IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2023-91762バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ
<>
  • 特開-バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ 図1
  • 特開-バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ 図2
  • 特開-バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ 図3
  • 特開-バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ 図4
  • 特開-バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ 図5
  • 特開-バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091762
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】バイアス制御と高調波終端を備えた統合パワーアンプ
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20230623BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H03F1/02 188
H03F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022200872
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】17/556,181
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フセイン・ハサナリ・ラダニ
(72)【発明者】
【氏名】ラマヌジャム・スリニディ・エンバー
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AC33
5J500AC36
5J500AC62
5J500AC75
5J500AC81
5J500AC86
5J500AC92
5J500AF10
5J500AF15
5J500AH10
5J500AH11
5J500AH12
5J500AH17
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH43
5J500AK12
5J500AK29
5J500AK65
5J500AK68
5J500AM08
5J500AQ04
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT05
5J500LV08
5J500WU08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より高い電力とより高い効率をもたらすことができるアンプモジュールを実装する装置及びシステムを提供する。
【解決手段】装置100は、入力無線周波数(RF)信号RF_inを受信するドライバアンプダイと、ドライバアンプ段110から出力された中間RF信号RF_intを第1のRF信号RF_1及び第2のRF信号RF_2に分割するスプリッタネットワーク104と、第1のRF信号及び第2のRF信号を受信する出力アンプ段120と、ドライバアンプ段と出力アンプ段にバイアスをかけるバイアスコントローラ102と、出力アンプ段の第1の出力及び第2の出力を結合して出力RF信号RF_outを生成するとともに出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端するコンバイナネットワーク130とで構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたドライバアンプ段と、
前記ドライバアンプ段から出力された中間RF信号を第1のRF信号と第2のRF信号に分割するように構成されたスプリッタネットワークと、
前記スプリッタネットワークから前記第1のRF信号および前記第2のRF信号を受信するように構成された出力アンプ段と、
前記ドライバアンプ段および前記出力アンプ段にバイアス電圧を供給するように構成されたバイアスコントローラと、
コンバイナネットワークと、
を備え、
前記コンバイナネットワークは、
前記出力アンプ段の第1の出力と第2の出力とを組み合わせて、出力RF信号を生成し、
前記出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端する、
ように構成された、
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記ドライバアンプ段は、同じサイズを有する一対のトランジスタを含み、
前記出力アンプ段は、異なるサイズを有する一対のトランジスタを含む、
装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記ドライバアンプ段および前記出力アンプ段は、窒化ガリウム(GaN)トランジスタを含む、
装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記出力アンプ段は、キャリアアンプおよびピーキングアンプを含み、
前記コンバイナネットワークは、前記キャリアアンプの出力と前記出力アンプ段の出力との間に接続されたインピーダンスインバータを備え、前記インピーダンスインバータは、インピーダンス反転を実行して前記出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端するように構成された、
装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
前記少なくとも1つの高調波は、第2高調波および第3高調波を含む、
