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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091930
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/26 20060101AFI20230626BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20230626BHJP
   B65D 21/08 20060101ALI20230626BHJP
   B65D 6/24 20060101ALN20230626BHJP
【FI】
B65D6/26 J
B65D21/02 210
B65D21/08
B65D6/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206810
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 香奈
【テーマコード(参考)】
3E006
3E061
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA01
3E006CA01
3E006JA01
3E061AA02
3E061AB09
3E061CA02
3E061CA22
3E061CA25
3E061DB11
(57)【要約】
【課題】従来より嵩上側壁同士の連結強度が高い容器を提供する。
【解決手段】本開示の容器10Aでは、使用状態で隣合う嵩上側壁30,35,41に上方から嵌合連結部材51が嵌合して、それら隣合う嵩上側壁30,35,41同士が連結されるので、嵩上側壁30,35,41に内側又は外側からかかる負荷に対する嵩上側壁30,35,41同士の連結強度が向上する。また、嵌合連結部材51のL形溝部51Mの内部に内側リブ51X,51Yを備えたことで、嵌合連結部材51が溝幅方向で拡がることが防がれ、強度が高くなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が上面開放の直方体状をなしかつ、少なくとも3つ以上複数の側壁の上端部にそれぞれ嵩上側壁が連結され、それら嵩上側壁が、各前記側壁に重なる不使用状態から各前記側壁上で起立する使用状態に変更されて収容量を増やすことが可能な容器において、
前記使用状態で隣合う前記嵩上側壁に上方から嵌合して、それら嵩上側壁同士を連結する嵌合連結部材を有する容器。
【請求項2】
前記嵌合連結部材は、前記隣合う1対の嵩上側壁が互いに離間した状態で収まるL形溝部を有し、前記L形溝部のうちLの少なくとも一辺に相当する部分の内部に、前記嵩上側壁の横方向の端面に対向する内側リブを備える請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記内側リブは、前記L形溝部のLの二辺に相当する部分のそれぞれの内部に設けられている請求項2に記載の容器。
【請求項4】
全ての前記嵩上側壁とそれらを支持する全ての前記側壁とに設けられ、前記嵩上側壁が前記使用状態になると互いに係合して、前記嵩上側壁を前記使用状態に保持する起立保持機構を備える請求項1から3の何れか1の請求項に記載の容器。
【請求項5】
前記嵩上側壁は、前記側壁に回動可能かつ上下に移動可能に連結され、上下の移動可能範囲の下端位置で、前記起立保持機構により前記使用状態に保持される一方、上端位置で前記保持が解消される請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記嵌合連結部材全体の平面形状は、前記側壁のコーナー部の平面形状内に収まるL形をなし、前記嵩上側壁には、前記嵌合連結部材との嵌合部分が全体の厚さに比べて段付き状に薄い段差付きの嵩上側壁が含まれる請求項1から5の何れか1の請求項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、嵩上側壁を利用して収容量を変更可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の容器として、隣合う嵩上側壁の一方の嵩上側壁にヒンジ連結されて水平に旋回する係止部材を、他方の嵩上側壁に係止させて嵩上側壁同士を連結するