(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091904
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】外装仕上材取付用パネルおよび外装仕上材取付用パネルの取付構造並びに壁、建物
(51)【国際特許分類】
E04B 2/94 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
E04B2/94
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206766
(22)【出願日】2021-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000185949
【氏名又は名称】クリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137970
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 康央
(72)【発明者】
【氏名】柴田 益弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 純
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB06
2E002PA04
2E002RA02
2E002RB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仕上外装材にかかる正や負の風圧力を、ALCパネルを介さずに鉄骨躯体に伝達でき、ALCパネルの耐力に依存させずに済む外装仕上材取付用パネルを提供する。
【解決手段】躯体の側面に、外装仕上げ材取付用パネルを取り付け、パネルの躯体側取付面と反対面上に外装仕上げ材を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造であって、躯体側取付部と、パネルアンカーを含むパネル部と、仕上外装下地取付ボルト33を含む外装仕上げ材取付部と、外装仕上げ材部40とを有し、パネル部ではパネルアンカーを、中心軸がパネルの厚さ方向となるように埋設し、パネルアンカーの端部を、躯体側取付部に固定し、パネルアンカーを、その中心軸と取付軸が同軸となるように外装仕上げ材取付部と固定し、パネルの反対面に仕上外装下地取付ボルトを直立させて取り付け、外装仕上げ材取付部に外装仕上げ材を設置した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の側面に、外装仕上げ材取付用パネルを取り付け、該パネルの躯体側取付面と反対面上に外装仕上げ材を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造であって、
躯体側取付部と、
パネルアンカーを含む前記パネル部と、
仕上外装下地取付ボルトを含む外装仕上げ材取付部と、
外装仕上げ材部とを有し、
前記パネル部では、該パネル内で副筋、主筋、又は鋼棒に連結したパネルアンカーを、中心軸が該パネルの厚さ方向となるように埋設し、
前記パネルアンカーの端部を、躯体側取付部に固定し、かつ、
前記パネルアンカーを、その中心軸と取付軸が同軸となるように、外装仕上げ材取付部と、固定し、
前記パネルの反対面に前記仕上外装下地取付ボルトを直立させて取り付け、
前記外装仕上げ材取付部に外装仕上げ材を設置したことを特徴とする外装仕上材取付用パネルの取付構造。
【請求項2】
前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、
前記パイプナットアンカーを副筋、主筋、又は鋼棒と直交させて固定し、
仕上外装下地取付ボルトが、フランジ付き全ねじボルトであり、これと、前記パイプナットアンカーを固定したことを特徴とする請求項1記載の外装仕上材取付用パネルの取付構造。
【請求項3】
前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、
前記パイプナットアンカーを副筋、主筋、又は鋼棒と直交させて固定し、
前記副筋、主筋、又は鋼棒に、前記パイプナットアンカー以外の複数のパイプナットを直交させて固定し、
仕上外装下地取付ボルトを直立して固定させた仕上外装下地取付板を、ボルトで前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記複数のパイプナットアンカーを固定し、前記パイプナットアンカーと仕上外装下地取付ボルトの中心軸を同軸として固定したことを特徴とする請求項1記載の外装仕上材取付用パネルの取付構造。
