(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091747
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20230623BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20230623BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/00 B
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193585
(22)【出願日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0182707
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089664
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユーン、チャン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン フワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオック
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E070AA01
5E070AB10
5E070CB06
5E070CB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のコイル部間の結合係数を効果的に下げ、小型化に適したコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品100は、互いに対向し第1方向Xに垂直に配置された第1、第2側面S1、S2、第1、第2側面を連結し互いに対向する第3側面S3、第4側面S4を含む本体110、第1巻回部並びに第1巻回部の一端及び他端と連結する第1、第2延長部を含む第1コイル部C1、第1方向に第1巻回部に隣接し第1側面に第1巻回部より近接して配置された第2巻回部並びに第2巻回部の一端及び他端と連結された第3、第4延長部を含む第2コイル部C2、第1、第2延長部と連結された第1、第2外部電極411、412及び第3、第4延長部と連結された第3、第4外部電極421、422を含む。第1コイル部の第1延長部は、第2巻回部と隣接して配置され、第1、第3側面のうち少なくとも一つの側面で第1外部電極と連結されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向しながら第1方向に垂直に配置された第1側面及び第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面を連結しながら互いに対向する第3側面及び第4側面を含む本体と、
前記本体内に配置され、第1巻回部、並びに前記第1巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された第1延長部及び第2延長部を含む第1コイル部と、
前記本体内に前記第1方向に前記第1巻回部に隣接しながら前記第1側面に前記第1巻回部よりも近接して配置された第2巻回部、並びに前記第2巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された第3延長部及び第4延長部を含む第2コイル部と、
前記本体に配置され、前記第1延長部及び前記第2延長部とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極と、
前記本体に配置され、前記第3延長部及び前記第4延長部とそれぞれ連結された第3外部電極及び第4外部電極と、を含み、
前記第1コイル部の第1延長部は、前記第2巻回部と隣接して配置され、前記第1側面及び前記第3側面のうち少なくとも一つの側面において前記第1外部電極と連結された、コイル部品。
【請求項2】
前記第3側面及び前記第4側面に垂直な方向を第2方向とするとき、前記第2方向は前記第1方向に垂直である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1延長部と前記第2巻回部は、前記第2方向に隣接して配置された、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1延長部から前記第2延長部に向かう前記第1コイル部の電流の流れと、前記第3延長部から前記第4延長部に向かう前記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、前記第1巻回部及び前記第2巻回部が隣接した第1領域ではポジティブカップリングが発生する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1延長部と前記第2巻回部が隣接した第2領域ではネガティブカップリングが発生する、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1延長部から前記第2延長部に向かう前記第1コイル部の電流の流れと、前記第3延長部から前記第4延長部に向かう前記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、前記第1巻回部及び前記第2巻回部が隣接した第1領域では、前記第1延長部と前記第2巻回部が隣接した第2領域で発生するカップリングとは反対のカップリングが発生する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1領域における前記第1巻回部と前記第2巻回部の間隔は、前記第2領域における前記第1延長部と前記第2巻回部の間隔よりも広い、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第2領域における前記第1延長部と前記第2巻回部の間隔は、前記第2巻回部において隣接したターン間の間隔と実質的に同一である、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第2領域における前記第1延長部は、前記第2巻回部において隣接した外側面の形態に追従する形状の内側面を有する、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1延長部は、前記第2巻回部において隣接した外側面のうち曲面領域と平面領域の両方に追従する形態である、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第4延長部は、前記第2及び前記第4側面のうち少なくとも一つに延びて前記第1巻回部と隣接して配置された、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第4延長部と前記第1巻回部は前記第2方向に隣接して配置された、請求項11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