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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091728
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20230623BHJP
   E03D 11/13 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D11/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149000
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2021205833の分割
【原出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 嵩正
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD00
2D039AD04
(57)【要約】
【課題】床上排水方式に対応可能な、良好な意匠性の水洗大便器を提供する。
【解決手段】水洗大便器1は、便鉢部10と、トラップ部20と、外周壁部40とを備えている。トラップ部20は、便鉢部10の下端に連なっている。外周壁部40は、水洗大便器1の設置状態において、便鉢部10及びトラップ部20を前後左右の全周に渡って包囲して床面に配置される。水洗大便器1は、これら便鉢部10、トラップ部20及び外周壁部40を一体に形成した陶器製である。外周壁部40は、トラップ部20の下流端である第2下降流路23の下端に接続される接続管Pを通すための開口40Aを後部に形成している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部と、
前記便鉢部の下端に連なるトラップ部と、
設置状態において、前記便鉢部及び前記トラップ部を前後左右の全周に渡って包囲しており、床面上に配置される外周壁部と、
を備えて一体に形成した陶器製の水洗大便器であって、
前記外周壁部は、前記トラップ部の下流端に接続される接続管を通すための開口を後部に形成している、水洗大便器。
【請求項2】
前記トラップ部と前記外周壁部とを連結し、前記トラップ部を支持する支持壁部を備えており、
前記開口は、前記支持壁部に連続している請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項3】
前記トラップ部と前記外周壁部とを連結し、前記トラップ部を支持する支持壁部を備えており、
前記開口の上端縁は、前記支持壁部の下端縁の下方50mm以内に位置する請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の水洗大便器。
【請求項4】
前記支持壁部は、給水ホース及び電源コードの少なくとも一方を通すための貫通孔を形成しており、
前記貫通孔と前記開口とは、設置時の平面視において、前後方向に重なっている請求項2及び請求項3のいずれか一項に記載の水洗大便器。
【請求項5】
前記開口内に設けられ、給水ホース及び電源コードの少なくとも一方を支持する支持部を備えている請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の水洗大便器。
【請求項6】
前記開口において、前記接続管よりも下方に、給水ホース及び電源コードの少なくとも一方を通している請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の水洗大便器。
【請求項7】
前記開口は、第1開口であり、
前記外周壁部は、給水ホース及び電源コードの少なくとも一方を内側に引き入れるための第2開口を後部に形成している請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の水洗大便器。
【請求項8】
