(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091877
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/37 20200101AFI20230626BHJP
D06F 103/20 20200101ALN20230626BHJP
D06F 105/42 20200101ALN20230626BHJP
【FI】
D06F33/37
D06F103:20
D06F105:42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206718
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】税所 貴史
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA15
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE11
3B167BA42
3B167BA52
3B167FB01
3B167FB05
3B167FB08
3B167HA11
3B167HA31
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3B167JA01
3B167JA03
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3B167JA62
3B167KA18
3B167KA65
3B167KB16
3B167LA07
3B167LA10
3B167LA23
3B167LC02
3B167LC03
3B167LC12
3B167LE07
3B167LF15
3B167LG08
(57)【要約】
【課題】洗濯槽内に水が溜まった状態で洗濯運転が実行される場合において洗濯槽内に洗剤が投入済であるか否かを特定することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機1は、水検出部38と、洗濯槽内の水の導電率を検出する導電率検出部39と、投入部と、制御部40と、記憶部41とを含む。制御部40は、洗濯運転の開始時に洗濯槽内に水が存在しないことを水検出部38が検出した場合に、給水後の導電率検出部39の検出結果に応じて運転条件を調整し、調整後の運転条件に応じた投入量の洗剤を投入部によって洗濯槽内に投入する。記憶部41は、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての設定を記憶する。洗濯運転の開始時に洗濯槽内に水が既に存在することを水検出部38が検出した場合に、制御部40が、洗濯槽内に洗剤が投入済であるか否かを、記憶部41に記憶された設定に基づいて判断する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容し、水が溜められる洗濯槽と、
前記洗濯槽内に給水するための給水部と、
前記洗濯槽内における水の有無を検出する水検出部と、
前記洗濯槽内の水の導電率を検出する導電率検出部と、
前記洗濯槽内に洗剤を投入するための投入部と、
前記洗濯槽内の洗濯物についての洗濯運転を実行する制御部であって、前記洗濯運転の開始時に前記洗濯槽内に水が存在しないことを前記水検出部が検出した場合に、前記給水部によって前記洗濯槽内に給水してから、前記導電率検出部の検出結果に応じて前記洗濯運転の運転条件を調整し、調整後の前記運転条件に応じた投入量の洗剤を前記投入部によって前記洗濯槽内に投入する制御部と、
前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての設定を記憶する記憶部とを含み、
前記洗濯運転の開始時に前記洗濯槽内に水が既に存在することを前記水検出部が検出した場合に、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が投入済であるか否かを、前記記憶部に記憶された前記設定に基づいて判断する、洗濯機。
【請求項2】
前記設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての現在の設定を含み、
前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入しない設定であれば、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての前記洗濯機の電源ON時の設定も含み、
前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前記電源ON時の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入しない設定であれば、前記制御部は、前記洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断する、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記記憶部が、前回の電源OFF時に前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入済であるか否かも記憶し、