1延長部から前記第2延長部に向かう前記第1コイル部の電流の流れと、前記第3延長部から前記第4延長部に向かう前記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、前記第1巻回部及び前記第2巻回部が隣接した第1領域ではネガティブカップリングが発生する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第1延長部と前記第2巻回部が隣接した第2領域ではポジティブカップリングが発生する、請求項13に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記第4延長部と前記第1巻回部が隣接した第3領域ではポジティブカップリングが発生する、請求項14に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記第4延長部と前記第1巻回部が隣接した第3領域ではネガティブカップリングが発生する、請求項14に記載のコイル部品。
【請求項17】
前記第1コイル部及び前記第2コイル部を支持する支持部材をさらに含み、
前記第1コイル部は前記支持部材の上面及び下面に配置され、
前記第2コイル部は前記支持部材の上面及び下面に配置された、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項18】
前記第1延長部及び前記第3延長部は前記支持部材の上面に配置され、
前記第2延長部及び前記第4延長部は前記支持部材の下面に配置された、請求項17に記載のコイル部品。
【請求項19】
前記第2延長部は、前記本体の前記第1側面及び前記第3側面のうち少なくとも一つの側面において前記第2外部電極と連結された、請求項18に記載のコイル部品。
【請求項20】
前記第3延長部は、前記本体の前記第1側面及び前記第4側面のうち少なくとも一つの側面において前記第3外部電極と連結され、
前記第4延長部は、前記本体の前記第2側面及び前記第4側面のうち少なくとも一つの側面において前記第4外部電極と連結された、請求項18に記載のコイル部品。
【請求項21】
前記第1及び前記第2延長部は、前記第1方向の長さが互いに異なる、請求項18に記載のコイル部品。
【請求項22】
前記第1コイル部及び前記第2コイル部は、全体的に、前記支持部材の上面に配置されたものと、下面に配置されたものとが、前記支持部材を基準として対称構造である、請求項17に記載のコイル部品。
【請求項23】
前記第1コイル部及び前記第2コイル部は、前記本体内で少なくとも3つのレベルに配置された、請求項1から22のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項24】
前記少なくとも3つのレベルは第1~第3レベルを含み、前記第1レベルと前記第3レベルとの間に前記第2レベルが位置し、
前記第1コイル部は前記第1レベル及び前記第2レベルに配置され、
前記第2コイル部は前記第2レベル及び前記第3レベルに配置された、請求項23に記載のコイル部品。
【請求項25】
互いに対向しながら第1方向に垂直に配置された第1側面及び第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面を連結しながら互いに対向する第3側面及び第4側面を含む本体と、
前記本体内に配置され、第1巻回部、並びに前記第1巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された第1延長部及び第2延長部を有する第1コイル部と、
前記本体内に前記第1方向に前記第1巻回部に隣接しながら前記第1側面に前記第1巻回部よりも近接して配置された第2巻回部、並びに前記第2巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された第3延長部及び第4延長部を含む第2コイル部と、
前記本体に配置され、前記第1延長部及び前記第2延長部とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極と、
前記本体に配置され、前記第3延長部及び前記第4延長部とそれぞれ連結された第3外部電極及び第4外部電極と、を含み、
前記第1延長部は、前記第1側面及び前記第3側面のうち少なくとも一つの側面に延びて前記第1外部電極と連結され、
前記第1延長部から前記第2延長部に向かう前記第1コイル部の電流の流れと、前記第3延長部から前記第4延長部に向かう前記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、前記第1コイル部及び前記第2コイル部は、互いに隣接した複数の領域のうち少なくとも2つの領域において互いに反対となるカップリングが発生する、コイル部品。
【請求項26】
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が隣接した第1領域では、前記第1延長部と前記第2巻回部が隣接した第2領域で発生するカップリングとは反対のカップリングが発生する、請求項25に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、モバイルフォン、ノートパソコンのような電子機器の小型化及び薄型化に伴い、このような電子機器に適用されるコイル部品にも小型化及び薄型化が求められており、このような要求に応えるために様々な形態の巻線型又は薄膜型のコイル部品に対する研究開発が活発に行われている。
【0003】
コイル部品の小型化及び薄型化に伴う主なイシューは、このような小型化及び薄型化にもかかわらず、従来と同等の特性を実現することである。このような要求を満たすためには、磁性物質が充填されるコアにおいて、磁性物質の割合を増加させなければならないが、インダクタ本体の強度、絶縁性による周波数特性の変化などの理由により、その割合を増加させることに限界がある。
【0004】
一方、コイル部品の実装面積を減らすことができる利点を有するアレイ形態の部品に対する需要が増加している。このようなアレイ形態のコイル部品は、複数個のコイル部間の結合係数又は相互インダクタンスに応じて、非結合(Noncoupled)又は結合(Coupled)インダクタ形態、あるいは上記形態の混合形態を有することができる。ここで、非結合インダクタは、複数のコイル部間の結合係数kが低い必要があるが、これらの間の間隔を増加させることにより、これらの間の結合係数を下げることができる。しかし、コイル部間の間隔を増加させる場合、部品のサイズも増加する可能性があるため、部品の小型化が困難になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、複数のコイル部間の結合係数を効果的に下げることができながらも、小型化に適したインダクタアレイ形態のコイル部品を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一例を挙げてコイル部品の新規な構造を提案する。