装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記ドライバアンプ段は、キャリアアンプ、ピーキングアンプ、および、前記キャリアアンプの出力と前記ドライバ段の出力との間に接続されたインピーダンスインバータを含み、前記インピーダンスインバータは、インピーダンス反転を実行して前記ドライバアンプ段の出力インピーダンスを前記出力アンプ段の入力インピーダンスに整合させるように構成された、
装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、
前記ドライバアンプ段および前記出力アンプ段はドハティアンプである、
装置。
【請求項8】
アンプモジュールであって、
搭載面を備える基板と、
前記基板に結合され、入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたドライバアンプダイと、
前記基板に結合され、前記ドライバアンプダイから出力された中間RF信号を第1のRF信号と第2のRF信号とに分割するように構成されたスプリッタネットワークと、
前記基板に結合され、前記スプリッタネットワークから前記第1のRF信号および前記第2のRF信号を受信するように構成された出力アンプダイと、
前記基板に結合され、前記ドライバアンプダイおよび前記出力アンプダイにバイアス電圧を供給するように構成されたバイアスコントローラと、
前記基板に結合されたコンバイナネットワークと、
を備え、
前記コンバイナネットワークは、
前記出力アンプダイの第1の出力と第2の出力とを組み合わせて、出力RF信号を生成し、
前記出力アンプダイの出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端する、
ように構成した、
アンプモジュール。
【請求項9】
請求項8記載のアンプモジュールにおいて、
前記ドライバアンプダイは、同じサイズを有する一対のトランジスタを含み、
前記出力アンプダイは、異なるサイズを有する一対のトランジスタを含む、
アンプモジュール。
【請求項10】
請求項8記載のアンプモジュールにおいて、
前記ドライバアンプダイおよび前記出力アンプダイは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタを含む、
アンプモジュール。
【請求項11】
請求項8記載のアンプモジュールにおいて、
前記出力アンプダイは、キャリアアンプおよびピーキングアンプを含み。
前記コンバイナネットワークは、前記キャリアアンプの出力と前記出力アンプダイの出力との間に接続されたインピーダンスインバータを備え、前記インピーダンスインバータは、インピーダンス反転を実行して、前記出力アンプダイの出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端するように構成された、
アンプモジュール。
【請求項12】
請求項8記載のアンプモジュールにおいて、
前記少なくとも1つの高調波は、第2高調波および第3高調波を含む、
アンプモジュール。
【請求項13】
請求項8記載のアンプモジュールにおいて、
前記ドライバアンプダイは、キャリアアンプ、ピーキングアンプ、および、前記キャリアアンプの出力と前記ドライバアンプダイの出力との間に接続されたインピーダンスインバータを含み、前記インピーダンスインバータは、インピーダンス反転を実行して、前記ドライバアンプダイの出力インピーダンスを前記出力アンプダイの入力インピーダンスに整合させるように構成された、
アンプモジュール。
【請求項14】
請求項8記載のアンプモジュールにおいて、
前記ドライバアンプダイと前記出力アンプダイはドハティアンプである、
アンプモジュール。
【請求項15】
システムであって、
アンテナと、
前記アンテナに結合され、アンプモジュールを含む送信機と、
を備え、
前記アンプモジュールは、
入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたドライバアンプ段と、
前記ドライバアンプ段から出力された中間RF信号を第1のRF信号と第2のRF信号に分割するように構成されたスプリッタネットワークと、
前記スプリッタネットワークから前記第1のRF信号および前記第2のRF信号を受信するように構成された出力アンプ段と、
前記ドライバアンプ段および前記出力アンプ段にバイアス電圧を供給するように構成されたバイアスコントローラと、
コンバイナネットワークと、
を備え、
前記コンバイナネットワークは、
前記出力アンプ段の第1の出力と第2の出力とを組み合わせて、出力RF信号を生成し、
前記出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端する、
ように構成された、
システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記ドライバアンプ段および前記出力アンプ段は窒化ガリウム(GaN)トランジスタを含む、
システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記出力アンプ段は、キャリアアンプおよびピーキングアンプを含み、
前記コンバイナネットワークは、前記キャリアアンプの出力と前記出力アンプ段の出力との間に接続されたインピーダンスインバータを備え、前記インピーダンスインバータは、インピーダンス反転を実行して、前記出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端するように構成された、
システム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの高調波は、前記出力RF信号の第2高調波および第3高調波を含む、
システム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記ドライバ段は、キャリアアンプ、ピーキングアンプ、および、前記キャリアアンプの出力と前記ドライバ段の出力との間に接続されたインピーダンスインバータを含み、前記インピーダンスインバータは、インピーダンス反転を実行して、前記ドライバアンプ段の出力インピーダンスを前記出力アンプ段の入力インピーダンスに整合させるように構成された、
