(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091981
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
A63F5/04 602A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206897
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖之
(72)【発明者】
【氏名】西澤 暢
(72)【発明者】
【氏名】森山 翔太
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CB01
2C182CB02
2C182CB03
2C182CD22
(57)【要約】
【課題】スイッチの操作有無を適切に判定する。
【解決手段】遊技を進行する主制御部と、主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える本発明の遊技機は、ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作されたストップスイッチに対応するリールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、操作に応じて主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、を備え、スイッチ判定手段は、前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関するベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、スイッチ判定処理を実行し、スタートスイッチが操作されてからリールの回転開始までの一部または全部の期間、スイッチ判定処理を実行しない。
【選択図】
図34
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、
ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、
操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、
を備え、
前記スイッチ判定手段は、
前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、
前記スタートスイッチが操作されてから前記リールの回転開始までの一部または全部の期間、前記スイッチ判定処理を実行しない遊技機。
【請求項2】
遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、
ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、
操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、
を備え、
前記スイッチ判定手段は、
前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、
前記リールの回転開始から前記リールが定常回転となるまでもしくは前記ストップスイッチの操作が有効化されるまでの一部または全部の期間、前記スイッチ判定処理を実行しない遊技機。
【請求項3】
遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、
ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、
操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、
を備え、
前記スイッチ判定手段は、
前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、
前記ストップスイッチの操作が行われてから操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールが停止するまでの間、前記スイッチ判定処理を実行しない遊技機。
【請求項4】
遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、
ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、
操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、
入賞した当選役を判定する入賞判定手段と、
を備え、
前記スイッチ判定手段は、
前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、
前記入賞判定手段が入賞判定している間および前記入賞判定に伴う処理を実行している間のいずれか一方または双方において、前記スイッチ判定処理を実行しない遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者に遊技上の利益を付与するか否かを抽選により決定する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンでは、遊技者によるメダル(遊技媒体)のベットおよびスタートスイッチの操作に応じて、当選役の抽選を行うとともに、種々の図柄が記された複数のリールが回転制御される。そして、抽選結果と遊技者によるストップスイッチの操作に応じてリールが順次停止され、払い出しの対象となるライン上である有効ライン上に、当選役に対応する図柄組み合わせが表示されると、所定枚数のメダルが払い出されるなど、遊技上の利益(以下、単に遊技利益という)が遊技者に付与されることとなる。
【0003】
また、スロットマシンでは、遊技の進行に際し、遊技者の有利度合(遊技利益)を異にする複数の遊技状態が設けられている。例えば、遊技利益が大きい当選役(以下、正解役という)と他の当選役とが重複した当選種別(以下、選択当選種別という)に当選したときに、その正解役の入賞条件となるストップスイッチの操作態様(以下、正解操作態様という)が報知されることで(以下、このような所定の当選役の入賞条件となる操作態様を報知する(正解役の入賞を補助する)演出を単に補助演出という)、当該正解役に対応する図柄組み合わせを、遊技者が有効ライン上に容易に表示させることができる、所謂、AT(アシストタイム)が実行されるAT演出状態を設けているスロットマシンもある。また、リプレイ役の当選確率が高く設定されたRT(リプレイタイム)遊技状態を用いたり、上記のAT演出状態とRT遊技状態が同時に進行される所謂ART遊技状態を用いることもある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スロットマシンの主制御基板には、ベットスイッチ、スタートスイッチ、ストップスイッチといったスイッチが接続されている。このようなスイッチが操作されると、主制御基板から副制御基板に、スイッチが操作されたことを示すコマンドが送信されることがある。
【0006】
しかし、遊技の進行に拘わらず、無作為にスイッチの操作有無を判定し、スイッチが操作されたことを示すコマンドを送信するとなると、重要度の高い他のコマンドの円滑な送信を妨げるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、スイッチの操作有無を適切に判定することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、を備え、前記スイッチ判定手段は、前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、前記スタートスイッチが操作されてから前記リールの回転開始までの一部または全部の期間、前記スイッチ判定処理を実行しない。
上記課題を解決するために、本発明の他の遊技機は、遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、を備え、前記スイッチ判定手段は、前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、前記リールの回転開始から前記リールが定常回転となるまでもしくは前記ストップスイッチの操作が有効化されるまでの一部または全部の期間、前記スイッチ判定処理を実行しない。
上記課題を解決するために、本発明の他の遊技機は、遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、を備え、前記スイッチ判定手段は、前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、前記ストップスイッチの操作が行われてから操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールが停止するまでの間、前記スイッチ判定処理を実行しない。
上記課題を解決するために、本発明の他の遊技機は、遊技を進行する主制御部と、前記主制御部の情報に基づいて演出を実行する副制御部と、を備える遊技機であって、ベットが実行された後、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールを回転制御し、ストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応する前記リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、操作に応じて前記主制御部に信号が入力されるスイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段と、入賞した当選役を判定する入賞判定手段と、を備え、前記スイッチ判定手段は、前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関する前記ベットが実行されるまでの間のいずれかのタイミングで、前記スイッチ判定処理を実行し、前記入賞判定手段が入賞判定している間および前記入賞判定に伴う処理を実行している間のいずれか一方または双方において、前記スイッチ判定処理を実行しない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スイッチの操作有無を適切に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
【
図2】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。
【
図3】リールの図柄配列および有効ラインを説明する図である。
【
図4】スロットマシンの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
【
図7】遊技状態の遷移を説明するための説明図である。
【
図8】演出状態の遷移を説明するための説明図である。
【
