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特開2023-91964布帛、触媒反応器、並びにメタノール又はメタンの合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091964
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】布帛、触媒反応器、並びにメタノール又はメタンの合成方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 9/22 20060101AFI20230626BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20230626BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
D01F9/22
C01B32/05
B01J23/755 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206874
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】玉木 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】三原 崇晃
【テーマコード(参考)】
4G146
4G169
4L037
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB06
4G146AB10
4G146AC03A
4G146AC03B
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146AC30A
4G146AC30B
4G146AD35
4G146AD40
4G146BA13
4G146BA42
4G146BB06
4G146BC03
4G146BC33B
4G146BC42
4G146BC43
4G169AA03
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB12C
4G169BC31A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC73A
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169CB02
4G169CC22
4G169DA06
4G169EA03X
4G169EA03Y
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169FB14
4G169FB16
4G169FB20
4G169FB30
4L037CS02
4L037CS03
4L037FA01
4L037FA05
4L037PA53
4L037PC05
4L037PC09
4L037PC10
4L037PS02
4L037UA20
(57)【要約】
【課題】触媒粒子の担持基材として用いる場合などに、気相反応を効率的に行うための通気性、放熱性を兼ね備えた適切な基材を提供すること。
【解決手段】 多孔質炭素繊維を含む布帛であって、
開口率が30%以上90%以下である、布帛。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質炭素繊維を含む布帛であって、
開口率が30%以上90%以下である、布帛。
【請求項2】
前記多孔質炭素繊維が、炭素骨格と空隙とがそれぞれ連続構造をなす共連続多孔構造を有しており、
前記共連続多孔構造を有する部分の構造周期が0.002μm以上20μm以下である、請求項1に記載の布帛。
【請求項3】
前記多孔質炭素繊維間の目開きが、100μm以上1000μm以下である請求項1に記載の布帛
【請求項4】
目付が20g/m以上100g/m以下である、請求項1~3のいずれかに記載の布帛。
【請求項5】
前記多孔質炭素繊維の繊維直径が、50μm以上300μm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の布帛。
【請求項6】
前記多孔質炭素繊維の平均空隙率が10%~80%である、請求項1~5のいずれかに記載の布帛。
【請求項7】
前記多孔質炭素繊維の比表面積が2m/g以上50m/g以下である、請求項1~6のいずれかに記載の布帛。
【請求項8】
金属触媒を含有する、請求項1~7のいずれかに記載の布帛。
【請求項9】
前記多孔質炭素繊維の空隙部分に金属触媒を有する、請求項1~8のいずれかに記載の布帛。
【請求項10】
前記金属触媒が、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、及びニッケルからなる群より選択される1又は2以上の金属及びその化合物である、請求項8又は請求項9に記載の布帛。
【請求項11】