前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定であって、前記電源ON時の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前回の電源OFF時に前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入済であれば、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が投入済であると判断する、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定であって、前記電源ON時の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前回の電源OFF時に前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を未投入であれば、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断する、請求項4に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽と、洗濯兼脱水槽を収容する外槽と、洗濯兼脱水槽と外槽との間に洗剤や仕上剤を投入する投入装置とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗濯乾燥機のように洗剤を自動投入する機能を有する洗濯機において、例えば使用者の都合により、洗濯兼脱水槽及び外槽への給水後に洗濯機の電源がOFFにされることによって洗濯運転が中止され、その後に、洗濯機の電源がONにされて、洗濯兼脱水槽及び外槽に既に水が溜まった状態で新たに洗濯運転が実行される場合がある。この場合、洗濯兼脱水槽及び外槽に溜まった水に洗剤が投入済であるか否かがわからなければ、洗濯機の電源がONになった後の新たな洗濯運転では、洗剤を自動投入すべきか否かを判断しにくい。
【0005】
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、洗濯槽内に水が溜まった状態で洗濯運転が実行される場合において洗濯槽内に洗剤が投入済であるか否かを特定することができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗濯物を収容し、水が溜められる洗濯槽と、前記洗濯槽内に給水するための給水部と、前記洗濯槽内における水の有無を検出する水検出部と、前記洗濯槽内の水の導電率を検出する導電率検出部と、前記洗濯槽内に洗剤を投入するための投入部と、前記洗濯槽内の洗濯物についての洗濯運転を実行する制御部であって、前記洗濯運転の開始時に前記洗濯槽内に水が存在しないことを前記水検出部が検出した場合に、前記給水部によって前記洗濯槽内に給水してから、前記導電率検出部の検出結果に応じて前記洗濯運転の運転条件を調整し、調整後の前記運転条件に応じた投入量の洗剤を前記投入部によって前記洗濯槽内に投入する制御部と、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての設定を記憶する記憶部とを含み、前記洗濯運転の開始時に前記洗濯槽内に水が既に存在することを前記水検出部が検出した場合に、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が投入済であるか否かを、前記記憶部に記憶された前記設定に基づいて判断する、洗濯機である。
【0007】
また、本発明は、前記設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての現在の設定を含み、前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入しない設定であれば、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての前記洗濯機の電源ON時の設定も含み、前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前記電源ON時の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入しない設定であれば、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記記憶部が、前回の電源OFF時に前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入済であるか否かも記憶し、前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定であって、前記電源ON時の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前回の電源OFF時に前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入済であれば、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が投入済であると判断することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記現在の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定であって、前記電源ON時の設定が、前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前回の電源OFF時に前記投入部によって前記洗濯槽内に洗剤を未投入であれば、前記制御部が、前記洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗濯機では、洗濯運転の開始時に洗濯槽内に水が存在しないことを水検出部が検出した場合に、制御部が、給水部によって洗濯槽内に給水してから、導電率検出部の検出結果に応じて洗濯運転の運転条件を調整し、調整後の運転条件に応じた投入量の洗剤を投入部によって洗濯槽内に投入する。これにより、洗濯運転では、洗濯槽内に投入された適切な投入量の洗剤によって、洗濯槽内の洗濯物を効果的に洗濯することができる。