【請求項4】
前記パネルアンカーが、筒状部と、筒状部の長さ方向に沿って、筒状部の1/5~2/3の長さに延びるとともに、筒状部から両幅方向に延びる一対の翼片部と、筒状部の躯体側先端を貫通し翼片部と直交する矩形部と、躯体取付部との結合部とからなり、
前記パネルアンカーの翼片部の躯体と反対側の端部で、副筋、主筋、又は鋼棒
と直交させ、矩形部はALCパネルの仕上外装材取付面と並行とし、
仕上外装下地取付ボルトを直立して固定させた仕上外装下地取付板を、ボルト又はビスで前記矩形部まで貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記パネルアンカーと固定し、前記パネルアンカーの筒状部と仕上外装下地取付ボルトの中心軸を同軸として固定したことを特徴とする請求項1記載の外装仕上材取付用パネルの取付構造。
【請求項5】
外装仕上げ材取付用パネル内に副筋、主筋、又は鋼棒と連結されたパネルアンカーの主要部が埋設され、
前記パネルアンカーの端部が、躯体側に固定され、かつ、
前記パネルアンカーが、パネルアンカーの中心軸と取付軸が同軸となるように、仕上外装下地取付ボルトが、前記パネルの躯体と反対側の面に直立して固定状態で取り付けられたことを特徴とする外装仕上材取付用パネル。
【請求項6】
前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、
前記パイプナットアンカーが副筋、主筋、又は鋼棒と直交した固定状態で、
仕上外装下地取付ボルトが、フランジ付き全ねじボルトであり、これと、前記パイプナットアンカーが固定状態で取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の外装仕上材取付用パネル。
【請求項7】
前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、
前記パイプナットアンカーを副筋、主筋、又は鋼棒と直交して中央に固定され、
前記副筋、主筋、又は鋼棒に、前記パイプナットアンカー以外の複数のパイプナットが直交して両脇に固定され、
仕上外装下地取付ボルトが直立して固定された仕上外装下地取付板が、ボルトで前記パネルの躯体と反対側の面に固定されることによって、前記複数のパイプナットアンカーが固定され、中央に固定したパイプナットアンカーが仕上外装下地取付ボルトと中心軸を同軸として固定状態で取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の外装仕上材取付用パネル。
【請求項8】
前記パネルアンカーが、副筋、主筋、又は鋼棒に固定される結合部と、筒状部と、筒状部の長さ方向に沿って、筒状部の1/5~2/3の長さに延びるとともに、筒状部から両幅方向に延びる一対の翼片部と、筒状部の躯体側先端を貫通し翼片部と直交する矩形部と、躯体取付部との結合部とからなり、
前記パネルアンカーが副筋、主筋、又は鋼棒と直交して、矩形部は前記パネルの仕上外装材取付面と並行であり、
仕上外装下地取付ボルトが直立して固定された仕上外装下地取付板が、ボルト又はビスで前記矩形部を貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定されることによって、前記パネルアンカーの筒状部と仕上外装下地取付ボルトが中心軸を同軸として固定状態で取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の外装仕上材取付用パネル。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の取付構造を有する外壁。
【請求項10】
請求項9に記載の外壁を有する建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨造の建物(以下、躯体。)の外壁に使用する外装仕上材取付用パネル、特に軽量気泡コンクリートパネル(以下、ALCパネル。)および躯体への前記外装仕上材取付用パネル取付構造並びに壁、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外装仕上材取付用パネルに外装仕上げ材(化粧板)による仕上げ(金属貼り、石貼り、陶板貼り等)をするために、仕上げ材取付用パネルが使用されている(例えば特許文献1)。特許文献2の仕上げ材取付用パネルでは、
図10の通り、パネルに係止用金具によってプレート形の第2の下地金具(受け金具)が取り付けられ、第2の下地金具に連結部材を介して仕上げ材が取り付けられている。連結部材は第2の下地金具に溶接等で取り付けられた断面略L形の金具と、ボルトおよびナットにより該金具に結合されたプレート形の金具から構成されている。
