(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091975
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】回転電機、およびポンプ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20230626BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20230626BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20230626BHJP
【FI】
H02K5/00 B
F04C15/00 L
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206891
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】金物 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】呉 楠
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
【テーマコード(参考)】
3H044
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
3H044CC18
3H044DD23
3H044DD24
5H605AA11
5H605BB07
5H605CC02
5H605DD36
5H605EC14
5H605EC20
5H605GG01
5H605GG12
5H611AA00
5H611BB01
5H611BB07
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回転電気の電磁ノイズ低減と軽量化の両立を図る。
【解決手段】中心軸Jを中心として回転可能なロータ20と、ロータと径方向に隙間を介して対向するステータ30と、ステータの軸方向一方側に配置される回路基板70と、ロータ、ステータ、および回路基板を内部に収容するハウジング10と、を備える。ハウジングは、軸方向一方側に開口部11bを有する本体部11と、開口部を塞ぐカバー部材12と、を有する。カバー部材は、樹脂製のカバー本体部13と、カバー本体部の軸方向他方側を向く面に固定され、回路基板の軸方向一方側に配置される金属製の遮蔽部材80と、カバー本体部に保持され、導電性を有する導電部材85と、カバー本体部に保持され、取付対象と接触し、導電性を有する接触部材と、を有する。導電部材は、遮蔽部材および接触部材と電気的に接続される。記回路基板は、遮蔽部材と電気的に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に取り付けられる回転電機であって、
中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
前記ステータの軸方向一方側に配置される回路基板と、
前記ロータ、前記ステータ、および前記回路基板を内部に収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
軸方向一方側に開口部を有する本体部と、
前記開口部を塞ぐカバー部材と、
を有し、
前記カバー部材は、
樹脂製のカバー本体部と、
前記カバー本体部の軸方向他方側を向く面に固定され、前記回路基板の軸方向一方側に配置される金属製の遮蔽部材と、
前記カバー本体部に保持され、導電性を有する導電部材と、
前記カバー本体部に保持され、前記取付対象と接触し、導電性を有する接触部材と、
を有し、
前記導電部材は、前記遮蔽部材および前記接触部材と電気的に接続され、
前記回路基板は、前記遮蔽部材と電気的に接続される、回転電機。
【請求項2】
前記遮蔽部材は板状である、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記カバー本体部に溶着によって固定される、請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記導電部材は、前記遮蔽部材と接触する接続部と、前記接触部材と固定される固定部と、前記固定部と前記接続部とを繋ぐ中継部と、を有し、
前記接続部の幅は、前記中継部の幅よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記接触部材は、前記取付対象に固定される、金属製の第1接触部材を有し、
前記導電部材は、前記第1接触部材と固定される固定部を有し、
前記固定部は、円環状であり、
前記第1接触部材は、円筒状であり、前記固定部に圧入されている、請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記固定部と、前記第1接触部材の一部とは、それぞれ、前記カバー本体部の内部に埋め込まれ保持され、
前記カバー本体部の内部において、前記固定部と前記第1接触部材とが固定される、請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記取付対象が有する穴部の内部に嵌め合わされる位置決めピンを備え、
前記中継部は、前記中継部を軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記位置決めピンは、前記貫通孔に通される、請求項4から6のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記接触部材は、前記取付対象と接触する、金属製の第2接触部材を有し、
前記第2接触部材は、前記位置決めピンであり、前記中継部と接触する、請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
前記中継部と、前記第2接触部材の一部とは、それぞれ、前記カバー本体部の内部に埋め込まれ保持され、
前記カバー本体部の内部において、前記中継部と前記第2接触部材とが接触する、請求項8に記載の回転電機。
【請求項10】
前記遮蔽部材または前記接続部の一方は、前記遮蔽部材または前記接続部の他方に向かって突出する凸部を有し、
前記凸部は、前記遮蔽部材または前記接続部の他方と接触する、請求項4から9のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項11】
前記接続部は、前記カバー本体部の外部に露出して配置され、前記遮蔽部材と軸方向に接触する、請求項4から10のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項12】
前記回路基板に取り付けられた接続端子を備え、
前記接続端子は、弾性を有する板バネ状であり、
前記遮蔽部材は、前記接続端子を介して前記回路基板と電気的に接続される、請求項1から11のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項13】
前記回路基板に取り付けられた複数の電子部品を備え、
前記遮蔽部材は、複数の前記電子部品の軸方向一方側に配置され、
軸方向に見て、複数の前記電子部品と、前記遮蔽部材とが重なる、請求項1から12のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項14】
複数の前記電子部品は、第1電子部品と第2電子部品とを有し、
前記第1電子部品は、前記第2電子部品よりも、軸方向の寸法が大きく、
前記遮蔽部材は、前記第1電子部品の径方向外側を囲む側壁部を有する、請求項13に記載の回転電機。
【請求項15】
前記回路基板の軸方向一方側を向く面上に取り付けられた伝熱部材を備え、
前記伝熱部材は、前記遮蔽部材と接触する、請求項1から14のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の回転電機と、
前記ロータに接続されるポンプ機構と、
を備える、ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機、およびポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
モートルから放射される電磁ノイズを低減するための対策が知られている。例えば、特許文献1には、モートルの外周を覆う金属製の遮蔽板を取り付ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモートルにおいては、金属製の遮蔽板でモートルの外周全体を覆う必要があるため、遮蔽板の小型化を図ることができなかった。そのため、モートルの軽量化を図ることができなかった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、外部に放射される電磁ノイズを低減しつつ、軽量化を図ることができる回転電機およびポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、取付対象に取り付けられる回転電機であって、中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、前記ステータの軸方向一方側に配置される回路基板と、前記ロータ、前記ステータ、および前記回路基板を内部に収容するハウジングと、を備える。前記ハウジングは、軸方向一方側に開口部を有する本体部と、前記開口部を塞ぐカバー部材と、を有する。前記カバー部材は、樹脂製のカバー本体部と、前記カバー本体部の軸方向他方側を向く面に固定され、前記回路基板の軸方向一方側に配置される金属製の遮蔽部材と、前記カバー本体部に保持され、導電性を有する導電部材と、前記カバー本体部に保持され、前記取付対象と接触し、導電性を有する接触部材と、を有する。前記導電部材は、前記遮蔽部材および前記接触部材と電気的に接続される。記回路基板は、前記遮蔽部材と電気的に接続される。