前記第1開口と前記第2開口とは同一である請求項7に記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水洗大便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の水洗大便器を開示している。この水洗大便器は陶器製である。この水洗大便器は、便鉢部と、便鉢部の下端に連なるトラップ部と、これら便鉢部及びトラップ部を全周に渡って包囲する外周壁部とを備えている。この水洗大便器は、便鉢部、トラップ部、及び外周壁部を陶器で一体に形成しており、美観に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-114633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の水洗大便器は、トラップ部を経た排水を床面の排水管に排水するいわゆる床下排水式として使用されることを想定したものである。水洗大便器における排水方式としては、後方壁面の排水管に排水するいわゆる床上排水式も存在する。特許文献1の水洗大便器は、この床上排水式に対応することは難しい。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、床上排水方式に対応可能な、良好な意匠性の水洗大便器を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る水洗大便器は、便鉢部と、前記便鉢部の下端に連なるトラップ部と、設置状態において、前記便鉢部及び前記トラップ部を前後左右の全周に渡って包囲しており、床面上に配置される外周壁部と、を備えて一体に形成した陶器製の水洗大便器であって、前記外周壁部は、前記トラップ部の下流端に接続される接続管を通すための開口を後部に形成している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る水洗大便器を備えた便器装置を示す側面図である。
図2】実施形態1に係る水洗大便器を備えた便器装置を示す背面図である。
図3】実施形態1に係る水洗大便器を示す平面図である。
図4】実施形態1に係る水洗大便器を示す背面図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6図3のVI-VI線断面図である。
図7図3のVII-VII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の水洗大便器を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、水洗大便器の前後、左右、上下の各方向は、水洗大便器を着座状態で使用する使用者から見た前後、左右、上下方向である。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向をそれぞれ前方、左方、及び上方とする。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る水洗大便器1は、図1及び図2に示す便器装置Tに備えられている。便器装置Tは、後方壁面の図示しない排水管に排水する床上排水式の便器装置として使用される。便器装置Tは、水洗大便器1と、便座装置2と、便器洗浄装置3と、接続管Pと、給水ホースHと、電源コードCと、を備えている。便座装置2は、便座2A、便蓋2B、機能部2C等を有し、水洗大便器1の上方に配置される。
【0010】
便器洗浄装置3は、洗浄水を貯留するタンク、このタンク内の洗浄水を圧送するポンプ等の各種機能部品を有している。図1及び図2に示すように、便器洗浄装置3は、水洗大便器1の内部空間に配置される。具体的には、便器洗浄装置3は、水洗大便器1の内部空間である後述する上側空間部S1に配置される。便器洗浄装置3の一部は、水洗大便器1の上端よりも上方に位置し、便座装置2における機能部2Cに覆われている。接続管Pは、水洗大便器1におけるトラップ部20と、後方壁面の図示しない排水管とを接続する。給水ホースH及び電源コードCは、便座装置2及び便器洗浄装置3に対して外部から給水及び給電を行う。
【0011】
図3から図7に示すように、水洗大便器1は、便鉢部10、トラップ部20、上面部30、外周壁部40、支持壁部60、及び支持部70を備えている。水洗大便器1は、これら便鉢部10、トラップ部20、上面部30、外周壁部40、及び支持壁部60を一体に形成した陶器製である。便鉢部10は、上端部が楕円状に開口した椀形状である。トラップ部20は便鉢部10の下端に連なっている。上面部30は、便鉢部10の上端縁から横方向に拡がっている。外周壁部40は、便鉢部10及びトラップ部20を前後左右の全周に渡って包囲している。外周壁部40は、水洗大便器1の設置状態において、設置面となる床面上に配置される。支持壁部60は、トラップ部20と外周壁部40とを連結してトラップ部20を支持する。
【0012】
図5に示すように、トラップ部20は、第1下降流路21と、上昇流路22と、第2下降流路23とを有している。第1下降流路21は、便鉢部10の下部に連続し、後方に向けて斜め下方に傾斜している。上昇流路22は、第1下降流路21に連続し、後方に向けて斜め上方に傾斜している。第1下降流路21と上昇流路22との境界部は、緩やかに湾曲しており、連続的に変化する流路で形成されている。第1下降流路21と上昇流路22との境界部は、トラップ部20全体における下端20Aに相当する。