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-221688号公報(図1図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の容器の構造では、嵩上側壁に内側又は外側から負荷がかかると、係止部材による嵩上側壁同士の連結が外れることがあり、嵩上側壁同士の連結強度の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、全体が上面開放の直方体状をなしかつ、少なくとも3つ以上複数の側壁の上端部にそれぞれ嵩上側壁が連結され、それら嵩上側壁が、各前記側壁に重なる不使用状態から各前記側壁上で起立する使用状態に変更されて収容量を増やすことが可能な容器において、前記使用状態で隣合う前記嵩上側壁に上方から嵌合して、それら嵩上側壁同士を連結する嵌合連結部材を有する容器である。
【0006】
請求項2の発明は、前記嵌合連結部材は、前記隣合う1対の嵩上側壁が互いに離間した状態で収まるL形溝部を有し、前記L形溝部のうちLの少なくとも一辺に相当する部分の内部に、前記嵩上側壁の横方向の端面に対向する内側リブを備える請求項1に記載の容器である。
【0007】
請求項3の発明は、前記内側リブは、前記L形溝部のLの二辺に相当する部分のそれぞれの内部に設けられている請求項2に記載の容器である。
【0008】
請求項4の発明は、全ての前記嵩上側壁とそれらを支持する全ての前記側壁とに設けられ、前記嵩上側壁が前記使用状態になると互いに係合して、前記嵩上側壁を前記使用状態に保持する起立保持機構を備える請求項1から3の何れか1の請求項に記載の容器である。
【0009】
請求項5の発明は、前記嵩上側壁は、前記側壁に回動可能かつ上下に移動可能に連結され、上下の移動可能範囲の下端位置で、前記起立保持機構により前記使用状態に保持される一方、上端位置で前記保持が解消される請求項4に記載の容器である。
【0010】
請求項6の発明は、前記嵌合連結部材全体の平面形状は、前記側壁のコーナー部の平面形状内に収まるL形をなし、前記嵩上側壁には、前記嵌合連結部材との嵌合部分が全体の厚さに比べて段付き状に薄い段差付きの嵩上側壁が含まれる請求項1から5の何れか1の請求項に記載の容器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の容器では、使用状態で隣合う嵩上側壁に上方から嵌合連結部材が嵌合して、それら隣合う嵩上側壁同士が連結されるので、嵩上側壁に内側又は外側からかかる負荷に対する嵩上側壁同士の連結強度が向上する。
【0012】
なお、嵌合連結部材以外に、嵩上側壁同士を連結する他の連結機構を設けて、嵌合連結部材と他の連結機構とを併用してもよい。その併用は、隣合う嵩上側壁同士が直交するコーナー部に嵌合連結部材と他の連結機構との両方を備えた形態としてもよいし、1つの容器において嵌合連結部材を備えるコーナー部と、他の連結機構を備えるコーナー部とを分けた形態でもよいし、さらには、嵌合連結部材と他の連結機構との両方を備えたコーナー部と、嵌合連結部材と他の連結機構との一方のみを備えたコーナ部とを備えた形態であってもよい。また、他の連結機構としては、例えば、嵩上側壁同士を相対的に上下にスライドさせて上下以外の方向で分離不能に連結する構造や、磁石で嵩上側壁同士を連結する構造が挙げられる。さらに、不使用状態の嵩上側壁は、側壁の内面に重なっても外面に重なってもよい。
【0013】
請求項2の容器では、嵌合連結部材のL形溝部に、隣合う1対の嵩上側壁が互いに離間した状態で収まるので、1対の嵩上側壁同士が干渉することがなくなり、嵌合連結部材の1対の嵩上側壁への嵌合作業を容易に行うことができる。また、嵌合連結部材の内部に内側リブを備えたことで、L形溝部が溝幅方向で拡がることが防がれ、嵌合連結部材の強度が高くなる。ここで、内側リブは、L形溝部のLの一辺に相当する部分のみに設けてもよいし、請求項3の構成のように、L形溝部のLの二辺に相当する部分に設けてもよい。
【0014】
請求項4の容器では、起立保持機構により嵩上側壁が使用状態に保持されるので、嵌合連結部材の嵩上側壁に対する嵌合作業を容易に行うことができる。ここで、起立保持機構としては、嵩上側壁の回動途中で弾性変形し、嵩上側壁の使用状態で弾性復帰する弾性係合部を備えてもよいし、請求項5の構成のように、嵩上側壁は、側壁に回動可能かつ上下に移動可能に連結され、上下の移動可能範囲の下端位置で使用状態に保持される一方、上端位置で保持が解消される構成としてもよい。なお、起立保持機構は、全ての嵩上側壁と側壁とに設けられていなくてもよい。