【0007】
本発明のポンプの一つの態様は、上記の回転電機と、上記のロータに接続されるポンプ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、回転電機およびポンプにおいて、外部に放射される電磁ノイズを低減しつつ、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態のポンプを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のポンプを示す断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のカバー部材と遮蔽部材を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のポンプの一部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のカバー部材を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において図には、適宜、Y軸を示す。Y軸は、以下に説明する実施形態のシャフトの中心軸Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明では、中心軸Jが延びる方向、つまりY軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。
【0011】
周方向は、各図において矢印θで示されている。周方向のうち矢印θが向く側を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と逆側を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、軸方向一方側から見て中心軸J回りに時計回りに進む側である。周方向他方側は、軸方向一方側から見て中心軸J回りに反時計回りに進む側である。
【0012】
なお、本実施形態において接触部材は、カバー本体部13に保持され、取付対象5と接触し、導電性を有し、導電部材85と電気的に接続される部材である。よって、本実施形態において、接触部材は一つの部材に限定されず、複数の接触部材を有する。後述するように、本実施形態では、第1接触部材84と第2接触部材92の2つの接触部材を有する。なお、以下の説明において、第2接触部材92については、位置決めピン92と称すことがある。
【0013】
図1に示す本実施形態のポンプ1は、車両に搭載される機器に取り付けられる電動ポンプである。ポンプ1が取り付けられる機器は、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。以下の説明において、ポンプ1が取り付けられる機器を取付対象5と称する。本実施形態において、取付対象5のうちポンプ1が取り付けられる部分は金属製である。ポンプ1は、例えば、車両に搭載される機器にオイルを供給する電動オイルポンプである。
【0014】
図2に示すように、ポンプ1は、回転電機2と、ポンプ機構40と、を備える。本実施形態において、回転電機2は、モータである。回転電機2は、ハウジング10と、ロータ20と、ステータ30と、制御装置7と、封止部材63と、を備える。
【0015】
ハウジング10は、ロータ20と、ステータ30と、制御装置7と、封止部材63と、ポンプ機構40と、を内部に収容する。ハウジング10は、本体部11と、カバー部材12と、ポンプカバー部材17と、支持部材18とを有する。本体部11と、カバー部材12と、ポンプカバー部材17と、支持部材18とは、互いに別部材である。カバー部材12は、本体部11の軸方向一方側に配置されている。ポンプカバー部材17は、本体部11の軸方向他方側に固定されている。支持部材18は、本体部11の軸方向一方側に固定されている。支持部材18は、カバー部材12の軸方向他方側に配置されている。
【0016】
図2に示すように、本体部11は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。本体部11は、本体外筒部11aと、ポンプ機構収容部11cと、本体内筒部11dと、封止部材保持部11eと、を有する。本実施形態において、本体外筒部11aと、ポンプ機構収容部11cと、本体内筒部11dと、封止部材保持部11eとは互いに同一の単一部材の一部である。本実施形態において、本体部11は金属製である。
【0017】
本体外筒部11aは、ロータ20と、ステータ30と、封止部材63とを内部に収容している。本体外筒部11aは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。本体外筒部11aの軸方向一方側の端部は、本体部11の軸方向一方側の端部である。本体外筒部11aの軸方向他方側の端部は、ポンプ機構収容部11cの軸方向一方側の端部と繋がっている。本体外筒部11aは軸方向一方側の端部に、軸方向一方側に開口する開口部11bを有している。本体外筒部11aの軸方向一方側の外周面には溝が設けられ、溝にはOリング68が嵌め込まれている。
【0018】
開口部11bは、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする円形状である。開口部11bには、支持部材18とカバー部材12とが固定されている。
【0019】
ポンプ機構収容部11cは、ポンプ機構40を内部に収容する。ポンプ機構収容部11cは、中心軸Jを中心とし、軸方向他方側に開口する円筒状である。ポンプ機構収容部11cの軸方向他方側を向く面に、ポンプカバー部材17が固定される。ポンプ機構収容部11cの軸方向他方側の開口は、ポンプカバー部材17によって塞がれている。
【0020】
本体内筒部11dは、ポンプ機構収容部11cから軸方向一方側に延びている。本体内筒部11dは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。本体内筒部11dは、本体外筒部11aの内部に配置されている。本体内筒部11dの内部には、後述するシャフト23が通されている。本体内筒部11dの内周面は、シャフト23の外周面と接触して、シャフト23を支持している。
【0021】
封止部材保持部11eは、本体内筒部11dの軸方向一方側に設けられている。封止部材保持部11eは、中心軸Jを中心とする円筒状である。封止部材保持部11eの内側には、封止部材63が保持されている。
【0022】
図1および
図2に示すように、カバー部材12は、本体部11の軸方向一方側に固定されている。カバー部材12は、軸方向一方側から開口部11bを塞いでいる。カバー部材12は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。カバー部材12は、制御装置7を内部に収容する。カバー部材12は、制御装置7と、支持部材18とを囲んでいる。カバー部材12は、カバー本体部13と、遮蔽部材80と、第1接触部材84と、導電部材85と、第2接触部材92と、キャップ65,66と、を有している。
【0023】
カバー本体部13は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。カバー本体部13は、制御装置7と、支持部材18とを囲んでいる。本実施形態において、カバー本体部13は、樹脂製である。カバー本体部13は、蓋部13aと、第1筒状部13jと、円筒部14と、フランジ部15と、爪部16と、を有している。本実施形態において、蓋部13aと、第1筒状部13jと、円筒部14と、フランジ部15と、爪部16とは互いに同一の単一部材の一部である。本実施形態において、カバー本体部13は、第1接触部材84と、導電部材85と、第2接触部材92と、をインサート部材とするインサート成形によって作られている。
【0024】
図2および
図3に示すように、蓋部13aは、中心軸Jを中心とする略円板状である。蓋部13aは、後述する回路基板70よりも軸方向一方側に配置されている。
図1に示すように、蓋部13aは、平面部13bと、箱状部13cと、コネクタ収容部13eと、複数のリブ13gとを有している。
【0025】
図2および
図3に示すように、平面部13bは、中心軸Jを中心とする略円板状である。平面部13bの板面は、軸方向を向いている。平面部13bは、回路基板70と軸方向に対向している。平面部13bの軸方向他方側を向く面には、後述する、遮蔽部材80の第1遮蔽部81が固定され、第3遮蔽部83が配置されている。平面部13bには、凹部13dと、貫通孔13fと、第1突起13nとが設けられている。
