(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091729
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】分析用プレート
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230623BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230623BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G01N35/08 E
G01N37/00 101
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152334
(22)【出願日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2021205713
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510049182
【氏名又は名称】HILLTOP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】合田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】宮▲濱▼ 司
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB09
2G058CC05
2G058CC17
2G058GA02
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB20
4B029FA15
(57)【要約】
【課題】試料について昇温してから降温するという一連の熱サイクルに要する時間の短縮を図ることができる分析用プレートを提供する。
【解決手段】分析用プレート1は、板状であり、内側に試料が配置される試料室111bと、導入口112bと、排出口113bと、試料室111bと導入口112bとに連通する流路112dと、試料室111bと排出口113bとに連通する流路115aと、を有するプレート本体11と、使用時に導入口112bを封止する導入口封止部材12と、使用時に排出口113bを封止する排出口封止部材14と、を備える。そして、試料室111bのX軸方向における幅W11は、試料室111bのZ軸方向の幅W12に比べて広い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状であり、内側に試料が配置される試料室と、前記試料室内に供給される前記試料が導入される導入口と、前記試料室内に配置された前記試料を排出するための排出口と、前記試料室と前記導入口とに連通する第1流路と、前記試料室と前記排出口とに連通する第2流路と、を有するプレート本体と、
水密性且つ気密性を有する材料から形成され、使用時に前記導入口を封止する導入口封止部材と、
水密性且つ通気性を有する材料から形成され、使用時に前記排出口を封止する排出口封止部材と、を備え、
前記試料室の前記プレート本体の厚さ方向に直交する方向における幅は、前記試料室の前記プレート本体の厚さ方向の幅に比べて広い、
分析用プレート。
【請求項2】
前記プレート本体は、
厚さ方向に貫通する貫通孔と、
内側に前記試料室が形成され且つ前記貫通孔の内側に前記貫通孔の内壁との間に空隙が形成される形で配設されるチャンバ部と、
前記貫通孔の内壁から延在し前記チャンバ部を支持する支持部と、を有する、
請求項1に記載の分析用プレート。
【請求項3】
前記チャンバ部の厚さは、前記プレート本体における前記貫通孔の外周部の厚さよりも薄い、
請求項2に記載の分析用プレート。
【請求項4】
前記試料室は、前記プレート本体の厚さ方向から見たときの形状が円形である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の分析用プレート。
【請求項5】
前記第1流路における前記試料室側の端部は、前記第1流路の延在方向に直交する断面の面積が前記試料室に近づくほど大きくなるような形状を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の分析用プレート。
【請求項6】
前記プレート本体の厚さ方向における一面側を覆うシートを更に備え、
前記プレート本体は、前記第2流路の途中に設けられ前記プレート本体の前記一面側が開放されるように窪んだ形状を有するとともに、前記試料室に前記試料を充填するときに前記第2流路へ漏れ出た前記試料を一時的に貯留する貯留部を更に有し、
前記試料室に前記試料が充填され且つ前記シートを前記一面側から前記貯留部の内側へ押し込んで前記貯留部の内壁に密着させた状態で使用される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の分析用プレート。
【請求項7】
前記プレート本体と前記導入口封止部材とが連続一体に形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の分析用プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析用プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
試料の流路、外部と連通する試料の導入口および試料の排気口を有する本体基板と、導入口用のカバー部材と、排気口用のカバー部材と、を備える分析セルが提案されている(例えば特許文献1参照)。ここで、流路は、その上流側から下流側に向かって広がる形状を有し、導入口用のカバー部材は、液密性の部材であり、使用時において導入口に固定化でき、排気口用のカバー部材は、液密性且つ通気性の部材であり、使用時において排気口に固定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)法によるDNAを含む試料の分析では、試料について予め設定された温度まで昇温してから降温させるという一連の熱サイクルを予め設定された回数だけ繰り返すことにより試料に含まれる分析対象のDNAの量を増幅させ、試料を分析することが行われる。そして、このような分析では、熱サイクルに要する時間を短縮して分析に係る時間全体を短縮することが要請されている。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、試料について昇温してから降温するという一連の熱サイクルに要する時間の短縮を図ることができる分析用プレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る分析用プレートは、