システム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記ドライバアンプ段および前記出力アンプ段はドハティアンプである、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線電力増幅のための装置およびシステムに関する。特に、本開示は、バイアス制御および高調波終端と一体化されたマルチチップ無線周波数(RF)ぽわーアンプモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、無線周波数(RF)信号の電力を増加させるためにパワーアンプ(電力増幅器)を使用することがある。無線通信システムでは、伝送チャネルの最終増幅段にあるパワーアンプは、空中放射用のアンテナへの信号の増幅を容易にすることができる。高利得、高線形性、安定性、および高レベルの電力付加効率は、このような無線通信システムにおける望ましいアンプの特性である。一般に、パワーアンプが飽和電力に近い電力を送信する場合、パワーアンプは最大の電力効率で動作するかもしれない。ただし、出力電力が低下するにつれ、電力効率が低下してもよい。したがって、現在および次世代の無線システムには、高効率のパワーアンプのアーキテクチャが望まれるかもしれない。
【0003】
しかしながら、半導体パッケージ設計に関して、様々なアーキテクチャが課題に直面している。たとえば、一部のアンプの半導体パッケージ設計では、各増幅パスを実装するために、デバイス、導体、集積回路などの別個の構成要素の異なるセットが必要になるかもしれない。これらの別個の構成要素の異なるセットは、異なる増幅パス間の信号結合により発生する可能性のある潜在的な性能低下を制限するために、お互いから離れて特定の距離で維持されてもよい。したがって、異なる増幅パス間の距離を維持しながら、比較的小さなサイズのパワーアンプを設計することは課題であるかもしれない。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、アンプモジュールを実装する装置が一般的に説明される。この装置は、入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたドライバアンプ段を含むことができる。装置は、ドライバアンプ段から出力された中間RF信号を第1のRF信号と第2のRF信号に分割するように構成されたスプリッタネットワークをさらに含むことができる。この装置は、スプリッタネットワークから第1のRF信号および第2のRF信号を受信するように構成された出力アンプ段をさらに含むことができる。この装置は、ドライバアンプ段および出力アンプ段にバイアス電圧を供給するように構成された電力管理集積回路(PMIC)をさらに含むことができる。装置は、アンプ段の第1の出力と第2の出力とを結合して出力RF信号を生成するように構成されたコンバイナネットワークをさらに含むことができる。コンバイナネットワークは、出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端するようにさらに構成することができる。
【0005】
別の実施形態では、アンプモジュールが一般的に説明される。アンプモジュールは、搭載面を有する基板を含むことができる。アンプモジュールは、基板に結合されたドライバアンプダイをさらに含むことができ、ドライバアンプダイは、入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成されている。アンプモジュールは、基板に結合されたスプリッタネットワークをさらに含むことができ、スプリッタネットワークは、ドライバアンプ段から出力された中間RF信号を、第1のRF信号と第2のRF信号に分割するように構成されている。アンプモジュールは、基板に結合された出力アンプダイをさらに含むことができ、出力アンプダイは、スプリッタネットワークから第1のRF信号および第2のRF信号を受信するように構成されている。アンプモジュールは、基板に結合された電力管理集積回路(PMIC)をさらに含むことができ、PMICは、ドライバアンプ段および出力アンプ段にバイアス電圧を供給するように構成されている。アンプモジュールは、基板に結合されたコンバイナネットワークをさらに含むことができ、コンバイナネットワークは、アンプ段の第1の出力と第2の出力を結合して出力RF信号を生成するように構成されている。コンバイナネットワークは、出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端するようにさらに構成することができる。
【0006】
別の実施形態では、アンプモジュールを実装するシステムが一般的に説明される。システムは、アンテナとアンテナに結合された送信機とを含むことができる。送信機にはアンプモジュールを含めることができる。アンプモジュールは、入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたドライバアンプ段を含むことができる。アンプモジュールは、ドライバアンプ段から出力された中間RF信号を、第1のRF信号と第2のRF信号に分割するように構成されたスプリッタネットワークをさらに含むことができる。アンプモジュールは、スプリッタネットワークから第1のRF信号および第2のRF信号を受信するように構成された出力アンプ段をさらに含むことができる。アンプモジュールは、ドライバアンプ段および出力アンプ段にバイアス電圧を供給するように構成された、電力管理集積回路(PMIC)とすることができるバイアスコントローラをさらに含むことができる。アンプモジュールは、アンプ段の第1の出力と第2の出力とを結合して出力RF信号を生成するように構成されたコンバイナネットワークをさらに含むことができる。コンバイナネットワークは、出力アンプ段の出力インピーダンスの少なくとも1つの高調波を終端するようにさらに構成することができる。