【0026】
図3に示すように、凹部13dは、平面部13bの軸方向他方側を向く面に設けられている。凹部13dは、平面部13bの円弧状の外縁部に設けられる。凹部13dは、周方向に沿って間隔をあけて設けられる。本実施形態において、凹部13dは、3個設けられる。
【0027】
貫通孔13fは、平面部13bを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、貫通孔13fは、略角筒状の孔である。貫通孔13fの軸方向他方側の端部は、平面部13bの軸方向他方側を向く面と繋がる。貫通孔13fの軸方向一方側の端部は、後述するコネクタ収容部13eの軸方向一方側を向く面と繋がる。つまり、貫通孔13fは、平面部13bと、コネクタ収容部13eとを軸方向に貫通する孔である。貫通孔13fの内部には、後述するコネクタ部材72が配置される。
【0028】
第1突起13nは、平面部13bと、後述する遮蔽部材80の第1遮蔽部81とを固定する。
図5に示すように、第1突起13nは、平面部13bから軸方向他方側に突出する円柱状である。
図3に示すように、第1突起13nは、周方向に沿って間隔をあけて設けられる。本実施形態において、第1突起13nは、4個設けられている。互いに隣り合う第1突起13n同士は、周方向に凹部13dを挟んで配置されている。
図5に示すように、遮蔽部材80をカバー本体部13の軸方向他側を向く面に固定する工程において、第1突起13nは、第1遮蔽部81を軸方向に貫通する貫通孔81eに通される。
図3に示すように、第1突起13nの軸方向他方側の部分は、図示しない溶着機によって溶融されて溶け広がる。これにより、第1遮蔽部81は、平面部13bの軸方向他方側を向く面に溶着によって固定される。
【0029】
図2および
図3に示すように、箱状部13cは、平面部13bから、軸方向一方側に突出する略直方体の箱状である。箱状部13cは、軸方向他方側に開口している。箱状部13cの内部は、第1筒状部13jの内部と繋がっている。箱状部13cには、中心軸Jが通る。箱状部13cの内面には、後述する、遮蔽部材80の第2遮蔽部82が固定されている。箱状部13cは、平面部13bから軸方向一方側に突出する周壁部13hと、周壁部13hの軸方向一方側に位置する上壁部13iとを有する。
【0030】
周壁部13hは、平面部13bから軸方向一方側に突出する略正方形筒状である。周壁部13hの内面は、後述する、第2遮蔽部82の側壁部82aと接触する。周壁部13hは、後述する第1電子部品71aの周囲を囲む。
【0031】
上壁部13iは、軸方向に見て、略正方形の板状である。上壁部13iの板面は、軸方向を向いている。上壁部13iは、周壁部13hの軸方向一方側の端部と繋がっている。上壁部13iは、第1電子部品71aよりも軸方向一方側に配置されている。上壁部13iの軸方向他方側を向く面には、後述する第2遮蔽部82の天壁部82bの一部が固定される。上壁部13iには、第2突起13pが設けられている。
【0032】
第2突起13pは、上壁部13iと、後述する遮蔽部材80の第2遮蔽部82とを固定する。
図5に示すように、第2突起13pは、上壁部13iから軸方向他方側に突出する円柱状である。
図3に示すように、本実施形態において、第2突起13pは、3個設けられている。軸方向に見て、各第2突起13pは、各第2突起13pを繋ぐ三本の直線が三角形を構成して配置される。なお、各第2突起13pは、直線状に並んで配置されてもよい。
図5に示すように、遮蔽部材80をカバー本体部13の軸方向他側を向く面に固定する工程において、第2突起13pは、第2遮蔽部82を軸方向に貫通する貫通孔82cに通される。
図3に示すように、第2突起13pの軸方向他方側の部分は、図示しない溶着機によって溶融されて溶け広がる。これにより、第2遮蔽部82は、箱状部13cの軸方向他方側を向く面に溶着によって固定される。
【0033】
図1に示すように、コネクタ収容部13eは、平面部13bの軸方向一方側を向く面から軸方向一方側に突出している。コネクタ収容部13eは、軸方向一方側に開口する略角筒状である。上述のように、コネクタ収容部13eの内部は、貫通孔13fを介して、第1筒状部13jの内部に開口している。コネクタ収容部13eの内部には、コネクタ部材72が配置されている。
【0034】
複数のリブ13gは、平面部13bから軸方向一方側に突出している。複数のリブ13gは、軸方向と直交する一方向に互いに平行に延びている。軸方向において、各リブ13gの軸方向一方側の端部は、上壁部13iの軸方向一方側の面と同じ位置に配置されている。複数のリブ13gのうち、一部のリブ13gは、周壁部13hの外周面と繋がっている。複数のリブ13gが設けられることにより、樹脂製のカバー本体部13の剛性を大きくできる。
【0035】
図2に示すように、第1筒状部13jは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。第1筒状部13jは、回路基板70と、支持部材18と、ステータ30の軸方向一方側の部分を囲む。第1筒状部13jの軸方向一方側の端部は、蓋部13aの径方向外側の端部と繋がる。第1筒状部13jの軸方向他方側の部分の内周面は、本体外筒部11aの外周面に嵌め合わされている。これにより、カバー部材12は、本体部11に固定される。第1筒状部13jの内周面には、段差面13kが設けられている。段差面13kは軸方向他方側を向く面である。段差面13kは、後述する支持部材18の第1円環部18aの軸方向一方側を向く面と接触する。第1筒状部13jの外周面には溝が設けられ、溝にはOリング67が嵌め込まれている。
【0036】
図1および
図2に示すように、円筒部14は、中心軸Jを中心とする円筒状である。円筒部14は、第1筒状部13jの径方向外側に配置されている。円筒部14の内周面のうち軸方向一方側の部分は、第1筒状部13jの外周面と、複数のリブを介して繋がっている。
図3に示すように、円筒部14の内周面のうち軸方向他方側の部分は、第1筒状部13jの外周面と直接的に繋がっている。
【0037】
図1および
図2に示すように、フランジ部15は、円筒部14から径方向外側に突出している。軸方向に見て、フランジ部15は一つの角が径方向外側に突出する略三角形状である。フランジ部15には、軸方向に貫通する孔部15dが設けられている。孔部15dの内周面には、後述する第1接触部材84が埋め込まれている。フランジ部15は、円筒部14の外周面に沿って間隔をあけて設けられる。本実施形態において、フランジ部15は3個設けられている。フランジ部15は、第1フランジ部15aと、第2フランジ部15bと、第3フランジ部15cとを有する。
図3に示すように、第1フランジ部15aは、3個のフランジ部15のうち、最も箱状部13cと近い位置に配置される。第2フランジ部15bは、第1フランジ部15aの周方向他方側に隣接して配置されている。第3フランジ部15cは、第1フランジ部15aの周方向一方側に隣接して配置されている。
【0038】
図1および
図3に示すように、第1フランジ部15aには、導電部材保持部15gが設けられている。第2フランジ部15bおよび第3フランジ部15cには、導電部材保持部が設けられていない。第1フランジ部15aの内部には、導電部材85の一部と、位置決めピン92とが埋め込まれ保持されている。第2フランジ部15bおよび第3フランジ部15cには、導電部材および位置決めピンは設けられていない。
【0039】
図1および
図2に示すように、導電部材保持部15gは、孔部15dの内周面と第1筒状部13jの外周面とを繋いでいる。導電部材保持部15gは、径方向に沿って延びる。導電部材保持部15gの内部には、導電部材85と、位置決めピン92とが埋め込まれて保持されている。導電部材保持部15gの軸方向一方側を向く面には、後述するキャップ66が固定されている。
【0040】
図2に示すように、位置決めピン92は軸方向に延びる円筒状である。位置決めピン92は、軸方向一方側の部分が導電部材保持部15gの内部に埋め込まれ保持されている。位置決めピン92は、第1接触部材84よりも径方向内側に配置されている。位置決めピン92の軸方向他方側の部分は、第1フランジ部15aから軸方向他方側に突出し、取付対象5の穴部5bに嵌め合わされている。つまり、位置決めピン92は、取付対象5と接触する。これにより、取付対象5に対するポンプ1の周方向および径方向の位置が決まる。位置決めピン92の軸方向一方側の部分は、後述する導電部材85の貫通孔85dに通される。位置決めピン92の外周面は、貫通孔85dの内周面と接触する。位置決めピン92は導電性を有する。本実施形態において、位置決めピン92は、金属製である。つまり、位置決めピン92は、導電部材85と電気的に接続される。上述のように、本実施形態において、接触部材は、カバー本体部13に保持され、取付対象5と接触し、導電性を有し、導電部材85と電気的に接続される部材である。よって、本実施形態において、位置決めピン92は、接触部材の一つである。つまり、接触部材は第2接触部材92を有する。
【0041】
図2および
