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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091965
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】毛髪用化粧料及び毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/33 20060101AFI20230626BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230626BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230626BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230626BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K8/33
A61K8/365
A61K8/41
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206877
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正人
(72)【発明者】
【氏名】山内 朝夫
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB271
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC521
4C083AC531
4C083AC542
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC932
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD282
4C083AD411
4C083BB36
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD41
4C083EE21
4C083EE29
(57)【要約】
【課題】成分の毛髪に対する付着持続性を向上した毛髪用化粧料の提供、及び前記毛髪用化粧料を用いた毛髪処理方法の提供。
【解決手段】
第1剤及び第2剤を備えた毛髪用化粧料であり、前記第1剤にはカテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上が配合され、前記第2剤にはアミノ基を有する化合物が配合された毛髪用化粧料、並びに、前記毛髪用化粧料を用いた毛髪処理方法。
【選択図】なし



【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪用化粧料であり、
前記毛髪用化粧料は、第1剤及び第2剤を備えており、
前記第1剤には、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上が配合され、
前記第2剤には、アミノ基を有する化合物が配合された、
毛髪用化粧料。
【請求項2】
前記アミノ基を有する化合物が、少なくとも、アミノ基を有する脂質成分、アミノ基を有する水溶性高分子、アミノ基を有するシリコーン、ポリアミン、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルキルアミン、タンパク質、加水分解タンパク質、ポリペプチドのいずれか1種以上を含む、請求項1に記載の毛髪用化粧料。
【請求項3】
前記第1剤及び/又は前記第2剤に、マンガン塩、鉄塩、及び銅塩の群から選ばれた1種又は2種以上の金属塩が配合された、請求項1又は2に記載の毛髪用化粧料。
【請求項4】
酸化による毛髪損傷が生じた毛髪に用いられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料を用いた毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用化粧料及び毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪に様々な機能を付与することを目的として、各種の成分が配合された毛髪用化粧料が提案されている。毛髪用化粧料としては、各種成分が配合された単剤で構成される1剤式の毛髪用化粧料や、各種成分がそれぞれ別剤に配合された複数剤で構成される多剤式の毛髪用化粧料がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、(メタ)アクリル酸とジアルキルジアリルアンモニウム塩とを構成単位として有する共重合体、及び脂肪酸ポリグリセリンエステルを含有することを特徴とするヘアリンス等の1剤式の毛髪化粧料によって、高湿度下における髪の広がりを抑制する技術が提案されている。また、下記特許文献2には、カチオン化多糖類を含有する第一剤と特定の重合体を含有する第二剤とを含む多剤式毛髪化粧料によって、指通りに優れ、毛髪のくせ・うねりを改善しつつ、程良いハリコシのある仕上がり感を与えることができる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-308415号公報
【特許文献2】特開2017-190290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の毛髪化粧料は、配合成分の機能を引き出して、毛髪に各種の機能を付与し得るものである。しかしながら、上記の毛髪化粧料を用いた毛髪処理では、日常の美容習慣であるシャンプーなどの洗髪処理によって、毛髪に付着した配合成分が毛髪から除去されてしまうため、毛髪に付与した各種の機能が低下するといった問題が生じることがあった。
【0006】
そのような問題から、毛髪用化粧料の配合成分による各種の機能を、毛髪に対してより長期に付与するため、成分の毛髪に対する付着持続性を高めることが要望されている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、成分の毛髪に対する付着持続性を向上した毛髪用化粧料の提供を目的とする。
また、本発明の別の課題は、成分の毛髪に対する付着持続性を向上した毛髪用化粧料を用いた毛髪処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題に基づいて検討したところ、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上が、ケラチンなどの毛髪におけるタンパク質のアミノ基と、アミノ基を持つ化合物とに対して、それぞれ連結することで、アミノ基を持つ化合物の毛髪に対する付着持続性を向上し得るという着想を得た。
【0009】
そして、本発明者等が、上記着想により鋭意検討を行った結果、第1剤及び第2剤を備える毛髪用化粧料において、前記第1剤に、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上が配合され、前記第2剤に、アミノ基を有する化合物が配合された毛髪用化粧料を毛髪に用いると、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性を向上できるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の毛髪用化粧料は、以下の通りである。
毛髪用化粧料であり、
前記毛髪用化粧料は、第1剤及び第2剤を備えており、
前記第1剤には、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上が配合され、
前記第2剤には、アミノ基を有する化合物が配合された、
毛髪用化粧料。
【0011】
本発明に係る毛髪用化粧料は、アミノ基を有する化合物が、例えば、少なくとも、アミノ基を有する脂質成分、アミノ基を有する水溶性高分子、アミノ基を有するシリコーン、ポリアミン、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルキルアミン、タンパク質、加水分解タンパク質、ポリペプチドのいずれか1種以上を含むものである。
【0012】
本発明に係る毛髪用化粧料は、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上の成分の化学構造をキノン構造に変換させる酸化触媒としての働きを有する観点から、第1剤及び/又は第2剤に、マンガン塩、鉄塩、及び銅塩の群から選ばれた1種又は2種以上の金属塩が配合されたものであると、好ましい。
【0013】
本発明に係る毛髪用化粧料は、例えば、酸化による毛髪損傷が生じた毛髪に用いられるものである。
【0014】
本発明の毛髪処理方法は、上記いずれかの毛髪用化粧料を用いた毛髪処理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の毛髪用化粧料によれば、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性を向上した毛髪用化粧料が提供できる。
また、本発明の毛髪処理方法によれば、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性を向上した毛髪用化粧料による毛髪処理方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】SDS-PAGE法による参考例1-1~参考例1-6の分子量確認結果を示す撮影画像
図2】IEF-PAGE法による参考例1-1~参考例1-6の等電点確認結果を示す撮影画像
図3】SDS-PAGE法による参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2の分子量確認結果を示す撮影画像
図4】IEF-PAGE法による参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2の等電点確認結果を示す撮影画像
図5】SDS-PAGE法による参考例3-1~参考例3-7の分子量確認結果を示す撮影画像
図6】IEF-PAGE法による参考例3-1~参考例3-7の等電点確認結果を示す撮影画像
図7】SDS-PAGE法による参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の分子量確認結果を示す撮影画像
図8】IEF-PAGE法による参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の等電点確認結果を示す撮影画像
