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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091775
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】心血管活動評価の方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/02 20060101AFI20230623BHJP
   A61B 8/06 20060101ALI20230623BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61B8/02
A61B8/06
A61B5/02 310V
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022202328
(22)【出願日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】2113944
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】323000860
【氏名又は名称】ヴェルモン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ベンチモール,マクシム
【テーマコード(参考)】
4C017
4C601
【Fターム(参考)】
4C017AA20
4C017AB02
4C017AC40
4C601DD03
4C601DD07
4C601DE03
4C601EE11
4C601FE10
4C601GA01
4C601GB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、ヒトの心血管活動を評価するための携帯型の電子デバイスを提供する。
【解決手段】電子デバイスは、第1および第2のプローブと、制御回路とを備え、前記第1および第2のプローブは、互いに実質的に平行で、第3のプローブ101Cの両側に位置し、前記第3のプローブ101Cは前記第1および第2のプローブに実質的に垂直であり、各プローブは超音波トランスデューサ103A、103B、103Cのアレイを備え、前記制御回路は、a)第1のプローブによって放射される第1の超音波ビームを用いて、前記電子デバイスに対する血管150の位置を推定し、b)推定された前記血管150の位置に応じて、前記第3のプローブ101Cによって放射される第2の超音波ビーム201;201′を調整するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの心血管活動を評価するための携帯型の電子デバイスであって、
第1および第2のプローブ(101A、101B)と、制御回路(400、500)とを備え、
前記第1および第2のプローブ(101A、101B)は、互いに実質的に平行で、第3のプローブ(101C)の両側に位置し、前記第3のプローブ(101C)は前記第1および第2のプローブに実質的に垂直であり、各プローブ(101A、101B、101C)は超音波トランスデューサ(103A、103B、103C)のアレイを備え、
前記制御回路(400、500)は、
a)第1のプローブ(101A)によって放射される第1の超音波ビームを用いて、前記デバイスに対する血管(150)の位置を推定し、
b)推定された前記血管(150)の位置に応じて、前記第3のプローブ(101C)によって放射される第2の超音波ビーム(201;201′)を調整するように構成されている、電子デバイス。
【請求項2】
前記制御回路は、ステップb)で、推定された前記血管(150)の位置に応じて、前記第2の超音波ビーム(201;201′)の放射方向を調整するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記制御回路は、さらに、ステップb)で、推定された前記血管(150)の位置に応じて、前記第2の超音波ビーム(201;201′)の焦点距離を調整するように構成されている、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記制御回路は、推定された前記血管(150)の位置に応じて、前記第1のプローブ(101A)によって放射される前記第1の超音波ビームを調整するように構成されている、請求項1~3のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2のプローブ(101B)は、第3の超音波ビームを放射するように構成されている、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御回路は、さらに、ステップa)において、前記第2のプローブ(101B)によって放射される前記第3の超音波ビームを用いて、前記デバイスに対する前記血管(150)の位置を推定するように構成されている、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御回路は、前記第1および第2のプローブ(101A、101B)によってそれぞれ放射される前記第1および第3の超音波ビームに基づいて、前記血管(150)内の脈波伝播速度を推定するように構成されている、請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記制御回路は、さらに、ドップラー効果によって、前記第2の超音波ビーム(201;201′)に基づいて、前記血管(150)内の血流速度を推定するように構成されている、請求項1~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項9】
