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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091913
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206784
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻田 正実
(72)【発明者】
【氏名】金子 義行
(72)【発明者】
【氏名】小林 基紀
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】水栓装置において、人体への着水による誤検知を抑制すること。
【解決手段】実施形態に係る水栓装置は、導電性のスパウト本体部と、少なくとも一部がスパウト本体部に収容され、吐水口に洗浄水を導く通水経路部と、スパウト本体部を検知電極として静電容量を検知する静電センサと、止水状態において静電容量の変化量が第1閾値以上である場合、洗浄水の状態を止水状態から吐水状態に切り替え、吐水状態において静電容量の変化量が第2閾値以上である場合、洗浄水の状態を、吐水状態から止水状態に切り替える制御装置を備える。水栓装置は、通水経路部をグランドに接続するグランド導通部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のスパウト本体部と、
少なくとも一部が前記スパウト本体部に収容され、吐水口に洗浄水を導く通水経路部と、
前記スパウト本体部を検知電極として静電容量を検知する静電センサと、
止水状態において前記静電容量の変化量が第1閾値以上である場合、前記洗浄水の状態を止水状態から吐水状態に切り替え、吐水状態において前記静電容量の変化量が第2閾値以上である場合、前記洗浄水の状態を、吐水状態から止水状態に切り替える制御装置と、
を備え、
前記通水経路部をグランドに接続するグランド導通部を有する、水栓装置。
【請求項2】
前記通水経路部は、
前記スパウト本体部に収容されるスパウト経路部と、
前記通水経路部における前記洗浄水の流れ方向において、前記スパウト経路部よりも上流側に設けられる給水経路部と
を含み、
前記グランド導通部は、前記スパウト経路部をグランドに接続する、請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記グランド導通部は、前記スパウト経路部との接続箇所と前記吐水口との距離が、前記接続箇所と前記スパウト本体部の基端部との距離よりも短い、請求項2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記スパウト経路部は、導電性の継手部を備え、
前記グランド導通部は、前記継手部に接続される、請求項2または3に記載の水栓装置。
【請求項5】
前記吐水口を有する導電性の吐水キャップを備え、
前記グランド導通部は、前記吐水キャップに接続される、請求項2または3に記載の水栓装置。
【請求項6】
前記スパウト本体部内に設けられ、前記グランド導通部、および前記グランド導通部に接続される導電性の部材の少なくとも1つと前記スパウト本体部とを絶縁する絶縁部
を備える、請求項2~5のいずれか1つに記載の水栓装置。
【請求項7】
前記グランド導通部を前記スパウト本体部から離間した状態で保持する保持部
を備える、請求項2~6のいずれか1つに記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサによる検知対象の検知結果に応じて、水道水を吐水、および止水する水栓装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-24808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記する水栓装置では、水栓装置に組み込んだ静電センサの検知電極により、吐水状態において人体が水に接触した際に静電容量が変化(増加)することを用いて、人体が水から離反した際の静電容量の変化(減少)との差から吐水状態から止水状態に切り替えることができる。
【0005】
一方、水栓装置に組み込んだ静電センサとして、導電性のスパウト本体部を検知電極とし、吐水状態において、人体が水に着水している時、及び、着水していない時にも吐水の継続を行い、使用者がスパウト本体部に手を近づけることによって止水を行う水栓装置を構成する場合には、吐水状態において、水が手に着水する地点がスパウト本体部の吐水口に近い場合、手が水に接触した際に静電容量が大きく変化(増加)することで、止水するためにスパウト本体部に手が近づけられたと誤検知してしまい、使用者が吐水の継続を望んでいるにもかかわらず、着水時に吐水状態から止水状態に切り替えられるおそれがある。
【0006】
実施形態の一態様は、人体への着水による誤検知を抑制する水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る水栓装置は、導電性のスパウト本体部と、少なくとも一部が前記スパウト本体部に収容され、吐水口に洗浄水を導く通水経路部と、前記スパウト本体部を検知電極として静電容量を検知する静電センサと、止水状態において前記静電容量の変化量が第1閾値以上である場合、前記洗浄水の状態を止水状態から吐水状態に切り替え、吐水状態において前記静電容量の変化量が第2閾値以上である場合、前記洗浄水の状態を、吐水状態から止水状態に切り替える制御装置と、を備える。水栓装置は、前記通水経路部をグランドに接続するグランド導通部を有する。