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0018】
<毛髪用化粧料>
本実施形態の毛髪用化粧料は、毛髪に用いられる化粧料である。
本実施形態の毛髪用化粧料は、第1剤及び第2剤を備えており、前記第1剤には、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上が配合され、前記第2剤には、アミノ基を有する化合物が配合されたものである。本実施形態の毛髪用化粧料を毛髪に用いれば、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性が向上する。
【0019】
以下の記載において、前記カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールを総称して、「カテコール等の特定成分」ということがある。
また、本明細書における用語「及び/又は」は、両方若しくはいずれか一方を指す。
【0020】
本実施形態の毛髪用化粧料により、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性が向上するメカニズムの詳細は不明であるが、本実施形態の毛髪用化粧料における第1剤に配合されたカテコール等の特定成分は、キノン構造を取ることでアミノ基(NH-)と連結する性質を有している。そして、当該カテコール等の特定成分が、ケラチンなどの毛髪におけるタンパク質のアミノ基と、本実施形態の毛髪用化粧料における第2剤に配合されたアミノ基を有する化合物が持つアミノ基とにそれぞれ連結することにより、「毛髪」-「カテコール等の特定成分」-「アミノ基を有する化合物」の連結が実現し、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性の向上に寄与している可能性が考えられる。
【0021】
〔第1剤〕
本実施形態の毛髪用化粧料における第1剤(以下、「本実施形態の第1剤」又は「第1剤」ということがある)は、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上が配合されたものである。
【0022】
なお、本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分を含む植物エキスが1種又は2種以上配合されたものとしてもよい。
そのため、本実施形態の第1剤は、カテコール、ヒドロキノン、フェルラ酸、レスベラトロール、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールの群から選ばれた1種又は2種以上を含む植物エキスが1種又は2種以上配合されたものであってもよい。
なお、前記植物エキスは、植物エキスの市販品を用いてもよく、植物から公知の方法により抽出して得たものを用いてもよい。
【0023】
(カテコール)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分として、カテコール(別名:1,2-ジヒドロキシベンゼン)が配合されたものであってよい。
【0024】
(ヒドロキノン)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分として、ヒドロキノン(別名:1,4-ジヒドロキシベンゼン)が配合されたものであってよい。本実施形態の第1剤に配合されるヒドロキノンとしては、ヒドロキノンの単一成分を第1剤への配合に用いてもよく、ヒドロキノンを含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記ヒドロキノンを含有する植物エキスとしては、例えば、ウワウルシ葉エキスなどが挙げられる。
【0025】
(レスベラトロール)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分として、レスベラトロール(別名:3,4´,5-トリヒドロキシスチルベン)が配合されたものであってよい。本実施形態の第1剤に配合されるレスベラトロールとしては、レスベラトロールの単一成分を第1剤への配合に用いてもよく、レスベラトロールを含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記レスベラトロールを含有する植物エキスとしては、例えば、ブドウつるエキス、ブドウ葉/種子/皮エキスなどが挙げられる。
【0026】
(フェルラ酸)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分として、フェルラ酸が配合されたものであってよい。本実施形態の第1剤に配合されるフェルラ酸としては、フェルラ酸の単一成分を第1剤への配合に用いてもよく、フェルラ酸を含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記フェルラ酸を含有する植物エキスとしては、例えば、コメヌカエキスなどが挙げられる。
【0027】
(2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分として、2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、及び、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールから選ばれるいずれか1種以上が配合されたものであってもよい。
【0028】
本実施形態の第1剤に係る2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、又は、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、4-ヒドロキシフェニル基のみを有するもの、3,4-ジヒドロキシフェニル基のみを有するもの、3,4,5-トリヒドロキシフェニル基のみを有するもの、4-ヒドロキシフェニル基と3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するもの、4-ヒドロキシフェニル基と3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するもの、3,4-ジヒドロキシフェニル基と3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するもの、4-ヒドロキシフェニル基と3,4-ジヒドロキシフェニル基と3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するものが挙げられる。
【0029】
前記2以上の4-ヒドロキシフェニル基、1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、又は、1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールは、フラボノイド(フラボン、フラバナール、フラボノールなど)、クロロゲン酸類などに属する公知のポリフェノールとして知られており、植物エキスに含まれている。
【0030】
(2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール)
本実施形態の第1剤に係る2以上の4-ヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、例えば、チリロシドが挙げられる。
本実施形態の第1剤には、チリロシドとして、チリロシドの単一成分を第1剤への配合に用いてもよく、チリロシドを含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記チリロシドを含有する植物エキスとしては、イチゴ種子エキスなどが挙げられる。
【0031】
(1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール)
本実施形態の第1剤に係る1又は2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、1つの3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、又は、2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールを用いることができる。
【0032】
前記1つの3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、例えば、ルテオリン、カテキン、ケルセチン、クロロゲン酸、カフェオイルグルコース、クエルシトリン、ルチンなどが挙げられる。
本実施形態の第1剤には、ルテオリン、カテキン、ケルセチン、クロロゲン酸、カフェオイルグルコース、クエルシトリン、ルチンとして、これらのいずれかの単一成分を第2剤への配合に用いてもよく、これらのいずれかを含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記ルテオニンを含有する植物エキスとしては、例えば、シソ種子エキス、キク花エキスなどが挙げられる。前記カテキンを含有する植物エキスとしては、例えば、チャ葉エキスなどが挙げられる。前記ケルセチンを含有する植物エキスとしては、例えば、タマネギ根エキスなどが挙げられる。前記クロロゲン酸を含有する植物エキスとしては、例えば、ロブスターコーヒーノ木種子エキスなどが挙げられる。前記カフェオイルグルコースを含有する植物エキスとしては、例えば、サトザクラ花エキスなどが挙げられる。前記クエルシトリンを含有する植物エキスとしては、例えば、キウイ種子エキスなどが挙げられる。前記ルチンを含有する植物エキスとしては、例えば、ソバ葉エキスなどが挙げられる。
【0033】
前記2以上の3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、フキノール酸、チコリ酸、エキナコシド、ロスマリン酸などが挙げられる。
本実施形態の第1剤には、フキノール酸、チコリ酸、エキナコシドとして、これらのいずれかの単一成分を第1剤への配合に用いてもよく、これらのいずれかを含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記フキノール酸を含有する植物エキスとしては、例えば、フキ葉/茎エキスなどが挙げられる。前記チコリ酸を含有するエキスとしては、例えば、ムラサキバレンギクエキスなどが挙げられる。前記エキナコシドを含有するエキスとしては、例えば、シスタンチェツブロサ根エキスなどが挙げられる。前記ロスマリン酸を含有するエキスとしては、例えば、ローズマリー葉エキスなどが挙げられる。