【0015】
請求項6の容器では、嵌合連結部材全体の平面形状は、側壁のコーナー部の平面形状内に収まるL形をなしているので、荷物と嵌合連結部材との引っ掛かりが抑えられる。また、嵌合連結部材との嵌合部分が全体の厚さに比べて段付き状に薄い段差付きの嵩上側壁を備えることで、嵌合連結部材と嵩上側壁との間の段差が抑えられ、この点においても荷物と嵌合連結部材との引っ掛かりが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態に係る容器の嵩上状態の斜視図
図2】容器の分解斜視図
図3】容器の一部の分解斜視図
図4】容器の一部の分解斜視図
図5】(A)使用状態の嵩上側壁の一部破断の斜視図、(B)不使用状態の嵩上側壁の一部破断の斜視図
図6】嵌合連結部材の斜視図
図7】嵩上側壁が不使用状態の容器の斜視図
図8】嵩上側壁の回動途中の容器の斜視図
図9】嵩上側壁が起立姿勢で可動範囲の上端に配置された状態の容器の斜視図
図10】嵩上状態の容器の斜視図
図11図10の(A)A-A断面の断面図、(B)B-B断面の断面図
図12】段積みされた嵩上状態の容器のコーナー部の一部破断の斜視図
図13】容器を折畳状態にする途中の斜視図
図14】容器の段積み状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図14を参照して、本開示の一実施形態に係る容器10Aについて説明する。図1に示すように、容器10Aは、上面開放の直方体の一側壁の横方向の中間部分を上端から下端寄り位置まで除去して前面開口16を備えた構造をなしている。また、容器10Aの平面形状は、長方形になっていて、前面開口16は、一方の長辺側の側壁に形成されている。
【0018】
以下、側壁を区別する際には、前面開口16を有する側壁14を「前側壁14」といい、それと対向する側壁13を「後側壁13」といい、残りの1対の側壁15を「横側壁15」ということとする。また、これら側壁を区別しない場合には、「側壁13~15」ということとする。
【0019】
側壁13~15は、底壁11に対してヒンジ連結されていて、図13に示すように底壁11の上に1対の横側壁15を倒してから、それら上に後側壁13及び前側壁14を倒して図14の上端の容器10Aのように折畳状態にすることができる。より具体的には、図2に示すように、底壁11の上面でもある底面11Sの外縁部のうち1対の長辺部分からは1対の第1土手部11Aが突出すると共に、1対の短辺部分からは、第1土手部11Aより低い1対の第2土手部11Bが突出している。そして、1対の第1土手部11Aに、前側壁14及び後側壁13の下端の複数のヒンジ脚部19がヒンジ連結されると共に、1対の第2土手部11Bに、1対の横側壁15の下端の複数のヒンジ脚部19がヒンジ連結されている。そして、各側壁13~15が起立姿勢と、底壁11の上に重なる水平姿勢とに変化するように回動する。また、容器10Aの組立状態では、1対の横側壁15は、前側壁14と後側壁13との間に挟まれていて、前述の如く、折畳状態にされるときには、図13に示すように、1対の横側壁15が底壁11の上に先に倒されてから、前側壁14と後側壁13とが1対の横側壁15の上に重なるように倒される。なお、1対の横側壁15同士は、水平姿勢で互いに重ならず、前側壁14及び後側壁13は水平姿勢で互いに重なる。また、底壁11の下面には、外縁部より内側部分を段付き状に突出させて段積用突部11Z(図12参照)が形成されている。そして、図14に示すように、組立状態の容器10Aの上に他の容器10Aを段積みすると、下段側の容器10Aの上面開口の内側に上段側の容器10Aの段積用突部11Zが嵌合し、折畳状態の容器10Aの上に他の容器10Aを段積みすると、下段側の容器10Aの1対の第1土手部11Aの内側に上段側の容器10Aの段積用突部11Zが嵌合する。
【0020】
図2に示すように、横側壁15は、その内面全体を形成する平板状の主板15Sの外面に1対の縦リブ20と1対の横リブ21,22とを備える。1対の縦リブ20は、主板15Sの両側部で上下方向に延び、一方の横リブ21は、主板15Sの下縁部に沿って延びて1対の縦リブ20の下端部同士の間を連絡している。そして、横リブ21の下面から前述の複数のヒンジ脚部19が垂下している。また、他方の横リブ22は、横側壁15の上下方向の中央より僅かに上寄り位置で、1対の縦リブ20の間を連絡している。なお、これら縦リブ20,横リブ21,22の先端面は面一になっている。
