(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009180
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】生物学的媒体中の選択的レーザ誘起光学破壊
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20230112BHJP
A61B 18/20 20060101ALN20230112BHJP
【FI】
A61N5/067
A61B18/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182281
(22)【出願日】2022-11-15
(62)【分割の表示】P 2019544631の分割
【原出願日】2018-02-19
(31)【優先権主張番号】62/460,867
(32)【優先日】2017-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515245583
【氏名又は名称】ソリトン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シー. カペッリ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター クレンプ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロバートソン
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026FF58
4C026HH15
4C082RA01
4C082RA10
4C082RE58
4C082RL15
(57)【要約】
【課題】生物学的媒体中の選択的レーザ誘起光学破壊を提供すること
【解決手段】生物学的媒体中の吸収性標的のレーザ誘起光学破壊(LIOB)を選択的に提供するための装置および方法。例えば、LIOBは、入墨除去と関連付けられる美容治療等の組織治療の一部として使用され得る。いくつかの実装では、LIOBを選択的に提供するためのシステムは、場を生成し、生物学的媒体の一部を通して場を印加するように構成される、場発生器を含む。本システムはまた、場の印加の間に生物学的媒体の一部にレーザ光を送達するように構成される、光源を含む。生物学的媒体への場の印加は、レーザ光に応答して、生物学的媒体中の空胞の形成を低減または減速させ得る、生物学的媒体の一部の中での自由電子の移動を誘起する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年2月19日に出願された米国仮特許出願第62/460,867号の利益を主張するものであり、該米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は、概して、レーザの治療用使用に関する。より具体的には、限定ではないが、本開示は、生物学的媒体中にレーザ誘起光学破壊(LIOB)を選択的に生産するために、電場、磁場、または両方等の場を使用するシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高出力パルスレーザが、長年にわたってある治療のために使用されている。医療の文脈では、「レーザ」は、概して、組織を処置または除去するために使用されるコヒーレントな光源を指すように使用される。パルスレーザ治療の実施例は、レーザ静脈除去、レーザ毛髪除去、およびレーザ入墨除去を含む。これらの治療はそれぞれ、典型的には、生物学的媒体にレーザを標的化するステップと、レーザ(例えば、「レーザビーム」または「レーザ光」)を生物学的媒体の中にパルシングするステップとを伴い、ビームまたは光は、生物学的媒体中の静脈、毛包、または入墨顔料粒子等の吸収性標的によって吸収される。例えば、適切な波長の光を使用して、パルスレーザは、レーザ誘起光学破壊(LIOB)から真皮中の入墨インク粒子のアブレーションにつながることができ、これは、入墨退色につながる。皮膚引き締め等の他のレーザベースの治療では、生物学的媒体自体が、吸収性標的である。吸収性標的が組織等の不透明媒体中にある場合、顔料粒子をアブレーションすることは、水等の透明媒体中の顔料粒子をアブレーションすることと比較して、あまり効率的ではない。
【0004】
レーザ誘起光学破壊(LIOB)は、高レーザフルエンスのビームによって媒体中に与えられる損傷の壊滅的進展であり、これは、電子なだれ(例えば、比較的に短い時間における自由担体の構築)およびプラズマ形成をもたらす。本効果は、他の原子または分子との衝突を引き起こし、二次的な自由担体につながる、自由電子の高エネルギーへの加速に基づく。例証するために、入墨除去に関連する顔料粒子アブレーションのためのLIOBプロセスは、生物学的媒体中に自然に発生する少数の自由電子から、またはレーザ誘起(多光子)イオン化によって、または熱開始経路(すなわち、熱イオン放出)を通して生成されるものから開始される。電子なだれが、これらの電子がレーザビームからそれらが原子をイオン化することが可能である十分なエネルギーを得ることが可能である場合、発達し、イオンおよび電子の増加された衝突およびさらなるストリッピングをもたらし得る。プロセスの繰り返しは、自由電子の急速な蓄積につながり得る。その結果、顔料粒子表面に隣接するプラズマプルームの形成をもたらす、「カスケードイオン化」または「電子なだれ」が、起こる。
【0005】
イオン化およびプラズマ形成のレベルが明らかな状態になると、着信するレーザエネルギーは、イオン場内の自由自由遷移を介してプラズマプルーム中の自由電子によって容易に吸収され得る。本吸収は、プラズマの集中的加熱を引き起こし、結果として、衝撃波の形態におけるプラズマプルームの急速な膨張を引き起こす。このため、可視光子放出が、現れ、集中的熱は、顔料粒子に隣接する1つ以上の空胞(例えば、蒸気キャビテーション気泡)の形成を引き起こす。プラズマプルームは、ナノ秒の範囲内で形成され、空胞(例えば、真皮空胞)は、その直後に形成され得る。空胞が十分に大きい場合、空胞は、レーザ減衰および散乱(レーザ遮蔽)をもたらし得、そのそれぞれは、レーザベースの治療の間にレーザ有効性の損失に寄与し得る。
【0006】
米国特許第5,149,406号は、SF6環境等の透明な非伝導性ガス状媒体中に存在する自由電子をクエンチすることによってLIOB事象を抑制することを説明している。しかしながら、透明な非伝導性ガス状媒体と異なり、生物学的媒体は、伝導性であり、自由電子のクエンチを提供するために十分に高い電圧を取得し、患者にとって危険であろう電流レベルを要求するであろう。加えて、生物学的媒体中の自由電子をクエンチすることは、いかなる電場も伝導性媒体内に生成され得ない、すなわち、いかなる電場も伴わないと、自由電子に対するいかなる起電力も存在しないであろうことが考えられるため、適していないと見なされている。
【0007】
図1A-1Cを参照すると、従来のパルスレーザ治療処置を受ける生物学的媒体の例証的実施例が、示される。
図1Aおよび1Bはそれぞれ、レーザ処置後の入墨入り部位の組織学的画像を描写する。具体的には、
図1Aは、レーザ処置の1分以内に採取された真皮組織の生検を示し、
図1Bは、9.0J/cm
2のフルエンスを伴う処置の処置直後に採取された真皮組織の生検を示す。
図1Cは、入墨のナノ秒レーザ処置からの「白色化」の実施例を描写する。
【0008】
図1Aおよび1Bを参照すると、組織学的画像は、パルスレーザによって引き起こされるLIOBの結果として生物学的媒体中に形成され得る空胞(例えば、真皮空胞)の実施例を示す。例えば、パルスレーザが、真皮組織中の入墨顔料凝集体104等の生物学的媒体中の吸収性標的に影響を及ぼすために使用されるとき、LIOB事象は、真皮内のそれらの場所によって特徴付けられ得る少なくとも2つの異なるタイプの空胞の形成をもたらし得る。異なるタイプの空胞は、「粒子空胞」100と、「遠隔空胞」102とを含み得る。
【0009】
入墨顔料凝集体104(例えば、吸収性標的)の中へのレーザパルスは、顔料凝集体104の表面においてLIOB事象を生産することができる。LIOB事象は、吸収性標的へのアブレーション損傷につながり、パルスレーザ源に最近接する側上の吸収性標的に直ぐ隣接して位置する、蒸気空胞、すなわち、「粒子空胞」100の形成につながる。粒子空胞100は、典型的には、大きく、非対称に成形され、通常、顔料粒子に隣接して現れる。粒子空胞100に加えて、「遠隔空胞」102と称される、付加的空胞が、遠隔空胞102が顔料粒子表面と直接関連付けられるように現れないように、顔料粒子から離れて、またはその遠隔で生物学的媒体(例えば、真皮、脂肪、筋肉等)中に形成され得る。遠隔空胞102は、典型的には、より小さく、粒子空胞100よりも球状に見え得る。
【0010】
吸収性標的(例えば、顔料粒子)を伴わない生物学的媒体中のレーザベースの治療は、典型的には、遠隔空胞102を生成せず、吸収性標的(例えば、顔料粒子)が生物学的媒体中に存在するとき、遠隔空胞102は、生成され得ることに留意されたい。例証するために、顔料粒子表面におけるLIOB事象は、媒体(例えば、真皮、脂肪、筋肉等)内の自由電子の源として作用することができる。遠隔空胞102は、パルスレーザ光光子が自由電子と相互作用すると形成され、自由電子のなだれカスケードをもたらし、蒸気、したがって、遠隔空胞102の生産につながるプラズマ泡の形成をもたらし得る。
【0011】
図1Cを参照すると、パルスレーザ処置された黒色入墨の実施例が、示される。顔料粒子のアブレーションは、顔料粒子表面におけるLIOB事象からもたらされ、これは、皮膚における表皮および真皮空胞(すなわち、「白色化」)の生成につながる。
【0012】
粒子空胞100および遠隔空胞102の両方は、吸収性標的のレーザ遮蔽を引き起こし、吸収性標的に対する減少されたレーザ有効性につながる、レーザ減衰および散乱をもたらす。その結果、空胞(例えば、遠隔空胞120)の結果として、ある割合の初期レーザエネルギーのみが、その意図される標的に到達し、白色化された入墨のパルスレーザ処置を直ちに繰り返す試みは、非効果的である。周辺組織の中への空胞の吸収時間は、数分から数時間かかり得る。加えて、生物学的媒体中で起こるLIOB事象は、周辺細胞構造に対して大いに破壊的である。例えば、生物学的媒体の処置部位における、およびその周囲の細胞への熱の放出および衝撃波損傷は、壊死性血管炎につながり得、これは、ひいては、レーザ処置後24~48時間で有意なコラーゲン損傷および表皮痂皮形成につながる。本損傷に対抗する試みにおいて、処置セッションの間のレーザフルエンスは、低減または限定されることができるが、これは、処置の全体的有効性を低減させる。入墨入り皮膚の繰り返しパルスレーザ処置は、空胞が周辺組織によって吸収されることを可能にするために、および/または皮膚損傷(例えば、表皮痂皮形成)からの回復を可能にするために、レーザ処置セッションの合間に有意な休止時間を伴わないと、非効果的である。加えて、レーザベースの治療(例えば、入墨除去セッション)の間に形成される空胞の結果として、医師は、単一の処置セッションの間に生物学的媒体中の具体的部位への繰り返しパルスレーザ処置から最大の所望の治療効果を達成すること、および/またはそれを提供することに困難を有する。したがって、単一の処置セッションにおけるレーザ治療の完了は、概して、これらのレーザ遮蔽空胞の存在の結果として、実行可能ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,149,406号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、伝導性生物学的媒体等の生物学的媒体中で選択的レーザ誘起光学破壊(LIOB)を提供するための方法、装置、およびシステムの実施例を含む。例えば、LIOBは、入墨除去と関連付けられる美容治療等の組織治療の一部として使用されてもよく、LIOBは、生物学的媒体内の吸収性標的(例えば、入墨顔料粒子)に向かって指向される。組織治療の間、静電場(例えば、電流を殆ど伴わない高電圧)等の場が、生物学的媒体に印加される、またはその中で生成され、それによって、吸収性標的における選択的LIOBを可能にしながら、生物学的媒体自体のLIOBを阻止する。例えば、場は、顔料凝集体と関連付けられる粒子空胞形成を可能にしながら、遠隔空胞の形成を阻止し得る。例証するために、入墨部位が、パルスレーザを用いて処置されるとき、顔料粒子のアブレーションは、場(例えば、静電場)が真皮に印加されるとき、内部起電力が自由電子を移動させるように作用するように、真皮の伝導性条件を不安定な状態にさせる。自由電子は、レーザパルス経路から移動(例えば、分散)され、それによって、自由電子の集中を低減させ、したがって、粒子空胞形成を可能にしながら遠隔空胞形成を阻止することができる。
【0015】