【0034】
(1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール)
本実施形態の第1剤に係る1又は2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、1つの3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノール、又は、2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールを用いることができる。
【0035】
前記1つの3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、例えば、没食子酸、デルフィニジン-3,5-グルコシドなどが挙げられる。
本実施形態の第1剤には、没食子酸、デルフィニジン-3,5-グルコシドとして、これらのいずれかの単一成分を第1剤への配合に用いてもよく、これらのいずれかを含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記没食子酸を含有する植物エキスとしては、例えば、メマツヨイグサ種子エキスなどが挙げられる。前記デルフィニジン-3,5-グルコシドを含有する植物エキスとしては、例えば、アリストテリアチレンシス果実エキスなどが挙げられる。
【0036】
前記2以上の3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するポリフェノールとしては、例えば、GHG(1,2-di-Galloyl-4,6-Hexahydroxydiphenoyl-β-D-Glucose)などが挙げられる。
本実施形態の第1剤には、GHGとして、GHGの単一成分を第1剤への配合に用いてもよく、GHGを含有する植物エキスを第1剤への配合に用いてもよい。前記GHGを含有する植物エキスとしては、例えば、チャ葉エキスなどである。
【0037】
本実施形態の第1剤に配合されるカテコール等の特定成分は、例えば、分子量が5000未満である。
【0038】
本実施形態の第1剤に配合されるカテコール等の特定成分の配合量の下限値は、特に限定されないが、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性をより向上させる観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の第1剤に配合される特定のカテコール等の特定成分の配合量の上限値は、特に限定されないが、低コスト化の観点から、15質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0039】
(第1剤の任意成分)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分以外の成分を任意に配合してもよい。本実施形態の毛髪用化粧料に、任意配合できる上記成分(以下、「第1剤の任意成分」という)としては、毛髪用化粧料に配合可能な公知の成分から選ばれるものである。
第1剤の任意成分としては、例えば、金属塩(銅塩、鉄塩、マンガン塩など)、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、酸、水などが挙げられる。
【0040】
(水)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分の配合が容易となる観点から、水が配合されたものであることが好ましい。
本実施形態の第1剤に配合される水の配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよいが、例えば、下限値が10質量%以上でもよく、下限値が50質量%以上でもよい。
【0041】
(銅塩、鉄塩、マンガン塩)
本実施形態の第1剤には、カテコール等の特定成分の化学構造をキノン構造(ベンゼン環に結合している水素原子2個がそれぞれ酸素原子で置換された構造)に変換させる酸化触媒としての働きを有する観点から、銅塩、鉄塩、及びマンガン塩から選ばれた1種又は2種以上の金属塩が配合されたものが好ましく、銅塩又はマンガン塩が配合されたものがより好ましい。
本実施形態の第1剤に、特定の金属塩が配合された場合、特定の金属塩がカテコール等の特定成分の化学構造をキノン構造に変換させる酸化触媒として作用することで、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着がより促進されると考えられる。
なお、以下の記載において、銅塩、鉄塩、及びマンガン塩から選ばれた1種又は2種以上の金属塩を総称して、「特定の金属塩」と表記することがある。
【0042】
本実施形態の第1剤に配合される特定の金属塩としては、公知の水溶性金属塩から選択するとよく、例えば、グルコン酸銅、(クロロフィリン/銅)複合体、硫酸銅、塩化第二銅、グルコン酸鉄、(クロロフィリン/鉄)複合体、グルコン酸マンガン、塩化マンガンが挙げられる。
【0043】
本実施形態の第1剤に配合される特定の金属塩の配合量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の第1剤に配合される特定の金属塩の配合量の下限値は、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性をより向上させる観点から、0.00001質量%以上が好ましく、0.00005質量%以上がより好ましく、0.0001質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の第1剤に配合される特定の金属塩の配合量の上限値は、低コスト化の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
【0044】
本実施形態の第1剤における上記特定の金属塩の配合量に対する上記カテコール等の特定成分の配合量の質量比([カテコール等の特定成分/特定の金属塩])は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上である。
【0045】
(アミノ基を有する化合物)
本実施形態の第1剤には、第1剤の保管時に第1剤中においてカテコール等の特定成分とアミノ基を有する化合物と複合体が生じ得るのを抑制する観点から、後述する第2剤に配合されたアミノ基を有する化合物が配合されないか、又は、アミノ基を有する化合物の配合量が0.1質量%以下であると好ましい。
第1剤にアミノ基を有する化合物が配合される場合、その配合量の上限値は、第1剤の保管時に第1剤中においてカテコール等の特定成分とアミノ基を有する化合物と複合体が生じ得るのを抑制する観点から、0.05質量%以下であるとより好ましく、0.01質量%以下であるとさらに好ましい。
第1剤にアミノ基を有する化合物が配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.0001質量%以上である。
【0046】
(剤型)
本実施形態の第1剤の剤型は、特に制限はなく、液状、クリーム状、ゲル状、スプレー状、フォーム状などの各種の剤型とすることができる。
【0047】
(粘度)
本実施形態の第1剤の粘度は、第1剤の剤型などに応じて適宜設定すればよい。第1剤の粘度は、特に限定されないが、B型粘度計を使用して、適宜のローターを用いて25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば、1mPa・s以上50000mPa・s以下である。
なお、本実施形態の第1剤をクリーム状又はゲル状とした場合における第1剤の粘度は、例えば、1000mPa・s以上である。また、本実施形態の第1剤を液状とした場合における第1剤の粘度は、例えば、100mPa・s以下である。
【0048】
(pH)
本実施形態の第1剤における25℃におけるpHは、特に限定されないが、例えば、pHの下限が2以上であり、pHの上限が12以下である。前記25℃におけるpHの値は、25℃とした本実施形態の第1剤を、公知のpHメーターで測定した値である。
【0049】
本実施形態の第1剤の25℃におけるpHの下限値は、頭皮に対する皮膚刺激が生じ得るのを抑える観点から、3.5以上が好ましく、4.0以上がより好ましい。
本実施形態の第1剤の25℃におけるpHの上限値は、頭皮に対する皮膚刺激が生じ得るのを抑える観点から、8.5以下が好ましく、8.0以下がより好ましく、7.0以下がさらに好ましい。
【0050】
〔第2剤〕
本実施形態の毛髪用化粧料における第2剤(以下、「本実施形態の第2剤」又は「第2剤」ということがある)は、アミノ基を有する化合物が配合されたものである。
【0051】
(アミノ基を有する化合物)
本実施形態の第2剤に配合されるアミノ基(NH-)を有する化合物としては、通常毛髪用化粧料に配合可能なアミノ基を有する化合物であれば特に限定されない。
本実施形態の第2剤に配合されるアミノ基を有する化合物としては、アミノ基を有する脂質成分、アミノ基を有する水溶性高分子、アミノ基を有するシリコーン、ポリアミン、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルキルアミン、タンパク質、加水分解タンパク質、ポリペプチド、アミノ基を有するビタミン類、アミノ基を有するアミノ糖などが挙げられる。
【0052】
前記アミノ基を有する脂質成分としては、例えば、スフィンゴイド塩基(例えば、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガニンなど)などが挙げられる。
前記アミノ基を有する水溶性高分子としては、例えば、ポリ-ε-リシン、アミノ基を有するモノマー構造を有するポリマー(例えば、ポリアクリルアミド、(アクリル酸アルキル/アクリルアミド)コポリマーなど)などが挙げられる。
前記アミノ基を有するシリコーンとしては、例えば、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アモジメチコンなどが挙げられる。
前記ポリアミン(アミノ基を有する直鎖状炭化水素(例えば、炭素数4以上20以下))としては、例えば、スペルミン、スペルミジン、プトレシンなどが挙げられる。なお、ポリアミンとして、アミノ基を有するポリアミンを含む植物エキス(例えば、コメエキスなど)を用いても良い。
