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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091709
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】移送装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 33/00 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
D05B33/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087284
(22)【出願日】2022-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2021205740
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500564493
【氏名又は名称】株式会社イレブンインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】板倉 剛
(72)【発明者】
【氏名】村上 成憲
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CC01
3B150CC05
3B150CE24
3B150CE27
3B150EH01
3B150EH03
3B150EH09
3B150EH17
(57)【要約】
【課題】縫製品などの様々な形状のパーツを確実にピックアップできるうえに、効率よく移送して、ピックアップにかかるミスをなくすこと。
【解決手段】裁断工程部21でシート材を裁断処理して得られた同一平面上に並ぶ複数のパーツPをピックアップして次の集合工程部22へ移送する移送装置11において、伸縮可能なアーム部15と、アーム部15の先端でパーツPを吸着する吸着ハンド部16を有するピックアップアーム14を複数備える。ピックアップアーム14は裁断工程部21と集合工程部22との間で移動可能に備える。そして、ピックアップアーム14を駆動制御する制御部は、吸着ハンド部16同士の平面視での相対位置を裁断工程で用いられる図形データに基づいて変更して、裁断された一つのパーツPを1個以上の吸着ハンド部16で吸着して取り上げるように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裁断工程でシート材を裁断処理して得られた同一平面上に並ぶ複数のパーツをピックアップして次工程へ移送する移送装置であって、
伸縮可能なアーム部と、前記アーム部の先端で前記パーツを吸着する吸着ハンド部を有するピックアップアームを複数備えるとともに、
前記ピックアップアームを前記裁断工程と前記次工程との間で移動可能に備え、
前記ピックアップアームを駆動制御する制御部が、前記吸着ハンド部同士の平面視での相対位置を前記裁断工程で用いられる図形データに基づいて変更して、裁断された一つの前記パーツを1個以上の前記吸着ハンド部で吸着して取り上げるように構成された
移送装置。
【請求項2】
すべての前記ピックアップアームがそれぞれ、前記裁断工程の領域と前記次工程の領域とを往復動する移動体に支持された
請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記ピックアップアームが、前記裁断工程と前記次工程を結ぶ移送ラインの両側部にそれぞれ複数ずつ配置された
請求項1または請求項2に記載の移送装置。
【請求項4】
前記裁断工程と前記次工程との間に、前記ピックアップアームで保持された前記パーツに印字を行う印字手段を備えた
請求項1または請求項2に記載の移送装置。
【請求項5】
裁断工程でシート材を裁断処理して得られた同一平面上に並ぶ複数のパーツをピックアップして次工程へ移送する移送装置であって、
伸縮可能なアーム部と、前記アーム部の先端で前記パーツを吸着する吸着ハンド部を有するピックアップアームを複数備えるとともに、
前記ピックアップアームを前記裁断工程と前記次工程との間で移動可能に備え、
前記ピックアップアームを駆動制御する制御部が、前記吸着ハンド部同士の平面視での相対位置を前記裁断工程で用いられる図形データに基づいて変更して、裁断された一つの前記パーツを1個以上の前記吸着ハンド部で吸着して取り上げるように構成され、
前記裁断工程と前記次工程との間に前記パーツに印字を行う印字手段を備えた
移送装置。
【請求項6】
すべての前記ピックアップアームがそれぞれ、前記裁断工程の領域と前記次工程の領域とを往復動する移動体に支持されるとともに、
前記ピックアップアームが、前記裁断工程と前記次工程を結ぶ移送ラインの両側部にそれぞれ複数ずつ配置された
請求項5に記載の移送装置。
【請求項7】
前記印字手段が印字方向を下に向けて上方から垂設され、
前記印字手段の下であって前記印字手段による印字を可能とする印字位置に前記パーツを載置する仮置き台が設けられるとともに、
