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特開2023-91931フラックス生成用固形体及びフラックスの生成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091931
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】フラックス生成用固形体及びフラックスの生成方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
B23K35/363 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206814
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 裕之
(72)【発明者】
【氏名】大類 寿彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳美
(57)【要約】
【課題】搬送コストを抑えつつ、簡易な取り扱いで液体フラックスを生成できるフラックス生成用固形体を提供する。
【解決手段】フラックス生成用固形体は、樹脂及び活性剤を含み、所定の形状に成形されている。一例として、フラックス生成用固形体は、内方部310と、内方部310を覆う外方部320とを有してもよい。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂及び活性剤を含み、成形されたフラックス生成用固形体。
【請求項2】
樹脂の含有量が50質量%以上となっている、請求項1に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項3】
内方部と、内方部の一部又は全部を覆う外方部とを有する、請求項1又は2に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項4】
外方部に含まれる樹脂の含有比率が、内方部に含まれる樹脂の含有比率よりも高くなっている、請求項3に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項5】
前記外方部における樹脂の含有比率が50質量%以上となっている、請求項3又は4に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項6】
前記内方部は添加剤を含み、
前記外方部は添加剤を含まない、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項7】
重量が10~150gである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項8】
イソプロピルアルコールと混合されることで液体フラックスとなる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項9】
フラックス生成装置に充填され、フラックス生成装置において液体溶剤と混合されることでフラックスを生成するために用いられる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックスを生成するためのフラックス生成用固形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、はんだを基板等に設ける際にフラックスが用いられている。フラックスとして、IPA(イソプロピルアルコール)、活性剤等を混ぜ合わせて生成されることが知られており、例えば特許文献1ではロジン(松脂)、活性剤、増粘剤、溶剤等を混合してフラックスを調製できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-062410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラックスは液体であり、その重量も重いことから、フラックスを顧客や海外法人に搬送する場合には搬送コストがかかってしまう。他方、粒状や粉末状態でロジン、活性剤、添加剤等を搬送することも考えられるが、その取扱いが煩雑である。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、搬送コストを抑えつつ、簡易な取り扱いで液体フラックスを生成できるフラックス生成用固形体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるフラックス生成用固形体は、
樹脂及び活性剤を含み、成形されたものであってもよい。
【0007】
本発明によるフラックス生成用固形体において、
樹脂の含有量が50質量%以上となってもよい。
【0008】
本発明によるフラックス生成用固形体は、
内方部と、内方部の一部又は全部を覆う外方部とを有してもよい。
【0009】
本発明によるフラックス生成用固形体において、
外方部に含まれる樹脂の含有比率が、内方部に含まれる樹脂の含有比率よりも高くなってもよい。
【0010】
本発明によるフラックス生成用固形体において、
前記外方部における樹脂の含有比率が50質量%以上となってもよい。
【0011】
本発明によるフラックス生成用固形体において、
前記内方部は添加剤を含み、
前記外方部は添加剤を含まなくてもよい。
【0012】