図9】主制御基板におけるCPU初期化処理を説明するフローチャートである。
【
図10】主制御基板におけるコールドスタート処理を説明するフローチャートである。
【
図11】主制御基板におけるエラー停止処理を説明するフローチャートである。
【
図12】主制御基板における設定値切り替え処理を説明するフローチャートである。
【
図13】主制御基板における初期化スタート処理を説明するフローチャートである。
【
図14】主制御基板における状態復帰処理を説明するフローチャートである。
【
図15】主制御基板における遊技開始処理を説明するフローチャートである。
【
図16】主制御基板における遊技メダル投入処理を説明するフローチャートである。
【
図17】主制御基板における内部抽選処理を説明するフローチャートである。
【
図18】主制御基板における図柄コード設定処理を説明するフローチャートである。
【
図19】主制御基板200における実行フラグ設定処理を説明するフローチャートである。
【
図20】状態別モジュール実行処理で実行される非有利演出状態処理を説明するフローチャートである。
【
図21】状態別モジュール実行処理で実行される振分演出状態処理を説明するフローチャートである。
【
図22】状態別モジュール実行処理で実行される通常演出状態処理を説明するフローチャートである。
【
図23】状態別モジュール実行処理で実行される前兆演出状態処理を説明するフローチャートである。
【
図24】状態別モジュール実行処理で実行されるAT演出状態処理を説明するフローチャートである。
【
図25】状態別モジュール実行処理で実行される特別前兆演出状態処理を説明するフローチャートである。
【
図26】状態別モジュール実行処理で実行される特別演出状態処理を説明するフローチャートである。
【
図27】主制御基板における回胴回転中処理を説明するフローチャートである。
【
図28】主制御基板における回胴停止処理を説明するフローチャートである。
【
図29】主制御基板における表示判定処理を説明するフローチャートである。
【
図30】主制御基板における払出処理を説明するフローチャートである。
【
図31】主制御基板における遊技移行処理を説明するフローチャートである。
【
図32】主制御基板における電源断時退避処理を説明するフローチャートである。
【
図33】主制御基板におけるタイマ割込み処理を説明するフローチャートである。
【
図34】1遊技の処理の流れを説明するためのタイミングチャートである。
【
図35】スイッチ判定手段およびコマンド送信手段の処理を説明するための図である。
【
図36】スイッチ判定手段およびコマンド送信手段の他の処理を説明するための図である。
【
図37】メインCPU周辺の電気的な接続を説明するための図である。
【
図38】CPUコアの内部構成を示したブロック図である。
【
図41】主制御基板に接続された各表示部の回路構成を説明するための回路図である。
【
図42】投入数表示器の具体的な点灯制御を説明するための説明図である。
【
図43】DYNMOUTモジュールの具体的な処理を示したフローチャートである。
【
図44】DYNMOUTモジュールの具体的なコマンドの一例を示した図である。
【
図45】投入数に基づく投入数表示器の点灯情報の導出態様を説明した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および
図2の外観図に示すように、遊技機としてのスロットマシン100は、前面が開口した筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられており、筐体102内の図柄表示窓108に対応する位置には、3つのリール110(左リール110a、中リール110b、右リール110c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cの外周面には、
図3(a)の図柄配列に示すように、20に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されており、遊技者は、図柄表示窓108を通じて、上段、中段、下段に位置する、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する合計9個の図柄を視認することができる。
【0013】
前面下扉106の上部には操作部設置台112が形成され、操作部設置台112には、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、演出スイッチ122等が設けられている。メダル投入部114は、メダル投入口114aを通じて遊技価値としてのメダルの投入を受け付ける。ベットスイッチ116は、スロットマシン100の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)されているメダルのうち、所定数のメダルを投入(ベット)する際に用いられるスイッチである。なお、ベットスイッチ116には、1遊技で必要とされる規定数のメダルを投入(ベット)するマックスベットスイッチ、規定数の範囲内で1枚分のメダルを追加的に投入する1ベットスイッチが含まれる。
【0014】
スタートスイッチ118は、例えば傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。ストップスイッチ120(ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120c)は、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応して設けられており、遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ120の停止操作が可能な状態で、遊技者が、ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120cのいずれかを最初に停止操作することを第1停止といい、第1停止の後、停止操作されていない2つのストップスイッチ120のいずれかを停止操作することを第2停止といい、第2停止の後、最後に残ったストップスイッチ120を停止操作することを第3停止という。演出スイッチ122は、例えば、押圧スイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。
【0015】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部124が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ126が設けられる。また、前面上扉104の裏面における液晶表示部124の左右位置や前面下扉106の裏面における左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ128が設けられている。
【0016】
操作部設置台112には、メインクレジット表示部130およびメイン払出表示部132が設けられている。また、図柄表示窓108と操作部設置台112との間には、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136が設けられている。これらメインクレジット表示部130およびサブクレジット表示部134にはクレジットされているメダルの枚数(クレジット枚数)が表示され、メイン払出表示部132およびサブ払出表示部136にはメダルの払出枚数が表示される。
【0017】
筐体102内におけるリール110の下方には、メダル排出口140aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)142が設けられている。また、前面下扉106の前面下部には、メダル排出口140aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部140が設けられている。また、筐体102内には、電源スイッチ144が設けられている。電源スイッチ144は、スロットマシン100を管理する管理者が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0018】
また、筐体102内には、後述する主制御基板200に、図示しない設定キーおよび設定変更スイッチ(これらを合わせて設定値設定手段という)が設けられている。スロットマシン100では、設定キーに所定の鍵(操作キー)が挿入されてオフの位置からオンの位置へ回転された状態で電源スイッチ144を介して電源が投入されると設定変更モードに移行し、設定値の変更(単に設定変更ともいう)が可能な状態となる。設定値は、遊技者の有利度合(機械割)を段階的に示したものであり、例えば、1~6の6段階で表され、一般に、設定値の数値が大きいほど遊技全体として有利度合が高い(期待獲得枚数が高い)ように設定されている。そして、設定変更が可能な状態において設定変更スイッチが押下される度に設定値が1ずつ加算され、例えば、6段階の設定値のうちのいずれかの設定値に変更され、スタートスイッチ118が操作されると、設定値が確定し、設定キーを元の位置(OFFの位置)に戻すことで設定変更モードが終了して遊技が可能となる。なお、設定変更は、電源スイッチ144が操作されて電源の投入状態となってから一定期間のみ可能となっている。
【0019】
スロットマシン100では、遊技が開始可能となり、規定数のメダルがベットされると、有効ラインが有効化するとともに、スタートスイッチ118に対する操作が有効となる。ここで、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部114を通じてメダルを投入する場合と、詳しくは後述するリプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、有効ラインは、当選役の入賞を判定するためのラインであり、本実施形態では1本である。
図3(b)に示すように、図柄表示窓108に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、有効ラインAは、左リール110aの中段、中リール110bの下段、右リール110cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインに設定されている。無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、
図3(b)に示す6つの無効ラインB1、B2、B3、C1、C2、Dを想定している。
【0020】
