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特開2023-91928フィルム剥がし装置及びフィルム剥がし方法
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  • 特開-フィルム剥がし装置及びフィルム剥がし方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091928
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】フィルム剥がし装置及びフィルム剥がし方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
B65H41/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206808
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】302046920
【氏名又は名称】株式会社デザインネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】西原 博幸
(72)【発明者】
【氏名】福田 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】阿川 直義
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108JA05
(57)【要約】
【課題】プラスチック製品や金属製品に貼り付けられたフィルムを簡単かつ短時間で取り外すことが可能となるフィルム剥がし装置及びフィルム剥がし方法を提供する。
【解決手段】本体部材W1の表面にフィルムW2が貼り付けられたワークWからフィルムW2を剥がすためのフィルム剥がし装置10であって、ワークWを挿入する挿入部22,32と、挿入部22に設けられて少なくともフィルムW2の端部W4に傷を付ける傷形成部20と、ワークWにおける、傷形成部20でフィルムW2の端部W4に傷を付けた箇所Kにエアを噴射するエア噴射部30と、を有し、傷形成部20でフィルムW2の端部W4に傷を付けた後に、当該傷を付けた箇所Kにエア噴射部30からエアを噴射することで、ワークWの本体部材W1からフィルムW2をめくり上がらせるように構成された。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部材の表面にフィルムが貼り付けられたワークから前記フィルムを剥がすためのフィルム剥がし装置であって、
前記ワークを挿入する挿入部と、
前記挿入部に設けられて少なくとも前記フィルムの端部に傷を付ける傷形成部と、
前記ワークにおける、前記傷形成部で前記フィルムの前記端部に傷を付けた箇所にエアを噴射するエア噴射部と、
を有し、
前記傷形成部で前記フィルムの前記端部に傷を付けた後に、当該傷を付けた箇所に前記エア噴射部からエアを噴射することで、前記ワークの前記本体部材から前記フィルムをめくり上がらせるように構成されたことを特徴とするフィルム剥がし装置。
【請求項2】
前記傷形成部は鋭利な部材を有しており、前記挿入部に前記ワークを挿入していくことで、前記鋭利な部材で前記ワークの前記本体部材に貼り付けられた前記フィルムの前記端部から傷を付けるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のフィルム剥がし装置。
【請求項3】
前記傷形成部の前記鋭利な部材は、前記挿入部の上方と下方の双方から突出するように配設されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム剥がし装置。
【請求項4】
前記挿入部は、
入口側に設けられたテーパ部と、
前記テーパ部に続いて設けられ、対向する面が略平行に形成された幅挟部と、
を有しており、
前記幅狭部に前記傷形成部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルム剥がし装置。
【請求項5】
前記エア噴射部は、エアを略直角に曲げた後に、前記挿入部に対する前記ワークの挿入方向に略平行な方向に噴射するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のフィルム剥がし装置。
【請求項6】
前記挿入部は、
前記傷形成部が設けられた第1挿入部と、
前記エア噴射部が設けられた第2挿入部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のフィルム剥がし装置。
【請求項7】
本体部材の表面にフィルムが貼り付けられたワークから前記フィルムを剥がすためのフィルム剥がし方法であって、
前記ワークを挿入部に挿入し、該挿入部に設けられた傷形成部で少なくとも前記フィルムの端部に傷を付ける傷形成工程と、