【0008】
これにより、水栓装置は、通水経路部をグランドに接続することで、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることを抑制することができる。そのため、水栓装置は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部に人体が近づけられたと誤検知することを抑制することができる。すなわち、水栓装置は、人体の誤検知による止水を抑制することができる。また、誤検知を抑制する方法として、スパウト本体部と、通水経路部との距離を長くする方法があるが、この方法では、スパウト本体部が大きくなり、水栓装置が大型化する。これに対し、水栓装置は、通水経路部をグランドに接続することで、大型化することなく、誤検知を抑制することができる。
【0009】
また、前記通水経路部は、前記スパウト本体部に収容されるスパウト経路部と、前記通水経路部における前記洗浄水の流れ方向において、前記スパウト経路部よりも上流側に設けられる給水経路部とを含む。前記グランド導通部は、前記スパウト経路部をグランドに接続する。
【0010】
これにより、水栓装置は、グランド導通部を吐水口に近いスパウト経路部に接続することで、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。そのため、水栓装置は、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることをさらに抑制することができる。従って、水栓装置は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部に人体が近づけられたと誤検知することをさらに抑制することができる。
【0011】
また、前記グランド導通部は、前記スパウト経路部との接続箇所と前記吐水口との距離が、前記接続箇所と前記スパウト本体部の基端部との距離よりも短い。
【0012】
これにより、水栓装置は、グランド導通部を吐水口に近いスパウト経路部に接続することで、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。そのため、水栓装置は、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることをさらに抑制することができる。従って、水栓装置は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部に人体が近づけられたと誤検知することをさらに抑制することができる。
【0013】
また、前記スパウト経路部は、導電性の継手部を備える。前記グランド導通部は、前記継手部に接続される。
【0014】
これにより、水栓装置は、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。また、水栓装置は、簡易な構成によって、グランド導通部とスパウト経路部とを接続することができる。
【0015】
また、水栓装置は、前記吐水口を有する導電性の吐水キャップを備える。前記グランド導通部は、前記吐水キャップに接続される。
【0016】
これにより、水栓装置は、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。そのため、水栓装置は、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることをさらに抑制することができる。従って、水栓装置は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部に人体が近づけられたと誤検知することをさらに抑制することができる。
【0017】
また、水栓装置は、前記スパウト本体部内に設けられ、前記グランド導通部、および前記グランド導通部に接続される導電性の部材の少なくとも1つと前記スパウト本体部とを絶縁する絶縁部を備える。
【0018】
グランド導通部とスパウト本体部とが接触し導通した場合、グランド導通部とスパウト本体部との静電容量の結合が非常に強くなる。そのため、スパウト本体部に人体が接近した場合に、静電容量の変化が小さく、静電容量の変化量が、第1閾値、および第2閾値以上とはならないおそれがある。これに対し、水栓装置は、グランド導通部とスパウト本体部との間に絶縁部を設けることで、スパウト本体部に人体が接近した場合に、静電容量を確実に変化させて、人体の接近を検知することができる。すなわち、水栓装置は、使用者による操作に応じて、洗浄水の状態を、正確に、止水状態、および吐水状態に切り替えることができる。
【0019】
また、水栓装置は、前記グランド導通部を前記スパウト本体部から離間した状態で保持する保持部を備える。
【0020】
これにより、水栓装置は、グランド導通部とスパウト本体部との接触を抑制し、使用者による操作に応じて、洗浄水の状態を、正確に、止水状態、および吐水状態に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0021】
