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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091795
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】配置提示システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20230626BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20230626BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20230626BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20230626BHJP
   G06F 30/28 20200101ALI20230626BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20230626BHJP
   G06F 113/08 20200101ALN20230626BHJP
【FI】
G06F30/18
F24F11/64
F24F11/52
F24F8/24
G06F30/28
F24F110:65
G06F113:08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206577
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】重森 正宏
(72)【発明者】
【氏名】嶋山 慶信
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭人
【テーマコード(参考)】
3L260
5B146
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260AB18
3L260BA09
3L260BA16
3L260BA75
3L260CA28
3L260CB90
3L260EA03
3L260GA11
3L260GA24
5B146AA04
5B146DE06
5B146DJ03
5B146FA02
(57)【要約】
【課題】所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置の吸込口及び吹出口の配置を提示する配置提示システムを提供する。
【解決手段】配置提示システムは、第一空気調和機1a及び第二空気調和機1bが配置された所定エリアSに、所定エリアSの空気を吸い込む第一吸込口4aと、吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアSに吹き出す吹出口5(第一吹出口5a、第二吹出口5b)とを配置して提示する。所定エリアSは、吹出口5から吹き出される気流の向きに延長した延長線Lと、所定エリアSを構成する壁面(側壁面6b~6d)とによって複数の区画に区分され、吹出口5は、延長線L(延長線La、Le)の線上に配置される。第一吸込口4aは、吹出口5が配置された延長線Lを境界とする区画を第一区画BL1とした場合、第一区画BL1以外の第二区画BL2の内側領域に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの送風口から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す第一空気調和機及び第二空気調和機を有し、前記第一空気調和機及び前記第二空気調和機の前記送風口の一つが互いに対向して配置された所定エリアに、前記所定エリアの空気を吸い込む吸込口と、吸い込んだ前記空気に機能性拡散物質を含ませて前記所定エリアに吹き出す吹出口と、を配置して提示する配置提示システムであって、
前記吹出口の配置に基づいて前記吸込口の配置を特定する特定部と、
前記吹出口の配置、及び、前記特定部によって特定された前記吸込口の配置を提示する提示部と、
を備え、
前記所定エリアは、前記吹出口から吹き出される前記気流の向きに延長した延長線と、前記所定エリアを構成する壁面とによって複数の区画に区分され、
前記吹出口は、少なくとも一つの前記延長線の線上に配置され、
前記特定部は、前記吸込口を、前記吹出口が配置された前記延長線を境界とする区画を第一区画とした場合、前記第一区画以外の第二区画の内側領域に配置すると特定することを特徴とする配置提示システム。
【請求項2】
前記吹出口は、前記吹出口が配置された前記延長線ごとに一つ配置され、
前記吸込口は、前記第二区画ごとに一つ配置されていること特徴とする請求項1に記載の配置提示システム。
【請求項3】
前記吸込口は、前記第二区画の前記内側領域のうち、前記第二区画の中央より前記壁面側に配置していることを特徴とする請求項1または2に記載の配置提示システム。
【請求項4】
4つの送風口から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す空気調和機を複数有し、複数の前記空気調和機のそれぞれの前記送風口が互いに対向して配置された所定エリアに、前記所定エリアの空気を吸い込む吸込口と、吸い込んだ前記空気に機能性拡散物質を含ませて前記所定エリアに吹き出す吹出口と、を配置して提示する配置提示システムであって、
前記吹出口の配置に基づいて前記吸込口の配置を特定する特定部と、
前記吹出口の配置、及び、前記特定部によって特定された前記吸込口の配置を提示する提示部と、
を備え、
前記所定エリアは、前記吹出口から吹き出される前記気流の向きに延長した延長線と、前記所定エリアを構成する壁面とによって複数の区画に区分され、
前記吹出口は、少なくとも一つの前記延長線の線上に配置され、
前記特定部は、前記吸込口を、前記吹出口が配置された前記延長線を境界とする区画を第一区画とした場合、前記第一区画以外の第二区画の内側領域に配置すると特定することを特徴とする配置提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の空気調和機の配置条件下において、機能性拡散物質を供給する装置の吹出口及び吸込口の配置を提示する配置提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の平面図から建物内の所定エリア(空間)に配備する複数の空気調和機の配置を提示する配置提示システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-194353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、所定エリアを殺菌するために、所定エリアの天井面などには、次亜塩素酸ガスなどの機能性拡散物質を供給する装置が導入されるようになっている。