そして、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、遊技が開始され、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御されるとともに、当選種別抽選等が実行される。その後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cをそれぞれ停止させる。そして、当選種別抽選の抽選結果および有効ラインAに表示された図柄の組み合わせによって、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合にはメダルの払い出しが実行され、メダルの払い出しを受け得る当選種別に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合には左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって、遊技が終了する。
【0021】
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部114を通じたメダルの投入、ベットスイッチ116の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御されるとともに当選種別抽選が実行され、当選種別抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ120a、120b、120cに対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選種別に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ118の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。また、このような、当選種別抽選が実行され1度の払い出しを受け得る1遊技を、後述する疑似遊技(擬似遊技)と区別するため、基本遊技という場合もある。ここで、基本遊技が単独で行われる場合であっても、基本遊技が疑似遊技と組合せて行われる場合であっても、基本遊技の消化をもって1遊技消化とする。したがって、疑似遊技の消化は、スロットマシン100内の遊技数の計数に影響しない。ただし、ホールコンピュータ(図示せず)が管理する遊技数については、仕様により、疑似遊技を遊技数として計数してもよいし、計数しないとしてもよい。
【0022】
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、スロットマシン100は、遊技の進行を制御する主制御基板200(主制御部)と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板202(副制御部)とを含む制御基板が設けられている。また、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。
【0023】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
【0024】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314、コマンド送信手段316等の機能部を有する。
【0025】
主制御基板200では、メダル投入口114aへのメダルの投入を検出する投入メダル検出部414b、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118およびストップスイッチ120a、120b、120cから各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
【0026】
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。
【0027】
リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。また、リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化してから、当選種別抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化するまで(前回の遊技におけるストップスイッチ120a、120b、120cの操作完了により無効化されている)の時間を規定の時間より延長し、その間、リール110a、110b、110cを多彩な態様で回転制御するリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。リール演出は、本来有効となるべき任意のスイッチを所定時間有効にしなかったり、本来実行されるべき処理を所定時間保留したり、本来送受信されるべき任意のスイッチの信号を所定時間送信または受信させなかったりすることで実現できる。また、本実施形態においては、リール演出として、基本遊技におけるスタートスイッチ118の操作に応じ、基本遊技を中断して、基本遊技の進行を遅延させ、その間に、リール110a、110b、110cを回転制御し、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じてリール110a、110b、110cを仮停止制御する、基本遊技に似せた疑似遊技を行う場合がある。なお、疑似遊技は、再度のスタートスイッチ118の操作、または、仮停止制御から所定時間が経過したことを条件に終了し、基本遊技におけるリール110a、110b、110cの回転制御が再開する。また、疑似遊技の一例として、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、各リール110a、110b、110cにおける所定の図柄(例えば、ボーナス役を構成する図柄)を、自動的に仮停止制御することもできる。かかる疑似遊技では、基本遊技と類似の回転制御および停止態様あるいは異なる回転制御および停止態様で演出を実行することができるので、遊技の興趣を高めることができる。なお、仮停止は、一見停止しているように見えるが、リール110a、110b、110cのステッピングモータ152の位相信号を500msec以内で変化させ続けることで、完全停止していない状態を示し、仮停止制御は、リール110a、110b、110cを仮停止させる制御を示す。ただし、特に区別する場合を除き、一方向に回転することなく、その位置を維持しているという意味で停止も仮停止も単に停止として扱い、また、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止させる意味で、停止制御も仮停止制御も単に停止制御として扱う。
【0028】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
【0029】
判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数(価値量)だけメダルを払い出す。また、主制御基板200には、メダル払出装置142が接続されており、払出制御手段310は、メダルの払出枚数を計数しながらメダルを排出する。
【0030】
遊技状態制御手段312は、当選種別抽選の結果や判定手段308の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。また、演出状態制御手段314は、当選種別抽選の結果、判定手段308の判定結果、遊技状態の遷移情報を参照し、複数種類の演出状態のいずれかに演出状態を移行させる。
【0031】
コマンド送信手段316は、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
【0032】
また、主制御基板200には、乱数発生器(乱数生成手段)200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定回数分計数すると計数値をリセットする(数列を変更して初期値を定める)ことで、所定の数値範囲内で計数値をループさせる。主制御基板200では、所定の時点において乱数発生器200dから計数値を抽出することで乱数値を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数値(以下、当選種別抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選種別抽選手段304が当選種別を決定するために用いられる。
【0033】
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器(乱数生成手段)202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数値(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0034】
また、副制御基板202では、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
【0035】
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、演出スイッチ122から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ126の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部124に表示される画像データや、演出用ランプ126、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ128から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。なお、演出には、補助演出も含まれる。補助演出は、当選種別抽選において、正解役と不正解役とが重複した選択当選種別に当選したときに、その正解役の入賞条件となるストップスイッチ120a、120b、120cの正解操作態様を報知する演出である。かかる補助演出により、遊技者は、正解役に対応する図柄組み合わせを、遊技者が有効ラインA上に容易に表示させることができる。なお、正解役は、その当選役が入賞したことによるメダルの払い出しのみならず、その当選役が入賞することで得られる全ての遊技利益を含めて不正解役より有利な当選役を言う。かかる補助演出を実行する演出状態をAT(アシストタイム)演出状態という。また、AT演出状態とリプレイ役の当選確率が高いRT(リプレイタイム)遊技状態が並行して進行される所謂ART遊技状態を用いることもある。
【0036】
なお、以下では、液晶表示部124、演出用ランプ126、スピーカ128、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136といった、副制御基板202を含む、主制御基板200以外の基板で管理される報知手段を他報知手段という場合がある。これに対し、メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132といった、主制御基板200で管理される報知手段を主報知手段(指示モニタ)という場合がある。また、補助演出を実行可能な主報知手段および他報知手段を合わせて補助演出実行手段という場合もある。演出状態制御手段314は、AT演出状態において、補助演出を補助演出実行手段に実行させる。特に、本実施形態においては、主報知手段(指示モニタ)として、メイン払出表示部132に、操作態様(打順)を特定可能な数値(指示番号)を表示し、他報知手段として、液晶表示部124、演出用ランプ126、スピーカ128を通じて操作順を報知する。