実施形態の一態様によれば、人体への着水による誤検知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係る水栓装置を説明する模式図である。
図2図2は、水栓装置に対応する電気回路図である。
図3図3は、スパウト本体部に手がかざされた場合の電流の流れを示す図である。
図4図4は、洗浄水が使用者の手に着水した場合の電流の流れを示す図である。
図5図5は、比較例の止水状態における電流の流れを示す図である。
図6図6は、比較例において、洗浄水が使用者の手に着水した場合の電流の流れを示す図である。
図7図7は、第1実施形態における吐水処理を説明するフローチャートである。
図8図8は、第2実施形態に係る水栓装置を説明する模式図である。
図9図9は、第3実施形態に係る水栓装置を説明する模式図である。
図10図10は、第4実施形態に係る水栓装置を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水栓装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。以下では、鉛直方向を下向きとする上下方向を規定し説明する。
【0024】
(第1実施形態)
<水栓装置の構成>
第1実施形態に係る水栓装置1について、図1を参照し説明する。図1は、第1実施形態に係る水栓装置1を説明する模式図である。図1では、水栓装置1のスパウト本体部2、および吐水キャップ4が断面で示される。
【0025】
水栓装置1は、例えば、洗面台などの基部100に取り付けられ、検知対象を検知すると、洗浄水を吐水、および止水する。すなわち、水栓装置1は、自動で吐水、および止水する自動水栓である。検知対象は、人体を含む。人体は、使用者の手を含む。
【0026】
洗浄水は、原水を含む。洗浄水は、改質水を含んでもよい。原水は、例えば、水道水である。改質水は、浄水、またはアルカリイオン水である。浄水は、例えば、水道水がフィルターを通されることで生成される。アルカリイオン水は、例えば、水道水が電気分解されて生成される。
【0027】
水栓装置1は、スパウト本体部2(センサ6)と、通水経路部3と、吐水キャップ4と、グランド導通部5と、センサ6と、制御装置7とを備える。
【0028】
スパウト本体部2は、導電性の部材で構成される。スパウト本体部2は、金属製である。スパウト本体部2は、導電性のカーボンや、導電性のプラスチックなどであってもよい。
【0029】
スパウト本体部2は、例えば、洗面台などの基部100に取り付けられる。スパウト本体部2は、例えば、略L字状である。スパウト本体部2は、略J字状であってもよく、直線状であってもよい。
【0030】
通水経路部3は、吐水キャップ4の吐水口4aに洗浄水を導く。通水経路部3の少なくとも一部は、スパウト本体部2に収容される。通水経路部3は、スパウト経路部10と、給水経路部11と、バルブ12とを含む。スパウト経路部10、および給水経路部11は、洗浄水が流れる供給管である。スパウト経路部10、および給水経路部11は、一体に設けられてもよい。スパウト経路部10、および給水経路部11は、絶縁体である樹脂などによって構成される。例えば、スパウト経路部10、および給水経路部11は、塩化ビニルによって構成される。
【0031】
スパウト経路部10は、スパウト本体部2に収容される。スパウト経路部10には、導電性の継手部13が設けられる。スパウト経路部10は、第1スパウト経路部10a、および第2スパウト経路部10bが継手部13によって接続されて構成される。なお、スパウト経路部10は、継手部13を用いずに、1つの経路部として構成されてもよい。
【0032】
第1スパウト経路部10aは、継手部13よりも、吐水口4a側に設けられる。第1スパウト経路部10aは、継手部13と吐水キャップ4とを接続する。
【0033】
以下においては、通水経路部3を流れて、吐水口4aから吐水される洗浄水の流れ方向において、上流側、および下流側を用いて説明することがある。洗浄水は、上流側から下流側に流れ、吐水口4aから吐水される。すなわち、上流側とは、洗浄水の供給源側であり、下流側とは、吐水口4a側である。
【0034】
第2スパウト経路部10bは、継手部13よりも、上流側に設けられる。第2スパウト経路部10bは、継手部13と給水経路部11とを接続する。
【0035】
継手部13は、吐水口4aまでの距離が、スパウト本体部2の基端部までの距離よりも短くなるように設けられる。
【0036】
給水経路部11は、スパウト経路部10よりも上流側に設けられる。給水経路部11は、スパウト本体部2に収容されない供給管である。給水経路部11は、洗浄水の供給源に接続される。給水経路部11には、バルブ12が設けられる。
【0037】
バルブ12は、電磁バルブであり、アクチュエータを含む。アクチュエータは、モータなどを含む。バルブ12は、アクチュエータによって開閉される。バルブ12は、制御装置7から送信される信号に基づいてアクチュエータが動作することで開閉される。バルブ12が開くと、吐水キャップ4の吐水口4aから洗浄水が吐水される。バルブ12が閉じると、洗浄水が止水される。
【0038】
吐水キャップ4は、スパウト本体部2の先端側に設けられる。吐水キャップ4は、通水経路部3を介して供給される洗浄水を吐水する。吐水キャップ4は、下方、または斜め下方に向けて洗浄水を吐水するように設けられる。