板状であり、内側に試料が配置される試料室と、前記試料室内に供給される前記試料が導入される導入口と、前記試料室内に配置された前記試料を排出するための排出口と、前記試料室と前記導入口とに連通する第1流路と、前記試料室と前記排出口とに連通する第2流路と、を有するプレート本体と、
水密性且つ気密性を有する材料から形成され、使用時に前記導入口を封止する導入口封止部材と、
水密性且つ通気性を有する材料から形成され、使用時に前記排出口を封止する排出口封止部材と、を備え、
前記試料室の前記プレート本体の厚さ方向に直交する方向における幅は、前記試料室の前記プレート本体の厚さ方向の幅に比べて広い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プレート本体の試料室のプレート本体の厚さ方向に直交する方向における幅が、試料室のプレート本体の厚さ方向の幅に比べて広い。これにより、試料室内で試料を二次元的に配置させることができるので、プレート本体における試料室に対応する部分に熱源を接触させて試料室内に配置された試料の温度を変化させる場合、熱源からの熱が試料室内へ効率的に伝達される。従って、試料室内に配置された試料について予め設定された温度まで上昇させた後、降温させるという一連の熱サイクルを予め設定された回数だけ繰り返した後の状態の試料を分析する際、熱サイクルの繰り返しに要する時間を短縮できるので、試料の分析時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る分析用プレートを示し、(A)は斜視図であり、(B)は底面図である。
【
図2】実施の形態1に係る分析用プレートを示し、(A)は平面図であり、(B)は(A)のA-A線における断面矢視図である。
【
図3】実施の形態1に係る分析用プレートを用いた分析方法を示し、(A)は試料に熱サイクルを加える様子を示す図であり、(B)は試料に光を照射したときに得られる試料からの蛍光を分析する様子を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態2に係る分析用プレートを示し、(A)は斜視図であり、(B)は他の方向から見た斜視図である。
【
図5】実施の形態2に係る分析用プレートを示し、(A)は平面図であり、(B)は(A)のB-B線における断面矢視図である。
【
図6】実施の形態2に係る分析用プレートを示し、(A)はカバーシートを押圧する前の状態を示す断面図であり、(B)はカバーシートが押圧された状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態3に係る分析用プレートを示し、(A)は斜視図であり、(B)は他の方向から見た斜視図である。
【
図8】実施の形態3に係る分析用プレートを示し、(A)は平面図であり、(B)は(A)のC-C線における断面矢視図である。
【
図9】本発明の実施の形態4に係る分析用プレートを示し、(A)は斜視図であり、(B)は他の方向から見た斜視図である。
【
図10】実施の形態4に係る分析用プレートを示し、(A)は平面図であり、(B)は(A)のD-D線における断面矢視図である。
【
図11】本発明の実施の形態5に係る分析用プレートを示し、(A)は斜視図であり、(B)は底面図である。
【
図12】実施の形態5に係る分析用プレートを示し、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図13】実施の形態5に係る分析用プレートを示し、(A)は導入口が開放された状態を示す斜視図であり、(B)は導入口封止部材により導入口が封止された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る分析用プレートについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る分析用プレートは、板状であり、内側に試料が配置される試料室と、試料室内に供給される前記試料が導入される導入口と、試料室内に配置された前記試料を排出するための排出口と、前記試料室と前記導入口とに連通する第1流路と、前記試料室と前記排出口とに連通する第2流路と、を有するプレート本体と、水密性且つ気密性を有する材料から形成され、使用時に導入口を封止する導入口封止部材と、水密性且つ通気性を有する材料から形成され、使用時に排出口を封止する排出口封止部材と、を備える。そして、試料室のプレート本体の厚さ方向に直交する方向における幅は、第1流路および第2流路それぞれの幅に比べて広い。
【0010】
本実施の形態に係る分析用プレートは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)法により試料に含まれる分析対象のDNAの量を増幅させ、試料を蛍光分析することにより分析対象のDNAの有無を判別する検査に採用される。このPCR法では、分析対象となるDNAを含む溶液からなる試料の温度を予め設定された設定温度まで上昇させた後、下降させるという一連の熱サイクルを繰り返すことにより試料に含まれるDNAの量を増幅させる。そこで、本実施の形態に係る分析用プレートは、試料に効率良く熱を伝達することにより、1回の熱サイクルに要する時間を短縮して分析時間を短縮できるというものである。
【0011】
図1(A)に示すように、本実施の形態に係る分析用プレート1は、プレート本体11と、導入口封止部材12と、排出口封止部材14と、を備える。また、分析用プレート1は、
図1(B)に示すように、プレート本体11の-Z方向側を覆うようにプレート本体11の-Z方向側に貼り付けられたシート13を備える。プレート本体11は、
図2(A)および(B)に示すように、長尺の略矩形板状であり、平面視円形であり内側に試料(図示せず)が配置される試料室111bと、試料室111b内に供給される試料が導入される平面視円形の導入口112bと、試料室111b内に配置された試料を排出するための平面視円形の排出口113bと、を有する。プレート本体11は、例えば透光性を有する樹脂、ガラス等から形成されている。また、プレート本体11は、試料室111bと導入口112bとに連通する流路112dと、試料室111bと排出口113bとに連通する流路115aと、流路115aと排出口113bとの間に介在する貯留部113cと、を有する。