【0037】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
図5は、当選役を説明するための説明図であり、
図6は、当選種別抽選テーブルを説明するための説明図である。
【0038】
スロットマシン100においては、詳しくは後述するように、複数種類の遊技状態および演出状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態および演出状態が移行される。そして、主制御基板200では、遊技状態制御手段312により管理、制御される遊技状態に対応する複数の当選種別抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選種別抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値(遊技利益を得る容易性を段階的に示したもの)と現在の遊技状態に応じて、対応する当選種別抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選種別抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ118の操作信号に応じて取得された当選種別抽選乱数が当選種別抽選テーブル内のいずれの当選種別に対応するか判定する。
【0039】
ここで、当選種別抽選テーブルで抽出される当選種別を構成する当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役が含まれる。リプレイ役は、リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度遊技を実行できる役である。小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、遊技状態制御手段312により管理される遊技状態をボーナス遊技状態(後述するRBB作動中遊技状態)に移行させることができる役である。
【0040】
本実施形態における当選役は、
図5に示すように、ボーナス役として、当選役「RBB」が設けられている。また、リプレイ役として、当選役「リプレイ1」~「リプレイ4」が設けられている。また、小役として、当選役「小役1」~「小役38」が設けられている。
図5では、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。なお、以下では、当選役「小役1」~「小役6」を当選役「9枚役」、当選役「小役7」を当選役「3枚役」、当選役「小役8」~「小役38」を当選役「1枚役」と略す場合がある。
【0041】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、リール110の回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、入賞可能な当選役に対応する図柄がリール110中に複数あり、いずれもリール110の引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、入賞可能な当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別に含まれる当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段306は、遊技者の操作態様に応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能に停止制御する。
【0042】
そして、例えば、当選役「リプレイ1」~「リプレイ3」、当選役「小役1」~「小役6」、「小役11」、「小役12」、「小役16」~「小役19」、「小役38」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている。このような当選役をPB=1と表す場合がある。一方、例えば、当選役「RBB」、当選役「リプレイ4」、当選役「小役7」~「小役10」、「小役13」~「小役15」、「小役20」~「小役37」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ずしも有効ラインA上に表示可能なように配列されていないので、所謂取りこぼしが発生する場合がある。このような当選役をPB≠1と表す場合がある。
【0043】
図6に示すように、当選種別抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、不当選(ハズレ)の有無が異なったりする。
図6では、各遊技状態(非内部遊技状態(非内部)、RBB内部中遊技状態(RBB内部中)、RBB作動中遊技状態(RBB作動中))毎に割り当てられた当選領域(当選種別)を「◎」や「○」で表しているが、実際には、複数の遊技状態それぞれに対応する当選種別抽選テーブルがメインROM200bに記憶されている。なお、「◎」は有利区間に移行させる抽選を行うことが可能な有利区間抽選可当選種別であることを示し、「○」は有利区間に移行させる抽選を行うことが不可な有利区間抽選不可当選種別であることを示している。
【0044】
当選種別抽選テーブルでは、区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選種別抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選種別それぞれが決定される確率は、当選領域に対応付けられた置数を当選種別抽選乱数の総数で除算した値となる。当選種別抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選種別抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を当選種別抽選乱数から減算して、減算後の値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を当選種別抽選の抽選結果としている。また、当選領域1以上の全ての当選領域の置数を当選種別抽選乱数から減算して、減算後の値が0以上となっていれば、当選領域0の当選種別「ハズレ」が当選種別抽選の抽選結果となる。
【0045】
ここで、当選役「RBB」について補足する。所定の第1種特別役物(RB)は、規定数毎の入賞に係る図柄の組み合わせの数を増加させ、または規定数毎の入賞に係る条件装置が作動する確率を上昇させる役物で、あらかじめ定められた場合に作動し、12回を超えない回数の遊技の結果が得られるまで作動を継続することができるものをいう。ここで、条件装置は、その作動が入賞、再遊技、役物または役物連続作動装置の作動に係る図柄の組み合わせが表示されるために必要な条件とされている装置で、当選種別抽選(遊技機内で行われる電子計算機によるくじ)に当選した場合に作動するもの、すなわち、当選フラグを意味する。
【0046】
図6の当選種別抽選テーブルによれば、例えば当選領域0には、当選種別「ハズレ」が対応付けられており、かかる当選種別に当選すると、
図5に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることはなく、メダルの払い出し等が行われることはない。
【0047】
また、当選領域1には、当選役「小役1」~「小役38」が重複して含まれる当選種別「ベルALL」が対応付けられ、当選領域2には、当選役「小役8」~「小役38」が重複して含まれる当選種別「1枚ALL」が対応付けられている。
【0048】
また、当選領域3~13には、払出枚数が1枚の当選役「1枚役」のいずれかが重複して含まれる当選種別「リーチ目1」~「リーチ目11」がそれぞれ対応付けられている。なお、以下では、当選領域3~13の11個の当選種別を単に当選種別「リーチ目」と略す場合がある。
【0049】
また、当選領域14には、払出枚数が1枚の当選役「小役14」と、当選役「小役32」と、当選役「小役33」と、当選役「小役36」と、当選役「小役38」とが重複して含まれる当選種別「チェリーA」が対応付けられ、当選領域15には、払出枚数が3枚の当選役「小役7」と、払出枚数が1枚の当選役「小役36」とが重複して含まれる当選種別「チェリーB」が対応付けられている。なお、以下では、当選領域14、15の2個の当選種別を単に当選種別「チェリー」と略す場合がある。
【0050】
また、当選領域16~31には、払出枚数が9枚となる正解役(当選役「小役1」~「小役6」)のいずれかと、払出枚数が1枚の不正解役(当選役「小役16」~「小役35」)のいずれかとが重複して含まれる選択当選種別(当選種別「打順ベルA3」~「打順ベルA6」、当選種別「打順ベルB3」~「打順ベルB6」、当選種別「打順ベルC3」~「打順ベルC6」、当選種別「打順ベルD3」~「打順ベルD6」)がそれぞれ対応付けられている。なお、以下では、当選領域16~31の16個の当選種別を単に当選種別「打順ベル」と略す場合がある。
【0051】
また、当選領域32には、当選役「小役1」、「小役17」、「小役18」が重複して含まれる当選種別「共通ベル1」が対応付けられ、当選領域33には、当選役「小役2」、「小役17」、「小役18」が重複して含まれる当選種別「共通ベル2」が対応付けられ、当選領域34には、当選役「小役8」~「小役13」、「小役15」、「小役36」~「小役38」が重複して含まれる当選種別「共通1枚」が対応付けられている。
【0052】
また、当選領域35には、当選役「リプレイ1」~「リプレイ4」が重複して含まれる当選種別「リプレイA」が対応付けられ、当選領域36には、当選役「リプレイ1」、「リプレイ2」、「リプレイ4」が重複して含まれる当選種別「リプレイB」が対応付けられている。
【0053】
また、当選領域37には、当選役「RBB」が単独で含まれる当選種別「RBB」が対応付けられ、当選領域38~40には、当選役「RBB」と、払出枚数が1枚の当選役「1枚役」のいずれかが重複して含まれる当選種別「RBBリーチ目1」~「RBBリーチ目3」が対応付けられ、当選領域41には、当選役「RBB」と、払出枚数が1枚の当選役「小役14」と、当選役「小役32」と、当選役「小役33」と、当選役「小役36」と、当選役「小役38」とが重複して含まれる当選種別「RBBチェリーA」が対応付けられ、当選領域42には、当選役「RBB」と、当選役「小役8」~「小役13」、「小役15」、「小役36」~「小役38」が重複して含まれる当選種別「RBB共通1枚」が対応付けられている。
【0054】