【0012】
投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての設定は、記憶部に記憶される。洗濯運転の開始時に洗濯槽内に水が既に存在することを水検出部が検出した場合に、制御部が、洗濯槽内に洗剤が投入済であるか否かを、記憶部に記憶された前記設定に基づいて理詰めで判断する。
【0013】
具体的には、記憶部に、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての現在の設定が記憶される場合において、現在の設定が、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入しない設定であれば、制御部が、現在の洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断する。
【0014】
また、記憶部には、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入するか否かについての洗濯機の電源ON時の設定も記憶されてもよい。現在の設定が、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、その少し前のタイミングである電源ON時の設定が、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入しない設定であれば、制御部は、現在の洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断する。
【0015】
また、記憶部には、前回の電源OFF時に投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入済であるか否かも記憶されてもよい。現在の設定が、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入する設定であって、電源ON時の設定が、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前回の電源OFF時に投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入済であれば、制御部が、現在の洗濯槽内に洗剤が投入済であると判断する。
【0016】
一方、現在の設定が、投入部によって洗濯槽内に洗剤を投入する設定であって、電源ON時の設定が、投入部によって記洗濯槽内に洗剤を投入する設定である場合において、前回の電源OFF時に投入部によって洗濯槽内に洗剤を未投入であれば、制御部が、現在の洗濯槽内に洗剤が未投入であると判断する。
【0017】
以上により、洗濯槽内に水が溜まった状態で洗濯運転が実行される場合において、現在の洗濯槽内に洗剤が投入済であるか否かを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】洗濯機の記憶部に記憶されるテーブルを示す図である。
【
図4】洗濯機において実行される洗濯運転を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1において紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1の紙面の奥側を左側X1といい、
図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0020】
洗濯機1には、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含まれるが、以下では、乾燥機能が省略されて洗濯運転だけを実行する洗濯機を例に取って洗濯機1について説明する。洗濯機1は、その外郭をなす筐体2と、筐体2内に配置される外槽3と、外槽3内に収容される洗濯槽4と、洗濯槽4内に収容される回転翼5と、洗濯槽4や回転翼5を回転させるトルクを発生する電動のモータ6と、モータ6が発生したトルクの伝達先を切り替える電動の伝達機構7とを含む。
【0021】
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成される。筐体2の上面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。上面2Aには、開口2Bを開閉する扉8が設けられる。上面2Aにおいて、例えば開口2Bよりも前側Y1の領域には、タッチパネルなどで構成された表示操作部10が設けられる。
【0022】
使用者は、表示操作部10を操作することによって、洗濯機1の電源をON又はOFFしたり、洗濯条件を自由に選択したり、洗濯機1に対して運転開始や運転停止などを指示したりすることができる。表示操作部10には、洗濯運転に関する情報が目視可能に表示される。
【0023】
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。外槽3は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁3Bと、円周壁3Aの上側Z1の端縁を縁取りつつ円周壁3Aの円中心側へ張り出したリング状の環状壁3Cとを有する。環状壁3Cの内側には、開口3Dが形成される。開口3Dは、筐体2の開口2Bの真下に配置される。円周壁3Aの中空部分が、開口3Dから上側Z1へ露出される。底壁3Bは、水平方向に沿って延びる円板状に形成され、底壁3Bの円中心位置には、底壁3Bを貫通する貫通穴3Eが形成される。外槽3には、水が溜められる。
【0024】