このため、従来の配置提示システムには、空気調和機の配置条件下において、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させるために、機能性拡散物質を供給する装置の吹出口及び吸込口の配置を含めて提示することが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数の空気調和機の配置条件下において、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置の吸込口及び吹出口の配置を提示する配置提示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明に係る配置提示システムは、4つの送風口から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す第一空気調和機及び第二空気調和機を有し、第一空気調和機及び第二空気調和機の送風口の一つが互いに対向して配置された所定エリアに、所定エリアの空気を吸い込む吸込口と、吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアに吹き出す吹出口と、を配置して提示する。配置提示システムは、吹出口の配置に基づいて吸込口の配置を特定する特定部と、吹出口の配置、及び、特定部によって特定された吸込口の配置を提示する提示部と、を備える。所定エリアは、吹出口から吹き出される前記気流の向きに延長した延長線と、所定エリアを構成する壁面とによって複数の区画に区分され、吹出口は、少なくとも一つの前記延長線の線上に配置される。特定部は、吸込口を、吹出口が配置された延長線を境界とする区画を第一区画とした場合、第一区画以外の第二区画の内側領域に配置すると特定する。
【0007】
また、本発明に係る別の配置提示システムは、4つの送風口から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す空気調和機を複数有し、複数の空気調和機のそれぞれの送風口が互いに対向して配置された所定エリアに、所定エリアの空気を吸い込む吸込口と、吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアに吹き出す吹出口と、を配置して提示する。別の配置提示システムは、吹出口の配置に基づいて吸込口の配置を特定する特定部と、吹出口の配置、及び、特定部によって特定された吸込口の配置を提示する提示部と、を備える。所定エリアは、吹出口から吹き出される気流の向きに延長した延長線と、所定エリアを構成する壁面とによって複数の区画に区分され、吹出口は、少なくとも一つの延長線の線上に配置される。特定部は、吸込口を、吹出口が配置された延長線を境界とする区画を第一区画とした場合、第一区画以外の第二区画の内側領域に配置すると特定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の空気調和機の配置条件下において、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置の吸込口及び吹出口の配置を提示する配置提示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る配置提示システムの全体構成図である。
図2図2は、実空間の天井面に空気調和機、吹出口、及び吸込口を配置した斜視図である。
図3図3は、配置提示システムにおけるシミュレーション上の第一例での仮想平面図である。
図4図4は、配置提示システムの処理動作を示すフローチャート図である。
図5図5は、配置提示システムにおけるシミュレーション上の第二例での仮想平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る配置提示システムは、4つの送風口から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す第一空気調和機及び第二空気調和機を有し、第一空気調和機及び第二空気調和機の送風口の一つが互いに対向して配置された所定エリアに、所定エリアの空気を吸い込む吸込口と、吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアに吹き出す吹出口と、を配置して提示する。配置提示システムは、吹出口の配置に基づいて吸込口の配置を特定する特定部と、吹出口の配置、及び、特定部によって特定された吸込口の配置を提示する提示部と、を備える。所定エリアは、吹出口から吹き出される気流の向きに延長した延長線と、所定エリアを構成する壁面とによって複数の区画に区分され、吹出口は、少なくとも一つの延長線の線上に配置される。特定部は、吸込口を、吹出口が配置された延長線を境界とする区画を第一区画とした場合、第一区画以外の第二区画の内側領域に配置すると特定する。
【0011】
こうした構成によれば、複数の空気調和機の配置条件下において、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置の吸込口及び吹出口の配置を提示する配置提示システムとすることができる。つまり、配置提示システムでは、複数の空気調和機が配置された所定エリアに配備する機能性拡散物質を供給する装置の吹出口及び吸込口の配置を効率良く提示できる。
【0012】
また、本発明に係る配置提示システムでは、吹出口は、吹出口が配置された延長線ごとに一つ配置され、吸込口は、第二区画ごとに一つ配置されていることが好ましい。このようにすることで、所定エリア内において、設定された数の吹出口及び吸込口が分散配置されるので、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させる配置状態を効率良く提示できる。
【0013】
また、本発明に係る配置提示システムでは、吸込口は、第二区画の内側領域のうち、第二区画の中央より壁面側に配置していることが好ましい。このようにすることで、吹出口から吸込口に至る経路長が長くなるので、吹出口から吹き出された機能性拡散物質が所定エリア内において拡散しやすくなる。このため、吸込口から吸い込まれる機能性拡散物質の濃度が低くなるので、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させる機能性拡散物質の量を減少させることができる。
【0014】
また、本発明に係る配置提示システムは、4つの送風口から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す空気調和機を複数有し、複数の空気調和機のそれぞれの送風口が互いに対向して配置された所定エリアに、所定エリアの空気を吸い込む吸込口と、吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアに吹き出す吹出口と、を配置して提示する。配置提示システムは、吹出口の配置に基づいて吸込口の配置を特定する特定部と、吹出口の配置、及び、特定部によって特定された吸込口の配置を提示する提示部と、を備える。所定エリアは、吹出口から吹き出される気流の向きに延長した延長線と、所定エリアを構成する壁面とによって複数の区画に区分され、吹出口は、少なくとも一つの延長線の線上に配置される。特定部は、吸込口を、吹出口が配置された延長線を境界とする区画を第一区画とした場合、第一区画以外の第二区画の内側領域に配置すると特定する。
【0015】
こうした構成によれば、複数の空気調和機の配置条件下において、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置の吸込口及び吹出口の配置を提示する配置提示システムとすることができる。つまり、配置提示システムでは、複数の空気調和機が配置された所定エリアに配備する機能性拡散物質を供給する装置の吹出口及び吸込口の配置を効率良く提示できる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0017】