前記血管(150)は尺骨動脈である、請求項1~8のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項10】
前記制御回路(400)は、
前記第1および第2のプローブ(101A、101B)の前記アレイの前記超音波トランスデューサ(103A、103B)に接続される第1のパルサー(401AB)と、
前記第3のプローブ(101C)の前記アレイの前記超音波トランスデューサ(103C)に接続される第2のパルサー(401C)と
を備える、請求項1~9のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項11】
前記制御回路(500)は、マルチプレクサ(501)を介して、前記第1、第2および第3のプローブ(101A、101B、101C)の前記アレイの前記超音波トランスデューサ(103A、103B、103C)に結合される単一のパルサー(401AB)を備える、請求項1~9のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項12】
前記第3のプローブ(101C)の前記超音波トランスデューサ(103C)のアレイは、前記第1および第2のプローブ(101A、101B)の前記超音波トランスデューサ(103A、103B)の各前記アレイよりも2倍多い前記超音波トランスデューサ(103C)を備え、前記マルチプレクサ(501)は1対2のマルチプレクサである、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載のデバイスを備える、コネクテッドウォッチ(600)またはブレスレット。
【請求項14】
携帯型の電子デバイスによってヒトの心血管活動を評価する方法であって、
前記電子デバイスは、
第1および第2のプローブ(101A、101B)と、制御回路(400、500)とを備え、
前記第1および第2のプローブ(101A、101B)は、互いに実質的に平行で、第3のプローブ(101C)の両側に位置し、前記第3のプローブ(101C)は前記第1および第2のプローブに実質的に垂直であり、各プローブ(101A、101B、101C)は超音波トランスデューサ(103A、103B、103C)のアレイを備え、
前記制御回路(400、500)は、
a)第1のプローブ(101A)によって放射される第1の超音波ビームを用いて、前記電子デバイスに対する血管(150)の位置を推定し、
b)推定された前記血管(150)の位置に応じて、前記第3のプローブ(101C)によって放射される第2の超音波ビーム(201;201′)を調整する、方法。
【請求項15】
ステップa)で、さらに、前記第2のプローブ(101B)によって放射される第3の超音波ビームによって、前記デバイスに対する血管(150)の位置を推定する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電子デバイスに関するものであり、より詳細には、超音波を用いる心血管活動評価のデバイスおよび方法を対象としている。
【背景技術】
【0002】
例えば、ヒトの心血管系に影響を与える可能性のある機能不全の検出、心血管疾患に罹患している患者の臨床状態の監視、または、運動パフォーマンス中のアスリートの心血管パラメータの進化の追跡を可能にする心血管活動評価の電子デバイスおよび方法が知られている。
【発明の概要】
【0003】
実施形態の目的は、既知の心血管活動評価の方法およびデバイスの欠点の全部または一部を克服することである。より詳細には、実施形態の目的は、例えば、ユーザの手首への装着に適合する外形寸法を有する、心血管活動を評価する携帯型の電子デバイスを提供することである。
【0004】
この目的のために、実施形態は、ヒトの心血管活動を評価するための携帯型の電子デバイスを提供する。該電子デバイスは、第1および第2のプローブと、制御回路とを備える。第1および第2のプローブは、互いに実質的に平行で、第3のプローブの両側に位置し、第3のプローブは第1および第2のプローブに実質的に垂直である。各プローブは、超音波トランスデューサのアレイを備える。制御回路は、
a)第1のプローブによって放射される第1の超音波ビームを用いて、デバイスに対する血管の位置を推定し、
b)推定された血管の位置に応じて、第3のプローブによって放射される第2の超音波ビームを調整する、ように構成されている。
【0005】
実施形態によれば、第2の超音波ビームの放射方向は、推定された血管の位置に応じて調整される。
【0006】
実施形態によれば、さらに、第2の超音波ビームの焦点距離は、推定された血管の位置に応じて調整される。
【0007】
実施形態によれば、第1のプローブによって放射される第1の超音波ビームは、推定された血管の位置に応じて調整される。
【0008】
実施形態によれば、第2のプローブは、第3の超音波ビームを放射するように構成されている。
【0009】
実施形態によれば、ステップa)において、デバイスに対する血管の位置は、第2のプローブによって放射される第3の超音波ビームによってさらに推定される。
【0010】
実施形態によれば、血管内の脈波伝播速度は、第1および第2のプローブによってそれぞれ放射される第1および第3の超音波ビームに基づいて推定される。
【0011】
実施形態によれば、さらに、血管内の血流速度は、ドップラー効果によって、第2の超音波ビームに基づいて推定される。
