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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091922
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】内装構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
E04F13/12 F
E04F13/12 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206797
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】505442978
【氏名又は名称】トップライズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 富洋
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA50
2E110AA57
2E110AB03
2E110AB04
2E110AB23
2E110BA03
2E110BA12
2E110BD22
2E110CA03
2E110CB02
2E110DA08
2E110DA12
2E110DC12
2E110DC23
2E110GA24Z
2E110GA33Y
2E110GB02W
2E110GB02X
2E110GB02Y
2E110GB03W
2E110GB03X
2E110GB05W
2E110GB05X
2E110GB06W
2E110GB06X
2E110GB17Y
2E110GB43Z
(57)【要約】
【課題】表面仕上げ材の取付強度が高く、表面仕上げ材の落下を防止できるとともに美観が良好で意匠性が高い内装構造を提供する。
【解決手段】コア材11を一対の面材12,12で挟んだ金属樹脂複合板パネル10と、金属樹脂複合板パネル10を接着剤2で貼り付ける下地材30とを備えた内装構造1であって、金属樹脂複合板パネル10の周縁部に、下地材30にビス止めするための凸部15が設けられ、凸部15は、少なくとも下地材30側の面材12が突出して構成されており、凸部15に対向する他の金属樹脂複合板パネル10の周縁部には、凸部15を収容する凹部25が設けられ、凹部25は、下地材30側の面材12およびコア材11の一部を除去して構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材を一対の面材で挟んだ金属樹脂複合板パネルと、前記金属樹脂複合板パネルを接着剤で貼り付ける下地材とを備えた内装構造であって、
前記金属樹脂複合板パネルの周縁部に、前記下地材にビス止めするための凸部が設けられ、
前記凸部は、少なくとも前記下地材側の前記面材が突出して構成されており、
前記凸部に対向する他の金属樹脂複合板パネルの周縁部には、前記凸部を収容する凹部が設けられ、
前記凹部は、前記下地材側の前記面材および前記コア材の一部を除去して構成されている
ことを特徴とする内装構造。
【請求項2】
前記凸部は、前記下地材側の前記面材と前記コア材の一部が突出して構成されて、ビス孔を備えており、
前記ビス孔は、前記面材に形成された小径のビス胴部用孔と、前記コア材に形成された大径のビス頭部用孔とが連通して構成され、
前記凸部の前記コア材の厚さ寸法は、ビス頭部の厚さ寸法以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の内装構造。
【請求項3】
前記金属樹脂複合板パネルは、壁または天井の仕上げ材として用いられ、
前記凸部は、前記金属樹脂複合板パネルの周縁部から外方に向かって突出している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁や天井の表面仕上げ材として、樹脂にて構成されたコア材を一対の金属製表面板で挟んだ金属樹脂複合板パネルが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の複合板パネルは、ビスを介して下地材に取り付けられている。軽量化された複合板パネルを室内の間仕切り壁や天井の表面仕上げ材に用いる際には、接着剤を介して表面仕上げ材が下地材に取り付けられている場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-302772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、耐震性能の強化に伴って内装構造の表面仕上げ材の取付強度の向上が要求されている。表面仕上げ材の取付強度が向上すると、表面仕上げ材の落下を防止することができ、室内の安全性がより一層確保される。また、接着剤で表面仕上げ材を固定している場合には、接着剤の経年劣化が懸念される。さらに、軽量化された金属樹脂複合板パネルであっても施主から取付強度の向上を要求される場合がある。また、金属樹脂複合板を、ビスを介して下地材に取り付けると、ビスが露出して美観を損なう場合があった。