【0007】
前述の概要は、例示のみを目的としており、決して限定を意図するものではない。上述の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴は、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。図面において、同様の参照番号は、同一または機能的に同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態において、バイアス制御および高調波終端を備えた統合パワーアンプを実装することができる例示的な装置を示す図である。
図2】一実施形態において、図1に示す例示的な装置のさらなる詳細を示す図である。
図3】一実施形態において、図1に示す例示的な装置のさらなる詳細を示す図である。
図4】一実施形態におけて、図1に示す例示的な装置の実装の例示的な結果を示す図である。
図5】一実施形態において、図1に示す例示的な装置を実装することができるパッケージ化されたデバイスのレイアウトを示す図である。
図6】一実施形態において、バイアス制御および高調波終端を備えた統合パワーアンプを実装することができる例示的な通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本出願の様々な実施形態の理解を提供するために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理ステップ、および技術などの多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本出願の様々な実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の例では、本出願を曖昧にすることを避けるために、周知の構造または処理ステップは詳細には説明されていない。
【0010】
より小さいサイズのパワーアンプを設計するために、窒化ガリウム(GaN)デバイスが検討される。GaNデバイスは、コンパクトなサイズ、より高い電力密度、より高い効率、より低いスイッチング損失、より優れた熱管理の提供など、他の材料のデバイスよりも様々な利点を提供する可能性がある。GaNデバイスは、ワイドバンドギャップ半導体として知られる半導体ファミリーに属している。ワイドバンドギャップ半導体は、例えばシリコン(Si)またはガリウム砒素(GaAs)などの一般的に使用される材料のバンドギャップよりも大幅に大きいバンドギャップを有する材料と呼ぶことができる。ワイドバンドギャップは典型的には、例えば1または2電子ボルト(eV)より大きいバンドギャップを持つ材料を指し、GaNは3.2電子ボルト(eV)(シリコンのほぼ3倍高い)のバンドギャップを有する。より広いバンドギャップにより、GaNデバイスは価電子を半導体の伝導帯に励起するためにより多くのエネルギーを要求させられ、より高い絶縁破壊電圧とより高い温度でのより大きな熱安定性とを可能にするという利点を提供する。さらに、GaNのより高い絶縁崩壊電圧により、GaNデバイスは損傷を受けることなく高電圧および高電力アプリケーションをサポートすることが可能になり、比較的小さない実装面積を維持しながらGaNデバイスを電力アプリケーションで使用可能にする。したがって、GaNデバイスに基づくパワーアンプは、すぐ近くに増幅パスを有し、その結果、より小さなパワーアンプをもたらすかもしれない。高周波アプリケーションの場合、GaNは、例えばシリコンよりも大幅に高い電子移動度を有している。その結果、GaN結晶内の電子は、シリコン内よりも30%以上速く移動できる。したがって、GaNの電子移動度により、GaNはRFアプリケーションなどの特定のアプリケーションでより高いスイッチング周波数を扱うことが可能になる。
【0011】
図1は、一実施形態において、バイアス制御および高調波終端を備えた統合パワーアンプを実装することができる例示的な装置100を示す図である。装置100は、1つの半導体パッケージに統合された複数の構成要素(例えば、チップ、ダイ、回路要素など)を有するパワーアンプモジュールであり得る。装置100は、バイアスコントローラ102、ドライバアンプ段110、スプリッタネットワーク104、出力アンプ段120、およびコンバイナネットワーク130を含み得る。バイアスコントローラ102は、電力管理集積回路(PMIC)であり得る。一実施形態では、ドライバアンプ段110および出力アンプ段120は、ツーウェイドハティアンプであり得る。 1つまたは複数の実施形態では、出力アンプ段120は、Nウェイドハティアンプであり得る。装置100は、入力RF信号RF_inを受信し、RF_inを増幅して出力RF信号RF_outを生成するように構成することができる。一実施形態では、ドライバアンプ段110および出力アンプ段120は、窒化ガリウム金属半導体電界効果トランジスタ(GaN MESFET)、GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)、GaNヘテロ構造電界効果トランジスタ(HFET)、シリコン横方向拡散金属酸化膜半導体(LDMOS)、シリコン相補型金属酸化膜半導体 (CMOS)、ガリウムヒ素 (GaAs) デバイス、シリコンゲルマニウム(SiGe)などの窒化ガリウム(GaN)トランジスタを含むことができる。
【0012】
ドライバアンプ段110は、アンプ112およびアンプ114を含むことができる。アンプ112は、ドライバアンプ段110のピーキングアンプまたは補助アンプとすることができ、アンプ114は、ドライバアンプ段110のキャリアアンプまたは主アンプとすることができる。一実施形態では、アンプ112、114は、対称(例えば、同一の、同じサイズを有する、および/または同じ電力能力を有する)無線周波数(RF)アンプとすることができる。入力無線周波数(RF)信号RF_inは、装置100によって受信され、ドライバアンプ段110内のアンプ112、114に分配され得る。ドライバアンプ段110のアンプ112、114は、RF_inを受信し、RF_inにゲインを適用してRF_inを中間RF信号RF_intに増幅することができる。インピーダンスインバータ116を含む整合ネットワークは、アンプ112、114の出力端子間に接続することができる。インピーダンスインバータ116は、インピーダンス反転を実行して、ドライバアンプ段110の出力インピーダンスをスプリッタネットワーク104のインピーダンスに整合させるように構成することができる。インピーダンスインバータ116によって実行されるインピーダンス整合は、ドライバアンプ段110から出力アンプ段120に伝達される電力を最大化することができ、および/またはドライバアンプ段110と出力アンプ段120との間の定常波の生成を防止することができる。