本方法、装置、およびシステムは、それによって、パルスレーザが場(例えば、静電場)の印加を伴わずに印加される従来の技法と比較して、遠隔空胞形成を低減および/または限定することができる。故に、吸収性標的に対するレーザ有効性は、いかなる場も印加されないときの従来の技法と比較して、場が印加されるときに上回る。場の印加は、遠隔空胞形成を低減および/または限定するため、同一の処置面積にわたるレーザ処置は、白色化された入墨面積に迅速に連続して、かつ効果的に、および/または周辺細胞構造に悪影響を及ぼすことなく実施され得る。加えて、処置セッションの間のレーザフルエンスは、低減または限定される必要はなく、これは、従来の技法と比較して、さらなる所望の治療効果が単一の処置セッションの間に実現されることを可能にする。従来の技法と比較してより効果的な処置セッションを有することによって、患者は、より少ない合計数の処置を受ける必要性があり、それによって、より少ない不快感および短い処置持続時間を被る。
【0016】
いくつかの実施形態では、伝導性生物学的媒体中の選択的レーザ誘起光学破壊は、伝導性生物学的媒体内の吸収性標的を標的化する。いくつかの実施形態では、電場が、生物学的媒体中に生成され、それによって、吸収性標的における選択的レーザ誘起光学破壊を可能にしながら、生物学的媒体自体のレーザ誘起光学破壊を阻止する。高電圧および低電流を伴う電圧源が、LIOBを選択的に提供するために伝導性生物学的媒体中で使用されるために十分な静電場を提供することができる。
【0017】
誘電体(または絶縁体)フィルムが、これらの絶縁体フィルムの間に伝導性媒体(例えば、塩水)を伴う電圧源の正および負の板の間に設置される場合、伝導性媒体中にいかなる電場も定在しないであろう。誘電材料内の電荷の分極は、誘電体フィルム自体の中の全体的場を低減させる内部電場を生成する。したがって、いかなる電場も、誘電被覆板の間の伝導性媒体中に存在しない。しかしながら、伝導性媒体が、皮膚のような生物学的媒体等の誘電および極性分子の複雑な混合物を含み、レーザ等の高エネルギー源によってさらに摂動され、それによって、自由電子、イオン、およびプラズマを生成する場合、伝導性媒体は、電気的に、電圧板にわたる誘電絶縁体の一部になる。本シナリオでは、電場が、誘起され、生物学的媒体内で自由電子を移動させるために十分な起電力を引き起こすことができる。
【0018】
通常の安定した条件下では、生物学的媒体は、典型的には、伝導性である。静電場内に設置されると、伝導性媒体は、いかなる内部電場も生産しないはずである。その結果、いかなる電場も伴わないと、生物学的媒体内で自由電子を移動させるためのいかなる起電力も、存在しない。しかしながら、パルスレーザを用いて処置されるとき、伝導性生物学的媒体は、生物学的媒体内で自由電子を移動させるように作用する内部起電力を短時間に生産することが可能である。これは、生物学的媒体の通常の安定した条件がレーザを用いて処置されると不安定な状態になることからもたらされる。レーザパルスからの生物学的媒体内の細胞中の摂動は、イオン伝導率における局所化された擾乱をもたらす。その結果、伝導性媒体は、短時間の時間周期にわたって誘電材料のように作用する。これは、ひいては、静電場が生物学的媒体内に電場を短時間に誘起することを可能にし、自由電子に生物学的媒体内の起電力によって影響を受けさせる。
【0019】
いくつかの実装では、LIOBを選択的に提供するためのシステムは、場を生成し、生物学的媒体の一部を通して場を印加するように構成される、場発生器を含む。場発生器は、複数の電極、磁気コイル、エレクトレット、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。本システムはまた、場の印加の間に生物学的媒体の一部にレーザ光を送達するように構成される、パルスレーザ(例えば、QSレーザ)等の光源を含む。生物学的媒体への場の印加は、レーザ光に応答して、生物学的媒体中の空胞の形成を低減または減速させ得る、生物学的媒体の一部の中での自由電子の移動を誘起し得る。
【0020】
一側面では、光源および場発生器は、単一のデバイスに統合されてもよい。いくつかの実装では、場発生器は、光源に可撤式に結合されるように構成される。別の側面では、光源は、補助デバイス(例えば、場発生器)の一部である少なくとも2つの絶縁電極の間にレーザビームをパルシングする。各レーザパルスの間、高電圧(1kV~5kV)が、電極を横断して設置され、処置部位において静電場を生成する。本場に起因して、粒子LIOB事象の間に真皮の中に放出される自由電子が、レーザビーム経路から離れるように迅速に掃引され得る。自由電子の本除去は、顔料粒子のレーザアブレーションに影響を及ぼすことなく、真皮LIOBの開始を妨げることを支援する。その結果、遠隔空胞および付随の真皮損傷は、有意に低減される。
【0021】
いくつかの実装では、本システムはまた、ヘッドデバイスを含む。ヘッドデバイスは、生物学的媒体の表面に接触するように構成されてもよい。いくつかの実装では、ヘッドデバイスは、場発生器を含む、および/または光源に物理的に結合される。加えて、または代替として、ヘッドデバイスは、吸引を生物学的媒体の一部に印加するように構成される真空ヘッド、それを通して光が生物学的媒体に到達し得る窓、または両方を含んでもよい。
【0022】
(例えば、美容組織治療を提供するための)本装置のいくつかの実施形態は、場を生成し、生物学的媒体の一部を通して場を印加するように構成される、場発生器と、場の印加の間に生物学的媒体の一部にレーザ光を送達するように構成される、光源とを備える。いくつかのそのような実施形態では、場発生器は、場を生物学的媒体に印加し、生物学的媒体の一部の中での自由電子の移動を誘起するように構成され、生物学的媒体の一部へのレーザ光の送達は、組織顔料粒子の光学破壊を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、場発生器は、複数の電極を横断して場を提供するように構成される、複数の電極を備え、場は、電場を含む。いくつかのそのような実施形態では、複数の電極は、第1の電極と、第2の電極とを備え、第1の電極は、生物学的媒体に接触するように構成される、導電性表面を含み、第2の電極は、生物学的媒体に対して電気的に絶縁されるように構成される。加えて、または代替として、場発生器は、磁気コイルを備え、場は、磁場を含む。加えて、または代替として、場発生器は、エレクトレットを備え、場は、電場を含む。特定の実施形態では、エレクトレットは、透明である。
【0024】
いくつかの実施形態では、光源は、パルスレーザを含む。いくつかのそのような実施形態では、光源は、少なくとも1Hzのパルス繰り返し数および0.5J/cm2~20J/cm2のフルエンスを伴うレーザビームを送達するように構成される。他のそのような実施形態では、光源は、少なくとも1Hzのパルス繰り返し数および3.5J/cm2~9J/cm2のフルエンスを伴うレーザビームを送達するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、本装置はさらに、場発生器、光源、または両方に電気的に結合されるように構成される、電源を備える。電源は、500~500,000ボルトまたは-500~-500,000ボルトの範囲内の電圧を場発生器に提供するように構成されてもよい。他の実装では、電源は、1,200~5,000ボルトまたは-1,200~-5,000ボルトの範囲内の電圧を場発生器に提供するように構成されてもよい。加えて、または代替として、本装置はさらに、電源に結合されるように構成される、プローブを備え、プローブは、場発生器と、光源とを含む。いくつかの実施形態では、場発生器は、光源に可撤式に結合されるように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、本装置はさらに、生物学的媒体の表面に接触するように構成される、ヘッドデバイスを備える。いくつかのそのような実施形態では、ヘッドデバイスは、場発生器を含み、ヘッドデバイスは、光源に物理的に結合され、ヘッドデバイスは、それを通して光が生物学的媒体の一部に到達し得る窓を含む、またはそれらの組み合わせである。ヘッドデバイスが窓を含む実施形態では、窓は、エレクトレットを含んでもよい。加えて、または代替として、ヘッドデバイスは、真空源に接続され、生物学的媒体の一部に吸引を印加するように構成される、真空ヘッドを備え、真空ヘッドは、吸引の印加の間に光が生物学的媒体の一部に到達することを可能にするように構成される。
【0027】
(例えば、組織治療を提供するための)本装置のいくつかの実施形態は、電圧源と、複数の電極を横断して電場を提供するように構成される、複数の電極とを備え、電圧源は、電極に電気的に接続され、電極のうちの第1のものは、生物学的媒体に接触するように構成される導電性表面を備え、電極のうちの第2のものは、生物学的媒体に電流を伝導しないように構成され、複数の電極は、自由電子が生物学的媒体の一部の中で影響を受けるように、電場を生物学的媒体の一部に印加するように構成される。いくつかの実施形態では、複数の電極は、自由電子が生物学的媒体の一部の中で移動されるように、電場を生物学的媒体の一部に印加するように構成される。いくつかの実施形態では、電場は、負の電場である。いくつかの実施形態では、電極のうちの第2のものは、生物学的媒体から離間される、または第2の電極と生物学的媒体との間の電気伝導を妨げるように構成される、電気絶縁材料を含む。
【0028】
本装置のいくつかの実施形態はさらに、真空源に接続されるように構成される、真空ヘッドを備え、複数の電極は、真空ヘッド内に含有され、真空ヘッドは、吸引を生物学的媒体の一部に印加するように構成され、真空ヘッドは、吸引が印加されると、光が生物学的媒体の一部に到達することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、真空ヘッドは、それを通して光が生物学的媒体の一部に到達し得る窓を備える。いくつかの実施形態では、真空ヘッドが接続されるように構成される真空源は、中央真空システムである。いくつかの実施形態では、真空ヘッドは、使い捨てである。
【0029】
本装置のいくつかの実施形態はさらに、レーザビームを窓を通して生物学的媒体の一部に送達するように構成される、治療用レーザシステムを備え、レーザビームは、軸を有し、生物学的媒体の一部に印加される電場は、吸引が真空ヘッドによって生物学的媒体の一部に印加されるとき、レーザビームの軸に垂直である。いくつかの実施形態では、治療用レーザシステムは、パルスレーザを含む。いくつかの実施形態では、治療用レーザシステムは、レーザ光を生物学的媒体の一部に送達するように構成され、複数の電極は、治療用レーザシステムから延在し、複数の電極は、治療用レーザシステムが生物学的媒体の一部にレーザ光を送達するように位置付けられるとき、電場を提供するように構成される。
【0030】
本装置のいくつかの実施形態はさらに、磁気コイルを備え、電圧源はさらに、電力を磁気コイルに提供するように構成され、磁気コイルは、そのように給電されると、生物学的媒体の一部の中で磁場を誘起するように構成される。
【0031】
本システムのいくつかの実施形態は、電場を提供するために、電極および電圧源の代わりに、またはそれに加えて、エレクトレットを利用する。いくつかのそのような実施形態は、電場を提供するように構成される、エレクトレットを備え、エレクトレットは、自由電子が生物学的媒体の一部の中で影響を受けるように、電場を生物学的媒体の一部に印加するように構成される。いくつかの実施形態では、エレクトレットは、自由電子が生物学的媒体の一部の中で移動されるように、電場を生物学的媒体の一部に印加するように構成される。例証するために、自由電子は、例証的な非限定的実施例として、生物学的媒体の一部から除去され得る。いくつかの実施形態では、エレクトレットは、透明である。いくつかの実施形態では、エレクトレットは、生物学的媒体から離間されるように構成される、またはエレクトレットと生物学的媒体との間の電気伝導を妨げるように構成される、電気絶縁材料を含む。いくつかの実施形態では、エレクトレットは、生物学的物質に接触するように構成される。いくつかの実施形態はさらに、レーザビームを生物学的媒体の一部に送達するように構成される、治療用レーザシステムを備え、エレクトレットは、エレクトレットを通したレーザビームの伝送を可能にするように構成され、治療用レーザシステムはさらに、エレクトレットを通してレーザビームを伝送することによって、レーザビームを生物学的媒体の一部に送達するように構成される。
【0032】
本方法のいくつかの実施形態は、生物学的媒体の一部を通して電場を印加するために、電場発生システムを作動させるステップと、レーザ光を生物学的媒体の一部に送達するステップとを含む。いくつかの実施形態では、電場発生システムは、エレクトレットを含む。いくつかの実施形態では、複数の電極を横断して印加される電場は、負の電場である。いくつかの実施形態では、複数の電極を横断して印加される電場は、正の電場である。
【0033】
