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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091804
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】振動モータおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206595
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 篤範
(72)【発明者】
【氏名】小林 知弘
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA02
5D107AA03
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】振動出力を向上させることが可能となる振動モータを提供する。
【解決手段】振動モータ100は、固定子5と、軸方向に振動可能な振動子8と、前記振動子8と前記固定子5を接続し、前記振動子8の軸方向上方に配置される弾性部材9と、を備える。前記振動子8は、質量体6と、前記質量体6の軸方向下方において前記質量体6に固定される磁石部材7と、を有する。前記固定子5は、前記磁石部材7の径方向外方において、周方向に導線を巻回して形成されるコイル3を有する。前記質量体6は、径方向に広がる基部61と、前記基部61から軸方向下方に延びる柱部62と、を有する。前記磁石部材7は、上面から軸方向下方に凹む、または貫通する孔部10Hを有する。前記孔部10Hの外縁は、前記柱部62の径方向外方に配置される。前記基部61は、前記コイル3の上端と軸方向に対向する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、
軸方向に振動可能な振動子と、
前記振動子と前記固定子を接続し、前記振動子の軸方向上方に配置される弾性部材と、を備え、
前記振動子は、
質量体と、
前記質量体の軸方向下方において前記質量体に固定される磁石部材と、
を有し、
前記固定子は、前記磁石部材の径方向外方において、周方向に導線を巻回して形成されるコイルを有し、
前記質量体は、
径方向に広がる基部と、
前記基部から軸方向下方に延びる柱部と、
を有し、
前記磁石部材は、上面から軸方向下方に凹む、または貫通する孔部を有し、
前記孔部の外縁は、前記柱部の径方向外方に配置され、
前記基部は、前記コイルの上端と軸方向に対向する、振動モータ。
【請求項2】
前記コイルよりも軸方向下方に位置する基板と、
前記コイルよりも径方向内方において、前記振動子と軸方向に対向する緩衝材と、をさらに備え、
前記磁石部材の径方向外側面の内側において、前記緩衝材と前記振動子との軸方向距離は、前記基板の上端と前記振動子との軸方向距離よりも小さい、請求項1に記載の振動モータ。
【請求項3】
前記緩衝材は、前記磁石部材と前記柱部とのうち少なくとも前記柱部と軸方向に対向する、請求項2に記載の振動モータ。
【請求項4】
前記緩衝材と前記振動子との軸方向距離は、前記コイルの上端と前記基部との軸方向距離よりも小さい、請求項2または請求項3に記載の振動モータ。
【請求項5】
前記固定子は、前記コイルよりも径方向外方において軸方向に延びる側壁部をさらに有し、
前記基部と前記側壁部との径方向距離は、前記磁石部材と前記コイルとの径方向距離よりも小さい、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項6】
前記弾性部材は、軸方向上方に向かうにつれて、拡径する形状である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項7】
前記弾性部材の上端部における径方向外端部は、前記コイルの上端と軸方向に対向する、請求項6に記載の振動モータ。
【請求項8】
前記質量体は、磁性材料で構成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項9】
前記磁石部材は、軸方向にN極とS極を有する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の振動モータを備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動モータおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の携帯機器など各種機器には、振動発生装置として振動モータが備えられている。振動モータは、例えば、着信またはアラーム等を利用者に知らせる機能、あるいはヒューマンインタフェースにおける触覚フィードバックの機能などの用途で用いられる。
【0003】
