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特開2023-91881情報処理装置、情報処理方法、プログラム及びX線分析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091881
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及びX線分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/20 20180101AFI20230626BHJP
   G01N 23/201 20180101ALI20230626BHJP
   G01N 23/207 20180101ALI20230626BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20230626BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230626BHJP
【FI】
G01N23/20 400
G01N23/201
G01N23/207
G06N3/08
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206726
(22)【出願日】2021-12-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.THUNDERBOLT
(71)【出願人】
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】株式会社リガク
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】姫田 章宏
(72)【発明者】
【氏名】太田 卓見
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001BA14
2G001BA18
2G001CA01
2G001FA29
2G001KA20
2G001MA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】反射率測定、ロッキングカーブ測定、GI-SAXS(Grazing incidence Small-angle X-ray Scattering)測定等により薄膜を分析する際、機械学習を用いて薄膜に関するパラメータを高速に最適化する情報処理装置、情報処理方法、プログラム及びX線分析装置を提供する。
【解決手段】一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、薄膜からのX線の強度に関するプロファイル結果をニューラルネットワークに入力することで、薄膜に関するパラメータ結果を出力する。ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関するプロファイルデータを入力データとし、薄膜に関するパラメータデータを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
制御部を有し、
前記制御部は、
薄膜からのX線の強度に関するプロファイル結果をニューラルネットワークに入力することで、前記薄膜に関するパラメータ結果を出力し、
前記ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関するプロファイルデータを入力データとし、前記薄膜に関するパラメータデータを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記パラメータ結果は、略正解のパラメータから成る初期値情報である、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
薄膜の構造、層の枚数及び最適化されるパラメータに応じて、前記ニューラルネットワークを設定する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1つに記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記プロファイルデータとして、薄膜の各層の物質、膜厚、密度、粗さ、組成、格子定数及びサイズ分布のうち、少なくとも一つが設定されることにより、理論的に決定される測定シミュレーションプロファイルを用いる、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか1つに記載の情報処理装置において、
前記パラメータデータ及び前記パラメータ結果は、薄膜の膜厚、密度、粗さ、組成、格子定数及びサイズ分布のうち、少なくとも一つに関する情報である、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1つに記載の情報処理装置において、
記憶部を有し、
前記制御部は、
前記ニューラルネットワークのデータを、外部装置より前記記憶部にダウンロードさせる、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1つに記載の情報処理装置において、
前記パラメータ結果は、略正解のパラメータから成る初期値情報であり、