【0005】
このような観点から、本発明は、表面仕上げ材の取付強度が高く、表面仕上げ材の落下を防止できるとともに美観が良好で意匠性が高い内装構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、コア材を一対の面材で挟んだ金属樹脂複合板パネルと、前記金属樹脂複合板パネルを接着剤で貼り付ける下地材とを備えた内装構造であって、前記金属樹脂複合板パネルの周縁部に、前記下地材にビス止めするための凸部が設けられ、前記凸部は、少なくとも前記下地材側の前記面材が突出して構成されており、前記凸部に対向する他の金属樹脂複合板パネルの周縁部には、前記凸部を収容する凹部が設けられ、前記凹部は、前記下地材側の前記面材および前記コア材の一部を除去して構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の内装構造によれば、凸部にビス止めすることで、金属樹脂複合板パネル(表面仕上げ材)の下地材への取付強度が高くなる。さらに、万一接着剤が剥がれたとしても、金属樹脂複合板パネルをビスが支持するので落下を防止できる。さらに、凸部は、凹部に収容されるので、表面側から見て凸部とビスを隠すことができる。これによって、室内側の表面にビスが見えず、内装構造の美観が良好となり意匠性が高くなる。
【0008】
また、本発明の内装構造においては、前記凸部は、前記下地材側の前記面材と前記コア材の一部が突出して構成されて、ビス孔を備えており、前記ビス孔は、前記面材に形成された小径のビス胴部用孔と、前記コア材に形成された大径のビス頭部用孔とが連通して構成され、前記凸部の前記コア材の厚さ寸法は、ビス頭部の厚さ寸法以上であるものが好ましい。このような構成によれば、ビス頭部が凸部から飛び出さずに凸部内に収容されるので、ビス頭部が凹部の表面と緩衝しない。
【0009】
さらに、本発明の内装構造においては、前記金属樹脂複合板パネルは、壁または天井の仕上げ材として用いられ、前記凸部は、前記金属樹脂複合板パネルの周縁部から外方に向かって突出しているものが好ましい。このような構成によれば、壁または天井の下地材にビス止めすることで安定感が高く、金属樹脂複合板パネルの取付強度が高い壁または天井を提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る壁構造によれば、表面仕上げ材の取付強度が高く、表面仕上げ材の落下を防止することができるとともに、美観を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る内装構造の金属樹脂複合板パネルの凸部を示した斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る内装構造の金属樹脂複合板パネルの凹部を示した斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る内装構造の金属樹脂複合板パネルの凹部を示した斜視図である。
図4】(a)は本発明の実施形態に係る内装構造の金属樹脂複合板パネルの凸部を示した断面図、(b)は凹部を示した断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る内装構造の金属樹脂複合板パネルの下地材への取付状態を示した断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る内装構造の金属樹脂複合板パネルの凸部と凹部との取り合いを下地側から見た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る内装構造について図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明の内容構造は、室内の壁や天井に適用される。本実施形態では、かかる内装構造を室内の壁に適用した場合を例に挙げて説明する。図5に示すように、本実施形態に係る内装構造1は、金属樹脂複合板パネル10と下地材30とを備えている。
【0013】