【0013】
図5に示すように、第2下降流路23は、上昇流路22に連続し、略鉛直方向に延びている。上昇流路22と第2下降流路23との境界部は、第1下降流路21と上昇流路22との境界部と比較して急激に湾曲しており、連続的に変化する流路で形成されている。第2下降流路23の下端は鉛直下方に開口している。第2下降流路23の下端部には接続管Pが接続される。第2下降流路23の下端は、トラップ部20における下端20Aよりも上方に位置している。
【0014】
図3及び図5に示すように、上面部30は開口部31を有している。開口部31は、便鉢部10の上方に位置する部分が上下方向に開口した形態である。開口部31は、便鉢部10の上端周縁の形状に沿った楕円状をなしている。上面部30の外縁は、前後方向を長手方向とする長方形状をなしている。上面部30における後端30Aは、左右方向に直線状に延びている。上面部30における後端30Aには突出部32が設けられている。突出部32は、上面部30における後端30Aから後方に向けて突出している。
【0015】
外周壁部40は、図3から図7に示すように、前壁部41、左右壁部42L,42R、及び後壁部43を有している。外周壁部40は便鉢部10及びトラップ部20を包囲している。前壁部41と左右壁部42L,42Rは、上面部30における前端及び左右の外縁部を上端として、下方に連続して延びている。左右壁部42L,42Rの後部は、上面部30の後端30Aよりも後方に延びている。後壁部43は、平面視で上面部30の後端30Aに対向して延びている。外周壁部40の下端面は、水洗大便器1の設置状態においては、設置面となる床面上に載せられる。
【0016】
前壁部41は、図5及び図6に示すように、上側から下側に向けて徐々に内側に湾曲している。左右壁部42L,42R及び後壁部43は、図4及び図5に示すように、上方から下方に向けて僅かに内側に傾斜している。外周壁部40は、これら前壁部41、左右壁部42L,42R、及び後壁部43の外周面を全周に渡って一連の曲面で形成した凹凸のない流麗な意匠をなしている。外周壁部40の下端部は、全周に渡って、内側方向に凹んだ段差状をなしている。
【0017】
図7に示すように、外周壁部40は補強壁部44を有している。補強壁部44は、左右壁部42L,42Rにおける上面部30の後端30Aよりも後方の部分の内側に設けられている。この補強壁部44が設けられていることによって、外周壁部40における上面部30の後方の部分には2重構造部分が形成される。
【0018】
図4及び図5に示すように、外周壁部40は開口40Aを形成している。開口40Aは、便器装置Tにおける接続管Pを通すための開口である。すなわち、開口40Aは、本開示に係る第1開口に対応する。開口40Aは、外周壁部40における後壁部43を貫通して形成されている。開口40Aは、水洗大便器1の背面視において、後壁部43における左右中央部に形成されている。開口40Aは、下端が下方に開放されたU字状をなしている。本実施形態の場合、開口40Aには、給水ホースH及び電源コードCも通される。すなわち、開口40Aは、本開示に係る第2開口にも対応する。
【0019】
水洗大便器1は、図5及び図6に示すように、第1内壁部51及び第2内壁部52を有している。第1内壁部51は、前壁部41の内側、及び左右壁部42L,42Rの内側のそれぞれに連続して設けられている。第1内壁部51は、前壁部41及び左右壁部42L,42Rの下端部から上方に立ち上がっている。第1内壁部51の上端部は便鉢部10の下面に接続されている。第1内壁部51は、前壁部41から左右壁部42L,42Rにかけて、外周壁部40の内面に沿って後方に延びている。図5及び図6に示すように、第2内壁部52は、便鉢部10の後方において上面部30の後部から下方に延びている。
【0020】
水洗大便器1は、図5から図7に示すように、上側空間部S1及び下側空間部S2を形成している。上側空間部S1は、上面部30の後方において上方に開口している。上側空間部S1は、左右壁部42L,42R、後壁部43、及び第2内壁部52(図6参照)によって囲まれており、支持壁部60の上方に形成されている。下側空間部S2は、第1内壁部51、左右壁部42L,42R、及び後壁部43によって囲まれた空間であって、支持壁部60の下方の空間である。下側空間部S2は下方に開口している。
【0021】