外槽3には、排水路11が下側Z2から接続され、外槽3内の水は、排水路11から機外に排出される。排水路11の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁12が設けられる。
【0025】
洗濯槽4は、例えば金属製であり、上下方向Zに延びる中心軸Jを有し、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。洗濯槽4は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁4Bとを有する。
【0026】
円周壁4Aの内周面の上端部によって囲まれた空間は、円周壁4Aの中空部分を上側Z1に露出させる出入口4Cである。出入口4Cは、外槽3の開口3Dと筐体2の開口2Bとに下側Z2から連通した状態にある。洗濯機1の使用者は、扉8を開いて開口2B、開口3D及び出入口4Cを開放し、開口2B、開口3D及び出入口4Cを介して、洗濯槽4に対して洗濯物Qを出し入れする。
【0027】
洗濯槽4は、外槽3内に同軸上で収容され、上下方向Zに沿って配置される。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、中心軸Jまわりに回転可能である。洗濯槽4の円周壁4A及び底壁4Bには、図示しない貫通穴が複数形成され、外槽3内の水は、当該貫通穴を介して外槽3と洗濯槽4との間で行き来して、洗濯槽4内にも溜まる。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽4内の水位とは一致する。
【0028】
洗濯槽4の底壁4Bは、外槽3の底壁3Bに対して上側Z1に間隔を隔てて略平行に延びる円板状に形成され、底壁4Bにおいて中心軸Jと一致する円中心位置には、底壁4Bを貫通する貫通穴4Dが形成される。底壁4Bには、貫通穴4Dを取り囲みつつ中心軸Jに沿って下側Z2へ延び出た管状の支持軸13が設けられる。支持軸13は、外槽3の底壁3Bの貫通穴3Eに挿通されて、支持軸13の下端部は、底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0029】
回転翼5は、いわゆるパルセータであり、中心軸Jを円中心とする円盤状に形成され、洗濯槽4内において底壁4Bに沿って洗濯槽4と同軸上に配置される。回転翼5において洗濯槽4の出入口4Cを下側Z2から臨む上面には、放射状に配置される複数の羽根5Aが設けられる。
【0030】
回転翼5には、その円中心から中心軸Jに沿って下側Z2へ延びる回転軸14が設けられる。回転軸14は、支持軸13の中空部分に挿通されて、回転軸14の下端部は、外槽3の底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0031】
モータ6は、筐体2内において、外槽3の下側Z2に配置される。モータ6は、中心軸Jを中心として回転する出力軸15を有する。伝達機構7は、支持軸13及び回転軸14のそれぞれの下端部と、出力軸15の上端部との間に介在される。伝達機構7は、モータ6が出力軸15から出力するトルクを、支持軸13及び回転軸14の一方又は両方に対して選択的に伝達する。伝達機構7として、公知のクラッチなどが用いられる。
【0032】
モータ6からのトルクが支持軸13に伝達されると、洗濯槽4が中心軸Jまわりに回転する。モータ6からのトルクが回転軸14に伝達されると、回転翼5が中心軸Jまわりに回転する。モータ6の出力軸15の回転方向が変更可能なので、洗濯槽4及び回転翼5のそれぞれは、一方向だけでなく、当該一方向とは反対の他方向にも回転できる。
【0033】
外槽3及び洗濯槽4への給水に関連して、洗濯機1は、蛇口(図示せず)からの水道水を洗濯槽4内に供給するための給水路20と、筐体2内に配置されて洗剤や柔軟剤を給水路20に自動投入する投入部21と、筐体2内で給水路20に合流した風呂水供給路22とをさらに含む。
【0034】
給水路20の一端(図示せず)は、筐体2の外に引き出されて、蛇口に接続される。給水路20の他端は、筐体2内に配置されて、給水口20Aとして洗濯槽4の出入口4Cに上側Z1から臨む。給水路20において、筐体2の外に配置される上流部20Bと、筐体2内に配置されて給水口20Aを有する下流部20Cとは分離可能であってもよく、この場合、上流部20Bと下流部20Cとは、ジョイント(図示せず)によって連結される。
【0035】
下流部20Cには、開閉可能な給水弁23が設けられる。給水弁23は、電磁弁などによって構成される。給水弁23が開くと、蛇口からの水道水が給水路20を流れて給水口20Aから洗濯槽4内に供給され(
図1の破線矢印を参照)、外槽3内及び洗濯槽4内に溜まる。給水弁23は、洗濯槽4内に給水するための給水部の一例として機能する。給水弁23が閉じると、水道水による給水が停止される。
【0036】
投入部21は、給水路20を介して洗濯槽4内に洗剤を投入するための洗剤投入部21Aと、給水路20を介して洗濯槽4内に柔軟剤を給水路20に投入するための柔軟剤供給部21Bとを含む。洗剤投入部21Aは、筐体2内において洗濯槽4よりも上側Z1に配置される。洗剤投入部21Aは、液体洗剤などの洗剤を収容する洗剤収容部24と、洗剤収容部24の下端部と給水路20とをつなぐ洗剤供給路25と、洗剤供給路25に設けられた洗剤供給弁26とを有する。
【0037】
洗剤収容部24は、ボックス状又はタンク状に形成され、筐体2に固定される。洗剤収容部24の少なくとも上面部は、使用者が筐体2の扉8を開いたときに、筐体2の上面2Aの開口2Bに露出される。洗剤収容部24の上面部には、開閉可能又は着脱可能な蓋27が設けられる。
【0038】