【0039】
吐水キャップ4には、吐水口4aが形成される。吐水口4aは、通水経路部3のスパウト経路部10、具体的には、第1スパウト経路部10aに連通する。吐水キャップ4は、絶縁体である樹脂などのプラスチックなどで構成されることが望ましい。
【0040】
グランド導通部5は、通水経路部3をグランドに接続する導線である。グランド導通部5は、通水経路部3と、制御装置7のグランドラインLG(図2参照)とを接続することで、通水経路部3を接地する。グランド導通部5の一方の端部は、継手部13に接続される。グランド導通部5の他方の端部は、制御装置7のグランドラインLGに接続される。グランド導通部5は、スパウト経路部10との接続箇所と吐水口4aとの距離が、通水経路部3との接続箇所とスパウト本体部2の基端部との距離よりも短くなるように、スパウト経路部10に接続される。グランド導通部5には、水との接触抵抗などがあるため抵抗Rgが発生する。
【0041】
センサ6は、所定の検知範囲内において検知対象の有無を検知する。センサ6は、スパウト本体部2を電極とする静電センサである。スパウト本体部2(センサ6)は、接続部6aを介して制御装置7と接続される。後述する制御装置7は、スパウト本体部2(センサ6)にて検知対象を検知した検知信号を入力し検知可否を判断できる信号に変換する静電センサICなどを有する静電センサ基板を含む。
【0042】
スパウト本体部2(センサ6)にて検知対象を検知した検知信号を制御装置7へ電送する接続部6aの長さを極力短くすることで、接続部6a(例えばハーネス)から侵入するノイズを抑制し、検知信号への影響を抑制することができる。
【0043】
スパウト本体部2(センサ6)が取り付けられている基部100の下側付近に、静電センサICなどを有する静電センサ基板を制御装置7と別に配置してもよい。これにより、スパウト本体部2(センサ6)と静電センサ基板を接続する接続部6aの長さを短くすることができる。
【0044】
スパウト本体部2(センサ6)に検知対象が近づくと、静電容量が変化する。センサ6は、静電容量の変化量に応じて、検知対象の有無を検知する。例えば、静電容量は、スパウト本体部2(センサ6)に検知対象が近づくと大きくなる。また、静電容量は、吐水口4aから洗浄水が吐水されると大きくなる。また、静電容量は、洗浄水と検知対象とが電気的に接続されると大きくなる。センサ6は、スパウト本体部2を検知電極として静電容量を検知する。
【0045】
センサ6は、スパウト本体部2を電極とするため、スパウト本体部2(センサ6)の上方、およびスパウト本体部2(センサ6)の側方を含むスパウト本体部2(センサ6)の周囲に主に検知範囲を有する。
【0046】
制御装置7は、たとえばコンピュータであり、制御部7aと記憶部7bとを備える。
【0047】
記憶部7bには、水栓装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。記憶部7bは、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等の記憶装置によって実現される。
【0048】
制御部7aは、記憶部7bに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって水栓装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から制御装置7の記憶部7bにインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク、メモリカードなどがある。
【0049】
制御装置7は、センサ6による検知対象の検知結果に応じて、洗浄水の状態を、吐水状態、および止水状態に切り替える。吐水状態は、吐水口4aから洗浄水が吐水されている状態である。止水状態は、吐水口4aから洗浄水が吐水されていない状態である。
【0050】
制御装置7は、止水状態において、センサ6によって検知対象が検知されると、バルブ12を開くことで、洗浄水の状態を、止水状態から吐水状態に切り替える。具体的には、制御装置7は、止水状態において、センサ6によって検知される静電容量の変化量が第1閾値以上変化した場合に、バルブ12を開くための信号を生成し、生成した信号をバルブ12に送信する。これにより、バルブ12が開いて、洗浄水の状態が、止水状態から吐水状態に切り替えられる。
【0051】
制御装置7は、吐水状態において、センサ6によって検知対象が検知されると、バルブ12を閉じることで、洗浄水の状態を、吐水状態から止水状態に切り替える。具体的には、制御装置7は、吐水状態において、センサ6によって検知される静電容量の変化量が第2閾値以上変化した場合に、バルブ12を閉じるための信号を生成し、生成した信号をバルブ12に送信する。これにより、バルブ12が閉じて、洗浄水の状態が、吐水状態から止水状態に切り替えられる。
【0052】
第1閾値は、使用者が水栓装置1から吐水させるために、例えば、手をスパウト本体部2にかざした場合に変化する静電容量の変化量である。第2閾値は、使用者が水栓装置1を止水させるために、例えば、手をスパウト本体部2にかざした場合に変化する静電容量の変化量である。第1閾値、および第2閾値は、それぞれ予め設定される値である。第1閾値、および第2閾値は、同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。