前記仮置き台が前記印字位置と、前記裁断工程及び前記次工程を結ぶ水平領域から退避した退避位置との間を移動可能に設けられた
請求項5または請求項6に記載の移送装置。
【請求項8】
前記退避位置が前記水平領域よりも下であり、
前記仮置き台が昇降機構で支持された
請求項7に記載の移送装置。
【請求項9】
前記昇降機構と前記仮置き台との間に、前記仮置き台を水平方向に移動する水平動機構が介装され、
前記仮置き台を駆動制御する制御部が、前記パーツを吸着した前記吸着ハンド部を前記印字位置の近傍の所定位置に移動させるとともに、前記昇降機構を駆動して前記仮置き台を前記印字位置と同じ高さまで上昇させて前記吸着ハンド部による吸着を停止し、続いて前記水平動機構を駆動して前記仮置き台に載置された前記パーツを前記印字手段の下に寄せてから前記印字手段を駆動して前記パーツに対して印字を行わせたのち、前記水平動機構を駆動して前記仮置き台を前記印字手段の下から離して前記吸着ハンド部による前記パーツの吸着を行い、前記仮置き台を降下させるとともに、前記吸着ハンド部による移送を再開するように構成された
請求項8に記載の移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート材が裁断されて同一平面上に並ぶ複数のパーツを次工程に移送する移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
裁断装置で裁断された被縫製物などのパーツを取り上げて次の工程に移送する作業は、これまで主に人手によって行われていた。
【0003】
一つの製品を得るためには複数のパーツが必要であり、それらパーツの形状は一種類ではなくさまざまあるのが一般的である。通常、それらのパーツはシート材から無駄なく切り出すように工夫されるので、裁断後の配置は次工程のことが考慮されていない。そのため、裁断されたパーツは、例えば種類ごとや縫製順序ごとなど、人の目で判断して秩序立てて取り上げていた。
【0004】
しかし、このピックアップにミスが生じると、次の工程以降の作業に支障が出て、不良品の発生や作業遅滞など不都合が生じてしまう。
【0005】
下記特許文献1には、裁断処理されたパーツを人手ではなく機械的に取り上げて縫製用のテンプレートに搬送する搬送装置が開示されている。この搬送装置は、同一平面上に点在するピックアップヘッドを有するピックアップ装置を有するものであって、パーツを特定する情報により複数のピックアップヘッドの中から一部を選択してパーツの取上げを行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-48926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の搬送装置のようにピックアップを機械的に行えば取り上げる対象を間違えるミスを、人手で行う場合に比べて少なくできる。
【0008】
しかし、ピックアップヘッドはあらかじめ定められた所定位置に存在し、そのうちの一部を作用させてピックアップする構成であるので、パーツの細かな形状の違いに対応できず、所望通りにピックアップできない場合が生じ得る。そのうえ、ピックアップに寄与しないピックアップヘッドがあることから、作業効率が良くないという難点もある。
【0009】
そこで、この発明は、様々な形状のパーツを確実にピックアップできるうえに、効率よく移送して、ピックアップにかかるミスをなくすことを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、裁断工程でシート材を裁断処理して得られた同一平面上に並ぶ複数のパーツをピックアップして次工程へ移送する移送装置であって、伸縮可能なアーム部と、前記アーム部の先端で前記パーツを吸着する吸着ハンド部を有するピックアップアームを複数備えるとともに、前記ピックアップアームを前記裁断工程と前記次工程との間で移動可能に備え、前記ピックアップアームを駆動制御する制御部が、前記吸着ハンド部同士の平面視での相対位置を前記裁断工程で用いられる図形データに基づいて変更して、裁断された一つの前記パーツを1個以上の前記吸着ハンド部で吸着して取り上げるように構成された移送装置である。
【0011】
この構成では、裁断処理されて同一平面上に並ぶ複数のパーツを予め定められた順にピックアップして次工程に移送するのに際して、制御部はピックアップするパーツの図形データに基づいて、そのパーツの大きさや形状に応じて作用させる1個以上のピックアップアームを選択する。パーツが大きい場合や形状が複雑な場合など、1個のピックアップアームでは適切な保持ができない場合には、複数のピックアップアームを協働させる。選択されたピックアップアームは、アーム部を駆動してパーツの適切な部位を吸着ハンド部で吸着してパーツのピックアップを行い、パーツを次工程に移送したのち放す。一つのパーツのピックアップに利用されるピックアップアーム以外のピックアップアームは、他のパーツをピックアップするために駆動制御され得る。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この発明によれば、ピックアップアームの吸着ハンド部同士の平面視での相対位置が図形データに基づいて変更されて1個以上の吸着ハンド部で保持する構成であるので、様々な形状のパーツを確実にピックアップできる。そのうえ、複数のピックアップアームのうち、一つのパーツのピックアップに利用されないピックアップアームは、他のパーツのピックアップに利用できるので、効率の良い移送が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】移送装置の平面図。