金属樹脂複合板パネル10は、内装構造1の表面仕上げ材であって、矩形形状を呈している。図1および図2に示すように、金属樹脂複合板パネル10は、コア材11を一対の面材12,12で挟んで構成されている。金属樹脂複合板パネル10は、厚さ寸法がたとえば3~4mmで、重さが6~7.6kg/mであり、一般的な表面仕上げ材と比較して軽量である。金属樹脂複合板パネル10は、接着剤2および両面テープ3を介して下地材(ボード)30に貼り付けられている(図5参照)。下地材30は、プラスターボード、フレキシブルボードやケイ酸カルシウム板からなる板材、または軽量鉄骨材にて構成された直貼り下地である。本実施形態では、下地材30は板材にて構成されている。下地材30は、室内側に立設された軽鉄下地材(軽量鉄骨製の縦材)31に固定されている。両面テープ3は、金属樹脂複合板パネル10の下地材側の表面に所定間隔をあけて枠上に貼り付けられている。接着剤2は、両面テープ3の内側に塗布されている。金属樹脂複合板パネル10は、上下左右に配列されており、隣接する金属樹脂複合板パネル10,10の間には、所定幅の目地13(図5参照)が形成されている。
【0014】
コア材11は、比重が比較的小さいポリエチレンや発泡ポリエチレン等の樹脂にて構成されており、2~3mmの厚さ寸法を備えている。面材12は、例えばアルミニウム、ステンレス、チタン、ガルバニウム、スチール等からなる金属にて構成されており、略0.5mmの厚さ寸法を備えている。面材12は、コア材11の両面にそれぞれ一体化されている。コア材11の外側表面には、美観向上のため表面処理が施されている。表面処理は、例えば汎用塗装(ポリエステル樹脂塗装等)、高耐候性塗装(フッ素樹脂塗装)、抗菌・防カビ塗装、帯電防止塗装、プライマー処理、鏡面仕上げ等が施される。なお、面材12は、室内側と下地材30側とで区別する場合は、「表面板」と「裏面板」とで区別する場合がある。
【0015】
図1乃至図4に示すように、金属樹脂複合板パネル10は、凸部15と、凹部25とを備えている。凸部15は、金属樹脂複合板パネル10を下地材30(図5参照)にビス止めするための部位であって、金属樹脂複合板パネル10の周縁部から外側に向かって突出している。本実施形態では、凸部15は一か所設けられており、金属樹脂複合板パネル10の上縁部の長手方向中間部から上方に向かって突出している。凸部15は、矩形形状を呈しており、ビスVを2本挿通できる幅寸法と高さ寸法を備えている。凸部15は、少なくとも下地材30側の面材12(裏面板)が四角形状に突出している。本実施形態では、凸部15は、下地材30側の面材12とコア材11の一部が突出して構成されている。コア材11の一部は、下地材30側の面材12側の一部であって、面材12と一体化して突出している。凸部15は、2つのビス孔16を備えている。なお、ビス孔16の個数は、金属樹脂複合板パネル10の重量に応じて適宜設定される。本実施形態では、ビス孔16は2つ形成されているが、金属樹脂複合板パネル10の重量が小さい場合は、ビス孔は1つでもよいし、金属樹脂複合板パネル10の重量が大きい場合は、ビス孔を多数設けてもよい。
【0016】
ビス孔16は、ビス胴部用孔17aとビス頭部用孔17bとが連通して構成されている。図4に示すように、ビス胴部用孔17aは、ビス孔16に挿通されるビスVの胴部が通過する部分であって、面材12に形成されている。ビス胴部用孔17aは、ビスVの胴部が通過可能な小径の孔である。具体的には、ビス胴部用孔17aの径は、ビスVの胴部の径より大きく、ビスVの頭部の径より小さい。ビス頭部用孔17bは、ビス孔16に挿通されるビスVの頭部を収容する部分であって、コア材11に形成されている。ビス頭部用孔17bは、ビスVの頭部を収容可能な(ビスVの頭部の径より大きい)大径の孔である。凸部15のコア材11の厚さ寸法(ビス頭部用孔17bの深さ寸法)は、ビスVの頭部の厚さ寸法以上である。これによって、ビスVの頭部の全体がビス頭部用孔17b内に収容され、ビスVの頭部が凸部15の表面からはみ出さない。
【0017】
凹部25は、凸部15を収容する部分であって、凸部15に対向する他の金属樹脂複合板パネル10の周縁部に形成されている。本実施形態では、凹部25は、一枚の金属樹脂複合板パネル10において、凸部15が形成された上側の周縁部と反対側(下側)の周縁部に形成されている。凹部25は、一か所形成されており、金属樹脂複合板パネル10の下縁部の長手方向中間部に形成されている。凹部25は、下地材30側の面材12(裏面板)とコア材11の一部が切り欠かれて形成されている。凹部25は、下地材30側と下側が開放され、下地材30側から見て凸部15より一回り大きい矩形形状を呈している。詳しくは、凹部25は、凸部15の両側縁部と上縁部から、金属樹脂複合板パネル10,10間の目地幅と同じ寸法のクリアランスを広げた幅寸法と高さ寸法を備えている。なお、凹部25と凸部15とのクリアランスは、目地幅に限定されるものではなく、目地幅より小さくてもよいし、大きくてもよい。凹部25の深さ寸法(金属樹脂複合板パネル10の厚さ方向の切削深さ)は。凸部15の厚さ寸法より大きい。