多孔質炭素繊維前駆体からなる布帛であって、
前記多孔質炭素繊維前駆体が、炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分を有し、
前記炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分における構造周期が0.002μm以上20μm以下であり、
開口率が30%以上90%%以下の布帛。
【請求項12】
反応触媒層を含む触媒反応器であって、
請求項9~10のいずれかに記載の布帛を反応触媒層の少なくとも一部として用いる触媒反応器。
【請求項13】
反応原料を導入する導入口、及び反応物を放出する排出口を有し、
前記反応原料が、布帛の存在する部分の少なくとも一部を通過する構造を有する、請求項12に記載の触媒反応器。
【請求項14】
請求項12又は13の触媒反応器を用いた、メタノール又はメタンの製造方法であって、以下の工程を有するメタノール又はメタンの合成方法
工程1:導入口から反応原料を導入する工程。
工程2:排出口から反応物を放出する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維を用いた布帛などに関する。
【背景技術】
【0002】
炭素材料は、その高い化学的安定性、耐熱性、強靭性を有することから、近傍で激しい化学反応が発生したり、高熱が発生したりするなど高い負荷がかかる環境で使用する基材として適している。特に炭素繊維は炭素材料としての特質を有しながら、フレキシブルで形状任意性を有しており、基材として有用である。
【0003】
炭素繊維は一般には比表面積の低い材料であり、機能性材料を多量に担持することが出来ず、例えば触媒の担持材料として用いる場合には反応効率を向上しにくい問題がある。
【0004】
そこで機能性材料を担持しやすくするために、多孔質の炭素材料を利用する手法が考えられる。多孔質炭素材料としては、粒状活性炭、活性炭繊維をはじめとする比較的大きなマクロ孔とミクロ孔の両方を有する活性炭と、カーボンナノチューブやメソポーラスシリカやゼオライト鋳型から製造されるメソポーラスカーボンなどを代表とするファインカーボン類が知られている。
【0005】
なかでも活性炭は、その大きな比表面積を活かして吸着材料や触媒担体として工業材料を中心に用いられている。特に、予め炭化したバルク材料を賦活化することで細孔が形成されることから、比較的安価に多孔質材料が提供されることも利点として挙げられる。しかしながら活性炭自体は粉体で、繊維のような形状追随性を持たせることが困難である。
【0006】
そこで、多孔質で比表面積が高い炭素繊維を用いた基材が有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-36151号公報
【特許文献2】特開2017-128705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
機能性材料をその機能を十分に発現させながら担持できる材料としては、高い化学安定性、耐熱性、強靭性を兼ね備えた炭素材料が有用であり、特に多孔質の炭素材料が機能性材料を多量に担持出来る。さらに、多孔質の炭素繊維はフレキシブルな形状追随性を有し非常に有用である。
【0009】
特許文献1には、セルロース繊維を炭化して、炭素繊維不織布を製造する技術が開示されている。単に、セルロース繊維を不織布しても十分な通気性が得られない。また、セルロース繊維を炭化した材料は比表面積が高すぎるため、微細孔で空気が滞留する問題がある。
【0010】
特許文献2には、多孔質炭素繊維を布帛として電極とする技術が開示されている。炭素繊維を単に布帛としても、通気性が得られないため、機能性材料表面での反応効率を向上することができない。
【0011】
特に触媒粒子の担持基材として用いる場合、気相反応を効率的に行うための通気性、放熱性を兼ね備えた適切な基材が無かった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは鋭意検討した結果、多孔質炭素繊維を用いて開口率の高い布帛を形成することで上記課題を解決できることを見出した。さらに、金属化合物を担持させることで高い触媒反応効率が得られることを見出した。具体的に、このような本発明は、以下である。
(1)
多孔質炭素繊維を含む布帛であって、
開口率が30%以上90%以下である、布帛。
(2)
多孔質炭素繊維前駆体からなる布帛であって、
前記多孔質炭素繊維前駆体が、炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分を有し、
前記炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分における構造周期が0.002μm以上20μm以下であり、
開口率が30%以上90%%以下の布帛。
【発明の効果】
【0013】