本方法のいくつかの実施形態は、場を生成するために、場発生器を作動させるステップと、生物学的媒体の一部を通して場を印加するステップと、場の印加の間に光源から生物学的媒体の一部にレーザ光を送達するステップとを含む。いくつかのそのような実施形態では、場を印加するステップは、生物学的媒体の一部の中で自由電子を移動させるステップを含む。加えて、または代替として、本方法はさらに、場発生器を作動させるステップに先立って、第1の場所において生物学的媒体に隣接して場発生器を位置付けるステップと、レーザ光を送達するステップに先立って、レーザ光を一部に送達するために、生物学的媒体の一部に対して光源を位置付けるステップとを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、組織顔料粒子の光学破壊を提供するステップを含む。加えて、または代替として、本方法はさらに、生物学的媒体の表面と接触するように真空ヘッドを設置するステップと、生物学的媒体の少なくとも一部を安定化させるために、負圧を真空ヘッドに印加するステップであって、生物学的媒体の少なくとも一部は、一部へのレーザ光の送達の間に安定化される、ステップとを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、レーザ光を送達した後、第2の場所において生物学的媒体に隣接して場発生器を位置付けるステップと、生物学的媒体の別の部分に対して光源を位置付けるステップと、別の場を生成するために場発生器を作動させるステップと、生物学的媒体の他の部分を通して他の場を印加するステップと、他の場の印加の間に光源から生物学的媒体の他の部分に付加的レーザ光を送達するステップとを含む。
【0036】
本方法のいくつかの実施形態は、生物学的媒体の表面と接触するように複数の電極を含有する真空ヘッドを設置するステップであって、複数の電極は、相互から離間され、電極のうちの第1のものは、生物学的媒体に接触する導電性表面を備え、電極のうちの第2のものは、生物学的媒体に電流を伝導しないように構成される、ステップと、生物学的媒体を安定化させるために、負圧を真空ヘッドに印加するステップと、複数の電極を横断して電位を印加し、生物学的媒体中に電場を生成するステップと、複数の電極の間の点において生物学的媒体にレーザ光を送達するステップとを含む。いくつかの実施形態では、電極のうちの第2のものは、生物学的媒体から離間される、または電気絶縁材料によって生物学的媒体から分離される。
【0037】
本方法のいくつかの実施形態は、電極が相互から離間されるように、生物学的媒体の表面に対して複数の電極を設置するステップであって、電極のうちの第1のものの導電性表面が、生物学的媒体に接触し、電極のうちの第2のものは、生物学的媒体に電流を伝導しないように構成される、ステップと、生物学的媒体中に電場を生成するために、複数の電極を横断して電位を印加するステップと、複数の電極の間の点において生物学的媒体にレーザ光を送達するステップとを含む。いくつかの実施形態では、電極のうちの第2のものは、生物学的媒体から離間される、または電気絶縁材料によって生物学的媒体から分離される。いくつかの実施形態では、複数の電極を横断して印加される電位は、負の電位である。いくつかの実施形態では、複数の電極を横断して印加される電位は、正の電位である。いくつかの実施形態では、複数の電極の間の空間内に送達されるレーザビームは、パルスレーザビームである。
【0038】
本明細書で使用されるように、種々の専門用語は、特定の実装を説明する目的のためだけのものであり、実装の限定であることを意図していない。例えば、本明細書で使用されるように、構造、構成要素、動作等の要素を修飾するために使用される序数用語(例えば、「第1」、「第2」、「第3」等)は、それ自体では、別の要素に対する要素のいかなる優先順位または順序も示さず、むしろ、単に、要素を(序数用語の使用がなければ)同一の名称を有する別の要素から区別する。用語「結合される」は、必ずしも直接的にではなく、そして必ずしも機械的にではないが、接続されるとして定義され、すなわち、「結合される」2つのアイテムは、相互に一体であり得る。用語「a」および「an」は、本開示が別様に明示的に要求しない限り、1つ以上のものとして定義される。用語「略」は、当業者によって理解されるように、必ずしも全体的ではないが、大部分が規定されるものとして定義される(および規定されるものを含む。例えば、略90度は、90度を含み、略平行は、平行を含む)。任意の開示される実施形態では、用語「略」、「およそ」、および「約」は、規定されるもの「の[あるパーセンテージ]以内」を用いて代用されてもよく、パーセンテージは、0.1、1、5、および10パーセントを含む。語句「および/または」は、およびまたはを意味する。例証するために、A、B、および/またはCは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含む。言い換えると、「および/または」は、包含的論理和として働く。開示される実施形態では、用語「隣接する」は、概して、パルスレーザに最近接する側上の吸収性標的に直ぐ隣接して位置するものとして定義される。
【0039】
用語「~を備える(comprise)」(および「~を備える(comprises)」および「~を備える(comprising)」等の~を備える(comprise)の任意の形態)、「~を有する(have)」(および「~を有する(has)」および「~を有する(having)」等の~を有する(have)の任意の形態)、「~を含む(include)」(および、「~を含む(includes)」および「~を含む(including)」等の~を含む(include)の任意の形態)、および「~を含有する(contain)」(および「~を含有する(contains)」および「~を含有する(containing)」等の~を含有する(contain)の任意の形態)は、非限定的連結動詞である。その結果、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」システムまたは装置は、それらの1つ以上の要素を保有するが、それらの要素のみを保有することに限定されない。同様に、1つ以上のステップを「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」方法は、それらの1つ以上のステップを保有するが、それらの1つ以上のステップのみを保有することに限定されない。
【0040】
本明細書に説明される本システム、装置、および方法のうちのいずれかは、説明されるステップ、要素、および/または特徴のうちのいずれかを備える/含む/含有する/有するのではなく、それから成ることができる、または、本質的にそれから成ることができる。したがって、請求項のうちのいずれかにおいて、用語「~から成る」または「本質的に~から成る」は、所与の請求項の範囲を非限定的連結動詞を使用して別様にあろうものから変更するために、上記に列挙される非限定的連結動詞のうちのいずれかの代用になることができる。加えて、用語「wherein」は、「where」と同義的に使用され得ることを理解されたい。
【0041】
さらに、ある仕方で構成されるデバイス、システム、または構造(例えば、装置の構成要素)は、少なくともその仕方で構成されるが、これはまた、具体的に説明されるもの以外の仕方で構成されることができる。一実施形態の特徴または複数の特徴は、本開示または実施形態の性質によって明確に禁止されない限り、説明または例証されていなくても、他の実施形態に適用されてもよい。
【0042】
実施形態と関連付けられるいくつかの詳細が、上記に説明され、その他は、下記に説明される。本開示の全ての実施形態が、説明される側面のうちの1つ以上のものを含むわけではない。本開示の他の実装、利点、側面、および特徴が、以下の節、すなわち、図面の簡単な説明、詳細な説明、および特許請求の範囲を含む、出願全体の精査後に明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
組織治療を提供するための装置であって、上記装置は、
場を生成し、生物学的媒体の一部を通して上記場を印加するように構成される場発生器と、
上記場の印加の間に上記生物学的媒体の一部にレーザ光を送達するように構成される光源と
を備える、装置。
(項目2)
上記場発生器は、上記場を上記生物学的媒体に印加し、上記生物学的媒体の一部の中での自由電子の移動を誘起するように構成され、上記生物学的媒体の一部への上記レーザ光の送達は、組織顔料粒子の光学破壊を提供する、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記場発生器は、複数の電極を備え、上記複数の電極は、上記複数の電極を横断して上記場を提供するように構成され、上記場は、電場を含む、項目1-2のいずれかに記載の装置。
(項目4)
上記複数の電極は、第1の電極と、第2の電極とを備え、上記第1の電極は、上記生物学的媒体に接触するように構成される導電性表面を含み、上記第2の電極は、上記生物学的媒体に対して電気的に絶縁されるように構成される、項目3に記載の装置。
(項目5)
上記場発生器は、磁気コイルを備え、上記場は、磁場を含む、項目1-4のいずれかに記載の装置。
(項目6)
上記場発生器は、エレクトレットを備え、上記場は、電場を含む、項目1-5のいずれかに記載の装置。
(項目7)
上記エレクトレットは、透明である、項目6に記載の装置。
(項目8)
上記光源は、パルスレーザを含む、項目1-7のいずれかに記載の装置。
(項目9)
上記光源は、少なくとも1Hzのパルス繰り返し数および0.5J/cm2~20J/cm2のフルエンスを伴うレーザビームを送達するように構成される、項目8に記載の装置。
(項目10)
上記場発生器、上記光源、または両方に電気的に結合されるように構成される電源をさらに備える、項目1-9のいずれかに記載の装置。
(項目11)
上記電源は、500~500,000ボルトまたは-500~-500,000ボルトの範囲内の電圧を上記場発生器に提供するように構成される、項目10に記載の装置。
(項目12)
上記電源に結合されるように構成されるプローブをさらに備え、上記プローブは、上記場発生器と、上記光源とを含む、項目10に記載の装置。
(項目13)
上記場発生器は、上記光源に可撤式に結合されるように構成される、項目1-12のいずれかに記載の装置。
(項目14)
上記生物学的媒体の表面に接触するように構成されるヘッドデバイスをさらに備える、項目1-13のいずれかに記載の装置。
(項目15)
上記ヘッドデバイスは、上記場発生器を含む、項目14に記載の装置。
(項目16)
上記ヘッドデバイスは、上記光源に物理的に結合される、項目14に記載の装置。
(項目17)
上記ヘッドデバイスは、真空ヘッドを備え、上記真空ヘッドは、真空源に接続され、上記生物学的媒体の一部に吸引を印加するように構成され、上記真空ヘッドは、上記吸引の印加の間に光が上記生物学的媒体の一部に到達することを可能にするように構成される、項目14に記載の装置。
(項目18)
上記ヘッドデバイスは、窓を含み、上記窓を通して光が上記生物学的媒体の一部に到達することが可能である、項目14に記載の装置。
(項目19)
上記窓は、エレクトレットを含む、項目18に記載の装置。
(項目20)
組織治療を提供するための装置であって、上記装置は、
電圧源と、
複数の電極であって、上記複数の電極は、上記複数の電極を横断して電場を提供するように構成される、複数の電極と
を備え、
上記電圧源は、上記電極に電気的に接続され、
上記電極のうちの第1のものは、生物学的媒体に接触するように構成される導電性表面を備え、上記電極のうちの第2のものは、上記生物学的媒体に電流を伝導しないように構成され、
上記複数の電極は、自由電子が上記生物学的媒体の一部の中で影響を受けるように、上記電場を上記生物学的媒体の一部に印加するように構成される、装置。
(項目21)
上記複数の電極は、自由電子が上記生物学的媒体の一部から移動されるように、上記電場を上記生物学的媒体の一部に印加するように構成される、項目20に記載の装置。
(項目22)
上記電圧源は、上記電極を横断して+1,200~5,000ボルトまたは-1,200~-5,000ボルトの電圧を提供するように構成される、項目20に記載の装置。
(項目23)
上記電源は、500~500,000ボルトまたは-500~-500,000ボルトの電圧を上記電極に提供するように構成される、項目20に記載の装置。
(項目24)
上記電場は、負の電場である、項目20に記載の装置。
(項目25)
上記電極のうちの第2のものは、上記生物学的媒体から離間されるように構成される、または、上記第2の電極と上記生物学的媒体との間の電気伝導を低減させるように構成される電気絶縁材料を含む、項目20に記載の装置。
(項目26)
真空源に接続されるように構成される真空ヘッドをさらに備え、
上記複数の電極の一部は、上記真空ヘッド内に含有され、
上記真空ヘッドは、吸引を上記生物学的媒体の一部に印加するように構成され、