【0018】
以上のような構成の金属樹脂複合板パネル10では、下地材30側の面材12(裏面材)は、上縁部に凸部15が形成され、下縁部に凹部25が形成されている。一方、室内側の面材12(表面板)は、矩形形状になっている。
【0019】
前記構成の内装構造1を施工するに際しては、下地材30を設置した後に、下側の金属樹脂複合板パネル10から順次下地材30に取り付ける。金属樹脂複合板パネル10の裏面(下地材30側の面)に両面テープ3を貼り付け、接着剤2を塗布し、金属樹脂複合板パネル10を所定位置で下地材30に圧着する。その後、上方に突出している凸部15にビスVを打ち込む。この時点で、金属樹脂複合板パネル10は、ビスVによって仮固定されるので、接着剤2の固着前でも金属樹脂複合板パネル10の押え部材を取り外すことができる。その後、上側の金属樹脂複合板パネル10を同等の手順で取り付ける。すると、図5および図6に示すように、下側の金属樹脂複合板パネル10の凸部15が、上側の金属樹脂複合板パネル10の凹部25で覆われて隠される。これによって、室内側から見ると、隣り合う金属樹脂複合板パネル10,10の間には、目地が形成される。なお、壁の上端部に設置される金属樹脂複合板パネル10の上端部は、天井の仕上げ面よりも上方に位置し、凸部15は、室内側から見えないようになっている。
【0020】
本実施形態の内装構造1によれば、金属樹脂複合板パネル10は、下地材30に接着剤2および両面テープ3で貼り付けられた上に、凸部15を介してビス止めされているので、金属樹脂複合板パネル10の下地材30への取付強度が高くなる。さらに、地震時等において、万一接着剤2が剥がれたとしても、金属樹脂複合板パネル10をビスVが支持しているので落下を防止できる。
【0021】
また、金属樹脂複合板パネル10を壁の仕上げ材として用いた際に、凸部15は金属樹脂複合板パネル10の上縁部から上方に向かって突出しているので、万一接着剤2が剥がれたとしても、金属樹脂複合板パネル10は吊り下げられ安定した状態で支持されるので、ビスVは金属樹脂複合板パネル10の重量を支えればよい。したがって、金属樹脂複合板パネル10の下地材30への取付強度がより一層高くなる。
【0022】
さらに、本実施形態では、凸部15は、下地材30側の面材12とコア材11の一部が突出して構成され、凹部25は、下地材30側の面材12とコア材11の一部を除去して構成されているので、凸部15は、凹部25の内側に収容される。これによって、室内表面側から見て凸部15とビスVを隠すことができる。そして、金属樹脂複合板パネル10,10間には直線状の目地が形成されるので、内装構造1の美観を向上することができ、意匠性を高くすることができる。
【0023】
また、凸部15に形成されたビス孔16は、面材12に形成された小径のビス胴部用孔17aと、コア材11に形成された大径のビス頭部用孔17bとが連通して構成され、凸部15のコア材11の厚さ寸法は、ビスVの頭部の厚さ寸法以上であるので、ビスVの頭部が凸部15から飛び出さずに凸部15内に収容される。これによって、ビスVの頭部が凹部25の表面と緩衝しないので、金属樹脂複合板パネル10を平らに取り付けることができる。
【0024】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、材質、形状や大きさなど適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、凸部15を金属樹脂複合板パネル10の上縁部の長手方向中間部に一か所設けているが、これに限定されるものではない。金属樹脂複合板パネル10の寸法に応じて、上縁部に複数の凸部を設けてもよいし、金属樹脂複合板パネル10の側縁部から側方に突出するように単数または複数の凸部を設けてもよい。側縁部に凸部を設けた場合は、逆側の側縁部の対称位置に凹部を形成する。
【0025】
また、前記実施形態では、金属樹脂複合板パネル10を壁の表面仕上げ材とし、内装構造1を室内の壁に適用しているが、これに限定されるものではない。金属樹脂複合板パネルを天井板として用い、内装構造1を天井に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 内装構造
2 接着剤
3 両面テープ
10 金属樹脂複合板パネル
11 コア材
12 面材
15 凸部
16 ビス孔
17a ビス胴部用孔
17b ビス頭部用孔
25 凹部
30 下地材(ボード)
31 軽鉄下地材
V ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6