111を対象として、自ら好みの仕様115を、各々の選択肢116の中から選択する。ユーザが選択した仕様を選択仕様と呼ぶ。
【0040】
例えばベーシックジャケットの場合、「仕立て」の仕様は「総裏仕立て」「背抜き仕立て」「衵裏のみ」の選択肢の中から何れか一をユーザ自ら選択することができる。以降も同様の要領で「ペント」、「胸ポケット」、「腰ポケット」といったように、ユーザが注文したいベーシックジャケットにおいて所定部位等の仕様を、所定選択肢の中から任意に選択することができる。
【0041】
なお、またユーザの選択仕様に応じて価格(追加料金)が変動するため、選択肢116毎に、選択肢116に対応する価格(商品DB107bにおける縫製仕様2に対応する価格)を併記してもよい。また、現時点で選択中の仕様における商品価格は、選択仕様に応じて単価117においてリアルタイムに表示・変更される。またユーザが注文したい商品の数量118を入力すると、合計金額119が算出表示される。
図8の場合、現時点で選択中の仕様における商品価格の単価117は¥945000、数量118は50個であるため、合計金額119は945000円となっている。
【0042】
ユーザが「注文」120の押下操作を行うと、現時点選択中の仕様条件での注文画面に遷移する。ユーザが「仕様・見積の確認」121の押下操作を行うと、現時点選択中の仕様一覧及び仕様毎の追加料金等を確認する明細画面に遷移する。一方、ユーザが見積を一時中断したい場合、「下書きに保存」122の押下操作を行うと、現時点選択中の仕様条件を保存できる。
【0043】
CO2排出量123は、選択中(見積中)の仕様条件における商品の製造過程で排出されるCO2排出量を示す。CO2排出量123は、商品DB107bを参照すれば、ユーザが選択した選択仕様毎に対応する「総CO2排出量(kg)」が登録されているので、全選択仕様分の「総CO2排出量(kg)」の総和により算出可能である。なお、選択中(見積中)の仕様条件(縫製仕様2)が変更された場合には縫製工程(工種機械区分)も変わるので、CO2排出量123もリアルタイムに変更・表示される。ユーザが、CO2排出量123を確認の上、カーボンオフセットに参加しようと考える場合、「注文」120の押下操作を行う前に、「この仕様でカーボンオフセットに参加」124の押下操作を行う。
【0044】
ここで、カーボンオフセット(Carbon Offset)とは、人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素(カーボン)などの温室効果ガスを、例えば植林、森林保護、もしくはクリーンエネルギー事業(排出権購入を含む)による削減活動によって「他の場所」で間接的に吸収・相殺・埋め合わせよう(オフセット)、とする考え方や活動の総称である。本実施形態においては、今回選択中(見積中)の仕様条件における商品の製造過程にはCO2排出量123に示すCO2が排出されるところ、ユーザのカーボンオフセットへの参加を通じて、全部又は一部のCO2排出量123を打ち消すことが可能である。
【0045】
図9は、本実施形態に係るユーザのカーボンオフセット参加画面1を示す図である。カーボンオフセット参加画面においては、今回選択中(見積中)の仕様条件における商品の製造過程では具体的に500kgのCO2が排出されるところ、カーボンオフセットに参加、即ちクリーンエネルギーへの設備投資費用の一部をユーザが負担することで、今回最大500kgのCO2量をオフセット(間接的に削減)できることが示されている。
【0046】
「環境に投資する金額」131は、今回選択中(見積中)の仕様条件における商品の製造過程において排出されるCO2排出量123をオフセットするために必要とされるユーザ負担額である。上述したように、CO2オフセット負担額マスター107cには、商品の製造過程で排出されるCO2排出量をオフセットする場合に、ユーザが負担すべき単位量(例えば100kg)あたりの費用の金額の情報が登録されている。よって例えばCO2排出量500kgをオフセットする場合、そのユーザ負担額は50000円と算出される。
【0047】
また、ユーザは操作バー132を左右に移動操作させることで、「環境に投資する金額」131の増減を、最小金額(0円)~最大金額(50000円)の範囲内で変更することが可能である。例えば「環境に投資する金額」131は最小金額を示す初期値0円となっている状態では、CO2排出量133は500kg(CO2削減量0kg)のままである。なお、「環境に投資する金額」131の初期値は、最小金額ではなく、最大金額50000円としてもよい。この場合、CO2排出量133は0kg(CO2削減量500kg)と表示されるため、ユーザはカーボンオフセットへの参加効果をより実感しやすくし、ユーザに対してカーボンオフセットへの参加を一層促すことができる。
【0048】
図10は、本実施形態に係るユーザのカーボンオフセット参加画面2を示す図である。ユーザが操作バー132を右に移動操作させるにつれて「環境に投資する金額」131が増加すると同時に、CO2排出量133が減少する。例えばユーザが操作バー132を、「環境に投資する金額」131が38000円になる位置まで右移動させた場合、CO2排出量133は当初500kg(CO2削減量0)から現在120kg(CO2削減量380kg)になる。最終的にはユーザが操作バー132を最も右にまで移動操作させた場合、「環境に投資する金額」131は最大金額50000円となり、このときのCO2排出量133は500kg(CO2削減量0)から0kg(CO2削減量500kg)になる。
【0049】