【0021】
図3に示すように、1対の縦リブ20の上端は、主板15Sの上端と面一に配置され、それら1対の縦リブ20の上端部の間には、複数の起立支持部33が横側壁15の横方向に間隔を空けて設けられている。各起立支持部33は、例えば、上面開放した直方体状をなしている。また、起立支持部33の上面は、1対の縦リブ20及び主板15Sの上面と面一に配置され、起立支持部33の正面は、縦リブ20,横リブ21,22の先端面と面一に配置されている。さらには、隣合う起立支持部33の互いの対向壁には、上下方向に延びる長孔34が形成されている。
【0022】
図示しないが後側壁13の外面も横側壁15と同様の構造をなしている。即ち、後側壁13は、1対の縦リブ20と横リブ21,22と複数の起立支持部33と長孔34とを備えている。また、前側壁14は、図2に示すように、前面開口16の両側のそれぞれに、後側壁13と同様の1対の縦リブ20と横リブ21,22と複数(2つ)の起立支持部33と長孔34とを備えている。
【0023】
図2に示すように、横側壁15のうち1対の縦リブ20の互いに反対側を向いた外面には、1対のサイド連結部24が設けられている。サイド連結部24は、横側壁15の主板15Sの両側部に、横側壁15の上端から下端寄り位置(第1土手部11Aの上面に到達する位置)まで延びる帯状片を設けて、その帯状片の外面の外縁部から縦リブ20より低いリブ23を突出させた構造をなしている。また、サイド連結部24の上下方向の複数位置には、縦リブ20と略同じ高さに突出する複数の連結突部15Aが備えられている。
【0024】
前側壁14及び後側壁13の内面の両側縁部には、複数の連結突部15Aが突入する係合孔13Aを有しかつサイド連結部24の外面に当接する複数の係合突部13Cが備えられている。また、前側壁14及び後側壁13の両側縁寄り位置の上部には、それら前側壁14及び後側壁13の一部を片持ち片状に切り離して、その先端部の内面に突部を備えた弾性係合片13Bが設けられている。そして、連結突部15Aが係合孔13Aに係合した状態で弾性係合片13Bが横側壁15の内面に係合して容器10Aが組立状態に保持さ、弾性係合片13Bが押圧操作されて横側壁15の内面との係合が解除されると、容器10Aが前述の折畳状態になる。
【0025】
図1に示すように、容器10Aには、側壁13~15の上端部に嵩上側壁30,35,41がヒンジ連結されている。そして、同図に示すように、容器10Aは、嵩上側壁30,35,41が側壁13~15上で起立姿勢に保持された嵩上状態と、図7に示すように、嵩上側壁30,35,41が側壁13~15の外面に重ねられた通常状態とに変更可能になっている。以下の説明において、嵩上側壁30,35,41の上下方向は、特記しない限り、後述するヒンジ脚部31が下端に位置する起立姿勢における上下方向であることとして、嵩上側壁30,35,41の詳細構造について説明する。
【0026】
図1に示すように、前側壁14の嵩上側壁35は、対をなして、前面開口16を挟んだ両側に配置されている。図4に示すように、各嵩上側壁35は、前側壁14上で起立した状態で内面に位置する平板状の主板35Sの外面に補強リブ35Lを備えた構造をなし、下面に、1つのヒンジ脚部31と、そのヒンジ脚部31を横方向で挟んで並ぶ1対の下面突部32とを有する。1対の下面突部32は、箱形構造をなしている。また、ヒンジ脚部31は、下面突部32より下方に延び、その下端部の両側面からは、1対のヒンジ突起31Pが突出している。
【0027】
そして、図5(A)に示すように、ヒンジ脚部31の下端部が1対の起立支持部33の間に受容され、図7図9に示すように、1対のヒンジ突起31Pが長孔34に回動可能かつ上下にスライド可能に係合している。そして、図5(A)及び図9に示すように、嵩上側壁35を、ヒンジ脚部31が下端に位置する起立姿勢にして、スライド可能な範囲の上端に配置し、そこから真下に降下させると、図1及び図11(A)に示すように、嵩上側壁35の複数の下面突部32が前側壁14の複数の起立支持部33内に嵌合し、これにより、嵩上側壁35が前側壁14上で起立姿勢となった使用状態に保持される。また、そこから嵩上側壁35を真上に持ち上げ、外側に倒すと、図5(B)に示すように前側壁14の外面に重なった不使用状態となり、前側壁14における1対の縦リブ20と横リブ22と複数の起立支持部33とに四方を包囲された受容凹部29に収まる。