前記直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルキルアミンとしては、例えば、オレイルアミン、ベヘニルアミン、ベヘニルプロピレンジアミンなどが挙げられる。
前記タンパク質としては、重量平均分子量1000以上のものを用いてよく、例えば、ケラチン、コラーゲン、シルクなどである。
前記加水分解タンパク質としては、重量平均分子量1000以上のものを用いてよく、例えば、ケラチン、コラーゲン、シルクなどのタンパク質の加水分解物などである。
前記ポリペプチドとしては、重量平均分子量1000以上のポリペプチドなどが挙げられる。
前記アミノ基を有する酸(例えば、炭素数1以上5以下)としては、例えば、アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、リシン、アルギニンなど)、オルニチンなどが挙げられる。
前記アミノ基を有するビタミン類としては、例えば、チアミン(ビタミンB1)などが挙げられる。
前記アミノ基を有するアミノ糖としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸などが挙げられる。
【0053】
本実施形態の第2剤は、例えば、少なくとも、アミノ基を有する脂質成分、アミノ基を有する水溶性高分子、アミノ基を有するシリコーン、ポリアミン、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルキルアミン、タンパク質、加水分解タンパク質、ポリペプチドのいずれか1種以上を含むアミノ基を有する化合物が配合されたものである。
【0054】
本実施形態の第2剤に配合されるアミノ基を有する化合物の配合量の下限値は、特に限定されないが、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性をより向上させる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の第2剤に配合されるアミノ基を有する化合物の上限値は、特に限定されないが、低コスト化の観点から、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
【0055】
本実施形態の第2剤に配合されるアミノ基を有する化合物として、前記スフィンゴイド塩基が用いられる場合、スフィンゴイド塩基の配合量は、毛髪の疎水性を向上させる観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。
【0056】
本実施形態の第1剤に配合されるカテコール等の特定成分の配合量に対する、本実施形態の第2剤に配合されるアミノ基を有する化合物の配合量の質量比([第2剤のアミノ基を有する化合物の配合量/第1剤のカテコール等の特定成分の配合量])は、例えば、下限値が0.1以上であり、当該質量比の上限値が100以下である。
【0057】
(第2剤の任意成分)
本実施形態の第2剤には、アミノ基を有する化合物以外の成分を任意に配合してもよい。本実施形態の毛髪用化粧料に、任意配合できる上記成分(以下、「第2剤の任意成分」という)としては、毛髪用化粧料に配合可能な公知の成分から選ばれるものである。
第2剤の任意成分としては、例えば、金属塩(銅塩、鉄塩、マンガン塩など)、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、酸、アルカリ剤、水などが挙げられる。
【0058】
(銅塩、鉄塩、マンガン塩)
本実施形態の第2剤には、カテコール等の特定成分の化学構造をキノン構造(ベンゼン環に結合している水素原子2個がそれぞれ酸素原子で置換された構造)に変換させる酸化触媒としての働きを有する観点から、銅塩、鉄塩、及びマンガン塩から選ばれた1種又は2種以上の金属塩が配合されたものが好ましく、銅塩又はマンガン塩が配合されたものがより好ましい。
本実施形態の第2剤に、特定の金属塩が配合された場合、特定の金属塩がカテコール等の特定成分の化学構造をキノン構造に変換させる酸化触媒として作用することで、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着がより促進されると考えられる。
【0059】
本実施形態の第2剤に配合される銅塩、鉄塩、及びマンガン塩から選ばれた1種又は2種以上の金属塩は、本実施形態の第1剤に配合される特定の金属塩と同じである。そのため、特定の金属塩としては、公知の水溶性金属塩から選択するとよく、例えば、グルコン酸銅、(クロロフィリン/銅)複合体、硫酸銅、塩化第二銅、グルコン酸鉄、(クロロフィリン/鉄)複合体、グルコン酸マンガン、塩化マンガンが挙げられる。
【0060】
本実施形態の第2剤に配合される特定の金属塩の配合量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の第2剤に配合される特定の金属塩の配合量の下限値は、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性をより向上させる観点から、0.00001質量%以上が好ましく、0.00005質量%以上がより好ましく、0.0001質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の第2剤に配合される特定の金属塩の配合量の上限値は、低コスト化の観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0061】
本実施形態の第2剤における上記特定の金属塩の配合量に対する上記アミノ基を有する化合物の配合量の質量比([アミノ基を有する化合物/特定の金属塩])は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上である。
【0062】
(水)
本実施形態の第2剤には、アミノ基を有する化合物の配合が容易となる観点から、水が配合されたものであることが好ましい。
本実施形態の第2剤に配合される水の配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよいが、例えば、下限値が10質量%以上でもよく、下限値が50質量%以上でもよい。
【0063】
(カテコール等の特定成分)
本実施形態の第2剤には、第2剤の保管時に第2剤中においてカテコール等の特定成分とアミノ基を有する化合物と複合体が生じ得るのを抑制する観点から、上述した第1剤に配合されるカテコール等の特定成分が配合されないか、又は、カテコール等の特定成分の配合量が0.1質量%以下であると好ましい。
第2剤にカテコール等の特定成分が配合される場合、その配合量の上限値は、第2剤の保管時に第2剤中においてカテコール等の特定成分とアミノ基を有する化合物と複合体が生じ得るのを抑制する観点から、0.05質量%以下であると好ましく、0.01質量%以下であるとより好ましい。
第2剤にカテコール等の特定成分が配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.0001質量%以上である。
【0064】
(剤型)
本実施形態の第2剤の剤型は、特に制限はなく、液状、クリーム状、ゲル状、スプレー状、フォーム状などの各種の剤型とすることができる。
【0065】
(粘度)
本実施形態の第2剤の粘度は、第2剤の剤型などに応じて、適宜設定すればよい。第2剤の粘度は、特に限定されないが、B型粘度計を使用して、適宜のローターを用いて25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば、1mPa・s以上50000mPa・s以下である。
なお、本実施形態の第2剤をクリーム状又はゲル状とした場合における第2剤の粘度は、例えば、1000mPa・s以上である。また、本実施形態の第2剤を液状とした場合における粘度は、例えば、100mPa・s以下である。
【0066】
(pH)
本実施形態の第2剤の25℃におけるpHの値は、特に限定されないが、例えば、pHの下限が2以上であり、pHの上限が12以下である。前記25℃におけるpHの値は、25℃とした本実施形態の第2剤を、公知のpHメーターで測定した値である。
【0067】
〔毛髪用化粧料の構成剤〕
本実施形態の毛髪用化粧料は、第1剤及び第2剤から構成される2剤式の毛髪用化粧料としてもよく、毛髪用化粧料の構成剤が第1剤及び第2剤に加えて、1又は2以上の前処理剤、1又は2以上の中間処理剤、1又は2以上の後処理剤を含む3剤式以上の毛髪用化粧料(例えば、3剤式の毛髪用化粧料、4剤式の毛髪用化粧料、5剤式の毛髪用化粧料など)としてもよい。
なお、以下の記載において、本実施形態の毛髪用化粧料における第1剤、第2剤、前処理剤、中間処理剤、及び後処理剤を総称して、「各構成剤」と表記することがある。
【0068】
本実施形態の毛髪用化粧料における各構成剤のうち、各構成剤が別々に毛髪に塗布される態様において、前記前処理剤は、第1剤及び第2剤の使用前に毛髪に使用される剤であり、前記中間処理剤は、第1剤の使用後で第2剤の使用前に毛髪に使用される剤、又は、第2剤の使用後で第1剤の使用前に毛髪に使用される剤であり、前記後処理剤は、第1剤及び第2剤の使用後に、毛髪に使用される剤である。
また、本実施形態の毛髪用化粧料において、後述する第1剤と第2剤を毛髪に使用する直前に混合し、第1剤と第2剤の混合物(用事調製した本実施形態の毛髪用化粧料)を毛髪に使用する態様において、前処理剤は第1剤と第2剤の混合物の使用前に毛髪に使用される剤であり、中間処理剤は第1剤と第2剤の混合物に混合されて使用される剤であり、後処理剤は第1剤と第2剤の混合物の使用後に毛髪に使用される剤である。
【0069】
上記の前処理剤、中間処理剤、又は後処理剤は、毛髪用化粧料に使用可能な公知の成分を適宜配合し、適宜の製造方法により製造して得られた剤を用いることができる。
【0070】
〔使用方法〕
本実施形態の毛髪用化粧料の使用方法は、毛髪用化粧料における公知の使用方法を採用することができる。例えば、毛髪に対して、適量の各構成剤又は後述する第1剤と第2剤の混合物を、塗布、噴霧するなどにより使用することができる。
【0071】
(第1剤と第2剤の使用順)
本実施形態の毛髪用化粧料は、毛髪に用いる際の第1剤と第2剤の使用順は特に限定されない。そのため、第1剤を毛髪に使用した後に第2剤を毛髪に使用する態様であってもよく、第2剤を毛髪に使用した後に第1剤を毛髪に使用する態様でもあってもよい。
【0072】
また、本実施形態の毛髪用化粧料は、第1剤と第2剤を毛髪に使用する直前に混合し、第1剤と第2剤の混合物(用事調製した本実施形態の毛髪用化粧料)を毛髪に使用する態様であってもよい(混合比率は、適宜設定してよく、例えば、第2剤に対する第1剤の混合比が質量比([第1剤/第2剤])で、0.01以上100以下となるようにしてもよい)。