【0003】
特許文献2の
図11の断面図の示すパネル設計において、躯体固定用のパネルファスナーおよび外装材固定用の下地金具用ファスナーの埋設位置が、両ファスナーのボルトの頭部を結ぶ線分の中点を中心として点対称であり、片方のファスナーに印加される力は他方のファスナーには、反対方向で略同一の力となる。例えば、外装材固定用のファスナーの風圧等による引抜き強度は、略同一の力が躯体固定用のファスナーに伝わるが、仕上げ材取付用パネル(この場合は、ALCパネルとなる)本体を介して働くので、ALCパネルの耐力に依存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-133697号公報
【特許文献2】特開2020-200752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の、ALCパネルの外装材取付構造には、取付強度や水密性などの面でいくつか欠点を持っている。仕上外装重量をOナットの鉛直せん断耐力に依存する為、あまり重い外装は取付けられない。これは、Oナットに鋼棒を通すための貫通孔は、ある程度の隙間が必要であり、外装重量をALCパネルに完全には伝達できないため、1カ所当り支持できる外装重量を制限せざるをえず、結果的にこのOナットを始めとする、取付構造の数量を増やさなければ、重い仕上外装は取付けられないためである。また、座掘孔径とOナット径の差で生じる隙間は水密対策でバックアップ材での封止等が不可欠であった。更に、仕上外装にかかる風圧力は最終的に建物構造の鉄骨躯体に伝達させる必要があるが、ほぼ全てOナットから、ALCパネルを介して鉄骨躯体に伝達させるため、ALCパネルの設計強度を上げて対応する必要があり、高い取付け部強度の要求に応えられないという問題があった。結果、ALCパネル自体の補強鉄筋を増やす必要があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、本発明の目的は、水密性能が維持でき、鉄筋量を増やすことなく、重い外装材を取付け可能であり、仕上外装材にかかる正や負の風圧力を、ALCパネルを介さずに、鉄骨躯体に伝達でき、ALCパネルの耐力に依存させずに済む外装仕上材取付用パネル、および外装仕上材取付用パネルの取付構造、並びにこれを用いた外壁、建物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]躯体の側面に、ALCパネルに代表される外装仕上げ材取付用パネル(以下、ALCパネルと略称することあり。)を取り付け、該パネルの躯体側取付面と反対面上に外装仕上げ材を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造であって、躯体側取付部と、パネルアンカーを含む前記パネル部と、仕上外装下地取付ボルトを含む外装仕上げ材取付部と、外装仕上げ材部とを有し、前記パネル部では、ALCパネル内にパネル短辺に平行している副筋若しくはパネル長辺に平行している主筋又は鋼棒(以下、副筋等。)に連結したパネルアンカーを、中心軸が該パネルの厚さ方向となるように埋設し、前記パネルアンカーの端部(例えば、ナット)を、躯体側取付部に固定し、かつ、前記パネルアンカーを、その中心軸と取付軸が同軸となるように、外装仕上げ材取付部と固定し、前記パネルの反対面に前記仕上外装下地取付ボルトを直立させて取り付け、前記外装仕上げ材取付部に外装仕上げ材を設置したことを特徴とする外装仕上材取付用パネルの取付構造、を提供する。
[2]前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、前記パイプナットアンカーを副筋等と直交させて固定し、仕上外装下地取付ボルトが、フランジ付き全ねじボルトであり、これと、前記パイプナットアンカーを固定したことを特徴とする[1]の外装仕上材取付用パネルの取付構造、を提供する。
[3]前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、前記パイプナットアンカーを副筋等と直交させて固定し、前記副筋等に、前記パイプナットアンカー以外の複数のパイプナットを直交させて固定し、仕上外装下地取付ボルトを直立して固定させた仕上外装下地取付板を、ボルトで前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記複数のパイプナットアンカーを固定し、前記パイプナットアンカーと仕上外装下地取付ボルトの中心軸を同軸として固定したことを特徴とする[1]記載の外装仕上材取付用パネル
の取付構造、を提供する。