【0053】
<水栓装置の動作説明>
ここで、図2を参照し、水栓装置1の動作について説明する。図2は、水栓装置1に対応する電気回路図である。
【0054】
制御装置7は、外部電源に接続されており、交流電源30を有する。制御装置7は、内部のインピーダンスとして、インピーダンスR(cd)を含む。インピーダンスR(cd)は、例えば、0.01kΩ程度である。なお、インピーダンスR(cd)、以下で説明する他のインピーダンス、および抵抗の値は、一例であり、限定されるものではない。
【0055】
制御装置7は、接続部6aによってスパウト本体部2に接続される。スパウト本体部2に収容されるスパウト経路部10は、スパウト本体部2に近接して設けられるため、スパウト本体部2と、スパウト経路部10内の水路とによって静電結合が発生する。スパウト本体部2と、スパウト経路部10内の水路との静電結合におけるインピーダンスR(Cs)は、例えば、10kΩ程度である。
【0056】
スパウト経路部10はバルブ12を介して接地される。バルブ12を介したスパウト経路部10における水路の経路L1は、抵抗Rvを含む。抵抗Rvは、例えば、600kΩ程度である。
【0057】
スパウト経路部10には、グランド導通部5が接続される。グランド導通部5には、抵抗Rgが発生する。抵抗Rgは、抵抗Rvよりも小さい。また、抵抗Rgは、後述する抵抗Rc_outと抵抗Rhcとの合計よりも小さい。抵抗Rgは、例えば、10kΩ程度である。グランド導通部5は、制御装置7のグランドラインLGに接続される。
【0058】
図2における電気回路図では、洗浄水が使用者に着水する場合に形成される吐水経路L2を示す。吐水経路L2は、吐水によって人体を介して接地される経路である。なお、説明のため、使用者への着水の有無は、スイッチSW1として示される。使用者への着水がある状態は、スイッチSW1が「ON」の状態である。使用者への着水がない状態は、スイッチSW1が「OFF」の状態である。
【0059】
吐水経路L2には、吐水キャップ4から吐水された洗浄水の抵抗として抵抗Rc_outが含まれる。抵抗Rc_outは、吐水口4aと使用者(例えば、使用者の手)との距離が短い場合の抵抗である。抵抗Rc_outは、例えば、50kΩ程度である。
【0060】
吐水経路L2には、人体に相当する抵抗Rhcが含まれる。抵抗Rhcは、手の乾燥状態により様々であるが、例えば、1kΩ程度とする。洗浄水が使用者に着水した場合、スイッチSW1が「ON」となり、吐水経路L2が導通状態となる。
【0061】
また、図2における電気回路図では、使用者による吐水、および止水の切り替え操作に応じて形成される操作経路L3が示される。操作経路L3は、使用者による水栓装置1の吐水、および止水の切り替え操作に対応する経路である。なお、説明のため、使用者とスパウト本体部2との電気的な接続の有無は、スイッチSW2として示される。
【0062】
使用者が水栓装置1の吐水、および止水を切り替えるために、例えば、スパウト本体部2に手をかざして、使用者の手とスパウト本体部2との距離が短くなると、使用者の手とスパウト本体部2との静電結合が発生する。使用者の手とスパウト本体部2との静電結合におけるインピーダンスR(ct)は、例えば、100kΩ程度である。
【0063】
使用者の手がスパウト本体部2に近づくと、使用者の手とスパウト本体部2とが電気的に接続された状態となる。使用者とスパウト本体部2とが電気的に接続された状態は、スイッチSW2が「ON」の状態である。スパウト本体部2に手がかざされておらず、使用者とスパウト本体部2とが電気的に接続されていない状態は、スイッチSW2が「OFF」の状態である。
【0064】
操作経路L3には、人体に相当する抵抗Rhtが含まれる。抵抗Rhtは、例えば、1kΩ程度である。例えば、使用者が、手をスパウト本体部2にかざすと、スイッチSW2が「ON」となり、操作経路L3が導通状態となる。
【0065】
洗浄水の状態が止水状態であり、スパウト本体部2に手がかざされていない場合には、スイッチSW1、およびスイッチSW2は、共に「OFF」である。この場合、グランド導通部5の抵抗Rgは、抵抗Rvよりも小さいため、グランド導通部5を介して主に電流が流れる。
【0066】
図2に示す状態から、使用者が水栓装置1から吐水させるために、スパウト本体部2に手をかざした場合、使用者とスパウト本体部2との距離が短くなり、図3に示すように、スイッチSW2が「ON」の状態となる。図3は、スパウト本体部2に手がかざされた場合の電流の流れを示す図である。
【0067】
この場合、操作経路L3にも電流が流れるため、センサ6によって検知される静電容量の変化が大きくなる。そして、静電容量の変化量が第1閾値以上となり、人体が検知される。人体が検知されることで、バルブ12が開かれ、洗浄水の状態が止水状態から吐水状態に切り替えられる。
【0068】
洗浄水の状態が止水状態から吐水状態に切り替えられることで、吐水口4aから洗浄水が吐水される。吐水された洗浄水が、使用者の手に着水すると、図4に示すように、スイッチSW1が「ON」となる。図4は、洗浄水が使用者の手に着水した場合の電流の流れを示す図である。なお、ここでは、使用者によるスパウト本体部2への手かざしがなくなり、スイッチSW2は「OFF」となるものとする。