【0012】
実施形態によれば、血管は尺骨動脈である。
【0013】
実施形態によれば、制御回路は、第1および第2のプローブのアレイの超音波トランスデューサに接続される第1のパルサーと、第3のプローブのアレイの超音波トランスデューサに接続される第2のパルサーとを備える。
【0014】
実施形態によれば、制御回路は、マルチプレクサを介して、第1、第2、および第3のプローブのアレイの超音波トランスデューサに結合される単一のパルサーを備える。
【0015】
実施形態によれば、第3のプローブの超音波トランスデューサのアレイは、第1および第2のプローブの超音波トランスデューサの各アレイよりも2倍多い超音波トランスデューサを備え、マルチプレクサは1対2のマルチプレクサである。
【0016】
実施形態は、上記のようなデバイスを備える、コネクテッドウォッチまたはブレスレットを提供する。
【0017】
実施形態は、携帯型の電子デバイスによって、ヒトの心血管活動を評価する方法を提供する。該電子デバイスは、第1および第2のプローブと、制御回路とを備える。第1および第2のプローブは、互いに実質的に平行で、第3のプローブの両側に位置し、第3のプローブは第1および第2のプローブに実質的に垂直である。各プローブは、超音波トランスデューサのアレイを備える。該方法は、
第1のプローブによって放射される第1の超音波ビームを用いて、デバイスに対する血管の位置を推定するステップa)と、
推定された血管の位置に応じて、第3のプローブによって放射される第2の超音波ビームを調整するステップb)と
を含む。
【0018】
実施形態によれば、ステップa)で、さらに、第2のプローブによって放射される第3の超音波ビームによって、デバイスに対する血管の位置を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0020】
図1】実施形態に係る心血管活動を評価する携帯型の電子デバイスの例を概略的かつ部分的に示す上面図である。
図2図1の第1の使用構成におけるデバイスの図1のAA面に沿った断面図である。
図3】第2の使用構成における図1のデバイスの図1のAA面に沿った断面図である。
図4図1のデバイスを制御するための回路の実施形態の一例を概略的かつ部分的に示す図である。
図5図1のデバイスの制御回路の実施形態の他の例を概略的かつ部分的に示す図である。
図6】ユーザの手首に装着されるスマートウォッチに図1のデバイスを統合する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
同様の特徴が、様々な図面で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態で共通の構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有する場合があり、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有する場合がある。
【0022】
明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用なステップ及び要素のみが図示され、詳細に記載されている。特に、記載されているデバイスおよび方法のさまざまな用途は詳述されておらず、記載されている実施形態は、デバイスまたは心血管活動推定方法を利用する可能性のあるすべてまたはほとんどの用途に適合する。また、デバイスのプローブの超音波トランスデューサは詳述されておらず、これらのトランスデューサの形成および実際の実装は、本開示の示唆に基づく当業者の能力の範囲内である。
【0023】
特に指定しない限り、2つの要素が接続されていると言及する場合は、導体以外の中間要素なしに直接接続されていることを意味し、2つの要素が結合されていると言及する場合は、これら2つの要素が接続されていてもよいし、1つ以上の他の要素を介して結合されていてもよいことを意味する。
【0024】
以下の開示では、特に指定しない限り、「前」「後」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する用語、または「水平」、「垂直」などの方向を限定する用語に言及する場合、図示の向きが参照される。
【0025】
特に指定しない限り、「約」、「およそ」、「実質的に」、および「程度」という表現は、±10%、好ましくは±5%、または、角度値に関する場合は、±10°、好ましくは±5°を意味する。
【0026】
図1は、実施形態に係る超音波を用いて心血管活動を評価するための携帯型の電子デバイス100の例を概略的かつ部分的に示す上面図である。
【0027】
図示の例では、デバイス100は、第1のプローブ101A、第2のプローブ101B、および第3のプローブ101Cを備え、第1のプローブ101A、第2のプローブ101B、および第3のプローブ101Cは、それぞれ超音波トランスデューサ103A、103B、および103Cのアレイを備える。図示の例では、トランスデューサ103A、103B、および103Cのアレイは実質的に直線状である。変形例として、各トランスデューサ103A、103B、および103Cのアレイは、非直線状(例えば曲線状)であってもよい。さらに、図1に示した例では、同じアレイのトランスデューサ103A、103B、103Cは、製造ばらつきの範囲内で実質的に同一の外形寸法を有し、規則的に間隔をあけている。しかし、変形例として、同じアレイのトランスデューサ103A、103B、103Cは、互いに異なる寸法、および可変な間隔を有してもよい。
【0028】