図3に示すように、爪部16は、第1筒状部13jの軸方向他方側の端部から軸方向他方側に突出する。爪部16は、周方向に沿って間隔をあけて設けられている。本実施形態において、爪部16は14個設けられている。爪部16の軸方向他方側の部分は、径方向内側に曲がっている。爪部16の軸方向他方側の端部は、本体外筒部11aの外周面に設けられる凸部11jと引っ掛かる。これにより、軸方向において、本体部11に対するカバー部材12の位置が決まる。
【0042】
図1に示すように、キャップ65は、蓋部13aの軸方向一方側を向く面に設けられる。キャップ65は、穴13rに固定されている。キャップ65は、軸方向一方側から穴13rを塞ぐ。キャップ66は、第1フランジ部15aの軸方向一方側を向く面に設けられる。キャップ66は、穴13sに固定されている。キャップ66は、軸方向一方側から穴13sを塞ぐ。穴13rは、蓋部13aの軸方向一方側を向く面から、軸方向他方側に延び、後述する導電部材85まで達する。穴13sは、第1フランジ部15aの軸方向一方側を向く面から、軸方向他方側に延び、導電部材85まで達する。上述のように、カバー本体部13は、導電部材85等をインサート部材とするインサート成形によって作られている。導電部材85は、カバー部材12の成形時に金型内で金型の保持ピンによって保持される。穴13rおよび穴13sは、保持ピンが通されていた部分である。キャップ65が、穴13rを塞ぐことによって、穴13rの内部にオイル、埃などの異物が混入することを抑制できる。同様に、キャップ66が、穴13sを塞ぐことによって、穴13sの内部にオイル、埃などの異物が混入することを抑制できる。
【0043】
図1および
図2に示すように、ポンプカバー部材17は、ポンプ機構収容部11cの軸方向他方側にボルトによって固定される。ポンプカバー部材17は、吸入孔17aと、吐出孔17cとを有する。吸入孔17aは、ポンプ機構収容部11cの内部と、ポンプカバー部材17の軸方向他方側の端部とを繋ぐ孔である。吸入孔17aを介して、オイルがポンプ機構収容部11cの内部に吸入される。吐出孔17cは、ポンプカバー部材17を軸方向に貫通する孔である。ポンプ1は、吐出孔17cを介して、オイルを外部に吐出する。ポンプカバー部材17の外周面には溝が設けられ、溝にはOリング69が嵌め込まれている。
【0044】
図2および
図4に示すように、支持部材18は、軸方向他方側から回路基板70を支持する。支持部材18は、中心軸Jを中心とする略円筒状である。支持部材18は、ステータ30の軸方向一方側に配置されている。支持部材18は、回路基板70の軸方向他方側に配置されている。支持部材18は、本体外筒部11aの内部に配置されている。支持部材18は、シャフト23の軸方向一方側の端部を囲んでいる。支持部材18は、本体外筒部11aの開口部11bに固定されている。支持部材18は、樹脂製である。支持部材18は、第1円環部18aと、第2筒状部18bと、第2円環部18cとを有している。第1円環部18aと、第2筒状部18bと、第2円環部18cとは互いに同一の単一部材の一部である。
【0045】
第2筒状部18bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第2筒状部18bの外周面には、リブ18hが設けられている。リブ18hは、第2筒状部18bの外周面から径方向外側に突出し、軸方向に延びる。リブ18hは、周方向に沿って等間隔をあけて設けられている。本実施形態において、リブ18hは6個設けられている。各リブ18hの径方向外側を向く面は、それぞれ、本体外筒部11aの内周面と嵌め合わされている。これにより、支持部材18は、本体部11に固定される。
【0046】
第1円環部18aは、中心軸Jを中心とする円環板状である。第1円環部18aは、第2筒状部18bの軸方向一方側の端部から、径方向外側に突出する。第1円環部18aの板面は、軸方向を向いている。第1円環部18aの軸方向一方側を向く面は、カバー部材12の段差面13kと接触している。第1円環部18aの軸方向他方側を向く面は、本体外筒部11aの軸方向一方側の端部と接触している。これらにより、軸方向における、支持部材18の位置が決まる。
【0047】
第2円環部18cは、中心軸Jを中心とする円環板状である。第2円環部18cは、シャフト23の軸方向一方側の端部を囲む。第2円環部18cの板面は、軸方向を向いている。第2円環部18cの径方向外側の端部は、第2筒状部18bの軸方向他方側の端部と繋がっている。第2筒状部18bは、孔18dと、突起18eを有している。孔18dは、中心軸Jを中心とする円形状の孔である。孔18dは、第2円環部18cを軸方向に貫通する。孔18dには、シャフト23が通されている。
【0048】
図4に示すように、突起18eは、第2円環部18cから軸方向一方側に延びる円柱状である。突起18eは、周方向に沿って間隔をあけて設けられる。本実施形態において、突起18eは、3個設けられている。各突起18eは、それぞれ、第1部分18fと、第2部分18gとを有している。各第1部分18fは、それぞれ、第2円環部18cから軸方向一方側に突出する円柱状である。各第2部分18gは、それぞれ、第1部分18fから軸方向一方側に突出する円柱状である。各第2部分18gの外径は、各第1部分18fの外径よりも小さい。各第1部分18fの軸方向一方側を向く面は、それぞれ、回路基板70の軸方向他方側を向く面と接触し、回路基板70を支持する。これにより、軸方向における回路基板70の位置が決まる。各第2部分18gは、それぞれ、回路基板70に設けられる孔70aを通される。各第2部分18gの軸方向一方側部分は、図示しない溶着機によって溶融されて溶け広がる。これにより、支持部材18と回路基板70とが固定される。
【0049】
図2に示すように、ロータ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。ロータ20は、ロータコア21と、磁石22と、シャフト23と、を有する。シャフト23および磁石22は、ロータコア21に固定されている。ロータ20は、シャフト23を支持する本体内筒部11dによって、中心軸J回りに回転可能に支持されている。シャフト23は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。シャフト23は、本体外筒部11aの内部と、ポンプ機構収容部11cの内部とに跨って配置されている。
【0050】
ステータ30は、ロータ20と隙間を介して対向している。ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置している。ステータ30は、ステータコア31と、図示しないインシュレータと、複数のコイル32と、を有する。ステータ30は、本体外筒部11aの内周面に固定されている。複数のコイル32は、図示しないバスバーを介して回路基板70に接続される。複数のコイル32には、回路基板70を介して電流が供給される。
【0051】
封止部材63は、封止部材保持部11eの内周面に保持されている。封止部材63は、ロータコア21よりも軸方向他方側に配置されている。本実施形態において、封止部材63は、径方向内側にリップ部を有するリップシールである。封止部材63のリップ部は、シャフト23の外周面に接触している。これにより、封止部材63は、シャフト23と本体部11との間を封止する。
【0052】
図2に示すように、ポンプ機構40は、ポンプ機構収容部11cの内部に収容される。ポンプ機構40は、インナーロータ41と、アウターロータ42と、を有している。インナーロータ41は、シャフト23のうちポンプ機構収容部11cの内部に突出する部分と接続されている。これにより、ポンプ機構40は、ロータ20に接続される。インナーロータ41は、シャフト23を囲む環状である。アウターロータ42は、インナーロータ41を囲む環状である。インナーロータ41とアウターロータ42とは、互いに噛み合っている。そのため、ロータ20によってインナーロータ41が回転させられることで、アウターロータ42も回転する。
【0053】
制御装置7は、複数のコイル32と電気的に接続される。制御装置7は、複数のコイル32に供給する電流を制御する。制御装置7は、ステータ30の軸方向一方側に配置される。制御装置7は、カバー部材12および後述する遮蔽部材80の軸方向他方側に配置される。
図4に示すように、制御装置7は、回路基板70と、複数の電子部品71と、コネクタ部材72と、接続端子87と、伝熱部材90と、を有する。つまり、回転電機2は、複数の電子部品71と、接続端子87と、伝熱部材90と、を備えている。
【0054】
回路基板70は、中心軸Jを中心とする略円環板状である。回路基板70は、ステータ30の軸方向一方側に配置される。
図2および
図4に示すように、回路基板70には、複数の電子部品71と、コネクタ部材72と、接続端子87と、伝熱部材90とが取り付けられる。
【0055】