上記真空ヘッドは、吸引が印加されると、光が上記生物学的媒体の一部に到達することを可能にするように構成される、項目20に記載の装置。
(項目27)
上記真空ヘッドは、窓を備え、上記窓を通して光が上記生物学的媒体の一部に到達することが可能である、項目26に記載の装置。
(項目28)
上記真空ヘッドが接続されるように構成される上記真空源は、中央真空システムである、項目26に記載の装置。
(項目29)
上記真空ヘッドは、使い捨てである、項目26に記載の装置。
(項目30)
レーザビームを上記窓を通して上記生物学的媒体の一部に送達するように構成される治療用レーザシステムをさらに備え、
上記レーザビームは、軸を有し、
上記生物学的媒体の一部に印加される上記電場は、吸引が上記真空ヘッドによって上記生物学的媒体の一部に印加されるとき、上記レーザビームの軸に垂直である、項目26-29のいずれかに記載の装置。
(項目31)
上記治療用レーザシステムは、パルスレーザを含む、項目30に記載の装置。
(項目32)
上記治療用レーザシステムは、少なくとも1Hzのパルス繰り返し数および0.5J/cm2~20J/cm2のフルエンスを伴うパルスレーザビームを送達するように構成される、項目31に記載の装置。
(項目33)
上記治療用レーザシステムは、レーザ光を上記生物学的媒体の一部に送達するように構成され、
上記複数の電極は、上記治療用レーザシステムから延在し、
上記複数の電極は、上記治療用レーザシステムが上記生物学的媒体の一部に上記レーザ光を送達するように位置付けられるとき、上記電場を提供するように構成される、項目30に記載の装置。
(項目34)
磁気コイルをさらに備え、
上記電圧源はさらに、電力を上記磁気コイルに提供するように構成され、
上記磁気コイルは、そのように給電されると、上記生物学的媒体の一部の中で磁場を誘起するように構成される、項目20に記載の装置。
(項目35)
組織治療を提供するための装置であって、
電場を提供するように構成されるエレクトレットを備え、
上記エレクトレットはさらに、上記エレクトレットが生物学的媒体中に電場を誘起するように、上記生物学的媒体に対して位置付けられるように構成され、
上記エレクトレットは、自由電子が生物学的媒体の一部の中で影響を受けるように、上記電場を上記生物学的媒体の一部に印加するように構成される、装置。
(項目36)
上記エレクトレットは、自由電子が生物学的媒体の一部の中で移動されるように、上記電場を上記生物学的媒体の一部に印加するように構成される、項目35に記載の装置。
(項目37)
上記エレクトレットは、透明である、項目35に記載の装置。
(項目38)
上記エレクトレットは、上記生物学的媒体から離間されるように構成される、または、上記エレクトレットと上記生物学的媒体との間の電気伝導を低減させるように構成される電気絶縁材料を含む、項目35-37のいずれかに記載の装置。
(項目39)
上記エレクトレットは、上記生物学的媒体に接触するように構成される、項目35-37のいずれかに記載の装置。
(項目40)
レーザビームを上記生物学的媒体の一部に送達するように構成される治療用レーザシステムをさらに備え、
上記エレクトレットは、上記エレクトレットを通した上記レーザビームの伝送を可能にするように構成され、
上記治療用レーザシステムはさらに、上記エレクトレットを通して上記レーザビームを伝送することによって、上記レーザビームを上記生物学的媒体の一部に送達するように構成される、項目35-37のいずれかに記載の装置。
(項目41)
上記治療用レーザシステムは、少なくとも1Hzのパルス繰り返し数および0.5J/cm2~20J/cm2のフルエンスを伴う上記レーザビームを送達するように構成される、項目40に記載の装置。
(項目42)
方法であって、
生物学的媒体の一部を通して電場を印加するために、電場発生システムを作動させることと、
レーザ光を上記生物学的媒体の一部に送達することと
を含む、方法。
(項目43)
上記電場発生システムは、エレクトレットを含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記複数の電極を横断して印加される上記電場は、負の電場である、項目42に記載の方法。
(項目45)
上記複数の電極を横断して印加される上記電場は、正の電場である、項目42に記載の方法。
(項目46)
方法であって、
場を生成するために、場発生器を作動させることと、
生物学的媒体の一部を通して上記場を印加することと、
上記場の印加の間に光源から上記生物学的媒体の一部にレーザ光を送達することと
を含む、方法。
(項目47)
上記場発生器を作動させることに先立って、第1の場所において上記生物学的媒体に隣接して上記場発生器を位置付けることと、
上記レーザ光を送達することに先立って、上記レーザ光を上記一部に送達するために、上記生物学的媒体の一部に対して上記光源を位置付けることと
をさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記場を印加することは、上記生物学的媒体の一部の中で自由電子を移動させることを含む、項目46-47のいずれかに記載の方法。
(項目49)
組織顔料粒子の光学破壊を提供することをさらに含む、項目46-48のいずれかに記載の方法。
(項目50)
上記生物学的媒体の表面と接触するように真空ヘッドを設置することと、
上記生物学的媒体の少なくとも一部を安定化させるために、負圧を上記真空ヘッドに印加することであって、上記生物学的媒体の少なくとも一部は、上記一部への上記レーザ光の送達の間に安定化される、ことと
をさらに含む、項目46-49のいずれかに記載の方法。
(項目51)
上記レーザ光を送達した後、
第2の場所において上記生物学的媒体に隣接して上記場発生器を位置付けることと、
上記生物学的媒体の別の部分に対して上記光源を位置付けることと、
別の場を生成するために上記場発生器を作動させることと、
上記生物学的媒体の他の部分を通して上記他の場を印加することと、
上記他の場の印加の間に上記光源から上記生物学的媒体の他の部分に付加的レーザ光を送達することと
をさらに含む、項目46-50のいずれかに記載の方法。
(項目52)
方法であって、
生物学的媒体の表面と接触するように複数の電極を含有する真空ヘッドを設置することであって、上記複数の電極は、相互から離間され、上記電極のうちの第1のものは、上記生物学的媒体に接触する導電性表面を備え、上記電極のうちの第2のものは、上記生物学的媒体に電流を伝導しないように構成される、ことと、
上記生物学的媒体を安定化させるために、負圧を上記真空ヘッドに印加することと、
上記生物学的媒体中に電場を生成するために、上記複数の電極を横断して電位を印加することと、
上記複数の電極の間の点において上記生物学的媒体にレーザ光を送達することと
を含む、方法。
(項目53)
上記電極のうちの第2のものは、上記生物学的媒体から離間される、または、電気絶縁材料によって上記生物学的媒体から分離される、項目52に記載の方法。
(項目54)
方法であって、
電極が相互から離間されるように、生物学的媒体の表面に対して複数の電極を設置することであって、上記電極のうちの第1のものの導電性表面が、上記生物学的媒体に接触し、上記電極のうちの第2のものは、上記生物学的媒体に電流を伝導しないように構成される、ことと、
上記生物学的媒体中に電場を生成するために、上記複数の電極を横断して電位を印加することと、
上記複数の電極の間の点において上記生物学的媒体にレーザ光を送達することと
を含む、方法。
(項目55)
上記電極のうちの第2のものは、上記生物学的媒体から離間される、または、電気絶縁材料によって上記生物学的媒体から分離される、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記複数の電極を横断して印加される上記電位は、負の電位である、項目52-55のいずれかに記載の方法。
(項目57)
上記複数の電極を横断して印加される上記電位は、正の電位である、項目52または54のいずれかに記載の方法。
(項目58)
上記複数の電極の間の空間内に送達される上記レーザビームは、パルスレーザビームである、項目52または54のいずれかに記載の方法。
(項目59)
上記パルスレーザビームは、少なくとも1Hzのパルス繰り返し数および3.5J/cm2~9J/cm2のフルエンスを有する、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記パルスレーザビームは、少なくとも1Hzのパルス繰り返し数および0.5J/cm2~20J/cm2のフルエンスを有する、項目58に記載の方法。
(項目61)
上記パルスレーザビームは、活性電極の1cm以内に送達される、項目59-60のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下の図面は、限定ではなく、実施例として図示される。簡潔化および明確化のために、所与の構造の全ての特徴が、その構造が出現する全ての図において必ずしも標識化されるわけではない。同じ参照番号は、必ずしも同じ構造を示すわけではない。むしろ、同一の参照番号は、同じではない参照番号であり得るような類似する特徴または類似する機能性を伴う特徴を示すために使用され得る。図は、(別様に留意されない限り)縮尺通りに描かれ、描写される要素のサイズが、少なくとも図に描写される実施形態に関して相互に対して正確であることを意味する。
【0044】
【
図1A】
図1Aおよび1Bは、粒子空胞および遠隔空胞を実証する、レーザ処置された入墨入り真皮の組織学的画像を描写する。
【
図1B】
図1Aおよび1Bは、粒子空胞および遠隔空胞を実証する、レーザ処置された入墨入り真皮の組織学的画像を描写する。
【0045】
【
図1C】
図1Cは、入墨のナノ秒レーザ処置からの表皮および真皮空胞形成からの白色化の写真である。
【0046】
【
図2】
図2は、生物学的媒体の一部を処置するためのシステムの実施例のブロック図を描写する。
【0047】
【
図3】
図3は、複数の電極を含み、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するように構成される、装置の実施例のブロック図を描写する。
【0048】
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するための装置の真空ヘッドの第1の実施例の(それぞれ)分解等角図および等角図を描写する。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するための装置の真空ヘッドの第1の実施例の(それぞれ)分解等角図および等角図を描写する。
【0049】
【
図4C】
図4Cは、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するための装置の真空ヘッドの第2の実施例の写真である。
【0050】
【
図5】
図5は、磁気コイルを含み、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するように構成される、装置の実施例のブロック図を描写する。
【0051】
【
図6A】
図6Aは、複数の電極と、レーザ先端とを含み、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するように構成される、装置の第1の実施例の等角図を描写する。
【0052】
【
図6B】
図6Bは、複数の電極と、レーザ先端とを含み、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するように構成される、装置の第2の実施例の等角図を描写する。
【0053】
【
図7】
図7は、エレクトレットを含み、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するように構成される、装置の実施例のブロック図を描写する。
【0054】
【
図8】
図8は、複数の絶縁電極を含み、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するように構成される、装置の実施例の写真である。
【0055】
【
図9】
図9は、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するための方法の例証的実施例のフローチャートである。
【0056】
【
図10】
図10は、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するための真空ヘッドを使用するための方法の例証的実施例のフローチャートである。
【0057】
【
図11】
図11は、レーザベースの治療において電場を使用することに関する実験データを描写する、グラフである。
【0058】
【
図12】
図12は、いかなる空胞も形成されないことを実証する、レーザ処置された入墨なし真皮の組織学的画像を描写する。
【0059】
【