本発明によるフラックス生成用固形体の重量は10~150gとなってもよい。
【0013】
本発明によるフラックス生成用固形体は、イソプロピルアルコールと混合されることで液体フラックスとなってもよい。
【0014】
本発明によるフラックス生成用固形体は、フラックス生成装置に充填され、フラックス生成装置において液体溶剤と混合されることでフラックスを生成するために用いられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフラックス生成用固形体を用いれば、液体溶剤と混ぜ合わせるだけで液体フラックスを生成することができる。このため、液体溶剤を顧客や海外法人等の液体フラックスを実際に使用する場所で準備する態様を採用でき、搬送コストを抑えることができる。また、本発明のフラックス生成用固形体を用いれば、粒状や粉末状態で樹脂を取り扱う必要がなくなることから、簡易な取り扱いで液体フラックスを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明によるフラックス生成用固形体であって、2重構造となっている態様を示した縦断面図。
図1B】本発明によるフラックス生成用固形体であって、内方部の側面が外方部で覆われている態様を示した斜視図。
図1C】本発明によるフラックス生成用固形体であって、2重構造となっておらず、全体を通して均一な状態となっている態様を示した縦断面図。
図2】本発明によるフラックス生成用固形体がセッティング(充填)されうるフラックス生成装置の概略図。
図3A】本発明によるフラックス生成用固形体の内方部を成形する態様を示した断面図。
図3B図3Aに続く工程であって、成形された内方部を溶融した外側成分材料内に投入する態様を示した断面図。
図3C図3Bに続く工程であって、外方部内に内方部を収容した状態で冷却して、2重構造になったフラックス生成用固形体を成形する態様を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態
《構成》
本実施の形態では、ロジン等の樹脂及び活性剤を含み、所定の形状に成形されたフラックス生成用固形体300を提供する。フラックス生成用固形体300は液体溶剤と混合されることで液体フラックスとなる。フラックス生成用固形体300はその他に添加剤を含んでもよい。フラックス生成用固形体300は、後述するフラックス生成装置で用いられてもよいし、作業者が手作業でフラックス生成時に用いてもよい。
【0018】
液体溶剤としては、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等を用いることができる。アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、1,2-ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,2′-オキシビス(メチレン)ビス(2-エチル-1,3-プロパンジオール)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール等が挙げられる。グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレントリグルコール、ブチルプロピレントリグルコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。但し、本実施の形態では、典型的にはイソプロピルアルコールが用いられる。
【0019】
特に液体溶剤としてイソプロピルアルコール等の発火性を伴うといった危険物を取り扱う場合には、本実施の形態の態様は有益である。イソプロピルアルコールは発火性の危険物であることから、その取扱いが厳格化される方向にある。この点、本実施の形態のようなフラックス生成用固形体300を採用する場合には、イソプロピルアルコールの取り扱いを、その取扱い資格を有する者(例えば顧客等)に任せることができ、製造メーカとしての負担が減る点で有益である。
【0020】
また本実施の形態によれば、日本国内だけではなく海外で液体フラックスを製造する場合にも、フラックス生成用固形体300のみを輸出し、現地でイソプロピルアルコール等の液体溶剤と混合することで液体フラックスを生成できることから、液体フラックスを輸送する場合と比較して輸送費を格段に削減することができる。
【0021】
またロジン、活性剤、添加剤等を粉末で取り扱うことも考えられるが、粉末を用いた場合には輸送や搬送時に粉末が飛んでしまい適切な配合比率が変わってしまったりする可能性があり、適切な液体フラックスを提供できない可能性が出てくる。またフラックス生成時に計量も必要となり、特に顧客がロジン、活性剤、添加剤等の粉末と液体溶剤とを混ぜて液体フラックスを生成する場合には、その取扱いが難しいものとなる。他方、本実施の形態のようなフラックス生成用固形体300を採用することで、フラックス生成用固形体300を液体溶剤と混ぜ合わせるだけでよくなり、そのような不都合が発生することを防止することもできる。
【0022】
また、フラックス生成用固形体300として計上及び重さが定まっていない粒状のものを採用するのではなく、定まった形状及び重さからなるブロック体を採用する場合には、液体フラックス生成時の計量を行うことなく個数で管理できる点で有益である。またフラックス生成装置100を採用する場合には、フラックス生成装置100へのセッティングも容易になる点で有益である。