前記制御部は、
前記初期値情報を最適化することにより、正解のパラメータを取得する、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記初期値情報に局所最適化法を適用させることにより、正解のパラメータを取得する、
情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置であって、
制御部と、記憶部と、を有し、
前記制御部は、
薄膜からのX線の強度に関するプロファイルデータを入力データとし、前記薄膜に関するパラメータデータを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークを生成し、前記ニューラルネットワークを前記記憶部に記憶する、
情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1つに記載の情報処理装置において、
前記ニューラルネットワークは、前記ニューラルネットワークを使用するユーザ毎に設定される、
情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
薄膜からのX線の強度に関するプロファイル結果をニューラルネットワークに入力することで、パラメータ結果を出力させ、
前記ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関するプロファイルデータを入力データとし、前記薄膜に関するパラメータデータを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである、
情報処理方法。
【請求項12】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1から請求項10までの何れか1項に記載の情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
X線分析装置であって、
薄膜にX線を入射させ、前記薄膜から反射、回折又は散乱したX線からプロファイル結果を取得し、前記プロファイル結果を請求項1から請求項10までの何れか1項に記載の情報処理装置に送信するX線分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射率測定、ロッキングカーブ測定、GI-SAXS(Grazing incidence Small-angle X-ray Scattering)測定等により薄膜を分析する際、機械学習を用いて薄膜に関するパラメータを高速に最適化する情報処理装置、情報処理方法、プログラム及びX線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線分析装置を用いた薄膜の分析では、薄膜からのX線強度を表すプロファイル結果を取得し、薄膜の構造モデルから生成されるプロファイルとのフィッティングを行い、薄膜に関するパラメータを決定する。例えば、反射率測定では、X線強度は薄膜からの反射強度であり、パラメータは薄膜の膜厚、密度、粗さ等である。ロッキングカーブ測定では、X線強度は薄膜からの回折強度であり、パラメータは薄膜の格子定数、膜厚、組成等である。GI-SAXSでは、X線強度は薄膜からの散乱強度であり、パラメータは薄膜の空隙径、粒径等のサイズ分布である。これらの解析では、大域最適化等の最適化手法を用いて、薄膜のパラメータの初期値を推定している。そして、局所最適化を用いて、初期値を精密化する。
【0003】
特許文献1には、薄膜の膜厚や組成を推定するためのロッキングカーブ測定によるX線回折結果の解析において、大域最適化法により、最適解を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-249784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の大域最適化法を用いた解析では、解析に多大な時間を要する問題があった。
【0006】
本発明の一つは、このような問題を解決するためになされたもので、反射率測定、ロッキングカーブ測定、GI-SAXS測定等の測定結果を解析して薄膜に関するパラメータを高速に最適化するX線分析装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、薄膜からのX線の強度に関するプロファイル結果をニューラルネットワークに入力することで、薄膜に関するパラメータ結果を出力する。ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関するプロファイルデータを入力データとし、薄膜に関するパラメータデータを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、正解、偽解及び初期値のパラメータを説明する図である。
図2図2は、測定プロファイルを説明する図である。
図3図3は、測定シミュレーションプロファイルを説明する図である。
図4図4は、実施形態1に係る情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態1に係るコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態1に係るコンピュータの機能構成の一例を示す図である。