具体的に、互いに対向しながら第1方向に垂直に配置された第1側面及び第2側面と、上記第1側面及び第2側面を連結しながら互いに対向する第3側面及び第4側面を含む本体と、上記本体内に配置され、第1巻回部、並びに上記第1巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された第1延長部及び第2延長部を含む第1コイル部と、上記本体内に上記第1方向に上記第1巻回部に隣接しながら上記第1側面に上記第1巻回部よりも近接して配置された第2巻回部、並びに上記第2巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された第3延長部及び第4延長部を含む第2コイル部と、上記本体に配置され、上記第1延長部及び第2延長部とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極及び上記本体に配置され、上記第3延長部及び第4延長部とそれぞれ連結された第3外部電極及び第4外部電極と、を含み、上記第1コイル部の第1延長部は、上記第2巻回部と隣接して配置され、上記第1側面及び第3側面のうち少なくとも一つの側面において上記第1外部電極と連結される。
【0007】
一実施形態において、上記第3側面及び第4側面に垂直な方向を第2方向とするとき、上記第2方向は上記第1方向に垂直であってもよい。
【0008】
一実施形態において、上記第1延長部と上記第2巻回部は、上記第2方向に隣接して配置されることができる。
【0009】
一実施形態において、上記第1延長部から上記第2延長部に向かう上記第1コイル部の電流の流れと、上記第3延長部から上記第4延長部に向かう上記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、上記第1巻回部及び第2巻回部が隣接した第1領域ではポジティブカップリングが発生することができる。
【0010】
一実施形態において、上記第1延長部と上記第2巻回部が隣接した第2領域ではネガティブカップリングが発生することができる。
【0011】
一実施形態において、上記第1延長部から上記第2延長部に向かう上記第1コイル部の電流の流れと、上記第3延長部から上記第4延長部に向かう上記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、上記第1巻回部及び第2巻回部が隣接した第1領域では、上記第1延長部と上記第2巻回部が隣接した第2領域で発生するカップリングとは反対のカップリングが発生することができる。
【0012】
一実施形態において、上記第1領域における上記第1巻回部と上記第2巻回部の間隔は、上記第2領域における上記第1延長部と上記第2巻回部の間隔よりも広くてもよい。
【0013】
一実施形態において、上記第2領域における上記第1延長部と上記第2巻回部の間隔は、上記第2巻回部において隣接したターン間の間隔と実質的に同一であってもよい。
【0014】
一実施形態において、上記第2領域における上記第1延長部は、上記第2巻回部において隣接した外側面の形態に追従する形状の内側面を有することができる。
【0015】
一実施形態において、上記第1延長部は、上記第2巻回部において隣接した外側面のうち曲面領域と平面領域の両方に追従する形態であってもよい。
【0016】
一実施形態において、上記第4延長部は、上記第2側面及び第4側面のうち少なくとも一つに延びて上記第1巻回部と隣接して配置されることができる。
【0017】
一実施形態において、上記第4延長部と上記第1巻回部は、上記第2方向に隣接して配置されることができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1延長部から上記第2延長部に向かう上記第1コイル部の電流の流れと、上記第3延長部から上記第4延長部に向かう上記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、上記第1巻回部及び第2巻回部が隣接した第1領域ではネガティブカップリングが発生することができる。
【0019】
一実施形態において、上記第1延長部と上記第2巻回部が隣接した第2領域ではポジティブカップリングが発生することができる。
【0020】
一実施形態において、上記第4延長部と上記第1巻回部が隣接した第3領域ではポジティブカップリングが発生することができる。
【0021】
一実施形態において、上記第4延長部と上記第1巻回部が隣接した第3領域ではネガティブカップリングが発生することができる。
【0022】
一実施形態において、上記第1コイル部及び第2コイル部を支持する支持部材をさらに含み、上記第1コイル部は上記支持部材の上面及び下面に配置され、上記第2コイル部は上記支持部材の上面及び下面に配置されることができる。
【0023】
一実施形態において、上記第1延長部及び第3延長部は上記支持部材の上面に配置され、上記第2延長部及び第4延長部は上記支持部材の下面に配置されることができる。
【0024】
一実施形態において、上記第2延長部は、上記本体の第1側面及び第3側面のうち少なくとも一つの側面において上記第2外部電極と連結されることができる。
【0025】
一実施形態において、上記第3延長部は、上記本体の第1側面及び第4側面のうち少なくとも一つの側面において上記第3外部電極と連結され、上記第4延長部は、上記本体の第2側面及び第4側面のうち少なくとも一つの側面において上記第4外部電極と連結されることができる。
【0026】
一実施形態において、上記第1延長部及び第2延長部は互いに上記第1方向の長さが互いに異なってもよい。
【0027】
一実施形態において、上記第1コイル部及び第2コイル部は、全体的に上記支持部材の上面に配置されたものと、下面に配置されたものとが、上記支持部材を基準として対称構造であってもよい。
【0028】
一実施形態において、上記第1コイル部及び第2コイル部は、上記本体内で少なくとも3つのレベルに配置されることができる。
【0029】
一実施形態において、上記少なくとも3つのレベルは第1レベル~第3レベルを含み、上記第1レベルと上記第3レベルとの間に上記第2レベルが位置し、上記第1コイル部は上記第1レベル及び第2レベルに配置され、上記第2コイル部は上記第2レベル及び第3レベルに配置されることができる。
【0030】
本発明の他の態様は、互いに対向しながら第1方向に垂直に配置された第1側面及び第2側面と、上記第1側面及び第2側面を連結しながら互いに対向する第3側面及び第4側面を含む本体と、上記本体内に配置され、第1巻回部、並びに上記第1巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された上記第1延長部及び第2延長部を有する第1コイル部と、上記本体内に上記第1方向に上記第1巻回部に隣接しながら上記第1側面に上記第1巻回部よりも近接して配置された第2巻回部、並びに上記第2巻回部の一端及び他端とそれぞれ連結された第3延長部及び第4延長部を含む第2コイル部と、上記本体に配置され、上記第1延長部及び第2延長部とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極、並びに上記本体に配置され、上記第3延長部及び第4延長部とそれぞれ連結された第3外部電極及び第4外部電極と、を含み、上記第1延長部は、上記第1側面及び第3側面のうち少なくとも一つの側面に延びて上記第1外部電極と連結され、上記第1延長部から上記第2延長部に向かう上記第1コイル部の電流の流れと、上記第3延長部から上記第4延長部に向かう上記第2コイル部の電流の流れを基準とするとき、上記第1コイル部及び第2コイル部は、互いに隣接した複数の領域のうち少なくとも2つの領域において互いに反対となるカップリングが発生するコイル部品を提供する。