【0023】
またロジン、活性剤及び添加剤の成分や配合量についてはノウハウも含まれていることから、顧客にそのまま提供することが難しいという事実もある。他方、本実施の形態のようなフラックス生成用固形体300を採用することで、このようなノウハウが漏れることも防止できる。
【0024】
フラックス生成用固形体300は所定の形状からなってもよく、略立方体、略直方体、略円柱形状等からなるブロック形状となってもよい。1つのフラックス生成用固形体300の重量は10~150g程度であってもよく、30~80g程度であってもよい。複数のフラックス生成用固形体300の各々は同じ形状となってもよい。
【0025】
フラックス生成用固形体300の大きさが小さいほど溶解性が高くなるが、他方でフラックス生成用固形体300の大きさが大きいほど取り扱いは容易になる。これらの理由から、フラックス生成用固形体300の重量は30~80g程度であることが有益である。
【0026】
フラックス生成用固形体300における樹脂であるロジンの含有量が50質量%以上となってもよい。この場合には活性剤及び添加剤の含有量は50質量%未満となる。ロジンの含有量が高いほど、固まりやすく、べたつきが小さくなり、取り扱いが容易になる。
【0027】
フラックス生成用固形体300は、内方部310と、内方部310を覆う外方部320とを有し、2重構造となってもよい。内方部310と外方部320の重量比率は9:1~1:1となってもよい。外方部320は内方部310の全体又は一部を覆う外方膜となってもよい。図1Aで示すように、内方部310を完全に覆う外方部320が設けられてもよい。また図1Bで示すように、内方部310の一部を覆う外方部320が設けられてもよい。なお図1Bの態様では、円筒形状の内方部310の側面を外方部320が覆う構造となっている。また2重構造となっている必要はなく、図1Cに示すように、フラックス生成用固形体300は全体を通じて均一な材料で構成されてもよい。
【0028】
外方部320のべたつきが内方部310のべたつきと比較して小さくなっていることが有益である。このように外方部320のべたつきを小さくすることで、フラックス生成用固形体300の取り扱いが容易になる。
【0029】
外方部320でのべたつきを抑えるために外方部320に含まれるロジンの含有比率を高めてもよく、外方部320に含まれるロジンの含有比率が、内方部310に含まれるロジンの含有比率よりも高くなってもよい。外方部310におけるロジンの含有率は50質量%~80質量%となり、内方部310におけるロジンの含有率は10質量%~70質量%となってもよい。フラックス生成用固形体300は、2質量%~30質量で添加剤を含んでもよい。
【0030】
フラックス生成用固形体300は、内方部310にのみ添加剤が含まれ、外方部320には添加剤が含まれないようにしてもよい。この場合には、内方部310に添加剤が5~40質量%で含有されてもよい。添加剤がべたつきやすい場合には、添加剤の含有量を減らすことで外方部320でのべたつきを抑えるようにしてもよい。べたつきの観点から外方部320のみの成分を調整し、内方部310の成分はべたつきを考慮することなく、全体の成分の観点(フラックス生成用固形体300の全体に含まれる樹脂、活性剤及び添加剤の比率の観点)から調整してもよい。
【0031】
一例としては、以下の表1に示すような成分比率であってもよい。内方部310においては活性剤の含有量よりも添加剤の含有量が多くなり、添加剤の含有量よりもロジン等の樹脂の含有量が多くなってもよい(活性剤の含有量<添加剤の含有量<樹脂の含有量)。また外方部320においては、活性剤の含有量よりもロジン等の樹脂の含有量が多くなってもよい(活性剤の含有量<樹脂の含有量)。
【表1】
【0032】
ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。当該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性ロジン、酸変性水添ロジン、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられる。ロジンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、樹脂としてはロジン以外の樹脂を用いてもよく、例えばアクリル樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンポリプロピレン共重合物及びポリエチレンポリ酢酸ビニル共重合物から選択される少なくとも一種以上の樹脂を用いてもよい。
【0033】
活性剤としては、例えば、有機酸類、アミン類、有機ハロゲン化合物類、アミンハロゲン化水素酸塩類、ホスホン酸類、燐酸エステル類等のフラックスにおいて一般に使用されているものを、1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0034】
添加剤としては、例えば、酸化防止剤や、防錆剤、消泡剤、つや消し剤、界面活性剤、着色剤等を用いることができ、1種又は2種以上の添加剤を用いてもよい。
【0035】
《フラックス生成装置》
次に、フラックス生成用固形体300がセッティングされるフラックス生成装置100について簡単に説明しておく。
【0036】