一般的に、振動モータは、固定子と、弾性部材と、振動子と、を有する。固定子は、筐体と、コイルと、を有する。振動子は、マグネットを有する。振動子と筐体とは、弾性部材により接続される。コイルに通電して磁界を発生させることにより、振動子は振動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0154401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、振動モータでは、振動子の重量を増加させる目的で質量体を用いる場合があった。しかしながら、振動モータの構造によっては、質量体のサイズが制限され、振動出力が抑制される課題があった。
【0006】
上記状況に鑑み、本開示は、振動出力を向上させることが可能となる振動モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示的な振動モータは、固定子と、軸方向に振動可能な振動子と、前記振動子と前記固定子を接続し、前記振動子の軸方向上方に配置される弾性部材と、を備える。前記振動子は、質量体と、前記質量体の軸方向下方において前記質量体に固定される磁石部材と、を有する。前記固定子は、前記磁石部材の径方向外方において、周方向に導線を巻回して形成されるコイルを有する。前記質量体は、径方向に広がる基部と、前記基部から軸方向下方に延びる柱部と、を有する。前記磁石部材は、上面から軸方向下方に凹む、または貫通する孔部を有する。前記孔部の外縁は、前記柱部の径方向外方に配置される。前記基部は、前記コイルの上端と軸方向に対向する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の例示的な振動モータおよび電子機器によれば、振動出力を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態に係る振動モータの斜視図である。
図2図2は、図1におけるA-A線で切断した断面図である。
図3図3は、第1変形例に係る振動モータの一部構成を示す断面図である。
図4図4は、第2変形例に係る振動モータの一部構成を示す断面図である。
図5図5は、図2に示す構成の一部拡大図である。
図6図6は、電子機器の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、振動モータ100の中心軸Jに沿う方向を軸方向として、軸方向上方をZ1、軸方向下方をZ2として示す。また、中心軸Jに対して直交する方向を径方向と称し、中心軸Jに近づく方向を径方向内方、中心軸Jから遠ざかる方向を径方向外方と称する。また、中心軸J周りの方向を周方向と称する。なお、上記の各方向は、振動モータを機器に組み込んだときの方向を限定しない。
【0011】
<1.振動モータの全体構成>
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る振動モータ100の斜視図である。図2は、図1におけるA-A線で切断した断面図である。
【0012】
振動モータ100は、固定子5と、振動子8と、弾性部材9と、緩衝材11と、を備える。
【0013】
固定子5は、ベースプレート1と、ハウジング2と、コイル3と、蓋部4と、基板10と、を有する。
【0014】
ベースプレート1は、例えばステンレス鋼により構成される板状部材であり、主たる部位である円板部1Aと、円板部1Aの縁部の一部から径方向外方に矩形状に突出する突出片1B(図1参照)と、を有する。
【0015】
ハウジング2は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状であり、例えばステンレス鋼により構成される。ハウジング2の下端部は、円板部1Aの縁部に沿って配置される。ハウジング2の内部には、振動子8、弾性部材9、コイル3、後述する基板10の第1基板部10A、および緩衝材11が収容される。
【0016】
基板10は、FPC(フレキシブルプリント基板)であり、円環状の第1基板部10Aと、矩形状の第2基板部10Bと、第1基板部10Aと第2基板部10Bを径方向に接続する接続基板部10Cと、を有する。第1基板部10Aは、円板部1Aの上面に配置され、例えば接着剤により円板部1Aに固定される。突出片1Bは、ハウジング2の下端部に設けられて軸方向上方に切り欠かれる切欠き部2Aから外部へ突出する(図1参照)。接続基板部10Cは、突出片1Bの上面に配置され、切欠き部2Aから外部へ突出する。第2基板部10Bは、ハウジング2の外部に配置される。第2基板部10Bには、図示しない第2電極部が設けられる。第1基板部10Aは、後述するコイル3と電気的に接続される。基板10は、コイル3に電流を供給するために設けられる。
【0017】
コイル3は、周方向に導線を巻き回して構成され、ハウジング2の内壁面に沿って配置される。コイル3は、第1基板部10Aの上面に配置され、例えば接着剤により第1基板部10Aに固定される。