前記傷形成工程で前記フィルムの前記端部に傷を付けた前記ワークの当該箇所に、エア噴射部からエアを噴射するエア噴射工程と、
を有し、
前記傷形成工程で前記フィルムの前記端部に傷を付けた後に、前記エア噴射工程で当該傷を付けた箇所にエアを噴射することで、前記ワークの前記本体部材から前記フィルムをめくり上がらせるようにしたことを特徴とするフィルム剥がし方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品に貼り付けられたフィルムを剥がすためのフィルム剥がし装置及びフィルム剥がし方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製品や金属製品等においては、運搬時の製品保護等の目的で、その表面にフィルムが貼り付けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルムは、必要に応じて取り除く作業を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/084832号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記したようにプラスチック製品や金属製品に貼り付けられたフィルムは、ピッタリと貼り付けられているものが多く、なかなか剥がせないという問題が生じていた。また、従来は手作業で剥がすことがほとんどであり、コツを習得した熟練作業員でなければ、1つ1つのフィルムを剥がすのに膨大な時間を要することになっていた。
【0005】
本発明は、従来技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、プラスチック製品や金属製品に貼り付けられたフィルムを簡単かつ短時間で取り外すことが可能となるフィルム剥がし装置及びフィルム剥がし方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、本発明は、本体部材の表面にフィルムが貼り付けられたワークから前記フィルムを剥がすためのフィルム剥がし装置であって、前記ワークを挿入する挿入部と、前記挿入部に設けられて少なくとも前記フィルムの端部に傷を付ける傷形成部と、前記ワークにおける、前記傷形成部で前記フィルムの前記端部に傷を付けた箇所にエアを噴射するエア噴射部と、を有し、前記傷形成部で前記フィルムの前記端部に傷を付けた後に、当該傷を付けた箇所に前記エア噴射部からエアを噴射することで、前記ワークの前記本体部材から前記フィルムをめくり上がらせるように構成されたフィルム剥がし装置としたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記した構成に加えて、前記傷形成部は鋭利な部材を有しており、前記挿入部に前記ワークを挿入していくことで、前記鋭利な部材で前記ワークの前記本体部材に貼り付けられた前記フィルムの前記端部から傷を付けるように構成されたフィルム剥がし装置としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記した構成に加えて、前記傷形成部の前記鋭利な部材は、前記挿入部の上方と下方の双方から突出するように配設されているフィルム剥がし装置としたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記した構成に加えて、前記挿入部は、入口側に設けられたテーパ部と、前記テーパ部に続いて設けられ、対向する面が略平行に形成された幅挟部と、を有しており、前記幅狭部に前記傷形成部が設けられているフィルム剥がし装置としたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記した構成に加えて、前記エア噴射部は、エアを略直角に曲げた後に、前記挿入部に対する前記ワークの挿入方向に略平行な方向に噴射するように構成されたフィルム剥がし装置としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記した構成に加えて、前記挿入部は、前記傷形成部が設けられた第1挿入部と、前記エア噴射部が設けられた第2挿入部と、を有するフィルム剥がし装置としたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、本体部材の表面にフィルムが貼り付けられたワークから前記フィルムを剥がすためのフィルム剥がし方法であって、前記ワークを挿入部に挿入し、該挿入部に設けられた傷形成部で少なくとも前記フィルムの端部に傷を付ける傷形成工程と、前記傷形成工程で前記フィルムの前記端部に傷を付けた前記ワークの当該箇所に、エア噴射部からエアを噴射するエア噴射工程と、を有し、前記傷形成工程で前記フィルムの前記端部に傷を付けた後に、前記エア噴射工程で当該傷を付けた箇所にエアを噴射することで、前記ワークの前記本体部材から前記フィルムをめくり上がらせるようにしたフィルム剥がし方法としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィルムの端部に傷を付けた後に、当該箇所にエアを噴射することで、本体部材に貼り付けられたフィルムをめくり上がらせて、簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0014】