図2に示すように、本実施の形態のフラックス生成装置100は、フラックス生成用固形体300をストックするストック部90と、ストック部90から所定の個数のフラックス生成用固形体300を供給する第一供給部95と、貯留部80から液体溶剤L1を供給する供給駆動部86を有する第二供給部85と、第一供給部95から供給されたフラックス生成用固形体300と第二供給部85から供給された液体溶剤L1とを混合して、液体フラックスL2を生成する攪拌部20を有する生成部10と、を有してもよい。攪拌部20は、攪拌用のスクリュー等からなる被回転部21と、被回転部21を回転駆動するためのモータ等の駆動部25とを有してもよい。被回転部21と駆動部25とはシャフト22を介して連結され、シャフト22が駆動部25によって回転されることで被回転部21が回転されるようになる。供給部85は、貯留部80内の液体溶剤L1内から攪拌容器30まで延びた供給管87を有し、この供給管87に前述した供給駆動部86が設けられてもよい。
【0037】
攪拌容器30内の液体フラックスL2を一時貯留部110に向けて供給するための排出部115が設けられてもよい。排出部115は、攪拌容器30の底面に設けられた排出管117を有し、この排出管117にポンプ等からなる排出駆動部116が設けられてもよい。
【0038】
生成部10は、攪拌容器30と、攪拌容器30内の液体の比重を測定する比重計40と、液体の温度を測定する温度計45とを有してもよい。比重計40と温度計45は比重制御部48に接続されてもよい。比重制御部48は比重計40と温度計45から読み取られた情報からフラックスの濃度を導き出し、当該結果を表示部49で表示するようにしてもよい。
【0039】
フラックス生成装置100は、各構成要素を制御する制御部50と、様々な情報を記憶している記憶部60とを有してもよい。制御部50は記憶部60に接続されており、記憶部60から情報を適宜読み出してもよい。また各構成要素の情報は直接又は制御部50を介して記憶部60に記録されるようにしてもよい。本実施の形態における接続には有線及び無線のいずれも含んでおり、有線又は無線のいずれで接続されてもよい。
【0040】
生成部10に連結され、生成部10で生成された液体フラックスL2を被処理体200に供給するフラックス供給部120が設けられてもよい。フラックス供給部120は被処理体200に対して相対的に移動可能となり、被処理体200の面内方向で移動したり、被処理体200に対して近接・離間可能となったりしてもよい。フラックス供給部120は供給ノズル121を有してもよい。被処理体200は特に限定されるものではないが、一例としては半導チップを載置するための基板である。供給ノズル121から基板の所定の箇所にフラックスが噴霧されるようにしてよい。フラックス供給部120は、一時貯留部110と供給ノズル121との間に設けられた供給管129と、供給管129に設けられ、一時貯留部110から液体フラックスL2を供給するためのポンプ等の供給駆動部126とを有してもよい。
【0041】
また、第一供給部95は下方スライド部95aと下方スライド部95aの上方に設けられた上方スライド部95bとを有してもよい。上方スライド部95bを閉状態とした状況で下方スライド部95aを開状態としてフラックス生成用固形体300を落下させてもよい。その後に下方スライド部95aを閉状態とした後で、上方スライド部95bを開状態として、フラックス生成用固形体300を一つ下方スライド部95a上に落下させてもよい。その後で上方スライド部95bが閉状態となり、上方スライド部95bと下方スライド部95aとの間に一つのフラックス生成用固形体300が位置するようにしてもよい。このような態様によれば、一つずつフラックス生成用固形体300を供給することができるようになる。
【0042】
フラックス生成装置100は、生成部10等を収容するための収容筐体180と、収容筐体180の底面に設けられた移動ローラのような移動部190とを有してもよい。このような態様を採用することで、生成部10及び収容筐体180を容易に移動させることができる。
【0043】
攪拌容器30内には制御部50と通信可能な液面計70が設けられ、制御部50が当該液面計70からの情報を受けて、攪拌容器30から液体フラックスL2がどれだけ排出されたかを検出するようにしてもよい。
【0044】
さらに、パソコン、タブレット、スマートフォン等からなり制御部50と通信可能な操作部55が設けられてもよい。操作部55から生成する液体フラックスL2の識別情報等が入力されるようにしてもよい。液体フラックスL2の識別情報が入力されると、当該情報に基づいて必要な固形体Sの数と液体溶剤L1の量を含むレシピが記憶部60から制御部50によって読み出されてもよい。そして、制御部50からの指令を受けて、フラックス生成装置100において、所定の液体フラックスL2がレシピに沿って生成されるようにしてもよい。
《製造方法》
【0045】
次に、フラックス生成用固形体300の製造方法の一例について説明する。
【0046】
まず、ロジン、活性剤、添加剤等を含む内側成分材料を第一金型310内に入れて成形する(図3A参照)。このことによって、所定の形状を有する内方部310を生成することができる。この際には、ヒータ等の第一加熱部380からの熱を用いて加熱して、内側成分材料を溶融した後で、冷却して凝固することで内方部310を生成してもよい。内側成分材料の冷却は自然冷却によって行われてもよい。
【0047】