図2】移送装置の側面図。
図3】移動体及びピックアップアームの背面図と正面図。
図4】収縮状態のピックアップアームの側面図。
図5】少し伸ばした状態のピックアップアーム側面図。
図6】左右一対のピックアップアームの先端部を示す平面図。
図7】ブロック図。
図8】移送動作を説明する説明図。
図9】複数の吸着ハンド部で吸着して印字する状態を示す説明図。
図10】パーツにおける吸着位置を例示する説明図。
図11】他の例に係る移送装置の平面図。
図12】他の例に係る印字手段を示す平面図。
図13図12の印字手段を示す側面図。
図14】他の例に係るアーム部の先端部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0015】
図1に、移送装置11の平面図を示す。この移送装置11は、裁断工程でシート材を裁断処理して得られた同一平面上に並ぶ複数のパーツPをピックアップして次工程へ移送するものである。
【0016】
図面では、パーツPが左側から右側に移送されるように描いている。図面左側に、裁断処理後のパーツPを載せた前段載置台12を示しており、図面右側に、取り上げたパーツPを所定の順序で積み重ねる後段載置台13を示している。
【0017】
移送装置11が取り上げるパーツPは、裁断装置で裁断処理されたままの状態のものであるほか、裁断後にパーツPの配置を崩さずに移動されたものであってもよい。図示例の前段載置台12には、図示しない裁断装置が備えられており、この裁断装置は、入力された図形データに基づいてシート材を裁断するように構成されている。ここでは、前段載置台12を有する部分を裁断工程部21という。
【0018】
後段載置台13は、取り上げられたパーツP同士を接合する接合工程の前段で必要なパーツを揃える部分である。後段載置台13を有する部分を次工程としての集合工程部22という。集合工程部22では、パーツPを後段載置台13の上に秩序立てて積み重ねるほか、適宜の箱体に収めてもよい。また、パーツP同士が所定の位置関係になるように並べてもよい。次工程は、接合工程を行う部分であってもよい。
【0019】
具体的には、図示例の移送装置11は、自動車のシートカバーやエアバッグ、衣服類など様々な縫製品を製造するために使用されて、裁断して得たパーツPから必要なパーツPを人的ミスなしに秩序立ててピックアップし、縫製工程へ送るのに好適なものである。
【0020】
移送装置11は、複数のピックアップアーム14を備えている。ピックアップアーム14は、伸縮可能なアーム部15と、アーム部15の先端でパーツPを吸着する吸着ハンド部16を有するものである。
【0021】
これらピックアップアーム14は、前段と後段(次工程)、つまり裁断工程部21と集合工程部22との間を移動可能に備えられている。ピックアップアーム14の移動は、前段から後段へ、また後段から前段へ移動を可能にするものであれば、例えば旋回構造など、どのような構成で実現してもよい。図示例では、裁断工程部21と集合工程部22との間を移動する、より具体的には裁断工程部21の領域から集合工程部22の領域へ、またその逆に往復動する移動体17で移動可能に構成されている。
【0022】
またピックアップアーム14は、裁断工程部21と集合工程部22を結ぶ移送ラインの両側部にそれぞれ複数ずつ、具体的には2個ずつ配設されており、それらピックアップアーム14はそれぞれ移動体17に支持されている。つまり、ピックアップアーム14はそれぞれ移動体17によって1個ずつ、移送ラインに沿って移動可能である。
【0023】
すなわち、前段載置台12と後段載置台13が並ぶ移送ラインの両側に、レール部18が配設されている。このレール部18は、前段載置台12と後段載置台13を結ぶ長さよりも長く形成されており、前段載置台12よりも前段側に待機部19が設けられている。待機部19は移動体17とピックアップアーム14が待機する部分である。
【0024】
図2は、移送装置11を移送方向後段側から、つまり後段載置台13側から見た状態を示している。この図に示すように、レール部18には前述した移動体17が移動可能に支持されている。移動体17は、サーボモータやステッピングモータ等からなる移動用モータ31を備えており、図3の(a)に仮想線で示したようにレール部18に備えたラック32との噛合でレール部18上の所望位置に移動・停止可能に構成されている。
【0025】