また、本発明によれば、挿入部に設けられた傷形成部に鋭利な部材を有しており、ワークを挿入していくだけで、当該鋭利な部材で簡単にフィルムに傷を付けることができる。その結果、本体部材に貼り付けられたフィルムを簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0015】
また、本発明によれば、挿入部に設けられた傷形成部の上方と下方の双方から鋭利な部材が突出するようになっているため、本体部材の上面と下面の双方にフィルムが貼り付けられている場合でも、簡単に両面同時にフィルムに傷を付けることができる。その結果、本体部材に貼り付けられたフィルムを簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0016】
また、本発明によれば、挿入部が入口側のテーパ部とそれに続く幅狭部とを有し、幅狭部に傷形成部が設けられていることで、ワークをテーパ部で挿入し易くして、簡単にフィルムに傷を付けることができる。その結果、本体部材に貼り付けられたフィルムを簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0017】
また、本発明によれば、エアを略直角に曲げた後に、挿入部に対するワークの挿入方向に略平行な方向に噴射するようになっているため、ワークの傷が付けられた箇所に対して本体部材とフィルムとが剥がれるようにエアを噴射することができる。さらに、エアを略直角に曲げてからワークの傷が付けられた箇所に噴射ることで、微妙な乱気流を作り出すことができ、本体部材とフィルムとがより剥がれ易くなるような気流を発生させることができる。その結果、本体部材に貼り付けられたフィルムを簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0018】
また、本発明によれば、フィルムに傷を形成する第1挿入部と、エアでフィルムをめくり上がらせる第2挿入部とを分けて形成しているため、それぞれの挿入部の構成を単純化させることができると共に、フィルムを剥がす作業もそれぞれで別々に行うことができ、効率よく作業を行うことができる。その結果、本体部材に貼り付けられたフィルムを簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係るフィルム剥がし装置を示す斜視図である。
図2】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置の側面図である。
図3】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置における傷形成部が設けられた第1挿入部を示す下面図である。
図4】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置における傷形成部が設けられた第1挿入部の断面図である。
図5】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置における傷形成部が設けられた第1挿入部にワークを挿入したときの状態を示す拡大模式図である。
図6】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置におけるエア噴射部が設けられた第2挿入部を示す斜視図である。
図7】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置におけるエア噴射部が設けられた第2挿入部の状態を示す拡大模式図であって、(a)ワークを挿入したときの図と(b)ワークにエアを噴射したときの図である。
図8】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置におけるエア噴射部からのエア噴射で(a)→(b)→(c)の順にワークの本体部材からフィルムがめくれ上がっていく様子を示す模式説明図である。
図9】同実施の形態に係るフィルム剥がし装置で用いたワークを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1図9には、本発明の実施の形態を示す。
【0022】
まず、本実施の形態のワークWについて説明する。図9に示すように、本実施の形態で用いるワークWは、眼鏡等に使用するレンズであって、運搬時の表面保護等のために、ガラスやプラスチック等で構成された本体部材W1の表面と裏面の双方に、それぞれフィルムW2,W3がぴったりと貼り付けられている。当該レンズの加工等を行う際に、フィルムW2,W3を剥がす必要があるが、このフィルムW2,W3を以下に説明するフィルム剥がし装置10で簡単に剥がすようにするものである。