図7図7は、情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
図8図8は、コンピュータの画面の一例を示す図である。
図9図9は、ニューラルネットワークを用いた学習実行時における情報処理の一例を示す図である。
図10図10は、ニューラルネットワークを用いた学習実行時における情報処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
[定義]
本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
パラメータは、最適化される値と固定値として与える値がある。解析時に最適化されるパラメータは、薄膜の膜厚、密度、粗さ、組成、格子定数及びサイズ分布のうち、1以上を有する情報である。より具体的には、反射率測定におけるパラメータは、基板や薄膜の元素や組成を固定して、薄膜の膜厚、密度及び粗さを最適化する。また、ロッキングカーブ測定におけるパラメータは、薄膜の密度や基板の格子定数等を固定して、薄膜の膜厚、組成を最適化する。更に、GI-SAXS測定におけるパラメータは、薄膜と空気もしくは粒子の密度を固定して、薄膜の空隙径、粒径等のサイズ分布を最適化する。本明細書では、パラメータ結果及びパラメータデータの何れも含む概念として、パラメータという用語が用いられる。
【0014】
図1は、正解、偽解及び初期値のパラメータを説明する図である。
図1には、評価値を縦軸に取り、パラメータを横軸に取ったグラフにいくつかの極小値が示されている。図1のグラフ上では、評価値が小さいパラメータほど正解に近くなる。ここで、正解のパラメータは、最も評価値が小さい極小値であり、図1では星印で示される。また、偽解のパラメータは、正解以外の極小値であり、図1では黒丸で示される。初期値のパラメータは、正解のパラメータに近いパラメータ領域の点であり、楕円に囲われた領域中のパラメータである。また、大域最適化法を用いることにより、楕円で囲まれた領域中における初期値のパラメータを取得することができる。ここで、初期値のパラメータにおいて、局所最適化法を適用させることにより、正解のパラメータを取得することができる。なお、局所最適化法には最小二乗法等がある。また、初期値のパラメータは、正解のパラメータに近いパラメータ領域の点であるため、略正解のパラメータとも表現される。
【0015】
図2は、測定プロファイルを説明する図である。測定プロファイルは、X線分析装置で測定した薄膜のX線強度を表すデータである。これを解析することにより、パラメータを取得することができる。
【0016】
図3は、測定シミュレーションプロファイルを説明する図である。測定シミュレーションプロファイルは、予めパラメータを設定した膜モデルについて、X線強度をシミュレーションし、ポアソン分布等の統計学又は確率論に従うノイズを付加することで、生成される。
本明細書では、測定プロファイル及び測定シミュレーションプロファイルの何れも含む概念として、プロファイルという用語が用いられる。また、本明細書では、プロファイル結果及びプロファイルデータの何れも含む概念としても、プロファイルという用語が用いられる。
【0017】
[実施形態1]
実施形態1では、反射率測定によりパラメータを素早く取得する場合について説明する。
1.システム構成
以下、情報処理システム1000の一例について説明する。
図4は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。
図4に示されるように、情報処理システム1000は、コンピュータ100、X線分析装置200及び連絡部300を有する。コンピュータ100は、連絡部300を介してX線分析装置200と通信可能に構成される。これにより、コンピュータ100は、X線分析装置200と相互に情報を送信又は受信する。コンピュータ100は、情報処理装置の一例である。実施形態1において、コンピュータ100は、反射率測定により得られたプロファイルを解析する装置であればよい。他の実施形態では、コンピュータ100は、ロッキングカーブ測定又はGI-SAXS測定により得られたプロファイルを解析する装置として用いられる。コンピュータ100は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等であってもよい。また、連絡部300は、有線又は無線接続の何れで構成されてもよい。
【0018】
2.ハード構成
次に、コンピュータ100及びX線分析装置200のハードウェア構成について説明する。
2.1 コンピュータ100のハードウェア構成
図5は、コンピュータ100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5に示されるように、コンピュータ100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、出力部150とを有し、これらの構成要素がコンピュータ100の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。各構成要素について更に説明する。コンピュータ100は、実施形態に係る処理を実行する。
【0019】