支持壁部60はトラップ部20を支持する。図3から図7に示すように、支持壁部60は、トラップ部20との接続部Jから延びて外周壁部40の内面に接続している。支持壁部60は、前端部においては、第2内壁部52の下端部に接続されている。図4及び図7に示すように、支持壁部60は、前後方向から見て、左右方向中心部から左右の外側方向に向けて、断面クランク状に下方に屈曲して延びる形態である。これによって、上側空間部S1は、左右の端部において、中央部よりも下方に凹状に窪んだ空間を形成している。これに対し、下側空間部S2は、左右の端部よりも中央部が上方に凸状に突出する形状をなしている。上側空間部S1における左右の凹状の空間には、図2に示すように、便器洗浄装置3における洗浄水のタンク等が上方から延びて配置される。換言すると、便器装置Tにおける便器洗浄装置3は、左右方向において支持壁部60及びトラップ部20と重なるように配置される。下側空間部S2における左右中央部の凸状の空間には、図2に示すように、トラップ部20における第2下降流路23と、この第2下降流路23の下端に接続される接続管Pが配置される。
【0022】
支持壁部60は左右対称な形状をなしている。具体的には、支持壁部60は、図3から図7に示すように、上側支持壁部61と、左右の縦支持壁部62L,62Rと、左右の下側支持壁部63L,63Rと、を有している。上側支持壁部61は、トラップ部20との接続部Jを形成する部分である。図3から図5に示すように、上側支持壁部61は前後方向に延びる平板状をなしている。上側支持壁部61は、トラップ部20の第2下降流路23における上下方向中間部の外周面から水平方向に延びている。上側支持壁部61の前端部は第2内壁部52に接続されている。上側支持壁部61の後端部は後壁部43に接続されている。図5に示すように、上側支持壁部61の下面高さは、開口40Aの上端縁と同等の高さである。すなわち、本実施形態に係る開口40Aは、上端縁において上側支持壁部61に連続している。図3に示すように、上側支持壁部61の左右の端部は、左右の補強壁部44から間隔をあけて前後方向に直線状に延びている。
【0023】
左右の縦支持壁部62L,62Rは、上側支持壁部61の左右の端部から下方に延びている。図5及び図6に示すように、左右の縦支持壁部62L,62Rの後端部はそれぞれ後壁部43に接続されている。左右の縦支持壁部62L,62Rの前端部は、それぞれ第2内壁部52に接続されている。左右の縦支持壁部62L,62Rの下端は、それぞれトラップ部20における第2下降流路23の下端よりも下方まで延びている。左右の縦支持壁部62L,62Rの下端は、それぞれトラップ部20における下端20Aよりも下方まで延びている。左右の縦支持壁部62L,62Rの下端は、外周壁部40の下端よりも上方において前後方向に延びている。図7に示すように、左右の縦支持壁部62L,62Rは、下方に向かうにつれて外側方向に僅かに傾斜している。左右の縦支持壁部62L,62Rは、開口40Aの縁部に沿って下方に延びる形態である。すなわち、本実施形態に係る開口40Aは、左右の端縁において、左右の縦支持壁部62L,62Rに連続している。
【0024】
図7に示すように、左右の下側支持壁部63L,63Rは、左右の縦支持壁部62L,62Rの下端から左右方向外側に水平に延びている。左右の下側支持壁部63L,63Rの前端部は、それぞれ第2内壁部52に接続されている。左右の下側支持壁部63L,63Rの後端部はそれぞれ後壁部43に接続されている。左右の下側支持壁部63L,63Rの左右方向の端部は、補強壁部44に接続されている。
【0025】
図3図5、及び図6に示すように、支持壁部60は複数の貫通孔60A,60B,60Cを形成している。複数の貫通孔60A,60B,60Cは、それぞれ支持壁部60によって仕切られた上側空間部S1と下側空間部S2とを連通している。これら複数の貫通孔60A,60B,60Cのうち、貫通孔60Aは上側支持壁部61に形成され、貫通孔60B,60Cは左右の縦支持壁部62L,62Rのそれぞれに形成されている。本実施形態の場合、これら複数の貫通孔60A,60B,60Cのうち、貫通孔60Aには、開口40Aから外周壁部40の内側の下側空間部S2内に引き入れられた給水ホースH及び電源コードCが通される。
【0026】
図3に示すように、貫通孔60Aは、平面視において、開口40Aと前後方向に重なる位置に形成されている。貫通孔60Aは、平面視において、トラップ部20と前後方向に重なる位置に形成されている。貫通孔60Aの前端縁は、トラップ部20の外周面に連続している。貫通孔60B,60Cは、平面視において、トラップ部20と左右方向で重なる位置に形成されている。貫通孔60B,60Cは、トラップ部20における第2下降流路23の下端よりも下方に形成されている。貫通孔60B,60Cは、トラップ部20における下端20Aよりも下方に形成されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、支持部70は開口40Aに配置される。支持部70は、開口40Aに通される給水ホースH及び電源コードCを支持する。支持部70は、開口40Aを塞ぐ板状に形成されている。支持部70は、接続管Pが貫通する貫通孔70Aを形成している。