【0069】
洗浄水が、使用者の手に着水した場合、吐水経路L2にも電流が流れるが、吐水経路L2における抵抗Rc_out、およびRhcの合計は、グランド導通部5における抵抗Rgよりも大きい。そのため、電流は、主にグランド導通部5を流れる。
【0070】
ここで、吐水口4aから使用者の手に着水した地点までの距離や人体の抵抗を一定とした場合、手に着水した時の静電容量の変化量は、グランド導通部5をスパウト経路部10に接続した地点から吐水口4aまでの、スパウト本体部2とスパウト経路部10内の水路との静電結合が強いほど大きくなる。したがって、グランド導通部5をスパウト経路部10に接続する地点を、吐水口4aに出来る限り近くすることで、手に着水した時のスパウト本体部2とスパウト経路部10内の水路との静電結合が抑制され、手に着水した時の静電容量の変化量が小さくなる。
【0071】
従って、スパウト経路部10にグランド導通部5が接続されることによって、洗浄水が使用者の手に着水した場合の静電容量の変化量は、図3に示すようにスパウト本体部2に手がかざされた場合の静電容量の変化量よりも小さくなる。具体的には、センサ6によって検知される静電容量の変化量は、第2閾値よりも小さくなる。従って、使用者の手への着水は、センサ6によって人体として検知されず、吐水状態が維持される。
【0072】
図4に示す状態から、使用者への着水がなくなり、使用者が水栓装置1を止水させるために、スパウト本体部2に手をかざした場合、図3に示すように、スイッチSW1が「OFF」となり、スイッチSW2が「ON」となる。これにより、センサ6によって検知される静電容量の変化量が第2閾値以上となり、人体が検知されることで、バルブ12が閉じられ、洗浄水の状態が吐水状態から止水状態に切り替えられる。
【0073】
<比較例の説明>
第1実施形態のグランド導通部5を有さない比較例の水栓装置150においては、洗浄水の状態が止水状態である場合、図5に示すように、バルブ12を介して電流が流れる。図5は、比較例の止水状態における電流の流れを示す図である。
【0074】
比較例において、洗浄水が、使用者の手に着水した場合、スイッチSW1が「ON」となる。吐水経路L2における抵抗Rc_out、およびRhcは、抵抗Rvよりも小さい。電流は、図6に示すように吐水経路L2に流れるため、電流が大きくなる。従って、センサ6によって検知される静電容量の変化が大きくなり、第2閾値よりも大きくなるおそれがある。そのため、使用者の手への着水が、スパウト本体部2への手かざしであると誤検知され、止水されるおそれがある。図6は、比較例において、洗浄水が使用者の手に着水した場合の電流の流れを示す図である。
【0075】
実施形態に係る水栓装置1は、グランド導通部5を設けることで、洗浄水が使用者の手に着水した場合に、比較例における誤検知を防止する。
【0076】
<吐水処理>
次に、第1実施形態における吐水処理について図7を参照し説明する。図7は、第1実施形態における吐水処理を説明するフローチャートである。
【0077】
制御装置7は、洗浄水の状態が吐水状態であるか否かを判定する(S100)。具体的には、制御装置7は、バルブ12が開いているか否かを判定する。
【0078】
洗浄水の状態が吐水状態ではない場合(S100:No)、すなわち、洗浄水の状態が止水状態である場合、制御装置7は、静電容量の変化量が第1閾値以上であるか否かを判定する(S101)。
【0079】
静電容量の変化量が第1閾値以上である場合、制御装置7は、例えば、スパウト本体部2に使用者の手がかざされて、使用者による吐水操作がされたと判定する。静電容量の変化量が第1閾値よりも小さい場合、制御装置7は、例えば、スパウト本体部2に使用者の手がかざされておらず、使用者による吐水操作がされていないと判定する。
【0080】
静電容量の変化量が第1閾値以上である場合(S101:Yes)、制御装置7は、洗浄水の状態を止水状態から吐水状態に切り替える(S102)。具体的には、制御装置7は、バルブ12を開くための信号を生成し、生成した信号をバルブ12に送信する。これにより、バルブ12が開いて吐水口4aから洗浄水が吐水されて、洗浄水の状態が止水状態から吐水状態に切り替えられる。
【0081】
制御装置7は、静電容量の変化量が第1閾値よりも小さい場合(S101:No)、今回の処理を終了する。
【0082】
洗浄水の状態が吐水状態である場合(S100:Yes)、制御装置7は、静電容量の変化量が第2閾値以上であるか否かを判定する(S103)。
【0083】
静電容量の変化量が第2閾値以上である場合、制御装置7は、例えば、スパウト本体部2に使用者の手がかざされて、使用者による止水操作がされたと判定する。静電容量の変化量が第2閾値よりも小さい場合、制御装置7は、例えば、スパウト本体部2に使用者の手がかざされておらず、使用者による止水操作がされていないと判定する。
【0084】
静電容量の変化量が第2閾値以上である場合(S103:Yes)、制御装置7は、洗浄水の状態を、吐水状態から止水状態に切り替える(S104)。具体的には、制御装置7は、バルブ12を閉じるための信号を生成し、生成した信号をバルブ12に送信する。これにより、バルブ12が閉じて吐水口4aから洗浄水が止水されて、洗浄水の状態が吐水状態から止水状態に切り替えられる。