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る配置提示システム10について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る配置提示システムの全体構成図である。
【0018】
本発明の実施の形態1に係る配置提示システム10は、建物内における一つの空間である所定エリアS内に複数の空気調和機1が設置されている状況下において、所定エリアS内に機能性拡散物質(例えば、次亜塩素酸)を略均一に分布させるように、所定エリアSの空気を吸い込む吸込口4と、吸込口4から吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアSに吹き出す吹出口5とを配置したレイアウトを提示するシステムである。なお、吸込口4及び吹出口5は、いずれも空間浄化装置(図示せず)と連通接続された開口である。
【0019】
具体的には、配置提示システム10は、図1に示すように、入力部11と、シミュレーション部12と、提示部13とを備えて構成される。そして、配置提示システム10は、入力部11から入力された所定の条件情報に基づいて、所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに適した吸込口4の設置位置を解析して特定し、その特定結果に基づく各部材(複数の空気調和機1、吸込口4、吹出口5)の配置情報、及び、各部材の配置情報に基づいた所定エリアS内での機能性拡散物質の拡散・分布情報を提示部13に出力して表示する。
【0020】
入力部11は、例えば、3DCAD(3-dimensional Computer Aided Design)データあるいはBIM(Building Information Modeling)のデータのような電子データを入力する入力インタフェース、ユーザーからの操作を受け付けるユーザーインタフェースで実現される入力装置である。ユーザーインタフェースは、例えば、タッチパネル又は物理的な操作ボタンなどである。あるいは、入力部11は、ユーザーが操作するスマートフォンなどの端末装置と通信する通信インタフェースで実現されてもよい。なお、入力部11は、後述する取得部12aとの間で無線または有線により通信可能に接続されている。ユーザーは、入力部11を用いて、配置提示システム10に対して、所定エリアSに関する所定の条件情報の入力操作を行う。ここで、条件情報には、例えば、所定エリアSの空間形状に関する情報(空間形状情報)、空気調和機1の台数及びそれらの配置位置に関する情報(空気調和機情報)、吹出口5の設置数及びそれらの配置位置に関する情報(吹出口情報)、吸込口4の設置数に関する情報(吸込口情報)、所定エリアS内に放出する機能性拡散物質に関する情報(拡散物質情報)、等が含まれる。
【0021】
空間形状情報は、例えば、所定エリアSの空間形状及びその寸法と、所定エリアS内に存在する壁あるいは窓などの部材の配置位置、形状、及びその寸法とに関する情報である。
【0022】
拡散物質情報は、例えば、所定エリアSに発生する除菌効果を有した機能性拡散物質に関する情報である。より詳細には、機能性拡散物質の種類ごとに決まる自己分解係数及び拡散係数といった物性値、並びに、機能性拡散物質が空間浄化装置から発生される際の発生量及び機能性拡散物質を移動させる吹出気流の風速といった情報である。
【0023】
シミュレーション部12は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムによって構成される。そして、シミュレーション部12は、入力部11から入力された所定の条件情報を基にして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、解析計算を実行する。そして、シミュレーション部12は、解析計算により特定された各部材(複数の空気調和機1、吸込口4、吹出口5)のレイアウト平面図、及び、機能性拡散物質の拡散・分布情報として所定エリアS内への機能性拡散物質の広がりのコンター図(等高線図)を提示部13に出力する。
【0024】
提示部13は、ディスプレイ等の出力装置であり、シミュレーション部12から得られた特定結果に基づく各部材の配置情報及び機能性拡散物質の拡散・分布情報の出力を行う。提示部13は、各情報を出力する際には、例えば、所定エリアS内での各部材の配置状態及び所定エリアS内での機能性拡散物質の拡散・分布状態を画像もしくは動画として表示する。ここで、入力部11と提示部13とは、両者が一体となった外部端末であってもよい。
【0025】
次に、配置提示システム10のシミュレーション部12における処理動作の説明に先立って、図2の配置例を参照して、所定エリアS、所定エリアS内の各部材(空気調和機1、吸込口4、吹出口5)、及び機能性拡散物質について説明する。図2は、実空間の天井面6aに空気調和機1、吹出口5、及び吸込口4を配置した斜視図である。
【0026】
図2に示すように、実空間での所定エリアSの天井面6aには、2台の空気調和機1(第一空気調和機1a及び第二空気調和機1b)の配置に対応させて、空間浄化装置の一つの吸込口4(第一吸込口4a)及び二つの吹出口5(第一吹出口5a及び第二吹出口5b)がそれぞれ所定の位置に設置されている。
【0027】
所定エリアSは、建物内における一つの空間であり、空気調和機1並びに空間浄化装置の吸込口4及び吹出口5の設置対象となる空間である。所定エリアSは、機能性拡散物質の拡散・分布解析を実行する対象となる空間でもある。所定エリアSは、例えば、天井面6a、側壁面6b~6e、及び床面(図示せず)で囲まれた1つの部屋であり、一般住宅の居住空間あるいはオフィス空間などが想定される。なお、特に図示していないが、所定エリアSには、ドアあるいは窓などの部材も必要に応じて配置される。
【0028】
空気調和機1は、所定エリアSの天井面6aに埋め込まれた4方向カセットエアコンである。空気調和機1は、空調機吸込口3から吸い込んだ所定エリアSの空気に対して空調制御を実行し、送風口2から温度調節した空気を所定エリアSに送出する。この際、空気調和機1は、4つの送風口2から互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す。
【0029】
より詳細には、空気調和機1は、第一空気調和機1aと第二空気調和機1bとを有する。第一空気調和機1aは、空調機吸込口3aから吸い込んだ所定エリアSの空気に対して空調制御を実行し、送風口2a1、送風口2a2、送風口2a3、及び送風口2a4からなる4つの送風口2から互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す。第二空気調和機1bは、空調機吸込口3bから吸い込んだ所定エリアSの空気に対して空調制御を実行し、送風口2b1、送風口2b2、送風口2b3、及び送風口2b4からなる4つの送風口2から互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す。第一空気調和機1aと第二空気調和機1bとは、従来の配置提示システムによって提示されたレイアウトとして、第一空気調和機1aの送風口2a4と第二空気調和機1bの送風口2b2とが互いに対向するように配置されている。