【0018】
コイル3の図示しない引き出し線は、第1基板部10Aに設けられた図示しない第1電極部とはんだ付けにより接続される。上記第1電極部は、コイル3により径方向に囲まれる内部空間3Sに配置される。すなわち、はんだ付けによる引き出し線と第1電極部との接続箇所が内部空間3Sに配置される。第2電極部と第1電極部は、基板10に設けられる配線により接続されるため、第2電極部を介してコイル3に電流を供給することができる。
【0019】
振動子8は、軸方向に振動可能であり、質量体6と、磁石部材7と、を有する。すなわち、振動モータ100は、軸方向に振動可能な振動子8を備える。
【0020】
質量体6は、振動子8の重量を増加させて振動モータ100の振動出力を高める目的で設けられる。質量体6は、例えばタングステン合金により構成され、基部61と、柱部62と、を有する。基部61は、中心軸Jを中心として径方向に広がる円板状に構成される。ただし、基部61は、円板状に限らず、例えば、矩形状に構成してもよく、軸方向に沿って径が変化する円錐台状に構成してもよい。また、基部61は、磁石部材7または弾性部材9を取り付けるための凹部または凸部を有していてもよい。すなわち、質量体6は、径方向に広がる基部61を有する。
【0021】
柱部62は、基部61の径方向中央部から軸方向下方へ円柱状に延びる。すなわち、質量体6は、基部61から軸方向下方に延びる柱部62を有する。
【0022】
磁石部材7は、中心軸Jを中心とする1つの円環状部材であり、径方向中央部に軸方向に貫通する孔部7Aを有する。なお、孔部7Aは、貫通孔に限らず、磁石部材7の上面から軸方向下方へ凹む構成としてもよい。この場合、孔部の軸方向下方は、磁石部材7により覆われる。すなわち、磁石部材7は、上面から軸方向下方に凹む、または貫通する孔部7Aを有する。
【0023】
なお、磁石部材7は、1つの部材に限らず、周方向に複数配置される円弧状の部材から構成されてもよい。
【0024】
磁石部材7は、軸方向にN極とS極を有する。すなわち、磁石部材7は、軸方向上方にS極、軸方向下方にN極を有するか、あるいは、軸方向上方にN極、軸方向下方にS極を有する。軸方向に着磁することで、着磁が比較的容易となる。
【0025】
磁石部材7の孔部7Aに軸方向上方から質量体6の柱部62が挿入される。これにより、孔部7Aの外縁は、柱部62の径方向外方に配置される。孔部7Aの外縁と柱部62との隙間に配置される接着剤により孔部7Aは柱部62に固定される。これにより、磁石部材7は、基部61の下面に配置されて柱部62に固定される。なお、磁石部材7の上面と基部61の下面との隙間に配置される接着剤により磁石部材7が基部61に固定されてもよい。すなわち、振動子8は、質量体6の軸方向下方において質量体6に固定される磁石部材7を有する。
【0026】
弾性部材9は、板状の素材から切り起して形成される切り起しばねとして構成され、軸方向上方に向かうにつれて径が広がる。弾性部材9の下端部は、基部61の径方向中央部の上面に例えば溶接により固定される。弾性部材9の上端部は、ハウジング2の上端に例えば溶接により固定される。これにより、振動子8は、弾性部材9によりハウジング2に固定される。従って、振動子8は、固定子5に対して軸方向に振動可能に支持される。
【0027】
すなわち、振動モータ100は、振動子8と固定子5を接続し、振動子8の軸方向上方に配置される弾性部材9を備える。弾性部材9の詳細については、後述する。なお、図2に示す構成に限らず、磁石部材7と基板10との間に、弾性部材9とは別の弾性部材を配置してもよい。
【0028】
振動子8が弾性部材9に固定された状態で、磁石部材7は、コイル3の径方向内方に配置され、コイル3と径方向に対向する。すなわち、固定子5は、磁石部材7の径方向外方において、周方向に導線を巻回して形成されるコイル3を有する。
【0029】
基板10を介してコイル3に電流が供給されることでコイル3に磁力線が発生し、磁石部材7による磁力線との相互作用により振動子8が軸方向に振動する。これにより、振動モータ100において振動が発生する。
【0030】
基部61の径方向外端部は、コイル3の軸方向上方においてコイル3と軸方向に対向する。すなわち、基部61は、コイル3の上端と軸方向に対向する。このように、本実施形態では、コイル3の軸方向長さを短くして質量体6をコイル3と軸方向に対向する位置まで広げているため、質量体6の重量が増加し、より高い振動出力を得ることができる。
【0031】
蓋部4は、円板状に形成され、例えばステンレス鋼により構成される。蓋部4は、弾性部材9の上端部の上面に例えば溶接により固定される。これにより、蓋部4は、ハウジング2内部への異物の侵入を抑制する。
【0032】
<2.基板の保護機能>