使用者が開口2Bから蓋27にアクセスして蓋27を開いたり取り外したりすると、洗剤収容部24の内部が露出されるので、使用者は、洗剤を洗剤収容部24内に補充することができる。洗剤収容部24内には、洗濯運転を複数回数実施できる量の洗剤を事前に収容することができる。洗剤の補充を終えた使用者は、蓋27を閉じたり洗剤収容部24に取り付けたりする。蓋27は、筐体2の上面2Aに露出されてもよく、この場合には、使用者は、扉8を開かなくても蓋27にアクセスすることができる。
【0039】
洗剤供給路25は、洗剤収容部24の下端部から少なくとも下側Z2へ延びて、給水路20の下流部20Cにおいて給水弁23よりも給水口20Aに近い下流領域20Dに接続される。洗剤供給弁26は、電動であり、本実施形態では電磁弁などによって構成され、洗剤供給弁26自身が開閉することによって洗剤供給路25を開閉することができる。
【0040】
洗剤投入部21Aでは、洗剤供給弁26が開くと洗剤供給路25が開放されるので、洗剤収容部24内の洗剤が、自重によって洗剤供給路25を流れ落ちた後に、給水路20の下流領域20Dに供給される。このときに給水弁23が開いた状態にあれば、下流領域20Dに供給された洗剤が、給水路20を流れる水道水に乗って、給水口20Aから洗濯槽4内に投入される。洗剤供給弁26が閉じると、洗剤供給路25が遮断されるので、洗剤収容部24からの洗剤の供給が停止される。
【0041】
柔軟剤供給部21Bは、筐体2内において洗濯槽4よりも上側Z1に配置される。柔軟剤供給部21Bは、液体柔軟剤を収容する柔軟剤収容部30と、柔軟剤収容部30の下端部と洗剤供給路25とをつなぐ柔軟剤供給路31と、柔軟剤供給路31に設けられた柔軟剤供給弁32とを有する。
【0042】
柔軟剤収容部30は、ボックス状又はタンク状に形成され、筐体2に固定される。本実施形態では、洗剤収容部24と柔軟剤収容部30とが横並びに隣り合って配置されるが、これらは、互いに離れて配置されてもよい。柔軟剤収容部30の少なくとも上面部は、使用者が筐体2の扉8を開いたときに、筐体2の上面2Aの開口2Bに露出される。柔軟剤収容部30の上面部には、開閉可能又は着脱可能な蓋33が設けられる。
【0043】
使用者が開口2Bから蓋33にアクセスして蓋33を開いたり取り外したりすると、柔軟剤収容部30の内部が露出されるので、使用者は、柔軟剤を柔軟剤収容部30内に補充することができる。柔軟剤収容部30内には、洗濯運転を複数回数実施できる量の柔軟剤を事前に収容することができる。柔軟剤の補充を終えた使用者は、蓋33を閉じたり柔軟剤収容部30に取り付けたりする。蓋33は、筐体2の上面2Aに露出されてもよく、この場合には、使用者は、扉8を開かなくても、蓋33にアクセスすることができる。
【0044】
柔軟剤供給路31は、柔軟剤収容部30の下端部から少なくとも下側Z2へ延びて、洗剤供給路25において洗剤供給弁26よりも給水路20に近い下流領域25Aに接続される。本実施形態の柔軟剤供給路31は、下流領域25Aを介して柔軟剤収容部30と給水路20とをつなぐ。または、柔軟剤供給路31は、下流領域25Aを介さずに給水路20に接続されることによって、柔軟剤収容部30と給水路20とを直接つないでもよい。
【0045】
柔軟剤供給弁32は、電動であり、本実施形態では電磁弁などによって構成され、柔軟剤供給弁32自身が開閉することによって柔軟剤供給路31を開閉することができる。柔軟剤供給部21Bでは、柔軟剤供給弁32が開くと柔軟剤供給路31が開放される。
【0046】
すると、柔軟剤収容部30内の柔軟剤が、自重によって柔軟剤供給路31及び洗剤供給路25を順に流れ落ちた後に、給水路20の下流領域20Dに供給される。このときに給水弁23が開いた状態にあれば、下流領域20Dに供給された柔軟剤が、給水路20を流れる水道水に乗って、給水口20Aから洗濯槽4内に投入される。柔軟剤供給弁32が閉じると、柔軟剤供給路31が遮断されるので、柔軟剤収容部30からの柔軟剤の供給が停止される。
【0047】
洗剤供給路25の下流領域25A、厳密には下流領域25Aにおいて柔軟剤供給路31との接続部分よりも給水路20に近い領域には、電動の投入ポンプ34が設けられてもよい。投入ポンプ34は、駆動されることによって、下流領域25Aにおける洗濯用の処理剤、つまり洗洗剤又は柔軟剤を吸い込んで給水路20の下流領域20D側に吐出する。そのため、洗剤収容部24内の洗剤又は柔軟剤収容部30内の柔軟剤を、下流領域20Dに効率的に供給することができる。そして、使用者は、表示操作部10を操作することによって、投入部21によって洗濯槽4内に処理剤を自動投入するか否かを設定することができる。なお、以下の説明では、処理剤として、主に洗剤に着目する。
【0048】
風呂水供給路22に関連して、筐体2の上面2Aには、風呂水を取り込むための取込口35が設けられる。風呂水供給路22の一端22Aは、取込口35に接続され、風呂水供給路22の他端22Bは、給水路20の下流領域20Dに接続される。取込口35は、上面2Aつまり筐体2の表面に露出された穴である。取込口35は、筐体2に形成された穴を指してもよいし、この穴から露出される一端22Aの開口を指してもよい。
【0049】
風呂水供給路22には、電動の風呂水ポンプ36が設けられる。取込口35には、一端が風呂水に浸けられる風呂水ホース(図示せず)の他端が接続される。風呂水ポンプ36が駆動されると、風呂水が、風呂水ホース内に吸い込まれて、取込口35において風呂水供給路22に取り込まれる。風呂水供給路22に取り込まれた風呂水は、給水路20の下流領域20Dに供給された後に、給水口20Aから洗濯槽4内に供給される。風呂水ポンプ36も、前述した給水部の一例として機能する。風呂水ポンプ36が停止されると、風呂水による給水が停止される。
【0050】
図2は、洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。洗濯機1は、水検出部38と、導電率検出部39と、制御部40と、記憶部41とをさらに含む。