なお、図3の(a)は移動体17とピックアップアーム14を背面側から、つまり移送ラインの両側の端から見た状態を示している。図3の(b)はその逆方向、つまりピックアップアーム14の先端側から見た状態を示している。
【0026】
移動体17及びピックアップアーム14が前述のように移送ラインの両側部に配設されているので、ピックアップアーム14のアーム部15は、多数の回転軸を有するものではなく、直線状に伸縮する構成であれば足りる。アーム部15は、収縮時の占有空間を小さくしつつも長いストロークをとれるように、図4、5のように構成される。
【0027】
図4は収縮状態のアーム部15を側面から見た示す概略構成図であり、図5は少し伸長させた状態のアーム部15を側面から見た概略構成図である。
【0028】
これらの図に示すようにアーム部15は、基台部35と、基台部35の上に相対移動可能に積み重ねられる複数の可動アーム部36,37,38と、最上段に位置する先端アーム部39を有している。基台部35、可動アーム部36,37,38及び先端アーム部39は、共に細長い直方体の箱状に形成されている。
【0029】
これらは、収縮時において基台部35の上に複数の可動アーム部36,37,38が後端位置を揃えて上下に並び、最も上に位置する可動アーム部38の上に、先端アーム部39がその可動アーム部38よりも前方へせり出した状態で備えられるように配置される。図示例の可動アーム部36,37,38は3個である。それぞれ、下に位置するものから順に、1段目可動アーム部36、2段目可動アーム部37、3段目可動アーム部38という。
【0030】
基台部35には、モータ(伸縮用モータ41)で駆動するボールスプライン42が内蔵されており、基台部35上を相対移動する移動ヘッド(1段目移動ヘッド43)に1段目可動アーム部36の下面の後端部が相対移動不可に連結されている。
【0031】
すべての可動アーム部36,37,38内の下部には、一対のプーリ44に巻き掛けられて前後方向に延びるベルト45を備えている。1段目可動アーム部36のベルト45の下側部分における先端側のプーリ44の近傍は、基台部35の先端部に設けられた連結ブラケット46に固定されている。ベルト45の下側部分は、移動ヘッド(1段目移動ヘッド43)とは干渉せず相対移動可能である。
【0032】
1段目可動アーム部36の上に載置される2段目可動アーム部37、3段目可動アーム部38は、1段目可動アーム部36と同様に、プーリ44に巻き掛けられたベルト45を備えている。そのベルト45はそれぞれ下の可動アーム部36,37の先端部に設けられた連結ブラケット46に固定される。ベルト45と連結ブラケット46の固定位置は、基台部35と1段目可動アーム部36の場合と同じである。
【0033】
また、2段目可動アーム部37と3段目可動アーム部38の下面の後端部にはそれぞれ下に位置する可動アーム部36,37に対して相対移動可能な移動ヘッド(2段目移動ヘッド47、3段目移動ヘッド48)が設けられている。2段目移動ヘッド47は1段目可動アーム部36のベルト45の上側部分に、3段目移動ヘッド48は2段目可動アーム部37のベルト45の上側部分に固定されている。先端アーム部39の下面の後端部には4段目移動ヘッド49が設けられており、これは、3段目可動アーム部38のベルト45の上側部分に固定されている。
【0034】
この構成により、伸縮用モータ41の駆動で1段目移動ヘッド43により1段目可動アーム部36が前方へ移動して1段目移動ヘッド43と連結ブラケット46との間の距離D1が図5のD2に示したように短くなろうとする。これによってベルト45は回転してベルト45の上側部分を前方へ押し出す。これに伴い、2段目移動ヘッド47、3段目移動ヘッド48及び4段目移動ヘッド49は、それぞれ同時に前方へ同じ距離移動して、アーム部15は全体として伸びる。
【0035】
収縮時は逆に、伸縮用モータ41の駆動で1段目移動ヘッド43を後退させて1段目可動アーム部36を後方へ移動させると、各可動アーム部36,37,38のベルト45は前述と逆方向に回転する。これによって各可動アーム部36,37,38と先端アーム部39はそれぞれ同じ距離後退して、アーム部15は全体として縮む。
【0036】
アーム部15の先端部の移動範囲は、前段載置台12と後段載置台13の端から、少なくともその幅方向の中央に至る範囲に設定される。
【0037】
アーム部15の先端を構成する先端アーム部39の吸着ハンド部16は、直方体形状をなす中空の箱状に形成されており、図3の(b)、図6に示したように、先端アーム部39に対して昇降可能である。すなわち、吸着ハンド部16はアーム部15の先端部を上下方向に貫通する昇降管51の下端に設けられている。昇降管51は中空に形成されており、図5に示したように外周面の側面には長手方向に沿って延びるラック52を有している。このラック52と噛合するピニオン53と、これを回転する昇降用モータ54が先端アーム部39内に備えられている。昇降用モータ54はサーボモータやステッピングモータで構成される。
【0038】