【0028】
嵩上側壁35の全体の厚さは、前側壁14の全体の厚さより僅かに小さくなっている。そして、嵩上側壁35が不使用状態になったときには、図5(B)に示すように、嵩上側壁35全体が横リブ22の先端面から外側に出ないように受容凹部29内に収まる。また、嵩上側壁35が使用状態になったときには、嵩上側壁35の内面が、前側壁14の内面より僅かに外側に位置し、嵩上側壁35の外面が、前側壁14の外面より僅かに内側に位置する。さらには、図11(B)に示すように、嵩上側壁35の横方向の一端の側面は、前面開口16の内面より僅かに内側に位置し、嵩上側壁35の横方向の他端の側面は、横側壁15の内側面の延長面より僅かに前面開口16側に位置する。
【0029】
図2に示すように、後側壁13の嵩上側壁30は、後側壁13の横方向に延びる帯板状の主板30Sの外面に補強リブ30Lを備えた構造をなし、下面には、嵩上側壁35と同様に、下面突部32とヒンジ脚部31と交互に並べて備える。また、嵩上側壁30の全体の厚さは、後側壁13の全体の厚さより僅かに小さくなっている。さらには、嵩上側壁30も嵩上側壁35と同様に、後側壁13の上端部にスライド可能かつ回動可能にヒンジ連結されている。そして、嵩上側壁30は、下面突部32と起立支持部33との嵌合により使用状態に保持されると、全体が後側壁13の真上の領域に収まり、不使用状態になると後側壁13の受容凹部29(図示せず)に嵩上側壁30の全体が収まる。また、嵩上側壁30の横方向の両側面は、嵩上側壁35の一側面と同様に、横側壁15の内側面の延長面より僅かに横側壁15から離れる側に位置している。
【0030】
また、嵩上側壁30の内面における横方向の両端寄り位置には、1対の段差面30Dが形成され、嵩上側壁30の横方向の両端部が、1対の段差面30Dの間の中間部分より薄い1対の連結嵌合部30Eになっている。そして、嵩上側壁30が使用状態になったときには、前述の嵩上側壁35と同様に、連結嵌合部30Eの内面が、後側壁13の内面より僅かに外側に位置し、連結嵌合部30Eの外面が、後側壁13の外面より僅かに内側に位置する。
【0031】
図3に示すように、1対の横側壁15の嵩上側壁41は、横側壁15の横方向に延びる帯板状の主板41Sの外面に補強リブ41Lを備えた構造をなし、下面には、嵩上側壁30,35と同様に、下面突部32とヒンジ脚部31と交互に並べて備える。また、嵩上側壁41の全体の厚さは、横側壁15の全体の厚さより僅かに小さくなっている。そして、嵩上側壁41も嵩上側壁30,35と同様に、横側壁15の上端部にスライド可能かつ回動可能にヒンジ連結されている。そして、嵩上側壁41は、下面突部32と起立支持部33との嵌合により使用状態に保持されると、全体が横側壁15の真上の領域に収まり、不使用状態になると横側壁15の受容凹部29に全体が収まる。また、嵩上側壁41の横方向の両側面は、前側壁14及び後側壁13の内側面の延長面より離れた位置に配置されている。
【0032】
さらには、嵩上側壁41の内面における横方向の両端寄り位置には、嵩上側壁30と同様に、1対の段差面41Dが形成され、嵩上側壁41の横方向の両端部が、1対の段差面41Dの間の中間部分より薄い1対の連結嵌合部41Eになっている。そして、嵩上側壁41が使用状態になったときには、前述の嵩上側壁35と同様に、連結嵌合部41Eの内面が、横側壁15の内面より僅かに外側に位置し、連結嵌合部41Eの外面が、横側壁15の外面より僅かに内側に位置する。
【0033】
容器10Aは、嵩上側壁30,35,41が不使用状態になった通常状態から、図1に示すように嵩上側壁30,35,41が使用状態になった嵩上状態に変更されると収容量が増すが、使用態様によっては、嵩上側壁30,35,41の内側又は外側にかかる負荷に対する強度が懸念される場合が生じ得る。そのような場合のために、容器10Aには、隣合う嵩上側壁30,35,41同士を連結する4つの嵌合連結部材51が備えられている。
【0034】