【0031】
一実施形態において、上記第1巻回部及び第2巻回部が隣接した第1領域では、上記第1延長部と上記第2巻回部が隣接した第2領域で発生するカップリングとは反対のカップリングが発生することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一例に係るコイル部品の場合、複数のコイル部間の距離を増加させなくても、結合係数の大きさを効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示す透過斜視図である。
【
図2】
図1のコイル部を上部から見た平面図であり、支持部材を基準として上部コイル部に該当する。
【
図3】
図1のコイル部を上部から見た平面図であり、支持部材を基準として下部コイル部に該当する。
【
図4】第1コイル部を上部から見た平面図であり、支持部材を基準として上部コイル部に該当する。
【
図5】第1コイル部を上部から見た平面図であり、支持部材を基準として下部コイル部に該当する。
【
図12】従来のコイル部品を概略的に示す透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されてもよく、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示す透過斜視図である。
図2及び
図3は、
図1のコイル部を上部から見た平面図であり、支持部材を基準としてそれぞれ上部コイル部及び下部コイル部に該当する。
図2及び
図3では、コイル部以外に、他の構成要素は点線で示されており、支持部材は図示を省略している。そして、
図4及び
図5は、第1コイル部を上部から見た平面図であり、それぞれ支持部材を基準として上部コイル部及び下部コイル部に該当する。以下のコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)等として用いられることができる。
【0036】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るコイル部品100は、本体110、第1コイル部C1、第2コイル部C2、外部電極411、412、421、422を含み、複数のコイル部C1、C2によるインダクタアレイ形態が実現される。ここで、第1コイル部C1の第1延長部221は、第2コイル部C2の第2巻回部310と隣接して配置され、本体110の第1側面S1及び第3側面S3のうち少なくとも一つの側面に延びることにより、後述するように第1及び第2コイル部C1、C2の結合係数が効果的に調節されることができる。以下、本実施形態のコイル部品100を構成する主な要素について説明する。
【0037】
本体110は、その内部に第1コイル部C1及び第2コイル部C2等が配置され、コイル部品100の全体的な外観をなすことができる。本体110は、互いに対向しながら第1方向(X方向)に垂直に配置された第1側面S1及び第2側面S2を含む。そして、本体110は第3側面S3及び第4側面S4を含むが、第3側面S3及び第4側面S4は、第1側面S1及び第2側面S2を連結しながら互いに対向する。ここで、第3側面S3及び第4側面S4に垂直な方向を第2方向(Y方向)とするとき、第2方向(Y方向)は第1方向(X方向)に垂直であることができる。
【0038】
本体110は、絶縁樹脂及び磁性物質を含むことができる。具体的に、本体110は、磁性物質が絶縁樹脂に分散した磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。磁性物質はフェライト又は金属磁性粉末であってもよい。フェライトは、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系等のスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系等の六方晶型フェライト類、Y系等のガーネット型フェライト及びLi系フェライトのうち少なくとも一つ以上であってもよい。金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも一つ以上であってもよい。金属磁性粉末は、非晶質又は結晶質であってもよい。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであってもよいが、これに制限されるものではない。本体110は、樹脂に分散した2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のうちいずれか一つによって互いに区別されることを意味する。絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独又は混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0039】
製造方法の一例に関連して、本体110は積層工法で形成されることができる。具体的に、本体110を製造するための単位積層体を多数個設けて、これらを第1コイル部C1及び第2コイル部C2の上部及び下部に積層することができる。ここで、上記単位積層体は、金属などの磁性粒子と熱硬化性樹脂、バインダー及び溶剤などの有機物を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法によりキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さで塗布した後、乾燥してシート(sheet)状に製造することができる。これにより、単位積層体は、磁性粒子がエポキシ樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散した形態で製造されることができる。
【0040】
第1コイル部C1は本体110内に配置され、第1巻回部210、並びに第1巻回部210の一端及び他端とそれぞれ連結された第1延長部221及び第2延長部222を有する。第1巻回部210は少なくとも一つのターン(turn)を形成することができ、この場合、第1巻回部210の一端及び他端は実質的なターンを形成する領域までと定義することができる。具体的に、
図4及び
図5に示す形態のように、第1巻回部210の最外側ターンT1は、隣接した内側ターンT2と実質的に同一の間隔を保持するが、このように同一の間隔が保持される領域までを第1巻回部210と定義することができ、最外側ターンT1と内側ターンT2の間隔が大きくなる領域から第1延長部221又は第2延長部222と定義することができる。
【0041】