複数の電子部品71は、回路基板70に取り付けられている。複数の電子部品71は、はんだ付け等によって回路基板70に固定される。複数の電子部品71は、第1電子部品71aと第2電子部品71bとを有している。本実施形態において、第1電子部品71aは、コンデンサ等の電子部品である。第1電子部品71aは、回路基板70の軸方向一方側を向く面に固定されている。軸方向に見て、第1電子部品71aは、カバー部材12の上壁部13iおよび後述する遮蔽部材80の天壁部82bに重なって配置される。第1電子部品71aは、カバー部材12の箱状部13cおよび後述する遮蔽部材80の第2遮蔽部82の内部に配置される。本実施形態において、第2電子部品71bは、トランジスタ等などの電子部品である。第2電子部品71bは、回路基板70の軸方向他方側を向く面に固定されている。軸方向に見て、第2電子部品71bは、カバー部材12の平面部13bおよび後述する遮蔽部材80の第1遮蔽部81に重なる。本実施形態において、第1電子部品71aは、第2電子部品71bよりも、軸方向の寸法が大きい。第1電子部品71aは、回路基板70の軸方向一方側を向く面上に設けられる電子部品のうち軸方向の寸法が最も大きな部品であればよい。同様に、第2電子部品71bは、回路基板70の軸方向他方側を向く面上に設けられる電子部品のうち軸方向の寸法が最も大きな部品であればよい。
【0056】
なお、本実施形態では、回路基板70の軸方向一方側を向く面上に1つの第1電子部品71aが配置され、回路基板70の軸方向他方側を向く面上に1つの第2電子部品71bが配置されるものとして説明した。しかしながら、回路基板70の軸方向一方側を向く面上には、第1電子部品71aの他に、第1電子部品71aより軸方向の寸法が小さい別の電子部品が配置されていてもよい。同様に、回路基板70の軸方向他方側を向く面上には、第2電子部品71bの他に、第2電子部品71bより軸方向の寸法が小さい別の電子部品が配置されていてもよい。
【0057】
コネクタ部材72は、回転電機2に電力を供給する図示しない外部機器と、回路基板70とを電気的に接続する。
図1および
図4に示すように、コネクタ部材72は、回路基板70の軸方向一方側に取り付けられる。コネクタ部材72は、軸方向一方側に突出している。軸方向において、コネクタ部材72の軸方向一方側の端部は、第1電子部品71aの軸方向一方側の端部よりも、軸方向一方側に位置する。コネクタ部材72の軸方向一方側の部分は、カバー部材12のコネクタ収容部13eの内部に配置される。
【0058】
図4に示すように、接続端子87は、回路基板70の軸方向一方側を向く面に取り付けられる。接続端子87は、弾性を有する板バネ状である。本実施形態において、接続端子87は金属製である。接続端子87は、回路基板70と、後述する第1遮蔽部81の軸方向他方側を向く面と接触する。接続端子87は、回路基板70のグランド部と電気的に接続される。これにより、回路基板70と遮蔽部材80とが電気的に接続される。
【0059】
図2および
図4に示すように、伝熱部材90は、回路基板70の軸方向一方側を向く面上に取り付けられる。伝熱部材90は、略直方体状である。伝熱部材90の軸方向他方側を向く面は、回路基板70の軸方向一方側を向く面と接触する。伝熱部材90の軸方向他方側を向く面は、後述する第1遮蔽部81の軸方向他方側を向く面と接触する。本実施形態では、軸方向に見て、伝熱部材90は、第2電子部品71bと重なる。上述のように、第2電子部品71bは、トランジスタなどの電子部品である。回転電機2の駆動時において、トランジスタから発生する熱量は、他の電子部品から発生する熱量と比較して大きい。そのため、本実施形態によれば、トランジスタなどの第2電子部品71bにおいて発生した熱を、好適に伝熱部材90に伝熱できる。
【0060】
遮蔽部材80は、制御装置7から放射される電磁ノイズを遮蔽し、回転電機2およびポンプ1の外部に放射される電磁ノイズを低減する。
図2に示すように、遮蔽部材80は、制御装置7の軸方向一方側に配置される。つまり、遮蔽部材80は、回路基板70の軸方向一方側に配置される。遮蔽部材80は、カバー本体部13の軸方向他方側を向く面に固定される。遮蔽部材80は、金属製である。本実施形態において、遮蔽部材80は、フェライト系ステンレス鋼によって構成されている。遮蔽部材80を構成する材料は、本実施形態の材料に限定されず、例えば、ケイ素鋼等の様々な材料を用いることができる。本実施形態において、遮蔽部材80は板状である。遮蔽部材80は、第1遮蔽部81と、第2遮蔽部82と、第3遮蔽部83と、を有する。第1遮蔽部81と、第2遮蔽部82、第3遮蔽部83とは互いに同一の単一部材の一部である。
【0061】
図3および
図5に示すように、第1遮蔽部81は、遮蔽部材80のうち、カバー本体部13の平面部13bに固定される部分である。第1遮蔽部81は、略半円板状である。第1遮蔽部81の板面は、軸方向を向いている。第1遮蔽部の軸方向一方側を向く面は、平面部13bの軸方向他方側を向く面と接触している。
図4に示すように、第1遮蔽部81の軸方向他方側を向く面は、回路基板70と対向している。
図2に示すように、軸方向に見て、第1遮蔽部81は、第2電子部品71bと重なる。軸方向において、第1遮蔽部81は、回路基板70と僅かな隙間を介して配置される。これにより、軸方向において、第1遮蔽部81は、第2電子部品71bに比較的近い位置に配置されている。
図3に示すように、第1遮蔽部81は、基部81aと、第1突出部81bと、第2突出部81cとを有する。基部81aと、第1突出部81bと、第2突出部81cとは互いに同一の単一部材の一部である。
【0062】
基部81aは、第1遮蔽部81のうち、略半円状の部分である。基部81aの円弧状の外縁部の一部は、径方向内側に窪み、凹部13dよりも径方向内側に位置する。
図4に示すように、基部81aの軸方向他方側を向く面は、伝熱部材90と接触する。すなわち、伝熱部材90は、遮蔽部材80と接触する。基部81aは、貫通孔81eを有する。
【0063】
図3および
図5に示すように、貫通孔81eは、基部81aを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、貫通孔81eは円形状である。貫通孔81eは、第1遮蔽部81の円弧状の外縁部に設けられている。貫通孔81eは、周方向に沿って間隔をあけて設けられる。本実施形態において、貫通孔81eは、4個設けられている。各貫通孔81eには、それぞれ、カバー本体部13が有する第1突起13nが通されている。上述のように、第1突起13nの軸方向他方側の部分は、図示しない溶着機によって溶融されて溶け広がる。これにより、第1遮蔽部81は、平面部13bに溶着によって固定される。
【0064】
図3に示すように、第1突出部81bは、平面部13bのうち、箱状部13cの周方向一方側の部分と軸方向に対向して配置される。軸方向に見て、第1突出部81bは略長方形状である。第1突出部81bは、基部81aから突出する。図示は省略するが、第1突出部81bの軸方向他方側を向く面は、伝熱部材90と接触する。本実施形態によれば、上述のように、伝熱部材90は、トランジスタなどの第2電子部品71bにおいて発生した熱を、好適に遮蔽部材80に伝熱できる。
【0065】
第2突出部81cは、平面部13bのうち、箱状部13cよりも周方向他方側の部分と軸方向に対向して配置される。軸方向に見て、第2突出部81cは略長方形状である。第2突出部81cは、基部81aから突出する。
図4に示すように、第2突出部81cの軸方向他方側を向く面は、接続端子87と接触する。これにより、遮蔽部材80は、接続端子87を介して回路基板70と電気的に接続される。遮蔽部材80は、回路基板70のグランド部と電気的に接続される。そのため、本実施形態によれば、回転電機2およびポンプ1の組み立て作業において、予め、支持部材18を介して制御装置7が固定された本体部11に、カバー部材12を固定する工程により、接続端子87を介して、遮蔽部材80と回路基板70とを電気的に接続できる。よって、例えば、はんだ付け等の工程によって、遮蔽部材80と回路基板70とを電気的に接続する場合と比較して、容易に遮蔽部材80と回路基板70とを電気的に接続できる。したがって、回転電機2およびポンプ1の組立工数が増大することを抑制できる。
【0066】
図3に示すように、第2遮蔽部82は、カバー本体部13の箱状部13cの軸方向他方側を向く面に固定される。第2遮蔽部82は、第1遮蔽部81から、軸方向一方側に延びる略直方体の箱状である。第2遮蔽部82は、側壁部82aと、天壁部82bと、を有する。側壁部82aと、天壁部82bとは互いに同一の単一部材の一部である。
【0067】
側壁部82aは、箱状部13cの周壁部13hの内面と接触する。側壁部82aは、第1遮蔽部81からから軸方向一方側に延びる略正方形の筒状である。側壁部82aの軸方向他方側の端部の一部は、基部81aの直線状の縁部の一部と繋がっている。側壁部82aの軸方向一方側の端部は、後述する天壁部82bと繋がっている。
図2および
図4に示すように、側壁部82aは、第1電子部品71aの径方向外側を囲む。つまり、遮蔽部材80は、第1電子部品71aの径方向外側を囲む側壁部82aを有する。
【0068】
図2および
図3に示すように、天壁部82bは、箱状部13cの上壁部13iの内面に固定される。天壁部82bは、軸方向に見て、略正方形の板状である。天壁部82bの板面は、軸方向を向いている。天壁部82bは、第1電子部品71aよりも軸方向一方側に配置されている。軸方向に見て、天壁部82bは、第1電子部品71aと重なっている。上述のように、軸方向に見て、第1遮蔽部81は、第2電子部品71bと重なっている。つまり、軸方向に見て、複数の電子部品71と、遮蔽部材80とが重なっている。また、天壁部82bは、第1電子部品71aの軸方向一方側に、第1電子部品71aと比較的近い位置に配置される。天壁部82bは、貫通孔82cを有している。