吸着ハンド部16の下面における先端部には円筒形の吸着口61が形成されている。吸着口61はパーツPの吸着に適した大きさに形成され、1個設けられている。吸着口61の内側には出没可能な内側筒部62が備えられる。吸着口61は1個でなく2個以上であってもよい。吸着口61の形状や大きさ、配置等の態様は、パーツPに応じて定められる。
【0039】
直方体箱状の吸着ハンド部16は、図6に見られるように、平面視において斜めに向けて設けられる。具体的には左右に並ぶ一対の吸着ハンド部16が先端側を互いに近づける方向に傾いている。これは、左右一対のピックアップアーム14において、吸着口61の位置を互いに近づけるためであり、比較的小さいパーツPでも左右に隣接するピックアップアーム14の吸着口61で協働して吸着できるようにされている。
【0040】
吸着ハンド部16に吸引力を発揮させる負圧源としてのポンプ63は、図2図3に示したように移動体17に搭載されている。ポンプ63から延びる管体64は、ピックアップアーム14の側部に備えられる伸縮管65(図2参照)を途中に挟んで、昇降管51の上端に接続される。
【0041】
伸縮管65はテレスコピック構造の管体で構成され、アーム部15の伸縮に従って伸び縮みする。
【0042】
吸着口61を通じての吸引は、ポンプ63の駆動中、常に行われるように構成されており、吸引力を停止させるために、吸着ハンド部16内には、図5に示したように吸着口61を開閉する開閉シャッタ66が設けられている。開閉シャッタ66の駆動は、例えばソレノイドからなる開閉シャッタ用アクチュエータ67で行われる。
【0043】
移送装置11はまた、印字手段71を備える。すなわち、裁断工程と次工程との間、つまりレール部18における裁断工程部21と集合工程部22との間に、ピックアップアーム14で保持されたパーツPに印字を行う印字手段71を備えている。印字手段71は、パーツPに識別符号を付するためものであり、図1図2に示したように、プリンタ72と、必要に応じて備えられる支持板73で構成される。
【0044】
プリンタ72は例えばインクジェットプリンターで構成され、図2に示したようにレール部18の上方に架設された支持枠74に対してプリンタ昇降用モータ75で昇降可能に支持される。支持板73は、吸着ハンド部16に吸着保持されたパーツPにたるみができて印字ができない場合に使用されるもので、プリンタ72に隣接して支持枠74に支持板昇降用モータ76で昇降可能に備えられている。また支持板73は、ソレノイドなどで構成される支持用アクチュエータ77で水平方向に回転可能に支持されており、パーツPの下とパーツPの下から外れた位置とに選択的に移動可能に備えられる。
【0045】
図7は、このような移送装置11の構成を示すブロック図である。制御部81は、プログラムを格納したROM及び動作に必要なデータを記憶するRAMを内蔵している。この制御部81は、入力操作部82からの入力に従って裁断装置の図形データ83を入力し、位置情報(二次元座標情報)及び識別情報を含むその図形データに基づいて演算を行い、各部を駆動制御する。
【0046】
以下、制御部81が行う駆動制御を説明する。
【0047】
まず、大まかな動作を説明すると、制御部81は例えばパーソナルコンピュータ等で構成される入力操作部82からの操作に基づいて、裁断装置の図形データ83を読み込む。そして、その図形データ83とパーツPの識別情報を参照して、ピックアップするパーツ及びその順序を、予め記憶されたプログラムに基づいて決定する。同時に制御部81は、ピックアップするパーツのどの部位を吸着するのか、どのピックアップアーム14を用いるのかを演算して決定する。
【0048】
そして、移送動作を開始するにあたって、制御部81はポンプ63を駆動する。このとき、開閉シャッタ用アクチュエータ67は開閉シャッタ66が開となるようにしておく。
【0049】
決定に基づいて制御部81は、待機状態にある複数のピックアップアーム14のうち選択されたピックアップアーム14を有する1個以上の移動体17の移動用モータ31を駆動して、ピックアップするパーツPに対応する位置まで移動体17を移動し、停止させる。
【0050】
ここで、レール部18の延びる方向をX軸、X軸に直交する方向をY軸とする。上記の「パーツに対応する位置」とは、X軸上での位置である。X軸上での位置は、厳密にはパーツPにおける吸着部位も考慮される。
【0051】
続いて制御部81は、伸縮用モータ41を駆動して吸着ハンド部16をY軸上のパーツPにおける所定の吸着部位の上方まで移動させ、停止させる。この状態のまま制御部81は昇降用モータ54を駆動して、吸着ハンド部16を所定位置まで降下させる(図8の(a)参照)。すると、吸引力によりパーツPは吸着口61に吸着される(図8の(b)参照)。吸着時に、吸着口61は内側筒部62が埋没した状態になって、パーツPを引き上げる。
【0052】
制御部81は吸着ハンド部16を所定の高さまで上昇させたのち、昇降用モータ54を停止して(図8の(c)参照)、必要に応じて伸縮用モータ41を駆動し、吸着ハンド部16のY軸上での位置をY軸上での中央側に寄せる。この状態で移動用モータ31を駆動して、次工程、つまり後段載置台13に向けてピックアップアーム14をX軸上で移動させる。