図13】
図13Aおよび13Bは、「レーザのみ」で処置された入墨入り真皮の組織学的画像を描写する。
【0060】
【
図14】
図14Aおよび14Bは、「レーザ+EF(+)」で処置された入墨入り真皮の組織学的画像を描写する。
【0061】
【
図15】
図15Aおよび15Bは、「レーザ+EF(-)」で処置された入墨入り真皮の組織学的画像を描写する。
【0062】
【
図16】
図16Aおよび16Bは、「レーザ+EF(-)」処置で処置された2日後の入墨部位の組織学的画像を描写する。
【0063】
【
図17】
図17は、レーザ誘起真皮空胞形成と真皮傷害との間の関係に関する実験データを描写する、グラフである。
【0064】
【
図18】
図18Aおよび18Bは、レーザのみで処置された入墨部位に関する真皮空胞形成および真皮傷害を示す、組織学的画像を描写する。
【0065】
【
図19】
図19Aおよび19Bは、EFEレーザ処置された入墨部位に関する真皮空胞形成および真皮傷害を示す、組織学的画像を描写する。
【0066】
【
図20】
図20は、レーザ誘起真皮空胞形成と入墨退色との間の関係に関する実験データを描写する、グラフである。
【0067】
【
図21】
図21は、EFEレーザでの処置およびレーザのみでの処置に続く真皮空胞カウントに関する実験データを描写する、散布プロットである。
【0068】
【
図22】
図22は、EFEレーザでの処置およびレーザのみでの処置に続く真皮傷害スコアに関する実験データを描写する、散布プロットである。
【0069】
【
図23A】
図23Aは、EFEレーザおよびレーザのみで処置された入墨部位の間の8週間における入墨退色のパーセンテージに関する実験データを描写する、グラフである。
【0070】
【
図23B】
図23Bおよび23Cは、EFEレーザで処置された、およびレーザのみで処置された代表的入墨部位に関する結果の実施例の写真である。
【
図23C】
図23Bおよび23Cは、EFEレーザで処置された、およびレーザのみで処置された代表的入墨部位に関する結果の実施例の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図2を参照すると、レーザ誘起光学破壊(LIOB)を選択的に提供するためのシステムの実施例が、描写される。例えば、本システムは、生物学的媒体204(例えば、皮膚および/または組織)中の標的206(例えば、吸収性標的)等の伝導性生物学的媒体中に選択的LIOBを提供するように構成されてもよい。いくつかの実装では、生物学的媒体204の一部(例えば、標的206)は、入墨顔料凝集体を含む。例えば、LIOBは、入墨除去と関連付けられる美容治療等の組織治療の一部として使用されてもよい。
【0072】
システムは、光源208と、場発生器212とを含む。光源208は、治療用光224を生成し、光224(例えば、治療用光)の少なくとも一部を生物学的媒体204に送達するように構成される。例証するために、例証的な非限定的実施例として、光源208は、生物学的媒体204の標的206にレーザ光を送達するように構成される、治療用レーザシステムを含む。光源208は、Qスイッチ(QS)レーザ等のパルスレーザを含んでもよい。例えば、いくつかの実装では、光源208は、ナノ秒1064nm QスイッチNd:YAGレーザまたはピコ秒レーザ等の短パルス高フルエンスレーザを含むことができる。例証するために、光源208は、例証的な非限定的実施例として、少なくとも1ヘルツ(Hz)のパルス繰り返し数および3.5J/cm2~9J/cm2のフルエンスを伴う光224(例えば、レーザビーム)を送達するように構成されてもよい。他の実装では、パルス繰り返し数は、1Hzを上回ってもよい、または、下回ってもよい。例えば、パルス繰り返し数は、1~10Hzの範囲内であってもよい、または10Hzを上回ってもよい。加えて、または代替として、フルエンスは、3.5J/cm2を下回ってもよい、または、9J/cm2を上回ってもよい。特定の実装では、フルエンスは、0.5J/cm2~20J/cm2の範囲内であってもよい。
【0073】
場発生器212は、生物学的媒体204に印加される、静電場等の場228を生成するように構成される。いくつかの実装では、場228は、電場、磁場、または両方を含む。生物学的媒体204に印加される場228は、自由電子(例えば、232)が標的206から退く、または別様にそれから離れるように迂回するように、標的206内の代表的自由電子232等の自由電子に影響を受けさせ得る。例証するために、場228の印加は、光224を受光するように標的化される生物学的媒体204の一部(入墨顔料凝集体を含む)から離れるように自由電子(例えば、232)を跳ね返し得る。場発生器212は、光源208(例えば、治療用レーザシステム)が標的206に光224を送達するように位置付けられると、場228を提供するように構成されてもよい。例えば、場発生器212は、生物学的媒体204への光224の印加に先立って、その間に、および/またはそれに続けて、生物学的媒体204に場228を印加するように構成されてもよい。いくつかの実装では、場228の強度は、さらなる強度の周期が光224の送達の間に印加されるように変動される。
【0074】
場発生器212は、複数の電極、磁気コイル、エレクトレット、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、場発生器212は、少なくとも
図2、3、4A-4Cを参照して説明されるように、複数の電極を横断して場を提供するように構成される、複数の電極を含んでもよい。別の実施例として、場発生器212は、少なくとも
図5を参照して説明されるように、磁気コイルを含んでもよい。別の実施例として、場発生器212は、少なくとも
図7を参照して説明されるように、エレクトレットを含んでもよい。
【0075】
図2のシステムの動作の間、治療用処置が、生物学的媒体204に実施される。例えば、治療用処置は、入墨除去処置等の美容処置を含んでもよく、レーザアブレーションが、少なくとも部分的に、標的206中に含まれる入墨顔料を除去するために実施される。
【0076】
場発生器212は、生物学的媒体204に隣接して(例えば、隣り合って)位置付けられる。例えば、場発生器212は、標的206またはその近傍の一部等の生物学的媒体204の少なくとも一部と接触するように位置付けられてもよい。光源208は、光224(例えば、レーザ光)を標的206に送達するように位置付けられる。
【0077】
場発生システム等の場発生器212は、生物学的媒体204の標的206を通して場228を印加するためにアクティブ化される。例えば、場発生器212を含む場発生器システムは、オンにされ得、場発生器は、場発生器212に供給される電力に応答して、場228を生成し得る。
【0078】
標的206への場228の印加の間、光源208は、光224を生成し、その一部が、標的206に提供される。光224の一部は、(標的206中に含まれる)顔料凝集体の表面においてLIOB事象を引き起こし得る。LIOB事象は、標的206へのアブレーション損傷につながり、光源208に最近接する側上の顔料凝集体に直ぐ隣接して位置する粒子空胞(例えば、100)の形成につながり得る。
【0079】
標的206への光224の送達に先立つ、および/またはその間の場228の印加は、生物学的媒体204の少なくとも一部(すなわち、標的206)の中の自由電子に影響を及ぼす。例えば、自由電子(例えば、232)は、場228に応答して、標的206から移動される、除去される、掃引される、または別様にそれから離れるように迂回させられ得る。場228に起因して、生物学的媒体204の中に放出された自由電子(例えば、232)は、光224の光路から離れるように移動される。例証するために、粒子LIOB事象の間に生物学的媒体204の真皮の中に放出された自由電子(例えば、232)は、場228に基づいて、(光源208の)レーザビーム経路から離れるように掃引される。自由電子(例えば、232)の本除去は、顔料粒子のレーザアブレーションに悪影響を及ぼすことなく、真皮LIOBの開始を妨げることを支援する。その結果、遠隔空胞および付随の真皮損傷は、生物学的媒体の標的領域への場を利用(または印加)しない従来のレーザ処置と比較して、有意に低減される。
【0080】
いくつかの実装では、本システムは、随意に、ヘッドデバイス236を含む。ヘッドデバイス236は、(例えば、皮膚を安定化させる、皮膚を位置付ける、および/または配向することによって)光源208を位置付けることに役立てるために、生物学的媒体204に接触するように構成されてもよい。例えば、ヘッドデバイス236は、表面が標的206に印加される光224の縦方向軸に直角(例えば、垂直)であるように、標的206を含む生物学的媒体204の表面に隣接して、またはそれと接触するように位置付けられてもよい。ヘッドデバイス236は、
図4A-4Cを参照して説明されるように、生物学的媒体204の一部に吸引を印加するように構成される、真空ヘッドを含んでもよい。そのような実装では、ヘッドデバイス236は、吸引システムに結合されてもよい。加えて、または代替として、ヘッドデバイス236は、それを通して光224が標的206に到達し得る窓406を含んでもよい。ヘッドデバイス236は、場発生器212、光源208、または両方に結合されてもよい、または、それと統合されてもよい。例えば、場発生器212は、少なくとも
図4Aおよび4Bを参照して説明されるように、ヘッドデバイス236の一部に組み込まれてもよい。
【0081】
いくつかの実装では、本システムは、電圧源等の電源(図示せず)を含んでもよい。電源は、光源208、場発生器212、ヘッドデバイス236、またはそれらの組み合わせに結合されてもよい。例証するために、電源は、光224の生成のために電力を光源208に提供するように構成されてもよい。加えて、または代替として、電源は、高電圧および低電流等の電力を場発生器212に提供し、場発生器212が場228(例えば、静電場)を生成することを可能にするように構成されてもよい。例証するために、電圧源は、例証的な非限定的実施例として、+1,200~+5,000ボルトまたは-1,200~-5,000ボルトの電圧を場発生器に提供するように構成されてもよい。加えて、または代替として、電源は、電力をヘッドデバイス236に提供し、ヘッドデバイス236の1つ以上の真空構成要素の動作を可能にしてもよい。
【0082】
いくつかの実装では、場発生器212および光源208は、
図6Aおよび6Bを参照して説明されるように、プローブ等の単一のデバイスに組み込まれる。例えば、単一のデバイスは、「場強化レーザ」または「電場強化レーザ」(「EFEレーザ」)と称され得る。場強化レーザは、生物学的媒体204中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するように構成される。例証するために、場強化レーザは、例証的な非限定的実施例として、処置部位(例えば、標的206)に高電圧静電場等の場を提供するために、QSレーザおよび場発生器212を含んでもよい。他の実装では、場発生器212は、光源208に可撤式に結合されるように構成される。例えば、場発生器212は、治療用処置(例えば、美容処置)の間、光224の送達に先立って、およびその間に光源208に結合されてもよい。治療用処置後、場発生器212は、光源208から結合解除されてもよい。
【0083】
したがって、
図2のシステムは、有利なこととして、パルスレーザが場(例えば、静電場)の印加を伴わずに印加される従来の技法と比較して、低減および/または限定された遠隔空胞形成を提供する。例えば、場228は、光224のレーザ経路からの自由電子(例えば、232)の迂回を引き起こし、遠隔空胞(例えば、102)と関連付けられるLIOBを開始し、光224の遮蔽を引き起こし得る、生物学的媒体204中の臨界密度の自由電子の蓄積を低減させ得る。故に、吸収性標的に対するレーザ有効性は、いかなる場も印加されないときの従来の技法と比較して、場が印加されるときに上回る。場の印加は、遠隔空胞形成を低減および/または限定するため、同一の処置面積にわたるレーザ処置は、白色化された入墨面積に迅速に連続して、かつ効果的に、および/または周辺細胞構造に悪影響を及ぼすことなく実施され得る。加えて、処置セッションの間のレーザフルエンスは、低減または限定される必要はなく、これは、従来の技法と比較して、さらなる所望の治療効果が単一の処置セッションの間に実現されることを可能にする。従来の技法と比較してより効果的な処置セッションを有することによって、患者は、より少ない合計数の処置を受ける必要性があり、それによって、より少ない不快感およびより短い処置持続時間を被る。
【0084】