【0085】
制御装置7は、静電容量の変化量が第2閾値よりも小さい場合(S103:No)、今回の処理を終了する。
【0086】
<効果>
水栓装置1は、導電性のスパウト本体部2と、通水経路部3と、センサ6と、制御装置7と、グランド導通部5とを備える。通水経路部3は、少なくとも一部がスパウト本体部2に収容され、吐水口4aに洗浄水を導く。センサ6は、スパウト本体部2を検知電極として静電容量を検知する。制御装置7は、止水状態において静電容量の変化量が第1閾値以上である場合、洗浄水の状態を止水状態から吐水状態に切り替える。制御装置7は、吐水状態において静電容量の変化量が第2閾値以上である場合、洗浄水の状態を、吐水状態から止水状態に切り替える。グランド導通部5は、通水経路部3をグランドに接続する。
【0087】
これにより、水栓装置1は、通水経路部3をグランドに接続することで、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることを抑制することができる。そのため、水栓装置1は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部2に人体が近づけられたと誤検知することを抑制することができる。すなわち、水栓装置1は、人体の誤検知による止水を抑制することができる。また、誤検知を抑制する方法として、スパウト本体部2と、通水経路部3との距離を長くする方法があるが、この方法では、スパウト本体部2が大きくなり、水栓装置1が大型化する。これに対し、水栓装置1は、通水経路部3をグランドに接続することで、大型化することなく、誤検知を抑制することができる。
【0088】
通水経路部3は、スパウト経路部10と、給水経路部11とを含む。スパウト経路部10は、スパウト本体部2に収容される。給水経路部11は、通水経路部3における洗浄水の流れ方向において、スパウト経路部10よりも上流側に設けられる。グランド導通部5は、スパウト経路部10をグランドに接続する。
【0089】
これにより、水栓装置1は、グランド導通部5を吐水口4aに近いスパウト経路部10に接続することで、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。そのため、水栓装置1は、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることをさらに抑制することができる。従って、水栓装置1は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部2に人体が近づけられたと誤検知することをさらに抑制することができる。
【0090】
グランド導通部5は、スパウト経路部10との接続箇所と吐水口4aとの距離が、接続箇所とスパウト本体部2の基端部との距離よりも短い。
【0091】
これにより、水栓装置1は、グランド導通部5を吐水口4aに近いスパウト経路部10に接続することで、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。そのため、水栓装置1は、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることをさらに抑制することができる。従って、水栓装置1は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部2に人体が近づけられたと誤検知することをさらに抑制することができる。
【0092】
スパウト経路部10は、導電性の継手部13を備える。グランド導通部5は、継手部13に接続される。
【0093】
これにより、水栓装置1は、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。また、水栓装置1は、簡易な構成によって、グランド導通部5とスパウト経路部10とを接続することができる。
【0094】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る水栓装置200について図8を参照し説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所について説明し、第1実施形態に係る水栓装置1と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付して詳しい説明は省略する。図8は、第2実施形態に係る水栓装置200を説明する模式図である。
【0095】
水栓装置200は、さらに、絶縁部201、202を備える。絶縁部201、202は、スパウト本体部2内に設けられる。具体的には、絶縁部201は、グランド導通部5とスパウト本体部2との間に設けられる。絶縁部201は、グランド導通部5とスパウト本体部2とを絶縁する。絶縁部201は、例えば、複数設けられる。また、絶縁部202は、グランド導通部5に接続される導電性の部材、例えば、グランド導通部5に接続される継手部13とスパウト本体部2との間に設けられる。絶縁部202は継手部13とスパウト本体部2とを絶縁する。絶縁部201、202は、樹脂などの絶縁部材によって構成される。水栓装置200には、絶縁部201、202の少なくとも一方が設けられる。
【0096】