【0053】
その途中、制御部81は前段載置台12と後段載置台13との間において移動用モータ31を一旦停止して、印字を実行させる(図8の(d)参照)。つまり、吸着保持されたパーツPにおける印字を行う部分より下方に支持板73を降下させるべく支持板昇降用モータ76を駆動したのち、支持用アクチュエータ77を駆動して支持板73をパーツPの下方に位置させる。このあと、支持板昇降用モータ76を駆動して支持板73を所定位置まで上昇させて、パーツPを支持して印字する部分を平らにする。
【0054】
この状態で制御部81はプリンタ昇降用モータ75を駆動して、プリンタ72を所定位置まで降下させ、プリンタ72を駆動させる。プリンタ72の駆動によって、パーツPに対して印字がなされ、印字後、制御部81はプリンタ昇降用モータ75、支持板昇降用モータ76及び支持用アクチュエータ77を駆動して、プリンタ72と支持板73を初期位置に戻す。
【0055】
複数のピックアップアーム14でパーツを保持する場合には、図9に示したように、吸着ハンド部16同士の間でパーツPが撓む部分を支持して印字を行うとよい。
【0056】
このあと、制御部81は移動用モータ31を再度駆動して、後段載置台13の上方の所定位置にパーツPを移動させ(図8の(e)参照)、移動用モータ31の停止後に、昇降用モータ54を駆動する。これによって吸着ハンド部16を所定位置まで降下させてから、開閉シャッタ用アクチュエータ67を駆動して、開閉シャッタ66を閉にする。すると、吸着ハンド部16の吸引力がなくなり、パーツPは後段載置台13の上、既に移送済みのパーツPがあればその上に落下して、移送が完了する。移送を実行したピックアップアーム14は、制御部81によって次の移送のための駆動制御がなされる。
【0057】
一つのパーツPの移送時に使用されるピックアップアーム14が、全数、すなわちこの例で4本に満たない場合には、他のピックアップアーム14は、制御部81によって別のパーツPを移送するために、前述と同様に駆動制御される。
【0058】
なお、ピックアップアーム14での移送中に、印字や後段載置台13への載置に際して、伸縮用モータ41を駆動して保持するパーツPの向きを変更してもよい。
【0059】
つぎに、吸着ハンド部16による吸着の態様について一例を説明する。
【0060】
制御部81は、RAMに記憶させた必要な情報として、図10に示したような左右に並ぶピックアップアーム14の吸着ハンド部16間の最短距離Lの情報と吸着口61の口径dの情報を有しており、これらの情報とピックアップするパーツの図形データを対比する。
【0061】
また制御部81は、図形データから判断されるパーツPのX軸方向での最大長さとY軸方向での最大長さと輪郭形状に基づいて、吸着口61の口径dの情報等を参照して、1個の吸着ハンド部16で吸着保持が可能であるか否かを判断する。
【0062】
図10中のパーツPaのように縦横比が小さいパーツの場合には、その中心部の一つの座標が吸着位置とされる。図10中、仮想線で描いた丸印は吸着位置である。パーツPb,Pc,Pd,Peのように吸着ハンド部16同士の間の最短距離Lより長く、1個の吸着ハンド部16で吸着保持可能な所定値よりも長い形状である場合には、その長手方向の両側部分を含む2つ以上の座標が吸着位置とされる。パーツPb,PcのようにX軸方向又はY軸方向に長い姿勢となっているパーツの場合はもちろん、パーツPd,Peのように斜め方向に長い姿勢のパーツも、吸着位置の座標が決定されることで正しく保持できる。
【0063】
パーツPf,Pgのように縦横比は大きくはないが、差し渡し長さが1個の吸着ハンド部16で吸着保持な所定値より長い形状のパーツの場合には、その中心部から4方向又は3方向に離れて輪郭線とは所定の距離を保った4つ又は3つの座標が吸着位置とされる。パーツPfのように四角形又はそれに近い多角形状である場合には、4箇所を吸着すれば基本的に保持可能である。パーツPgのように、三角形または一部が延びた形状である場合は、3箇所又は4箇所を吸着すれば保持可能である。
【0064】
パーツPの吸着保持をするピックアップアーム14の選定について制御部81は、取り上げるパーツPの位置情報と好ましい移送順序情報を参照する。すなわち、図10のパーツPaのように吸着位置が一つの場合には、Y軸上においてパーツPaに近い側のピックアップアーム14を優先的に稼働するが、パーツPeのように吸着位置が3箇所の場合には、遠くてもパーツPeと反対側のピックアップアーム14も利用する。また、例えば図10のパーツPbを搬送しながら、搬送効率や搬送順序の関係上、パーツPaも同時に搬送する場合には、それぞれ別側に位置するピックアップアーム14を使用する。
【0065】