第1および第2の超音波プローブ101A、101Bは、第3の超音波プローブ101Cの両側に位置し、互いに実質的に平行である。第3の超音波プローブ101Cは、第1および第2のプローブ101A、101Bに実質的に垂直である。この例では、第1、第2、および第3のプローブ101A、101B、101Cは、上面図で、一般的なH字状をなし、第1および第2のプローブ101A、101BそれぞれがHの2つの縦棒を形成し、第3のプローブ101CがHの横棒を形成する。
【0029】
図1に示す例では、プローブ101A、101Bはそれぞれ8つの超音波トランスデューサ103A、103Bを備え、プローブ101Cは16個の超音波トランスデューサ103Cを備える。しかし、プローブ101A、101B、101Cは、図示と異なる数の超音波トランスデューサ103A、103B、103Cを備えてもよい。一例として、各アレイの超音波トランスデューサ103A、103B、103Cの数は2のべき乗に対応し、中央プローブ101Cの超音波トランスデューサ103Cの数は、2つの側方プローブ101A、101Bそれぞれの超音波トランスデューサ103A、103Bの数の2倍である。超音波トランスデューサ103A、103B、103Cそれぞれは、例えば、実質的に長方形状を有する。さらに、トランスデューサ103Cは、トランスデューサ103A、103Bよりも細くてもよい。これにより、例えば、詳細に後述するように、プローブ101CがBモードで使用され、または電子制御ドプラショットを実行し、プローブ101A、101BがAモードで使用される場合に、プローブ101Cがプローブ101A、101Bよりも高い横方向分解能を有する。
【0030】
図示の例では、携帯型の電子デバイス100は、図1において2本の点線で象徴化された壁を有する血管150(例えば、動脈)の上方に配置される。簡略化のために、血管150の厚さが無視されるため、図1の2つの点線は血管150の内壁または外壁を区別せずに象徴することができる。この例では、第1および第2のプローブ101A、101Bの超音波トランスデューサ103A、103Bのアレイは、血管150に対して短手方向に配向され、第3のプローブ101Cの超音波トランスデューサ103Cのアレイは血管150に対して長手方向に配向されている。より正確には、図示の例では、超音波トランスデューサ103Cのアレイは、軸Oxに実質的に平行であり、血管150が軸Oxに沿って横方向において延びており、超音波トランスデューサ103A、103Bのアレイは、軸Oxに垂直な軸Oyに実質的に平行である。一例として、デバイス100がユーザの腕または手首に装着される場合、血管150は尺骨動脈である。
【0031】
簡略化のために、図1には、血管150が実質的に直線的で、断面が円形で、全長に沿って実質的に一定の寸法を有する例が示されている。しかし、実際には、血管150は、任意の形状、例えば湾曲した形状、およびその長さの全体または一部に沿って可変な形状および寸法を有する断面を有してもよい。さらに、図1には、超音波トランスデューサ103A、103B、103Cのアレイが血管150に対して実質的に中央部にある例が示されている。しかし、この例は限定的なものではなく、超音波トランスデューサ103A、103B、103Cのアレイは、中央部から外れてもよく、例えば血管150に対して軸Oyに沿ってずれてもよい。
【0032】
図面を読みやすくするために、図1には、血管150の直径がトランスデューサ103Cの長さ(軸Oyに沿って得た寸法)よりも大きい例が示されている。しかし、血管150は、トランスデューサ103Cとの割合が異なってもよく、例えば、トランスデューサ103Cの長さに実質的に等しいか、またはトランスデューサ103Cの長さよりも小さい直径を有してもよい。
【0033】
図2は、第1の使用構成における、ヒトの心血管活動を評価する携帯型の電子デバイス100の図1のAA面に沿った断面図である。
【0034】
この使用構成では、血管150は、デバイス100の実質的に平面的な下面100Iに実質的に平行である。より正確には、血管150は軸Oxに平行な中央軸150Mを有し、デバイス100の下面100Iは面Oxyに平行である。図示の例では、超音波トランスデューサ103A、103B、103Cは、血管150の中央軸150Mからの距離が実質的に等しい。言い換えれば、この例では、血管150は超音波トランスデューサ103A、103B、103Cの下方で実質的に一定の深度Pで横方向において延びている。図2の向きでは、深度Pは、縦軸Ozに沿って測定された、デバイス100の下面100Iと血管150の中央軸150Mとの間の距離に対応する。一例として、デバイス100の下面100Iはユーザの腕151の上方に位置し、皮膚に接触している。
【0035】
例えば、デバイス100のプローブ101A、101Bの超音波トランスデューサ103A、103Bは、例えば、デバイス100の下方に位置する血管150の部分内を流れる血液の体積流量Dvを、例えば脈波伝播速度(PWV)法によって推定することができる。VOPと記される脈波伝播速度は、例えば、超音波トランスデューサ103Aと103Bとの間の、各心拍で発生した脈拍伝播時間(PTT)の測定値に基づいて計算される。
【0036】
この目的のために、デバイス100は、例えばプローブ101Aおよび101Bと垂直方向に位置合わせされた、距離Lだけ離れた2つの異なる位置で、評価される血管の直径Dの時間変化DA(t)、DB(t)を記録する。同一の心拍の後にプローブ101Aおよび101Bによって記録された直径Dの時間変化DA(t)とDB(t)との間の位相シフトΔtを測定することにより、これらのプローブ間の脈波の伝播時間を推定することができる。プローブ101Aと101Bとが離れた距離を知ると、血管150内の脈波VOPの伝播速度を得ることができる(VOP=L/Δt)。