コイル3は、基板10における第1基板部10Aの上面に固定される。すなわち、振動モータ100は、コイル3よりも軸方向下方に位置する基板10を備える。第1基板部10Aは、中心軸Jを中心として軸方向に貫通する円形の孔部10Hを有する。緩衝材11は、孔部10Hの内側に配置され、ベースプレート1における円板部1Aの上面に例えば接着剤により固定される。緩衝材11における軸方向上方の一部は、コイル3により径方向に囲まれる内部空間3Sに配置される。
【0033】
緩衝材11は、振動子8の軸方向下方に配置される。緩衝材11は、質量体6における柱部62の下面全体と軸方向に対向するとともに、磁石部材7の径方向内端部と軸方向に対向する。すなわち、振動モータ100は、コイル3よりも径方向内方において、振動子8と軸方向に対向する緩衝材11を備える。
【0034】
ここで、図2に示すように、緩衝材11の上面と柱部62の下面との軸方向距離L1は、第1基板部10Aの上面と磁石部材7の下面との軸方向距離L2よりも小さい。図2に示す構成では、柱部62は、磁石部材7より軸方向下方には突出しない。すなわち、柱部62の下面と磁石部材7の下面とは同じ軸方向位置に位置する。これにより、緩衝材11の上面と柱部62の下面との軸方向距離と、緩衝材11の上面と磁石部材7の下面との軸方向距離は、同じ軸方向距離L1である。換言すれば、緩衝材11と振動子8との軸方向距離L1は、基板10の上端と振動子8との軸方向距離L2よりも小さい。
【0035】
これにより、例えば振動モータ100を落下させた場合などで振動子8が過度に基板10側に移動しても、振動子8が基板10と接触するより前に、振動子8が緩衝材11と接触する。従って、基板10および基板10上の要素を振動子8から保護することができる。例えば、コイル3の引き出し線と第1基板部10Aに設けられた第1電極部とのはんだ付けによる接続箇所(図示せず)を保護することができる。
【0036】
ここで、上記接続箇所は、磁石部材7の径方向外側面よりも径方向内側に設ける構成としてもよい。このとき、緩衝材11と振動子8との軸方向距離は、上記接続箇所と振動子8、および上記引き出し線における磁石部材7の径方向外側面よりも径方向内側の部分と振動子8との軸方向距離よりも小さくしてもよい。これにより、上記接続箇所および上記引き出し線を保護することができる。
【0037】
また、接続箇所は磁石部材7の径方向外側に設ける構成としてもよい。これにより、接続箇所と振動子8との接触を防止することができる。
【0038】
図2に示す構成では、柱部62が緩衝材11と接触した場合、磁石部材7も緩衝材11と接触する。しかしながら、緩衝材11のサイズを小さくして、緩衝材11が磁石部材7とは軸方向に対向しないようにしてもよい。すなわち、緩衝材11は、磁石部材7と柱部62とのうち少なくとも柱部62と軸方向に対向すればよい。これにより、緩衝材11が磁石部材7のみと接触する場合よりも、磁石部材7にかかる衝撃を抑制できる。緩衝材11との衝突による磁石部材7への悪影響を抑制できる。
【0039】
ここで、図3は、第1変形例に係る振動モータ100の一部構成を示す断面図である。図3に示す構成では、柱部62は、磁石部材7より軸方向下方に突出している。従って、柱部62の下面は、磁石部材7の下面よりも軸方向下方に位置する。また、図3に示す構成では、ベースプレート1における円板部1Aにおいて、軸方向下方に凹む円柱状の凹部1Hが設けられる。凹部1Hは、第1基板部10Aにおける孔部10Hの軸方向下方に連接される。緩衝材11は、凹部1Hに配置される。これにより、緩衝材11は、コイル3よりも軸方向下方に配置される。従って、図2に示す構成のように緩衝材11が内部空間3Sに配置されることには限らない。
【0040】
このような図3に示す構成において、緩衝材11と柱部62との軸方向距離L1は、第1基板部10Aの上面と磁石部材7との軸方向距離L2よりも小さい。これにより、第1基板部10Aおよび第1基板部10A上の要素を磁石部材7から保護することができる。柱部62を磁石部材7より軸方向下方に突出させることで、軸方向距離L1を短くしやすい。
【0041】
図4は、第2変形例に係る振動モータ100の一部構成を示す断面図である。図4に示す構成では、ベースプレート1における円板部1Aにおいて、軸方向上方に円柱状に突出する突出部1Tが設けられる。突出部1Tは、第1基板部10Aにおける孔部10Hの内側に配置され、孔部10Hよりも軸方向上方に突出する。緩衝材11は、突出部1Tの上面に固定される。従って、緩衝材11は、第1基板部10Aよりも軸方向上方に配置される。
【0042】
このような図4に示す構成において、緩衝材11と振動子8との軸方向距離L1は、第1基板部10Aの上面と磁石部材7との軸方向距離L2よりも小さい。これにより、第1基板部10Aおよび第1基板部10A上の要素を磁石部材7から保護することができる。緩衝材11を第1基板部10Aよりも軸方向上方に配置するため、軸方向距離L1を短くしやすい。
【0043】