以上のように、裁断処理されて同一平面上に並ぶ複数のパーツPは、裁断装置に持たせる図形データ83に基づいて、必要とされるパーツPが正しく順番に取上げけられる。しかもパーツPは、それぞれ必要な部位がピックアップアーム14によって吸着保持されて、次工程へ移送される。このとき、パーツPの大きさや形状に応じて1個以上の吸着ハンド部16が平面視での相対位置関係を変更して必要な吸着ハンド部16で吸着するので、様々な形状のパーツPを確実にピックアップできる。
【0066】
そのうえ、パーツPは1個以上の吸着ハンド部16で移送されるので、そのパーツPの移送に使われないピックアップアーム14(吸着ハンド部16)は、別のパーツPの移送に、同時に利用でき、移送効率を良くすることができる。
【0067】
このように、人手で移送する場合と比べて、ピックアップミスをなすことができるとともに、パーツの形状の違いにも柔軟に対応でき、効率も良い。
【0068】
また、ピックアップアーム14を裁断工程と次工程との間で移動可能にするのは、裁断工程の領域と次工程の領域とを往復動する移動体17であるので、個々のピックアップアーム14を秩序よく動作させることができる。
【0069】
しかも、ピックアップアーム14ごとに移動体17を備えているので、各ピックアップアームの移動の自由度が高いうえに、パーツPの大きさや形状の違いにも十分に対応できる。
【0070】
さらに、ピックアップアーム14は裁断工程と次工程を結ぶ移送ラインの両側部にそれぞれ複数ずつ配置したので、ピックアップアーム14のアーム部15の伸縮構造と相まって、コンパクトに構成しながらもより効率の良い移送を実現できる。
【0071】
前述のようにピックアップミスをなくして所望の移送が行えるうえに、裁断工程と次工程との間に備えた印字手段71は必要に応じてパーツPごとに識別符号を印字する。このため、移送後に万が一パーツPがバラバラなるようなことがあっても、後の工程での作業に支障をきたさないようにすることができる。
【0072】
図11図14を用いて他の例について説明する。この説明において前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0073】
図11は、裁断装置で裁断されたパーツをそれらの配置を崩さずに移動して待機させる部分(ピックアップテーブル12a)を前段載置台12とした例の概略構造を示す平面図である。図中21aはコンベアで構成された裁断テーブルであり、21bは裁断テーブル21a上を縦横に移動する裁断ヘッドである。ピックアップテーブル12aは裁断テーブル21aと同様にコンベアで構成されており、裁断別途21bで裁断されたパーツPはそのまま搬送されて前段載置台12の所定位置まで搬送される。
【0074】
移送装置11のピックアップアーム14は、前段と後段(次工程)、つまりこの例では裁断工程部21の前段載置台12(ピックアップテーブル12a)と集合工程部22との間を移動可能に備えられている。
【0075】
図12図13には、他の例に係る印字手段71を示している。前述例の印字手段71がピックアップアーム14で保持されたパーツPに印字を行うものであったのに対して、この印字手段71はパーツPを仮置き台78に載置した状態で印字できるようにしたものである。
【0076】
具体的には、裁断工程部21と集合工程部22との間に備えられた印字手段71は、印字方向を下に向けて上方から垂設されたプリンタ72で構成されている。プリンタ72は、支持枠74から裁断工程部21と集合工程部22との間の空間部の上方に向けてレール部18の延びる方向であるX軸上で突出するように設けられた移動支持体91に設けられている。移動支持体91はレール部18の延びる方向と直交するY軸上を支持枠74に沿って移動するものであって、エアシリンダで裁断工程部のY軸方向の中間位置から一端に往復動可能に構成されている。移動支持体91の下面には下端にプリンタ72を保持する棒状の支持軸92が設けられるが、この支持軸92の上端にはエアシリンダで構成される摺動体93が設けられている。この摺動体93はX軸上で往復動可能であるとともに、所定位置で停止できるように構成される。
【0077】
プリンタ72の下端位置は、裁断工程部21を構成する前段載置台12のテーブル面よりも上であって常態にあるピックアップアーム14における吸着ハンド部16下面の吸着口61高さに近い位置に設定される。
【0078】
仮置き台78は、印字手段、つまりプリンタ72の下であってプリンタ72による印字を可能とする印字位置にパーツPを載置するものであり、印字位置と、裁断工程部21及び集合工程部22を結ぶ水平領域から退避した退避位置との間を移動可能である。
【0079】
図示例では、退避位置を水平領域、つまり前段載置台12のテーブル面の高さよりも下であって、かつプリンタ72の真下に設定している。
【0080】
このため仮置き台78は、前段載置台12の下部に形成されて集合工程部22側に向けて突出する支持台94上の昇降機構95で昇降可能に支持されており、前段載置台12のテーブル面より低い位置からそれより上のプリンタ72に対向する印字位置と同じ高さまで往復動する。昇降機構95はエアシリンダで構成され、先端の移動体95aに設けたエアシリンダからなる水平動機構96に断面L字型に形成された仮置き台78が設けられている。