【0037】
一例として、Aモードでは、血管150の直径Dの時間変化DA(t)、DB(t)を推定する。このモードでは、返されたエコー信号の振幅が深度に応じて測定される。変形例として、Bモードで得られた画像から、血管150の直径Dの時間変化DA(t)、DB(t)を評価してもよい。このモードでは、超音波エコーを表す明るいスポットから形成された2次元超音波スキャン画像が形成され、各スポットの光度は、返されたエコー信号の振幅によって決定される。
【0038】
さらに、第3のプローブ101Cの超音波トランスデューサ103Cは、デバイス100の下方に位置する血管150の部分内を流れる血液の体積流量Dvを推定することができる。プローブ101による流量Dvの推定は、例えば、ドップラー効果によって行われる。
【0039】
この場合、超音波トランスデューサ103Cは、例えば、血管150に向かって入射超音波ビーム201を放射し、血管150内を流れる血液によって反射された超音波ビームを受け取るように制御される。入射超音波ビーム201は、例えば、周波数fのパルス信号に対応するが、反射された超音波ビームは、例えば、周波数fのパルス信号に対応する。入射信号と反射信号との間の周波数シフトを測定し、即ち、周波数fとfとの差を測定することにより、血管150内の血液の移動速度vが得られる。さらに、直径Dの測定により、デバイス100の下方における血管150の断面積Sを推定することができる。例えば、断面積Sは、血管150の横断面の表面積に対応する。血管150の断面積Sにこの断面面積を通る血流速度vを乗じることにより、血管150内の血液の体積流量Dv(Dv=S×v)を得ることができる。
【0040】
一例として、血管150の直径Dは、モードAまたはモードBではプローブ101Cの超音波トランスデューサ103Cによって推定される。変形例として、血管の直径Dは、モードAまたはモードBでは、前述のようにプローブ101Aの超音波トランスデューサ103Aおよび/またはプローブ101Bの超音波トランスデューサ103Bによって推定されてもよい。
【0041】
ドップラー効果による血液流量Dvの推定では、超音波トランスデューサ103Cのアレイによって放射される入射超音波ビーム201は、デバイス100の下面100Iの法線に対して、例えばステアリング角と呼ばれる角度αを成す放射方向を有する。速度vの最適な測定精度を得るために、例えば、超音波ビーム201がドップラー角と呼ばれる低い入射角θで血管150に到達するように角度αを調整する。一例として、角度θは30°から60°の範囲にある。
【0042】
さらに、この例では、入射超音波ビーム201は、例えば、血管150の中央軸150Mのレベル、すなわち、デバイス100の下の深度Pに集束する。これにより、例えば、血管150の壁の近くではなく、流れの中心部で速度vを測定することができる。その結果、測定精度が向上する。
【0043】
変形例として、プローブ101Cは、高収集周波数でBモード超音波スキャンイメージング、より正確には、平面波イメージング(PWI)を行うために使用されてもよい。このように得られた画像に基づいて、例えば、ベクトルフローイメージング(VFI)と呼ばれる技術によって、血管150の直径Dおよび血流速度vを推定してもよい。
【0044】
図3は、第2の使用構成における、ヒトの心血管活動を評価する携帯型の電子デバイス100の図1の面AAに沿った断面図である。
【0045】
この使用構成では、血管150はデバイス100に対して傾斜している。より正確には、血管150は、平面Oxzに平行で、水平軸Oxに対して角度φだけ傾斜しており、デバイス100の下面100Iは平面Oxyに平行である。この例では、第2のプローブ101Bの超音波トランスデューサ103Bは、第1のプローブ101Aの超音波トランスデューサ103Aよりも血管150の中央軸150Mから離れている。より正確には、図3に示す例では、血管150の中央軸150Mは超音波トランスデューサ103Aの下の深度PA、および超音波トランスデューサ103Bの下の他の深度PBに位置しており、深度PBは深度PAよりも大きい。図3の向きでは、深度PA、PBは縦軸Ozに沿って測定された距離に対応する。
【0046】
図3に示す例では、血管150の傾斜によって、プローブ101Cから血管150に向かって放射される入射超音波ビーム201の入射角が変化する。より正確には、この例では、ビーム201は角度θよりも小さい入射角θ′(θ′=θ+φ)で血管150に到達する。このため、血管150内の血液の速度vの測定精度、ひいては体積流量Dvの推定精度が低下する傾向にある。
【0047】
また、図3に示す例では、血管150の傾斜角により、プローブ101Cによって放射される入射超音波ビーム201が中央軸150Mから離れた領域、つまり、図2に示す例よりも血管150の壁に近い領域に集束する傾向がある。これはまた、速度v、ひいては流量Dvの測定精度が低下する傾向にある。
【0048】
実施形態によれば、超音波トランスデューサ103Cの中央アレイの両側に位置する超音波トランスデューサ103A、103Bの側方アレイを利用して、超音波ビームを放射し、デバイス100に対する血管150の位置を推定することができる。血管150の推定位置に応じて、第3のプローブ101Cによって放射される超音波ビーム201が調整される。
【0049】