[4]前記パネルアンカーが、筒状部と、筒状部の長さ方向に沿って、筒状部の1/5~2/3の長さに延びるとともに、筒状部から両幅方向に延びる一対の翼片部と、筒状部の躯体側先端を貫通し翼片部と直交する矩形部(二次プレート)と、躯体取付部との結合部(埋設されない端部)とからなり、前記パネルアンカーの翼片部の躯体と反対側の端部で、副筋等と直交させ、矩形部はALCパネルの仕上外装材取付面と並行とし、仕上外装下地取付ボルトを直立して固定させた仕上外装下地取付板を、ボルト又はビスで前記矩形部まで貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記パネルアンカーと固定し、前記パネルアンカーの筒状部と仕上外装下地取付ボルトの中心軸を同軸として固定したことを特徴とする[1]の外装仕上材取付用パネルの取付構造、を提供する。
[5]ALCパネル内にパネル短辺に平行している副筋、若しくはパネル長辺に平行している主筋、又は鋼棒(以下、副筋等。)と連結されてパネルアンカーの主要部(アンカーの躯体部との接続端部以外の部分)が埋設され、前記パネルアンカーの埋設されない端部が、躯体側に固定され、かつ、前記パネルアンカーが、パネルアンカーの中心軸と取付軸が同軸となるように、仕上外装下地取付ボルトが前記パネルの躯体と反対側の面に直立して固定状態で取り付けられたことを特徴とする外装仕上げ材取付用パネル、を提供する。
[6]前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、前記パイプナットアンカーが副筋等と直交した固定状態で、躯体側に固定され、仕上外装下地取付ボルトが、フランジ付き全ねじボルトであり、これと、前記パイプナットアンカーが同軸に前記パネルの躯体と反対側の面に直立して取り付けられたことを特徴とする[5]の外装仕上材取付用パネル、を提供する。
[7]前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、前記パイプナットアンカーが副筋等と直交して中央に固定され、前記パイプナットアンカー以外の複数のパイプナットが前記副筋等に直交して両脇に固定され、仕上外装下地取付ボルトが直立して固定された仕上外装下地取付板が、ボルトで前記パネルの躯体と反対側の面に固定されることによって、前記複数のパイプナットアンカーが固定され、中央に固定したパイプナットアンカーが仕上外装下地取付ボルトと中心軸を同軸として固定状態で取り付けられたことを特徴とする[5]の外装仕上材取付用パネル、を提供する。
[8]前記パネルアンカーが、副筋等に固定される結合部と、筒状部と、筒状部の長さ方向に沿って、筒状部の1/5~2/3の長さに延びるとともに、筒状部から両幅方向に延びる一対の翼片部と、筒状部の躯体側先端を貫通し翼片部と直交する矩形部(二次プレート)と、躯体取付部との結合部(埋設されない端部)とからなり、前記パネルアンカーが副筋等と直交して、矩形部はALCパネルの仕上外装材取付面と並行であり、仕上外装下地取付ボルトが直立して固定された仕上外装下地取付板が、ボルト又はビスで前記矩形部を貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定されることによって、前記パネルアンカーの筒状部と仕上外装下地取付ボルトが中心軸を同軸として固定状態で取り付けられたことを特徴とする[5]の外装仕上材取付用パネル、を提供する。
[9][1]~[4]のいずれかに記載の取付構造を有する外壁、を提供する。
[10][9]に記載の外壁を有する建物、を提供する。
【0008】
ここで、「パネルアンカー」とは、「主要部または全部がパネル製造時に埋め込まれ、一端が施工時に躯体部とボルトで接続されるもの」であり、「パイプナットアンカー」は、「パイプナットをそのままパネルアンカーとするもの」である。パネルアンカーは、パネル成形の製造時に埋め込むので、後加工での座掘孔がなく、副筋等の径の差による隙間が生じない。例えば、特許第6085112号公報の段落0058以下に記載の方法に倣って、副筋等を含むアンカーを埋設したALCパネルを製造することができる。即ち、型枠にALCスラリーを流し込み、半硬化したALCケーキを脱型してパネル状にワイヤ切断し、さらにオートクレーブ養生して、ALCパネルを得る。なお、副筋等を含むアンカーをALCパネル内に埋設する際、埋め込まない端部内にALCスラリーが流入しないよう、その開口にスポンジゴム製の蓋を貼り付ける等することができる。
【0009】