嵌合連結部材51は、L字形に屈曲した下面開放の角溝型構造をなし、図3に示すように、L字形の天井壁51Bと、天井壁51BのL形の内縁部と外縁部とから垂下する1対の嵌合側壁51Aとを有し、内側にL形溝部51Mを備えている。そして、嵌合連結部材51のうちL字の一方の辺に相当する部分の内側に、嵩上側壁41の連結嵌合部41Eが丁度嵌合する一方、嵌合連結部材51のうちL字の他方の辺に相当する部分の内側に、嵩上側壁41と隣合う嵩上側壁30の連結嵌合部30Eか、又は、嵩上側壁35かが丁度嵌合し、これにより、上述の如く隣合う嵩上側壁30,35,41同士が嵌合連結部材51にて連結される。なお、嵌合連結部材51が嵩上側壁30,41の連結嵌合部30E,41Eに嵌合することを、単に「嵌合連結部材51が嵩上側壁30,41に嵌合する」等という。
【0035】
詳細には、嵌合連結部材51のL字の両辺は、同じ長さをなしている。そして、嵌合連結部材51が嵩上側壁30,35,41に嵌合した状態で、嵌合連結部材51の一端面が、図11(B)に示すように前面開口16の内面と略面一になるか、嵩上側壁30,41の段差面30D,41Dと隣接する。
【0036】
また、嵌合連結部材51の厚さは、側壁13,14,15の厚さと略同一になっていて、嵌合連結部材51が、嵩上側壁30,35,41に嵌合した状態で、嵌合連結部材51全体が側壁13,14,15の真上の領域に収まり、嵌合連結部材51の内側面と側壁13,14,15の内側面とが略同一に配置されると共に、嵌合連結部材51の外側面と側壁13,14,15の外側面とが略同一に配置される。
【0037】
さらには、嵌合連結部材51の高さは、略均一で、図11(A)及び図11(B)に示すように、嵌合連結部材51内で天井壁51Bの下面に嵩上側壁30,35,41が当接した状態で嵌合連結部材51の下面が、側壁13,14,15の上面から僅かに浮く。
【0038】
また、図6(A)に示すように、嵌合連結部材51の内部には内側リブ51X,51Yが備えられ、これら内側リブ51X,51Yを含めた嵌合連結部材51の形状は、容器10Aの対角に位置する嵌合連結部材51同士が同一で、隣合う角部に位置する嵌合連結部材51同士は鏡像対称になっている。そして、内側リブ51Xが、嵩上側壁30又は嵩上側壁35の側面に重なり(図11(B)参照)、内側リブ51Yが嵩上側壁41の側面に重なる(図11(A)参照)。また、図6(A)に示すように、これら内側リブ51X,51Yは、嵌合側壁51Aと面一の下面を有し、嵌合連結部材51内の上面及び両側面に接続されている。なお、内側リブ51Xは、嵌合連結部材51の内縁側に位置する嵌合側壁51Aを構成する一方の平板壁を嵌合連結部材51内に延長してなる(内側リブ51Xは、嵌合連結部材51の内縁側に位置する一方の嵌合側壁51Aから延長するようにして嵌合連結部材51の外縁側に位置する嵌合側壁51Aに接続されている)。
【0039】
本実施形態の容器10Aの構成に関する説明は以上である。次に、この容器10Aの作用効果について説明する。図7に示された容器10Aは、組立状態でかつ全ての嵩上側壁30,35,41が不使用状態になった通常状態になっている。この状態で、複数の容器10Aを段積みすると、各段の容器10Aの前面開口16から荷物を容器10Aに出し入れすることができ、商品の陳列棚や倉庫のラック等として使用することができる(図14の下から1番目の容器10A参照)。
【0040】
通常状態の容器10Aには収まらない高さの商品も容器10Aを嵩上状態にすることで収容可能になる場合がある。容器10Aを通常状態から嵩上状態にするには、図8に示すように、嵩上側壁30,35,41を上方へと回動して図9に示すように起立姿勢としかつスライド可能な範囲の上端位置に配置する。そして、そこから嵩上側壁30,35,41を降下させて、それらの下面突部32を側壁13,14,15の起立支持部33にそれぞれ嵌合すればよい。
【0041】
すると、嵩上側壁30,35,41が、互いに連結はされていないが使用状態に保持されているので、容器10Aは、背が高い商品を収容可能になると共に段積状態にすることもできる。
【0042】
しかしながら、嵩上側壁30,35,41の内側又は外側にかかる負荷に対する強度が懸念される場合も生じ得る。そのような場合には、容器10Aの各コーナー部において隣合う嵩上側壁30,35,41に嵌合連結部材51を上方から嵌合すればよい。すると、嵌合連結部材51によって隣合う嵩上側壁30,35,41が連結されて嵩上側壁30,35,41の内側又は外側にかかる負荷に対する強度が向上する。また、図12及び図14に示すように嵌合連結部材51が取り付けられた容器10Aであっても、その上に別の容器10Aを段積みすることができる。