より正確には、超音波トランスデューサ103Anは、例えば、第1の超音波ビームを放射し、第1の超音波ビームは、例えば、血管150がプローブ101Aと垂直方向に位置合わせされた、Oz軸に沿った深度PAの位置を推定することを可能にする。同様に、超音波トランスデューサ103Bは、例えば、第2の超音波ビームを放射し、第2の超音波ビームは、例えば、血管150がプローブ101Bと垂直方向に位置合わせされた、Oz軸に沿った深度DBの位置を決定することができる。深度PAおよびPBと、既知のプローブ101Aおよび101Bの距離Lとに基づいて、Ox軸に対する血管150の傾斜角度φは、例えば、デバイス100の下方に位置する血管150の部分が実質的に直線的であると考えることで得られる。このように得られた角度φの推定は、例えば、中央プローブ101Cを用いて入射超音波ビーム201′を放射してデバイス100の下面100Iの法線と角度α′を形成することにより、ドップラー効果による速度vの測定中に血管150の傾斜を有利に補償することができる。角度α′は、例えば、超音波ビーム201′が角度θにできるだけ近い(図3に示す例では角度θに等しい)入射角で血管150に到達するように調整される。
【0050】
デバイス100の側方プローブ101A、101Bによる角度φの推定により、さらに、中央プローブ101Cによって放射される入射超音波ビームの焦点距離を変更させることができる。図示の例では、入射超音波ビーム201′が血管150の中央軸150Mの近傍に集束され、ここでも、デバイス100に対する血管150の傾斜を補償し、プローブ101Cが超音波ビーム201を放射する場合よりも正確な測定値を有利に得ることができる。
【0051】
さらに、側方プローブ101A、101Bによって放射される超音波ビームは、血管150の推定位置に応じて調整されてもよい。より正確には、超音波トランスデューサ103A、103Bのアレイからそれぞれ放射される超音波ビームの放射方向および焦点距離を、血管150の推定位置に応じて調整することができる。変形例として、プローブ101A、101B(超音波トランスデューサ103A、103B)によって血管150の位置が検出されると、超音波トランスデューサ103A、103Bの一部のみ、例えば中央軸150Mに最も近い各アレイの超音波トランスデューサ103A、103Bを用いて、直径Dの時間変化を追跡することができる。
【0052】
プローブ101A、101Bが、図2を参照して前述した脈拍伝播時間の測定による脈波伝播速度の決定方法を実施する場合、さらに、デバイス100に対する血管150の位置の推定は、超音波トランスデューサ103A、103Bと垂直方向に位置合わせされた、直径Dの測定領域間の距離誤差を補償するために有利に使用され得る。図3の例では、これらの領域は実際に距離L′だけ離れている。距離L′は、図2に示すように、プローブ101Aおよび101Bの間の距離Lに等しくないが、L×cos(φ)に等しい。
【0053】
図3では、血管150の中央軸150MがOx軸に対して負の角度φだけ傾斜しており、超音波ビーム201′が血管150の下流に向けられている(図3の向きで右に向けられている)例を示している。変形例として、血管150は軸Oxに対して正の角度φだけ傾斜してもよい。この場合、深度PAは深度PBよりも大きい。血管150の傾斜の補償は、その後、例えば、超音波ビーム201′が120°~150°の入射角で血管150に到達するように角度α′を調整することによって行われる。この場合、超音波ビーム201′は血管150の上流に向けられる(図3の向きで左に向けられる)。
【0054】
以上、血管150が平面Oxzに平行で、軸Oxに対して傾斜している例について説明したが、上記の実施形態は、血管150が空間的に任意の向きを有する場合にも適用される。一例として、上記の実施形態は、血管150が平面Oxyに平行で軸Oxに対して傾斜している場合、および血管150が平面Oxzにも平面Oxyにも平行でない場合に当業者によって入れ替えられ得る。
【0055】
また、上記の実施形態では、超音波トランスデューサ103A、103B、103Cのアレイによって放射される超音波ビームの方向および/または焦点距離は、血管150の推定位置に応じて調整されてもよい。しかし、デバイス100に対する血管150の位置の推定を利用して、プローブ101A、101B、101Cが放射する超音波ビームの方向および/または焦点距離を変更することなく、またはそのような変更の補完として、これらのプローブによって実行された測定を補償することもできる。
【0056】
さらに、2つのトランスデューサ103Aおよび103Bの側方アレイを使用して血管150の位置を推定する例が説明されたが、1つの変形例として、1つのトランスデューサの側方アレイ、例えば、プローブ101Aのトランスデューサ103Aまたはプローブ101Bのトランスデューサ103Bの側方アレイを使用して、血管150の位置を推定してもよい。この変形例は、本開示の示唆に基づき、当業者の能力の範囲内である。
【0057】
図4は、図1のデバイス100の制御回路400の実施形態の一例を概略的および部分的に示している。
【0058】
この例では、回路400は、送信回路とも呼ばれる2つのパルサー401AB、401Cを備える。パルサー401ABは、例えば、側方プローブ101A、101Bの超音波トランスデューサ103A、103Bに接続され、パルサー401Cは、例えば、中央プローブ101Cの超音波トランスデューサ103Cに接続される。この例では、各パルサー401AB、401Cは、接続される各超音波トランスデューサ103A、103B、103Cごとにパス403を備える。一例として、側方プローブ101A、101Bのアレイがそれぞれ8つの超音波トランスデューサ103A、103Bを備え、中央プローブ101Cのアレイが16個の超音波トランスデューサ103Cを備える場合、各パルサー401AB、401Cは、製造ばらつきの範囲内で同一のパス403を16個備える。一例として、パルサー401ABと401Cとは、製造ばらつきの範囲内で同一である。