図3を参照すると、生物学的媒体204(例えば、皮膚)中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供するための装置の実施例の例証的ブロック図が、示される。本実施例では、本装置またはシステムは、電圧源300と、複数の外部電極302とを備え、電極は、生物学的媒体と接触する、または別様にそれに物理的に結合されるとき、生物学的媒体204に対して非伝導性であるように構成される。例えば、電極の少なくとも一部(例えば、最大で全て)は、ポリマー等の電気絶縁体を用いて被覆されることができる。いくつかの実施形態では、電圧源300は、(例えば、電力要件を比較的に低く保つために低電流を伴う)電圧電位を提供する。電圧源300は、-/+10V(ボルト)、50V、100V、200V、250V、500V、750V、1,000V、2,000V、3,000V、4,000V、5,000V、6,000V、7,000V、8,000V、9,000V、または10,000Vのうちのいずれか1つに等しい、またはそのうちのいずれか2つの間の電圧を電極302を横断して提供してもよい。特定の実装では、電圧源300は、例証的な非限定的実施例として、+1,200~+5,000ボルトまたは-1,200~-5,000ボルトの電圧を場発生器に提供するように構成されてもよい。別の特定の実装では、電圧源300は、500~500,000ボルトまたは-500~-500,000ボルトの電圧を場発生器に提供するように構成されてもよい。
【0085】
いくつかの実装では、電位が、電極302を横断して印加され、「正」の電極の少なくとも一部が、生物学的媒体204と接触し、これは、電極の間に生成される相対的な負の電場をもたらす。パルスレーザ(例えば、208)が生物学的媒体204中の吸収性標的206に使用される事例では、本極性場は、吸収性標的LIOB事象から生物学的媒体204の中に放出された自由電子を、負の電極からの反発作用によってパルスレーザ源208のパルス経路から除去させる。レーザ経路からの自由電子の本除去は、LIOBを開始し得る、生物学的媒体204中の臨界密度の自由電子の蓄積を低減させる。吸収性標的206とのレーザ相互作用は、大量の自由電子の源であるため、十分な密度が、電場掃引を伴っても、吸収性標的206の表面におけるLIOB事象を可能にするために存在する。
【0086】
他の実装では、電位が、電極302を横断して印加され、「負」の電極の少なくとも一部が、生物学的媒体204と接触し、これは、電極の間に生成される相対的な正の電場をもたらす。パルスレーザ源208(例えば、レーザ)が生物学的媒体204中の吸収性標的206に使用される事例では、本極性場は、吸収性標的LIOB事象から生物学的媒体204の中に放出された自由電子を、正の電極に向かう引力によってレーザパルス経路内に集中および通電させることができる。レーザ経路内の通電された自由電子の本集中は、生物学的媒体204中に臨界密度の自由電子を構築することを支援することができる。その結果、LIOBが、高レーザフルエンスを使用することなく生物学的媒体204中に生産されることができる。
【0087】
図4および4Bは、伝導性生物学的媒体(例えば、204)中に選択的レーザ誘起光学破壊を提供するための本デバイスの実施例の断面斜視図を描写する。本実施形態では、本装置は、生物学的媒体中の吸収性標的にLIOBを選択的に提供することを補助するように構成される、真空ヘッド400を備える。真空ヘッド400は、
図2のヘッドデバイス236を含む、またはそれに対応してもよい。
【0088】
示されるように、真空ヘッド400は、
図2-3に描写される構成要素と併用されるように構成され、そのうちのいくつかは、真空ヘッド内に配置される。例えば、
図4Aを参照すると、真空ヘッド400は、示されるように、使用時、電圧源300に電気的に接続される電極302を保持する、筐体402を含む。真空ヘッド400の遠位(または
図4A-4Bの配向において下側)端は、電極302が生物学的媒体204の外面と電気接触しないが、それの近傍にあるように、生物学的媒体204(例えば、皮膚)に対して押圧されるように構成される。例えば、真空ヘッド400の筐体は、ポリマーまたは導電性ではない他の材料を含むことができ、その中に少なくとも「シンク」電極が、配置される。そのような実施形態では、シンク電極は、非伝導性材料によって被覆される、または使用時に皮膚に接触するように構成される筐体の表面から内向きに単純に離間されることができる一方、基準電極は、基準電極が使用時に皮膚に接触するであろうように、接触面上に配置される、またはそれと整合されることができる。
【0089】
上記に説明されるように、電圧源300は、電極302を横断して負の電位を提供してもよい。いくつかの実施形態では、真空ヘッド400は、複数の電極302によって生成される電場404(例えば、228)がレーザビームの軸に垂直であるように、生物学的媒体204(例えば、患者の皮膚)を真空ヘッド400の中に引動する。示されるように、真空ヘッド400の筐体は、1つ以上の内部チャネル412および1つ以上の開口部(例えば、環状開口部414)を画定し、それを通して真空が、吸引を皮膚または他の生物学的媒体に印加するために(例えば、連続的に、または処置面積の周の周囲の複数の点において)連通される。本開示で使用されるように、用語「真空」は、物質の完全な不在ではなく、周囲大気圧よりも低い圧力を指す。
【0090】
図4Aおよび4Bに示される実施例では、真空ヘッド400はまた、電極302の間の真空ヘッドを通したレーザパルスの伝送を可能にする窓406(例えば、透明窓)を備える、(例えば、皮膚から熱エネルギーを引き込む熱シンクを提供することによって)皮膚または他の生物学的媒体の冷却を補助する、および/または(例えば、真空または吸引が皮膚に印加され得る封入された空間を生成することによって)皮膚または他の生物学的媒体の安定化を補助する。いくつかの実施形態では、窓406は、例えば、生物学的媒体(例えば、皮膚)と接触するように設置されることに先立って冷却され得る、サファイア材料を含むことができる。いくつかの実装では、窓406は、場(例えば、228)を生成するように構成される、エレクトレットを含んでもよい。
【0091】
図4Aおよび4Bに示される実施例では、真空ヘッド400はまた、筐体に結合され、皮膚または他の生物学的媒体の温度を監視するように配向される温度計410(例えば、赤外線または他の非接触温度計)と、筐体に結合され、照射し、それによって、標的処置面積を視認することを補助するように配向される光源(図示せず)(例えば、発光ダイオード(LED)または他の光源)とを備える。他の実施形態は、被覆されていない隙間または開口部を優先して窓406を省略してもよい、温度計410を省略してもよい、および/または、光源(例えば、LED)を省略してもよい。
【0092】
図4Cは、本真空ヘッドの別の実施例の写真を描写する。
図4Cに描写される実施例では、電極202は、生物学的媒体204と真空ヘッド400との間に位置付けられる。示されるように、
図4Cの真空ヘッド400は、窓406と接触するように生物学的媒体204の一部を引動することによって、生物学的媒体204の区分を隔離することを補助する。これは、生物学的媒体204の一部を安定化させ、電極302によって生成される電場が、生物学的媒体204中の吸収性標的206を処置するために使用されているレーザビームの軸に垂直であることを可能にする。
図3Cに示されるように、真空ヘッド400の筐体は、それを通して真空源が内部チャネル412に接続され、処置面積に連通され得る外部接続416を含む。
【0093】
図5は、生物学的媒体204中の吸収性標的206にLIOBを選択的に提供するためのデバイスの別の実施形態を描写する。
図5のデバイスは、電圧源300aと、少なくとも2つの外部絶縁電極302と、磁気コイル500とを含む。電圧源300に関して上記に説明されるように、電圧源300aは、使用時、電極302を横断して負の電位を提供することができる。
図5に示される実施例では、電圧源300aは、電圧源300と類似するが、また、電力を磁気コイル500に提供し、磁場を誘起するように構成される。電極302および磁気コイル500を横断して印加される負の電位は、負の電場および磁場の両方を生成する。これらの場は、吸収性標的LIOB事象から生物学的媒体204の中に放出された自由電子を、レーザパルス経路から除去させる。いくつかの実施形態では、レーザ経路からの自由電子の除去は、吸収性標的206の部位における所望のLIOB事象を完全には排除することなく、生物学的媒体204中のLIOBの形成を低減させる。他の実装では、電極302は、省略されてもよい。
【0094】
図6Aおよび6Bを参照すると、本システムおよびデバイス内に含まれる、またはそれと併用され得るパルスレーザ源208の実施例が、示される。例えば、
図6Aおよび6Bのパルスレーザ源208は、生物学的媒体(例えば、204)中の吸収性標的(例えば、206)にLIOBを選択的に提供するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、電極302は、レーザ光が皮膚(例えば、生物学的媒体204)に印加されるとき、電極がレーザが皮膚に送達される点の周囲の点において皮膚と接触して設置され得るように、レーザヘッド600に結合され、それから延在する。上記に説明されるように、電圧源300(または300a)は、-/+10V(ボルト)、50V、100V、200V、250V、500V、750V、1,000V、2,000V、3,000V、4,000V、5,000V、6,000V、7,000V、8,000V、9,000V、または10,000Vのうちのいずれか1つに等しい、またはそのうちのいずれか2つの間の電位を電極を横断して提供する。レーザヘッド600が、レーザパルスを実際に提供することに先立って皮膚にレーザ光を送達するように整合されると、電場が、最初に、電極302を介して確立される。いくつかの実施形態では、電極302は、レーザ経路からの自由電子の除去を引き起こす負の電場を確立し、それによって、吸収性標的206の部位におけるLIOB事象を完全には排除することなく、生物学的媒体204中のLIOBの形成を最小限にする。
【0095】
図6Bを参照すると、ヘッドデバイス236(破線を用いて描写される)が、パルスレーザ源208の端部に結合される。ヘッドデバイス236は、
図4A-4Cを参照して説明されるような真空ヘッド400を含む、またはそれに対応してもよい。例えば、ヘッドデバイス236は、それを介してパルスレーザ源208からのレーザパルス(例えば、224)が進行し得る窓606(例えば、406)を含んでもよい。
【0096】
図6Aまたは6Bのデバイスの動作の間、レーザヘッド600(少なくとも2つの非伝導性電極(例えば、302)を含有する)は、生物学的不透明媒体(例えば、204)の外面に対して設置される。例えば、レーザヘッド600は、電極302が外面と接触するように外面に対して設置されてもよい。レーザヘッド600の設置後、負の電位が、電圧源300(または300a)等の電圧源から電極を横断して印加され、パルスレーザビームが、電極の間の空間内に伝搬させられる。例証するために、光源208からの光224等のパルスレーザビームは、標的206に提供される一方、電極302によって生成される場が、標的206(例えば、生物学的媒体204)に印加される。
【0097】
図7は、レーザを用いて処置される部位に電場を提供するように構成される少なくとも1つのエレクトレット700を備える、生物学的媒体204中の吸収性標的206にLIOBを選択的に提供するための光源208(例えば、治療用レーザ)と併用されるデバイスの別の実施例を描写する。いくつかの実装では、エレクトレット700は、透明であり、エレクトレット700自体を通したレーザパルスの伝送を可能にする。エレクトレット700は、種々の形態の二酸化ケイ素(例えば、石英等)または種々の合成ポリマー(例えば、フルオロポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート等)を含む、電場を保持する任意の材料を含むことができる。
【0098】
図8は、外部絶縁電極302aの実施例800を描写する。本実施形態では、絶縁電極302aは、それぞれ、外側絶縁層801と、内側伝導性層802と、電極が電圧源に接続される接続点804とを備える。上記に説明されるように、「シンク」電極として使用される、または使用されることが意図される電極302aのうちの一方は、非伝導性層を用いて完全に被覆されてもよい一方、「基準」電極として使用されることが意図される電極のうちの他方は、使用の間に患者の皮膚に接触するように暴露される導電性表面の少なくとも一部を有するであろう。いくつかの実施形態では、内側伝導性層802は、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、鉄、鋼、黄銅、ブロンズ、合金、および/または同等物等の伝導性材料から作製される伝導性箔を含む。外側絶縁層801は、絶縁プラスチックから構築される電気絶縁フィルムを含むことができる。示されるように、内側伝導性層802は、2つの外側絶縁層801の間に挟まれることができ、そのうちの一方または両方は、生物学的媒体204に取り付けられるように構成される接着面を有する。示される実施形態では、内側伝導性層802は、1/4インチ×0.0025インチの寸法を有し、銅箔から構築され、厚さ0.001インチのKapton(R)テープの2つのストリップの間に挟まれる。