【0013】
スプリッタネットワーク104は、中間RF信号RF_intを第1のRF信号RF_1と第2のRF信号RF_2に分割するように構成することができる。スプリッタネットワーク104は、RF信号の分割を容易にすることができる様々な表面実装受動部品(例えば、抵抗器、インダクタ、コンデンサ)を含むことができる。1つまたは複数の実施形態では、スプリッタネットワーク104は、90度の位相シフトを提供する1/4波長伝送ラインなど、特定の遅延を中間RF信号RF_intに適用できる伝送ラインを含むことができる。一実施形態では、スプリッタネットワーク104は、ストリップラインベースの4ポート表面実装の90度ハイブリッドカプラを使用して実装することができる。一実施形態では、スプリッタネットワーク104は、第1のRF信号RF_1と第2のRF信号RF_2との比の電圧レベルが1:Xとなるように、1:Xの電力分割比を有することができ、Xは1から2の間で変化することができる。
【0014】
出力アンプ段120は、アンプ122およびアンプ124を含むことができる。アンプ122は、出力アンプ段120のピーキングまたは補助アンプとすることができ、アンプ124は、出力アンプ段120のキャリアまたは主アンプとすることができる。一実施形態では、アンプ122、124は、互いに異なる電力能力を有する異なるRFアンプであるなど、非対称とすることができる。例えば、アンプ122は、アンプ122がより高い電圧レベルで信号を処理でき、アンプ124がより低い電圧信号で信号を処理できるように、アンプ124と比較してより高い電力能力を有することができる。第1のRF信号RF_1および第2のRF信号RF_2は、出力アンプ段120のアンプ122、124によってそれぞれ受信され得る。アンプ122は、RF_1にゲインを適用してRF_1を増幅し、RF信号RF_1Aを生成することができる。ここで、RF_1AはRF_1の増幅バージョンであり得る。アンプ124は、RF_2にゲインを適用してRF_2を増幅し、RF信号RF_2Aを生成することができる。ここで、RF_2AはRF_2の増幅バージョンであり得る。
【0015】
バイアスコントローラ102は、ゲートバイアス電圧117、118を提供してアンプ112、114をそれぞれオンにするように構成することができる。アンプ112、114は、入力RF信号RF_inの電圧レベルに応じて、同時にまたは異なる時間にオンに切り替えることができる。バイアスコントローラ102はまた、ゲートバイアス電圧126をアンプ122に提供し、ゲートバイアス電圧128をアンプ124に提供するように構成することもできる。アンプ122、124は、中間RF信号RF-intの電圧レベルに応じて、同時にまたは異なる時間にオンに切り替えることができる。バイアスコントローラ102はさらに、装置100の様々なパラメータをモニタし、モニタしたパラメータに基づいて装置100に対して内部のバイアス電圧または他のパラメータまたは制御信号を調整するように構成することができる。例えば、バイアスコントローラ102は、装置100の動作温度を感知するように構成された温度センサ108を含むことができる。バイアスコントローラ102のコントローラ106(例えば、マイクロコントローラ)は、温度センサ108によって感知された動作温度に基づいてゲートバイアス電圧117、118、126、128を調整するように構成することができる。
【0016】
一実施形態では、装置100は、無線送信機、無線送受信機、ビームフォーマ回路、および/または、RF信号増幅を必要とする他のタイプのRF通信デバイスなどのRF通信デバイスに統合されたパワーアンプモジュールであり得る。装置100の出力端子は、フェーズドアレイのうち1つのアンテナまたは1つもしくは複数のアンテナなど、出力RF信号RF_outを表す電波を放射できる負荷またはデバイスに接続することができる。コンバイナネットワーク130は、アンプ122、124の出力端子間に接続されたインピーダンスインバータ132を含むことができる。インピーダンスインバータ132は、インピーダンス反転を実行して、出力アンプ段120の出力インピーダンスを、装置100から電力を引き出す負荷または負荷の入力インピーダンスに整合させるように構成することができる。具体的には、インピーダンスインバータ132は、アンプ124の動作を最適化するために第2高調波終端を提供することができる。インピーダンスインバータ132によって実行されるインピーダンス整合は、出力アンプ段120から負荷に搬送される電力を最大化することができ、および/または、出力アンプ段120と負荷との間の定常波の生成を防止することができる。
【0017】
コンバイナネットワーク130は、帯域幅、効率、負荷変調に関する基準を満たし、第2および第3高調波終端を実行するように設計することができる。バイアスコントローラ102、ドライバアンプ段110、スプリッタネットワーク104、出力アンプ段120、およびコンバイナネットワーク130は、比較的コンパクトなサイズを有する単一のマルチチップモジュール内に統合することができる。例えば、装置100は、約12ミリメートル(mm)×8mmの寸法を有する基板またはウェハに取り付けることができる。出力アンプ段120に集積ドハティアンプを実装することにより、他のタイプのアンプと比較されると、比較的広いRF帯域幅に適応させながら、占有基板スペースの量を減らすことができる。例えば、ドハティアンプの実装により、コンバイナネットワーク130は、アンプ122、124の出力間に接続された90度インピーダンスインバータ(例えば、インピーダンスインバータ132)を使用するのが可能になり、ピーキングアンプ(例えば、アンプ122)の出力上のオフ状態遅延線は必要ないかもしれない。さらに、インピーダンスインバータ132は、基板スペースを節約するために、マイクロストリップラインの代わりに集中等価素子回路(例えば、抵抗、インダクタ、コンデンサを使用)によって実現または実装することができる。