【0012】
また、プレート本体11の-Y方向側の端部には、+Z方向側へ突出したリブ112が設けられている。そして、前述の導入口112bは、リブ112におけるそのY軸方向の中央部よりも+Y方向側の位置に穿設されている。更に、
図2(B)に示すように、導入口112bの-Z方向側の端部には、-Z方向側に向かうにつれて縮径する断面形状を有し、-Z方向側の端部で流路112dの-Y方向側の端部に連続する案内部112cが形成されている。また、リブ112の-Y方向側の端部には、プレート本体11の-Z方向側から+Z方向側へ窪んだ凹部112aが形成されている。
【0013】
試料室111bは、プレート本体11の-Z方向側の面に形成された平面視円形の凹部の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる。即ち、試料室111bは、プレート本体11の厚さ方向から見たときの形状が円形となっている。流路112dは、プレート本体11の-Z方向側の面に形成され且つ導入口112bの中心軸に対応する部分からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる第1流路である。流路112dにおける+Y方向側の端部には、流路112dの延在方向に直交する断面、即ち、Y軸方向に直交する断面の面積が試料室111bに近づくほど大きくなるような形状を有する拡幅部114aが形成されている。また、試料室111bのプレート本体11の厚さ方向に直交する方向、即ち、X軸方向における幅W11は、試料室111bのZ軸方向の幅W12に比べて広い。ここで、幅W11は、幅W12の5倍以上に設定される。
【0014】
流路115aは、プレート本体11の-Z方向側の面に形成され且つ試料室111bの+Y方向側の端部からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる第2流路である。流路115aにおける試料室111b側の端部には、
図2(A)に示すように、流路115aの延在方向に直交する断面、即ち、Y軸方向に直交する断面の面積が試料室111bに近づくほど大きくなるような形状を有する拡幅部115bが形成されている。そして、試料室111bのX軸方向における幅W11は、流路112dおよび流路115aそれぞれの幅に比べて広くなっている。
【0015】
貯留部113cは、
図2(B)に示すように、プレート本体11の-Z方向側の面におけるZ軸方向において排出口113bと重なる部分に形成された平面視円形の凹部の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる。貯留部113cの-Y方向側の端部には、
図2(A)に示すように、-Y方向側に向かうにつれてX軸方向の幅が狭くなる形状を有し、-Y方向側の端部で流路115aの+Y方向側の端部に連続する案内部113dが形成されている。
【0016】
また、プレート本体11は、
図2(A)に示すように、平面視円形でありプレート本体11の厚さ方向に貫通する貫通孔111aと、貫通孔111aの内側に配設されたチャンバ部111と、チャンバ部111を支持する支持部114、115と、を有する。チャンバ部111は、平面視略円形であり、内側に試料室111bが形成されるとともに、貫通孔111aの内側に貫通孔111aの内壁との間に空隙GAP1が形成される形で配設されている。ここで、チャンバ部111の厚さは、プレート本体11における貫通孔111aの外周部の厚さよりも薄くなっている。支持部114、115は、それぞれ、貫通孔111aの内壁におけるZ軸方向で対向する2箇所それぞれから延在している。支持部114、115には、それぞれ、流路112d、115aが形成されている。更に、プレート本体11における排出口113bの+Z方向側には、平面視円形であり排出口封止部材14が嵌入される凹部113aが設けられている。
【0017】
導入口封止部材12は、水密性且つ気密性を有する材料から形成され、使用時にプレート本体11の導入口112bを封止する。水密性且つ気密性を有する材料としては、例えばポリプロピレンのような樹脂を採用することができる。導入口封止部材12は、板状の本体部121と、本体部121から-Z方向側へ突出する円筒状部122と、本体部121の-Y方向側の端部から-Y方向へ延出する舌片123と、を有する。導入口封止部材12は、使用時において、円筒状部122がプレート本体11の導入口112bに嵌入された状態で導入口112bを封止する。
【0018】
排出口封止部材14は、水密性且つ通気性を有する材料から形成され、使用時にプレート本体11の排出口113bを封止する。水密性且つ通気性を有する材料としては、例えばPTFEのような樹脂を採用することができる。排出口封止部材14は、平面視円形のシート状であり、使用時において、プレート本体11の凹部113aに嵌入された状態で排出口113bを封止する。
【0019】
次に、本実施の形態に係る分析用プレート1の使用方法について説明する。まず、分析用プレート1の導入口112bが導入口封止部材12により封止されていない状態で、導入口112bに分析対象となる試料を充填する。次に、導入口112bの内側に導入口封止部材12の円筒状部122を嵌め込んでから導入口封止部材12を-Z方向側へ押し込む。このとき、円筒状部122の内側に溜まった空気の空気圧により、導入口112bに充填された試料が流路112dを通じて試料室111b内へ押し出される。そして、試料室111b内から溢れた試料が流路115aを通じて貯留部113cへ流入する。このようにして、試料室111b内に分析対象となる試料を充填することができる。
【0020】
その後、例えば
図3(A)に示すように、分析用プレート1のチャンバ部111を熱源に接触させて、チャンバ部111の試料室111b内に配置された試料の温度を予め設定された設定温度まで上昇させた後、降温させるという一連の熱サイクルを繰り返す。次に、例えば
図3(B)に示すような、光源LSと光検出器DとハーフミラーHMとを備える分析ユニットTを用いて、光源LSから試料室111b内に配置された試料に光を照射して試料を光励起しながら、試料から発せられる蛍光を光検出器Dで検出することにより、試料の分析を行う。なお、