【0023】
次に、本実施の形態のフィルム剥がし装置10について、図1図8を用いて詳細に説明する。
【0024】
まず、本実施の形態のフィルム剥がし装置10の構成について説明する。本実施の形態のフィルム剥がし装置10は、図1及び図2に示すように、傷形成部20とエア噴出部30を有する構成となっている。なお、本実施の形態では、ワークWを挿入する挿入部として、第1挿入部22と第2挿入部32を有しており、第1挿入部22が傷形成部20の機能を備え、第2挿入部32がエア噴出部30の機能を備えるように構成されている。また、第1挿入部22の上側に第2挿入部32が重ねて配置されるように構成されている。また、本実施の形態のフィルム剥がし装置10は、支持部材11で支持された軸を中心に回動可能となっており、作業者がワークWの挿入方向を可変できるように構成されている。
【0025】
本実施の形態の傷形成部20は、ワークWのフィルムW2,W3の端部W4に傷を付ける部位であり、図3図5に示すように、本体部21に略スリット状の第1挿入部22を有しており、当該第1挿入部22にワークWを挿入するように構成されている。この第1挿入部22は、入口側に設けられた奥行方向に先細る形状のテーパ部23と、当該テーパ部23の奥側に続いて設けられて対向する面が略平行に形成された幅狭部24とを有している。そして、幅狭部24に傷形成部20が設けられている。
【0026】
この傷形成部20は、上方及び/又は下方から突出する鋭利な部材としての針部材25が設けられており、ここでは上方及び下方の双方から針部材25が突出するように構成されている。また、この針部材25は、上方と下方の突出幅が、ワークWの本体部材W1の幅より大きく、フィルムW2,W3を含めたワークWの幅より小さく構成されて固定されている。これにより、ワークWが第1挿入部22に挿入されて幅狭部24に到達すると、自動的に針部材25でワークWのフィルムW2,W3の端部W4から所定長さだけ傷を付けられるようになっている。また、ここでは、針部材25は上方から2箇所、下方から2箇所突出するようになっており、それぞれの面に2箇所ずつ傷を付けるように構成されている。
【0027】
また、針部材25の突出量は調整できるようになっており、ワークWの厚み等によって、適宜針部材25の突出量を調整してフィルムW2,W3に確実に傷を付けつつ、本体部材W1には傷をできるだけ付けないように構成されている。なお、本実施の形態のワークWであるレンズは、その端部W4から所定長さまでは傷が付いていてもその性能に影響が生じないものであるため、針部材25がフィルムW2,W3だけでなく本体部材W1も傷付ける程度の突出量となっていても問題ない。
【0028】
また、本実施の形態のエア噴射部30は、傷形成部20によってワークWに傷を付けた箇所Kに、エアを噴射し、その勢いでフィルムW2,W3を所定量めくり上がらせて、ワークWの本体部材W1からフィルムW2,W3を剥がしやすくするものであり、図6及び図7に示すように、本体部31にスリット状の第2挿入部32を有しており、当該第2挿入部32にワークWを挿入するように構成されている。この第2挿入部32は、入口側に設けられた奥行方向に先細る形状のテーパ部33と、当該テーパ部33の奥側に続いて設けられて対向する面が略平行に形成された幅狭部34とを有している。そして、幅狭部34にエア噴射部30が設けられている。なお、幅狭部34の上下方向の幅は、ワークWを挿入した状態でエアを噴射した際に、フィルムW2,W3がめくり上がることが可能な程度のスペースを確保した状態に形成されている。
【0029】
このエア噴射部30は、所定の強さで噴射されるエアを作り出して噴射するエア噴射装置35と、当該エア噴射装置35に繋がっていてエアを移動させる第1エア通路36を有している。また、第1エア通路36は最終的に略上方から略下方にエアを送るように構成されており、その下端部で第2エア通路37に繋がっている。この第2エア通路37は、第1エア通路36に対して略直角に曲がって連通されるように構成されており、当該通路が第2挿入部32における略水平方向のワークWの挿入方向に略平行な方向となるように形成されている。なお、本実施の形態では、第1エア通路36が略上方から略下方にエアを送る部位で二手に分岐するように構成されており、その分岐通路38それぞれが第2エア通路37に繋がるように形成されている。
【0030】