【0051】
水検出部38は、洗濯槽4内の水位、少なくとも洗濯槽4内における水の有無を検出するセンサである。水検出部38として、公知のセンサを採用できる。
【0052】
導電率検出部39は、洗濯槽4内に溜まった水の導電率を検出するセンサである。導電率検出部39として、公知のセンサを採用できる。導電率検出部39は、外槽3内において水に浸かる位置に配置される(
図1参照)。
【0053】
制御部40は、例えば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、計時用のタイマとを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される(
図1参照)。水検出部38、導電率検出部39、並びに、前述したモータ6、伝達機構7、表示操作部10、排水弁12、給水弁23、洗剤供給弁26、柔軟剤供給弁32、投入ポンプ34、風呂水ポンプ36及び記憶部41のそれぞれは、制御部40に対して電気的に接続される。
【0054】
水検出部38及び導電率検出部39のそれぞれの検出結果は、リアルタイムで制御部40に入力される。制御部40は、モータ6及び伝達機構7のそれぞれの動作を制御する。使用者による表示操作部10の操作内容は、制御部40に入力される。制御部40は、表示操作部10の表示内容を制御する。制御部40は、排水弁12、給水弁23、洗剤供給弁26及び柔軟剤供給弁32のそれぞれの開閉、つまりON・OFFを制御する。制御部40は、投入ポンプ34及び風呂水ポンプ36のそれぞれの動作を制御する。
【0055】
記憶部41は、様々な情報を記憶する。制御部40は、記憶部41に記憶された情報を参照したり、記憶部41に新たな情報を記憶したり、記憶部41内の情報を更新したりする。
【0056】
図3は、記憶部41に記憶されるテーブルTを示す図である。テーブルTには、投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を自動投入するか否かについての設定が記憶される。この設定は、これから投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入するか否かについての「現在の設定」と、投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入するか否かについての洗濯機1の「電源ON時の設定」とを含む。現在つまり現時点の設定と、現時点よりも少し前のタイミングである電源ON時の設定とは、同じであるとは限らない。また、テーブルTには、前回の電源OFF時に投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入済であるか否か、つまり「前回の電源OFF時の投入有無」も記憶される。
【0057】
図3では、一例として、現在の設定が、洗剤の自動投入有りであって、電源ON時の設定が、洗剤の自動投入無しであって、前回の電源OFF時に洗剤の投入が無かったことが、テーブルTに記憶された状態にある。なお、前回の電源OFF時に関して、通常は前回つまり直前の洗濯運転では全ての工程が最後まで実行されたことに応じて電源がOFFにされるが、前回の洗濯運転の途中に電源がOFFにされることもある。そのため、
図3における前回の電源OFF時に洗剤の投入が無かったということは、前回の洗濯運転が、洗剤を洗濯槽4に自動投入する前のタイミングにおいて電源OFFによって途中で中止されたこと、又は、前回の洗濯運転では洗剤の自動投入の設定が無かったことを意味する。
【0058】
制御部40は、モータ6、伝達機構7、排水弁12、給水弁23、洗剤供給弁26、柔軟剤供給弁32、投入ポンプ34及び風呂水ポンプ36の動作を制御することによって、洗濯槽4内の洗濯物Qについての洗濯運転を実行する。洗濯運転は、洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程の後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程後に洗濯物Qを脱水する脱水工程とを含む。すすぎ工程は、複数回実行されてもよい。脱水工程は、洗い工程やすすぎ工程の直後に実行される中間脱水工程と、洗濯運転の最後に実行される最終脱水工程とを含む。
【0059】
図4は、洗濯運転を示すフローチャートである。洗濯運転を開始した制御部40は、まず、洗濯運転の開始時に洗濯槽4内に水が存在するか否かを、水検出部38の検出結果に基づいて確認する(ステップS1)。洗濯槽4内に水が存在しないこととは、洗濯物Q以外に洗濯槽4内に水が存在しないことを意味してもよいし、若干の水が存在するものの洗濯槽4内の水位が所定の基準水位よりも低いことを意味してもよい。基準水位は、洗濯槽4の底壁4B(
図1参照)の上面以下の水位であってもよい。
【0060】
洗濯運転の開始時に洗濯槽4内に水が存在しないことを水検出部38が検出した場合に(ステップS1でNO)、制御部40は、洗濯槽4内の洗濯物Qによる負荷量を検出する(ステップS2)。負荷量は、洗濯物Qの収容量に相当する。負荷量の検出方法の一例として、制御部40は、洗濯物Qが載せられた回転翼5を所定時間回転させた直後にモータ6の駆動を停止させてモータ6を惰性回転させ、そのときのモータ6の惰性回転量を測定する。洗濯物Qが重いことによって負荷量が大きいほど、モータ6の惰性回転量は小さくなる。洗濯物Qが軽いことによって負荷量が小さいほど、モータ6の惰性回転量は大きくなる。制御部40は、惰性回転数の大小に応じて負荷量を検出する。
【0061】