制御部110は、コンピュータ100に関連する全体動作の処理及び制御を行う。制御部110は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部110が、記憶部120に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、コンピュータ100に係る種々の機能、例えば、後述する図7に示される処理が実現される。なお、制御部110は単一であることに限定されず、機能毎に複数の制御部110を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0020】
記憶部120は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部110によって実行されるコンピュータ100に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、又は、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部120は、制御部110によって実行されるコンピュータ100に係る種々のプログラム、変数及び制御部110がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。記憶部120は、記憶媒体の一例である。
【0021】
通信部130は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、コンピュータ100は、通信部130を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0022】
入力部140は、コンピュータ100の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部140は、出力部150と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部140がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介して制御部110に転送され、制御部110が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0023】
出力部150は、コンピュータ100の表示部として機能することができる。出力部150は、例えば、コンピュータ100の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部150は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、コンピュータ100の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0024】
2.2 X線分析装置200のハードウェア構成
X線分析装置200は、X線源と、試料と、検出器とを有する。X線源からX線が照射され、試料にて反射したX線を検出器が検出することで、測定プロファイルを取得する。X線分析装置200とコンピュータ100とは通信可能に構成されており、測定開始の指示、測定プロファイルの受渡し等を行う。他の実施形態では、X線分析装置200は、試料にて回折又は散乱したX線を検出器が検出することで、測定プロファイルを取得する。
【0025】
3.機能構成
以下、コンピュータ100の機能構成について説明する。
3.1 コンピュータ100の機能構成
図6は、コンピュータ100の機能構成の一例を示す図である。
図6に示されるように、コンピュータ100は、入力処理部101と、出力処理部102と、モデル設定部103と、シミュレーション部104と、学習部105と、推論部106と、解析部107と、を有する。
【0026】
入力処理部101は、コンピュータ100への信号の入力に関する処理を制御する。
【0027】
出力処理部102は、コンピュータ100からの信号の出力に関する処理を制御する。
【0028】
モデル設定部103は、教師データに用いられる膜モデルのパラメータ、パラメータ空間等を設定する。
【0029】
シミュレーション部104は、設定した膜モデルについて、X線強度のシミュレーションを行い、教師データとなる測定シミュレーションプロファイルを演算する。
【0030】
学習部105は、膜モデルのパラメータ及び測定シミュレーションプロファイルを教師データとして、ニューラルネットワークに学習させる。
【0031】
推論部106は、新たな測定プロファイル及び学習済みのニューラルネットワークを用いて初期値のパラメータを推定する。
【0032】
解析部107は、得られた初期値のパラメータについて、局所最適化法を用いることで正解のパラメータを取得する。また、解析部107は、大域最適化法(遺伝アルゴリズム、Parallel tempering等)を用いることでパラメータを取得できるように構成されてもよい。
【0033】
4.情報処理方法
本節では、前述したコンピュータ100及びX線分析装置200によって実行される情報処理の例について説明する。
【0034】
4.1 情報処理の概要
図7を用いて、情報処理の概要を説明する。
図7は、情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