外装仕上げ材取付用パネルは特に限定されるものではなく、ここではALCパネルを例として示すが、一般に建築用パネルとして使用されている無機質系パネル、例えばセメント系の押出成形パネル等にも適用できる。またパネル表面は塗装の有無を問わない。また、パネルは、矩形平板状のパネルであるが、断面L字状のコーナーパネルであってもよい。また、以下の説明において、パネルについて「表面」、「長辺方向」、「短辺方向」は、パネルの矩形平板表面であり、矩形の長い方向を長辺方向と、矩形の短い方向を短辺方向という。外装仕上げ材取付部への外装仕上げ材の設置は通常用いられる取付方法でおこなう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水密性能が維持でき、埋め込み鉄筋量を減少しても、重い外装材を取付け可能であり、仕上外装材にかかる正や負の風圧力を鉄骨躯体に直接伝達でき、ALCパネルの耐力に依存しない外装仕上材取付用パネル、および外装仕上材取付用パネルの取付構造並びに壁、建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の仕上げ材取付用パネル取付構造の一実施形態を示す図である。
【
図2】本発明の
図1の実施形態の縦断面を示す図である。
【
図3】本発明の仕上げ材取付用パネル取付構造の別の一実施形態を示す図である。
【
図4】本発明の
図3の実施形態の縦断面を示す図である。
【
図5】本発明の仕上げ材取付用パネル取付構造の更に別の一実施形態を示す図である。
【
図7】
図6のパネルアンカーの一部を示す図である。
【
図8】
図5の取付構造の取付部品の位置関係を示す図である。
【
図9】本発明の
図5の実施形態の縦断面を示す図である。
【
図10】仕上げ材取付用パネルの従来技術を示す図である。
【
図11】仕上げ材取付用パネルの従来技術を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の仕上げ材取付用パネルの一実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1~
図9は本発明の仕上げ材取付用パネルの一実施形態を示す図である。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、躯体の表面の躯体取付部の定規アングルに、外装仕上げ材取付用パネルを取り付け、該パネル10の取付面と反対面上に外装仕上げ材を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造の一実施態様を示す。パネルアンカー11を含む前記パネル部1は、パネルアンカー11として、パイプナットアンカー111を用い、パネル短辺と並行かつ水平な鋼棒12を貫通させ、これに直交させた状態で埋設した。このパイプナットアンカーの端部113を躯体側取付部の定規アングルに固定した図である。下地取付ボルトを、フランジ付き全ねじボルト33とし、これと、前記パイプナットアンカーの他方の端部と平プレート24を介して、或いは、サンダープレート21を介して、定規アングル20にセットボルト23で固定し、かつ、前記パネルの躯体と反対側の面に直立させて取り付け、前記仕上外装下地取付ボルトの役割を兼ねて、外装仕上げ材40を通常の取付方法で、設置し外装仕上材取付用パネルの取付構造とした。このとき、目地プレート25が取付位置の目安となる。
【0014】
図2は、
図1の実施形態の取付構造の縦断面を示す。前記パネル10は輪郭のみ示して断面ハッチ線を省略した。受プレート22に対して、上下方向の線対称に二つのパネル取付構造が示される。
【0015】
<第2実施形態>
図3は、躯体の表面の躯体取付部の定規アングルに、外装仕上げ材取付用パネルを取り付け、該パネルの取付面と反対面上に外装仕上げ材を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造の別の一実施態様を示す。パネルアンカーを含む前記パネル部は、パネルアンカーとして、パイプナットアンカー111を用い、定規アングル20やパネル短辺と並行かつ水平な鋼棒12の中央部を貫通させ、これに直交させるとともに、前記パイプナットアンカーと同様の複数のパイプナット112を前記パイプナットアンカー111の両側に配し、前記鋼棒12を貫通させ、これと直交させパネルの外装仕上げ材取付側にやや延長して取付けた状態で埋設した。この鋼棒12中央部を貫通したアンカーパイプナットアンカーの端部113と平プレート24、或いは、サンダープレート21を介して、定規アングル20にセットボルト23で固定した。このとき、目地プレート25が取付位置の目安となる。
【0016】