【0030】
吸込口4及び吹出口5は、いずれもダクト等を介して空間浄化装置(図示せず)と連通接続された開口である。吸込口4は、所定エリアSの空気を吸い込む開口である。吹出口5は、機能性拡散物質を含んだ空気を所定エリアSに吹き出す開口である。
【0031】
ここで、空間浄化装置(図示せず)は、機能性拡散物質を生成して放出する生成装置である。例えば、空間浄化装置は、次亜塩素酸水供給装置であり、食塩水を電気分解することにより次亜塩素酸水を生成する。そして、空間浄化装置は、所定エリアS内に向けて気流を形成する機能を有する。空間浄化装置は、所定エリアSの天井裏などに設置されている。
【0032】
空間浄化装置は、一つの吸込口4(第一吸込口4a)と、二つの吹出口5(第一吹出口5a及び第二吹出口5b)とにダクト等を介してそれぞれ接続される。空間浄化装置は、第一吸込口4aから吸い込んだ所定エリアS内の空気に対して、内部で生成して気化させた次亜塩素酸水を含有させて、第一吹出口5a及び第二吹出口5bのそれぞれから吹出気流とともに所定エリアSに向けて次亜塩素酸を機能性拡散物質として放出する。そして、機能性拡散物質は、吹出気流に沿って所定エリアS内に拡散される。
【0033】
機能性拡散物質は、次亜塩素酸(HClO)を用いているが、オゾン(O)又はプラズマ処理された水(HO)などでもよい。機能性拡散物質は、例えば、霧状の次亜塩素酸水などの液体であるが、気体又は微粒子状の固体でもよい。
【0034】
次に、図1及び図3を参照して、シミュレーション部12について詳細に説明する。図3は、配置提示システム10におけるシミュレーション上の第一例での仮想平面図である。なお、第一例での仮想平面図は、図2での配置状態に対応しており、図2で示した各部材が配置された天井面6aを、天井面6aの上方から見下ろした状態で示している。
【0035】
図1に示すように、シミュレーション部12は、取得部12a、処理部12b、記憶部12b1、特定部12b2、算出部12b3、及び出力部12cを機能として備える。
【0036】
取得部12aは、入力部11から、所定エリアSにおける条件情報を受け付け、受け付けた条件情報を処理部12bに出力する。
【0037】
処理部12bは、取得部12aが取得した条件情報を用いて、記憶部12b1、特定部12b2、及び算出部12b3を連動して動作させることで、所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに適した吸込口4の設置位置を解析して特定する演算処理を行う。処理部12bは、配置提示システム10の主な機能を実行する。処理部12bは、演算処理によって得られた結果情報を出力部12cに出力する。
【0038】
記憶部12b1は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの不揮発性メモリである。記憶部12b1は、処理部12bにより参照または更新されるデータを記憶する。例えば、記憶部12b1は、取得部12aから受け付けた条件情報を記憶するとともに、解析プログラムなどのアルゴリズムを記憶している。また、記憶部12b1は、入力部11から予め入力された部材情報として、空気調和機1の送風能力及び風向に関する情報、空間浄化装置の送風能力及び浄化能力に関する情報、吹出口の寸法に関する情報、吸込口の寸法に関する情報などを記憶している。そして、記憶部12b1は、記憶したデータ(記憶データ)を、処理部12bからの要求に応じて処理部12bに出力する。
【0039】
特定部12b2は、第一処理として、条件情報に基づいて吸込口4の設置候補を抽出する。
【0040】
第一処理の詳細は、以下の通りである。
【0041】
特定部12b2は、空間形状情報に基づいて、図3に示す仮想平面図において、側壁面6b、側壁面6c、側壁面6d、及び側壁面6eで囲まれる空間を所定エリアSとして規定する。
【0042】
特定部12b2は、空気調和機情報に基づいて、第一空気調和機1aの送風口2a4と第二空気調和機1bの送風口2b2とが互いに対向するように、第一空気調和機1a及び第二空気調和機1bを所定エリアS内の所定の位置にそれぞれ配置する。
【0043】
特定部12b2は、第一空気調和機1aの4つの送風口2a1~2a4から吹き出される気流の向きに延長した延長線L(延長線La~Ld)をそれぞれ規定する。より詳細には、特定部12b2は、送風口2a1に対応して、送風口2a1から側壁面6eに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Laを規定する。特定部12b2は、送風口2a2に対応して、送風口2a2から側壁面6bに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lbを規定する。特定部12b2は、送風口2a3に対応して、送風口2a3から側壁面6cに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lcを規定する。特定部12b2は、送風口2a4に対応して、送風口2a4から側壁面6d(第二空気調和機1bの送風口2b2)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Ldを規定する。
【0044】
また、特定部12b2は、第二空気調和機1bの4つの送風口2b1~2b4から吹き出される気流の向きに延長した延長線L(延長線Ld~Lg)をそれぞれ規定する。より詳細には、特定部12b2は、送風口2b1に対応して、送風口2b1から側壁面6eに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Leを規定する。特定部12b2は、送風口2b2に対応して、送風口2b2から側壁面6b(第一空気調和機1aの送風口2a4)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Ldを規定する。特定部12b2は、送風口2b3に対応して、送風口2b3から側壁面6cに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lgを規定する。特定部12b2は、送風口2b4に対応して、送風口2b4から側壁面6dに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lfを規定する。
【0045】
特定部12b2は、吹出口情報に基づいて、延長線Laの線上の所定の位置(例えば、延長線Laの中央位置)に第一吹出口5aを配置するとともに、延長線Leの線上の所定の位置(例えば、延長線Leの中央位置)に第二吹出口5bを配置する。なお、吹出口5は、吹出口5が配置される延長線Lごとに一つ配置される。
【0046】
特定部12b2は、吹出口5が配置された延長線Lを境界とする区画を第一区画BL1として規定する。より詳細には、特定部12b2は、第一吹出口5aが配置された延長線Laを境界とする区画を第一区画BL1a及び第一区画BL1bと規定する。ここで、第一区画BL1aは、延長線La、延長線Lb、側壁面6b、及び側壁面6eによって囲まれる矩形状の区画である。第一区画BL1bは、延長線La、側壁面6e、延長線Le、及び延長線Ldによって囲まれる矩形状の区画である。