【0018】
ドライバアンプ段110に集積ドハティアンプを実装することにより、クラスABアンプなどの他のタイプのアンプと比較した場合に、占有基板スペースの量を削減することもできる。さらに、ドライバアンプ段110における対称ドハティアンプ(例えば、アンプ112、114が同一である)の実装は、ドライバアンプ段が約10から12デシベル(dB)のバックオフ電力で動作してもよいので、より広い帯域信号にわたって最適な線形性を提供することができる。一実施形態では、ドライバアンプ段110のインピーダンスインバータ116は、基板スペースを節約するために、マイクロストリップラインの代わりに、集中等価回路要素(例えば、抵抗器、インダクタ、コンデンサ)によって実現または実装することもできる。さらに、インピーダンスインバータ116は、ドライバアンプ段110における対称ドハティアンプの実装とともに、出力伝送がドライバアンプ段110の出力前に必要とされないようにアンプ112、114によって出力されるRF信号の50オームの直接結合を提供することができる。
【0019】
ドライバアンプ段110および出力アンプ段120におけるGaNトランジスタの利用により、インピーダンスインバータ132に対する集中等価物の実施とともに、ドライバアンプ段110および出力アンプ段120が、比較的小さい可能性のある基板の領域に取り付けられることを可能にする。ドライバアンプ段110および出力アンプ段120によって占有される回路基板スペースの減少により、バイアスコントローラ102が、同じモジュール(例えば、装置100)に統合されることを可能にする。バイアスコントローラ102をドライバアンプ段110および出力アンプ段120と同じモジュールに統合することにより、ドライバアンプ段110および出力アンプ段120の比較的効率的かつ高速なバイアス制御が可能になり、したがって、パワーアンプチップまたはモジュール(例えば、装置100)の全体的な性能が向上される。
【0020】
図2は、一実施形態における図1に示される例示的な装置のさらなる詳細を示す図である。図2に示す例では、ドライバアンプ段110は、トランジスタ202およびトランジスタ204を含むことができる。トランジスタ202、204は、GaNトランジスタとすることができる。トランジスタ202はアンプ112の一部とすることができ、トランジスタ204はアンプ114の一部とすることができる(図1参照)。トランジスタ202、204は、互いに同一であり得る(例えば、同じサイズを有する)。バイアスコントローラ102(図1参照)によって提供されるゲートバイアス電圧117、118は、トランジスタ202およびトランジスタ204をそれぞれオンに切り替えることができる。インピーダンスインバータ116は、トランジスタ202、204の間またはアンプ112、114の出力端子間に接続することができる。インピーダンスインバータ116は、チップコンデンサおよびチップインダクタなどの集中構成要素として、または、マイクロストリップラインなどの分散伝送線の形式で、または、集中ラインとマイクロストリップラインの両方を使ったハイブリッド形式で実装することができる。図2に示される例では、インピーダンスインバータ116は、伝送線の集中等価物(図2に示されるように、コンデンサC1およびインダクタL1、L2、L3、L4を含む回路要素の配列)として実装され得る。インピーダンスインバータ116内の構成要素のサイズは、インピーダンスインバータ116内の回路要素によって発揮される電圧および電流レベルと、利用可能な回路基板スペースとに基づくことができる。一実施形態では、L1およびL2のサンプル値は、ドライバアンプ段が約3.5ギガヘルツ(GHz)で動作する場合、約1.9ナノヘンリー(nH)とすることができる。供給電圧VDDをインピーダンスインバータ116に印加して、インピーダンスインバータ116を駆動してインピーダンス反転を実行することができる。 1つまたは複数の実施形態では、供給電圧VDDは、20Vから55Vの範囲内であり得る。インピーダンスインバータ116によって実行されるインピーダンス反転は、ドライバアンプ段110の出力インピーダンスを出力アンプ段120の入力インピーダンスに整合させることができる。インピーダンスインバータ116によって実行されるインピーダンス整合は、ドライバアンプ段110から出力アンプ段に伝達される電力を最大化することができる。ドライバアンプ段110がドハティアンプであることに応答して、ドライバアンプ段110は、バックオフ電力レベルで比較的高い効率を供給することができる。さらに、インピーダンスインバータ116は、トランジスタ202および204にVDDを供給するためのドレインバイアス供給を提供するなどの追加機能も提供することができる。さらに加えて、インピーダンスインバータ132は、高効率および高電力密度を可能にするために、トランジスタ302、304の電流発生器での第2および第3高調波で最適な高調波終端を提示することができる。
【0021】