【0099】
図9および10を参照すると、生物学的媒体204中の吸収性標的206にLIOBを選択的に提供するための方法が、示される。例えば、
図9-10の方法は、
図2、3、4A-4C、5、6A-6B、および7を参照して本明細書に説明される装置および/またはシステムによって実装されてもよい。
【0100】
図9を参照すると、方法900は、902において、生物学的媒体204の外面上に、ある空間だけ分離される複数の電極を設置するステップを含む。生物学的媒体は、少なくとも
図3を参照して本明細書に説明されるように、生物学的媒体204を含む、またはそれに対応してもよい。複数の電極は、場発生器212、電極302(または302a)を含む、またはそれに対応してもよい。
【0101】
方法900はまた、904において、電圧源から電極に少なくとも10ボルトの電位を印加するステップを含む。例えば、電圧源は、電圧源300(または300a)を含む、またはそれに対応してもよい。
【0102】
方法900はさらに、906において、パルスレーザビームを電極の間の空間内に伝搬させるステップであって、パルスレーザは、生物学的媒体内の吸収性標的を標的としている、ステップを含む。例えば、パルスレーザビームは、光源208(例えば、パルスレーザ)によって生成される光224を含んでもよい、または、それに対応してもよい。生物学的媒体内の吸収性標的は、生物学的媒体204内の標的206を含んでもよい、または、それに対応してもよい。
【0103】
方法900のいくつかの実装では、負の電位が、電極を横断して印加され、それによって、負の電場を生成する。そのような実装では、負の電場は、吸収性標的LIOB事象から媒体の中に放出された自由電子をレーザパルス経路から除去させる。故に、
図9の方法900は、レーザ経路からの自由電子の除去を可能にし、吸収性標的の部位におけるLIOB事象を完全には排除することなく、生物学的媒体中のLIOBの形成を阻止する。いくつかの実施形態では、電極を横断して印加される電位は、-/+10V(ボルト)、50V、100V、200V、250V、500V、750V、1,000V、2,000V、3,000V、4,000V、5,000V、6,000V、7,000V、8,000V、9,000V、または10,000Vのうちのいずれか1つに等しい、またはそのうちのいずれか2つの間である。
【0104】
図10を参照すると、方法1000は、1002において、少なくとも2つの非伝導性電極を含有する真空ヘッドを生物学的不透明媒体の外面に設置するステップであって、複数の電極は、各電極の間に空間を有する、ステップを含む。例えば、真空ヘッドは、ヘッドデバイス236または真空ヘッド400を含む、またはそれに対応してもよい。生物学的媒体は、少なくとも
図2を参照して本明細書に説明されるように、生物学的媒体204を含む、またはそれに対応してもよい。複数の電極は、場発生器212、電極302(または302a)を含む、またはそれに対応してもよい。
【0105】
方法1000はまた、1004において、負圧を真空ヘッドに印加し、電極を生物学的媒体の表面に接触させるステップと、1006において、電圧源から電極を横断して電位を印加するステップとを含む。例えば、電圧源は、電圧源300(または300a)を含む、またはそれに対応してもよい。
【0106】
方法1000はさらに、1006において、パルスレーザビームを電極の間の空間内に伝搬させるステップであって、パルスレーザは、生物学的媒体内の吸収性標的を標的としている、ステップを含む。例えば、パルスレーザビームは、光源208(例えば、パルスレーザ)によって生成される光224を含む、またはそれに対応してもよい。生物学的媒体内の吸収性標的は、生物学的媒体204内の標的206を含む、またはそれに対応してもよい。
【0107】
(第1の実験結果)
実験が、本開示のいくつかの実施形態を使用して、レーザ皮膚処置における選択的LIOBの効果を観察するために、ゲッティンゲンミニブタ上で実行された。研究が、処置された組織において電場を生成する間、レーザ処置の結果としての真皮内空胞によって引き起こされる「白色化」の低減を実証するために行われた。
【0108】
2匹のブタが、黒色顔料を含有するパターンで入墨を入れられた。これらの入墨は、成熟のために4カ月以上にわたってそのままにされた。6つの入墨部位が、レーザだけ(「レーザのみ」)、正の電場下のレーザ(「レーザ+EF(+)」)、または負の電場下のレーザ(「レーザ+EF(-)」)のいずれかを用いて処置された。加えて、1つの入墨なし皮膚部位が、対照群としてレーザを用いて処置された(「陰性対照群」)。初期研究に関して、試験された各部位は、
図4A-4Cに示されるものと類似するデバイスを利用して、負圧下に置かれた。
図4Cに示されるように、絶縁電極302が、本負圧デバイスのサファイア窓406の下側上に設置された。全てのレーザ処置は、本サファイア窓406を通して実施された。研究において使用されたレーザ設定は、以下の通り、すなわち、Medlite IVTM 1064 nM QスイッチNd:YAG、3.5J/cm
2、1Hz、4mmスポットサイズであった。電場は、電流を殆ど伴わない高電圧を生産することが可能である静電電圧源によって生成された。電圧源は、それぞれ、レーザのみ、レーザ+EF(+)、またはレーザ+EF(-)に関してブタに対して0ボルト、プラス(+)1,200ボルト、またはマイナス(-)1,200ボルトに設定された。
【0109】
レーザ処置に先立って、比色読取値が、各入墨部位において取得された。処置の直後、比色読取値の別のセットが、取得された。入墨部位毎に、各処置前比色読取値は、真皮空胞形成のインジケーションを提供するために、処置後比色読取値に正規化された。より高い正規化処置後比色読取値は、より大きい真皮空胞形成を示す。加えて、組織学的評価のために、各処置部位の生検が、レーザ処置の1分以内(「0日目」)およびレーザ処置の48時間後(「2日目」)に行われた。
【0110】
図11を参照すると、真皮空胞形成に対する電場の効果に関する比色研究の結果を図示する棒グラフが、示される。レーザ+EF(-)は、レーザのみまたはレーザ+EF(+)よりも低い正規化比色読取値を有していた。レーザ+EF(+)に関する正規化比色読取値は、レーザのみと同等であった。より低い正規化比色読取値は、レーザ+EF(-)が入墨部位のレーザ処置の間により低いレベルの空胞形成をもたらしたことを示す。
【0111】
図12を参照すると、実施される実験における陰性対照群としての役割を果たした、パルスレーザを用いて処置された入墨なし真皮の組織学的画像が、示される。
図12によって示されるように、いかなる粒子空胞または遠隔空胞も、存在しない。これは、研究において使用されたレーザフルエンスにおいて、入墨顔料凝集体の存在が空胞を生成するために要求されることを実証している。
【0112】
図13Aおよび13Bは、レーザのみを用いて処置された2つの入墨部位の0日目組織学的画像を描写する。それぞれは、粒子空胞100および遠隔空胞102の両方が存在することを示す。粒子空胞100は、サイズが小さい傾向があり、典型的には、表皮に面する顔料凝集体の表面上に位置する。これは、顔料凝集体の表面がレーザによってアブレーションされる場合に起こり、レーザに暴露されている凝集体の表面側上に空胞の形成をもたらす。遠隔空胞102は、粒子空胞100と比較したとき、より小さく、形状が比較的に球状である。
【0113】
図14Aおよび14Bは、レーザ+EF(+)を用いて処置された2つの入墨部位の0日目組織学的画像を描写する。それぞれは、粒子空胞100および遠隔空胞102の両方が存在することを示す。
図13Aおよび13Bに描写される画像と同様に、粒子空胞100は、サイズが小さい傾向があり、典型的には、表皮に面する顔料凝集体の表面上に位置する。しかしながら、遠隔空胞102は、
図14Aおよび14Bの両方において多数見られる。ここで、正の電場は、部位において自由電子を励起し、高密度の自由電子の蓄積をもたらす。励起された自由電子は、真皮環境をLIOB事象に対してより影響されやすくし、これは、遠隔空胞102の形成をもたらす。
【0114】
図15Aおよび15Bは、レーザ+EF(-)を用いて処置された2つの入墨部位の0日目組織学的画像を描写する。
図13A、13B、14A、および14Bと同様に、粒子空胞100が、存在する。しかしながら、
図13A、13B、14A、および14Bと異なり、遠隔空胞102は、わずかしか存在しない。加えて、レーザのみおよびレーザ+EF(+)における所見と比較して、粒子空胞100は、サイズがより大きく、顔料凝集体の上面だけではなく、全体を包含する。負の電場は、部位から離れるように自由電子を押動し、それによって、LIOB事象をもたらし得る、真皮内の臨界密度の自由電子の蓄積を低減させる。その結果、遠隔空胞102の形成は、最小限にされる。加えて、部位から離れるような自由電子の押動は、顔料凝集体の表面上のLIOB事象の開始を遅延させることを支援する。これは、次いで、プラズマ事象がレーザから顔料凝集体を遮蔽する前に、レーザパルスが顔料凝集体の中により長く吸収されることを可能にする。これは、顔料凝集体のさらなるアブレーションおよび大型粒子空胞100の生産につながる。レーザ+EF(-)による顔料凝集体のさらなるアブレーションは、入墨がより急速に排除され得ることを意味する。
【0115】
図16Aおよび16Bは、レーザ+EF(-)を用いて処置された2つの入墨部位の2日目組織学的画像を描写し、レーザ+EF(-)を用いて処置された顔料粒子1600がレーザのみよりも迅速に入墨部位から離れるように輸送されることを示す。
図16Aおよび16Bは、レーザ処置の48時間後に真皮中の深くに位置する顔料粒子1600を示す。比較すると、レーザのみで処置された入墨部位の画像は、レーザ処置の48時間後に真皮中の深くに位置する顔料粒子1600を殆ど実証していない。
【0116】
入墨なし皮膚(陰性対照群)のレーザ処置および入墨部位のレーザ処置からの結果における差異に基づいて、粒子空胞100および遠隔空胞102の両方の形成は、入墨顔料凝集体104へのパルスレーザの作用の直接的結果である。パルスレーザが顔料凝集体104の中に吸収されると、プラズマプルームが、迅速に形成される。本プルームは、顔料凝集体104を囲繞する水分に相変化を受けさせ、(蒸気生産を介して)粒子空胞100をもたらす。加えて、プラズマプルームは、自由電子、イオン、およびナノサイズ顔料粒子1600を、顔料凝集体104の表面(例えば、顔料凝集体104中に含まれる顔料粒子の表面)から真皮の中に激しく放出する。これらの激しく放出される自由電子は、真皮中に臨界密度の自由電子の形成をもたらすと考えられる。これらの自由電子は、次いで、レーザ光子を吸収することが可能であり、LIOB事象および遠隔空胞102の形成につながる。
【0117】
レーザ+EF(+)部位(
図14Aおよび14B)の組織学をレーザのみ(
図13Aおよび13B)の部位(すなわち、電場を伴わない入墨部位へのレーザ)と比較すると、両方の研究が、豊富な粒子空胞100および遠隔空胞102を形成した。驚くべきことに、レーザ+EF(+)処置部位における遠隔空胞102の数は、レーザのみの処置のものを実質的に上回ったと考えられる。正の電場の存在は、負の電極の近傍の生物学的媒体中の自由電子励起を増加させ、生物学的媒体204中のLIOB形成の選択的増加につながったと考えられる。
【0118】
一方、レーザ+EF(-)部位(
図15Aおよび15B)の組織学をレーザのみの部位(
図13Aおよび13B)と比較すると、両方の研究が、豊富な粒子空胞100を形成した。しかしながら、驚くべきことに、負の電場と関連付けられる粒子空胞100のサイズは、レーザのみの処置と関連付けられる粒子空胞100よりもはるかに大きかった。再び、上記に議論されるように、負の電場は、負の電極の近傍の処置部位から離れるように自由電子を押動すると考えられる。これは、顔料凝集体104の表面上のLIOB事象の開始の遅延をもたらし、レーザパルスが顔料凝集体104によって吸収されるためにより長い時間を有することをもたらす。これは、大型粒子空胞100によって明示されるような顔料凝集体104のさらなるアブレーションにつながる。
【0119】
レーザ+EF(-)は、最小数の遠隔空胞102が生成されることのみをもたらす。顔料凝集体104のLIOBから放出された自由電子は、臨界電子密度が形成され得る前に、真皮中でレーザ経路から迅速に分散された。これは、ひいては、媒体中のLIOBの形成を阻止し、遠隔空胞102の形成の選択的抑制をもたらした。
【0120】