制御部40は、検出した負荷量に基いて、洗剤及び柔軟剤のそれぞれの投入量と、洗い工程及びすすぎ工程における洗濯槽4内の目標水位と、洗濯運転の運転時間とを決定する。負荷量毎の洗剤及び柔軟剤のそれぞれの投入量と、負荷量毎の目標水位と、負荷量毎の運転時間とは、負荷量毎の運転条件として予め定められて記憶部41に記憶される。制御部40は、決定した洗剤及び柔軟剤のそれぞれの投入量を表示操作部10に表示することによって使用者に報知してもよい。
【0062】
そして、制御部40は、少なくとも排水弁12及び柔軟剤供給弁32を閉じた状態で給水弁23を所定時間開くことによって洗濯槽4内に給水する(ステップS3)。なお、制御部40は、給水時において、給水弁23を開くのでなく、風呂水ポンプ36を作動させることによって風呂水を洗濯槽4内に供給してもよいし、給水弁23を開くのと同時に風呂水ポンプ36を作動させてもよい。
【0063】
給水の際、制御部40は、テーブルTを参照して、現在の設定が洗剤の自動投入有りであるか否かを確認する(ステップS4)。現在の設定が洗剤の自動投入有りでない場合には(ステップS4でNO)、今回の洗濯運転は標準運転であり、制御部40は、使用者による洗濯槽4内への洗剤の手動投入を待機する(ステップS5)。例えば、扉8の開閉を検出する開閉検出部(図示せず)が設けられて、給水開始から所定時間内に開閉検出部が扉8の開閉を検出した場合に、待機中の制御部40は、洗剤の手動投入が有ったと判断して、次の処理に進む。
【0064】
現在の設定が洗剤の自動投入有りである場合には(ステップS4でYES)、今回の洗濯運転は、最適な投入量の洗剤が自動投入される自動運転であり、制御部40は、洗剤投入部21Aによって洗剤収容部24内における洗濯運転1回分の洗剤を洗濯槽4内に自動投入する(ステップS6)。具体的には、制御部40は、洗濯槽4内に現在溜まった水の導電率についての導電率検出部39の検出結果に応じて今回の洗濯運転の運転条件を調整することによって、特に、運転条件における洗剤の投入量及び運転時間を補正する。
【0065】
補正後の洗剤の投入量及び運転時間は、ステップS2において負荷量に応じて決定した洗剤の投入量及び運転時間よりも、洗濯槽4内の水の水質などに一層適した、つまり今回の洗濯運転に最適な値である。このように運転条件を調整した制御部40は、洗剤投入部21Aの洗剤供給弁26を開くことによって、調整後の運転条件に応じた投入量の洗剤を洗濯槽4内に投入する。この際、制御部40は、必要に応じて投入ポンプ34を駆動させてもよい。
【0066】
以上のように洗剤が手動投入(ステップS5)又は自動投入(ステップS6)された後に、制御部40は、洗濯工程、つまり、洗い工程及びすすぎ工程と実行する(ステップS7)。
【0067】
洗い工程では、制御部40は、モータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、撹拌されたり、洗剤によって汚れが分解されたりすることによって洗浄される。前述した自動運転の場合には、導電率検出部39による検出結果に応じて調整されたうえで洗濯槽4内に投入された適切な投入量の洗剤によって、洗濯槽4内の洗濯物Qを効果的に洗濯することができる。そして、洗い工程の最後に、制御部40は、排水弁12を開くことによって洗濯槽4を排水する。
【0068】
すすぎ工程では、制御部40は、まず、少なくとも排水弁12及び洗剤供給弁26を閉じた状態で給水弁23を所定時間開くことによって、水道水を洗濯槽4内に溜める。この際、制御部40は、柔軟剤供給弁32を所定時間開き、必要に応じて投入ポンプ34を所定時間駆動させることによって、柔軟剤収容部30内における洗濯運転1回分の柔軟剤を、給水路20を流れる水道水に乗せて洗濯槽4内に投入してもよい。そして、制御部40は、モータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qがすすがれる。最後に、制御部40は、洗濯槽4を排水する。
【0069】
そして、制御部40は、脱水工程を実行する(ステップS8)。脱水工程では、制御部40は、排水弁12を開いた状態でモータ6及び伝達機構7を制御することによって、洗濯槽4を所定の脱水回転数で回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、遠心力が作用することによって脱水される。なお、中間脱水工程と最終脱水工程とでは、運転条件が異なってもよく、一例として、最終脱水工程の脱水回転数は、中間脱水工程の脱水回転数よりも高くてもよい。最終脱水工程の終了に応じて、今回の洗濯運転が終了する。
【0070】
ところで、洗濯槽4に水が溜まった状態で、使用者が表示操作部10を操作して洗濯機1の電源をOFFにすることによって洗濯運転を中止して、その後に、使用者が、表示操作部10を操作して洗濯機1の電源をONにして新たに洗濯運転を開始しようとすることが想定される。この場合には、洗濯槽4に水が溜まった状態で新たな洗濯運転が開始されるが、前回の洗濯運転において投入された洗剤が洗濯槽4内の水に溶けた状態のまま新たな洗濯運転が開始された場合には、新たな洗濯運転では、洗剤の過剰投入を防止して、適切な投入量の洗剤によって洗濯物Qを洗濯する必要がある。
【0071】
そこで、新たな洗濯運転の開始時において洗濯槽4内に水が既に存在することを水検出部38が検出した場合には(ステップS1でYES)、制御部40は、洗濯槽4内に洗剤が投入済であるか否かを、記憶部41に記憶された情報に基づいて判断する。
【0072】
具体的には、まず、制御部40は、洗濯槽4内に現在溜まった水の導電率と、記憶部41に予め記憶された閾値とを比較する(ステップS9)。この閾値は、洗濯槽4内の水に粉末洗剤が溶けた状態にあるか否かを判断するための閾値である。現在の導電率が閾値を上回る場合には(ステップS9でYES)、前回の洗濯運転は、水が溜まった洗濯槽4内に粉末洗剤が投入された状態で中止された可能性が高いので、制御部40は、新たに洗剤を投入することなく、洗濯工程(ステップS7)及び脱水工程(ステップS8)を実行する。なお、洗濯工程のために、制御部40は、給水弁23を開いたり風呂水ポンプ36を作動させたりすることによって、洗濯槽4内への補給水を実行してもよい。