一方、仕上外装下地取付ボルト30を直立して固定させた仕上外装下地取付板31を、前記両側のパイプナット112とボルト32で接続して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記両側のパイプナット112の他方の端部と固定した。こうして、前記中央のパイプナットアンカー111の中心軸と仕上外装下地取付ボルト30の中心軸を同軸として固定し、仕上外装下地取付ボルトに外装仕上げ材40を通常の取付方法で、設置し外装仕上材取付用パネルの取付構造とした。
【0017】
図4には、
図3の実施形態の取付構造の縦断面を示した。前記パネル10は輪郭のみ示して断面のハッチ線を省略した。定規アングル20に対して上下方向対称に二つのパネル取付構造が示される。
【0018】
<第3実施形態>
図5は、躯体の側面の躯体取付部の定規アングル20に、外装仕上げ材取付用パネル10を取り付け、該パネルの取付面と反対面上に外装仕上げ材40を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造の別の一実施態様を示す。パネルアンカーを含む前記パネル部は、パネルアンカーとして、
図6の形状のアンカーを用いた。前記パネル部では、該パネル内で副筋12(取り付け状態で水平方向の補強筋)に連結したパネルアンカーを該パネルに埋設し、前記パネルアンカーの埋設されない端部であるナットを、躯体側取付部の平プレート24に、或いは、サンダープレート21を介して定規アングル20にセットボルト23で固定した。このとき、目地プレート25が取付位置の目安となる。
【0019】
図7は、
図6のパネルアンカーの一部の形状を詳細に示した図である。これに、
図6の矩形部(二次パネル)118を取り付けたパネルアンカーとするものである。
図7のパネルアンカーの部分は、副筋12との結合部114と、筒状部116と、筒状部116の長さ方向に沿って、筒状部の1/5~2/3の長さに延びるとともに、筒状部116から両幅方向に延びる一対の翼片部117と、筒状部の躯体側先端を貫通し翼片部の水平部115で接合する矩形部(二次プレート)118と、躯体取付部との結合部119(埋設されない端部)とからなり、前記パネルアンカーを副筋と直交させ、矩形部の長辺は副筋と並行として固定したものである。
【0020】
図5において、仕上外装下地取付ボルト30を直立して固定させた仕上外装下地取付板31を、ボルト32で、前記矩形部(二次プレート)まで貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記パネルアンカーの筒状部116も位置がさだまり、前記パネルアンカーの筒状部116の中心軸と仕上外装下地取付ボルトが同軸となるように固定した。また、ボルト32に替えて、セルフドリリングビスを用いることもできる。
【0021】
こうして、前記パネルアンカーの他方の端部を、パネルアンカーの中心軸と取付軸が同軸となるように、仕上外装下地取付ボルト30が、前記パネルの躯体と反対側の面に直立させて取り付けられる。前記仕上外装下地取付ボルト30に外装仕上げ材40を通常の取付方法で設置し、外装仕上材取付用パネルの取付構造とした。
【0022】
図8に、本発明の仕上げ材取付用パネルの取付構造の一実施形態(
図5に示した)の取付部品の位置関係を示す図である。前記パネルアンカーは、副筋12と副筋との結合部(翼片部の端部)114で固定される。また、躯体取付部との結合部119(埋設されない端部)で、躯体部と結合される。仕上外装下地取付ボルトを直立して固定させた仕上外装下地取付板31は、ボルト32で前記パネルアンカー11の矩形部(二次プレート)118まで貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定した。2本のボルト32は、水平方向の副筋の上下の位置で矩形部(二次プレート)と固定した。こうして、前記パネルアンカーの筒状部116と仕上外装下地取付ボルトの中心軸を同軸として固定した。
【0023】
前記埋込アンカーを有するALCパネルは、例えば、外寸法:長さ3600mm、幅600mm、厚さ80mm、100mm、120mm、又は150mmである。
【0024】
例えば、厚さが120mmのALCパネルに用いられる
図7のアンカー部分は、矩形部(二次パネル)と接合する水平片部と、筒状部と、筒状部の両幅方向に設けられる板状の翼片部と、雌ネジ部とを備えている。筒状部は、円筒状の鋼管からなっている。筒状部の先端には、雌ネジ部であるナットが接合されている。副筋の中心線からナットの先端までの金具高さは、78mmである。二つの翼片部は、厚さ1mm板状の鋼板からなる略矩形状で、副筋の中心線から高さは30mmで水平部まで繋がり、筒状部の側面に接合されている。各翼片部の幅は20mmである。
【0025】