そして、複数の当選役が重複して含まれる当選種別に当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に優先的に表示させるかについての入賞条件、例えば、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作される順番、および、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作タイミング(リール110の操作位置)が設定されている。
【0055】
以下の説明において、左リール110a、中リール110b、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順1」とし、左リール110a、右リール110c、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順2」とし、中リール110b、左リール110a、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順3」とし、中リール110b、右リール110c、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順4」とし、右リール110c、左リール110a、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順5」とし、右リール110c、中リール110b、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順6」とする。
【0056】
例えば、当選領域3の当選種別「リーチ目1」に当選し、正解操作態様(打順1、2)での操作が行われた場合、払出枚数が1枚の正解役である当選役「小役13」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順3~6での操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役「1枚役」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に必ず表示されるように停止制御がなされる。また、当選領域4~14の各当選種別に当選した場合、当選領域3の当選種別「リーチ目1」同様、正解操作態様(打順1、2)での操作が行われると、払出枚数が1枚の正解役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされ、打順3~6での操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役「1枚役」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に必ず表示されるように停止制御がなされる。
【0057】
また、当選領域16の当選種別「打順ベルA3」に当選し、正解操作態様(打順3)での操作が行われた場合、払出枚数が9枚の正解役である当選役「小役3」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順1、2、4~6での操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役「1枚役」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に1/1、1/2もしくは1/4の確率で表示されるように停止制御がなされる。
【0058】
なお、当選領域16~31の各当選種別の当選確率(置数)は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選種別に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域16~31を設けることにより、正解役を入賞させにくくしている。また、上記のように、不正解役が優先的に表示される操作態様でストップスイッチ120a、120b、120cが操作されても、必ずしも不正解役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、取りこぼしが発生することがある(PB≠1)。
【0059】
なお、上述したいずれかの当選種別に当選すると、それぞれの当選種別に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、各リール110の停止制御がなされることとなる。このとき、小役が含まれる当選種別に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該遊技の終了後に内部当選フラグがオフされる。つまり、小役の当選の権利は小役が含まれる当選種別に当選した遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「RBB」が含まれる当選種別に当選した場合には、RBB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、RBB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。なお、リプレイ役が含まれる当選種別に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選種別に含まれるリプレイ役のうちのいずれかのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがオフされる。
【0060】
(遊技状態の遷移)
ここで、
図7を用い、遊技状態の遷移について説明する。ここでは、非内部遊技状態、RBB内部中遊技状態、RBB作動中遊技状態といった複数の遊技状態が準備されている。各遊技状態は、後述するように、ボーナス役の当選、入賞(作動)、終了に応じて遷移させる。なお、各遊技状態において当選可能な当選種別は、
図6において「◎」や「○」で表される。
【0061】
非内部遊技状態は、複数の遊技状態における初期状態に相当する遊技状態である。かかる非内部遊技状態では、リプレイ役の当選確率が約1/7.3に設定されている。また、非内部遊技状態では、当選役「RBB」が所定の確率(例えば約1/30)で決定されている。遊技状態制御手段312は、当選役「RBB」の当選に応じて遊技状態を遷移させる。例えば、当選役「RBB」に当選した遊技において、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRBB作動中遊技状態に移行させる(1)。
【0062】
RBB作動中遊技状態では、リプレイ役の当選確率が0に設定されている。なお、かかるRBB作動中遊技状態では、当選可能な当選種別として、当選領域1に当選種別「ベルALL」が、当選領域2に「1枚ALL」が設定されている。当選種別「ベルALL」に当選すると、当選役「小役1」~「小役38」のいずれかに対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示され、当選種別「1枚ALL」に当選すると、当選役「小役8」~「小役38」のいずれかに対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御される。ここでは、かかる小役の構成によりRBB作動中遊技状態での単位遊技当たりの期待獲得枚数を低くしている。
【0063】
RBB作動中遊技状態の終了条件が成立すると、すなわち、獲得枚数が所定枚数(例えば22枚)を超えると、遊技状態制御手段312は、遊技状態を非内部遊技状態に移行させる(2)。
【0064】
一方、当選役「RBB」に当選した遊技において、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができなかった場合、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRBB内部中遊技状態に移行させる(3)。
【0065】
RBB内部中遊技状態では、リプレイ役の当選確率が約1/7.3に設定されている。また、RBB内部中遊技状態では当選種別「ハズレ」に当選することはない。換言すれば、当選役「RBB」の当選遊技で当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができなかった場合、その後は、当選役「RBB」より小役やリプレイ役の方が優先して有効ラインA上に停止制御されるので、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができない。したがって、一旦、遊技状態がRBB内部中遊技状態に移行すると、その後、遊技状態が遷移することなく、RBB内部中遊技状態が維持されることとなる。ここでは、かかるRBB内部中遊技状態を維持しつつ、そのRBB内部中遊技状態においてAT演出状態を実現する。
【0066】
ここでは、RBB内部中遊技状態において、複数種類の正解役が互いに重複せずに当選するため、正解役を入賞させることができる機会を多くすることができ、その結果、例えば、RBB内部中遊技状態におけるAT演出状態において補助演出が行われることで、メダルを獲得しやすくできる。一方、RBB作動中遊技状態では、複数種類の正解役が重複して当選するため、正解役を入賞させることができる機会が少ないので、他の遊技状態におけるAT演出状態よりも正解役を入賞させることができる機会が減り、遊技者が所有するメダルを増やしにくくしている。したがって、RBB内部中遊技状態よりも入賞に係る当選役の当選確率が高いというRBB作動中遊技状態の機能を備えつつ、メダルの獲得性能の面ではRBB作動中遊技状態がRBB内部中遊技状態に劣るという仕様(アクセルRBB)を実現することができる。
【0067】
(演出状態の遷移)
図8は、演出状態の遷移を説明するための説明図である。以下、主制御基板200において演出状態制御手段314により遷移される演出状態について詳述する。
【0068】
ここで、メダルの獲得性能が高い遊技状態が偏っているか否かを統括的かつ画一的に判定すべく、指示機能に係る性能を有する遊技区間、すなわち、補助演出(指示機能)を実行する遊技区間等を含む、遊技者にとって有利な遊技区間を有利区間として定義する。なお、有利区間は、主制御基板200で補助演出の作動に係る抽選等を行った結果、補助演出が作動した場合には、主制御基板200において指示の内容が識別できるよう、例えば、主報知手段に表示したときに限り、指示の内容を示す情報を、副制御基板202等の周辺基板に送信してもよい遊技区間である。また、有利区間と異なり、補助演出(指示機能)を実行することができない遊技区間を非有利区間とする。したがって、複数の演出状態は、遊技区間である有利区間および非有利区間のいずれかに属することとなる。本実施形態では、ほぼ全ての演出状態が有利区間に属し、一部の演出状態(ここでは非有利演出状態)で非有利区間を実現している。
【0069】
なお、有利区間において、補助演出がないと正解役を取りこぼしてしまう当選態様のうち、正解役の配当が最大(ここでは、9枚)となる選択当選種別において、正解役の入賞を補助する補助演出(最大払出枚数を獲得できる補助演出)を行う場合、例えば、区間表示器160を点灯させることによって、その旨を報知しなければならない。