第1コイル部C1は、支持部材130の第1面(図面を基準として上面)及び第2面(図面を基準として下面)の両方に配置されることができ、上記第1面に配置された部分は上部コイル部(
図2)と、上記第2面に配置された部分は下部コイル部(
図3)と称することもできる。上部と下部のコイル部を連結するために、第1コイル部C1はパッド領域Pを含むことができ、パッド領域Pは支持部材130を貫通する導電性ビアVと接続することができる。そして、支持部材130の上面に配置された第1延長部221は、本体110の第1側面S1及び第3側面S3のうち少なくとも一つの側面に露出して第1外部電極411と接続することができる。本実施形態では、第1延長部221が本体110の第1側面S1に露出した構造を示しているが、
図6及び
図7の変形例のように、第1延長部221は、本体110の第3側面S3に露出することができ、これにより、第1外部電極411は第3側面S3に配置されることができる。また、第1延長部221は、
図8及び
図9の変形例のように、第1側面S1及び第3側面S3の両方に露出することもでき、これにより、第1外部電極411は第1S1及び第3側面S3の両方に形成されることができる。
【0042】
支持部材130の下面に配置された第2延長部222は、本体110の第2側面S2及び第3側面S3のうち少なくとも一つの側面に露出して第2外部電極412と接続することができる。本実施形態では、第2延長部222が本体110の第2側面S2に露出した構造を示しているが、
図6及び
図7の変形例のように、第2延長部222は、本体110の第3側面S3に露出することができ、これにより、第2外部電極412は第3側面S3に配置されることができる。また、第2延長部222は、
図8及び
図9の変形例のように、第2側面S2及び第3側面S3の両方に露出することもでき、これにより、第2外部電極411は、第2側面S2及び第3側面S3の両方に形成されることができる。第1延長部221及び第2延長部222と第1外部電極411及び第2外部電極412の接続方式は、より多様に変形することができ、例えば、
図10及び
図11の変形例のように、第1延長部221は第3側面S3に露出し、第2延長部222は第2側面S2に露出してもよく、これと逆の場合も可能である。第1延長部221及び第2延長部222と第1外部電極411及び第2外部電極412の様々な接続方式は、以下の実施形態にも全て採用することができる。
【0043】
さらに
図1~
図3を参照すると、第1延長部221及び第2延長部222は、第1方向(X方向)の長さが互いに異なってもよい。第1コイル部C1の場合、当技術分野で使用されるめっき工程、例えば、パターンめっき、異方性めっき、等方性めっき等の方法を用いて形成されためっきパターンであってもよく、これらの工程のうち複数の工程を用いて多層構造で形成されてもよい。
【0044】
第2コイル部C2は、本体110内に配置され、第2巻回部310、並びに第2巻回部310の一端及び他端とそれぞれ連結された第3延長部321及び第4延長部322を有する。第2巻回部310は、本体110内で第1方向(X方向)に第1巻回部210に隣接しながら、第1側面S1に第1巻回部210よりも近接して配置される。すなわち、第1巻回部210及び第2巻回部310のうち第2巻回部310が第1側面S1にさらに隣接して配置される。第2巻回部310は少なくとも一つのターンを形成することができ、この場合、一端及び他端は実質的なターンを形成する領域までと定義することができる。第1コイル部C1で説明した第1巻回部210、第1延長部221及び第2延長部222の定義は、第2コイル部C2にも適用することができる。すなわち、第2巻回部310の最外側ターンは、隣接した内側ターンと実質的に同一の間隔を保持するが、このように同一の間隔が保持される領域までを第2巻回部310と定義することができ、最外側ターンと内側ターンの間隔が大きくなる領域から第3延長部321又は第4延長部322と定義することができる。
【0045】
また、第1コイル部C1と同様に、第2コイル部C2は、支持部材130の第1面(図面を基準として上面)及び第2面(図面を基準として下面)の両方に配置されることができ、上記第1面に形成された部分は上部コイル部(
図2)と、上記第2面に形成された部分は下部コイル部(
図3)と称することができる。上部と下部のコイル部を連結するために、第2コイル部C2はパッド領域Pを含むことができ、パッド領域Pは支持部材130を貫通する導電性ビアVと接続することができる。そして、支持部材130の上面に配置された第3延長部321は、本体110の第1側面S1及び第4側面S4のうち少なくとも一つの側面に露出して第3外部電極421と接続することができる。本実施形態では、第3延長部321が本体110の第1側面S1に露出した構造を示しているが、
図6及び
図7の変形例のように、第3延長部321は本体110の第4側面S4に露出することができ、これにより、第3外部電極421は第4側面S4に形成されることができる。また、第3延長部321は、
図8及び
図9の変形例のように、第1側面S1及び第4側面S4の両方に露出することもでき、これにより、第3外部電極421は第1側面S1及び第4側面S4の両方に形成されることができる。
【0046】
支持部材130の下面に配置された第4延長部322は、本体110の第2側面S2及び第4側面S4のうち少なくとも一つの側面に露出して第4外部電極422と接続することができる。本実施形態では、第4延長部322が本体110の第2側面S2に露出した構造を示しているが、
図6及び
図7の変形例のように、第4延長部322は本体110の第4側面S4に露出することができ、これにより、第4外部電極422は第4側面S4に形成されることができる。また、第4延長部322は、
図8及び
図9の変形例のように、第2側面S2及び第4側面S4の両方に露出することもでき、これにより、第4外部電極421は、第2側面S2及び第4側面S4の両方に形成されることができる。第3延長部321及び第4延長部322と第3外部電極421及び第4外部電極422の接続方式は、より多様に変形することができ、例えば、
図10及び
図11の変形例のように、第3延長部321は第4側面S4に露出し、第4延長部322は第2側面S2に露出することができ、逆の場合も可能である。そして、第3延長部321及び第4延長部322と第3外部電極421及び第4外部電極422の様々な接続方式は、以下の実施形態にも全て採用することができる。
【0047】
さらに
図1~
図3を参照すると、図示の形態のように、第3及び第4延長部321、322は第1方向(X方向)の長さが互いに異なってもよい。第2コイル部C2の場合、当技術分野で使用されるめっき工程、例えば、パターンめっき、異方性めっき、等方性めっき等の方法を用いて形成されためっきパターンであってもよく、これらの工程のうち複数の工程を用いて多層構造で形成されてもよい。
【0048】
一方、第1及び第2コイル部C1、C2を構成する物質の例として、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)又はこれらの合金などの導電性物質があり、但し、これらに限定されるものではない。
図2及び