図3は、一実施形態における図1に示される例示的な装置のさらなる詳細を示す図である。図3に示される例では、出力アンプ段120はトランジスタ302およびトランジスタ304を含むことができる。トランジスタ302、304はGaNトランジスタとすることができる。トランジスタ302はアンプ122の一部とすることができ、トランジスタ304はアンプ124の一部とすることができる(図1参照)。1つまたは複数の実施形態では、トランジスタ302は、トランジスタ304のサイズ以上のサイズを有する。バイアスコントローラ102(図1参照)によって提供されるゲートバイアス電圧128は、トランジスタ302をオンに切り替えることができ、バイアスコントローラ102(図1参照)によって提供されるゲートバイアス電圧128は、トランジスタ304をオンに切り替えることができる。インピーダンスインバータ132は、トランジスタ302、304の間、または、アンプ122、124の出力端子の間に接続することができる。インピーダンスインバータ132は、チップコンデンサやチップインダクタなどの集中構成要素として、または、マイクロストリップラインなどの分散伝送線の形式で、または、集中ラインおよびマイクロストリップラインの両方を使用するハイブリッド形式で実装することができる。図2に示される例では、インピーダンスインバータ132は、伝送線の集中等価物(図3に示されるように、コンデンサC2およびインダクタL5、L6、L7、L8を含む回路要素の配列)として実装することができる。インピーダンスインバータ132内の構成要素のサイズは、インピーダンスインバータ132内の回路要素によって発揮される電圧および電流レベルと、利用可能な回路基板スペースとに基づくことができる。一実施形態では、最終段が約3.5ギガヘルツ(GHz)で動作する場合、L6およびL7は0.35nH、C2は0.3ピコファラッド(pF)、L5は0.85nH、L8は0.5nHとすることができる。一実施形態では、インダクタL5およびL8が比較的高いインダクタンスを有する場合、インダクタL5およびL8はチョークとして機能することができる。インダクタL5およびL8が比較的小さいのインダクタンスを有する場合、RF信号 (例えば、RF_1、RF_2) はコンデンサC3、C4に向けられ、VDDはRF信号を確認しないかもしれない。インピーダンスインバータ132によって実行されるインピーダンス反転は、出力アンプ段120の出力インピーダンスを、装置100から電力を引き出す負荷または負荷の入力インピーダンスに整合させることができる。具体的には、インピーダンスインバータ132は、出力アンプ段120と装置100に接続された負荷との間で第2高調波および第3高調波のインピーダンスを整合させることができる。インピーダンスインバータ132によって実行されるインピーダンス整合は、出力アンプ段120から負荷に伝達される電力を最大化することができる。さらに、インピーダンスインバータ132は、トランジスタ302および304にVDDを提供するためのドレインバイアス供給を提供するなどの追加機能を提供することができる。さらに加えて、インピーダンスインバータ132は、高効率および高電力密度を可能にするために、トランジスタ302、304の電流発生器での第2および第3高調波で最適な高調波終端を提示することができる。
【0022】
図4は、一実施形態における図1に示される例示的な装置100の実装の例示的な結果を示す図である。装置100の最適な基本インピーダンスに対してスケーリングされたスミスチャート400が図4に示されている。スミスチャート400では、入力RF信号RF_inの基本周波数のインピーダンスがスミスチャート400上の点404に示されている。ある態様では、能動トランジスタ(例えば、トランジスタ302、304)の非線形性は、高次周波数で高調波を生成することができる。生成した高調波は、装置100の性能を向上させることができるように、生成した高調波に合わせてインピーダンスインバータ132を設計することによって制御することができる。例えば、スミスチャート400の点406および408は、電流発生器基準面でトランジスタ304(例えば、キャリアトランジスタ)に提示される第2高調波および第3高調波インピーダンスを示す。点404、406、408は、それぞれ基本周波数、第2高調波、および第3高調波に対する目標整合インピーダンスを表すことができる。点404、406、408は、インピーダンスインバータ116および/またはインピーダンスインバータ132を設計するために使用されて、供給電圧VDDの約3倍(例えば、VDDが50Vの場合、150V)に到達するトランジスタ304の電圧スイングを達成することができ、方形波への出力の近似を許容する。例えば、インピーダンスインバータ132は、容量性領域内の固定点406、408によって設計することができる。乗算した電圧スイング (例えば、3倍)と方形波近似との組み合わせは、基本周波数の整合インピーダンスのみに基づいて設計されたアンプモジュール(例えば、出力が正弦波電圧波および/または半正弦波電流波を持つモジュール) と比較して、より高い電力とより高い効率をもたらすことができる。
【0023】
インピーダンスインバータ132によって実行されるインピーダンス整合は、出力アンプ段120の出力インピーダンスを調整して、特定の高調波を終了させることができる。例えば、第2高調波を終了させるために、出力アンプ段120の出力インピーダンスをインピーダンスインバータ132によって調整して、スミスチャート400上の点406によって表されるインピーダンスを達成することができる。第3高調波を終了させるために、出力アンプ段の出力インピーダンス120をインピーダンスインバータ132によって調整して、スミスチャート400上の点408によって表されるインピーダンスを達成することができる。一態様では、装置100は、第2高調波および第3高調波を終端して、比較的大きな電圧スイング(例えば、3倍のドレイン電圧より大きい)をGaNトランジスタの利用に基づいて達成することができる。
【0024】
図5は、一実施形態において図1に示される例示的な装置100を実装することができるパッケージ化されたデバイスのレイアウトを示す図である。装置100(図1参照)のレイアウト500を図5に示す。図1を参照すると、ドライバアンプ段110、スプリッタネットワーク104、出力アンプ段120、コンバイナネットワーク130、およびバイアスコントローラ102を、基板502に結合または基板502の上面に搭載することができる。基板502は、例えば、様々な回路部品、デバイス、チップ、および/またはダイを搭載するための搭載面を含む多層積層部品であり得る。一実施形態では、ドライバアンプ段110および出力アンプ段は、動作中に熱を発生する可能性があるモノリシック集積回路(IC)であってもよい。基板502は、ヒートシンクおよび接地基準アクセスを提供するために、ドライバアンプ段110および出力アンプ段120に接続された電気的および熱伝導性のトレンチまたはスラグをさらに含んでもよい。1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の導電性ランディングパッドを基板502上に搭載することができる。1つまたは複数の導電性ランディングパッドは、装置100がRF_inを受け取り、RF_outを出力するための入力ノードおよび出力ノードとして機能することができる。導電性パッドの一部は、電源から電力を受け取るための入力ノードとして機能できる。