【0028】
本実施形態に係る水洗大便器1の作用及び効果について説明する。水洗大便器1は、便鉢部10と、トラップ部20と、外周壁部40とを備えている。トラップ部20は、便鉢部10の下端に連なっている。外周壁部40は、水洗大便器1の設置状態において、便鉢部10及びトラップ部20を前後左右の全周に渡って包囲して床面に配置される。水洗大便器1は、これら便鉢部10、トラップ部20及び外周壁部40を一体に形成した陶器製である。外周壁部40は、トラップ部20の下流端である第2下降流路23の下端に接続される接続管Pを通すための開口40Aを後部に形成している。
【0029】
水洗大便器1は、便鉢部10及びトラップ部20を全周に渡って包囲する外周壁部40によって、良好な意匠が付与されている。水洗大便器1は、このような外周壁部40の後部に、接続管Pを通すための開口40Aを形成している。したがって、水洗大便器1は、床上排水方式に対応な、良好な意匠性の水洗大便器を実現できる。
【0030】
外周壁部40は、第2開口としての開口40Aを後部に形成している。開口40Aは、給水ホースH及び電源コードCを外周壁部40の内側に引き入れるために設けられている。このため、水洗大便器1は、給水ホースH及び電源コードCを良好に取り回すことができ、すっきりとした外観の良好な意匠を得ることができる。
【0031】
開口40Aは、本開示に係る第1開口及び第2開口の両方として機能する。このため、水洗大便器1は、接続管用の開口と給水ホース、電源コード等用の他の開口とを別々に設ける場合と比較して、開口の形成数を抑えることができ、外周壁部の美観低下の抑制を図ることができる。
【0032】
水洗大便器1は支持壁部60を備えている。支持壁部60は、トラップ部20と外周壁部40とを連結してトラップ部20を支持する。このため、水洗大便器1は、トラップ部20の強度を確保できる。水洗大便器1は、支持壁部60を備えたことによって、外周壁部40の強度も確保できる。
【0033】
開口40Aは、支持壁部60に連続している。このため、水洗大便器1は、外周壁部40における開口40Aの周縁部の強度を確保できる。例えば、外周壁部に形成された開口が支持壁部に連続していない場合、開口の周縁部の強度は、外周壁部の強度のみに依存する。これに対し、本実施形態の場合、開口40Aの周縁部の強度は、外周壁部40と支持壁部60とによるものとなり、一層の強度向上を図ることができる。
【0034】
開口40Aの上端縁の高さは、支持壁部60における上側支持壁部61の下面と同等の高さである。すなわち、開口40Aの上端縁の高さは、支持壁部60における上側支持壁部61の下端縁の下方50mm以内を確保している。このため、水洗大便器1は、開口40Aの十分な大きさが確保されるとともに、下過ぎない良好な高さで開口40Aを形成しているため、接続管Pを容易に通すことができる。
【0035】
水洗大便器1は支持部70を備えている。支持部70は、開口40A内に設けられる。支持部70は、給水ホースH及び電源コードCを支持する。このため、水洗大便器1は、給水ホースH、及び電源コードCの配索経路を良好に規制することができる。
【0036】
支持壁部60は貫通孔60Aを形成している。貫通孔60Aには、給水ホースH及び電源コードCが通される。貫通孔60Aと開口40Aとは、設置時の平面視において、前後方向に重なっている。このため、水洗大便器1は、開口40Aから内部に引き入れた給水ホースH及び電源コードCを、貫通孔60Aに無理なく通すことができる。
【0037】
開口40Aを通される給水ホースH及び電源コードCは、それぞれ接続管Pよりも下方を通されている。これによって、水洗大便器1は、開口40Aにおける接続管Pよりも下方の空間を有効に利用することができる。例えば、後方壁面の排水管の高さは、155mm等、ある程度仕様が決まっている。このため、接続管Pの高さ位置もその仕様に応じて決まってしまい、接続管Pを下方に寄せて配置することは難しい。本実施形態では、開口40Aにおける接続管Pの下方の空間に給水ホースH及び電源コードCを通したことによって、開口40A内の空間の有効利用を図ることができる。
【0038】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0039】