【0043】
上述した動作と逆の手順で容器10Aを通常状態に戻すことができる。そして、通常状態の容器10Aの弾性係合片13Bを内側から押圧操作し、図13に示すように1対の横側壁15を底壁11上に倒して、その上に後側壁13と前側壁14とを倒せば、容器10Aを折り畳状態にするがことできる(図14の上から1番目の容器10A参照)。また、嵩上側壁30,35,41は、側壁13~15の受容凹部29に収まっているので、容器10Aを折畳状態にしても、嵩上側壁30,35,41によって嵩張ることはない。なお、使用しない嵌合連結部材51は、例えば、袋等に入れて保管すればよい。
【0044】
上述したように本実施形態の容器10Aでは、使用状態で隣合う嵩上側壁30,35,41に上方から嵌合連結部材51が嵌合して、それら隣合う嵩上側壁30,35,41同士が連結されるので、嵩上側壁30,35,41に内側又は外側からかかる負荷に対する嵩上側壁30,35,41同士の連結強度が向上する。また、嵌合連結部材51のL形溝部51Mの内部に内側リブ51X,51Yを備えたことで、嵌合連結部材51が溝幅方向で拡がることが防がれ、強度が高くなる。
【0045】
また、嵌合連結部材51全体の平面形状は、側壁13~15のコーナー部の平面形状内に収まるL形をなし、嵌合連結部材51が側壁13~15の内面及び外面から突出しないので、荷物と嵌合連結部材51との引っ掛かりが抑えられる。さらには、嵩上側壁30,41は、嵌合連結部材51との嵌合部分である連結嵌合部30E,41Eが、嵩上側壁30,41全体の厚さに比べて段付き状に薄くなった「段差付きの嵩上側壁」になっていると共に、嵩上側壁35は全体が嵌合連結部材51に収まるので、嵌合連結部材51と嵩上側壁30,35,41との間の段差が抑えられ、この点においても荷物と嵌合連結部材51との引っ掛かりが抑えられる。
【0046】
また、嵌合連結部材51内には、隣合う1対の嵩上側壁30,35,41同士が互いに離間した状態で収まるので、1対の嵩上側壁30,35,41同士が干渉することがなくなり、この点においても、嵌合連結部材51の嵩上側壁30,35,41への嵌合作業を容易に行うことができる。また、嵌合連結部材51内で隣合う嵩上側壁30,35,41同士が互いに離間した状態で収まる構造としたことで、不使用状態の嵩上側壁30,35,41の側面は側壁13~15同士のコーナー部から離れ、側壁13~15同士のコーナー部に、補強構造(リブ、面変化部、柱など)を備えることができ、容器10Aの強度が高くなる。また、嵩上側壁30,35,41を当該補強構造への干渉を避けつつ側壁13~15の受容凹部29に収めることができる。さらには、嵩上側壁30,35,41と側壁13~15とには、嵩上側壁30,35,41が使用状態になると互いに係合して、嵩上側壁30,35,41を使用状態に保持する下面突部32及び起立支持部33(本開示の起立保持機構に相当する)が備えられているので、嵌合連結部材51の嵩上側壁30,35,41に対する嵌合作業を容易に行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、前述の通り、嵩上側壁30,35,41を起立姿勢に維持して、スライド可能な範囲の上端位置から降下させるが、この時の「起立姿勢」を「使用準備姿勢」と称し、嵩上側壁30,35,41の下面突部32が側壁13~15の起立支持部33にそれぞれ嵌合して、嵩上側壁30,35,41が起立状態に保持された使用状態を「起立保持姿勢」と称し、それぞれの姿勢を区別してもよい。
【0048】
[他の実施形態]
(1)嵌合連結部材の形状は、前記実施形態の嵌合連結部材51の形状に限定されるものでなく、使用状態で隣合う嵩上側壁に上方から嵌合して、それら嵩上側壁同士を連結するものであれば、どのような形状のものでもよい。具体的には、図6(B)に示した嵌合連結部材71のように、1対の内側リブ71Xを嵌合連結部材71内に対称に設けもよいし、図6(C)に示した嵌合連結部材72のように、内側リブ72Xを嵌合連結部材71内の対角線上に配置してもよい。また、図6(D)に示した嵌合連結部材73のように、内側の嵌合側壁73Aを構成する1対の直交する壁を連絡リブ73Xで連絡してもよい。また、図6(E)に示した嵌合連結部材74のように、嵌合側壁74Aの一部を下方に向かって延びる片持ち梁状に切り離して1対の弾性係止片74Eを設け、それら1対の弾性係止片74Eの下端の係止突起74Tが嵩上側壁30,35,41の下面に係合するようにしてもよい。さらには、図6(F)に示した嵌合連結部材75のように、天井部75Bの外縁部と内縁部とから垂下する嵌合側壁75Aと嵌合側壁75Cの高さが異なっていてもよい。