【0047】
また、特定部12b2は、第二吹出口5bが配置された延長線Leを境界とする区画を第一区画BL1b及び第一区画BL1cと規定する。この際、第一吹出口5aに基づいて規定された区画が共通する場合には同じ区画名で規定する。ここで、第一区画BL1cは、延長線Le、延長線Lf、側壁面6d、及び側壁面6eによって囲まれる矩形状の区画である。
【0048】
このようにして3つの区画が第一区画BL1として特定される。
【0049】
特定部12b2は、第一区画BL1以外の区画を第二区画BL2として規定する。つまり、残り3つの区画を第二区画BL2と規定する。より詳細には、第二区画BL2aとして、延長線Lc、側壁面6c、側壁面6b、及び延長線Lbによって囲まれる区画を規定する。第二区画BL2bとして、延長線Lc、延長線Ld、延長線Lg、及び側壁面6cによって囲まれる区画を規定する。第二区画BL2cとして、側壁面6d、側壁面6c、延長線Lg、及び延長線Lfによって囲まれる区画を規定する。
【0050】
特定部12b2は、第二区画BL2の内側領域のうち、第二区画BL2の中央(中心点)よりも側壁面側に吸込口候補の位置を仮設定する。より詳細には、特定部12b2は、第二区画BL2aの内側領域のうち、第二区画BL2aの中心点Paよりも側壁面6b側、且つ、側壁面6c側に吸込口候補として第一吸込口4aを仮設定する。特定部12b2は、第二区画BL2bの内側領域のうち、第二区画BL2bの中心点Pbよりも側壁面6c側に吸込口候補として第二吸込口4bを仮設定する。特定部12b2は、第二区画BL2cの内側領域のうち、第二区画BL2cの中心点Pcよりも側壁面6c側、且つ、側壁面6d側に吸込口候補として第三吸込口4cを仮設定する。なお、吸込口4は、第二区画BL2ごとに一つ配置される。また、吸込口4は、第二区画BL2の内側領域のうち、第二区画BL2の中央より側壁面側に配置することで、吸込口4が機能性拡散物質の濃度が比較的低い状態で吸い込むようになり、所定エリアS内における機能性拡散物質の濃度の減少を抑制することができる。
【0051】
特定部12b2は、吸込口情報に基づいて、吸込口候補の配置パターンを特定する。本実施の形態では、吸込口情報によって吸込口4の数が一ヵ所と特定されるので、特定部12b2は、吸込口候補として第一吸込口4aが配置された第一配置パターンと、吸込口候補として第二吸込口4bが配置された第二配置パターンと、吸込口候補として第三吸込口4cが配置された第三配置パターンとが抽出される。なお、吸込口4の数が複数設定される場合には、それらの組み合わせごとに配置パターンを抽出すればよい。
【0052】
以上により、特定部12b2は、第一処理として、条件情報に基づいて吸込口4の設置候補(配置パターン)を抽出する。
【0053】
そして、特定部12b2は、抽出した吸込口4の設置位置(配置パターン)に関する情報を処理部12bに出力する。
【0054】
続いて、特定部12b2は、第二処理として、後述する算出部12b3によって算出される機能性拡散物質の拡散・分布情報に基づいて、複数の吸込口候補の中から所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な吸込口4を特定する。より詳細には、特定部12b2は、第一配置パターンにおいて算出部12b3によって算出される機能性拡散物質の拡散・分布情報(第一分布情報)と、第二配置パターンにおいて算出部12b3によって算出される機能性拡散物質の拡散・分布情報(第二分布情報)と、第三配置パターンにおいて算出部12b3によって算出される機能性拡散物質の拡散・分布情報(第三分布情報)とを相対比較し、所定エリアS内において機能性拡散物質が略均一に分布した状態となっている配置パターンを特定する。例えば、特定部12b2は、所定エリアSを構成する床面から0.2mごとの高さの断面における機能性拡散物質濃度の平均値を、すべての高さの平均値から高さごとの分散を計算して、分散の総計が一番小さくなる配置パターンを特定する。この結果。特定部12b2は、例えば、第一配置パターンを特定する。
【0055】
特定部12b2は、特定された第一配置パターンに基づいて、第一配置パターンにおける第一吸込口4aの設置位置を、所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに適した吸込口4の設置位置として特定する。
【0056】
以上により、特定部12b2は、第二処理として、機能性拡散物質の拡散・分布情報に基づいて、所定エリアS内での吸込口4の設置位置を特定する。
【0057】
そして、特定部12b2は、特定した吸込口4の設置位置に関する情報を処理部12bに出力する。
【0058】
なお、処理部12bは、特定部12b2から受け付けた情報を記憶部12b1に格納し、必要に応じて出力部12cあるいは算出部12b3に出力する。
【0059】
算出部12b3は、記憶部12b1に記憶された条件情報(空間形状情報、空気調和機情報、拡散物質情報)と、特定部12b2で抽出された吸込口4の設置候補(配置パターン)に関する情報を用いて、例えば、数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)に基づく解析(以下、CFD解析と記載)を行う。算出部12b3による、所定エリアS内における機能性拡散物質の濃度解析は、一般的な手法を用いればよいので説明を省略するが、算出部12b3は、機能性拡散物質の濃度推定のCFD解析を行うことで、所定エリアS内における機能性拡散物質の濃度を示す濃度情報を出力する。より詳細には、算出部12b3は、所定エリアSを、濃度推定シミュレーションにおける演算の単位(メッシュ)に相当する複数の部分空間に分割し、分割した部分空間ごとに任意の時間における空間に広がる機能性拡散物質濃度を算出する。そして、算出部12b3は、所定エリアS内における機能性拡散物質濃度の経時的に変化する三次元分布を生成する。
【0060】
算出部12b3は、生成した機能性拡散物質濃度の三次元分布に関する情報を、機能性拡散物質の拡散・分布情報として処理部12bに出力する。
【0061】
なお、処理部12bは、算出部12b3から受け付けた情報を記憶部12b1に格納し、必要に応じて出力部12cあるいは特定部12b2に出力する。
【0062】
出力部12cは、処理部12bから出力される各部材(複数の空気調和機1、吸込口4、吹出口5)の配置情報、及び、各部材の配置情報に基づいた所定エリアS内での機能性拡散物質の拡散・分布情報を受け付ける。出力部12cは、受け付けた情報を提示部13に出力する。この際、出力部12cは、各部材のレイアウト平面図、及び、所定エリアS内への機能性拡散物質の広がりのコンター図(等高線図)として情報を出力する。
【0063】
シミュレーション部12は、以上のように構成される。
【0064】
次に、図4を参照して、配置提示システム10において実行される、機能性拡散物質の吸込口4の配置位置を特定する際の処理手順について説明する。
【0065】
まず、図4に示すように、配置提示システム10のシミュレーション部12では、取得部12aにおいて、入力部11から所定エリアSへの吸込口配置に必要となる条件情報を取得する(ステップS1)。具体的には、取得部12aは、条件情報として、空間形状情報、空気調和機情報、吹出口情報、吸込口情報、及び拡散物質情報を取得する。
【0066】