A101からA107までの処理が学習実行時の処理であり、A108からA113までの処理が測定(測定プロファイルの取得)の処理であり、A114からA119までの処理が初期値推定及び最適化実行時の処理である。学習、測定、初期値推定の各処理は、一連の操作として連続的に行われてもよいし、各処理毎に行われてもよい。
【0035】
A101において、入力処理部101は、入力部140を介して、設定情報の入力を受け付ける。設定情報には、膜モデルのパラメータの設定、膜モデルのパラメータ空間の設定、ニューラルネットワークの設定等が含まれる。ここで、パラメータ空間とは、パラメータに幅をもたせたデータであり、例えば、膜厚の場合、8-10nmといったデータである。
A102において、入力処理部101は、入力部140を介して、学習データの保存先の指定を受け付ける。このとき、設定情報も同様に、指定された保存先に保存される。
A103において、入力処理部101は、入力部140を介して、学習の開始の指示を受け付ける。
A101からA103までの処理の詳細については、図8を用いて後述する。
【0036】
A104において、モデル設定部103は、設定情報に含まれる膜モデルのパラメータの設定を基に膜モデルを設定する。その後、シミュレーション部104は、膜モデルのパラメータ空間の範囲内において、ステップ毎にパラメータを設定し、ステップ毎のパラメータに対応する測定シミュレーションプロファイルを作成する。更に、シミュレーション部104は、パラメータと測定シミュレーションプロファイルを対応付けた教師データを記憶部120に保存する。
【0037】
A105において、学習部105は、教師データを用いて、ニューラルネットワークに学習させる。学習部105は、学習済みニューラルネットワークから、重み及びバイアスに関するパラメータを取得する。本実施形態において、厚み等の薄膜に関するパラメータと区別するために、このニューラルネットワークに関するパラメータを、NN(Neural Network)パラメータと称する。なお、本実施形態において、NNパラメータは、重み及びバイアス関する情報を含むものとして説明されているが、重み及びバイアスの他に各層のニューロン数、中間層に含まれる層の枚数、層の種類、活性化関数等の情報が含まれるものとして扱われてもよい。
A105の処理の詳細については、図9を用いて後述する。
【0038】
A106において、出力処理部102は、指定した保存先にNNパラメータを保存する。
A107において、出力処理部102は、NNパラメータを保存したこと及び学習が終了したことを出力部150に表示する。
ここまでが学習実行時の処理である。
【0039】
以降は最適化実行時の処理である。
A108において、入力処理部101は、入力部140を介して、X線分析装置200によるX線分析測定の開始の指示を受け付ける。
A109において、出力処理部102は、通信部130及び連絡部300を介して、X線分析装置200に測定の開始の指示を送信する。
【0040】
A110において、X線分析装置200は、連絡部300を介して、コンピュータ100から測定の開始の指示を受信する。
A111において、X線分析装置200は、薄膜にX線を入射させ、薄膜から反射したX線から測定プロファイルを取得する。
A112において、X線分析装置200は、連絡部300を介して、取得した測定プロファイルをコンピュータ100に送信する。
【0041】
A113において、入力処理部101は、X線分析装置200から測定プロファイルを受信する。
A114において、入力処理部101は、入力部140を介して、最適化の開始の指示を受け付ける。
【0042】
A115において、モデル設定部103は、設定情報に基づいて、膜モデルを設定する。推論部106は、NNパラメータ及び設定情報に含まれるニューラルネットワークの設定に基づいて、学習済みニューラルネットワークを設定する。
A116において、推論部106は、測定プロファイルを学習済みニューラルネットワークに入力することで、初期値のパラメータを取得する。
A116の処理の詳細については、図10を用いて後述する。
【0043】
A117において、出力処理部102は、初期値のパラメータを出力部150に表示する。
A118において、解析部107は、初期値のパラメータを局所最適化法により最適化することにより、正解のパラメータを取得する。
A119において、出力処理部102は、正解のパラメータを出力部150に表示する。
【0044】
図8は、コンピュータ100の画面400の一例を示す図である。
画面400には、学習実行ボタン401、最適化実行ボタン402、中止ボタン403、解析手法選択部404、パラメータ推定方法選択部405、保存場所指定部406、膜モデル表示部410、学習アルゴリズム編集部420、学習アルゴリズム表示部421、物質指定部430、膜厚指定部431、膜厚範囲指定部432、密度指定部433、密度範囲指定部434、粗さ指定部435及び粗さ範囲指定部436が含まれる。他の実施形態では、画面400には、組成指定部、組成範囲指定部、粒径のサイズ分布指定部、粒径のサイズ分布範囲指定部等が設けられる。
【0045】
学習実行ボタン401、最適化実行ボタン402又は中止ボタン403が操作されることにより、学習の実行、最適化の実行又は処理の中止といった各処理が実行される。