【0049】
(2)起立保持機構としては、上記実施形態のように嵩上側壁30,35,41の下面突部32が側壁13~15の起立支持部33に凹凸係合する構成に限定されるものではなく、例えば、嵩上側壁の回動途中に弾性変形して、嵩上側壁が使用状態になると弾性復帰する弾性係合部を嵩上側壁か側壁に備えた構成としてもよい。また、嵩上側壁30,35,41の下部に上下に貫通する嵌合孔を設け、それら嵌合孔に側壁13~15から上方に突出する嵌合突部が係合する構成としてもよい。
【0050】
(3)さらには、嵩上側壁が不使用状態で側壁の外側面に重なるものでは、例えば、側壁の上面のうち外側面側の縁部から突出する規制突片を設け、嵩上側壁をスライド範囲の上端位置に移動しない限り、嵩上側壁が規制突壁に支持された使用状態に保持される構成や、嵩上側壁が不使用状態で側壁の内側面に重なるものでは、例えば、側壁の上面のうち内側面側の縁部から突出する規制突片を設けて同様の構成としたものも、起立保持機構として挙げられる。また、嵩上側壁が側壁の内側面に重なるか、外側面に重なるかに関わらず、側壁の上面の内側面側の縁部と外側面側の縁部との両方から規制突壁が突出した構造としてもよい。さらには、複数種類の起立保持機構を併用してもよい。
【0051】
(4)前記実施形態では、側壁13~15側に長孔34が設けられ、そこに嵩上側壁30,35,41のヒンジ突起31Pがスライド可能かつ回動可能に係合していたが、それとは逆に、嵩上側壁30,35,41に長孔を設けて、側壁13~15にヒンジ突起31Pを設けてもよい。また、嵩上側壁30,35,41が上下に移動しなくてもよいし、回動しなくてもよい。
【0052】
(5)前記実施形態では、起立保持機構が嵩上側壁30,35,41の全ての側壁13~15との間に設けられていたが、起立保持機構は、全ての嵩上側壁と側壁とに設けられていなくてもよい。
【0053】
(6)前記実施形態では、隣合う嵩上側壁30,35,41同士が使用状態で離間していたが、嵩上側壁同士が連結されるようにしてもよい。その嵩上側壁同士を連結させる構造としては、隣合う嵩上側壁の一方を他方に対して上下にスライドさせて係合する構成や、隣合う嵩上側壁の一方に水平に旋回する係合レバーを設けて、それを他方の嵩上側壁に係合させる構成が挙げられる。
【0054】
(7)前記実施形態の容器10Aは、折り畳み可能であり、かつ、前面開口16を有していたが、折り畳むことができない容器や前面開口を有しない容器で嵩上側壁を備えるものに上述の嵌合連結部材を備えてもよい。
【0055】
(8)また、不使用状態では、嵩上側壁30,35,41は、側壁の内面に重なっても外面に重なってもよい。
【0056】
(9)前記実施形態では、嵩上側壁30,35,41は、不使用状態になると、受容凹部29に全体が収まっていたが、一部が受容凹部29から突出する構成としてもよい。
【0057】
(10)前記実施形態では、不使用状態の嵩上側壁30,35,41を受容凹部29から出して使用状態にする際に、一定量(外方かつ上方に)回動させてから上方にスライド移動させつつさらに回動させて、その後下方へスライド移動させる構造だが、先に上方にスライド移動させてから(外方かつ上方に)回動させて、その後下方へスライド移動させる構造でもよい。つまり、回動可能かつ上下に移動可能な構造は実施形態に限定されない。
【0058】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0059】
10A 容器
13~15 側壁
30,35,41 嵩上側壁
30D,41D 段差面
30E,41E 連結嵌合部
32 下面突部(起立保持機構)
33 起立支持部(起立保持機構)
34 長孔
51,71~75 嵌合連結部材
51M L形溝部
51X,51Y,71X,72X 内側リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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