本発明の布帛は、機能性材料を多量に担持することが可能で、かつフレキシブルで通気性が高く放熱性に優れた、機能性材料担持のための基材を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明1の布帛は、多孔質炭素繊維を含む布帛であって、開口率が30%以上90%以下の布帛である。
【0015】
また別の態様の本発明2の布帛は、多孔質炭素繊維前駆体からなる布帛であって、前記多孔質炭素繊維前駆体が、炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分を有し、前記炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分における構造周期が0.002μm以上20μm以下であり、開口率が30%以上90%%以下の布帛である。
【0016】
以下、このような本発明について詳細を説明する。なお、単に本発明と記した場合、それは本発明1と本発明2の総称を意味する。
【0017】

<多孔質炭素繊維>
本発明1の布帛は多孔質炭素繊維を含む。ここでこの多孔質炭素繊維は、繊維状の炭素材料であり、かつ多孔構造を有する。多孔構造は、多数の空隙を有した構造の意味であり、多孔構造は単なる繊維より比表面積が高い構造であれば制限は無く、炭素のマトリックス内に微細な気泡が存在するのであってもよく、炭素の微粒子が結着して繊維状の構造を取っていてもよい。その中でも多孔質炭素繊維は、炭素骨格と空隙とがそれぞれ連続構造をなす共連続多孔構造を有していることが好ましい。
【0018】
共連続多孔構造とは、炭素骨格の枝部と細孔部(空隙部)がそれぞれ連続しつつ三次元的に絡み合った構造であり、液体窒素中で充分に冷却した試料を割断した断面を走査型電子顕微鏡で表面観察した際に、炭素骨格の枝部と空隙部がそれぞれ連続しつつ絡み合っている様子が観察されることにより確認できる。また、多孔質炭素繊維が共連続多孔構造を有する、とは、多孔質炭素繊維の任意の断面においてこのような共連続多孔構造が観察されることを意味する。
【0019】
多孔質炭素繊維が共連続多孔構造を有すると、炭素骨格が三次元的に連続しているため、炭素骨格が構造体全体を支えあう効果が生じて応力を多孔質炭素繊維全体に分散させることが可能となり、圧縮や曲げなどの外力に対して大きな耐性を有する、すなわち大きな圧縮強度および圧縮比強度を有するようになる。また、空隙も三次元的に連通しているため、空隙をガスや液体などの流体の流路として機能させることができる。例えば、触媒粒子の担持用基材として用いる場合、反応に関与する流体が多孔構造内を自由に移動することができるため、触媒反応を効率的に行うことができる。また、流体が移動しやすいため流体が熱媒となり効率的に放熱することが可能である。
【0020】
好ましい態様において、本発明1の布帛中の多孔質炭素繊維は共連続多孔構造を有し、その共連続多孔構造を有する部分は構造周期を有するが、その場合の構造周期は0.002μm以上20μm以下であることが好ましい。多孔質炭素繊維中の共連続多孔構造を有する部分が構造周期を有することは、共連続多孔構造の均一性が高いことを示し、炭素骨格の枝の太さや細孔サイズが均一であることを意味する。それによって布帛の圧縮強度が向上する効果が得られる。共連続多孔構造を有する部分の構造周期が小さいほど炭素骨格と細孔が微細な構造となって圧縮強度が向上する。そのため、構造周期は10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。一方、構造周期が大きいほど空隙部に流体が通る際の圧力損失が減少して流体の通過速度が向上する。また、圧力損失が低下すると、より省エネルギーで分離・精製できる効果を奏する。そのため、共連続多孔構造を有する部分の構造周期は0.02μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。
【0021】
共連続多孔構造を有する部分の構造周期は、布帛中の多孔質炭素繊維にX線を入射し、小角で散乱して得られた散乱強度のピークトップの位置における散乱角度2θより、下式で算出されるものである。
L=λ/(2sinθ)
L:構造周期、λ:入射X線の波長。
【0022】
ただし、構造周期が大きくて小角でのX線散乱が観測できない場合がある。その場合はX線コンピュータ断層撮影(X線CT)によって構造周期を得る。具体的には、X線CTによって撮影した三次元画像をフーリエ変換した後に、その二次元スペクトルの円環平均を取り、一次元スペクトルを得る。その一次元スペクトルにおけるピークトップの位置に対応する特性波長を求め、その逆数として構造周期を算出する。
【0023】
多孔質炭素繊維の繊維直径は、小さい方が内部まで流体が拡散しやすく、放熱性に優れ、触媒担持材の場合の反応効率が高まるが、小さすぎると力学的強度が弱くなる。繊維直径が大きい方が、力学的強度は高まるが、流体が拡散しにくくなる。そのため、多孔質炭素繊維の繊維直径には好ましい範囲があり、50μm以上300μm以下であることが好ましい。80μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。250μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。