【0073】
(各構成剤の洗い流しの有無)
本実施形態の毛髪用化粧料における各構成剤又は第1剤と第2剤の混合物の使用後は、当該各構成剤を毛髪から洗い流す態様であってよく、当該各構成剤又は第1剤と第2剤の混合物を毛髪から洗い流さない態様であってもよい。
【0074】
本実施形態の毛髪用化粧料は、例えば、以下の使用方法の態様が挙げられる。
・第1剤の使用後に第1剤を毛髪から洗い流さず、第2剤の使用後に第2剤を毛髪から洗い流さない態様。
・第1剤の使用後に第1剤を毛髪から洗い流し、第2剤の使用後に第2剤を毛髪から洗い流さない態様。
・第1剤の使用後に第1剤を毛髪から洗い流さず、第2剤の使用後に第2剤を毛髪から洗い流す態様。
・第1剤の使用後に第1剤を毛髪から洗い流さず、第2剤の使用後に第2剤を毛髪から洗い流さない態様。
・第1剤と第2剤の混合物の使用後に、第1剤と第2剤の混合物を毛髪から洗い流さない態様
・第1剤と第2剤の混合物の使用後に、第1剤と第2剤の混合物を毛髪から洗い流す態様
【0075】
〔用途〕
本実施形態の毛髪用化粧料の用途は、ヘアケア用途(ヘアシャンプー及びヘアトリートメント、多剤式ヘアトリートメント(スタイリング兼用の多剤式ヘアトリートメント、パーマの前処理のための多剤式ヘアトリートメント、パーマの後処理のための多剤式ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの前処理のための多剤式ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの後処理のための多剤式ヘアトリートメント、ブリーチの前処理のための多剤式ヘアトリートメント、ブリーチの後処理のための多剤式ヘアトリートメント)など)、ヘアスタリング用途などが挙げられる。
なお、前記ヘアトリートメントは、洗い流さないヘアトリートメントであってもよく、洗い流すヘアトリートメントであってもよい(洗い流すヘアトリートメントには、ヘアリンス、ヘアコンディショナーも含まれる)。
【0076】
(製品形態)
本実施形態の毛髪用化粧料の製品形態は、多剤式ヘアケア化粧料(例えば、ヘアシャンプー及びヘアトリートメントを備える多剤式ヘアケア、2以上のヘアトリートメントを備える多剤式ヘアトリートメントなど)、多剤式スタリング化粧料などが挙げられる。
なお、前記多剤式としては、本実施形態の第1剤及び本実施形態の第2剤を備える第2剤式、本実施形態の第1剤及び本実施形態の第2剤を備え、さらに前処理剤、中間処理剤、後処理剤のいずれか1以上を備える3剤式、4剤式、5剤式、6剤式などが挙げられる。
【0077】
本実施形態の毛髪用化粧料が多剤式ヘアケア化粧料として用いられた場合、第1剤及び第2剤の製品態様は、以下のような例が挙げられる。
・第1剤又は第2剤の両方がヘアトリートメントである多剤式ヘアケア化粧料
・第1剤又は第2剤のいずれか一方がヘアシャンプーであり、他方がヘアトリートメントの多剤式ヘアケア化粧料
【0078】
本実施形態の毛髪用化粧料は、酸化剤を用いたヘアカラーリング処理による毛髪損傷を抑制する観点から、本実施形態の第1剤又は本実施形態の第2剤のいずれか一方を毛髪に用いた後に、公知の酸化染毛剤又は毛髪脱色剤を用いたヘアカラーリング処理を行い、その後、本実施形態の第1剤又は本実施形態の第2剤の他方を毛髪に用いてもよい。
【0079】
(対象毛髪)
本実施形態の毛髪用化粧料の使用対象となる毛髪は、特に限定されない。
本実施形態の毛髪用化粧料は、酸化による毛髪損傷が生じた毛髪に用いられた場合でも、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性の向上が実現可能となる。前記酸化による毛髪損傷が生じた毛髪とは、例えば、酸化剤を用いる毛髪処理(例えば、酸化剤を用いるヘアカラーリング処理(酸化染毛処理又は毛髪脱色処理)、パーマネントウェーブ処理、縮毛矯正処理、ヘアストレート処理など)により酸化による毛髪損傷(例えば、システイン酸等の生成)が生じた毛髪が挙げられる。
【0080】
〔製造方法〕
本実施形態の毛髪用化粧料の製造方法は、特に限定されず、公知の毛髪用化粧料の製造方法を用いて製造できる。
そのため、本実施形態の第1剤及び第2剤において、公知の毛髪用化粧料の製造方法を用いて製造すればよい。また、本実施形態の毛髪用化粧料に係る構成剤として、任意に用いられる前処理剤、中間処理剤、又は後処理剤においても、公知の毛髪用化粧料の製造方法を用いて製造できる。
【0081】
<毛髪処理方法>
本実施形態の毛髪処理方法は、上述した本実施形態の毛髪用化粧料を用いた毛髪処理方法である。本実施形態の毛髪処理方法により、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性を向上した毛髪処理方法が実現できる。
【0082】
本実施形態の毛髪処理方法は、上述した本実施形態の毛髪用化粧料を用いる以外には、公知の毛髪処理方法を採用することができる。そのため、本実施形態の毛髪処理方法は、例えば、上述した本実施形態の毛髪用化粧料の使用方法を用いることができる。
【実施例0083】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0084】
(試験例1:アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性の評価)
実施例1~9、比較例1~3の毛髪用化粧料を用いて、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性の評価結果を以下に示す。以下、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性を「付着持続性」ということがある。
【0085】
(実施例1~9、比較例1~3)
実施例1~9、比較例1~3の毛髪用化粧料に係る第1剤及び第2剤を、下記表1~表2に示す組成の通りに、常法により各成分を混合して調製した。調製した第1剤、第2剤の各々で構成される実施例1~9、比較例1~3の毛髪用化粧料を用いて、次に示す毛髪処理を行い、付着持続性を評価した。
なお、表1、表2に示す各成分欄における数字は質量%を表し、各成分欄の表記が「-」は未配合であることを表す。
【0086】
(ブリーチ毛束の準備)
化学処理されていない同一人物日本人女性の毛髪を用いて、長さ約20cm、重さ1gの毛束を複数作成した。
オルディーブ アディクシー ハイブリーチ(ミルボン社製)と、過酸化水素が配合されたオルディーブ アディクシー オキシダン 6.0(ミルボン社製)とを質量比1:2で混合したブリーチ用組成物を準備し、当該ブリーチ用組成物を毛束に対して1g塗布し、その後室温で30分間静置した。30分間経過後、毛束を軽く流水で20秒すすぎ、毛束に1質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を1g塗布した後、もみ洗いを30秒行い、流水で20秒すすいだ後、毛束をタオルドライしてドライヤーで乾燥させた。毛束に上記操作と同じ操作をさらに2回行い、ブリーチ処理を計3回行ったブリーチ毛束を得た。
【0087】
(毛髪処理)
各実施例、比較例の毛髪用化粧料の組み合わせとなるように、各実施例、比較例の第1剤、第2剤をそれぞれ質量比1:1で混合したのち、リン酸緩衝液(0.248gのNaHPO、0.033gのNaHPOに精製水を加えて全量20gとしたもの)を加えて、pHを8.0に調整した混合物(各実施例及び比較例の毛髪用化粧料)を調製した。pHの値は、25℃での測定値である。続いて、ブリーチ毛束に対して、各実施例及び比較例の毛髪用化粧料を1gで塗布した後、室温で24時間静置した。24時間経過後、毛束を流水で約20秒間洗浄し、ドライヤーで乾燥させた。そして、下記の持続性の評価に用いるため、各実施例又は比較例の毛髪用化粧料を処理した毛束から、複数の毛髪をそれぞれ採取し、処理直後の毛髪サンプルを得た。
続いて、処理直後の毛束を用いて、毛束を軽く流水で20秒すすぎ、毛束に1質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を1g塗布し、もみ洗いを30秒行い、流水で20秒すすいだ後、毛束をタオルドライしてドライヤーで乾燥させて洗浄処理を行った。洗浄後の毛束に上記洗浄処理と同じ処理をさらに19回行い、計20回洗浄処理を行った毛束を得た。また、下記の測定に用いるため、20回洗浄処理を行った毛束から、複数の毛髪をそれぞれ採取し、20回洗浄後の毛髪サンプルを得た。
【0088】
(持続性の評価)
原子間力顕微鏡(ブルカー社製:MultiMode V)を用いて、HarmoniX法により、adhesion値を測定した。測定は、処理直後の毛髪サンプルと20回洗浄後の毛髪サンプルのそれぞれに対して行った。各毛髪サンプルは、それぞれ5μm×5μmの範囲をタッピンク法によりマッピング測定し、そのデータから1μm×1μmの範囲のadhesion値の平均値(nN)を算出した(N=10の平均値)。この、adhesion値とは毛髪表面の吸着力の強さを意味する。
【0089】
adhesion値の測定条件は以下の通りである。
Prove: Bruker社 HMXS-10
Torsional Frequency: 805 kHz
Spring constant: 0.4714 N/m
【0090】
上記算出したadhesion値の平均値を用いて、次の式により毛髪表面の吸着力の変化量(nN)を算出した。なお、毛髪表面の吸着力の変化量(nN)の数値が小さい方が、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れることを示す。
adhesion値の変化量(nN)=「20回洗浄後の毛髪サンプルのadhesion値の平均値(nN)」-「処理直後の毛髪サンプルのadhesion値の平均値(nN)」
【0091】
(評価結果)
下記表1~表2に実施例1~8、比較例1~3の毛髪用化粧料の各評価結果を示す。
【0092】
(実施例1~3、比較例1、2)
実施例1~3、比較例1、2の毛髪用化粧料の評価結果を、表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
実施例1~3の毛髪用化粧料で処理した毛髪は、比較例1、2の毛髪用化粧料で処理した毛髪に比べて、adhesion値の変化量(nN)が小さく、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れていた。そのため、第1剤にカテコール等の特定成分を配合し、第2剤にアミノ基を有する化合物であるフィトスフィンゴシンを配合した毛髪用化粧料は、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れることがわかる。