【0025】
一実施形態では、ドライバアンプ段110および出力アンプ段120は、基板502上の個別のダイとして実施することができる。インピーダンスインバータ116は、ドライバアンプ段110内の集中素子回路として実施することができる。インピーダンスインバータ132は、出力アンプ段120内の集中素子回路として実施することができる。図5で示す例では、トランジスタ202、204(図2参照)は互いに同一であり、トランジスタ302はトランジスタ304よりもサイズを大きくてもよい。バイアスコントローラ102は、ドライバアンプ段110および出力アンプ段120に近接して配置することができる。ドライバアンプ段110、出力アンプ段120、およびバイアスコントローラ102は、絶縁を改善するためまたはノイズ漏れを抑制するために、別個の電気接地に結合されてもよい。
【0026】
一態様では、シリコントランジスタは、GaNトランジスタと比較すると、より多くの寄生効果を有しているかもしれない。したがって、シリコントランジスタを使用する高周波RFアプリケーション用の整合ネットワークとインピーダンスコンバータは、より多くの構成要素を必要とし、これらの整合ネットワークのサイズは、構成要素の追加に伴って大きくなってもよい。一方、GaNトランジスタは、シリコントランジスタに比べて寄生が少なく、電力密度が高い。これらの違いにより、GaNトランジスタをRFアプリケーションに実装することができ、シリコントランジスタを実装するアプリケーションと比較すると、対応する整合ネットワークとインピーダンスインバータは、比較的少ない構成要素で実装することができる。
【0027】
図6は、一実施形態において、バイアス制御および高調波終端を備えた統合パワーアンプを実装できる例示的なシステム600を示す図である。システム600は、無線送信機または送受信機に実装された通信システムであってもよい。システム600は、装置100を含む送信機または伝送チャネル610、受信機または受信機チャネル620、および1つまたは複数のアンテナ608を含んでもよい。送信機610は、入力RF信号RF_inを装置100に提供するように構成してもよい。一実施形態では、送信機601は、装置100によって増幅される前に入力RF信号RF_inの利得および位相を調整することができる利得制御回路および位相制御回路などの制御構成要素を含むフロントエンド回路をさらに含むことができる。装置100は出力RF信号RF_outをアンテナ608に送信することができる。一実施形態では、RF_outは、フィードバック信号604として、例えば送信機610または他のコントローラにフィードバックすることができる。一実施形態では、システム600は、フィードバック信号604を使用してRF_outをモニタしアンテナ608の性能を維持および安定化できるデジタル予歪システムを備えたループ内に接続することできる。一実施形態では、サーキュレータ606を、装置100の出力とアンテナ608との間に接続することができる。サーキュレータ606は、システム600に対して起動されている送信または受信モードに応答して、アンテナ608に流れる電流をリダイレクトすることによって、アンテナ608への損傷を防ぐことができる。一例では、サーキュレータ606は、システム600が送信モードで動作している場合、装置100の出力をアンテナ608に接続するように切り替えてもよい。システム600が受信モードで動作している場合、サーキュレータ606はアンテナ608を受信機620に接続するために切り替えてもよい。受信モードでは、アンテナ608は、RX_inとラベル付けされたRF信号を受信してもよく、受信機620は、RX_inを処理して、RX_оutとしてラベル付けされた受信RF信号を生成するためのRX_inの位相、受信角度、振幅などを決定するように構成されてもよい。システム600は、RF信号RX_outによって運ばれ得るメッセージの復号化を容易にすることができるデコーダおよびコンバイナをさらに含むことができる。
【0028】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「cоmprises(含む)」および/または「cоmprising(含む)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0029】
もしあれば、以下の特許請求の範囲における対応する構造、材料、作用、および、すべての手段またはステッププラス機能要素の均等物は、具体的に請求されているように、他の特許請求された要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または作用を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明を目的として提示されたものであり、網羅的であること、または、開示された形態の本発明に限定されることを意図していない。当業者にとって、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形が明らかであろう。実施形態は、本発明の原理および実際の適用を最もよく説明し、他の当業者が考えられる特定の使用に適した様々な変更を伴う様々な実施形態について本発明を理解できるようにするために選択され、説明された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】