具体的には、入力処理部101は、入力部140を介して、学習実行ボタン401又は最適化実行ボタン402の選択を受け付ける。学習実行ボタン401が選択された場合、学習部105は、設定条件及び保存先の指定の設定がされているか否かを確認する。これらの設定がされていた場合、学習部105は、学習実行を開始する。最適化実行ボタン402が選択された場合、推論部106は、設定条件、NNパラメータ及び測定プロファイルが指定された保存先に格納されているか否か確認する。これらのデータが指定された保存先に格納されていた場合、推論部106は、最適化実行を開始する。中止ボタン403が選択された場合、学習部105又は推論部106は、処理の中止の指示を送信する。
これにより、適切な条件で学習又は最適化を実行することができる。
【0046】
解析手法選択部404が操作されることにより、解析手法を変更することができる。
具体的には、入力処理部101は、入力部140を介して、解析手法選択部404が操作されることにより、解析手法を反射率、ロッキングカーブ、GI-SAXS等の手法に切り替える。解析手法が切り替えられた場合、入力処理部101は、理論モデル、理論モデル・パラメータ設定のパラメータ種別等を更新する。これらの理論モデル、理論モデル・パラメータ設定のパラメータ種別等は、解析手法毎にユーザが任意に選択できるように構成されてもよい。
【0047】
また、パラメータ推定方法選択部405が操作されることにより、パラメータ推定方法を変更することができる。
具体的には、入力処理部101は、入力部140を介して、パラメータ推定方法選択部405が操作されることにより、パラメータ推定方法を初期値推定、大域最適化法又は局所最適化法に切り替える。
これにより、適切な手法により最適化を実行することができる。また、解析のプロセスは、マクロ等を利用して自動的に選択されてもよい。
【0048】
保存場所指定部406には、膜モデルのパラメータ、ニューラルネットワークのNNパラメータ等の設定情報及び取得した情報等の保存先が表示される。
【0049】
膜モデル表示部410には、物質名、膜厚、密度及び粗さを視覚的に表した膜モデルのイメージが表示される。なお、膜モデル表示部410には、物質の組成を指定する領域が設けられてもよい。
具体的には、入力処理部101は、入力部140を介して、物質指定部430、膜厚指定部431、密度指定部433及び粗さ指定部435への情報の入力を受け付ける。出力処理部102は、これらの情報を基に、膜モデル表示部410を更新する。他の実施形態では、入力処理部101は、組成指定部又は粒径のサイズ分布指定部に入力された情報を基に、膜モデル表示部410を更新してもよい。
これにより、膜モデルを確認しながら学習又は最適化を実行することができる。
【0050】
学習アルゴリズム編集部420は、CNN(Convolutional Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)等のニューラルネットワークの構造、使用される層の種類、層のノード数、層の枚数、学習に用いるプロファイルの数等が編集可能に構成されている。学習に用いるプロファイルの数は、膜厚範囲指定部432、密度範囲指定部434、粗さ範囲指定部436等の指定により、各パラメータの範囲及びステップを与えることによって、自動的に算出されてもよい。学習アルゴリズム表示部421には、使用される層の種類、層のノード数、層の枚数等が表示される。例えば、CNNを使用する場合、学習アルゴリズム編集部420が選択されることにより、畳み込み層のノード数、フィルターの値、カーネルサイズの値、ストライドの値等の情報を編集可能な態様で表示される。
出力処理部102は、学習アルゴリズム編集部420の編集結果に応じて、設定情報を適宜修正し記憶部120に記憶し、出力部150に出力する。
これにより、ニューラルネットワークを確認しながら最適化又は学習を実行することができる。
【0051】
このとき、ニューラルネットワーク600は、ニューラルネットワーク600を使用する試料毎に設定されてもよいし、ユーザ毎に設定されてもよい。ここで、ユーザ毎とは、誰が行うかといった個人毎に限定されるものではなく、どのチーム、団体又は企業が行うかといった組織毎、どういった解析又は解析を行うかといった分析(解析)の目的毎、どういった物質を扱うかといった測定対象物毎等が含まれると解される。
ユーザ毎に設定する場合について説明する。機械学習が実行された場合、学習部105は、ユーザの識別情報と紐付けて、ニューラルネットワークの設定及びNNパラメータを記憶部120に保存する。新たに機械学習を実行する場合、学習部105は、ユーザの識別情報と紐付けて、過去のニューラルネットワークの設定及びNNパラメータを参照する。学習部105又は推論部106は、過去のニューラルネットワークの設定及びNNパラメータを用いて学習又は最適化を実行する。
これにより、適切にニューラルネットワークを設定できる。
【0052】
物質指定部430は、各層のSiO等の化学式、ITO(Indium Tin Oxide)等の物質名等の物質を特定するための情報が入力可能に構成される。膜厚指定部431、密度指定部433及び粗さ指定部435は、各層毎の膜モデルの膜厚、密度及び粗さがそれぞれ入力可能に構成される。膜厚範囲指定部432、密度範囲指定部434及び粗さ範囲指定部436は、各層毎の膜モデルの膜厚、密度及び粗さのパラメータ空間が入力可能に構成される。更に、膜厚範囲指定部432、密度範囲指定部434及び粗さ範囲指定部436は、ステップ数が入力可能に構成される。ステップ数は、指定されたパラメータ空間について、どの数値間隔で刻んで測定シミュレーションプロファイルを作成するかを指定する値である。