水平部は、筒状部の両側に設けられている翼片部の基端にそれぞれ形成されて、アンカーの幅方向に2つに分離されている。2つに分離されている水平部のアンカーの幅方向の長さは各10mmであり、2つの水平片部の間隔は筒状部と切り欠き部を挟んで40mmである。各水平片部の端は、略半割円筒状に湾曲し、互いに凹部同士が対峙して副筋を抱持するようになっている。凹部の内周面で副筋に抵抗溶接されている(特許第6085112号公報を参照)。
【0026】
図9には、
図5の実施形態の取付構造の縦断面を示した。前記パネル10は輪郭のみ示して断面のハッチ線を省略した。定規アングル20に対して上下方向対称に二つのパネル取付構造が示される。
【0027】
前述の外装仕上材取付用パネル、その取付構造、及び、前記取付け構造を有する壁、建物は、パネルに施す穿孔が無く、手間をかけずに水密性能が維持でき、外装仕上材設置に対する耐性が高く、堅牢である。
【0028】
<第1実施形態の効果>
パネルに施す穿孔が無く、手間をかけずに水密性能が維持でき、仕上外装下地取付ボルトであるフランジ付全ねじボルトとパイプナットアンカーが直接接合して、パネル表面に取り付けられ、パイプナットアンカーが平プレートに直接ボルト締めされる同軸構造であり、外装仕上げ材にかかる風圧は直接定規アングルに印加され、ALCパネルには風圧の影響がすくない。
【0029】
<第2実施形態の効果>
パネルに施す穿孔が無く、手間をかけずに水密性能が維持でき、仕上外装下地取付ボルトとパイプナットアンカーが直接接合して、両脇の複数のパイプナットが仕上外装下地取付板とともにパネル表面に取り付けられ、複数のパイプナットが副筋と直交し、パイプナットアンカーが平プレートに直接ボルト締めされる同軸構造であり、より強固に定規アングルに固定できる。外装仕上げ材にかかる風圧は直接定規アングルに印加され、ALCパネルには風圧の影響が一層すくない。
【0030】
<第3実施形態の効果>
パネルに施す穿孔が無く、手間をかけずに水密性能が維持でき、仕上外装下地取付ボルトを直立させた仕上外装下地取付板が、ボルトでアンカーの矩形版に仕上外装下地取付ボルトの両側からパネル表面に取り付けられ、アンカーの翼部の爪状の端部は副筋と直交して、翼部の中心の筒状部は矩形部に守られながらアンカーの端部を躯体にボルト締め固定される。即ち、より一層強固に定規アングルに固定できる。外装仕上げ材にかかる風圧はALCパネルの耐力を必要とせず、直接定規アングルに印加され、ALCパネルには風圧の影響がより一層すくない。アンカーと副筋の埋設はALCパネルの製造時に行われ、現場の設置はボルト締めで済み、水密性も高い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明による仕上げ材取付用パネルや取付構造を用いることで、建物外壁や建物に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 パネル部
10 パネル
11 パネルアンカー
111 パイプナットアンカー
112 パイプナット
113 パネルアンカーの端部
114 副筋との結合部(翼片部の端部)
115 翼片部と矩形部の接合部(翼片部の水平部)
116 筒状部
117 翼片部
118 矩形部
119 躯体取付部との結合部
12 副筋等(副筋、主筋、鋼棒)
2 躯体側取付部
20 定規アングル
21 サンダープレート
22 受プレート
23 セットボルト
24 平プレート
25 目地プレート
3 外装仕上げ材取付部
30 仕上外装下地取付ボルト
31 仕上外装下地取付板
32 ボルト セルフドリリングビス
33 フランジ付き全ねじボルト
4 外装仕上材部
40 外装仕上げ材
【手続補正書】
【提出日】2022-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の側面に、外装仕上げ材取付用パネルを取り付け、該パネルの躯体側取付面と反対面上に外装仕上げ材を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造であって、躯体側取付部と、パネルアンカーを含む前記パネル部と、仕上外装下地取付ボルトを含む外装仕上げ材取付部と、外装仕上げ材とを有し、前記パネル部では、該パネル内で副筋、主筋、又は鋼棒に連結したパネルアンカーを、中心軸が該パネルの厚さ方向となるように埋設し、前記パネルアンカーの端部を、躯体側取付部に固定し、かつ、前記パネルアンカーを、その中心軸と取付軸が同軸となるように、外装仕上げ材取付部と、固定し、前記パネルの反対面に前記仕上外装下地取付ボルトを直立させて取り付け、前記外装仕上げ材取付部に外装仕上げ材を設置した外装仕上材取付用パネルの取付構造において、
前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、