このように、第2エア通路37がワークWの挿入方向と略平行な方向となるように形成されているため、傷形成部20で傷がつけられた箇所Kに対して、フィルムW2,W3がめくれやすい方向にエアを噴射させることができる。また、第1エア通路36から第2エア通路37にエアが移動する際に、エアが第2エア通路37の壁に当たって略直角に曲がり、第2エア通路37に入っていくようになっているため、壁に当たった衝撃や向きが変わる際の気流の変化等によって微妙な乱気流が発生し、それによって複雑な気流となるため、よりエアがフィルムW2,W3をめくり上がらせるように作用するものである。また、第1エア通路36が分岐通路38に分岐した後で第2エア通路37にエアが流れるようになっているため、分岐通路38の位置をフィルムW2,W3に傷を付けた箇所Kにエアが当たる箇所に形成することで、当該傷を付けた箇所Kにエアをより当てやすくすることができ、よりフィルムW2,W3をめくり上がらせやすくすることができる。
【0031】
次に、本実施の形態のフィルム剥がし装置10を使用したフィルム剥がし方法について図1図8を用いて説明する。
【0032】
まず、図3図5に示すように、ワークWを第1挿入部22に挿入し、テーパ部23の奥側に設けられた幅狭部24に形成された傷形成部20の針部材25にワークWを触れさせることで、少なくともフィルムW2,W3の端部W4に所定長さの傷を付ける傷形成工程を行う。これにより、フィルムW2,W3に、図8(a)に示すような傷を付けた箇所Kが形成される。
【0033】
次に、図6及び図7に示すように、傷形成工程でフィルムW2,W3の端部W4に傷を付けたワークWを第2挿入部32に挿入し、テーパ部33の奥側に設けられた幅狭部34に形成されたエア噴射部30からワークWの挿入方向に略平行な向きでフィルムW2,W3の傷を付けた箇所Kにエアを噴射するエア噴射工程を行う。当該エアを噴射すると、エアがフィルムW2,W3の傷を付けた箇所Kに当たって、当該傷を付けた箇所Kから本体部材W1とフィルムW2,W3の間(隙間)にエアが入って本体部材W1からめくれ始め、図8(b)に示すように、めくれ上がり始めた箇所K2が形成される。
【0034】
さらにフィルムW2,W3にエアを噴射していくと、当該めくれ上がり始めた箇所K2からさらに本体部材W1とフィルムW2,W3の間(隙間)にエアが入ると共に、当該めくれ上がり始めた箇所K2にエアが当たり、当該めくれ上がり始めた箇所K2が本体部材W1からさらにめくり上がり、図8(c)に示すように、めくれ上がった箇所K3が形成される。このような状態となった後に、ワークWを第2挿入部32から引き抜き、作業者が残りをめくって完全に本体部材W1からフィルムW2,W3を剥がし取る。なお、場合によっては、本体部材W1からフィルムW2,W3が完全に剥がし取られるまでワークWにエアを当て続け、作業者が一切フィルムW2,W3の剥がし取る作業を行わないことも考えられる。
【0035】
このように、作業者がワークWの本体部材W1の表面に手を触れずにフィルムW2,W3の剥がし作業を行うことができれば、作業者が触れることで付着する汚れ等が付かなくさせることができるため、フィルム剥がし作業後に通常行っていたワークWの洗浄工程を簡易実施又は行わないようにすることができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、フィルムW2の端部W4に傷を付けた後に、当該箇所Kにエアを噴射することで、本体部材W1に貼り付けられたフィルムW2をめくり上がらせて、簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、挿入部22に設けられた傷形成部20に鋭利な部材としての針部材25を有しており、ワークWを挿入していくだけで、当該鋭利な部材25で簡単にフィルムW2に傷を付けることができる。その結果、本体部材W1に貼り付けられたフィルムW2を簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、挿入部22に設けられた傷形成部20の上方と下方の双方から鋭利な部材としての針部材25が突出するようになっているため、本体部材W1の上面と下面の双方にフィルムW2,W3が貼り付けられている場合でも、簡単に両面同時にフィルムW2,W3に傷を付けることができる。その結果、本体部材W1に貼り付けられたフィルムW2,W3を簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、挿入部22が入口側のテーパ部23とそれに続く幅狭部24とを有し、幅狭部24に傷形成部20が設けられていることで、ワークWをテーパ部23で挿入し易くして、簡単にフィルムW2に傷を付けることができる。その結果、本体部材W1に貼り付けられたフィルムW2を簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、エアを略直角に曲げた後に、挿入部32に対するワークWの挿入方向に略平行な方向に噴射するようになっているため、ワークWの傷が付けられた箇所Kに対して本体部材W1とフィルムW2とが剥がれるようにエアを噴射することができる。さらに、エアを略直角に曲げてからワークWの傷が付けられた箇所Kに噴射ることで、微妙な乱気流を作り出すことができ、本体部材W1とフィルムW2とがより剥がれ易くなるような気流を発生させることができる。その結果、本体部材W1に貼り付けられたフィルムW2を簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、フィルムW2に傷を形成する第1挿入部22と、エアでフィルムW2をめくり上がらせる第2挿入部32とを分けて形成しているため、それぞれの挿入部22,32の構成を単純化させることができると共に、フィルムW2を剥がす作業もそれぞれで別々に行うことができ、効率よく作業を行うことができる。その結果、本体部材W1に貼り付けられたフィルムW2を簡単かつ短時間で取り外すことができる。