【0053】
学習実行ボタン401が選択された場合、シミュレーション部104は、物質指定部430で指定された物質について、膜厚範囲指定部432、密度範囲指定部434及び粗さ範囲指定部436で指定されたパラメータ空間を、ステップ数毎にシミュレーションして測定シミュレーションプロファイルを作成する。学習部105は、各指定部で指定したパラメータ及びパラメータに対応する測定シミュレーションプロファイルを用いて、ニューラルネットワークに学習させる。具体的には、学習部105は、プロファイルデータとして、薄膜の各層の物質、膜厚、密度及び粗さが設定されることにより、理論的に決定される測定シミュレーションプロファイル502を用いて、ニューラルネットワークに学習させる。学習部105は、薄膜の構造、薄膜の層の枚数及び最適化されるパラメータに応じて、ニューラルネットワーク600のNNパラメータを最適化する。ここで、薄膜の構造には、物質に関する情報等を含むことができる。また、薄膜の層の枚数には、薄膜の各層の枚数、超格子の単位構造に含まれる層の枚数等の情報を含むことができる。更に、最適化されるパラメータには、薄膜の膜厚、密度、粗さ等の情報を含むことができる。なお、ロッキングカーブ測定における最適化されるパラメータには、薄膜の組成、膜厚、格子定数等に関する情報が含むことができる。また、GI-SAXS測定における最適化されるパラメータには、空隙径のサイズ分布、粒径のサイズ分布等に関する情報が含むことができる。
これにより、膜モデル毎にニューラルネットワークを設定するので、効率的に学習を実行することができる。
【0054】
図9は、ニューラルネットワークを用いた学習実行時における情報処理の一例を示す図である。
図9には、教師データ500及びニューラルネットワーク600が含まれる。教師データ500には、パラメータ501及び測定シミュレーションプロファイル502が含まれる。ニューラルネットワーク600には、入力層、中間層及び出力層が含まれる。
【0055】
図10は、ニューラルネットワークを用いた最適化実行時における情報処理の一例を示す図である。
図10には、測定プロファイル510、初期値のパラメータ520及び学習済みニューラルネットワーク610が含まれる。学習済みニューラルネットワーク610は、薄膜からのX線の強度に関する測定シミュレーションプロファイル502を入力データとし、薄膜に関するパラメータ501を出力データとする教師データ500を機械学習させたニューラルネットワークである。
【0056】
学習部105は、薄膜からのX線の強度に関する測定シミュレーションプロファイル502を入力データとし、薄膜に関するパラメータ501を出力データとする教師データ500を機械学習させた学習済みニューラルネットワーク610を生成し、学習済みニューラルネットワーク610を記憶部120に記憶する。ここでプロファイルデータとして、測定シミュレーションプロファイルの他に、測定プロファイルを用いてもよい。その後、推論部106は、X線分析装置200から間接的に取得したX線の強度に関する測定プロファイル510を学習済みニューラルネットワーク610に入力することで、薄膜に関する初期値のパラメータ520を出力する。最後に、解析部107は、この初期値のパラメータに局所最適化法を用いることによって、正解のパラメータを取得する。
これにより、機械学習により直接正解を得る手法、大域最適化法により正解を得る手法等と比較して、効率的に正解のパラメータを得ることができる。
以上、実施形態1によれば、解析に多大な時間を要することなく、正解のパラメータを取得することができる。また、解析に多大な時間を要しないため、処理能力の劣るコンピュータを用いた場合であっても、問題なく正解のパラメータを取得することができる。更に、従来よりも処理能力の劣るコンピュータが使用できるため、安価に最適化が実行できる。
【0057】
[実施形態2]
次に、機械学習によるニューラルネットワークの設定を外部のサーバで実行する場合について説明する。
【0058】
1.システム構成
実施形態2の情報処理システムの一例について説明する。実施形態2の情報処理システムは、実施形態1の構成に加えて、サーバ及びネットワークを有する。また、実施形態2のコンピュータは、ネットワークを介してサーバと接続されている。
【0059】
2.ハード構成
実施形態2のコンピュータ及びX線分析装置の各ハード構成については、実施形態1を参照されたい。
また、実施形態2のサーバは、制御部と、記憶部と、通信部とを有し、これらの構成要素がサーバの内部において通信バスを介して電気的に接続されている。制御部と、記憶部と、通信部の具体的な説明については、実施形態1のコンピュータ100における制御部110、記憶部120及び通信部130の記載を参照されたい。
【0060】
3.機能構成
実施形態2のコンピュータ及びサーバの機能構成は、実施形態1のコンピュータ100の機能構成と同様である。
【0061】
4.情報処理方法