図3から分かるように、本実施形態では、第1及び第2コイル部C1、C2は、全体的に支持部材130を基準として上部及び下部において対称構造をなす。ここで、第1及び第2コイル部C1、C2が全体的に対称をなすというのは、第1コイル部C1及び第2コイル部C2がそれぞれ対称をなすものではなく、第1及び第2コイル部C1、C2を一つのグループとして見なすとき、このようなグループが対称構造をなすことを意味する。このように対称構造を有する場合、支持部材130の上面及び下面において、めっき工程で第1及び第2コイル部C1、C2を形成する場合、めっき散布を最小化することができる。そして、本実施形態は、本体110内に2つのコイル部C1、C2が配置された構造を示しているが、第1及び第2コイル部C1、C2以外に、他のコイル部が追加配置されて全体的にインダクタアレイをなすこともできる。
【0049】
支持部材130は、第1コイル部C1及び第2コイル部C2を支持し、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板などで形成されることができる。但し、実施形態に応じては、支持部材130が備えられないことがあり、例えば、巻線型構造のコイルを使用する場合には、支持部材130を別に必要としない場合がある。図示の形態のように、支持部材130の一部が貫通されて貫通孔が形成され、このような貫通孔には、本体110をなす物質が充填されることができる。これにより、第1コイル部C1には第1コア部111が形成され、第2コイル部C2には第2コア部112が形成されることができる。
【0050】
第1外部電極411及び第2外部電極412は本体110に配置され、第1コイル部C1の第1延長部221及び第2延長部222とそれぞれ接続する。この場合、第1外部電極411及び第2外部電極412は、第1側面S1及び第2側面S2にそれぞれ配置されることができ、上述した変形例のように第3側面S3まで延びるか、又は第3側面S3にのみ配置されることもできる。第3外部電極421及び第4外部電極422は本体110に配置され、第2コイル部C2の第3延長部321及び第4延長部322とそれぞれ接続する。この場合、第3外部電極421及び第4外部電極422は、本体110の第1側面S1及び第2側面S2にそれぞれ配置されることができ、上述した変形例のように第4側面S4まで延びるか、又は第4側面S4にのみ配置されることもできる。
【0051】
本実施形態の場合、外部電極411、412、421、422の配置方式は、第1コイル部C1及び第2コイル部C2に発生する電流の流れによって互いに反対となるカップリングが発生する領域を有するように適切に設計されることができる。例えば、
図1~
図3に示すように、第1外部電極411及び第2外部電極412は、それぞれ第1側面S1及び第2側面S2において互いに対向する位置に配置されることができ、同様に、第3外部電極421及び第4外部電極422は、それぞれ第1側面S1及び第2側面S2において互いに対向する位置に配置されることができる。そして、第4外部電極422は、第1外部電極411に対して本体110の対角線方向、すなわち、
図2を基準として本体110において互いに離れて配置された角を結ぶ方向に配置されることができる。同様に、第3外部電極421は、第2外部電極412に対して本体110の対角線方向に配置されることができる。
【0052】
第1~第4外部電極411、412、421、422は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを使用して形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、錫(Sn)又は銀(Ag)などの単独又はこれらの合金などを含む伝導性ペーストであってもよい。また、第1~第4外部電極411、412、421、422のそれぞれをカバーするようにめっき層が備えられてもよい。この場合、上記めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及び錫(Sn)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層と錫(Sn)層とが順次に形成されることができる。
【0053】
本実施形態の場合、第1延長部221は、第1側面S1に延びて第2巻回部310と隣接して配置される。但し、上述した変形例のように第1延長部221は、第1側面S1ではなく第3側面S3に延びてもよく、第1側面S1及び第3側面S3に延びてもよい。この場合、第1延長部221と第2巻回部310は、第2方向(Y方向)に隣接して配置されることができる。第2コイル部C2も第1コイル部C1と類似の構造を有することができ、第3延長部321は、第2側面S2に延びて第1巻回部210と第2方向(Y方向)に隣接して配置されることができる。コイル部C1、C2及び外部電極411、412、421、422が上述した配置方式を有することにより、コイル部品100の作動時に、第1及び第2コイル部C1、C2では、領域別に互いに反対となるカップリングが発生することができ、これにより第1コイル部C1及び第2コイル部C2の結合係数の大きさ(絶対値)が小さくなることができる。
【0054】
具体的に、第1延長部221から第2延長部222に向かう第1コイル部C1の電流の流れ(
図2及び
図3において矢印で示す方向)と第3延長部321から第4延長部322に向かう第2コイル部C2の電流の流れ(
図2及び
図3において矢印で示す方向)を基準とするとき、第1及び第2巻回部210、310が隣接した第1領域R1では、ポジティブカップリング、すなわち、互いに同じ方向の電流の流れによるカップリングが発生することができる。この場合、第1延長部221と第2巻回部310が隣接した第2領域R2では、ネガティブカップリング、すなわち、互いに反対方向の電流の流れによるカップリングが発生することができる。同様に、第4延長部322と第1巻回部210が隣接した第3領域R3では、互いに反対方向の電流の流れによるネガティブカップリングが発生することができる。このように、本実施形態では、結合係数の大きさを小さくするために、第1コイル部C1及び第2コイル部C2が互いに反対となるカップリングが同時に発生し得る領域R1、R2、R3を含むように設計しており、これは上述したように、第1巻回部210及び第2巻回部310が第1方向(X方向)に隣接配置されることで、第1延長部221は第1側面S1に延びて第2巻回部310と隣接配置された形態に該当する。以下では、第1延長部221と第2巻回部310が隣接した第2領域R2で発生するカップリング方式を中心に説明するが、これについての説明は、第3領域R3にも適用することができる。
【0055】