次に、シミュレーション部12は、取得部12aが取得した条件情報に基づいて、特定部12b2において、複数の吸込口候補を抽出する(ステップS2)。具体的には、特定部12b2は、上述した第一処理を実行し、3つの吸込口候補(図3の第一吸込口4a、第二吸込口4b、第三吸込口4c)に対応する配置パターン(第一配置パターン、第二配置パターン、第三配置パターン)をそれぞれ特定する。
【0067】
次に、シミュレーション部12は、算出部12b3において、特定部12b2で抽出した配置パターンごとに、所定エリアS内の拡散物質濃度分布を解析計算する(ステップS3)。具体的には、算出部12b3は、機能性拡散物質の濃度推定のCFD解析を行うことで、所定エリアS内における機能性拡散物質の濃度を示す濃度情報をそれぞれ出力する。
【0068】
次に、シミュレーション部12は、特定部12b2において、算出部12b3によって算出された配置パターンごとの機能性拡散物質の拡散・分布情報に基づいて、吸込口候補の中から機能性拡散物質の濃度分布が略均一となるのに好適な吸込口4を特定する(ステップS4)。具体的には、特定部12b2は、上述した第二処理を実行し、3つの吸込口候補(第一吸込口4a、第二吸込口4b、第三吸込口4c)の中から機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な第一吸込口4aを特定する。
【0069】
次に、シミュレーション部12は、所定エリアS内での各部材(複数の空気調和機1、吸込口4、吹出口5)の配置情報、及び、各部材の配置情報に基づいた所定エリアS内での機能性拡散物質の拡散・分布情報を提示部13に出力する。
【0070】
提示部13は、所定エリアS内での吸込口配置及び吸込口配置に基づいた機能性拡散物質濃度のコンター図を表示する(ステップS5)。具体的には、提示部13は、吸込口配置として各部材のレイアウト平面図を表示し、機能性拡散物質濃度のコンター図として所定エリアS内への機能性拡散物質の広がりの様子を示す等高線図をレイアウト平面図に重ねて表示する。あるいは、算出部12b3で実施した三次元の流体解析で用いた、三次元の天井側から見えるように可視化した、機能性拡散物質濃度のコンターの斜視図で表示する。
【0071】
以上のようにして、配置提示システム10において実行される処理手順が終了する。
【0072】
次に、図5を参照して、第一例での配置状態とは異なる第二例での配置状態において、機能性拡散物質の吸込口4の配置位置を特定する際の処理動作について説明する。図5は、配置提示システム10におけるシミュレーション上の第二例での仮想平面図である。
【0073】
第二例は、図5に示すように、4台の空気調和機1(第一空気調和機1a、第二空気調和機1b、第三空気調和機1c、及び第四空気調和機1d)がそれぞれ所定エリアS内の所定の位置に設置された例である。以下、第一例で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、第一例と異なる点を主に説明する。
【0074】
第一空気調和機1a及び第二空気調和機1bは、第一例と同様である。
【0075】
第三空気調和機1cは、空調機吸込口3cから吸い込んだ所定エリアSの空気に対して空調制御を実行し、送風口2c1、送風口2c2、送風口2c3、及び送風口2c4からなる4つの送風口2から互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す。第四空気調和機1dは、空調機吸込口3dから吸い込んだ所定エリアSの空気に対して空調制御を実行し、送風口2d1、送風口2d2、送風口2d3、及び送風口2d4からなる4つの送風口2から互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す。
【0076】
第一空気調和機1a~第四空気調和機1dは、図5に示すように、従来の配置提示システムによって提示されたレイアウトとして、隣接する空気調和機1の送風口2が互いに対向するように配置されている。
【0077】
シミュレーション部12の特定部12b2では、第一例と同様、第二例における第一処理及び第二処理を、以下のように実行する。
【0078】
特定部12b2は、第一処理として、条件情報に基づいて吸込口4の設置候補を抽出する。
【0079】
特定部12b2は、空間形状情報に基づいて、図5に示す仮想平面図において、側壁面6b、側壁面6c、側壁面6d、及び側壁面6eで囲まれる空間を所定エリアSとして規定する。
【0080】
特定部12b2は、空気調和機情報に基づいて、第一空気調和機1aの送風口2a4と第二空気調和機1bの送風口2b2とが互いに対向するように、第一空気調和機1a及び第二空気調和機1bを所定エリアS内の所定の位置にそれぞれ配置する。また、特定部12b2は、空気調和機情報に基づいて、第三空気調和機1cの送風口2c4と第四空気調和機1dの送風口2d2とが互いに対向するように、第三空気調和機1c及び第四空気調和機1dを所定エリアS内の所定の位置にそれぞれ配置する。この際、第一空気調和機1aの送風口2a3と第三空気調和機1cの送風口2c1とが互いに対向するように第一空気調和機1a及び第三空気調和機1cを配置するとともに、第二空気調和機1bの送風口2b3と第四空気調和機1dの送風口2d1とが互いに対向するように第二空気調和機1b及び第四空気調和機1dを配置する。
【0081】
特定部12b2は、第一空気調和機1aの4つの送風口2a1~2a4から吹き出される気流の向きに延長した延長線L(延長線La~Ld)をそれぞれ規定する。より詳細には、特定部12b2は、送風口2a1に対応して、送風口2a1から側壁面6eに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Laを規定する。特定部12b2は、送風口2a2に対応して、送風口2a2から側壁面6bに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lbを規定する。特定部12b2は、送風口2a3に対応して、送風口2a3から側壁面6c(第三空気調和機1cの送風口2c1)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lcを規定する。特定部12b2は、送風口2a4に対応して、送風口2a4から側壁面6d(第二空気調和機1bの送風口2b2)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Ldを規定する。
【0082】
また、特定部12b2は、第二空気調和機1bの4つの送風口2b1~2b4から吹き出される気流の向きに延長した延長線L(延長線Ld~Lg)をそれぞれ規定する。より詳細には、特定部12b2は、送風口2b1に対応して、送風口2b1から側壁面6eに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Leを規定する。特定部12b2は、送風口2b2に対応して、送風口2b2から側壁面6b(第一空気調和機1aの送風口2a4)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Ldを規定する。特定部12b2は、送風口2b3に対応して、送風口2b3から側壁面6c(第四空気調和機1dの送風口2d1)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lgを規定する。特定部12b2は、送風口2b4に対応して、送風口2b4から側壁面6dに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lfを規定する。