実施形態2では、実施形態1と比較して、コンピュータ及びサーバ間での情報の送信及び受信が必要となり、一部の処理が追加される。
具体的には、実施形態1のA103の処理の後に、コンピュータの出力処理部は、通信部及びネットワークを介して、サーバに設定情報を送信する。次に、サーバの入力処理部は、コンピュータから取得した設定情報を受信し、サーバの記憶部に設定情報を保存する。その後、サーバは、A104及びA105の処理を行う。A105の後に、サーバの出力処理部は、通信部及びネットワークを介して、取得したNNパラメータをコンピュータに送信する。その後、コンピュータは、取得したNNパラメータを指定の保存先に保存する。すなわち、コンピュータの出力処理部102は、学習済みニューラルネットワークのデータを、サーバより記憶部にダウンロードさせる。ここで、受渡しが行われる学習済みニューラルネットワークのデータは、NNパラメータに限定されず、例えば、学習済みニューラルネットワーク自体であってもよい。サーバは外部装置の一例である。
これにより、外部のサーバによる機械学習のサービスを提供することができる。
【0062】
[その他]
他の実施形態として、実施形態1又は実施形態2において、最適化をサーバで行うように構成してもよい。その場合、コンピュータ及びサーバ間での情報を共有するための処理が適宜追加される。
【0063】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理装置において、前記パラメータ結果は、略正解のパラメータから成る初期値情報である、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、薄膜の構造、層の枚数及び最適化されるパラメータに応じて、前記ニューラルネットワークを設定する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記プロファイルデータとして、薄膜の各層の物質、膜厚、密度、粗さ、組成、格子定数及びサイズ分布のうち、少なくとも一つが設定されることにより、理論的に決定される測定シミュレーションプロファイルを用いる、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記パラメータデータ及び前記パラメータ結果は、薄膜の膜厚、密度、粗さ、組成、格子定数及びサイズ分布のうち、少なくとも一つに関する情報である、情報処理装置。
前記情報処理装置において、記憶部を有し、前記制御部は、前記ニューラルネットワークのデータを、外部装置より前記記憶部にダウンロードさせる、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記パラメータ結果は、略正解のパラメータから成る初期値情報であり、前記制御部は、前記初期値情報を最適化することにより、正解のパラメータを取得する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、前記初期値情報に局所最適化法を適用させることにより、正解のパラメータを取得する、情報処理装置。
情報処理装置であって、制御部と、記憶部と、を有し、前記制御部は、薄膜からのX線の強度に関するプロファイルデータを入力データとし、前記薄膜に関するパラメータデータを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークを生成し、前記ニューラルネットワークを前記記憶部に記憶する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記ニューラルネットワークは、前記ニューラルネットワークを使用するユーザ毎に設定される、情報処理装置。
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、薄膜からのX線の強度に関するプロファイル結果をニューラルネットワークに入力することで、パラメータ結果を出力させ、前記ニューラルネットワークは、薄膜からのX線の強度に関するプロファイルデータを入力データとし、前記薄膜に関するパラメータデータを出力データとする教師データを機械学習させたニューラルネットワークである、情報処理方法。
プログラムであって、コンピュータを、前記情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
X線分析装置であって、薄膜にX線を入射させ、前記薄膜から反射、回折又は散乱したX線からプロファイル結果を取得し、前記プロファイル結果を前記情報処理装置に送信するX線分析装置。
もちろん、この限りではない。
【0064】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
100:コンピュータ
110:制御部
120:記憶部
150:出力部
101:入力処理部
102:出力処理部
103:モデル設定部
104:シミュレーション部
105:学習部
106:推論部
107:解析部
200:X線分析装置
500:教師データ
501:パラメータ
502:測定シミュレーションプロファイル
510:測定プロファイル
520:初期値のパラメータ
600:ニューラルネットワーク
610:学習済みニューラルネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10