【0024】
本発明1における多孔質炭素繊維の平均空隙率は、10~80%が好ましい。
【0025】
平均空隙率とは、包埋した試料をクロスセクションポリッシャー法(CP法)により精密に形成させた多孔質炭素繊維の断面を、1±0.1(nm/画素)となる倍率にて70万画素以上で観察し、その画像から計算に必要な着目領域を512画素四方で設定し、細孔部分の面積をA、炭素部分の面積をBとして以下の式で算出し、任意の断面20箇所の算術平均値により算出した値である。ここで、多孔質炭素繊維が中空部を有する場合、中空部分の面積は細孔の面積には含めない。
【0026】
平均空隙率(%)=A/B×100
平均空隙率が高いほど流体の圧力損失が小さくなり、通過速度を向上させることができる。そのため、多孔質炭素繊維の平均空隙率は25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。一方、平均空隙率が小さいほど、平均かさ密度が高くなり、圧縮比強度が向上する。そのため、多孔質炭素繊維の平均空隙率は75%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。平均空隙率は所望のガスの通過速度と圧縮強度に併せて適宜設定する
多孔質炭素繊維の共連続多孔構造を形成する細孔の全体の平均直径は、小さすぎると繊維軸方向および繊維断面方向の圧力損失が増加して流体の通過速度が低下するため30nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
【0027】
また、細孔の全体の平均直径が大きすぎると、炭素の枝部が構造体全体を支えあう効果が低下して圧縮強度が低下するため、5,000nm以下が好ましく、2,500nm以下がより好ましい。
【0028】
ここで、細孔の全体の平均直径とは、水銀圧入法による分離膜の細孔径分布測定による測定値である。水銀圧入法においては、共連続多孔構造の細孔に圧力を加えて水銀を浸入させ、圧力と圧入された水銀量から細孔容積と比表面積を求める。そして、細孔を円筒と仮定したときに細孔容積と比表面積の関係から得た細孔直径を算出するものであり、水銀圧入法では5nm~500μmの細孔直径分布曲線を取得できる。
【0029】
多孔質炭素繊維は、表面の細孔直径が大きいとガス流通速度が向上するため、表面の平均細孔直径は2nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましい。また、表面の細孔直径が大きすぎると、強度の低下や、機能性粒子の担持量が少なくなるなどの問題が生じることがある。本発明1の布帛中の多孔質炭素繊維の共連続多孔構造は、細孔直径分布曲線において2~400nmの範囲に少なくとも一つのピーク直径を有することが好ましい。この範囲に、少なくとも1つのピーク直径を有することで、ナノスケールの機能性粒子の担持スペースが確保でき、担持用の基材として有用である。
【0030】
多孔質繊維の比表面積は、2m/g以上50m/g以下であることが好ましい。
【0031】
多孔質炭素繊維の比表面積が低すぎると、機能性材料を多量に担持することが出来ず、表面からの放熱が少なくなり、放熱性が低い。比表面積が高すぎると、微細孔に流体が滞留しやすくなるため、本発明1の布帛を触媒担持材として用いる場合に、化学反応する材料を触媒粒子に迅速に供給することができないことがある。そのため多孔質繊維の比表面積には好ましい範囲があり、3m/g以上がより好ましく、5m/g以上がさらに好ましい。また多孔質繊維の比表面積は、30m/g以下がより好ましく、20m/g以下がさらに好ましい。なお、多孔質炭素繊維の比表面積は、後述するようにBET流動法により求めることができる。詳細は後述する。
【0032】

<多孔質炭素繊維を含む布帛>
本発明の布帛は、つまり本発明1の布帛と本発明2の布帛は、開口率が30%以上90%以下である。
【0033】
ここでいう開口率は、本発明1の布帛を上部から観察し、多孔質炭素繊維部分の面積と繊維でない空隙部分の面積を測定した際に、(空隙部分の面積)/(繊維部分の面積+空隙部分の面積)を計算した値である。具体的には数cm角に切り出した布帛を、上部より光学顕微鏡で観察し、3mm各の範囲で観察される上記面積比を開口率とする。開口率の計算においては、多孔質炭素繊維において一部空隙として見える部分も、繊維部分とみなして計算する。本発明2の布帛における開口率の測定方法も、多孔質炭素繊維前駆体部分の面積と多孔質炭素繊維前駆体でない空隙部分の面積を用いて、同様に求めることができる。
【0034】