電場内にある間の顔料凝集体104のレーザ処置は、深部真皮の中への顔料粒子1600のさらなる輸送をもたらす。電場内にある間の顔料凝集体104をアブレーションすることは、静電気的荷電顔料粒子の生成をもたらす。これらの荷電および/またはより小型の粒子は、次いで、入墨部位からより容易に運び去られ、これはさらに、処置された入墨部位の退色を支援する。
【0121】
(第2の実験結果)
第2の研究が、1)レーザ誘起真皮空胞形成(すなわち、白色化)と真皮傷害との間、および2)レーザ誘起真皮空胞形成と入墨退色との間の関係を評価するために実行された。二次目的は、真皮空胞形成、真皮傷害、および入墨退色に関して標準1064 QスイッチNd:YAGレーザ(Qスイッチレーザ)入墨除去処置と比較されるEFEレーザ処置を評価することであった。真皮空胞形成および真皮傷害は、組織学的に評価された。促進された入墨退色が、比色測定で評価された。
【0122】
EFEレーザは、CRO動物施設(MPI, Kalamazoo, MI)において評価された。動物実験委員会によって承認された入墨入りブタ動物モデルが、本実験において使用された。ゲッティンゲンミニブタ(約30kg)が、専門家入墨アーティストによって、両方の側面上に、全身麻酔下で、複数の円形(直径1cm)黒色入墨スポット(例えば、
図4C参照)を用いて入墨を入れられ、研究の開始に先立って、少なくとも3カ月にわたって成熟するように放置された。
【0123】
EFEレーザおよび標準Qスイッチレーザが、複数の円形(1cm2)黒色入墨スポットを用いて入墨を入れられたゲッティンゲンミニブタ(約30kg)を使用する研究において評価された。入墨部位は、非修正Qスイッチレーザ(レーザのみ)を使用する、または外部静電場と併せて1064nmQスイッチレーザ(EFEレーザ)を使用するいずれかの単回通過レーザ処置を用いて処置された。空胞形成が、処置直後に組織学的に評価され、真皮傷害が、処置の2~6日後に組織学的に評価された。処置された入墨部位の退色が、分光光度計(Konica Minolta CM-700d, Konica Minolta Sensing Americas, Inc.(Ramsey, NJ))を使用して、処置前および処置後8週間における入墨の比色読取値を比較することによって評価された。
【0124】
処置の開始に先立って、動物は、全身麻酔下に置かれた。選択された入墨部位が、次いで、標準短パルスレーザ(レーザのみ)またはEFEレーザのいずれかを用いて処置された。レーザのみおよびEFEレーザ研究の両方において使用されたレーザは、1064nm QSレーザ(Hologic, Inc.(Marlboro, MA)によって取得されたMedLite IV, Continuum Biomedical)であった。各個々の研究の間にレーザのみおよびEFEレーザ処置のために使用されたレーザパラメータは、同等であり、以下のもの、すなわち、1Hzのパルス繰り返し数、通過あたり4.0J/cm2~9.0J/cm2に及ぶレーザフルエンス、および3mm~4mmに及ぶレーザスポットサイズを含んでいた。
【0125】
図4Cを参照すると、EFEレーザに関して、レーザと併用された電場生成設定が、示される。本設定は、窓406の内面に取り付けられる少なくとも1つの絶縁電極302を伴うサファイア窓406を有する、皮膚真空ヘッド400から成っていた。カスタムDC電力供給源(図示せず)が、レーザ処置の間に電極302を横断して高電圧(+/-1,200ボルト~+/-5,000の範囲)を提供した。これは、静電場が処置部位に確立されることをもたらした。いくつかの試験では、単一の電極がサファイア窓406上で使用されたとき、より大型の戻り電極パッドが、処置部位から遠隔の場所上で使用された。電場生成設定を使用してレーザ処置を実施する際、レーザ処置は、活性電極の1cm以内で実施された。
【0126】
レーザ処置に続いて、生検組織の組織学的検査が、形成された空胞の数および真皮傷害の量を評価するために実施された。空胞の評価に関して、入墨処置部位の3mmパンチ生検が、レーザのみまたはEFEレーザ処置の直後に実施された。ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色スライドが、生検組織から調製された。処置毎の真皮空胞形成が、組織学画像の定義された面積内の空胞の数をカウントすることによって決定された。
【0127】
真皮傷害を評価するために、入墨処置部位の3mmパンチ生検が、レーザのみまたはEFEレーザ処置の2~6日後に実施された。ヘロビチ染色スライドが、生検組織から調製された。処置毎の真皮傷害が、表皮および真皮への損傷を評価することによって、5段階真皮傷害スケールを使用して決定された。5段階スケールは、傷害なしから実質的なヘロビチ染色によって表されるような有意な表皮および真皮コラーゲン傷害に及んだ。(「0」=傷害なし、「1」=最小コラーゲン傷害、「2」=軽度のコラーゲン傷害、「3」=表皮の局所的損失+最小コラーゲン傷害、「4」=表皮の損失はないが、大部分のコラーゲン傷害、および「5」=表皮の損失+大部分のコラーゲン傷害)。
【0128】
処置された入墨部位の退色が、L*a*b*色空間値を記録するように構成されるハンドヘルド分光光度測定(Konica Minolta CM-700d, Konica Minolta Sensing Americas, Inc.(Ramsey,
NJ))を使用して評価された。入墨退色は、比色差(色空間における距離)メトリックΔE*のパーセンテージ変化によって計算され、ΔE*=((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2)1/2であった。8週間において取得された入墨読取値に関する比色距離メトリックΔE*が、入墨退色パーセンテージを計算するために、処置前比色ΔE*値と比較された。
【0129】
図17を参照すると、レーザ誘起真皮空胞形成と真皮傷害との間の関係が、調査された。3カ月周期にわたる4つの別個のレーザ処置において、平均真皮空胞カウント(N=8)が、レーザのみの処置およびEFEレーザ処置からの真皮傷害スコアの平均(N=8)と比較された。本調査の結果が、
図16に示され、レーザ処置の直後の平均真皮空胞カウントとレーザ処置の2~6日後の真皮傷害スコアとの間の非常に強い正相関(r=0.945、R
2=0.893)を実証している。
【0130】
図18A-18Bおよび
図19A-19Bを参照すると、それぞれ、レーザのみおよびEFEレーザで処置された入墨部位に関する真皮空胞形成および真皮傷害を示す、組織学的画像の実施例が、示される。
図18Aは、少数の不規則な形状のより大型の粒子空胞と、多数のより小型の球状遠隔空胞(顔料粒子から遠隔の真皮中の小さい円形隙間)とから成る有意な数(>100)の真皮空胞(白色隙間)を示す、レーザのみの処置の直後のブタ皮膚上の入墨部位の組織学的画像(H&E染色)である。
図18Bは、有意な真皮傷害および新しいコラーゲン(タイプIII)形成を示す、レーザのみの処置の4日後の同一の処置部位のヘロビチ染色画像である。コラーゲンは、暗青色/紫色に染まる古いコラーゲン(タイプI)と比較して、ヘロビチ染色では淡青色に染まる。
【0131】
対照的に、
図19Aに示されるように、EFEレーザの直後のブタ皮膚上の入墨部位の組織学的画像(H&E染色)は、より少ない数の真皮空胞(約33個)を有していた。粒子空胞(顔料粒子に隣接する大きい不規則な形状の白色隙間)の数は、レーザのみの処置を用いた入墨部位と同等であったが(約10~20個)、存在する遠隔空胞の数は、より少なかった。同様に、
図19Bは、最小真皮傷害(最小淡青色染色)および新しいコラーゲン形成を実証する、EFEレーザ処置の4日後の同一の処置部位の組織学的画像(ヘロビチ染色)を提供する。
【0132】
図20を参照すると、8週間におけるレーザ誘起真皮空胞形成と入墨退色との間の関係が、評価された。平均真皮空胞カウント(n=8)が、EFEレーザ処置およびレーザのみの処置からのΔE
*のパーセンテージ変化の平均(n=8)と比較された。
図20に示されるように、結果は、空胞形成と入墨退色との間の中程度の負相関(r=-0.52)を実証している(すなわち、より多くの真皮空胞は、より少ない入墨退色をもたらす)。
【0133】
本研究の二次目的は、真皮空胞形成、真皮傷害、および入墨退色に関して標準レーザ入墨除去処置と比較してEFEレーザ処置を評価することであった。
図21を参照すると、散布図(95%CIに関する平均およびエラーバーのための水平線を伴う)は、EFEレーザおよびレーザのみを伴う処置後の真皮空胞カウントを示す。EFEレーザ処置は、レーザのみの処置と比較して、単回レーザ通過後に有意により少ない平均真皮空胞カウントを示した。EFEレーザに関する平均空胞カウントは、55であった(n=19)。レーザのみに関する平均空胞カウントは、101であった(n=10)。t検定(両側、非対合、等分散性)では、2つの群の間の差異は、統計的に有意であった(P<0.0001)。
【0134】
図22を参照すると、散布図(95%CIに関する平均およびエラーバーのための線を伴う)は、EFEレーザおよびレーザのみを伴う処置後の真皮傷害スコアを示す。EFEレーザで処置された部位は、レーザのみで処置された部位と比較して、より低い平均真皮傷害スコアを示した。EFEレーザに関する平均真皮傷害スコアは、5のうちの1.84であった(n=19)。レーザのみに関する平均真皮傷害スコアは、5のうちの3.5であった(n=10)。t検定(両側、非対合、等分散性)では、2つの群の間の差異は、統計的に有意であった(P<0.01)。
【0135】
図23Aを参照すると、EFEレーザ(n=19)およびレーザのみ(n=10)で処置された入墨部位の間の8週間における入墨退色のパーセンテージの比較が、示される。散布図(95%CIに関する平均およびエラーバーのための水平線を伴う)は、レーザのみと比較して、EFEレーザを使用する単回レーザ通過後に促進された入墨退色を実証している。EFEレーザに関する平均退色は、19.1%である。レーザのみに関する平均退色は、9.2%である(P<0.05)。最後に、
図23Bおよび23Cは、レーザのみと比較して、EFEレーザを用いて処置された代表的入墨部位に関して改良された退色を示す、写真画像を提供する。例えば、
図23Bは、レーザのみ(4J/cm
2@4mm;1Hz)での退色を示し、
図23Cは、EFEレーザ(5,000Kv;4J/cm
2@4mm;1Hz)での退色を示す。
【0136】
本研究は、さらなるレーザ誘起真皮空胞形成が真皮傷害を増加させ、入墨退色有効性を減少させることを実証した。EFEレーザは、入墨部位のレーザ処置の間にレーザ誘起真皮空胞形成の量を最小限にすることが可能であり、低減された真皮傷害および改良された入墨退色をもたらした。より少ない空胞形成は、レーザ遮蔽および光散乱の低減をもたらし、より多くのレーザエネルギーが入墨インク粒子に到達することを可能にすると考えられる。
【0137】
本研究は、入墨部位の処置におけるEFEレーザが、標準レーザ処置と比較したとき、より少ない真皮空胞の形成、より少ない真皮傷害、および改良された入墨退色をもたらす証拠を提供した。レーザベースの入墨処置を改良することに加えて、電場の使用は、レーザアブレーション処置(毛髪除去、静脈除去等)の間に熱イオン放出からの自由電子を軽減し、より安全でより効果的な処置を提供することができる。
【0138】
上記の説明および実施例は、例証的実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。ある実施形態が、ある程度具体的に、または1つ以上の個々の実施形態を参照して、上記に説明されたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に多数の改変を行い得る。したがって、本方法およびシステムの種々の例証的実施形態は、開示される特定の形態に限定されることを意図していない。むしろ、それらは、請求項の範囲内に該当する全ての修正および代替を含み、示されるもの以外の実施形態は、描写される実施形態の特徴のうちのいくつかまたは全てを含んでもよい。例えば、要素が、一体構造として省略される、または組み合わせられてもよい、接続が、代用されてもよい、または両方であってもよい。さらに、適切な場合、上記に説明される実施例のうちのいずれかの側面は、同等であるかまたは異なる性質および/または機能を有し、同一または異なる問題に対処する、さらなる実施例を形成するように、説明される他の実施例のうちのいずれかの側面と組み合わせられてもよい。同様に、上記に説明される利益および利点は、1つの実施形態に関し得る、またはいくつかの実施形態に関し得ることを理解されたい。故に、本明細書に説明されるいかなる単一の実装も、限定として解釈されるべきではなく、本開示の実装は、本開示の教示から逸脱することなく、好適に組み合わせられてもよい。
【0139】
請求項は、そのような限定が、それぞれ、語句「~のための手段」または「~のためのステップ」を使用して、所与の請求項に明示的に列挙されない限り、手段プラスまたはステッププラス機能の限定を含むことを意図せず、そのように解釈されるべきではない。