【0095】
(実施例1、実施例4~8、比較例1、3)
実施例1、実施例4~8、比較例1、3の毛髪用化粧料の評価結果を、表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
実施例1、実施例4~8の毛髪用化粧料で処理した毛髪は、比較例1(第2剤にアミノ基を有する化合物を無配合)及び比較例3(第2剤にアミノ基を有する化合物が無配合で第4級アンモニウム化合物を配合)の毛髪用化粧料で処理した毛髪に比べて、adhesion値の変化量(nN)が小さく、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れていた。そのため、第1剤にヒドロキノンを配合し、第2剤にアミノ基を有する化合物を配合した毛髪用化粧料は、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れることがわかる。
また、実施例1、4、6、7、8の毛髪用化粧料で処理した毛髪は、実施例5の毛髪用化粧料で処理した毛髪に比べて、adhesion値の変化量(nN)が小さく、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性により優れていた。
【0098】
表1、2に示す結果から、第1剤にカテコール等の特定成分を配合し、第2剤にアミノ基を有する化合物を配合した毛髪用化粧料は、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れることがわかる。
【0099】
(試験例2:分子量の確認及び等電点の確認)
カテコール等の特定成分と、アミノ基を有する化合物又は第4級アンモニウム化合物と、特定の金属塩を用いて、以下に示す参考例1-1~参考例1-6、参考例2-1~参考例2-2、参考例3-1~参考例3-7、参考例4-1~参考例4-5を用いて、分子量の確認及び等電点の確認を行った。
【0100】
(参考例1-1~参考例1-6、参考例2-1~参考例2-2、参考例3-1~参考例3-7、参考例4-1~参考例4-5の調製)
下記の表3~表6に示す各参考例の組み合わせとなるようにA液25μL、B液25μL、C液25μL、D液25μLをそれぞれ混合し、密閉容器に入れて40℃で24時間静置した。静置後の各混合液を、参考例1-1~参考例1-6、参考例2-1~参考例2-2、参考例3-1~参考例3-7、参考例4-1~参考例4-5の溶液(各参考例の溶液)を得た。
【0101】
なお、表3~6における各記載は以下の通りである。
0.2質量%BSA水溶液:0.2質量%ウシ血清アルブミン水溶液
0.8質量%BSA水溶液:0.8質量%ウシ血清アルブミン水溶液
0.1質量%Ecolano CA-NHの水分散液:0.1質量%の商品名Ecolano CA-NH(エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム含有)の水分散液
0.001質量%銅クロロフィリンナトリウム液:0.001質量%銅クロロフィリンナトリウム-0.1Mリン酸緩衝水溶液(pH8.0)
0.001質量%グルコン酸鉄液:0.001質量%グルコン酸鉄-0.1Mリン酸緩衝水溶液(pH8.0)
0.1質量%アミノ変性シリコーン分散液:0.1質量%アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体の水分散液
なお、上記0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)の組成は、0.248gのNaHPO、0.033gのNaHPOに精製水を加えて全量20gとしたものである。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
【0106】
(分子量の確認)
分子量の確認は、以下に示す方法により行った。
【0107】
(SDS-PAGE法)
上記で調製した参考例1-1~参考例1-6、参考例2-1~参考例2-2、参考例3-1~参考例3-7、参考例4-1~参考例4-5の溶液(各参考例の溶液)を用いて、各参考例の溶液の分子量を、Sodium Dodecyl Sulfate-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE法)により確認した。このSodium Dodecyl Sulfate-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE法)による分子量バンド確認方法の条件は、以下の通りである。
【0108】
(操作)
電気泳動槽にポリアクリルアミドゲル及び泳動用用緩衝液を加えて、ポリアクリルアミドゲルの各ウェルに各参考例又は標準物質の試験溶液を10μL添加し、20mAで40分間の電気泳動を行った。その後、電気泳動槽からポリアクリルアミドゲルを取り出し、染色液を用いて1時間染色し、その後脱染液に約6時間浸漬させて、脱染した。
【0109】
分子量の確認に使用した試薬等は以下の通りである。
<ポリアクリルアミドゲル>
キシダ化学社製のプレキャストアクリルアミドゲルである「ハイブリッド ゲル 10-20%」
<泳動用緩衝液>
BioRad社製「10x(Tris/Glycine/SDS)Buffer」の10倍希釈水溶液
<各参考例又は標準物質の試験溶液>
1容量部の各参考例の溶液又は基準物質(分子量マーカー)と、1容量部のBioRad社製「2xLaemmli サンプルバッファー」とを混合し、100℃で1分間の加熱処理を行ったもの。
<基準物質(分子量マーカー)>
TEFCO社製「タンパク質分子量マーカーII」
基準物質の詳細は、Myosin, rabbit muscle(分子量205kDa)、β-galactosidase, E.coli (分子量116kDa)、Phosphorylase b, rabbit muscle(分子量97.4kDa)、Bovine serum albumin(分子量69kDa)、Glutamic dehydrogenase(分子量55kDa)、Lactic dehydrogenase,porcine muscle(分子量36.5kDa)、Carbonic anhydrase, bovine liver(分子量29kDa)、Trypsin inhibitor, soybean(分子量20.1kDa)、Lysozyme, chicken egg white(分子量14.3kDa)、Aprotinin, bovine lung(分子量6.5kDa)、Insulin B chain, bovine pancreas (分子量3.5kDa)
<染色液>
クマジーブリリアントブルー溶液
<脱色液>
10質量%のメタノールと7.5質量%の酢酸の水溶液
【0110】
(分子量の確認の結果)
各参考例の溶液及び基準物質の分子量の確認結果を、それぞれ図1図3図5図7に示す。なお、図中のMは基準物質(分子量マーカー)であり、図左側の(kDa)の表記は、基準物質に含まれる各タンパク質の分子量(kDa)を示している。
【0111】
(等電点の確認)
等電点の確認は、以下に示す方法により行った。
【0112】
(IEF-PAGE法)
上記で調製した参考例1-1~参考例1-6、参考例2-1~参考例2-2、参考例3-1~参考例3-7、参考例4-1~参考例4-5の溶液(各参考例の溶液)を用いて、各参考例の溶液の等電点を、等電点電気泳動法(IEF-PAGE法)により確認した。なお、IEF-PAGEとはIsoelectric focusing Polyacrylamide Gelの略である。
等電点電気泳動法による等電点の確認方法の条件は、テフコ社のIEFバッファーキットのプロトコールに準拠して以下の条件により行った。
【0113】
(操作)
電気泳動槽にポリアクリルアミドゲル及び泳動用緩衝液を加えて、ポリアクリルアミドゲルの各ウェルに各参考例又は標準物質の試験溶液を15μL添加し、100V定電圧で60分、200V定電圧で60分、500V定電圧で30分、電気泳動を行った。その後、電気泳動槽からポリアクリルアミドゲルを取り出し、下記に示す固定液に揺動させながら60分間浸漬させた後、染色液を用いて1時間染色し、その後脱染液に約6時間浸漬させて、脱染した。
【0114】
等電点の確認の操作に使用した試薬等は以下の通りである。
<ポリアクリルアミドゲル>
テフコ社製のプレキャストゲルであるIEF-PAGE mini(pI 3-7)
<泳動槽用緩衝液>
上部泳動バッファー液: テフコ社製「IEF CATHODE(上部)バッファー(10X)」を蒸留水で10倍希釈し、使用前に10分間減圧脱気したもの。
下部泳動バッファー液: テフコ社製「IEF CATHODE(下部)バッファー(50X)」を蒸留水で50倍希釈したもの。
<各参考例又は標準物質の試験溶液>
1容量部の各参考例の溶液又は基準物質と、1容量部のテフコ社製「IEFサンプルバッファー(2X)」とをそれぞれ混合したもの。
<基準物質(等電点マーカー)>
シグマアルドリッチ社製「IEF mix 3.6-9.3 lyophilized powder」
Trypsinogen from bovine pancreas(PI:9.3)、Lectin from Lens culinaris (lentil) (PI:8.2、8.6、8.8)、Myoglobin from equine heart(PI:7.2(major)、6.8(minor))、Carbonic Anhydrase Isozyme I from human erythrocytes(PI:6.6)、Carbonic Anhydrase Isozyme II from bovine erythrocytes(PI:5.9)、Beta-Lactoglobulin A from bovine milk(PI:5.1)、Trypsin Inhibitor from Glycine max (soybean) (PI:4.6)、Amyloglucosidase from Aspergillus niger(PI:3.6)
<固定液>
スルホサリチル酸17.3g、トリクロロ酢酸57.3gを500mLの蒸留水に溶解した液
<染色液>
クマジーブリリアントブルー溶液
<脱染液>
10質量%のメタノールと7.5質量%の酢酸の水溶液
【0115】
各参考例の溶液及び基準物質の等電点の確認結果を、それぞれ図2図4図6図8に示す。なお、図中のMは基準物質(等電点マーカー)であり、図左側の(pI)は、基準物質に含まれる各タンパク質の等電点を示している。