図3(B)では、試料室111b内に配置された試料に対してチャンバ部111の-Z方向側から光を照射する例について説明しているが、これに限らず、例えば試料室111b内に配置された試料に対してチャンバ部111の+Z方向側からシート13を通じて光を照射してもよい。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態に係る分析用プレート1によれば、プレート本体11の試料室111bのX軸方向における幅W11が、試料室111bのZ軸方向の幅W12に比べて広い。これにより、特に、試料室111bの幅W11が試料室111bの幅W12に比べて十分に大きい場合、試料室111b内で試料を二次元的に配置させることができる。それ故、プレート本体11における試料室111bに対応する部分に熱源Hを接触させて試料室111b内に配置された試料の温度を変化させる場合、熱源Hからの熱が試料室111b内へ効率的に伝達される。従って、試料室111b内に配置された試料について予め設定された温度まで上昇させた後、降温させるという一連の熱サイクルを予め設定された回数だけ繰り返した後の状態の試料を分析する際、熱サイクルの繰り返しに要する時間を短縮できるので、試料の分析時間を短縮できる。
【0022】
また、本実施の形態に係るプレート本体11では、内側に試料室111bが形成されたチャンバ部111が、プレート本体11の貫通孔111aの内側に貫通孔111aの内壁との間に空隙GAP1が形成される形で配設されている。そして、チャンバ部111の厚さは、プレート本体11における貫通孔111aの外周部の厚さよりも薄い。これにより、チャンバ部111の周囲の熱抵抗を増大させ且つチャンバ部111の厚さを薄くすることにより、チャンバ部111の熱容量を低減することができる。従って、プレート本体11における試料室111bに対応する部分に熱源を接触させて試料室111b内に配置された試料の温度を変化させる場合、熱源からの熱が試料室111b内へ効率的に伝達されるので、前述の熱サイクルの繰り返しに要する時間を短縮できる。
【0023】
更に、本実施の形態に係る試料室111bは、プレート本体11の厚さ方向から見たときの形状が円形である。これにより、試料室111bの内周部に気泡が発生することを抑制できる。
【0024】
また、本実施の形態に係る流路112dにおける試料室111b側の端部は、Y軸方向に直交する断面の面積が試料室111bに近づくほど大きくなるような形状を有する。これにより、試料が流路112dから試料室111bへ円滑に流れるので、試料室111b内の気泡の発生を抑制できる。
【0025】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る分析用プレートは、導入口封止部材の形状およびチャンバ部の形状が実施の形態1と相違する。
図4(A)および(B)に示すように、本実施の形態に係る分析用プレート2は、プレート本体21と、導入口封止部材22と、排出口封止部材14と、シート13と、を備える。なお、
図4(A)および(B)において、実施の形態1と同様の構成は
図1(A)および(B)と同一の符号を付している。プレート本体21は、
図5(A)および(B)に示すように、長尺の略矩形板状であり、平面視円形であり内側に試料(図示せず)が配置される試料室211bと、試料室211b内に供給される試料が導入される平面視円形の導入口212bと、試料室211b内に配置された試料を排出するための平面視円形の排出口213bと、を有する。また、プレート本体21は、試料室211bと導入口212bとに連通する流路212dと、試料室211bと排出口213bとに連通する流路215aと、を有する。
【0026】
また、プレート本体21の-Y方向側の端部には、+Z方向側へ突出したリブ212が設けられている。そして、前述の導入口212bは、リブ212におけるそのY軸方向の中央部よりも+Y方向側の位置に穿設されている。更に、
図5(B)に示すように、導入口212bの-Z方向側の端部には、-Z方向側に向かうにつれて縮径する断面形状を有し、-Z方向側の端部で流路212dの-Y方向側の端部に連続する案内部212cが形成されている。また、リブ212の-Y方向側の端部における-Z方向側には、X軸方向へ延在する3つの細長の突条部212aが形成されている。更に、リブ212における導入口212bの+Z方向側には、平面視矩形状の凹部212eが形成されている。
【0027】
試料室211bは、プレート本体21の-Z方向側の面に形成された平面視円形の凹部の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる。試料室211bのプレート本体21の厚さ方向に直交する方向、即ち、X軸方向における幅W21は、試料室211bのZ軸方向の幅W22に比べて広い。流路212dは、プレート本体11の-Z方向側の面に形成され且つ導入口212bの中心軸に対応する部分からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる第1流路である。流路215aは、プレート本体21の-Z方向側の面に形成され且つ試料室211bの+Y方向側の端部からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる第2流路である。そして、試料室211bのX軸方向における幅W21は、流路212dおよび流路215aそれぞれの幅に比べて広くなっている。
【0028】
また、プレート本体21は、
図5(A)に示すように、平面視円形でありプレート本体21の厚さ方向に貫通する貫通孔211aと、貫通孔211aの内側に配設されたチャンバ部211と、チャンバ部211を支持する支持部214、215と、を有する。チャンバ部211は、平面視略円形であり、内側に試料室211bが形成されるとともに、貫通孔211aの内側に貫通孔211aの内壁との間に空隙GAP2が形成される形で配設されている。ここで、チャンバ部211の厚さは、プレート本体11における貫通孔111aの外周部の厚さと略等しくなっている。支持部214、215は、それぞれ、貫通孔211aの内壁におけるY軸方向で対向する2箇所それぞれから延在している。支持部214、215には、それぞれ、流路212d、215aが形成されている。更に、プレート本体21における排出口213bの+Z方向側には、平面視円形であり排出口封止部材14が嵌入される凹部213aが設けられている。