【0083】
また、特定部12b2は、第三空気調和機1cの4つの送風口2c1~2c4から吹き出される気流の向きに延長した延長線L(延長線Lc、Lh~Lj)をそれぞれ規定する。より詳細には、特定部12b2は、送風口2c1に対応して、送風口2c1から側壁面6e(第一空気調和機1aの送風口2a3)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lcを規定する。特定部12b2は、送風口2c2に対応して、送風口2c2から側壁面6bに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lhを規定する。特定部12b2は、送風口2c3に対応して、送風口2c3から側壁面6cに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Li規定する。特定部12b2は、送風口2c4に対応して、送風口2c4から側壁面6d(第四空気調和機1dの送風口2d2)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Ljを規定する。
【0084】
また、特定部12b2は、第四空気調和機1dの4つの送風口2d1~2d4から吹き出される気流の向きに延長した延長線L(延長線Lg、Lj、Lk、Ll)をそれぞれ規定する。より詳細には、特定部12b2は、送風口2d1に対応して、送風口2d1から側壁面6e(第二空気調和機1bの送風口2b3)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lgを規定する。特定部12b2は、送風口2d2に対応して、送風口2d2から側壁面6b(第三空気調和機1cの送風口2c4)に向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Ljを規定する。特定部12b2は、送風口2d3に対応して、送風口2b3から側壁面6cに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Llを規定する。特定部12b2は、送風口2d4に対応して、送風口2d4から側壁面6dに向かって吹き出される気流の向きに延長した延長線Lkを規定する。
【0085】
特定部12b2は、吹出口情報に基づいて、延長線Lgの線上の所定の位置(例えば、延長線Lgの中央位置)に第一吹出口5aを配置するとともに、延長線Liの線上の所定の位置(例えば、延長線Liの中央位置)に第二吹出口5bを配置する。なお、吹出口5は、吹出口5が配置される延長線Lごとに一つ配置される。
【0086】
特定部12b2は、吹出口5が配置された延長線Lを境界とする区画を第一区画BL1として規定する。より詳細には、特定部12b2は、第一吹出口5aが配置された延長線Lgを境界とする区画を第一区画BL1a及び第一区画BL1bと規定する。ここで、第一区画BL1aは、延長線Lg、延長線Lj、延長線Lc、及び延長線Ldによって囲まれる矩形状の区画である。第一区画BL1bは、延長線Lg、延長線Lf、側壁面6d、及び延長線Lkによって囲まれる矩形状の区画である。
【0087】
また、特定部12b2は、第二吹出口5bが配置された延長線Liを境界とする区画を第一区画BL1c及び第一区画BL1dと規定する。ここで、第一区画BL1cは、延長線Li、側壁面6c、側壁面6b、及び延長線Lhによって囲まれる矩形状の区画である。第一区画BL1dは、延長線Li、延長線Lj、延長線Ll、及び側壁面6cによって囲まれる矩形状の区画である。
【0088】
このようにして4つの区画が第一区画BL1として特定される。
【0089】
特定部12b2は、第一区画BL1以外の区画を第二区画BL2として規定する。つまり、残り5つの区画を第二区画BL2と規定する。より詳細には、第二区画BL2aとして、延長線La、延長線Lb,側壁面6b、及び側壁面6eによって囲まれる区画を規定する。第二区画BL2bとして、延長線Le、延長線La、延長線Ld、及び側壁面6eによって囲まれる区画を規定する。第二区画BL2cとして、側壁面6d、延長線Lf、延長線Le、及び側壁面6eによって囲まれる区画を規定する。第二区画BL2dとして、延長線Lc、延長線Lh、側壁面6b、及び延長線Lbによって囲まれる区画を規定する。第二区画BL2eとして、側壁面6d、側壁面6c、延長線Ll、及び延長線Lkによって囲まれる区画を規定する。
【0090】
特定部12b2は、第二区画BL2の内側領域のうち、第二区画BL2の中央(中心点)よりも側壁面側に吸込口候補の位置を仮設定する。より詳細には、特定部12b2は、第二区画BL2aの内側領域のうち、第二区画BL2aの中心点Paよりも側壁面6b側、且つ、側壁面6e側に吸込口候補として第一吸込口4aを仮設定する。特定部12b2は、第二区画BL2bの内側領域のうち、第二区画BL2bの中心点Pbよりも側壁面6e側に吸込口候補として第二吸込口4bを仮設定する。特定部12b2は、第二区画BL2cの内側領域のうち、第二区画BL2cの中心点Pcよりも側壁面6e側、且つ、側壁面6d側に吸込口候補として第三吸込口4cを仮設定する。特定部12b2は、第二区画BL2dの内側領域のうち、第二区画BL2dの中心点Pdよりも側壁面6b側に吸込口候補として第四吸込口4dを仮設定する。特定部12b2は、第二区画BL2eの内側領域のうち、第二区画BL2eの中心点Peよりも側壁面6d側、且つ、側壁面6c側に吸込口候補として第五吸込口4eを仮設定する。なお、吸込口4は、第二区画BL2ごとに一つ仮配置される。
【0091】
特定部12b2は、吸込口情報に基づいて、吸込口候補の配置パターンを特定する。本実施の形態では、吸込口情報によって吸込口4の数が二ヵ所と特定されるので、特定部12b2は、吸込口候補として第一吸込口4a及び第五吸込口4eが配置された配置パターンを含む計10通りの配置パターンを抽出する。
【0092】
以上により、特定部12b2は、第一処理として、条件情報に基づいて吸込口4の設置候補(配置パターン)を抽出する。
【0093】
そして、特定部12b2は、抽出した吸込口4の設置位置(配置パターン)に関する情報を処理部12bに出力する。
【0094】
続いて、特定部12b2は、第二処理として、後述する算出部12b3によって算出される機能性拡散物質の拡散・分布情報に基づいて、複数の吸込口候補の中から所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な、二つの吸込口4の組み合わせを特定する。より詳細には、特定部12b2は、第一例と同様、それぞれの配置パターンにおいて算出部12b3によって算出される機能性拡散物質の拡散・分布情報を相対比較し、所定エリアS内において機能性拡散物質が略均一に分布した状態となっている配置パターンを特定する。この結果、特定部12b2は、例えば、第一吸込口4aと第五吸込口4eとを組み合わせた配置パターンを特定する。
【0095】