前記パイプナットアンカーを副筋、主筋、又は鋼棒と直交させて固定し、
前記副筋、主筋、又は鋼棒に、前記パイプナットアンカー以外の複数のパイプナットを直交させて固定し、
仕上外装下地取付ボルトを直立して固定させた仕上外装下地取付板を、ボルトで前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記複数のパイプナットアンカーを固定し、前記パイプナットアンカーと仕上外装下地取付ボルトの中心軸を同軸として固定したことを特徴とする外装仕上材取付用パネルの取付構造。
【請求項2】
躯体の側面に、外装仕上げ材取付用パネルを取り付け、該パネルの躯体側取付面と反対面上に外装仕上げ材を取り付ける外装仕上げ材取付用パネルの取付構造であって、躯体側取付部と、パネルアンカーを含む前記パネル部と、仕上外装下地取付ボルトを含む外装仕上げ材取付部と、外装仕上げ材とを有し、前記パネル部では、該パネル内で副筋、主筋、又は鋼棒に連結したパネルアンカーを、中心軸が該パネルの厚さ方向となるように埋設し、前記パネルアンカーの端部を、躯体側取付部に固定し、かつ、前記パネルアンカーを、その中心軸と取付軸が同軸となるように、外装仕上げ材取付部と、固定し、前記パネルの反対面に前記仕上外装下地取付ボルトを直立させて取り付け、前記外装仕上げ材取付部に外装仕上げ材を設置した外装仕上材取付用パネルの取付構造において、
前記パネルアンカーが、筒状部と、筒状部の長さ方向に沿って、筒状部の1/5~2/3の長さに延びるとともに、筒状部から両幅方向に延びる一対の翼片部と、筒状部の躯体側先端を貫通し翼片部と直交する矩形部と、躯体取付部との結合部とからなり、前記パネルアンカーの翼片部の躯体と反対側の端部で、副筋、主筋、又は鋼棒と直交させ、矩形部は前記パネルの仕上外装材取付面と並行とし、仕上外装下地取付ボルトを直立して固定させた仕上外装下地取付板を、ボルト又はビスで前記矩形部まで貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定することによって、前記パネルアンカーと固定し、前記パネルアンカーの筒状部と仕上外装下地取付ボルトの中心軸を同軸として固定したことを特徴とする外装仕上材取付用パネルの取付構造。
【請求項3】
外装仕上げ材取付用パネル内に副筋、主筋、又は鋼棒と連結されたパネルアンカーの主要部が埋設され、前記パネルアンカーの端部が、躯体側に固定され、かつ、前記パネルアンカーが、パネルアンカーの中心軸と取付軸が同軸となるように、仕上外装下地取付ボルトが、前記パネルの躯体と反対側の面に直立して固定状態で取り付けられた外装仕上材取付用パネルであって、
前記パネルアンカーがパイプナットアンカーであり、
前記パイプナットアンカーを副筋、主筋、又は鋼棒と直交して中央に固定され、
前記副筋、主筋、又は鋼棒に、前記パイプナットアンカー以外の複数のパイプナットが直交して両脇に固定され、
仕上外装下地取付ボルトが直立して固定された仕上外装下地取付板が、ボルトで前記パネルの躯体と反対側の面に固定されることによって、前記複数のパイプナットアンカーが固定され、中央に固定したパイプナットアンカーが仕上外装下地取付ボルトと中心軸を同軸として固定状態で取り付けられたことを特徴とする外装仕上材取付用パネル。
【請求項4】
外装仕上げ材取付用パネル内に副筋、主筋、又は鋼棒と連結されたパネルアンカーの主要部が埋設され、前記パネルアンカーの端部が、躯体側に固定され、かつ、前記パネルアンカーが、パネルアンカーの中心軸と取付軸が同軸となるように、仕上外装下地取付ボルトが、前記パネルの躯体と反対側の面に直立して固定状態で取り付けられた外装仕上材取付用パネルであって、
前記パネルアンカーが、副筋、主筋、又は鋼棒に固定される結合部と、筒状部と、筒状部の長さ方向に沿って、筒状部の1/5~2/3の長さに延びるとともに、筒状部から両幅方向に延びる一対の翼片部と、筒状部の躯体側先端を貫通し翼片部と直交する矩形部と、躯体取付部との結合部とからなり、
前記パネルアンカーが副筋、主筋、又は鋼棒と直交して、矩形部は前記パネルの仕上外装材取付面と並行であり、
仕上外装下地取付ボルトが直立して固定された仕上外装下地取付板が、ボルト又はビスで前記矩形部を貫通して、前記パネルの躯体と反対側の面に固定されることによって、前記パネルアンカーの筒状部と仕上外装下地取付ボルトが中心軸を同軸として固定状態で取り付けられたことを特徴とする外装仕上材取付用パネル。
【請求項5】
請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の取付構造を有する外壁。
【請求項6】
請求項5に記載の外壁を有する建物。