【0029】
導入口封止部材22は、水密性且つ気密性を有する材料から形成されたシート状の部材であり、周部が、リブ212の+Z方向側の面における凹部212eの外周部に固定される。排出口封止部材14は、使用時において、プレート本体21の凹部213aに嵌入された状態で排出口213bを封止する。
【0030】
次に、本実施の形態に係る分析用プレート2の使用方法について
図6(A)および(B)を参照しながら説明する。まず、分析用プレート2の導入口212bが導入口封止部材22により封止されていない状態で、導入口212bに分析対象となる試料を充填する。次に、
図6(A)に示すように、導入口封止部材22を、凹部212e全体を+Z方向側から覆うように、リブ212の+Z方向側の面における凹部212eの外周部に固定する。続いて、導入口封止部材22を矢印AR2に示すように-Z方向側へ押し込んで、
図6(B)に示すように導入口封止部材22が凹部212eの底部に貼り付いた状態にする。このとき、導入口封止部材22と凹部212eとの間の領域に溜まった空気の空気圧により、導入口212bに充填された試料が流路212dを通じて試料室211b内へ押し出される。そして、試料室211b内から溢れた試料が流路115aを通じて排出口213bへ排出される。このようにして、試料室211b内に分析対象となる試料を充填することができる。その後、実施の形態1と同様に、分析用プレート2のチャンバ部211を熱源に接触させて、チャンバ部211の試料室211b内に配置された試料の温度を予め設定された設定温度まで上昇させた後、下降させるという一連の熱サイクルを繰り返す。次に、試料室211b内に配置された試料に光を照射して試料を光励起しながら、試料から発せられる蛍光を検出することにより、試料の分析を行う。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態に係る分析用プレート2によれば、実施の形態1と同様に、プレート本体21の試料室211bのX軸方向における幅W21が、試料室211bのZ軸方向の幅W22に比べて広い。これにより、試料室211b内で試料を二次元的に配置させることができるので、プレート本体21における試料室211bに対応する部分に熱源を接触させて試料室211b内に配置された試料の温度を変化させる場合、熱源からの熱が試料室211b内へ効率的に伝達される。従って、前述の熱サイクルの繰り返しに要する時間を短縮でき、ひいては、試料の分析時間を短縮できる。
【0032】
また、本実施の形態に係るプレート本体21では、内側に試料室211bが形成されたチャンバ部211が、プレート本体21の貫通孔211aの内側に貫通孔211aの内壁との間に空隙GAP2が形成される形で配設されている。これにより、チャンバ部211の周囲の熱抵抗を増大させることにより、チャンバ部211の熱容量を低減することができる。従って、プレート本体21における試料室211bに対応する部分に熱源を接触させて試料室211b内に配置された試料の温度を変化させる場合、熱源からの熱が試料室211b内へ効率的に伝達されるので、前述の熱サイクルの繰り返しに要する時間を短縮できる。
【0033】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る分析用プレートは、導入口に連通する凹部に充填された液体の試料の表面張力を利用して試料を試料室へ供給する点で実施の形態1と相違する。
図7(A)および(B)に示すように、本実施の形態に係る分析用プレート3は、プレート本体31と、シート13と、を備える。また、分析用プレートは、導入口封止部材(図示せず)と、排出口封止部材(図示せず)と、を備える。なお、
図7(A)および(B)において、実施の形態1と同様の構成は
図1(A)および(B)と同一の符号を付している。プレート本体31は、
図8(A)および(B)に示すように、長尺の略矩形板状であり、平面視円形であり内側に試料(図示せず)が配置される試料室311bと、試料室311b内に供給される試料が導入される平面視円形の導入口312bと、試料室311b内に配置された試料を排出するための平面視円形の排出口313bと、を有する。また、プレート本体31は、試料室311bと導入口312bとに連通する流路312dと、試料室311bと排出口313bとに連通する流路315aと、を有する。
【0034】
また、プレート本体31のY軸方向における中央部よりも-Y方向側の位置には、+Z方向側へ突出したリブ312が設けられている。リブ312の+Z方向側の面には、平面視円形の凹部312eが形成されている。そして、前述の導入口312bは、凹部312eの底部の中央部に連通している。更に、リブ312の-Y方向側の端部における+Z方向側には、X軸方向へ延在する3つの突条部312aが配設されている。
【0035】
試料室311bは、プレート本体31の-Z方向側の面に形成された平面視円形の凹部の-Z方向側がシート13で閉塞されてなり、プレート本体31の厚さ方向から見たときの形状が円形となっている。試料室311bのプレート本体21の厚さ方向に直交する方向、即ち、X軸方向における幅W31は、試料室311bのZ軸方向の幅W32に比べて広い。流路312dは、プレート本体31の-Z方向側の面に形成され且つ導入口312bの中心軸に対応する部分からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる第1流路である。流路312dにおける+Y方向側の端部には、Y軸方向に直交する断面の面積が試料室311bに近づくほど大きくなるような形状を有する拡幅部314aが形成されている。流路315aは、プレート本体31の-Z方向側の面に形成され且つ試料室311bの+Y方向側の端部からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる第2流路である。そして、試料室311bのX軸方向における幅W31は、流路312dおよび流路315aそれぞれの幅に比べて広くなっている。また、排出口313bのZ軸方向に直交する断面の直径W33は、流路315aのX軸方向の幅W34に比べて広くなっている。更に、プレート本体31における排出口313bの+Z方向側には、平面視円形であり排出口封止部材が嵌入される凹部313aが設けられている。
【0036】