【0069】
図3および
図5に示すように、貫通孔82cは、天壁部82bを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、貫通孔82cは円形状である。本実施形態において、貫通孔82cは、3個設けられている。本実施形態において、軸方向に見て、各貫通孔82cは、各貫通孔82cを繋ぐ三本の直線が三角形を構成して配置される。なお、各貫通孔82cは、直線状に並んで配置されてもよい。各貫通孔82cには、それぞれ、カバー本体部13が有する第2突起13pが通されている。上述のように、第2突起13pの軸方向他方側の部分は、図示しない溶着機によって溶融されて溶け広がる。これにより、第2遮蔽部82は、カバー本体部13の箱状部13cに溶着によって固定される。上述のように、第1遮蔽部81は、カバー本体部13の平面部13bに溶着によって固定される。つまり、遮蔽部材80は、カバー本体部13に溶着によって固定される。そのため、本実施形態によれば、遮蔽部材80をカバー本体部13に固定するために、例えば、ねじ等の別途の部材を必要とせず、溶着工程のみによって、遮蔽部材80をカバー本体部13に固定できる。したがって、回転電機2およびポンプ1の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0070】
図2および
図3に示すように、第3遮蔽部83は、平面部13bのうち、箱状部13cの径方向外側、且つ、第1フランジ部15aの径方向内側の部分に配置される。軸方向に見て、第3遮蔽部83は、略台形状である。第3遮蔽部83の板面は、軸方向を向いている。第3遮蔽部83の軸方向一方側を向く面は、後述する導電部材85の接続部85cと接触している。第3遮蔽部83の軸方向他方側を向く面は、回路基板70と軸方向に対向している。第3遮蔽部83の径方向内側の縁部は、側壁部82aの軸方向他方側の端部の一部と繋がっている。第3遮蔽部83は、凸部83aを有している。
【0071】
凸部83aは、第3遮蔽部83のうち、後述する導電部材85の接続部85cに向かって突出する部分である。本実施形態において、凸部83aは、軸方向一方側に突出する。軸方向に見て、凸部83aは略円形状である。凸部83aは、接続部85cの軸方向他方側を向く面と接触する。これにより、遮蔽部材80と導電部材85とが電気的に接続される。
【0072】
図1に示すように、本実施形態において、カバー部材12は、第1接触部材84を有している。本実施形態において、第1接触部材84は、接触部材の一つである。つまり、接触部材は、第1接触部材84を有する。第1接触部材84の一部は、孔部15dに埋め込まれている。これにより、第1接触部材84は、カバー本体部13に保持される。第1接触部材84は、第1接触部材84等をインサート部材とするインサート成形によって、カバー本体部13の内部に埋め込まれる。第1接触部材84は導電性を有する。本実施形態では、第1接触部材84は金属製である。
【0073】
図2および
図4に示すように、第1接触部材84は、軸方向に延びる略円筒状である。第1接触部材84には、軸方向に貫通する貫通孔84dが設けられる。貫通孔84dには、軸方向一方側からボルト93が通される。ボルト93は、取付対象5の軸方向一方側を向く面に設けられたねじ穴に締め込まれる。これにより、第1接触部材84を介して、回転電機2およびポンプ1は取付対象5に固定される。第1接触部材84は、第1円筒部84hと、第2円筒部84iと、第3円筒部84jとを有する。第1円筒部84hと、第2円筒部84iと、第3円筒部84jとは互いに同一の単一部材の一部である。
【0074】
第1円筒部84hは、軸方向に延びる円筒状である。第1円筒部84hは、フランジ部15の内部に配置される。第1円筒部84hの外周面には、複数の溝84kが設けられる。複数の溝84kは、それぞれ、軸方向に延びる。複数の溝84kは、第1円筒部84hの外周面の軸方向一方側と、軸方向他方側との部分に周方向に沿って設けられる。複数の溝84kには、フランジ部15を構成する樹脂の一部が充填されている。これにより、フランジ部15に対して、第1接触部材84が周方向に回転することを抑制できる。
【0075】
第2円筒部84iは、第1円筒部84hから軸方向他方側に突出する円筒状である。第2円筒部84iの外径は、第1円筒部84hの外径よりも小さい。第2円筒部84iの外周面は、フランジ部15の内部に配置される。軸方向において、第2円筒部84iの軸方向他方側を向く面は、フランジ部15の軸方向他方側を向く面と同じ位置に配置され、外部に露出される。第2円筒部84iの軸方向他方側を向く面は、取付対象5と接触する。つまり、カバー部材12は、カバー本体部13に保持され、取付対象5と接触し、導電性を有する第1接触部材84を有する。
【0076】
第3円筒部84jは、第1円筒部84hから軸方向一方側に突出する円筒状である。第3円筒部84jの外径は、第1円筒部84hの外径よりも小さい。第3円筒部84jの外周面は、フランジ部15の内部に配置される。第1フランジ部15aが保持する第1接触部材84の第3円筒部84jの外周面は、後述する導電部材85の固定部85aに圧入される。なお、第2フランジ部15bおよび第3フランジ部15cが保持する第1接触部材84の第3円筒部84jは、導電部材85の固定部85aに圧入されない。第3円筒部84jの軸方向一方側の面は、フランジ部15の軸方向一方側の面と同じ位置に配置され、外部に露出される。
図2に示すように、ボルト93の頭部93aの外径は、第3円筒部84jの外径よりも小さい。そのため、頭部93aは、第3円筒部84jにのみ接触し、フランジ部15とは接触しない。これにより、第1接触部材84は、取付対象5に固定される。
【0077】
図2および
図4に示すように、導電部材85は、第1接触部材84と、第2接触部材92と、遮蔽部材80とを電気的に接続する。導電部材85は、第1フランジ部15aから第1筒状部13jの内部に向けて径方向に延びる。
図2に示すように、導電部材85の一部は、カバー本体部13の内部に埋め込まれ保持されている。上述のように、導電部材85は、導電部材85等をインサート部材とするインサート成形によって、カバー本体部13に保持される。導電部材85は、導電性を有する。本実施形態において、導電部材85は、金属製である。導電部材85は、固定部85aと、中継部85bと、接続部85cとを有する。固定部85aと、中継部85bと、接続部85cとは互いに同一の単一部材の一部である。
【0078】
図4に示すように、固定部85aは、円環状である。固定部85aは、導電部材85の一端に設けられている。固定部85aの内周面は、第1接触部材84が有する第3円筒部84jの外周面と接触している。固定部85aには、第3円筒部84jが圧入されている。つまり、導電部材85は、第1接触部材84と固定されている。これにより、導電部材85は、第1接触部材84と電気的に接続される。
図2および
図3に示すように、固定部85aは、カバー本体部13の内部に埋め込まれ保持されている。つまり、カバー本体部13の内部において、固定部85aと第1接触部材84とが固定される。なお、導電部材85と、第1接触部材84とは、互いに圧入固定された後に、インサート成形される。
【0079】
図4に示すように、中継部85bは、固定部85aと、接続部85cとを繋ぐ。
図2および
図3に示すように、軸方向に見て、中継部85bは、第1フランジ部15aから第1筒状部13jの内部に向けて径方向に延びる板状である。
図1に示すように、中継部85bの一部は、カバー本体部13の導電部材保持部15gの内部に配置されている。
図4に示すように、中継部85bの一端は、固定部85aの外周面と繋がっている。
図2および
図3に示すように、中継部85bの他端は、第1筒状部13jの内周面から径方向内側に突出している。軸方向において、中継部85bの他端は、平面部13bの軸方向他方側を向く面と、第3遮蔽部83との間に配置されている。中継部85bの他端は、接続部85cと繋がっている。中継部85bは、第1中継部85b1と、第2中継部85b2と、第3中継部85b3と、第4中継部85b4とを有する。第1中継部85b1と、第2中継部85b2と、第3中継部85b3と、第4中継部85b4とは互いに同一の単一部材の一部である。
【0080】
図2および
図4に示すように、第1中継部85b1は、軸方向に延びる板状である。第1中継部85b1の板面は、径方向を向いている。第1中継部85b1の軸方向一方側の端部は、固定部85aと繋がっている。第1中継部85b1は、カバー本体部13の内部に埋め込まれ保持されている。
【0081】
第2中継部85b2は、径方向に延びる板状である。第2中継部85b2の板面は、軸方向を向いている。第2中継部85b2の径方向外側の端部は、第1中継部85b1の軸方向他方側の端部と繋がっている。第2中継部85b2の径方向内側の端部は、第1筒状部13jの内部に位置している。第2中継部85b2は、カバー本体部13の内部に埋め込まれて保持されている。より詳細には、