【0042】
なお、本発明は、前記した実施の形態のようなものに限らず、他の構成、他の使用状況にも適用できる。
【0043】
例えば、前記した実施の形態では、ワークWとして表面裏面の両面にフィルムW2,W3が貼り付けられた丸形のレンズを用いていたが、これに限るものではなく、例えば角形等の丸形以外の形状のワークにも適用可能である。また、ワークの表面や裏面に湾曲や凹凸等があるものでも適用可能である。また、レンズ以外でも本体部材にフィルムが設けられているものであれば、本発明を適用可能である。
【0044】
また、前記した実施の形態では、鋭利な部材として針部材25が、上方から2箇所、下方から2箇所突出するようになっていたが、これに限るものではない。例えば、本体部材に対してフィルムが片方の面のみに貼り付けられている場合等には、鋭利な部材が上方又は下方の何れかのみに設けられていても良い。また、同じ方向から鋭利な部材が2箇所突出している構成についても適宜でよく、ワークの大きさや形状、フィルムの素材や厚み等に応じて、1箇所のみ、又は3箇所以上配置されるようになっていても良い。また、鋭利な部材の大きさや形状、突出量等を、複数箇所配置されたそれぞれで適宜変更するようになっていても良い。
【0045】
また、前記した実施の形態では、鋭利な部材として針部材25を用いていたがこれに限るものではなく、カッターナイフの先端部のような刃物の刃先を鋭利な部材として用いても良く、少なくともフィルムに傷を付けることができるものであれば、適宜の部材を使用することができる。また、ワークのフィルムの端部に傷を付ける(少なくとも端部付近を破ってエアを送り込む隙間を生じさせる)ことができれば、傷形成部は鋭利な部材を有していなくても良い。また、前記した実施の形態では、鋭利な部材としての針部材は固定されて動かないように構成されていたが、これに限るものではなく、例えば電動で突出量を変化させることができるようになっていても良い。このように突出量を変化させることで、ワークに応じた深さで傷を付けることができ、その後のエア噴出部のエア噴出でフィルムをめくり上がらせやすくすることができる。
【0046】
また、前記した実施の形態では、挿入部として第1挿入部22と第2挿入部32を有しており、第1挿入部22に傷形成部20の機能を有し、第2挿入部32にエア噴出部30の機能を持たせるようになっていたが、これに限るものではなく、例えば、1つの挿入部に傷形成部とエア噴出部の双方の機能を有するような構成となっていても良い。この場合は、挿入部にワークを入れると、まず、傷形成部でフィルムの端部に傷を付け、次いでエアを噴出させて、フィルムをめくり上がらせる、という手順となり、ワークを1回挿入するだけでフィルムをめくり上がらせるところまで行うことができ、作業効率が良い。但し、傷形成部の状態によっては、エア噴出部からのエア噴出が傷を付けた箇所に当たらない状況となる可能性もあるため、傷形成部の鋭利な部材を退避させる構成が必要となってくる場合も生じる。
【0047】
また、前記した実施の形態では、フィルム剥がし装置は1つの装置で構成されていたが、これに限るものではなく、例えば、傷形成部とエア噴出部とで別の装置を構成しており、その2つの装置でフィルム剥がし装置を構成している、というように複数の装置でフィルム剥がし装置を構成していても良い。この場合には、傷形成工程とエア噴出工程を別々に分業して行うことができるので、複数の作業者が作業に当たる場合には、効率よく作業を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0048】
10 フィルム剥がし装置
11 支持部材
20 傷形成部
21 本体部
22 第1挿入部(挿入部)
23 テーパ部
24 幅狭部
25 針部材(鋭利な部材)
26 先端部
30 エア噴射部
31 本体部
32 第2挿入部(挿入部)
33 テーパ部
34 幅狭部
35 エア噴射装置
36 第1エア通路
37 第2エア通路
38 分岐通路
W ワーク
W1 本体部材
W2 フィルム(表面側)
W3 フィルム(裏面側)
W4 端部
K 傷を付けた箇所
K2 めくれ上がり始めた箇所
K3 めくれ上がった箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9