前述の導入口封止部材は、例えば水密性且つ気密性を有する材料からシート状に形成され、少なくとも分析時において、凹部312e全体を覆うようにリブ312の+Z方向側の面における凹部312eの外周部に固定される。また、前述の排出口封止部材は、例えば水密性且つ通気性を有する材料からシート状に形成され、少なくとも分析時において、プレート本体31の凹部313aに嵌入された状態で排出口313bを封止する。
【0037】
次に、本実施の形態に係る分析用プレート3の使用方法について説明する。まず、分析用プレート3のリブ312の凹部312eが導入口封止部材により封止されていない状態で、凹部312eに分析対象となる試料を充填する。そうすると、凹部312eに充填された試料の表面張力により、凹部312eに充填された試料が導入口312bおよび流路312dを通じて試料室311b内へ供給される。そして、試料室311b内から溢れた試料が流路315aを通じて排出口313bへ排出される。このようにして、試料室311b内に分析対象となる試料を充填することができる。その後、実施の形態1と同様に、分析用プレート3のプレート本体31の試料室311bに対応する部分を熱源に接触させて、試料室311b内に配置された試料の温度を予め設定された設定温度まで上昇させた後、下降させるという一連の熱サイクルを繰り返す。次に、試料室311b内に配置された試料に光を照射して試料を光励起しながら、試料から発せられる蛍光を検出することにより、試料の分析を行う。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態に係る分析用プレート3によれば、実施の形態1と同様に、プレート本体31の試料室311bのX軸方向における幅W31が、試料室311bのZ軸方向の幅W32に比べて広い。これにより、試料室311b内で試料を二次元的に配置させることができるので、プレート本体31における試料室311bに対応する部分に熱源を接触させて試料室311b内に配置された試料の温度を変化させる場合、熱源からの熱が試料室311b内へ効率的に伝達される。従って、前述の熱サイクルの繰り返しに要する時間を短縮でき、ひいては、試料の分析時間を短縮できる。
【0039】
(実施の形態4)
本実施の形態に係る分析用プレートは、試料室の形状および試料室と排出口とに連通する流路の形状が実施の形態1と相違する。
図9(A)および(B)に示すように、本実施の形態に係る分析用プレート4は、プレート本体41と、シート13と、を備える。また、分析用プレート4は、導入口封止部材(図示せず)と、排出口封止部材(図示せず)と、を備える。なお、
図9(A)および(B)において、実施の形態1と同様の構成は
図1(A)および(B)と同一の符号を付している。プレート本体41は、
図10(A)および(B)に示すように、長尺の略矩形板状であり、平面視略三角形であり内側に試料(図示せず)が配置される試料室411bと、試料室411b内に供給される試料が導入される平面視円形の導入口412bと、試料室411b内に配置された試料を排出するための平面視円形の排出口413bと、を有する。ここで、試料室411bは、1つの角部がプレート本体41のX軸方向の中央部に位置し、残り2つの角部が、前述の1つの角部の+Y方向側においてプレート本体41のX軸方向における中央部から略等間隔だけ離れて位置している。また、プレート本体41は、試料室411bと導入口412bとに連通する流路412dと、試料室411bの前述の残り2つの角部から+Y方向へ延在する流路415bと、X軸方向に延在し2つの流路415bそれぞれの+Y方向側の端部に連続する流路415cと、流路415cの中央部から+Y方向へ延在して排出口413bに連通する流路415aと、を有する。ここで、流路415cのX軸方向における両端部は、それぞれ、-Y方向側へ湾曲している。
【0040】
また、プレート本体41のY軸方向における中央部よりも-Y方向側の位置には、+Z方向側へ突出したリブ412が設けられている。リブ412の+Z方向側の面には、平面視円形の導入口412bが設けられている。更に、
図10(B)に示すように、導入口412bの-Z方向側の端部には、-Z方向側に向かうにつれて縮径する断面形状を有し、-Z方向側の端部で流路412dの-Y方向側の端部に連続する案内部412cが形成されている。更に、リブ412の-Y方向側の端部における+Z方向側には、X軸方向へ延在する3つの突条部412aが配設されている。
【0041】
試料室411bは、プレート本体41の-Z方向側の面に形成された平面視略三角形の凹部の-Z方向側がシート13で閉塞されてなり、プレート本体41の厚さ方向から見たときの形状が略三角形となっている。試料室411bのプレート本体41の厚さ方向に直交する方向、即ち、X軸方向における最大幅W41は、試料室411bのZ軸方向の幅W42に比べて広い。流路412dは、プレート本体41の-Z方向側の面に形成され且つ導入口412bの中心軸に対応する部分からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる第1流路である。流路412dにおける+Y方向側の端部には、Y軸方向に直交する断面の面積が試料室411bに近づくほど大きくなるような形状を有する拡幅部414aが形成されている。流路415a、415b、415cは、それぞれ、プレート本体41の-Z方向側の面に形成された溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなり、試料室411bと排出口413bとに連通する第2流路を構成している。そして、試料室411bのX軸方向における幅W41は、流路412d、415a、415b、415cそれぞれの幅に比べて広くなっている。更に、プレート本体41における排出口413bの+Z方向側には、平面視円形であり排出口封止部材が嵌入される凹部413aが設けられている。
【0042】
前述の導入口封止部材は、例えば実施の形態1で説明した導入口封止部材12と同様に、本体部と、本体部から-Z方向側へ突出する円筒状部と、を有し、使用時において、円筒状部がプレート本体41の導入口412bに嵌入された状態で導入口412bを封止する。また、前述の排出口封止部材は、例えば実施の形態1で説明した排出口封止部材14と同様に、水密性且つ通気性を有する材料からシート状に形成され、使用時にプレート本体41の凹部413aに嵌入された状態で排出口413bを封止する。
【0043】