【0070】
また、非有利区間においては、当選種別の当選確率を設定値毎に異ならせることは可能であるが、同一の当選種別において補助演出を伴う演出状態(AT演出状態)への移行を決定する確率は設定値毎に異ならせてはならない。一方、有利区間においては、当選種別の当選確率、および、同一の当選種別における補助演出を伴う演出状態(AT演出状態)への移行(または追加)を決定する確率のいずれも設定値毎に異ならせることは可能である。
【0071】
したがって、演出状態制御手段314は、演出状態の移行の管理に加え、非有利区間と有利区間との移行も管理することとなる。また、有利区間は、このような管理に拘わらず、以下の終了条件が成立することで強制的に終了する。例えば、スロットマシン100では、有利区間において計数される値が所定値に達したこと(例えば、滞在遊技数が1500遊技または3000遊技に達したり、MYが2400枚を超えたこと)に基づいて有利区間が強制的に終了する。なお、MYは差枚数が最も低いときを0とした場合の差枚数を示す。なお、スロットマシンの遊技性を維持しつつ、実物のメダルの介在なしに遊技を進行することができるメダルレス遊技機では、滞在遊技数の制限を設けなくてよいので、有利区間においてMYが2400枚を超えたことに基づいて有利区間が強制的に終了することとなる。いずれの場合においても、演出状態制御手段314は、有利区間から非有利区間に移行することで、有利区間で更新された情報(指示機能に係る性能に影響を及ぼす全ての変数)を全てリセットする。
【0072】
(非有利区間、有利区間)
非有利区間においては、補助演出が実行されないので、獲得できるメダルの枚数が制限される。ここでは、非有利区間の演出状態として非有利演出状態が設けられている。
【0073】
有利区間においては、選択当選種別の当選時において補助演出実行手段に補助演出を実行させることで、メダルの消費を抑えつつ、多くのメダルを獲得することが可能となる。したがって、遊技者は、有利区間に移行することで、非有利区間と比べ、遊技を有利に進行することができる。ここでは、有利区間の演出状態として、それぞれ遊技性が異なる、通常演出状態、前兆演出状態、AT演出状態、振分演出状態、特別前兆演出状態、特別演出状態が設けられている。以下、各演出状態について個々に説明する。
【0074】
(通常演出状態)
通常演出状態は、有利区間に属し、複数の演出状態のうち、遊技の開始時に滞在している可能性が高い演出状態である。演出状態制御手段314は、通常演出状態においてAT抽選を行う。AT抽選は、AT演出状態への移行を決定する抽選であり、演出状態制御手段314は、当選種別抽選により決定された当選種別に対応した確率でAT抽選を行う。演出状態制御手段314は、AT抽選に当選すると、演出状態を、AT演出状態の前段に相当する前兆演出状態に移行させ(1)、AT演出状態への移行が決定したことの期待度を高める前兆演出を演出制御手段334に実行させる。また、演出状態制御手段314は、AT抽選に非当選であっても、通常演出状態を維持したまま、演出制御手段334に前兆演出を実行させる場合があり、遊技者に、AT演出状態への移行が決定しているのではないかと期待させることができる。また、演出状態制御手段314は、通常演出状態において所定の遊技数を消化する度に、AT抽選の当選確率を高めた、所謂、チャンスゾーン(CZ)を複数遊技に渡って実行する。かかるチャンスゾーンにおいてAT抽選に当選した場合も、演出状態制御手段314は、演出状態を前兆演出状態に移行させる(1)。
【0075】
(前兆演出状態)
前兆演出状態は、有利区間に属し、所定遊技数(ここでは、例えば、32遊技以下の所定の遊技数)の間、前兆演出を実行する演出状態である。なお、前兆演出状態において実行される前兆演出(本前兆演出)と、通常演出状態において実行される前兆演出(ガセ前兆演出)とは、表示態様や継続遊技数を類似させている。したがって、遊技者は、前兆演出を視聴するのみでは、いずれの演出状態に滞在しているのか見分けがつかないようになっている。ただし、前兆演出状態において実行される前兆演出は、最終的に、AT演出状態への移行が決定された旨の結果が報知される点で、通常演出状態において実行される前兆演出と異なる。したがって、遊技者は、前兆演出において、AT演出状態への移行が決定された旨の結果が報知される前兆演出状態であることを望むこととなる。そして、演出状態制御手段314は、前兆演出状態が終了すると、演出状態を必ずAT演出状態に移行させる(2)。すなわち、前兆演出が前兆演出状態で実行されている場合、必ず、AT演出状態へ移行することとなる。この点で、前兆演出状態は、通常演出状態より遊技者に有利である。また、前兆演出状態への移行が決定することは、その後のAT演出状態への移行が決定したことと同義であり、前兆演出状態に移行すること(すなわちAT演出状態に移行すること)と、他の例として、直接、AT演出状態へ移行することとを合わせて特定演出状態へ移行すると表現することもある。
【0076】
(AT演出状態)
AT演出状態は、有利区間に属し、所定の終了条件が成立するまで、例えば、メダルの投入枚数(ベット枚数)と払出枚数との差である差枚数が、所定差枚数(300枚や100枚)に到達するまで、補助演出が実行される。演出状態制御手段314は、AT演出状態において、当選種別抽選により決定された当選種別に対応した確率で差枚数の上乗せ抽選を行う。上乗せ抽選に当選すると、演出状態制御手段314は、終了条件である所定差枚数に当選した差枚数を加算する。こうしてAT演出状態の終了条件が変化する。そして、演出状態制御手段314は、所定の終了条件を満たすと、演出状態を通常演出状態に移行させる(3)。
【0077】
このように、本実施形態において、遊技者は、通常演出状態に滞在しつつ、AT演出状態へ移行することを期待し、前兆演出が開始されると、その前兆演出が本前兆、すなわち、前兆演出状態での前兆演出であることを願うこととなる。ここでは、前兆演出においてAT演出状態への移行が報知されなかった場合、通常演出状態が継続され、前兆演出においてAT演出状態への移行が報知されると、前兆演出状態終了後にAT演出状態が実行される。
【0078】
なお、AT演出状態が終了すると、演出状態制御手段314は、演出状態を通常演出状態に移行させるが(3)、演出状態を非有利演出状態に移行させ(4)、有利区間をリセットする場合がある。有利区間がリセットされると、上述したように、有利区間において更新された情報(指示機能に係る性能に影響を及ぼす全ての変数)がクリアされる。ただし、遊技者は、移行時の演出態様によっては、演出状態が通常演出状態に移行したか非有利演出状態に移行したか分からないようになっている。
【0079】
(非有利演出状態)
非有利演出状態は、非有利区間に属し、初期状態の演出状態である。演出状態制御手段314は、非有利演出状態において、例えば、毎遊技、約1/2の確率で有利区間への移行を決定し、有利区間への移行が決定されると、演出状態を、必ず、振分演出状態に移行させる(5)。したがって、非有利演出状態での滞在遊技数は短期(数遊技)となることが多い。
【0080】
(振分演出状態)
振分演出状態は、有利区間に属し、非有利区間から有利区間に移行する際に必ず経由し、例えば1遊技のみ滞在する演出状態である。振分演出状態では、演出状態が通常演出状態または前兆演出状態のいずれかに振分けられる。具体的に、演出状態制御手段314は、例えば、1/10の確率で前兆演出状態への移行を決定して演出状態を前兆演出状態へ移行させるか(6)、9/10の確率で通常演出状態への移行を決定して演出状態を通常演出状態に移行させる(7)。ただし、かかる振分けの比率は、前兆演出状態:通常演出状態=1:9に限らず、任意に決定することができる。
【0081】
仮に、振分演出状態で前兆演出状態が決定された場合、所定遊技数継続される前兆演出状態を経由して(前兆演出を経て)、演出状態が必ずAT演出状態に移行されることとなる。また、振分演出状態で前兆演出状態が決定されなかった場合、演出状態は通常演出状態となる。しかし、通常演出状態では、その通常演出状態への経路によってAT抽選の当選確率を異ならせている。例えば、上述したように、演出状態が、AT演出状態から、直接、通常演出状態に移行した場合(3)、演出状態制御手段314は、AT演出状態から移行した(非有利演出状態から移行していない)通常演出状態において、低確率(例えば、1/4000)でAT抽選を行う。
【0082】
一方、非有利区間から有利区間に移行したことに伴い、演出状態が、非有利演出状態および振分演出状態から通常演出状態に移行した場合(7)、演出状態制御手段314は、非有利区間から移行した通常演出状態において、高確率(例えば、1/8)でAT抽選を行う。したがって、非有利演出状態から移行した(非有利区間を経由した)通常演出状態では、いずれAT抽選に当選することとなる。なお、ここでは、AT抽選の当選確率として低確率(例えば、1/4000)と高確率(例えば、1/8)の2パターンを挙げて説明したが、当選確率に3以上のパターンを設け、非有利演出状態から移行した通常演出状態では、比較的高い当選確率でAT抽選を行うとしてもよい。また、かかる当選確率は1/8や1/4000等に限らず、非有利演出状態から移行した通常演出状態の方が、非有利演出状態から移行していない通常演出状態よりAT演出状態への移行が決定し易ければ足り、例えば、非有利演出状態から移行した通常演出状態におけるAT抽選の当選確率が、非有利演出状態から移行していない通常演出状態におけるAT抽選の当選確率より高く設定されれば、その当選確率を任意に設定することができる。
【0083】
ただし、演出状態制御手段314は、非有利演出状態から移行した通常演出状態において、AT抽選に当選したとしても、直ちに前兆演出状態に移行させず、振分演出状態が終了してから、例えば、96遊技のブロック期間、通常演出状態に滞在させ、AT演出状態への移行を禁止する。具体的に、演出状態制御手段314は、非有利演出状態から移行した通常演出状態においてAT抽選に当選すると本前兆許可フラグをONする。本前兆許可フラグは前兆演出状態への移行可否を示すフラグであり、ONとなることで前兆演出状態への移行が許可される。本前兆許可フラグが一旦ONされると、前兆演出状態に移行するまでON状態が維持されるため、その後にAT抽選に当選しても、本前兆許可フラグはON状態のままである。なお、演出状態制御手段314は、振分演出状態から通常演出状態への移行時に、96遊技以内の遊技数を抽選により決定し、ブロック期間とする。ただし、ブロック期間としては96遊技が選択されることが多くなるように設定されている。
【0084】
演出状態制御手段314は、振分演出状態が終了してからの遊技数をカウントし、ブロック期間の間、本前兆許可フラグがONされたか否かに拘わらず、演出状態を前兆演出状態に移行させない。そして、演出状態制御手段314は、ブロック期間が経過し(ブロック期間に相当する所定遊技数に到達し)、かつ、本前兆許可フラグがONであれば、演出状態を前兆演出状態に移行させ(8)、本前兆許可フラグをリセットする。したがって、非有利演出状態から移行した通常演出状態では、AT抽選に早期に当選したとしても、少なくともブロック期間に相当する96遊技を消化しなければ、前兆演出状態には移行しない。