第1領域R1では常にポジティブカップリングが、第2領域R2では常にネガティブカップリングが発生しなければならないわけではなく、これとは反対の様相のカップリング、すなわち、第1領域R1ではネガティブカップリングが、第2領域R2ではポジティブカップリングが発生することができる。これを一般的に説明すると、本実施形態は、第1領域R1では、第2領域R2で発生するカップリングと反対のカップリングが発生することに拡張することができる。さらに拡張される場合、互いに反対となるカップリングは、第1R1及び第2領域R2にのみ限定して示す必要はなく、第1延長部221から第2延長部222に向かう第1コイル部C1の電流の流れと、第3延長部321から第4延長部322に向かう第2コイル部C2の電流の流れを基準とするとき、第1コイル部C1及び第2コイル部C2の互いに隣接した複数の領域のうち、少なくとも2つの領域において互いに反対となる様相のカップリングが現れることまで、本実施形態に含まれることができる。このように、互いに反対となる様相のカップリングが示す隣接領域R1、R2、R3の存在によって、全体的にカップリングの絶対的な量は減少する効果を奏することができるため、第1コイル部C1及び第2コイル部C2の結合係数の大きさは低くなる。この場合、結合係数の大きさを小さくするために第1コイル部C1及び第2コイル部C2間の距離を増加させる必要がないため、コイル部品100の小型化に有利であり得る。
【0056】
本実施形態の場合、第1領域R1における第1巻回部210と第2巻回部310の間隔L1は、第2領域R2における第1延長部221と第2巻回部310の間隔L2よりも広くてもよい。第1巻回部210と第2巻回部310が隣接配置された第1領域R1の場合、第1延長部221と第2巻回部310が隣接配置された第2領域R2よりもカップリングが起こる長さが相対的にさらに長いことがある。このような場合には、第1領域R1における間隔L1を第2領域R2における間隔L2よりも大きくして、第1領域R1におけるカップリング効果を相対的に下げることができ、これにより全体的なカップリングの低減効果はさらに向上することができる。この場合、第2領域R1における第1延長部221と第2巻回部310の間隔L2は、第2巻回部310において隣接したターン間の間隔と実質的に同じ程度に狭くなることもでき、これは、コイル部品100の小型化に適した形態に該当する。また、第2領域R2における第1延長部221は、第2巻回部310において隣接した外側面の形態に追従する形状の内側面を有することもできる。
【0057】
上述のように、本実施形態において提案するインダクタアレイのカップリング構造、すなわち、第1C1及び第2コイル部C2が互いに反対となるカップリングが発生する領域を有する構造の場合、従来のインダクタアレイと比較して結合係数の大きさを減らすことができ、本発明の発明者らは、シミュレーション結果を通じてこれを確認した。
図12は、従来の構造によるコイル部品10であり、第1コイル部11及び第2コイル部12が一方向に隣接して一つの領域で1種類のカップリングが発生する。シミュレーションの結果、
図12の構造を有するコイル部品の結合係数は約7%(0.0702628)と計算された。これと比較して上述した構造を有する本実施形態に係るコイル部品100は、結合係数が約0.567%(0.0056734)のレベルであって、従来より著しく低い結果を示し、これは、ポジティブカップリングとネガティブカップリングが起こる隣接領域がすべて存在するためと理解される。
【0058】
一方、第1コイル部C1及び第2コイル部C2は、上述した実施形態とは異なる方向に隣接して配置されることもでき、これは、本体110の長さが第1方向(X方向)と第2方向(Y方向)において互いに異なるときに意味を有することができる。
図13及び
図14は、支持部材を基準としてそれぞれ上部コイル部及び下部コイル部を示したものであり、図示の形態のように、第1外部電極411及び第2外部電極412は第3側面S3及び第4側面S4にそれぞれ配置され、第3外部電極421及び第4外部電極422は第3側面S3及び第4側面S4にそれぞれ配置される。そして、第1巻回部210及び第2巻回部310は、第2方向(Y方向)に隣接して配置される。これにより、第1延長部221から第2延長部222に向かう第1コイル部C1の電流の流れと、第3延長部321から第4延長部322に向かう第2コイル部C2の電流の流れを基準とするとき、第1巻回部210及び第2巻回部310が隣接した第1領域では、第1延長部221と第2巻回部310が隣接した第2領域で発生するカップリングとは反対のカップリングが発生することができる。但し、方向と面に対する名称は任意に定めることができるため、
図13及び
図14の変形例についてのみY方向を第1方向と、Y方向に垂直な面は第1側面及び第2側面と称することができ、同様に、X方向を第2方向と、X方向に垂直な面を第3側面及び第4側面と称することもできる。
図13及び
図14のような配置方式は、以下の変形例にも適用することができる。
【0059】
以下、本発明の様々な変形例について説明する。
まず、
図15及び
図16の変形例の場合、
図15は上部コイル部を示し、
図16は下部コイル部を示す。本変形例において、第1C1及び第2コイル部C2は、前述の実施形態と比較して延長部221、222、321、322の形態に差がある。具体的に、第1延長部221の長さが相対的にさらに長くなることによって、第2巻回部310とカップリングされる領域が増えた構造である。このために、第1延長部221は、第2巻回部310において隣接した外側面のうち曲面領域Rと平面領域Pの両方に追従する形態で実現されることができる。同様に、第4延長部322は、第1巻回部210において隣接した外側面のうち曲面領域Rと平面領域Pの両方に追従する形態で実現されることにより、第3延長部321と第1巻回部210のカップリング領域が増加することができる。この場合、延長部221、222、321、322の長さが増加して外部に露出する領域が本体110の内側に移動することにより、前述の実施形態よりも外部電極411、412、421、422は本体110の内側に配置されることができる。本変形例のように、第1延長部221と第2巻回部310のカップリング領域、並びに、第4延長部322と第1巻回部210のカップリング領域が増加する場合、第1巻回部210及び第2巻回部310のカップリングをさらに減衰することができるため、第1C1及び第2コイル部C2の全体としては、結合係数の大きさがさらに低くなることができる。
【0060】
本発明の発明者らは、
図15及び
図16の実施形態のように、カップリング領域が増加する場合の効果を調べるために、2種類のコイル部に対してシミュレーションして結合係数を算出した。その一つは前述の実施形態(
図2及び
図3)、他の一つは本変形例(
図15及び
図16)の構造を有するようにした。2種類のコイル部品は1210サイズ、すなわち、長さ及び幅がそれぞれ12μm、10μmであり、厚さは0.5μmであった。そして、
図15及び
図16の変形例では、延長部を約149.5μm程度延長して本体の内側に移動した。実験の結果、2種類のコイル部において、インダクタンス(L
s)、直流抵抗(R
dc)、飽和電流(I
sat)特性はターゲット特性内で類似のレベルを示した。但し、結合係数の場合、
図2及び
図3のコイル部を有する場合は0.011、
図15及び
図16のコイル部を有する場合は-0.001と結合係数の大きさがさらに低減された。このように、本変形例では、延長部221、222、321、322の長さを調節して結合係数の大きさの低減効果を極大化することができることを確認した。