次に、本実施の形態に係る分析用プレート4の使用方法について説明する。まず、分析用プレート4のリブ412の導入口412bが導入口封止部材により封止されていない状態で、導入口412bに分析対象となる試料を充填する。次に、導入口412bの内側に導入口封止部材の円筒状部を嵌め込んでから導入口封止部材を-Z方向側へ押し込む。このとき、円筒状部の内側に溜まった空気の空気圧により、導入口412bに充填された試料が流路412dを通じて試料室411b内へ押し出される。そして、試料室411b内から溢れた試料が流路415b、415c、415aを通じて排出口413bへ流入する。このようにして、試料室411b内に分析対象となる試料を充填することができる。その後、実施の形態1と同様に、分析用プレート4のプレート本体41の試料室411bに対応する部分を熱源に接触させて、試料室411b内に配置された試料の温度を予め設定された設定温度まで上昇させた後、下降させるという一連の熱サイクルを繰り返す。次に、試料室411b内に配置された試料に光を照射して試料を光励起しながら、試料から発せられる蛍光を検出することにより、試料の分析を行う。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態に係る分析用プレート4によれば、実施の形態1と同様に、プレート本体41の試料室411bのX軸方向における最大幅W41が、試料室311bのZ軸方向の幅W42に比べて広い。これにより、試料室411b内で試料を二次元的に配置させることができるので、プレート本体41における試料室411bに対応する部分に熱源を接触させて試料室411b内に配置された試料の温度を変化させる場合、熱源からの熱が試料室411b内へ効率的に伝達される。従って、前述の熱サイクルの繰り返しに要する時間を短縮でき、ひいては、試料の分析時間を短縮できる。
【0045】
また、本実施の形態に係るプレート本体41は、平面視三角形の試料室411bと、試料室411bの2つの角部から+Y方向へ延在する流路415bと、を有する。これにより、試料室411bにおける角部近傍に気泡が発生することを抑制できる。
【0046】
(実施の形態5)
本実施の形態に係る分析用プレートは、プレート本体と導入口封止部材とが連続一体に形成されている点が実施の形態1と相違する。
図11(A)に示すように、本実施の形態に係る分析用プレート5は、プレート本体51と、導入口封止部材52と、を備える。また、分析用プレート5は、
図11(B)に示すように、プレート本体51の-Z方向側を覆うようにプレート本体51の-Z方向側に貼り付けられたシート13を備える。プレート本体51は、
図12(A)および(B)に示すように、長尺の略矩形板状であり、平面視円形であり内側に試料(図示せず)が配置される試料室511bと、試料室511b内に供給される試料が導入される平面視円形の導入口512bと、プレート本体51の-Z方向側に開口し試料室511b内に配置された試料を排出するための平面視略コ字状の排出用凹部513dと、を有する。プレート本体51は、実施の形態1で説明したプレート本体11と同様に、例えば透光性を有する樹脂、ガラス等から形成されている。また、プレート本体51は、試料室511bと導入口512bとに連通する流路512dと、試料室511bに連通する流路515aと、試料室511bと排出用凹部513dとを繋ぐ流路515a、513bの途中に設けられ、試料室511bに試料を充填するときに流路515aへ漏れ出た試料を一時的に貯留する貯留部513cと、を有する。
【0047】
また、プレート本体51の-Y方向側の端部には、+Z方向側へ突出したリブ512が設けられている。リブ512は、導入口封止部材52と連続一体に形成され導入口封止部材52を支持する封止部材支持部5122と、略円筒状であり封止部材支持部5122の+Y方向側に封止部材支持部5122と連続一体に形成され内側が前述の導入口512bとなっている導入部5121と、を有する。更に、
図12(B)に示すように、導入口512bの-Z方向側の端部には、-Z方向側に向かうにつれて縮径する断面形状を有し、-Z方向側の端部で流路512dの-Y方向側の端部に連続する案内部512cが形成されている。また、封止部材支持部5122には、プレート本体51の-Z方向側から+Z方向側へ窪んだ凹部512aが形成されている。更に、封止部材支持部5122における凹部512aの底壁部分には、封止部材支持部5122の-Y方向側の端部から+Y方向側に向かって延在するように開口部512eが穿設されている。
【0048】
試料室511bは、プレート本体51の-Z方向側の面に形成された平面視円形の凹部の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる。即ち、試料室511bは、プレート本体51の厚さ方向から見たときの形状が円形となっている。流路512dは、プレート本体51の-Z方向側の面に形成され且つ導入口512bの中心軸に対応する部分からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる。流路512dにおける+Y方向側の端部には、流路512dの延在方向に直交する断面、即ち、Y軸方向に直交する断面の面積が試料室511bに近づくほど大きくなるような形状を有する拡幅部514aが形成されている。また、試料室511bのX軸方向における幅W51は、試料室511bのZ軸方向の幅W52に比べて広い。ここで、幅W51は、幅W52の5倍以上に設定される。
【0049】
流路515aは、プレート本体51の-Z方向側の面に形成され且つ試料室511bの+Y方向側の端部からY軸方向に沿って延在した溝の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる。流路515aにおける試料室511b側の端部には、
図12(A)に示すように、Y軸方向に直交する断面の面積が試料室511bに近づくほど大きくなるような形状を有する拡幅部515bが形成されている。そして、試料室511bのX軸方向における幅W51は、流路512dおよび流路515aそれぞれの幅に比べて広くなっている。
【0050】
貯留部513cは、
図12(B)に示すように、流路515aに連通しプレート本体51の-Z方向側が開放されるように窪んだ形状を有し、-Z方向側がシート13で覆われている。言い換えると、貯留部513cは、プレート本体51の-Z方向側の面におけるZ軸方向において排出口用凹部513dと試料室511bとの間に形成された平面視円形の凹部の-Z方向側がシート13で閉塞されてなる。貯留部513cの-Y方向側は、流路515aの+Y方向側の端部に連通している。