外周壁部における第1開口及び第2開口の形成位置は、上記実施形態に限定されない。すなわち、第1開口が外周壁部の後部における左右中心に形成されることは必須ではない。第1開口は、例えば、外周壁部の後部における左右の側方寄りの位置に形成されていてもよい。
【0040】
外周壁部が第2開口を形成することは必須ではない。第2開口が形成されない場合、給水ホース及び電源コードは、外周壁部の上方及び下方の少なくとも一方から外周壁部の内部に引き入れられてもよい。第2開口が形成される場合、第2開口は、上記実施形態と同様、第1開口と同一の開口として形成されていてもよいし、第1開口とは別の開口として形成されていてもよい。
【0041】
第1開口及び第2開口の開口形状は上記実施形態の形状に限定されない。第1開口及び第2開口の少なくとも一方は、例えば、外周壁部の下端に開放されていなくてもよい。すなわち、第1開口及び第2開口の少なくとも一方は、外周壁部の下端よりも上方に形成されていてもよい。
【0042】
水洗大便器は、接続管、給水ホース、電源コード以外のもの、例えば、通気用の配管、信号線、操作用ワイヤ等を外周壁部の内側に引き入れる第3開口を形成していてもよい。この場合、第3開口は、第1開口と同一の開口であってもよいし、第2開口と同一の開口であってもよい。
【0043】
水洗大便器が支持壁部を備えることは必須ではない。支持壁部を備える場合、その形状等は上記実施形態に限定されない。支持壁部は、例えば、トラップ部の左右側方の部分において、トラップ部との接続部から水平方向に延びて外周壁部に接続されていてもよい。支持壁部は、例えば、トラップ部との接続部から全周方向に渡って水平方向に延びて外周壁部に接続される平板状であってもよい。支持壁部の少なくとも一部は、例えば、トラップ部との接続部よりも上方において外周壁部に接続されてもよい。支持壁部は、例えば、トラップ部よりも後方の部分において、トラップ部との接続部よりも下方に延びて外周壁部に接続されていてもよい。
【0044】
水洗大便器が支持壁部を備える場合、第1開口は、支持壁部に連続していなくてもよい。この場合、第1開口は、例えば、第1開口の縁部における外周壁部の強度が確保される範囲で、支持壁部から離れて形成されていてもよい。第1開口の上端縁は、例えば、支持壁部の下端縁の下方50mmを越えて下方に位置にしていてもよい。
【0045】
本開示において、「第1開口が支持壁部に連続」する形態とは、第1開口の上端縁と支持壁部の下面といわゆる面一をなす形態の他、上記実施形態のように第1開口の上端縁と支持壁部の下面との高さの差が僅か(例えば、外周壁部における肉厚と同等以下の差)に設けられている形態も含むことを意図するものである。
【0046】
水洗大便器が支持壁部を備える場合、支持壁部に貫通孔を形成することは必須ではない。支持壁部に貫通孔を形成する場合、貫通孔の数、形状、形成位置等は、上記実施形態に限定されない。貫通孔は、例えば、平面視においてトラップ部と前後方向に重なるトラップ部の後方に形成され、且つトラップ部における第2下降流路の下端、及びトラップ部全体の下端の少なくとも一方よりも下方に形成された形態であってもよい。
【0047】
水洗大便器が支持部を備えることは必須ではない。水洗大便器が支持部を備える場合、支持部は、通気用の配管、信号線、操作用ワイヤ等、給水ホース及び電源コード以外のものを支持してもよい。
【0048】
外周壁部が補強壁部を有することは必須ではない。すなわち、外周壁部に2重構造部分を形成することは必須ではない。外周壁部が補強壁部を有する場合、補強壁部は、上記実施形態のように外周壁部における周方向の一部にのみ形成されていてもよいし、外周壁部における周方向の全周に形成されていてもよい。外周壁部は、例えば、周方向の全周に渡って1重構造のみで形成されていてもよい。
【0049】
本開示に係る水洗大便器は、便器洗浄装置の少なくとも一部が支持壁部の下側の空間である下側空間部に配置される形態で使用されてもよい。
【0050】
本開示に係る水洗大便器は床下排水式で使用されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…水洗大便器、10…便鉢部、20…トラップ部、40…外周壁部、40A…開口(第1開口、第2開口)、43…後壁部、60…支持壁部(61…上側支持壁部、62L,62R…縦支持壁部、63L,63R…下側支持壁部)、60A,60B,60C…貫通孔、70…支持部、C…電源コード、H…給水ホース、P…接続管
図1
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図7