【0081】
昇降機構95と仮置き台78との間に介在された水平動機構96は、仮置き台78を水平方向、より具体的にはY軸上で水平移動させるものである。このため、仮置き台78は移動用モータ31によるピックアップアーム14の移動方向と直交する方向にあらかじめ定められた所定距離往復動可能である。
【0082】
図中、79で示している前段載置台12の集合工程部22側の端部におけるY軸方向の一端に設けられた部材は、プリンタ72のインクの乾燥を防止するホルダであって、昇降可能に備えられている。印字を行わないときなど必要な時にプリンタ72は上昇したホルダ79に保持される。
【0083】
このような印字手段71を備えた移送装置11において制御部81は、吸着ハンド部16でパーツPを吸着したピックアップアーム14を後段載置台13に向けてのX軸上での移動途中で移動用モータ31を一旦停止する。そしてピックアップアーム14を伸ばして、吸着ハンド部16をプリンタ72に向けてY軸上で移動させる。その移動に同期して昇降機構95を駆動し、仮置き台78を上昇させる。この上昇に先立って、仮置き台78の上にパーツPを載置できるように、つまりパーツPを仮置き台78に載置する際にプリンタ72と干渉することがないように、水平動機構96を駆動して仮置き台78のY軸上での位置をプリンタ72から離れる方向に変更する。
【0084】
制御部81は、パーツPを吸着した吸着ハンド部16を印字位置に近い所定位置まで移動させたのち吸着ハンド部16による吸着を停止して、印字位置の高さまで上昇して迎えに来た仮置き台78上でパーツPを離して、パーツPを仮置き台78に載置させる。そして水平動機構96を駆動して仮置き台78をY軸上で移動させてパーツPをプリンタ72側に寄せ、パーツPの所定部位をプリンタ72の下に位置させる。続いて、摺動体93を駆動してX軸上で裁断工程部21側へ移動しながらプリンタ72を駆動して印字を行う。その後、水平動機構96を駆動して仮置き台78をプリンタ72から離れる方向に移動して元に戻し、吸着ハンド部16によるパーツPの吸着を行い、仮置き台78を降下させるとともに、移動用モータ31を再度駆動してピックアップアーム14を後段載置台13に向けてX軸上で移動させる。
【0085】
このようにしてパーツPを仮置き台78に載置して印字を行う構成では、プリンタ72と吸着ハンド部16との干渉をなくして整然と所望の印字動作が行える。しかも、吸着ハンド部16で吸着しながらでなくても印字できるので、特に大きさが小さいパーツPであっても、正確な印字が確実できる利点がある。さらには、仮置き台78を単に昇降させるだけではなく、水平動機構96を備えて仮置き台78のY軸上での水平移動を行う構成としたので、プリンタ72の周辺で移動する各部の干渉を防止して所望の印刷が確実に行えるようにすることができる。
【0086】
図14は、ピックアップアーム14のアーム部15について他の例を示しており、先端の吸着ハンド部16が昇降管51の中心点Cを中心にして回転可能に構成されている。すなわち、昇降管51における吸着ハンド部16の上側部分で切断した状態を示す図14に示したように、昇降管51の下端と吸着ハンド部16が相対回転可能に結合されている。昇降管51の下端に形成された鍔部51aにおけるラック52と反対側の部位にはギヤ部51bが形成されており、このギヤ部51bにギヤ98を介して回転力を伝えるモータ99が吸着ハンド部16の内部に装着されている。
【0087】
このように構成された吸着ハンド部16を有する移送装置11では、モータ99の駆動に従って先端の吸着口61が首振りをするので、パーツPの吸着態様の自由度を高めることができる。
【0088】
以上の構成は、この発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0089】
例えばアーム部15は複数の軸を有するロボットアームで構成してもよい。
【0090】
またパーツPは、生地からなるものに限らず、合成樹脂や木、金属などからなるものであってもよい。
【0091】
仮置き台78は、搬送ラインの一側部を退避位置としてもよい。また仮置き台78は前段載置台12と後段載置台13を隔てた空間部に備えたが、後段載置台13の側に備えてもよく、またその場合、例えば後段載置台13の一部を切り欠いてその切欠き部分に仮置き台78を備えるようにしてもよい。
【0092】
また、仮置き台78にパーツPを載置して印字を行う際に、吸着ハンド部16によるパーツPの吸着を停止させずに継続するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0093】
11…移送装置
12…前段載置台
13…後段載置台
14…ピックアップアーム
15…アーム部
16…吸着ハンド部
17…移動体
21…裁断工程部
22…集合工程部
71…印字手段
78…仮置き台
95…昇降機構
96…水平動機構
P…パーツ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14