特定部12b2は、特定された配置パターンに基づいて、配置パターンにおける第一吸込口4a及び第五吸込口4eの設置位置を、所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに適した吸込口4の設置位置として特定する。
【0096】
以上により、特定部12b2は、第二処理として、機能性拡散物質の拡散・分布情報に基づいて、所定エリアS内での吸込口4の設置位置を特定する。
【0097】
そして、特定部12b2は、特定した吸込口4の設置位置に関する情報を処理部12bに出力する。
【0098】
シミュレーション部12は、所定エリアS内での各部材(複数の空気調和機1、吸込口4、吹出口5)の配置情報、及び、各部材の配置情報に基づいた所定エリアS内での機能性拡散物質の拡散・分布情報を提示部13に出力する。
【0099】
提示部13は、第一例と同様、吸込口配置として各部材のレイアウト平面図を表示し、機能性拡散物質濃度のコンター図として所定エリアS内への機能性拡散物質の広がりの様子を示す等高線図をレイアウト平面図に重ねて表示する。あるいは、算出部12b3で実施した三次元の流体解析で用いた、三次元の天井側から見えるように可視化した、機能性拡散物質濃度のコンターの斜視図で表示する。
【0100】
以上、本実施の形態1に係る配置提示システム10によれば、以下の効果を享受することができる。
【0101】
(1)配置提示システム10は、4つの送風口2から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す第一空気調和機1a及び第二空気調和機1bを有し、第一空気調和機1a及び第二空気調和機1bの送風口2の一つが互いに対向して配置された所定エリアSに、所定エリアSの空気を吸い込む吸込口4と、吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアSに吹き出す吹出口5と、を配置して提示する。配置提示システム10は、吹出口5の配置に基づいて吸込口4の配置を特定する特定部12b2と、吹出口5の配置、及び、特定部12b2によって特定された吸込口4の配置を提示する提示部13と、を備える。所定エリアSは、吹出口5から吹き出される気流の向きに延長した延長線Lと、所定エリアSを構成する壁面(側壁面6b~6d)とによって複数の区画に区分され、吹出口5は、少なくとも一つの延長線Lの線上に配置される。特定部12b2は、吸込口4を、吹出口5が配置された延長線Lを境界とする区画を第一区画BL1とした場合、第一区画BL1以外の第二区画BL2の内側領域に配置すると特定する。
【0102】
こうした構成によれば、複数の空気調和機1の配置条件下において、所定エリアS内に機能性拡散物質(次亜塩素酸)を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置(空間浄化装置)の吸込口4及び吹出口5の配置を提示する配置提示システム10とすることができる。つまり、配置提示システム10では、複数の空気調和機1が配置された所定エリアSに配備する機能性拡散物質を供給する装置の吹出口5及び吸込口4の配置を効率良く提示できる。
【0103】
(2)配置提示システム10では、吹出口5は、吹出口5が配置された延長線Lごとに一つ配置され、吸込口4は、第二区画BL2ごとに一つ配置されるようにした。これにより、所定エリアS内において、設定された数の吹出口5及び吸込口4が分散配置されるので、所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させる配置状態を効率良く提示できる。
【0104】
(3)配置提示システム10では、吸込口4は、第二区画BL2の内側領域のうち、第二区画BL2の中央(中心点)より壁面側(側壁面6b~6d)に配置するようにした。これにより、吹出口5から吸込口4に至る経路長が長くなるので、吹出口5から吹き出された機能性拡散物質が所定エリアS内において拡散しやすくなる。このため、吸込口4から吸い込まれる機能性拡散物質の濃度が低くなるので、所定エリアS内に機能性拡散物質を略均一に分布させる機能性拡散物質の量を減少させることができる。
【0105】
(4)配置提示システム10は、4つの送風口2から、互いに直交する4方向に気流をそれぞれ吹き出す空気調和機1を複数(例えば、第一空気調和機1a~第四空気調和機1d)有し、複数の空気調和機1の送風口2が互いに対向して配置された所定エリアSに、所定エリアSの空気を吸い込む吸込口4と、吸い込んだ空気に機能性拡散物質を含ませて所定エリアSに吹き出す吹出口5と、を配置して提示する。配置提示システム10は、吹出口5の配置に基づいて吸込口4の配置を特定する特定部12b2と、吹出口5の配置、及び、特定部12b2によって特定された吸込口4の配置を提示する提示部13と、を備える。所定エリアSは、吹出口5から吹き出される気流の向きに延長した延長線Lと、所定エリアSを構成する壁面(側壁面6b~6d)とによって複数の区画に区分され、吹出口5は、少なくとも一つの延長線Lの線上に配置される。特定部12b2は、吸込口4を、吹出口5が配置された延長線Lを境界とする区画を第一区画BL1とした場合、第一区画BL1以外の第二区画BL2の内側領域に配置すると特定する。
【0106】
こうした構成によれば、複数の空気調和機1の配置条件下において、所定エリアS内に機能性拡散物質(次亜塩素酸)を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置(空間浄化装置)の吸込口4及び吹出口5の配置を提示する配置提示システム10とすることができる。つまり、配置提示システム10では、複数の空気調和機1が配置された所定エリアSに配備する機能性拡散物質を供給する装置の吹出口5及び吸込口4の配置を効率良く提示できる。
【0107】
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せに種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る配置提示システムは、複数の空気調和機の配置条件下において、所定エリア内に機能性拡散物質を略均一に分布させるのに好適な、機能性拡散物質を供給する装置の吸込口及び吹出口の配置を提示することができるので、所定エリアに機能性拡散物質を供給する装置を配置検討する際に有用である。
【符号の説明】
【0109】
1 空気調和機
1a 第一空気調和機
1b 第二空気調和機
1c 第三空気調和機
1d 第四空気調和機
2、2a1、2a2、2a3、2a4、2b1、2b2、2b3、2b4、2c1、2c2、2c3、2c4、2d1、2d2、2d3、2d4 送風口
3、3a、3b、3c、3d 空調機吸込口
4 吸込口
4a 第一吸込口
4b 第二吸込口
4c 第三吸込口
4d 第四吸込口
4e 第五吸込口
5 吹出口
5a 第一吹出口
5b 第二吹出口
6a 天井面
6b、6c、6d、6e 側壁面
10 配置提示システム
11 入力部
12 シミュレーション部
12a 取得部
12b 処理部
12b1 記憶部
12b2 特定部
12b3 算出部
12c 出力部
13 提示部
L、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、Lg、Lh、Li、Lj、Ll、Lk 延長線
BL1、BL1a、BL1b、BL1c、BL1d 第一区画
BL2、BL2a、BL2b、BL2c、BL2d、BL2e 第二区画
図1
図2
図3
図4
図5