開口率が高すぎると、繊維空隙内に気体が流通せずに通過してしまい、担持した機能性材料を有効利用できなくなる。一方開口率が低すぎると、通気性が悪くなり、基材内で空気が滞留しやすくなる。そのため開口率には適した範囲がある。本発明の布帛の開口率は、65%以上が好ましく70%以上がさらに好ましい、また、85%以下が好ましく80%以下がさらに好ましい。
【0035】
本発明の布帛において、炭素繊維間の目開きは100μm以上1000μm以下であることが好ましい。なお、より具体的には、本発明1の布帛においては、多孔質炭素繊維間の目開きが100μm以上1000μm以下であることが好ましく、本発明2の布帛においては、多孔質炭素繊維前駆体間の目開きが100μm以上1000μm以下であることが好ましい。本発明2の布帛は、多孔質炭素繊維前駆体を炭化した後に、目開きは大きく変わらない状態で、多孔質炭素繊維からなる布帛となるので、本発明2の布帛において好ましい目開きの範囲は、本発明1の布帛と同様である。ここで布帛の縦糸と横糸で目開きが異なる場合は、それぞれの平均を目開きとする。
【0036】
目開きが大きすぎると繊維空隙内に気体が流通せずに通過してしまい、担持した機能性材料を有効利用できなくなることがある。一方、目開きがが低すぎると、通気性が悪くなり、基材内で空気が滞留しやすくなり、また布帛としての機械的強度が低くなることがある。そのため、多孔質炭素繊維間の目開きや多孔質炭素繊維前駆体間の目開きには適した範囲があり、200μm以上がより好ましく、300μm以上がさらに好ましい、800μm以下がより好ましく、700μm以下がさらに好ましい。
【0037】
本発明の布帛の目付は20g/m以上100g/mが好ましい。布帛の目付とは、布帛の面積当たりの重量であり、3cm角の布帛を切り出して、重量を測定することで、面積当たりの重量を測定することが可能である。
【0038】

<金属触媒>
本発明1の布帛は、金属触媒を含有することが好ましい。金属触媒を含有することにより、本発明1の布帛を、例えば、触媒反応器中の反応触媒層や、空気電池及び燃料電池における触媒付き電極、として用いることができる。
【0039】
本発明の布帛において、金属触媒は多孔質炭素繊維の空隙部分に有することが好ましい。多孔質繊維の空隙部分は周囲が炭素に囲まれているため、単に表面に存在するよりも脱離にしにくい。多孔質炭素繊維が共連続構造を持つ場合、反応流体が空隙内を移動しやすく、空隙内の触媒粒子に接触しやすくなるため、反応を効率的に行うことができる。
【0040】
ここで金属触媒としては、例えば金属であるルテニウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、白金、パラジウム、レニウム、銀、銅、亜鉛、ジルコニウム、オスミウム、イリジウムあるいはそれらの合金等及びその化合物が挙げられるが、金属触媒が、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、及びニッケルからなる群より選択される1又は2以上の金属及びその化合物であることがより好ましい。また金属触媒は、金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物といった金属元素を含む化合物であっても良い。
【0041】
金属触媒は、粒子状の形状を有することが好ましい。金属触媒の比表面積を向上し、気体の接触を促すため、金属触媒の粒子径は10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。ここで粒子径とは、100個の金属触媒粒子の粒子径の算術平均値を指し、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて、金属触媒を倍率3,000倍にて拡大観察し、無作為に選択した100個の金属触媒について粒子径を測定する。なお、金属触媒が球状でない場合は、金属触媒の最大径と最小径との算術平均値を粒径とする。それらの数平均値を算出することにより、金属含有触媒の粒子径を求めることができる。金属触媒の粒子径は、後述する触媒複合体の製造方法において、金属原料液の濃度や、金属原料液への触媒担体の含浸時間等を変えることにより、所望の範囲に適宜調整することができる。
【0042】
金属触媒としては、メタンの製造においてはニッケルやルテニウム、あるいはそれらの酸化物等が、メタノールの製造においては、レニウム、銀、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が好意的に用いられる。
【0043】

<触媒反応器>
本発明の布帛は、触媒反応器の一部として用いることができる。つまり本発明の触媒反応器は、反応触媒層を含む触媒反応器であって、本発明1の布帛を反応触媒層の少なくとも一部として用いる触媒反応器である。
【0044】
このような本発明の触媒反応器の構造には制限は無いが、反応原料を導入する導入口、反応物を放出する排出口を有し、反応原料が本発明1の布帛の存在する部分の少なくとも一部を通過する構造を有することが好ましい。このような構造の触媒反応器の一例として、反応層となる円管状の構造物の中に、触媒化合物を有する布帛を固定し、反応物質を流入、反応物を放出する、という構造が挙げられる。