【0116】
(分子量及び等電点の確認結果)
各参考例の分子量及び等電点の確認結果を以下に示す。
【0117】
(参考例1-1~参考例1-6の分子量の確認結果(図1))
図1に示す参考例1-1~参考例1-6の分子量確認の結果から、分子量マーカーのバンドが示す分子量範囲と、参考例1-1~参考例1-6のバンドに関して、参考例1-1が示す55.0kDa付近のバンドはウシ血清アルブミン(以下、BSAという)であり、このBSAのバンドよりも大きい分子量範囲に入るバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とフィトスフィンゴシンとの架橋連結物)である(なお、フィトスフィンゴシンを以下、PSという)。後者の架橋連結物を示すバンドは、参考例1-1、参考例1-2、参考例1-6に比べて、参考例1-3~参考例1-5の方が視認できる。また、参考例1-3~参考例1-5(ヒドロキノン配合)と参考例1-2(ヒドロキノン無配合)との比較から、ヒドロキノン(以下、HQという)の配合により架橋連結物のバンドが確認できることがわかる。なお、HQ配合の参考例1-6は、HQ無配合の参考例1-1、参考例1-2と同様のバンドパターンであったため、参考例1-6に配合された第4級アンモニウム化合物によってBSA同士の架橋連結物の生成が抑制されたと考えられる。さらに、この参考例1-6と、参考例1-1及び参考例1-2との比較において、BSAと第4級アンモニウム化合物との架橋連結物は視認できなかった。また、参考例1-3(PS無配合)に比べて、参考例1-4及び参考例1-5(PS配合)の方が、約60kDa付近の上記架橋連結物を示すバンドがより濃いため、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が視認できる。
【0118】
(参考例1-1~参考例1-6の等電点の確認結果(図2))
図2に示す参考例1-1~参考例1-6の等電点確認の結果から、等電点マーカーのバンドが示す等電点範囲と、参考例1-1~参考例1-6のバンドに関して、等電点が4.6~5.1の範囲に入る参考例1-1が示すバンドはBSAであり、当該BSAのバンドから異なる範囲にあるバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物)である。後者の架橋連結物を示すバンドは、参考例1-1、参考例1-2、参考例1-6に比べて、参考例1-3~参考例1-5の方が視認できる。また、参考例1-3~参考例1-5(HQ配合)と参考例1-2(HQ無配合)との比較から、HQの配合により架橋連結物のバンドが視認できることがわかる。なお、HQ配合の参考例1-6は、HQ無配合の参考例1-1、参考例1-2と同様のバンドパターンであったため、参考例1-6に配合された第4級アンモニウム化合物によってBSA同士の架橋連結物の生成が抑制されたと考えられる。さらに、この参考例1-6と参考例1-1、参考例1-2との比較から、BSAと第4級アンモニウム化合物との架橋連結物は視認できなかった。また、参考例1-3(PS無配合)に比べて、参考例1-4及び参考例1-5(PS配合)の方が、架橋連結物を示すバンドが、4.6以下のより低い等電点側(酸性側)にシフトしているため、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が視認できる。この参考例1-3と、参考例1-4及び参考例1-5との比較において、参考例1-4及び参考例1-5はHQ及びPSを配合しているため、HQが、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物に存在するアミノ基(NH-)と、PSの構造中に含まれるアミノ基(NH-)とに対してそれぞれ架橋連結することで、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が生成し、当該架橋連結物においてアミノ基が消費されたため、等電点を示すバンドが酸性側にシフトしたと考えられる。
【0119】
(参考例1-1~参考例1-6の分子量及び等電点の確認結果のまとめ)
図1及び図2に示す結果から、HQ(カテコール等の特定成分)及びPS(アミノ基を有する化合物)をBSA(タンパク質)に用いれば、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が生じやすい傾向にあることが分かる。そして、この傾向は、表1及び2において、HQ(カテコール等の特定成分)とPS(アミノ基を有する化合物)とを用いた実施例1、3が、カテコール等の特定成分及び/又はアミノ基を有する化合物を用いない比較例1~3に比べて、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れる結果と相関する。
【0120】
(参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2の分子量の確認結果(図3))
図3に示す参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2の分子量確認の結果から、分子量マーカーのバンドが示す分子量範囲と、参考例2-1~参考例2-2のバンドに関して、参考例1-1が示す55.0kDa付近のバンドはBSAであり、このBSAのバンドよりも大きい分子量範囲に入るバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物)である。後者の架橋連結物を示す約55~69kDaの間のバンドは、参考例1-1に比べて、参考例2-1~参考例2-2の方が視認できる。また、参考例2-1(PS無配合)に比べて、参考例2-2(PS配合)の方が、上記架橋連結物を示すバンドがより濃いため、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が視認できる。
【0121】
(参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2の等電点の確認結果(図4))
図4に示す参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2の等電点確認の結果(図4)から、等電点マーカーのバンドが示す等電点範囲と、参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2のバンドに関して、等電点が4.6~5.1の範囲に入る参考例1-1が示すバンドはBSAであり、当該BSAのバンドから異なる範囲にあるバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物)である。後者の架橋連結物を示すバンドは、参考例1-1に比べて、参考例2-1~参考例2-2の方が視認できる。また、参考例2-1(PS無配合)に比べて、参考例2-2(PS配合)の方が、架橋連結物を示すバンドが、4.6付近のより低い等電点側(酸性側)にシフトしているため、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が視認できる。この参考例2-1と、参考例2-2との比較において、参考例2-2はチコリ酸を含有するムラサキバレンギクエキス及びPSを配合しているため、ムラサキバレンギクエキス中のチコリ酸が、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物に存在するアミノ基(NH-)と、PSのアミノ基(NH-)とに対してそれぞれ架橋連結することで、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が生成し、当該架橋連結物においてアミノ基が消費されたため、等電点を示すバンドが酸性側にシフトしたと考えられる。
【0122】
(参考例1-1、参考例2-1~参考例2-2の分子量及び等電点の確認結果のまとめ)
図3及び図4に示す結果から、チコリ酸(カテコール等の特定成分)及びPS(アミノ基を有する化合物)をBSA(タンパク質)に用いれば、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とPSとの架橋連結物が生じやすい傾向にあることが分かる。そして、この傾向は、表1、表2において、チコリ酸を含有するムラサキバレンギクエキス(カテコール等の特定成分)とPS(アミノ基を有する化合物)とを用いた実施例2が、カテコール等の特定成分及び/又はアミノ基を有する化合物を用いない比較例1~3に比べて、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れる結果と相関する。
【0123】
(参考例3-1~参考例3-7の分子量の確認結果(図5))
図5に示す参考例3-1~参考例3-7の分子量の分子量確認の結果から、分子量マーカーのバンドが示す分子量範囲と、参考例3-1~参考例3-7の分子量のバンドに関して、参考例3-1が示す55.0kDa付近のバンドはBSAであり、このBSAのバンドよりも大きい分子量範囲に入るバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物)である。後者の架橋連結物を示す約55~69kDaの間のバンドは、参考例3-1に比べて、参考例3-2~参考例3-7の方が視認できる。また、参考例3-2(アミノ基を有する化合物を無配合)に比べて、参考例3-3~参考例3-7(アミノ基を有する化合物を配合)の方が、上記架橋連結物を示すバンドがより視認できる。
【0124】
(参考例3-1~参考例3-7の等電点の確認結果(図6))