次に、第二金型320内で外側成分材料320aをヒータ等の第二加熱部390からの熱を用いて加熱して溶融する。そして、溶融している外側成分材料320a内に成形された内方部310を投入する(図3B参照)。外側成分材料は添加剤を含まず、ロジン及び活性剤から構成されてもよい。
【0048】
その後で、第二金型320内で外側成分材料320aを冷却して凝固することで、内方部310が外方部320に覆われて2重構造になったフラックス生成用固形体300を生成することができる(図3C参照)。外側成分材料320aの冷却は自然冷却によって行われてもよい。
【0049】
図3Cに示すような2重構造になったフラックス生成用固形体300を生成する態様においては、外側成分材料320aの比重が内方部310よりも大きくなっており、溶融した外側成分材料320aに内方部310が浮かぶ状態となってもよい。この場合、溶融した外側成分材料320aに内方部310が浮かんだ状態で外側成分材料320aを一度凝固させてもよい。この際には、内方部310の底面及び側面を覆うようにして外方部320が設けられることになる。その後で追加の外側成分材料320aを投入し、外側成分材料320aが内方部310の上面の全体を覆うようにしてもよい。追加で投入された外側成分材料320aが冷却されて凝固することで、内方部310の全体を覆う外方部320が設けられることになる。
【0050】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した各実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0051】
300 フラックス生成用固形体
310 内方部
320 外方部
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
【手続補正書】
【提出日】2022-04-19
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂及び活性剤を含み、
個々の重量が10~150gである、成形されたフラックス生成用固形体。
【請求項2】
樹脂の含有量が50質量%以上となっている、請求項1に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項3】
樹脂及び活性剤を含み、
内方部と、内方部の一部又は全部を覆う外方部とを有するフラックス生成用固形体。
【請求項4】
外方部に含まれる樹脂の含有比率が、内方部に含まれる樹脂の含有比率よりも高くなっている、請求項3に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項5】
前記外方部における樹脂の含有比率が50質量%以上となっている、請求項3又は4に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項6】
前記内方部は添加剤を含み、
前記外方部は添加剤を含まない、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項7】
液体溶剤と混合されることで液体フラックスを生成するために用いられる、請求項1乃至のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項8】
フラックス生成装置に充填され、フラックス生成装置において液体溶剤と混合されることでフラックスを生成するために用いられる、請求項1乃至のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体を液体溶剤と混合することで液体フラックスを生成するフラックスの生成方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂及び活性剤を含み、
個々の重量が10~150gである、成形されて所定の形状からなるフラックス生成用固形体。
【請求項2】
樹脂の含有量が50質量%以上となっている、請求項1に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項3】
樹脂及び活性剤を含み、
内方部と、内方部の一部又は全部を覆う外方部とを有する、フラックス生成用固形体。
【請求項4】
外方部に含まれる樹脂の含有比率が、内方部に含まれる樹脂の含有比率よりも高くなっている、請求項3に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項5】
前記外方部における樹脂の含有比率が50質量%以上となっている、請求項3又は4に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項6】
前記内方部は添加剤を含み、
前記外方部は添加剤を含まない、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項7】
液体溶剤と混合されることで液体フラックスを生成するために用いられる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項8】
フラックス生成装置に充填され、フラックス生成装置において液体溶剤と混合されることでフラックスを生成するために用いられる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフラックス生成用固形体を液体溶剤と混合することで液体フラックスを生成するフラックスの生成方法。