ユーザが、カーボンオフセット参加条件(「環境に投資する金額」131及びCO2排出量133)を設定した後、「この金額でカーボンオフセットに参加」134の押下操作を行うと、再び商品見積注文画面(
図11)に画面遷移する。一方、ユーザがカーボンオフセットに参加しない場合には、「環境活動に参加せず見積りに戻る」135の押下操作を行うと、商品見積注文画面(
図8)に画面遷移する。
【0050】
図11は、本実施形態に係るユーザの商品見積注文画面例3を示す図である。
図11においては、
図8と比べると、ユーザが設定した「環境に投資する金額」125が追加されていることが分かる。またこれに伴い、合計金額119も増額変更されている。そしてユーザが「注文」120の押下操作を行うと、現時点選択中の仕様条件、且つユーザが設定したカーボンオフセット参加条件(「環境に投資する金額」131及びCO2排出量133)での注文画面に遷移する。
【0051】
なお、以下の実施形態についても言及する。
・
図12に示されるように、注文サーバ10は初期選択仕様として、商品の製造過程で排出されるCO2排出量123が最小となる仕様を選択して、ユーザに初期表示提案を行うことができる。具体的に、選択仕様のうち最も総CO2排出量が少ない選択仕様を、例えば「最エコ」といったように表示することができる。
【0052】
・また
図12に示されるように、注文サーバ10は、ユーザの選択可能な選択仕様毎に、選択仕様に対応するCO2排出量を表示することができる。つまり選択肢116毎に、選択肢116に対応する総CO2排出量(商品DB107bにおける縫製仕様2に対応する総CO2排出量)を併記する。同時に商品の製造過程で排出されるCO2排出量123が、選択中(見積中)の仕様条件に応じてリアルタイムに表示されるので、ユーザは可能な限りCO2排出量の少ない仕様を選択することを意識させ、当該商品の製造過程において排出される絶対的なCO2排出量の削減をより促すことができる。
【0053】
・
図13に示されるように、注文サーバ10は、選択仕様に対応して排出されるCO2排出量(商品DB107bにおける縫製仕様2に対応する総CO2排出量)について、選択仕様単位でカーボンオフセットに参加する・しないを、ユーザがチェック欄のチェックにより選択させることができる。具体的に、ユーザが選択した総裏仕立てにする場合のCO2排出量は0.28059kgであり、この部分についてカーボンオフセットに参加する場合、環境に投資する金額は28円となる。
【0054】
・クリーンエネルギー発電設備は、電力を作り出す際し基本的に二酸化炭を排出しないあるいは排出が少ない自然エネルギー発電設備であり、例えば太陽光発電、風力発電、水力発電、水力発電などがある。
【0055】
・商品見積注文システム100の対象商品は衣料品のみに限られない。本実施形態に係る衣料品のように、顧客が自ら好みの仕様を選択しながらオリジナル仕様の完成商品を決定した上で、完成商品の見積り及び注文できる商品であって、ユーザの選択仕様に応じて商品の製造過程において排出されるCO2排出量が変動する商品であれば本発明を適用することが可能である。
【0056】
・本実施形態に係る商品見積注文システム100は、商品注文販売システム、商品発注システム、見積支援システム、特注品(見積)注文システム、オリジナル商品(見積)注文システムともいうことができる。
【0057】
<総括>
以上、本実施形態に係る商品見積注文システム100よれば、
・商品の製造過程で排出されるCO2排出量123が、選択中(見積中)の仕様条件に応じてリアルタイムに表示されるので、ユーザは可能な限りCO2排出量の少ない仕様を選択することで、当該商品の製造過程において排出される絶対的なCO2排出量を削減することができる。
・ユーザは「環境に投資する金額」131を自由に設定することができるため、当該商品の製造過程において排出されるCO2排出量を減らすべく、予算等に応じて自身の可能な範囲内で、カーボンオフセットに参加することが可能である。
・従来ユーザには直接見えにくいカーボンオフセットへの参加意義が理解されにくいといった側面があったが、具体的なユーザ負担額及び当該ユーザ負担額で削減できるCO2排出量が可視化されることで、ユーザにカーボンオフセットに参加することへの理解が得られやすくなる。
・またこのような過程で製造されたオリジナルカーボンオフセット商品は、最終消費者に対してアピールすることができ、ひいては当該オリジナルブランドのイメージ向上や売り上げ増加にも期待できる。
・一方、製造者側は、商品注文ユーザによるカーボンオフセットへの参加・協力を通じて、クリーンエネルギー発電設備やCO2排出量の少ない製造設備投資費用の一部又は全部を負担してもらえるので、これまで設備投資費用の捻出が難しかった製造者に対してこのような設備導入を積極的に促すことが可能である。
・またCO2削減に対して積極的に取り組むという企業姿勢は、対外的にアピールすることができ、ひいては当該企業ブランドのイメージ向上や売り上げ増加にも期待できる。
【0058】
以上、本実施形態によれば、二酸化炭素の排出削減活動を促進する商品見積注文装置等を提供することが可能である。なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0059】
10 商品見積注文サーバ
20 ユーザ端末
30 製造者端末
50 ネットワーク
100 商品見積注文システム
101 仕様条件選択部
102 CO2排出量算定表示部
103 オフセットCO2排出量選択部
104 ユーザ負担額算定部
105 見積算定表示部
107 記憶部