【0059】
図示の例では、各パス403は、より正確には、高電圧アンプなどのアンプ405(HV)、放射ビームフォーマ407(TX BF)、およびトランシーバスイッチ409を備える。図4に示す例では、放射ビームフォーマ407は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの処理ユニット411(PU)の出力に接続される入力と、高電圧アンプ405の入力に接続される出力とを備える。アンプ405は、スイッチ409の一方の端子、および超音波トランスデューサ103A、103B、103Cの1つに接続される出力を備える。この例では、各スイッチ409の他方の端子は、受信回路とも呼ばれるアナログフロントエンド回路421に接続される。
【0060】
受信回路421は複数の受信パス423を備える。この例では、回路421が備える受信パス423の数は、デバイス100の超音波トランスデューサ103A、103B、103Cの数の半分に等しい。一例として、側方プローブ101A、101Bのアレイがそれぞれ8つの超音波トランスデューサ103A、103Bを備え、中央プローブ101Cのアレイが16個の超音波トランスデューサを備える場合、回路421は製造ばらつきの範囲内で同一のパス423を16個備える。
【0061】
図示の例では、各パス423は、より正確には、例えば低ノイズアンプであるアンプ425(LNA)と、例えばプログラマブルゲインアンプであるアンプ427(PGA)と、ローパスフィルタ429(LPF)と、アナログ-ディジタルコンバータ431(ADC)と、例えば低電圧差動信号で動作可能なコンバータである直列コンバータ433(LVDS)とを備える。この例では、各パス423のアンプ425は、パルサー401ABのパス403の1つおよびパルサー401Cのパス403の1つに接続される入力と、アンプ427の入力に接続される出力とを備える。アンプ427は、フィルタ429の入力に接続される出力を備える。コンバータ431は、フィルタ429に接続される入力と、直列コンバータ433の入力に接続される出力とを備える。図示の例では、アンプ425および427、フィルタ429、並びにコンバータ431はそれぞれ、処理ユニット411の出力に接続される制御入力を備える。さらに、回路421の各パス423は、処理ユニット411に接続される、直列コンバータ433の出力に対応する出力を備える。
【0062】
回路400に関連するデバイス100の動作例については、図4を参照して説明する。
【0063】
第1の放射ステップでは、パルサー401ABのスイッチ409が例えばすべてオフ状態であり、超音波ビームが側方プローブ101Aおよび101Bによって放射される。第1の放射ステップでは、処理ユニット411は、例えば、パルサー401Cの放射ビームフォーマ407に信号を送信しないように構成され、そして、プローブ101Cは超音波ビームを放射しない。次に、第1の放射ステップに続く第1の受信ステップでは、パルサー401ABのすべてのスイッチ409が例えばオフにされ、側方プローブ101A、101Bが超音波エコーを捕捉することができるようにする。この例では、デバイス100に対する血管150の位置は、例えば、第1の受信ステップの最後に推定される。
【0064】
次に、第1の受信ステップに続く第2の放射ステップでは、パルサー401Cのすべてのスイッチ409がオフ状態であり、中央プローブ101Cによって超音波ビームが放射される。第2の放射ステップでは、処理ユニット411は、例えば、パルサー401ABの放射ビームフォーマ407に信号を送信しないように構成され、そして、プローブ101Aおよび101Bは超音波ビームを放射しない。最後に、第2の放射ステップに続く第2の受信ステップでは、パルサー401Cのすべてのスイッチ409が例えばオンにされ、中央プローブ101Cが超音波エコーを捕捉することができるようにする。流量Dvの測定は、例えば、第2の受信ステップの最後に実行される。
【0065】
第2の受信ステップが終了すると、例えば、第1の受信ステップで推定されるデバイス100に対する血管150の位置に応じて中央プローブ101Cによって放射されるビームおよび/またはプローブ101A、101Bによって放射されるビームの放射パラメータを調整することに進む。前述した送信ステップおよび受信ステップは、例えば、変更された放射パラメータを使用することにより繰り返されてもよい。
【0066】
一例として、血管150の位置が推定され、患者の心血管活動評価の段階の開始時に、プローブ101Cおよび/またはプローブ101A、101Bの放射パラメータが変更され、その後、プローブ101Cおよび/またはプローブ101A、101Bの放射パラメータは、例えば別の患者に対して実施する次の評価段階まで変更されない。変形例として、血管150の位置の推定操作と、プローブ101Cおよび/またはプローブ101A、101Bの放射パラメータの調整操作とは、患者の心血管活動評価の同じ段階において繰り返されてもよい。
【0067】
図5では、図1のデバイス100の制御回路500の実施形態の一例を概略的および部分的に示している。図5の回路500は、図4の回路400と共通の要素を備える。
【0068】