図1に示すように、第2中継部85b2は、導電部材保持部15gの内部に埋め込まれて保持されている。第2中継部85b2は、貫通孔85dを有している。
【0082】
図2および
図4に示すように、貫通孔85dは、第2中継部85b2を軸方向に貫通する孔である。貫通孔85dは、円形状の孔である。第2接触部材92は、貫通孔85dを通される。貫通孔85dの内周面は、第2接触部材92の外周面と接触する。つまり、カバー本体部13の内部において、中継部85bと第2接触部材92とが接触する。これにより、導電部材85と第2接触部材92とが電気的に接続される。上述のように、第2接触部材92は、取付対象5と接触する金属製である。そのため、第2接触部材92を介して、導電部材85と取付対象5とが電気的に接続される。
【0083】
第3中継部85b3は、軸方向に延びる板状である。第3中継部85b3の板面は、径方向を向いている。第3中継部85b3の軸方向他方側の端部は、第2中継部85b2の径方向内側の端部と繋がっている。第3中継部85b3は、第1筒状部13jの内部に埋め込まれ保持されている。
【0084】
第4中継部85b4は、径方向に延びる板状である。第4中継部85b4の板面は、軸方向を向いている。第4中継部85b4の一部は、第1筒状部13jの内部に埋め込まれ保持されている。第4中継部85b4の径方向外側の端部は、第3中継部85b3の軸方向一方側の端部と繋がっている。
図5に示すように、第4中継部85b4の径方向内側の端部は、第1筒状部13jよりも径方向内側に突出し、カバー本体部13から露出している。第4中継部85b4の径方向内側の端部は、接続部85cと繋がっている。
【0085】
図4および
図5に示すように、接続部85cは、周方向に延びる略長方形状の板状である。接続部85cの板面は、軸方向を向いている。接続部85cは、導電部材85の他端に設けられる。軸方向において、接続部85cは、平面部13bと、第3遮蔽部83との間に配置されている。つまり、接続部85cは、カバー本体部13の外部に露出している。そのため、
図5に示すように、遮蔽部材80を軸方向他方側からカバー本体部13に固定する工程によって、接続部85cと、第3遮蔽部83とを容易に接触させることができる。
図2および
図4に示すように、接続部85cの軸方向他方側を向く面は、第3遮蔽部83が有する凸部83aと接触している。つまり、接続部85cは、遮蔽部材80と軸方向に接触する。これにより、導電部材85は、遮蔽部材80と電気的に接続される。したがって、遮蔽部材80および回路基板70は、接続端子87と、導電部材85と、第1接触部材84および第2接触部材92と、を介して取付対象5と電気的に接続される。すなわち、遮蔽部材80および回路基板70は接地される。
【0086】
本実施形態では、接続部85cの幅は、中継部85bの幅よりも大きい。なお、本実施形態において、導電部材85における幅とは、軸方向に見て、導電部材85が延びる方向と直交する方向における導電部材85の寸法である。本実施形態において、中継部85bの幅は、軸方向に見て、中継部85bが、第1接触部材84から遮蔽部材80に向けて延びる方向と直交する方向における中継部85bの寸法である。また、接続部85cの幅は、周方向の寸法である。そのため、カバー本体部13に対する導電部材85の周方向の位置のばらつきがあっても、接続部85cと遮蔽部材80の凸部83aとを安定して接触させることができる。そのため、
図5に示すように、予め導電部材85を保持するカバー本体部13に、軸方向他方側から遮蔽部材80を取り付ける工程によって、導電部材85と遮蔽部材80とを安定して電気的に接続できる。したがって、回転電機2およびポンプ1の組立性を向上できる。
【0087】
本実施形態によれば、カバー部材12は、樹脂製のカバー本体部13と、カバー本体部13の軸方向他方側を向く面に固定され、回路基板70の軸方向一方側に配置される金属製の遮蔽部材80と、カバー本体部13に保持され、導電性を有する導電部材85と、カバー本体部13に保持され、取付対象5と接触する導電性を有する接触部材84,92と、を有する。導電部材85は、遮蔽部材80および接触部材84,92と電気的に接続される。回路基板70は、遮蔽部材80と電気的に接続される。すなわち、カバー本体部13が樹脂製であるため、カバー部材12の軽量化を図ることができる。また、接触部材84,92と、導電部材85とを介して、回路基板70および遮蔽部材80を接地できる。そのため、遮蔽部材80によって、制御装置7から軸方向一方側に放射される電磁ノイズの少なくとも一部を遮蔽できる。これにより、カバー本体部13を樹脂製としても、遮蔽部材80によって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズを低減できる。
【0088】
本実施形態では、遮蔽部材80をカバー本体部13に固定する構造とすることで、カバー部材12を本体部11に組み付けることによって、遮蔽部材80を回路基板70に対して好適な位置に配置しやすい。これにより、遮蔽部材80を、電磁ノイズを好適に遮蔽するために必要な部分に好適に配置しやすく、遮蔽部材80の形状を、電磁ノイズを抑制するために必要最低限な形状としやすい。したがって、遮蔽部材80が大型化することを抑制でき、カバー部材12の軽量化をより図ることができる。したがって、本実施形態によれば、回転電機2およびポンプ1の軽量化を図りつつ、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズを低減できる。
【0089】
本実施形態では、ハウジング10のうち、回路基板70の軸方向他方側に配置される本体部11は金属製である。そのため、制御装置7から軸方向他方側に放射される電磁ノイズの少なくとも一部は、本体部11によって遮蔽されるため、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズを低減できる。
【0090】
また、本実施形態では、遮蔽部材80は、カバー本体部13の軸方向他方側を向く面に固定される。そのため、遮蔽部材80をインサート成形によってカバー本体部13に保持させる構成と比較して、遮蔽部材80を複雑な形状にできる。例えば、軸方向に突出する箱状の第2遮蔽部82を容易に設けることができる。第2遮蔽部82と接続する第3遮蔽部を容易に設けることができる。つまり、本実施形態では、複雑な形状を有する遮蔽部材80を一つの部材で構成できる。つまり、遮蔽部材80の部品点数が増大することを抑制できる。また、インサート成形によって、本実施形態の遮蔽部材80と同じ形状の遮蔽部材をカバー本体部13に保持させる場合、遮蔽部材を2つ以上の部分に分けて配置する必要がある。この場合、遮蔽部材の各部分を電気的に接続する別途の部材が必要になり、部品点数の増加を招く。したがって、本実施形態では、回転電機2およびポンプの部品点数、および、製造コストが増大することを抑制できる。
【0091】
また、本実施形態によれば、遮蔽部材80は、カバー本体部13の軸方向他方側を向く面に固定されるため、カバー部材12を本体部11に取り付ける工程によって、遮蔽部材80を制御装置7の軸方向一方側に配置できる。そのため、回転電機2およびポンプ1の組立性を向上できる。また、回転電機2およびポンプ1の製造工程において、遮蔽部材80の取り付け忘れを抑制できる。そのため、回転電機2およびポンプ1の組立性をより向上できる。
【0092】
本実施形態によれば、遮蔽部材80は板状である。そのため、遮蔽部材80の軽量化を図ることができる。したがって、回転電機2およびポンプ1の軽量化を図ることができる。また、遮蔽部材80を、プレス加工によって構成できるため、遮蔽部材80の製造コストが増大することを抑制できる。したがって、回転電機2およびポンプ1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0093】
本実施形態によれば、接触部材は、取付対象5に固定される、金属製の第1接触部材84を有する。導電部材85は、第1接触部材84と固定される固定部85aを有する。固定部85aは、円環状であり、第1接触部材84は、円筒状であり、固定部85aに圧入されている。そのため、導電部材85と第1接触部材84とを強固に固定できる。したがって、回路基板70および遮蔽部材80を安定して接地できる。よって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズを好適に低減できる。
【0094】
また、本実施形態では、回転電機2およびポンプ1を取付対象5に固定する第1接触部材84を利用して、遮蔽部材80および回路基板70を接地できる。そのため、遮蔽部材80および回路基板70を接地するために、別途の部材等を設ける必要が無い。したがって、回転電機2およびポンプ1の部品点数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0095】