なお、図2図3、および図4に示す実施形態は、適宜、組み合わせて実施してもよい。また、図3に記載している、柱部62が磁石部材7より軸方向下方に突出する構成と、軸方向下方に凹む円柱状の凹部1Hを設ける構成は、いずれか一方のみを用いて実施してもよい。
【0044】
<3.コイルの保護機能>
図2に示すように、緩衝材11と振動子8との軸方向距離L1は、コイル3の上端と基部61との軸方向距離L3よりも小さい。これにより、振動子8が過度に基板10側に移動しても、基部61とコイル3とが接触することを抑制できる。従って、コイル3を質量体6から保護することができる。
【0045】
また、ハウジング2は、側壁部に相当する。すなわち、固定子5は、コイル3よりも径方向外方において軸方向に延びる側壁部2を有する。基部61と側壁部2との径方向距離L4は、磁石部材7とコイル3との径方向距離L5よりも小さい。これにより、振動子8が径方向に振れた場合に、磁石部材7がコイル3に接触する前に、基部61が側壁部2に接触する。従って、コイル3を磁石部材7から保護することができる。
【0046】
<4.弾性部材>
次に、弾性部材9について、より具体的に説明する。弾性部材9は、軸方向上方に向かうにつれて、拡径する形状である。これにより、弾性部材9の圧縮時に、弾性部材9の部位同士の接触が生じない。従って、振動子8の可動域を広くすることができる。なお、図2に示す構成では、弾性部材9を切り起こしばねで形成しているが、線状の部材を円錐状に巻くことで形成される円錐コイルばねで形成してもよい。
【0047】
また、弾性部材9の上端部における径方向外端部9Aは、コイル3の上端と軸方向に対向する。これにより、コイル3と対向する位置まで弾性部材9の上端部を径方向に広げることができる。従って、弾性部材9の上下方向に視た面積を増やすことにより応力を低減し、弾性部材9の寿命を向上させることができる。
【0048】
また、図2に示すように、弾性部材9は、振動子8の上下端面のうち、一方のみに固定されることが望ましい。これにより、振動子8を上下両側で支持する構成と比較して、部品点数が少なくなる。
【0049】
<5.磁力線の経路>
図5は、図2に示す構成の一部拡大図である。質量体6は、磁性材料で構成される。これにより、質量体6は、ヨークの役割を果たす。磁石部材7のN極から出る磁力線Mの一部は、コイル3を径方向外方へ向かって貫き、質量体6を通過して磁石部材7のS極に戻る。特許文献1の構成では、N極から出る磁力線とS極へ戻る磁力線とがいずれもコイルを通過することで、駆動力が打ち消し合う虞があった。これに対して、本実施形態であれば、駆動力の打ち消し合いを抑制することで、より高い振動出力を得ることができる。
【0050】
<6.電子機器>
先述した実施形態に係る振動モータ100は、各種の電子機器に搭載することができる。これにより、電子機器を振動させ、操作者への通知あるいは触覚フィードバック等の機能を実現できる。
【0051】
振動モータ100は、例えば図6に概略的に示す電子機器150に搭載可能である。すなわち、電子機器150は、振動モータ100を備える。電子機器150は、振動モータ100の振動によって、電子機器150を操作する人に触覚的な刺激を与える機器である。
【0052】
図6に示す電子機器150は、一例としてスタイラスペンとしている。振動モータ100が設定に応じた振動を出力することで、電子機器150をタブレット機器などに接触させて操作しているにもかかわらず、あたかも紙あるいは黒板などの上で操作しているような触覚フィードバックを操作者に与えることができる。
【0053】
なお、電子機器としては、スタイラスペンに限らず、その他にもスマートフォン、タブレット、ゲーム機器、および、ウェアラブル端末などを採用できる。
【0054】
特に、先述したような実施形態の振動モータ100により振動出力を向上させることができるため、電子機器150を使用する使用者へ有効に振動を伝えることができる。
【0055】
<7.その他>
以上、本開示の実施形態を説明した。なお、本開示の範囲は上述の実施形態に限定されない。本開示は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示の技術は、例えば各種機器に搭載される振動モータに利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ベースプレート
1A 円板部
1B 突出片
1H 凹部
1T 突出部
2 ハウジング(側壁部)
2A 切欠き部
3 コイル
3S 内部空間
4 蓋部
5 固定子
6 質量体
7 磁石部材
7A 孔部
8 振動子
9 弾性部材
9A 径方向外端部
10 基板
10A 第1基板部
10B 第2基板部
10C 接続基板部
10H 孔部
11 緩衝材
61 基部
62 柱部
100 振動モータ
150 電子機器
J 中心軸
M 磁力線
図1
図2
図3
図4
図5
図6