【0073】
現在の導電率が閾値以下である場合には(ステップS9でNO)、前回の洗濯運転は、粉末洗剤が投入されずに中止された可能性が高いが、水が溜まった洗濯槽4内に液体洗剤が投入された状態で中止されたか否かは不明である。粉末洗剤の場合とは異なり、水道水と、液体洗剤が溶けた水とでは、導電率の差が小さいので、水が溜まった洗濯槽4内に液体洗剤が投入されたか否かを導電率に基づいて正確に判断することは困難である。そこで、制御部40は、洗濯槽4内に洗剤が投入済であるか否かを、記憶部41のテーブルT(
図3参照)に記憶された設定に基づいて判断する。
【0074】
具体的には、まず、制御部40は、テーブルTにおける現在の設定を確認する(ステップS10)。現在の設定が、投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を自動投入しない設定であれば(ステップS10でNO)、制御部40は、現在の洗濯槽4内には洗剤が未投入であると判断して、使用者による洗濯槽4内への洗剤の手動投入を待機する(ステップS11)。洗剤の手動投入後に、制御部40は、洗濯工程(ステップS7)及び脱水工程(ステップS8)を実行する。洗濯工程に際して、制御部40は、洗濯槽4内への補給水を実行してもよい。
【0075】
現在の設定が、投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を自動投入する設定であれば(ステップS10でYES)、制御部40は、テーブルTにおける電源ON時の設定を確認する(ステップS12)。電源ON時の設定が、投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入しない設定であれば(ステップS12でNO)、今回の洗濯運転に関して、使用者は、洗濯機1の電源をONにした後に表示操作部10を操作して、現在の設定を洗剤の自動投入有りに変更した可能性が高い。
【0076】
この場合には(ステップS12でNO)、制御部40は、現在の洗濯槽4内に洗剤が未投入であると判断して、洗剤投入部21Aによって今回の洗濯運転1回分の洗剤を洗濯槽4内に自動投入する(ステップS6)。そして、制御部40は、洗濯工程(ステップS7)及び脱水工程(ステップS8)を実行する。洗濯工程に際して、制御部40は、洗濯槽4内への補給水を実行してもよい。
【0077】
一方、電源ON時の設定が、投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入する設定であれば(ステップS12でYES)、前回の洗濯運転での電源OFF時に投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入された可能性がある。そこで、制御部40は、テーブルTを参照して、前回の電源OFF時に投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入済であるか否かを確認する(ステップS13)。前回の電源OFF時に投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を投入済であれば(ステップS13でYES)、制御部40は、現在の洗濯槽4内に洗剤が投入済であると判断して、新たに洗剤を投入することなく、洗濯工程(ステップS7)及び脱水工程(ステップS8)を実行する。洗濯工程に際して、制御部40は、洗濯槽4内への補給水を実行してもよい。
【0078】
前回の電源OFF時に投入部21によって洗濯槽4内に洗剤を未投入であれば(ステップS13でNO)、制御部40は、現在の洗濯槽4内に洗剤が未投入であると判断して、洗剤投入部21Aによって今回の洗濯運転1回分の洗剤を洗濯槽4内に自動投入する(ステップS6)。そして、制御部40は、洗濯工程(ステップS7)及び脱水工程(ステップS8)を実行する。洗濯工程に際して、制御部40は、洗濯槽4内への補給水を実行してもよい。
【0079】
以上のように、洗濯槽4内に水が溜まった状態で洗濯運転が実行される場合において(ステップS1でYES)、制御部40が、現在の洗濯槽4内に洗剤が投入済であるか否かを、記憶部41に記憶された設定などに基づいて理詰めで判断するので、現在の洗濯槽4内に洗剤が投入済であるか否かを特定することができる。これにより、洗濯槽4内に水が溜まった状態でこれから洗濯運転を実行する場合において、洗濯槽4内の水を一旦排出しなくても、洗濯運転を実行することができる。
【0080】
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、洗濯運転の開始から洗濯工程(ステップS7)の洗い工程の前に実行される処理(ステップS1~6及びS9~S13の処理)を、前述したように洗い工程から独立した処理とみなしてもよいし、洗い工程内の処理とみなしてもよい。
【0082】
また、洗濯機1は、本実施形態では洗濯槽4が縦に配置された縦型洗濯機であったが、洗濯槽4の中心軸Jは、上下方向Zつまり垂直方向に沿って配置される以外に、垂直方向に対して傾斜して配置されてもよい。さらに、洗濯機1は、中心軸Jが水平になったドラム式洗濯機であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 洗濯機
4 洗濯槽
21 投入部
23 給水弁
36 風呂水ポンプ
38 水検出部
39 導電率検出部
40 制御部
41 記憶部
Q 洗濯物