図5の回路500の図4の回路400と異なる点は、主に、図5に示す例の回路500が1つのパルサー(例えば、図4を参照して前述したパルサー401AB)を備えるところにある。さらに、回路500の回路400と異なる点は、回路500がデバイス100のプローブ101A、101B、101Cの超音波トランスデューサ103A、103B、103Cのアレイをパルサー401ABに結合するマルチプレクサ501(MUX)を備えるところにある。図示の例では、デバイスは、32個の超音波トランスデューサ103A、103B、103Cを備え、マルチプレクサ501は、より正確には、16個のパスを備え、1対2タイプである。
【0069】
一例として、マルチプレクサ501の各パスは、図5に示すように、単極双投(SPDT)タイプのスイッチ503を備え、スイッチ503は、パルサー401ABのパス403の1つに接続される入力端子と、例えば側方プローブ101A、101Bの超音波トランスデューサ103A、103Bの1つに接続される第1の出力端子と、例えば中央プローブ101Cの超音波トランスデューサ103Cの1つに接続される第2の出力端子とを有する。マルチプレクサ501は、さらに、処理ユニット411に接続される制御入力を備え、この制御入力は、例えば、すべてのスイッチ503に第1および第2の出力端子間で例えば実質的に同時に切り替えさせることができる。一例として、制御入力は、処理ユニット411から制御信号を受信し、この制御信号は、すべてのスイッチ503をその入力端子がその第1の出力端子に接続された状態に置く第1のレベルと、すべてのスイッチ503をその入力端子がその第2の出力端子に接続された別の状態に置く第2のレベルとを有する。
【0070】
回路500に関連するデバイス100の動作例については、図5を参照して説明する。
【0071】
第1の放射ステップでは、パルサー401ABのスイッチ409は、例えばすべてオフ状態であり、マルチプレクサ501のスイッチ503は、例えばその入力端子がその第1の出力端子に接続された状態に置かれ、この例では、超音波トランスデューサ103A、103Bに接続されており、超音波ビームが側方プローブ101Aおよび101Bによって放射される。次に、第1の放射ステップに続く第1の受信ステップでは、パルサー401ABのすべてのスイッチ409が例えばオンにされ、側方プローブ101A、101Bが超音波エコーを捕捉することができるようにする。マルチプレクサ501のスイッチ503は、その入力端子がその第1の出力端子に接続された状態のままである。この例では、デバイス100に対する血管150の位置は、例えば、第1の受信ステップの最後に推定される。
【0072】
次に、第1の受信ステップに続く第2の放射ステップでは、パルサー401ABのすべてのスイッチ409が例えばオフであり、マルチプレクサ501のスイッチ503は、例えば、その入力端子がその第2の出力端子に接続された状態に切り替わり、この例では、超音波トランスデューサ103Cに接続されており、超音波ビームが中央プローブ101Cによって放射される。次に、第2の放射ステップに続く第2の受信ステップでは、パルサー401ABのすべてのスイッチ409が例えばオンにされ、中央プローブ101Cが超音波エコーを捕捉することができるようにする。マルチプレクサ501のスイッチ503は、その入力端子がその第2の出力端子に接続された状態のままであり、中央プローブ101Cが超音波エコーを捕捉することができるようにする。流量Dvの測定は、例えば、第2の受信ステップの最後に実行される。
【0073】
第2の受信ステップが終了すると、例えば、デバイス100に対する血管150の推定位置に応じて、中央プローブ101Cによって放射されるビームおよび/またはプローブ101A、101Bによって放射されるビームの放射パラメータを調整することに進む。前述した放射ステップと受信ステップとは、その後、例えば変更された放射パラメータを使用することにより繰り返されてもよい。
【0074】
前述した回路400、500の利点は、電子部品およびパスの数が少ないところにあり、それにより、回路400、500およびデバイス100は、携帯型のデバイスへの統合に適合し、低いコストで得られる。
【0075】
図6では、スマートウォッチなど、ユーザの腕151に装着されるブレスレットタイプのデバイス600に、図1のデバイス100を統合した例を示している。図示の例では、デバイス600は図5の制御回路500をさらに統合している。例えば、デバイス100は、ユーザの腕151の尺骨動脈150の実質的に前に位置することを意図としたデバイス600の領域に位置する。一例として、デバイス100はデバイス600のブレスレット601に統合される。
【0076】
様々な実施形態および変形例について説明したが、当業者は、これらの様々な実施形態および変形例の特定の特徴を組み合わせることができ、他の変形例が当業者であれば想到できることを理解するであろう。特に、図6のデバイス600の制御回路500を、図4を参照して前述した制御回路400に置き換えることができる。
【0077】
最後に、上記の実施形態および変形例の実用的な実施は、上記の機能的な表示に基づいて当業者の能力の範囲内である。特に、デバイス100の実際の形成、例えば、デバイス100のプローブ101A、101B、101Cの超音波トランスデューサ103A、103B、103Cの形状、位置および制御、並びに処理ユニット411による回路400、500の要素の駆動は、本開示の示唆に基づいて、当業者の能力の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
図1
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図6