【0051】
また、プレート本体51は、
図12(A)に示すように、平面視円形でありプレート本体51の厚さ方向に貫通する貫通孔511aと、貫通孔511aの内側に配設されたチャンバ部511と、チャンバ部511を支持する支持部514、515と、を有する。チャンバ部511は、平面視略円形であり、内側に試料室511bが形成されるとともに、貫通孔511aの内側に貫通孔511aの内壁との間に空隙GAP5が形成される形で配設されている。支持部514、515は、それぞれ、貫通孔511aの内壁におけるZ軸方向で対向する2箇所それぞれから延在している。支持部514、515には、それぞれ、流路512d、515aが形成されている。更に、プレート本体51における流路513bの+Y方向側には、平面視略コ字状でありプレート本体51の-Z方向側に開口する排出用凹部513dが設けられている。この排出用凹部513dは、使用時においてシート13で開口部分が閉塞される。更に、プレート本体51におけるチャンバ部511、支持部514、515を含む領域に、+Z方向側から-Z方向に向かって窪んだ凹部51aが形成されている。そして、チャンバ部511および支持部514、515それぞれの厚さは、プレート本体51における凹部51aの外周部の厚さよりも薄くなっている。
【0052】
導入口封止部材52は、プレート本体51のリブ512と連続一体に形成されている。導入口封止部材52は、プレート本体51と同じ材料であり、水密性且つ気密性を有する材料から形成されている。水密性且つ気密性を有する材料としては、例えばポリプロピレンのような樹脂を採用することができる。導入口封止部材52は、板状の本体部521と、本体部521から-Z方向側へ突出する円筒状部522と、本体部521とリブ512の支持片51221の先端部とを連結する連結片523と、を有する。導入口封止部材12は、使用時において、円筒状部522がプレート本体51の導入口512bに嵌入された状態で導入口512bを封止する。
【0053】
導入口封止部材52は、
図13(A)に示すように、使用前において、プレート本体51のリブ512の支持片51221の先端部から-Y方向側へ延在した状態となっている。そして、使用時に、矢印AR51に示すように、導入口封止部材52の連結片523を屈曲させて円筒状部522をプレート本体51の導入口512bに嵌入させることにより、
図13(B)に示すように、導入口封止部材52でプレート本体51の導入口512bを封止することができる。
【0054】
ここで、本実施の形態に係る分析用プレート5の使用方法について説明する。まず、分析用プレート5の導入口512bが導入口封止部材52により封止されていない状態で、導入口512bに分析対象となる試料を充填する。次に、導入口512bの内側に導入口封止部材52の円筒状部522を嵌め込んでから導入口封止部材52を-Z方向側へ押し込むことにより、導入口512bに充填された試料を、流路512dを通じて試料室511b内へ押し出して試料室511bに試料を充填する。その後、シート13における貯留部513cに対向する部分を貯留部513c側へ押し込んで貯留部513cの内壁に密着させる。これにより、排出用凹部513dに溜まった空気が試料室511bへ引き込まれることを抑制できる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態に係る分析用プレート5によれば、プレート本体51と導入口封止部材52とが連続一体に形成されている。これにより、部品点数を削減することができるので、製造工程を簡素化することができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る分析用プレート5によれば、使用時において、シート13における貯留部513cに対向する部分を貯留部513c側へ押し込んで貯留部513cの内壁に密着させる。これにより、排出用凹部513dに溜まった空気の試料室511bへの引き込みを抑制することができる。
【0057】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、プレート本体11、21、31、41、51それぞれにおける試料室111b、211b、311b、411b、511b近傍の部分のみが透光性を有し、他の部分が非透光性であってもよい。また、シート13が透明であれば、プレート本体11、21、31、41、51の全体が非透光性の材料から形成されていてもよい。また、プレート本体11、21、31、41、51が、白色の樹脂材料或いは反射率の高い金属から形成されており、試料から発せられる蛍光が試料室111b、211b、311b、411b、511bの内壁に到達するとシート13側へ反射されるものであってもよい。
【0058】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、PCR法を利用した分析を行う際に分析対象の試料を保持しておく治具として好適である。
【符号の説明】
【0060】
1,2,3,4,5:分析用プレート、11,21,31,41,51:プレート本体、12,22,52:導入口封止部材、13:シート、14:排出口封止部材、111,211:チャンバ部、111a,211a:貫通孔、111b,211b,311b,411b,511b:試料室、112,212,312,412,512:リブ、112a,113a,212e,213a,312e,313a,413a,512a:凹部、112b,212b,312b,412b,512b:導入口、112c,113d,212c,412c,512c:案内部、112d,115a,212d,215a,312d,315a,412d,415a,415b,415c,512d,513b,515a:流路、113b,213b,313b,413b:排出口、113c,513c:貯留部、114,115,214,215:支持部、114a,115b,314a,414a,514a,515b:拡幅部、121,521:本体部、122,522:円筒状部、123:舌片、212a,312a,412a:突条部、512e:開口部、513d:排出用凹部、523:連結片、5121:導入部、5122:封止部材支持部、51221:支持片、D:光検出器、GAP1,GAP2:空隙、H:熱源、HM:ハーフミラー、LS:光源、T:分析ユニット