【0085】
このように、非有利演出状態(非有利区間)を経由すると、遊技者は、以下の特典を得られる。すなわち、1/10の確率で、即座に前兆演出状態に移行し、前兆演出状態を経て、AT演出状態に移行し、あるいは、9/10の確率で、通常演出状態に移行し、ブロック期間経過後に前兆演出が実行され、前兆演出状態を経て、AT演出状態に移行する。そうすると、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから、例えば、0~96遊技経過後に前兆演出が始まり、前兆演出終了後、すなわち、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから、例えば、32~128遊技経過後にはほぼAT演出状態へ移行することとなる。このように所定の遊技数の間、高確率でAT抽選に当選することを「天国」や「天国モード」という場合がある。したがって、遊技者は、非有利演出状態(非有利区間)への移行、すなわち、有利区間のリセットを望むこととなる。
【0086】
ここでは、非有利演出状態を経由した場合、すなわち、非有利区間から有利区間に移行した場合に、高確率でAT演出状態に移行し易い通常演出状態を採用しつつ、ブロック期間を設けることで、その開始契機を、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから128遊技経過後に偏らせている。換言すれば、AT演出状態が終了して通常演出状態に降格したとしても、128遊技経過するまでは、AT演出状態を再度実行する(引き戻す)可能性が高いことになる。したがって、遊技者は、AT演出状態の終了後にAT演出状態の引き戻しを期待して、遊技を継続することとなるので、スロットマシン100の稼働率の向上を図ることができる。
【0087】
また、演出状態制御手段314は、非有利演出状態から移行した通常演出状態においても、AT演出状態から移行した通常演出状態同様、所定の遊技数を消化する度に、AT抽選の当選確率を高めたチャンスゾーンを複数遊技に渡って実行する。かかるチャンスゾーンにおいてAT抽選に当選した場合、上記のブロック期間であるか否かに拘わらず、演出状態制御手段314は、演出状態を前兆演出状態に移行させる。なお、非有利演出状態から移行した通常演出状態では、本来、ブロック期間経過後に前兆演出状態に移行できるはずである。そうすると、自力でAT演出状態への移行を決定したことで、代わりに、本来、獲得できたはずのAT演出状態が消失することとなり、遊技者の遊技意欲が減退するおそれがある。そこで、非有利演出状態から移行した通常演出状態におけるチャンスゾーンでAT抽選に自力で当選すると、演出状態制御手段314は、その後のAT演出状態の終了後に、再度、演出状態を非有利演出状態に移行させる(4)。こうして、遊技者は、非有利演出状態を経由したことの遊技利益を漏れなく受けることが可能となる。また、遊技者は、ブロック期間として選ばれやすい96遊技より前に、チャンスゾーンが開始されることで、チャンスゾーンにおけるAT抽選の当選、すなわち、AT演出状態が少なくとも2回実行されることを期待することができる。
【0088】
本実施形態では、上述したように、AT演出状態が終了すると、演出状態制御手段314は、演出状態を通常演出状態に直接移行させる場合(3)と、演出状態を非有利演出状態に移行させる場合(4)とがある。ここで、演出状態を非有利演出状態に移行させる条件として、AT抽選において、所定の遊技利益を有するAT演出状態への移行に当選したことが挙げられる。例えば、AT演出状態には、継続遊技数や、差枚数の上乗せ確率が異なる複数種類のAT演出状態がある。そのうちの特定のAT演出状態に当選すると、演出状態制御手段314は、AT演出状態の終了後、必ず、演出状態を非有利演出状態に移行させる(4)。また、特定のAT演出状態に当選しなくとも、演出状態制御手段314は、AT演出状態の終了後、所定の確率で、演出状態を非有利演出状態に移行させるとしてもよい(4)。
【0089】
ここでは、有利区間を一旦リセットしている。したがって、遊技者は、有利区間に許容される滞在遊技数、例えば、1500遊技や3000遊技の開始時から比較的少ない遊技数で、遊技利益の高いAT演出状態に移行することができ、また、有利区間に許容される滞在遊技数を有効に利用して遊技利益を得ることが可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、上述したように、AT演出状態終了後、通常演出状態においてAT抽選に当選すると、演出状態制御手段314は、演出状態を前兆演出状態に移行させる(1)。ただし、AT演出状態に移行することなく、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、600遊技)に到達した後、通常演出状態においてAT抽選に当選すると、演出状態制御手段314は、最終的に非有利演出状態へ移行させることを決定し、演出状態を前兆演出状態に移行させることなく、前兆演出(ガセ前兆演出)を行ってAT演出状態へ直接移行していない旨を報知した後に、まず、特別前兆演出状態に移行させる(9)。なお、ここでは、非有利演出状態(非有利区間)への移行を決定する所定の移行条件として、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、600遊技)に到達した後、通常演出状態においてAT抽選に当選することを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、所定の移行条件として、有利区間での滞在遊技数が所定遊技数に到達した後、通常演出状態においてAT抽選に当選することとしてもよい。また、所定の移行条件として、上記に代えて、または、加えて、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、871遊技)に到達すること(所謂、天井機能)や、チャンスゾーン(CZ)においてAT抽選に当選しなかったことに基づく再度のAT抽選に当選することとしてもよい。
【0091】
(特別前兆演出状態)
特別前兆演出状態は、有利区間に属し、予め定められた所定遊技数(例えば、10G)滞在する演出状態であり、特別演出状態抽選を行うとともに、特別演出状態への移行期待度を示す前兆演出を実行する。ここで、特別演出状態抽選は、差枚数の上乗せ抽選であり、差枚数が1回以上上乗せされることにより、特別演出状態への移行が決定する。演出状態制御手段314は、当選種別抽選により決定された当選種別に対応した確率で特別演出状態抽選を行う。ここで、特別演出状態抽選は、設定値に応じて遊技利益が安定して段階的に異なるように設計される。例えば、任意に抽出した2つの設定値において、設定値が高い方が、設定値が低い方より、特別演出状態抽選により差枚数が上乗せされる確率高く設計される。したがって、例えば、上乗せされる期待獲得枚数は、設定1で100枚、設定6で200枚となり、設定値が高い方が比較的遊技利益を得やすい遊技性を構成することができる。演出状態制御手段314は、特別演出状態抽選に当選すると、その上乗せされた差枚数の累計(終了枚数)を特別演出状態の終了条件として設定し、演出状態を特別演出状態に移行させる(10)。また、演出状態制御手段314は、特別演出状態抽選に当選していなければ、演出状態を非有利演出状態に直接移行させる(11)。なお、ここでは、特別演出状態において、差枚数を特別演出状態抽選により上乗せする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、予め定められた差枚数を上乗せしてもよいし、当選種別「リーチ目」や当選種別「チェリー」等の所謂レア役が当選した場合の抽選により差枚数を上乗せしてもよい。また、ここでは、特別演出状態において、差枚数を上乗せする例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、獲得枚数(払出枚数)や継続遊技数を上乗せするとしてもよい。
【0092】
(特別演出状態)
特別演出状態(特別状態)は、有利区間に属し、所定の終了条件が成立するまで、補助演出が実行される。かかる終了条件は、例えば、獲得した差枚数が終了枚数に到達したことといったように、特別演出状態が開始されるまでに決定された遊技利益の付与が、特別演出状態中に完了することである。例えば、特別前兆演出状態の終了時(特別演出状態の開始時)には、特別前兆演出状態において特別演出状態抽選により終了枚数(上乗せされた差枚数の累計)が決定されている。そして、特別演出状態において、終了枚数が遊技者に付与されると(獲得した差枚数が終了枚数に到達すると)、終了条件が満たされたとして、特別演出状態は終了する。ここでは、特別演出状態において終了枚数が変更されること(特別演出状態が延長されること)はない。そして、演出状態制御手段314は、所定の終了条件を満たすと、演出状態を非有利演出状態に移行させる(12)。
【0093】
遊技者は、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、600遊技)を超えた後にAT抽選に当選した場合、特別前兆演出状態を経由して必ず非有利演出状態に移行し(11)、(12)、その結果、AT演出状態に移行することができる。ここでは、演出状態制御手段314が、演出状態を非有利演出状態に移行させ、有利区間を一旦リセットすることで、遊技者は、有利区間に許容される滞在遊技数、例えば、1500遊技や3000遊技の開始時から、遊技利益の高いAT演出状態に移行することができ、また、有利区間に許容される滞在遊技数を有効に利用して遊技利益を得ることが可能となる。
【0094】
なお、特別演出状態、非有利演出状態、振分演出状態を経由した通常演出状態では、AT演出状態から直接移行した通常演出状態より、AT抽選の当選確率が高いので、その旨を遊技者が把握できるように、AT演出状態へ移行する可能性が高いことを、液晶表示部124に所定の表示を行って示唆する。
【0095】
ただし、通常演出状態において滞在遊技数が所定遊技数(例えば、600遊技)を超えた後、AT抽選に当選した場合と、所定遊技数より前にAT抽選に当選した場合とで、有利区間がリセットされているものの、AT演出状態を1回実行できるという観点では、遊技利益はあまり変わらない。また、後者では、前兆演出状態の終了後、すなわち32遊技以内にAT演出状態が開始されるが、前者では、さらにブロック期間の経過を待ってAT演出状態が開始されることが多い。そうすると、AT演出状態に移行するまで、通常遊技状態においてメダルを消費してしまう点で、前者の方が遊技利益が小さいとも言える。そこで、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数を超えた後にAT抽選に当選した場合には、特別前兆演出状態に移行し、特別演出状態抽選を実行させるとともに、それに当選すると、特別演出状態によって追加的に遊技利益を与える。こうして、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数を超えた後にAT抽選に当選した場合の方が、滞在遊技数が所定遊技数に至っていない間にAT抽選に当選した場合より遊技利益が大きくなり、遊技者は納得感を得られる。したがって、遊技者は、通常演出状態での滞在遊技数が多くなると、遊技利益が大きくなることを期待でき、遊技を継続することとなる。こうして、スロットマシン100の稼働率の向上を図ることができる。