図6に示す参考例3-1~参考例3-7の等電点確認の結果から、等電点マーカーのバンドが示す等電点範囲と、参考例3-1~参考例3-7のバンドに関して、等電点が4.6~5.1の範囲に入る参考例3-1が示すバンドはBSAであり、当該BSAのバンドから異なる範囲にあるバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物)である。後者の架橋連結物を示すバンドは、参考例3-1に比べて、参考例3-2~参考例3-7の方が視認できる。また、参考例3-1(アミノ基を有する化合物を無配合)に比べて、参考例3-2~参考例3-5及び参考例3-7(アミノ基を有する化合物を配合)の方が、架橋連結物を示すバンドが4.6以下のより低い等電点側(酸性側)にシフトしているため、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物が視認できる。この参考例3-1と、参考例3-2~参考例3-5及び参考例3-7との比較において、参考例3-2~参考例3-5及び参考例3-7はHQ及びアミノ基を有する化合物を配合しているため、HQが、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物に存在するアミノ基(NH-)と、アミノ基を有する化合物のアミノ基(NH-)とに対してそれぞれ架橋連結することで、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物が生成し、当該架橋連結物においてアミノ基が消費されたために、酸性側にバンドがシフトしたと考えられる。また、参考例3-1(アミノ基を有する化合物を無配合)に比べて、参考例3-6(ポリ-ε-リシンを配合)の方が、架橋連結物を示すバンドが5.9付近までのより高い等電点側(アルカリ性側)にシフトしているため、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とポリ-ε-リシンとの架橋連結物が視認できる。この参考例3-1と、参考例3-6との比較において、参考例3-6はHQ及び多数のアミノ基(NH-)を有するポリ-ε-リシンを配合しているため、HQが、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物に存在するアミノ基(NH-)と、ポリ-ε-リシンのアミノ基(NH-)とに対してそれぞれ架橋連結することで、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とポリ-ε-リシンとの架橋連結物が生成し、当該架橋連結物においてポリ-ε-リシンに由来するアミノ基が増加したために、アルカリ性側にバンドがシフトしたと考えられる。
【0125】
(参考例3-1~参考例3-7の分子量及び等電点の確認結果のまとめ)
図5及び図6に示す結果から、HQ(カテコール等の特定成分)及びアミノ基を有する化合物をBSA(タンパク質)に用いれば、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物が生じやすい傾向にあることが分かる。そして、この傾向は、表1、表2において、HQ(カテコール等の特定成分)及びアミノ基を有する化合物を用いた実施例4~8が、カテコール等の特定成分及び/又はアミノ基を有する化合物を用いない比較例1~3に比べて、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れる結果と相関する。
【0126】
(参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の分子量の確認結果)
図7に示す参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の分子量の分子量確認の結果から、分子量マーカーのバンドが示す分子量範囲と、参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の分子量のバンドに関して、参考例3-1が示す55.0kDa付近のバンドはBSAであり、このBSAのバンドよりも大きい分子量範囲に入るバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物)である。後者の架橋連結物を示すバンドは、参考例3-1に比べて、参考例4-1~参考例4-5の方が視認できる。
【0127】
(参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の等電点の確認結果)
図8に示す参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の等電点確認の結果から、等電点マーカーのバンドが示す等電点範囲と、参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5のバンドに関して、等電点が4.6~5.1の範囲に入る参考例3-1が示すバンドはBSAであり、当該BSAのバンドから異なる範囲にあるバンド又は当該BSAのバンドと異なるバンドパターンを示すバンドは、架橋連結物(BSA同士の架橋連結物、又は、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物)である。後者の架橋連結物を示すバンドは、参考例3-1に比べて、参考例4-1~参考例4-5の方が視認できる。また、参考例3-1(カテコール等の特定成分を無配合)に比べて、参考例4-1~参考例4-5(カテコール等の特定成分を配合)の方が、架橋連結物を示すバンドがより低い等電点側(酸性側)にシフトしているか、又は、参考例3-1に比べてバンド幅が変化しているため、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物が視認できる。この参考例3-1と、参考例4-1~参考例4-5との比較において、参考例4-1~参考例4-5はカテコール等の特定成分及びアミノ基を有する化合物を配合しているため、カテコール等の特定成分が、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物に存在するアミノ基(NH-)と、アミノ基を有する化合物のアミノ基(NH-)とに対してそれぞれ架橋連結することで、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物が生成し、当該架橋連結物においてアミノ基が消費されたために、酸性側にバンドがシフトしたと考えられる。
【0128】
(参考例3-1、参考例4-1~参考例4-5の分子量及び等電点の確認結果のまとめ)
図7及び図8に示す結果から、カテコール等の特定成分及びアミノ基を有する化合物をBSA(タンパク質)に用いれば、BSA若しくはBSA同士の架橋連結物とアミノ基を有する化合物との架橋連結物が生じやすい傾向にあることが分かる。そして、この傾向は、表1、表2において、カテコール等の特定成分及びアミノ基を有する化合物を用いた実施例1~8が、カテコール等の特定成分及び/又はアミノ基を有する化合物を用いない比較例1~3に比べて、アミノ基を有する化合物の毛髪に対する付着持続性に優れる結果と相関する。
【0129】
(処方例)
本実施形態の1剤又は2剤の処方例を以下に示す。なお、処方例1A~1Dは本実施形態の第1剤であり、処方例2A~2Eは本実施形態の第2剤である。
【0130】
(処方例1A:シャンプー)
ムラサキバレンギクエキス(チコリ酸含有) 0.1質量%
銅クロロフィリンナトリウム 0.0001質量%
ラウレス硫酸Na 12質量%
コカミドプロピルベタイン 3質量%
ポリクオタニウム-10 0.1質量%
メチルパラベン 0.2質量%
香料 0.1質量%
精製水 84.4999質量%
【0131】
(処方例1B:クリーム)
ムラサキバレンギクエキス(チコリ酸含有) 0.1質量%
銅クロロフィリンナトリウム 0.0001質量%
ステアリルトリモニウムクロリド 2質量%
セタノール 3質量%
ステアリルアルコール 3質量%
オリーブ油 2質量%
ジメチコン 2質量%
フェノキシエタノール 0.2質量%
グリセリン 3質量%
香料 0.1質量%
精製水 84.5999質量%
【0132】
(処方例1C:リキッド)
ムラサキバレンギクエキス(チコリ酸含有) 0.1質量%
銅クロロフィリンナトリウム 0.0001質量%
PEG-60水添ヒマシ油 0.5質量%
メチルパラベン 0.2質量%
グリセリン 3質量%
香料 0.1質量%
精製水 96.0999質量%
【0133】
(処方例1D:ジェル)
ムラサキバレンギクエキス(チコリ酸含有) 0.1質量%
銅クロロフィリンナトリウム 0.0001質量%
カルボマー 0.5質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%
水酸化Na 0.1質量%
グリセリン 3質量%
PEG-60水添ヒマシ油 0.2質量%
メチルパラベン 0.1質量%
香料 0.1質量%
精製水 95.7999質量%
【0134】
(処方例2A:シャンプー)
フィトスフィンゴシン 0.1質量%
商品名:オリザポリアミン-LC(BG30)(ポリアミン含有) 0.1質量%
ポリ-ε-リシン 0.1質量%
ラウレス硫酸Na 12質量%
コカミドプロピルベタイン 3質量%
ポリクオタニウム-10 0.1質量%
メチルパラベン 0.2質量%
香料 0.1質量%
精製水 84.3質量%
【0135】
(処方例2B:クリーム)
フィトスフィンゴシン 0.1質量%
商品名:オリザポリアミン-LC(BG30)(ポリアミン含有) 0.1質量%
ポリ-ε-リシン 0.1質量%
ステアリルトリモニウムクロリド 2質量%
セタノール 3質量%
ステアリルアルコール 3質量%
オリーブ油 2質量%
ジメチコン 2質量%
フェノキシエタノール 0.2質量%
グリセリン 3質量%
香料 0.1質量%
精製水 84.4質量%
【0136】
(処方例2C:リキッド)
フィトスフィンゴシン 0.1質量%
商品名:オリザポリアミン-LC(BG30)(ポリアミン含有) 0.1質量%
ポリ-ε-リシン 0.1質量%
PEG-60水添ヒマシ油 0.5質量%
メチルパラベン 0.2質量%
グリセリン 3質量%
香料 0.1質量%
精製水 95.9質量%
【0137】
(処方例2D:オイル)
フィトスフィンゴシン 0.1質量%
商品名:オリザポリアミン-LC(BG30)(ポリアミン含有) 0.1質量%
ポリ-ε-リシン 0.1質量%
水添ポリイソブテン 20質量%
シクロメチコン 20質量%
ジメチコン 10質量%
ジメチコノール 10質量%
オリーブ油 10質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 10質量%
香料 0.1質量%
イソドデカン 19.6質量%
【0138】
(処方例2E:ジェル)
フィトスフィンゴシン 0.1質量%
商品名:オリザポリアミン-LC(BG30)(ポリアミン含有) 0.1質量%
ポリ-ε-リシン 0.1質量%
カルボマー 0.5質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.1質量%
水酸化Na 0.1質量%
グリセリン 3質量%
PEG-60水添ヒマシ油 0.2質量%
メチルパラベン 0.1質量%
香料 0.1質量%
精製水 95.6質量%
【0139】
本実施形態の毛髪用化粧料の一例としては、上記処方例1A~1Dのいずれか1つと、上記処方例2A~2Eのいずれか1つとを備えた毛髪用化粧料である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8