グランド導通部5とスパウト本体部2とが接触し導通した場合、グランド導通部5とスパウト本体部2との静電容量の結合が非常に強くなる。そのため、スパウト本体部2に人体が接近した場合に、静電容量の変化が小さく、静電容量の変化量が、第1閾値、および第2閾値よりも小さくなるおそれがある。すなわち、使用者が水栓装置1による吐水、および止水を切り替える操作を行った場合に、洗浄水の状態を、使用者の操作に応じて吐水状態、および止水状態に切り替えることができないおそれがある。
【0097】
これに対し、水栓装置200は、絶縁部201、202を備える。絶縁部201は、スパウト本体部2内に設けられ、グランド導通部5とスパウト本体部2とを絶縁する。絶縁部202は、グランド導通部5に接続される導電性の部材である継手部13とスパウト本体部2とを絶縁する。
【0098】
これにより、水栓装置200は、グランド導通部5とスパウト本体部2との間に絶縁部201、202を設けることで、スパウト本体部2に人体が接近した場合に、静電容量を確実に変化させて、人体の接近を検知することができる。すなわち、水栓装置200は、使用者による操作に応じて、洗浄水の状態を、正確に、止水状態、および吐水状態に切り替えることができる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る水栓装置210について図9を参照し説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所について説明し、第1実施形態に係る水栓装置1と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付して詳しい説明は省略する。図9は、第3実施形態に係る水栓装置210を説明する模式図である。
【0100】
水栓装置210は、さらに、保持部211を備える。保持部211は、グランド導通部5をスパウト本体部2から離間した状態で保持する。保持部211は、例えば、グランド導通部5をスパウト経路部10に保持するフックである。保持部211は、グランド導通部5をスパウト経路部10に固定するバンドであってもよい。保持部211は、樹脂などの絶縁部材によって構成されることが望ましい。保持部211は、第2実施形態における絶縁部201であってもよい。
【0101】
これにより、水栓装置210は、グランド導通部5とスパウト本体部2との接触を抑制し、使用者による操作に応じて、洗浄水の状態を、正確に、止水状態、および吐水状態に切り替えることができる。
【0102】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る水栓装置220について図10を参照し説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所について説明し、第1実施形態に係る水栓装置1と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付して詳しい説明は省略する。図10は、第4実施形態に係る水栓装置220を説明する模式図である。
【0103】
水栓装置220では、グランド導通部221が吐水キャップ222に接続される。吐水キャップ222は導電性である。吐水キャップ222と、スパウト本体部2との間には、絶縁部材が設けられ、吐水キャップ222とスパウト本体部2とは、電気的に遮断される。
【0104】
これにより、水栓装置220は、洗浄水が人体に着水した場合の静電容量の変化を小さくすることができる。そのため、水栓装置220は、洗浄水の状態が吐水状態であり、洗浄水が人体に着水した場合に、静電容量の変化量が大きくなることをさらに抑制することができる。従って、水栓装置220は、洗浄水が人体に着水した場合に、スパウト本体部2に人体が近づけられたと誤検知することをさらに抑制することができる。
【0105】
変形例に係る水栓装置1では、グランド導通部5は、継手部13ではなく、スパウト経路部10の基端側、すなわち給水経路部11側に接続されてもよい。すなわち、グランド導通部5は、スパウト経路部10の基端側と、制御装置7におけるグランドラインLGとに接続されてもよい。
【0106】
変形例に係る水栓装置1では、グランド導通部5は、制御装置7におけるグランドラインLGではなく、水道管や、手摺りなどの金属部材に接続されてもよい。すなわち、グランド導通部5は、金属部材を介して接地される。
【0107】
上記実施形態、および変形例は、適宜組み合わせて適用されてもよい。例えば、第4実施形態に係る水栓装置220は、絶縁部201、または保持部211を備えてもよい。例えば、第2実施形態~第4実施形態に係る水栓装置200、210、220のいずれか1つは、変形例におけるグランド導通部5の接続方法が適用されてもよい。
【0108】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1、200、210、220 水栓装置
2 スパウト本体部
3 通水経路部
4、222 吐水キャップ
4a 吐水口
5、221 グランド導通部
6 センサ(静電センサ)
7 制御装置
10 スパウト経路部
10a 第1スパウト経路部
10b 第2スパウト経路部
13 継手部
12 バルブ
201 絶縁部
202 絶縁部
211 保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10