【0045】
本発明の触媒反応器が適用可能な化学プロセスは特に限定されるものではないが、例えば、メタンの水蒸気改質による水素製造、メチルシクロヘキサンからの水素製造、二酸化炭素と水素からのメタン合成やメタノール合成、二酸化炭素と水あるいは二酸化炭素とメタンからの合成ガス(一酸化炭素と水素の混合気体)の合成等が挙げられる。
【0046】
本発明の触媒反応器を用いた好ましい一態様であるメタン又はメタノールの製造方法は、以下の工程を有する。
【0047】
工程1:導入口から反応原料を導入する工程。
【0048】
工程2:排出口から反応物を放出する工程。
【0049】
なお、工程1で用いる反応原料としては、二酸化炭素と水素が用いられる。そして反応物としては、メタンやメタノールが該当する。
【0050】
一般に、メタン又はメタノールは、天然ガスからの精製、各種化石燃料から得られる合成ガスの反応等の手法によって製造することができるが、二酸化炭素を原料として用いる製造方法は、二酸化炭素は入手が容易かつ、安定性が高く、取り扱い性に優れることから好ましく、生成物として次世代のクリーン燃料となるメタン、又はあらゆる化成品、燃料合成に繋がる、メタノールが製造できる。
【0051】

<多孔質炭素繊維の製造方法>
多孔質炭素繊維は一例として、前駆体となる樹脂を含む成形体を500℃以上2,400℃以下で炭化することで得ることができる。
【0052】
前駆体樹脂は、炭化可能樹脂と消失樹脂とを相溶させて樹脂混合物とする。
【0053】
炭化可能樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリフェニレンエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、芳香族ポリエステル、ポリアミック酸、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドおよびそれらの共重合体が挙げられる。また、熱硬化性樹脂の例としては、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、リグニン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリフルフリルアルコール樹脂およびそれらの共重合体が挙げられる。これらは単独で用いても、複数で用いてもよい。
【0054】
消失樹脂は、炭化可能樹脂と相溶する樹脂を選択することが好ましい。相溶方法は、樹脂同士のみの混合でもよく、溶媒を加えてもよい。このような炭化可能樹脂と消失樹脂の組み合わせは限定されないが、ポリアクリロニトリル/ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル/ポリビニルフェノール、ポリアクリロニトリル/ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル/ポリ乳酸などが挙げられる。
【0055】
前駆体樹脂からは、溶液紡糸により繊維状の形状を成形することができる。溶液紡糸とは、樹脂を各種溶媒に溶解させて紡糸原液を調製し、樹脂の貧溶媒となる溶媒からなる浴中を通過させて樹脂を凝固して繊維を得る方法である。溶液紡糸としては、乾式紡糸、乾湿式紡糸、湿式紡糸が挙げられる。
【0056】
このような方法で紡糸した繊維は、凝固浴中で凝固させ、続いて水洗および乾燥させることで多孔質炭素繊維前駆体を得ることができる。ここで凝固液としては水、エタノール、食塩水、およびそれらと工程1で使用する溶媒との混合溶媒等が挙げられる。なお、乾燥工程の前に凝固浴中や水浴中に浸漬して、溶媒や消失樹脂を溶出させることもできる。
【0057】
炭化温度は、500℃以上2,400℃以下で行うことが好ましい。ここで炭化温度は、炭化処理を行う際の最高到達温度である。寸法変化を抑制し、支持体としての機能を向上させる観点から炭化温度は900℃以上がより好ましい。一方、脆性低減、取扱性向上の観点から、炭化温度は1,500℃以下がより好ましい。
【0058】

<多孔質炭素繊維を含む布帛の製造方法>
本発明1の布帛の製造方法に制限は無く、例えば、多孔質炭素繊維を製造した後に、該繊維を織物・編物とすることで本発明1の布帛としてもよいし、多孔質炭素繊維前駆体を布帛とした後に、炭化・多孔質化することで本発明1の布帛を製造してもよい。
【0059】
布帛の作成方法に制限は無く、市販の製織機を用いて製造することができる。
【0060】

<多孔質炭素繊維前駆体からなる布帛>
本発明2の布帛は、多孔質炭素繊維前駆体からなる布帛であって、多孔質炭素繊維前駆体が、炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分を有し、その連続相を形成する部分における構造周期が0.002μm以上20μm以下であり、開口率が30%以上90%%以下の布帛である。