本実施形態によれば、固定部85aと、第1接触部材84の一部とは、それぞれ、カバー本体部13の内部に埋め込まれ、カバー本体部13の内部において、固定部85aと第1接触部材84とが固定される。つまり、固定部85aと第1接触部材84とが固定される部分の周囲は、カバー本体部13を構成する樹脂に覆われている。そのため、固定部85aと第1接触部材84とは互いに外れづらく、導電部材85と第1接触部材84とをより強固に固定できる。したがって、回路基板70および遮蔽部材80をより安定して接地できる。よって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズをより好適に低減できる。
【0096】
本実施形態によれば、取付対象5が有する穴部5bの内部に嵌め合わされる位置決めピン92を備え、中継部85bは、中継部85bを軸方向に貫通する貫通孔85dを有し、位置決めピン92は、貫通孔82cに通される。また、上述のように、取付対象5に固定される第1接触部材84は、導電部材85と固定される。そのため、周方向および径方向における、第1接触部材84と位置決めピン92との相対位置を、導電部材85によって精度よく決めることができる。つまり、周方向および径方向における、第1接触部材84に対する位置決めピン92の位置のばらつきを抑制できる。したがって、取付対象5に対する、回転電機2およびポンプ1の取り付け位置のばらつきを好適に抑制できる。
【0097】
本実施形態によれば、接触部材は、取付対象5と接触する、金属製の第2接触部材92を有し、第2接触部材92は、位置決めピン92であり、中継部85bと接触する。よって、第2接触部材92は、取付対象5と導電部材85とを電気的に接続できる。第2接触部材92を利用して、遮蔽部材80および回路基板70を接地できる。そのため、遮蔽部材80および回路基板70を接地するために、別途の部材を設ける必要が無い。したがって、回転電機2およびポンプ1の部品点数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0098】
本実施形態によれば、中継部85bの一部と、第2接触部材92の一部とは、それぞれ、カバー本体部13の内部に埋め込まれ保持され、カバー本体部13の内部において、中継部85bと第2接触部材92とが接触する。つまり、中継部85bと第2接触部材92とが接触する部分の周囲は、カバー本体部13を構成する樹脂に覆われている。そのため、中継部85bと第2接触部材92とは互いに動きづらく、導電部材85と第2接触部材92とをより安定して接触させることができる。したがって、回路基板70および遮蔽部材80をより安定して接地できる。よって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズをより好適に低減できる。
【0099】
また、本実施形態によれば、第1接触部材84に加えて第2接触部材92を介して、回路基板70および遮蔽部材80を接地できる。そのため、回路基板70および遮蔽部材80をより安定して接地できる。よって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズをより好適に低減できる。
【0100】
本実施形態によれば、遮蔽部材80は、接続部85cに向かって突出する凸部83aを有し、凸部83aは、接続部85cと接触する。よって、軸方向において、カバー本体部13に対する、遮蔽部材80および接続部85cの位置のばらつきがあっても、遮蔽部材80と接続部85cを安定して接触させることができる。そのため、回路基板70および遮蔽部材80をより安定して接地できる。したがって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズをより好適に低減できる。
【0101】
本実施形態によれば、接続部85cは、カバー本体部13の外部に露出して配置され、遮蔽部材80と軸方向に接触する。そのため、上述のように、予め導電部材85を保持するカバー本体部13に、軸方向他方側から遮蔽部材80を取り付ける工程によって、導電部材85と遮蔽部材80とを容易に接触させることができる。したがって、回転電機2およびポンプ1の組立性をより向上できる。
【0102】
本実施形態によれば、回路基板70に取り付けられた複数の電子部品71を備え、遮蔽部材80は、複数の電子部品71の軸方向一方側に配置され、軸方向に見て、複数の電子部品71と、遮蔽部材80とが重なる。そのため、遮蔽部材80によって、複数の電子部品71から軸方向一方側に放射される電磁ノイズを遮蔽できる。したがって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズを低減できる。
【0103】
また、本実施形態によれば、遮蔽部材80は、複数の電子部品71の軸方向一方側に、複数の電子部品71の比較的近い位置に配置されている。より詳細には、第1遮蔽部81は、第2電子部品71bの軸方向一方側に、第2電子部品71bの比較的近い位置に配置されている。天壁部82bは、第1電子部品71aの軸方向一方側に、第1電子部品71aの比較的近い位置に配置されている。電磁ノイズは、電子部品から放射状に放射される。そのため、遮蔽部材80と複数の電子部品71との間隔が大きくなるほど、回転電機2から外部に放射される電磁ノイズを低減するために、遮蔽部材80の面積を広くする必要がある。しかしながら、本実施形態では、遮蔽部材80が、複数の電子部品71の比較的近い位置に配置されるため、遮蔽部材80を複数の電子部品71の軸方向一方側にのみ配置することで、回転電機2から外部に放射される電磁ノイズを低減できる。そのため、遮蔽部材80の小型化および軽量化を図ることができる。したがって、回転電機2およびポンプ1の軽量化を図ることができる。
【0104】
本実施形態によれば、複数の電子部品71は、第1電子部品71aと第2電子部品71bとを有し、第1電子部品71aは、第2電子部品71bよりも、軸方向の寸法が大きく、遮蔽部材80は、第1電子部品71aの周囲を囲む側壁部82aを有する。そのため、軸方向の寸法が大きい第1電子部品71aから、径方向外側に放射される電磁ノイズを、側壁部82aによって遮蔽できる。したがって、回転電機2およびポンプ1から外部に放射される電磁ノイズをより好適に低減できる。
【0105】
本実施形態によれば、回路基板70の軸方向一方側を向く面上に取り付けられた伝熱部材90を備え、伝熱部材90は、遮蔽部材80と接触する。そのため、上述のように、トランジスタなどの第2電子部品71bにおいて発生した熱を、より好適に遮蔽部材80に伝熱できる。また、上述のように、本実施形態では、金属製の遮蔽部材80は、金属製の導電部材85、金属製の第1接触部材84、および金属製の第2接触部材92を介して、金属製の取付対象5と接続される。そのため、遮蔽部材80に伝熱された熱は、取付対象5に好適に伝熱される。つまり、制御装置7で発生した熱は、好適に取付対象5に伝熱され、回転電機2およびポンプ1の外部に放熱される。したがって、制御装置7の放熱性を好適に向上できる。
【0106】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。例えば、遮蔽部材は、カバー本体部に固定されるならば、溶着以外の方法で固定されてもよい。例えば、エポキシ樹脂系接着剤などの接着剤によって接着固定されてもよいし、ねじなどの別途の部材によって固定されてもよい。また、遮蔽部材は、制御装置から放射される電磁ノイズを低減できるならば、本実施形態の形状に限定されない。例えば、制御装置を内部に収容する筒状であってもよい。
【0107】
導電部材は、接触部材と遮蔽部材とを電気的に接続できるならば、本実施形態の形状に限定されない。導電部材は、単一の部材である必要はなく、2以上の部材から構成されてもよい。また、導電部材は、カバー本体部に埋め込まれていなくてもよい。
【0108】
遮蔽部材は、安定して接地されるならば、導電部材と直接接続されていなくてもよい。例えば、導電部材および遮蔽部材と電気的に接続される別個の部材を介して接地されてもよいし、接地される回路基板と電気的に接続されていてもよい。また、遮蔽部材は、凸部を有していなくてもよく、例えば、導電部材の接続部が、遮蔽部材に向かって突出する凸部を有していてもよい。
【0109】
本発明が適用される回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、ポンプ以外の機器に搭載されてもよい。回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。本発明が適用される回転電機を備えるポンプの用途は、特に限定されない。ポンプによって送られる流体の種類は、特に限定されず、水などであってもよい。回転電機およびポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0110】
1…ポンプ、2…回転電機、5…取付対象、5b…穴部、10…ハウジング、11…本体部、11b…開口部、12…カバー部材、13…カバー本体部、20…ロータ、30…ステータ、40…ポンプ機構、70…回路基板、71…電子部品、71a…第1電子部品、71b…第2電子部品、80…遮蔽部材、82a…側壁部、83a…凸部、84…第1接触部材、85…導電部材、85a…固定部、85b…中継部、85c…接続部、85d…貫通孔、87…接続端子、90…伝熱部材、92…第2接触部材(位置決めピン)、J…中心軸