【0061】
次に、
図17(上部コイル部)及び
図18(下部コイル部)の変形例の場合、第1コイル部C1は、
図2及び
図3に示した形態と同様であり、第2コイル部C2が異なる。具体的に、第2コイル部C2の形状が変形して、上部コイル部(
図17)において第3延長部321は第2側面S2に延びて第3外部電極421と接続し、下部コイル部(
図10)において、第4延長部322は第1側面S1に延びて第4外部電極422と接続することができる。第2コイル部C2が、このような接続方式を有することで、第1延長部221から第2延長部222に向かう第1コイル部C1の電流の流れと、第3延長部321から第4延長部322に向かう第2コイル部C2の電流の流れを基準とするとき、第1延長部221と第2巻回部310のカップリング、第3延長部321と第1巻回部320のカップリングは、上部コイル部(
図17)でのみ発生し、下部コイル部(
図18)では、第1巻回部210及び第2巻回部310間のカップリングのみが発生するように調節することができる。
【0062】
次に、
図19(上部コイル部)及び
図20(下部コイル部)の変形例の場合、第1コイル部C1は、
図2及び
図3に示した形態と同様であり、第2コイル部C2が異なる。具体的に、第2コイル部C2は、ターンの方向が前述の実施形態と異なり、これにより、カップリングが起こる方式も異なる。第1延長部221から第2延長部222に向かう第1コイル部C1の電流の流れと、第3延長部321から第4延長部322に向かう第2コイル部C2の電流の流れを基準とするとき、第1及び第2巻回部210、310が隣接した第1領域R1では、ネガティブカップリングが発生することができ、第1延長部221及び第2巻回部310が隣接した第2領域R2では、ポジティブカップリングが発生することができる。第2領域R2とは反対に、第4延長部322と第1巻回部210が隣接した第3領域R3では、ネガティブカップリングが発生することができる。本変形例は、ネガティブカップリングが相対的により多く必要とされるように設計されたインダクタアレイにおいて適用することができる。
【0063】
次に、
図21(上部コイル部)及び
図22(下部コイル部)の変形例の場合、第1コイル部C1は、
図2及び
図3に示す形態と同様であり、第2コイル部C2が異なる。具体的に、第2コイル部C2は、ターンの方向が前述の実施形態と異なり、これにより、カップリングが起こる方式も異なる。第1延長部221から第2延長部222に向かう第1コイル部C1の電流の流れと、第3延長部321から第4延長部322に向かう第2コイル部C2の電流の流れを基準とするとき、第1巻回部210及び第2巻回部310が隣接した第1領域R1では、ネガティブカップリングが発生することができ、第1延長部221及び第2巻回部310が隣接した第2領域R2では、ポジティブカップリングが発生することができる。第2領域R2とは反対に、第3延長部321と第1巻回部210が隣接した第3領域R3では、ネガティブカップリングが発生することができる。本変形例は、ネガティブカップリングが相対的により多く必要とされるように設計されたインダクタアレイにおいて適用することができ、
図19及び
図20の変形例と異なる点は、第2コイル部C2において上部コイル部及び下部コイル部の形態が互いに反対に配置された点である。これにより、本変形例では、上部コイル部(
図21)において第1及び第2巻回部210、310のカップリング、第1延長部221と第2巻回部310のカップリング、第3延長部321と第1巻回部210のカップリングが発生し、下部コイル部では、第1210及び第2巻回部310のカップリングが発生する。
【0064】
次に、
図23~
図25の変形例は、コイル部が2層ではなく、これより多くの積層構造を有する。本変形例の場合、一つのレベルにおいてコイル部が占める面積を減らす必要がある場合などに効果的に用いることができる。
図23~
図25に示すように、第1及び第2コイル部C1、C2は、本体100内で少なくとも3つのレベルに配置され、本例では、3つのレベルに配置される。この場合、
図23は最上部、
図25は最下部、
図24はこれらの間の中間部レベルに該当する。すなわち、本体100内の上記3つのレベルは、第1~第3レベル110L1、110L2、110L3を含み、第1レベル110L1と第3レベル110L3との間に第2レベル110L2が位置する。そして、第1コイル部C1は第1レベル110L1及び第2レベル110L2に配置され、第2コイル部C2は第2レベル110L2及び第3レベル110L3に配置される。本変形例の場合、第1コイル部C1及び第2コイル部C2の間のカップリングは同じレベルでのみ発生するものではなく、第1延長部221と第2巻回部310との間のカップリングは第1レベル110L1と第2レベル110L2にわたって発生することができる。同様に、第4延長部322と第1巻回部210との間のカップリングは、第2レベル110L2と第3レベル110L3にわたって発生することができる。そして、第1巻回部210と第2巻回部310との間のカップリングは、第2レベル110L2で主に発生することができる。このように3つ以上のレベルが使用できる以外に、第1コイル部C1及び第2コイル部C2で発生するカップリングの様相は、
図2及び
図3で説明した実施形態と実質的に同一であり、本変形例は、
図2及び
図3以外に、他の実施形態にも適用することができる。
【0065】
次に、
図26の変形例は、第1コイル部C1及び第2コイル部C2に巻線型コイル400を使用した点でのみ差があり、第1コイル部C1及び第2コイル部C2で発生するカップリングの様相は、
図2及び
図3で説明した実施形態と実質的に同一である。そして、変形例の巻線型コイルは、前述した実施形態に全て適用することができる。巻線型コイルは、金属線及び金属線の表面を被覆する被覆層を含む銅ワイヤ(Cu-wire)などのメタルワイヤを巻いて形成することができる。したがって、巻線型コイル400の複数のターン(turn)のそれぞれの表面全体は、被覆層により被覆されることができる。一方、上記メタルワイヤは平角線であってもよいが、これに制限されるものではない。平角線で巻線型コイル400を形成した場合、各ターン(turn) の断面は長方形であってもよい。そして、上記被覆層は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)等を単独又は混合して含むことができるが、これに制限されるものではない。本変形例のように巻線型コイルを使用してコイル部C1、C2を実現する場合であっても、互いに隣接した領域のうち少なくとも一部は互いに反対となるカップリングの様相を示し、これにより、結合係数の大きさが効果的に低減することができる。
【0066】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0067】
100:コイル部品
110:本体
C1、C2:コイル部
111、112:コア部
130:支持部材
210、310:巻回部
221、222、321、322:延長部
411、412、421、422:外部電極
400:巻線型コイル
P:パッド
V:導電性ビア