【0061】
本発明2の布帛は、多孔質炭素繊維前駆体を製造した後に、該繊維を織物・編物として布帛とする。多孔質炭素繊維前駆体は前述の通り炭化可能樹脂と消失樹脂を相溶した樹脂を溶液紡糸し、凝固させることで作製することができる。
【0062】
本発明2の布帛においては、多孔質炭素繊維前駆体中の炭化可能樹脂と消失樹脂が互いに連続相を形成する部分を有するが、その連続相における構造周期を0.002μm以上20μm以下とすることで、炭化後の多孔質炭素繊維の構造周期も0.002μm以上20μm以下とすることができる。多孔質炭素繊維前駆体中の上述の構造周期についても、多孔質炭素繊維中の共連続構造を有する部分の構造周期と同様、X線散乱又は、X線CTで測定することが可能である。
【0063】
本発明2の布帛の開口率については、前述の通り本発明1の布帛の項で説明したとおりである。
【0064】
本発明2の多孔質炭素繊維前駆体からなる布帛は、炭化・多孔質化しても布帛としての形状は変わらない。そのため、本発明2の布帛における多孔質炭素繊維前駆体間の目開きや多孔質炭素繊維前駆体の繊維直径の好ましい範囲は、本発明1の多孔質炭素繊維からなる布帛の好ましい範囲と同等である。
【実施例0065】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各実施例および比較例における評価は、以下の方法により行った。
【0066】
[評価A]比表面積
各実施例および比較例に用いた布帛について、全自動比表面積測定装置Macsorb HM Model-1210(マウンテック株式会社製)を用いて、BET流動法(吸着ガスN)により比表面積を測定した。布帛の脱気は100℃で60分間の条件で行った。
【0067】
[評価B]共連続多孔構造の構造周期
多孔質炭素繊維を試料プレートに挟み、CuKα線光源から得られたX線源から散乱角度10度未満の情報が得られるように、光源、試料および二次元検出器の位置を調整した。二次元検出器から得られた画像データ(輝度情報)から、ビームストッパーの影響を受けている中心部分を除外して、ビーム中心から動径を設け、角度1°毎に360°の輝度値を合算して散乱強度分布曲線を得た。得られた曲線においてピークを持つ位置の散乱角度θより、共連続多孔構造を有する部分の構造周期を下記の式によって得た。
【0068】
また構造周期が1μm以上であり、X線散乱のピークが観測されない場合には、X線顕微鏡で0.3°ステップ、180°以上の範囲で連続回転像を撮影し、CT像を得た。得られたCT像に対してフーリエ変換を実施し、散乱角度θと散乱強度のグラフを得て、前述と同様の方法で下記式により共連続多孔構造を有する部分の構造周期を得た。
【0069】
L=λ/(2sinθ)
L:構造周期、λ:入射X線の波長
[評価C]平均空隙率
多孔質炭素繊維を樹脂中に包埋し、その後カミソリ等で多孔質炭素繊維の断面を露出させ、日本電子製SM-09010を用いて加速電圧5.5kVにて試料表面にアルゴンイオンビームを照射、エッチングを施す。得られた多孔質炭素材料の断面を走査型二次電子顕微鏡にて材料中心部を1±0.1(nm/画素)となるよう調整された拡大率で、70万画素以上の解像度で観察した画像から、計算に必要な着目領域を512画素四方で設定し、着目領域の面積A、孔部分または消失樹脂部分の面積をBとして、以下の式で算出されたものを言う。
【0070】
平均空隙率(%)=B/A×100
[評価D]反応器の反応効率、および放熱特性
作製した反応器中の複合体布帛(金蔵触媒を含有する布帛)は、水素/窒素(体積比1:9)中で適宜活性化した。複合体を活性化した後、反応器の気体入口より水素/二酸化炭素の原料気体(体積比4:1)が連続的に導入された。原料気体の総流量は100sccm/min、反応器内部の圧力は2bar、反応温度は300℃とした。反応器の中空糸膜内部には、掃引気体として窒素を70sccm/minの速度で流通した。気体出口から放出された気体(以下「放出気体」)をGC-TDCによって分析し、以下の式をもって反応効率及びメタン選択性を計算した。また、放熱特性として、反応器における各点の局所的な温度を放射温度計を用いて測定し、反応中における局所的な温度の最高値を評価した。
【0071】
反応効率=(原料気体の二酸化炭素モル濃度―放出気体の二酸化炭素モル濃度)/原料気体の二酸化炭素モル濃度
メタン選択率=放出気体のメタンモル濃度/(放出気体のメタンモル濃度+放出気体の一酸化炭素モル濃度)
(製造例1)
共連続多孔構造を有する繊維状の構造体として、以下の方法で多孔質炭素繊維を作製した。
【0072】
ポリサイエンス社製ポリアクリロニトリル(PAN)(MW15万)10重量部と、シグマ・アルドリッチ社製ポリビニルピロリドン(PVP)(MW4万)10重量部と、富士フイルム和光純薬(株)製ジメチルスルホキシド(DMSO)80重量部を混合し、100℃で撹拌して紡糸原液を調製した。
【0073】
得られた紡糸原液を25℃まで冷却した後、同心円状の三重口金の口金を用いて、内管からDMSO75重量%水溶液を、中管から前記紡糸原液を、外管からDMSO90重量%水溶液をそれぞれ同時に吐出した後、30℃の純水からなる凝固浴へ導き、その後循環式熱風乾燥機により80℃で10分間乾燥して、中空糸状の多孔質炭素繊維前駆体Xを作製した。
【0074】
多孔質炭素繊維前駆体Xの構造周期は0.22μmであった。
【0075】
続いて多孔質炭素繊維前駆体Xを245℃の電気炉中に通し、空気雰囲気下で2時間加熱して不融化処理を行った。続いて不融化した多孔質炭素繊維前駆体Xを炭化温度700℃で炭化処理して、炭素を主成分とする中空糸状の多孔質炭素繊維(繊維直径150μm)を作製した。
【0076】
多孔質炭素繊維の平均空隙率は44%、比表面積は22m/g、構造周期は0.20μmであった。
【0077】
(製造例2)
紡糸原液の組成をPAN20重量部と、DMSO80重量部としたこと以外は製造例1と同様にして、多孔質構造を有さない炭素繊維(直径150μm)を作製した。
【0078】
炭素繊維に空隙は存在しなかった。また炭素繊維の比表面積は0.1m/gであり、さらに空隙が存在しないため共連続多孔構造も見られなかった。
【0079】
(製造例3)
市販の織機を用いて、製造例1で作製した多孔質炭素繊維を、目開き800μm、400μm、100μmとして、布帛A、布帛B、布帛Cを製造した。布帛Aの開口率は70%、布帛Bの開口率は53%、布帛Cの開口率は8%であった。
【0080】
同様に製造例2で作製した炭素繊維を目開き400μmとして布帛Dを製造した。布帛Dの開口率は53%であった。
【0081】
(製造例4)
市販の織機を用いて、製造例1で作製した多孔質炭素繊維前駆体Xを、目開き400μmとして、布帛を作製した。
【0082】
この布帛を245℃の電気炉中に通し、空気雰囲気下で2時間加熱して不融化処理を行った。続いて不融化した布帛を炭化温度700℃で炭化処理して、炭素を主成分とする中空糸状の多孔質炭素繊維(繊維直径150μm)からなる布帛Eを作製した
布帛Eの多孔質炭素繊維の構造周期は0.20μmであった。
【0083】
(製造例5)
布帛A~Eを、硝酸ニッケル(II)六水和物の10重量%水溶液に含浸した後、蒸発乾固した。得られた複合体を窒素雰囲気化で500℃、3時間の条件で焼成することにより、多孔質炭素繊維を触媒担体、酸化ニッケルを金属触媒として付着した複合体布帛(ここで複合体布帛とは、金属触媒を含有する布帛の意味であり、以下同様である。)A~Eを作製した。
【0084】
複合体布帛Aの開口率は70%、目付は37g/m、複合体布帛Bの開口率は53%、目付は64g/m、複合体布帛Cの開口率は8%、目付は141g/m、複合体布帛Dの開口率は53%目付は128g/m、複合体布帛Eの開口率は55%、目付は66g/m、であった。
【0085】
[実施例1]
複合体布帛Aを4mmに5枚切り出し、長さ10cm、内径φ4mm、肉厚1mmのステンレス製パイプの中央部にエポキシ樹脂系接着剤を用いてステンレスパイプ内に5枚を重ねて垂直に固定した。パイプの両端を気体入口、気体出口としてφ1mmの穴を開けた蓋をし、反応器用ベッセルを作製した。
【0086】
反応効率は80%、メタン選択率は70%であった。
【0087】

[実施例2]
複合体布帛Bをφ4mmに5枚切り出し、長さ10cm、内径φ4mm、肉厚1mmのステンレス製パイプの中央部にエポキシ樹脂系接着剤を用いてステンレスパイプ内に5枚を重ねて垂直に固定した。パイプの両端を気体入口、気体出口としてφ1mmの穴を開けた蓋をし、反応器用ベッセルを作製した。
【0088】
反応効率は85%、メタン選択率は77%であった。
【0089】
[実施例3]
複合体布帛Eをφ4mmに5枚切り出し、長さ10cm、内径φ4mm、肉厚1mmのステンレス製パイプの中央部にエポキシ樹脂系接着剤を用いてステンレスパイプ内に5枚を重ねて垂直に固定した。パイプの両端を気体入口、気体出口としてφ1mmの穴を開けた蓋をし、反応器用ベッセルを作製した。
【0090】
反応効率は82%、メタン選択率は73%であった。
【0091】
[比較例1]
複合体布帛Cをφ4mmに5枚切り出し、長さ10cm、内径φ4mm、肉厚1mmのステンレス製パイプの中央部にエポキシ樹脂系接着剤を用いてステンレスパイプ内に5枚を重ねて垂直に固定した。パイプの両端を気体入口、気体出口としてφ1mmの穴を開けた蓋をし、反応器用ベッセルを作製した。
【0092】
反応効率は30%、メタン選択率は50%であった。
【0093】
[比較例2]
複合体Dをφ4mmに5枚切り出し、長さ10cm、内径φ4mm、肉厚1mmのステンレス製パイプの中央部にエポキシ樹脂系接着剤を用いてステンレスパイプ内に5枚を重ねて垂直に固定した。パイプの両端を気体入口、気体出口としてφ1mmの穴を開けた蓋をし、反応器用ベッセルを作製した。
【0094】
反応効率は23%、メタン選択率は40%であった。