【0096】
ここで実行される特別演出状態では、上述したように、設定値が高い方が安定的に遊技利益を得やすいようになっている。また、特別演出状態が開始されるまでに決定された遊技利益のみが特別演出状態で付与され、特別演出状態中において遊技利益は追加(上乗せ)されない。したがって、特別演出状態では、設定値に応じて期待獲得枚数の変動幅を抑えることができる。そうすると、AT演出状態の期待獲得枚数の設計値を上げることが可能となる。
【0097】
また、特別演出状態は、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数を超えた後に移行するので、AT演出状態に比べ、その回数が変動しにくく、安定した頻度で実行されることになる。そうすると、仮に、AT演出状態における期待獲得枚数の変動幅が大きくなったとしても、かかる特別演出状態で、その変動を吸収し、設定値に応じて期待獲得枚数の変動幅をさらに抑えつつ、AT演出状態の期待獲得枚数の設計値を上げることが可能となる。
【0098】
また、AT演出状態の終了後に通常演出状態に直接移行し(3)、AT演出状態に移行することなく、通常演出状態での滞在遊技数が所定遊技数(例えば、871遊技)に到達すると(所謂、天井機能)、演出状態制御手段314は、有利区間をリセットして、演出状態を非有利演出状態に移行させる(13)。そうすると、上記のように、非有利演出状態および振分演出状態の終了後、例えば、0~96遊技経過後に前兆演出が始まり、前兆演出終了後、すなわち、非有利演出状態および振分演出状態が終了してから、例えば、32~128遊技経過後にはほぼAT演出状態へ移行することができる。したがって、通常演出状態においてAT演出状態に移行することなく遊技を継続すると、所定遊技数(例えば、999遊技)以内には、AT演出状態に移行することとなる。かかる天井機能により、遊技者は、運悪くメダルの消費が多くなったとしても救済措置を受けることができる安心感を得ることができる。また、通常演出状態をある程度消化すると、遊技を継続した場合の期待獲得枚数が高まり、天井(例えば999遊技)まで遊技を継続することとなるので、スロットマシン100の稼働率の向上を図ることができる。
【0099】
なお、このような天井機能における所定遊技数(例えば、96~871遊技)は、以下のタイミングで決定される。例えば、AT演出状態から、直接、通常演出状態に移行する場合(3)、演出状態制御手段314は、AT演出状態から通常演出状態への移行時に、通常演出状態における天井機能の所定遊技数(例えば、96~871遊技)を決定する。また、非有利演出状態および振分演出状態を経由して通常演出状態に移行する場合(7)、演出状態制御手段314は、振分演出状態から通常演出状態への移行時に、通常演出状態における天井機能の所定遊技数(例えば、96~871遊技)を決定する。ただし、AT演出状態から通常演出状態へ移行する場合と異なり、非有利演出状態および振分演出状態を経由して通常演出状態へ移行する場合では、高確率でAT抽選に当選するので、ブロック期間の経過を待って前兆演出状態に移行することが多く、天井機能が実行されることはほとんどない。
【0100】
また、上述した実施形態では、通常演出状態におけるAT抽選の当選確率として、非有利演出状態から通常演出状態に移行した場合、高確率(例えば、1/8)となり、AT演出状態から通常演出状態に直接移行した場合、低確率(例えば、1/4000)となる例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、AT演出状態から通常演出状態に直接移行した場合、通常演出状態開始時のAT抽選の当選確率は低確率だが、昇格抽選により高確率に移行する場合があるとしてもよく、さらに、降格抽選により低確率に移行する場合があるとしてもよい。また、AT演出状態から通常演出状態に直接移行した場合に、抽選に当選する等、所定の条件を満たすことで、通常演出状態開始時からAT抽選の当選確率が高確率となることもある。
【0101】
また、上述した実施形態では、有利区間に許容される滞在遊技数が1500遊技の場合を想定して、特別演出状態に移行可能な通常演出状態における滞在遊技数を600遊技と設定したり、天井機能の天井を871遊技と設定した。しかし、かかる場合に限らず、有利区間に許容される滞在遊技数が3000遊技の場合には、特別演出状態に移行可能な通常演出状態における滞在遊技数や天井機能の天井を、より高い値、例えば、1200遊技や2000遊技とし、AT演出状態での期待獲得枚数を増やすとしてもよい。また、上述したように、メダルレス遊技機では、滞在遊技数の制限(1500遊技や3000遊技)を設けなくてよく、有利区間においてMYが2400枚を超えたことに基づいて有利区間が強制的に終了する。したがって、メダルレス遊技機では、有利区間中の差枚数(MY)をカウントする有利区間MYカウンタの値が2400枚とならない範囲で、例えば、特別演出状態に移行可能な通常演出状態における差枚数を900枚と設定したり、天井機能の天井を1200枚と設定してもよい。このように、条件となる遊技数を任意に決定することができる。
【0102】
以下、主制御基板200、副制御基板202における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0103】
(主制御基板200のCPU初期化処理)
図9は、主制御基板200におけるCPU初期化処理を説明するフローチャートである。電源基板より電源が供給されると、メインCPU200aにシステムリセットが発生し、メインCPU200aは、以下のCPU初期化処理(S100)を行う。
【0104】
(ステップS100-1)
メインCPU200aは、電源投入に応じて、初期設定処理として、メインROM200bから起動プログラムを読み込むとともに、各種処理を実行するために必要な設定処理を行う。
【0105】
(ステップS100-3)
メインCPU200aは、タイマカウンタにウェイト処理時間を設定する。
【0106】
(ステップS100-5)
メインCPU200aは、電源断予告信号を検出しているかを判定する。なお、主制御基板200には、電源断検知回路が設けられており、電源電圧が所定値以下になると、電源断検知回路から電源断予告信号が出力される。電源断予告信号を検出している場合には、上記ステップS100-3に処理を移し、電源断予告信号を検出していない場合には、ステップS100-7に処理を移す。
【0107】
(ステップS100-7)
メインCPU200aは、上記ステップS100-3で設定したウェイト処理時間が経過したか否かを判定する。その結果、ウェイト処理時間が経過したと判定した場合にはステップS100-9に処理を移し、ウェイト時間は経過していないと判定した場合には上記ステップS100-5に処理を移す。
【0108】
(ステップS100-9)
メインCPU200aは、メインRAM200cへのアクセスを許可するために必要な処理を実行する。
【0109】
(ステップS100-11)
メインCPU200aは、チェックサム確認処理を実行する。ここでは、メインCPU200aは、チェックサムを算出し、算出したチェックサムが、電源断時に保存されたチェックサムと一致しない(異常である)か、ならびに、バックアップが異常であるかを判定する。そして、メインCPU200aは、バックアップおよびチェックサムのいずれか一方または双方が異常であると判定した場合、バックアップ異常フラグをオンにし、バックアップおよびチェックサムの双方が異常でないと判定した場合、バックアップ異常フラグをオフにする。
【0110】
(ステップS100-13)
メインCPU200aは、バックアップ異常フラグがオンであるかを判定する。その結果、バックアップ異常フラグがオンであると判定した場合にはステップS110に処理を移し、バックアップ異常フラグがオンでないと判定した場合にはステップS120に処理を移す。
【0111】
(ステップS110)
メインCPU200aは、コールドスタート処理を実行する。なお、このコールドスタート処理については後述する。
【0112】
(ステップS120)
メインCPU200aは、設定値を切り替える設定値切り替え処理を実行する。なお、この設定値切り替え処理については後述する。
【0113】
(ステップS130)
メインCPU200aは、電源断直前の状態に戻す状態復帰処理を実行する。なお、この状態復帰処理については後述する。
【0114】
図10は、主制御基板200におけるコールドスタート処理(S110)を説明するフローチャートである。
【0115】
(ステップS110-1)
メインCPU200aは、メインRAM200cにおける使用領域をクリアするとともに、使用領域の異常を検出する使用領域RAMチェック処理を実行する。
【0116】
(ステップS110-3)
メインCPU200aは、メインRAM200cにおける別領域(使用外領域)をクリアするとともに、別領域の異常を検出する別領域RAMチェック処理を実行する。なお、別領域RAMチェック処理において別領域に異常が検出された場合、メインCPU200aは、RAMリードライトエラーフラグをオンにする。
【0117】
(ステップS110-5)
メインCPU200aは、メインRAM200cの異常を示すエラーコード「EA」をセットする。
【0118】
(ステップS110-7)
メインCPU200aは、上記ステップS110-1において異常が検出されたかを判定する。その結果、上記ステップS110-1において異常が検出されたと判定した場合にはステップS112に処理を移し、上記ステップS110-1において異常が検出されていないと判定された場合にはステップS110-9に処理を移す。
【0119】
(ステップS110-9)
メインCPU200aは、上記ステップS110-3において異常が検出されたときにオンになるRAMリードライトエラーフラグを取得する。
【0120】
(ステップS110-11)
メインCPU200aは、RAMリードライトエラーフラグがオンであるかを判定する。その結果、RAMリードライトエラーフラグがオンであると判定した場合にはステップS112に処理を移し、RAMリードライトエラーフラグがオンでないと判定された場合にはステップS120に処理を移す。
【0121】
(ステップS120)
メインCPU200aは、設定値を切り替える設定値切り替え処理を実行する。なお、この設定値切り替え処理については後述する。
【0122】
(ステップS110-13)
メインCPU200aは、バックアップエラーであることを示すエラーコード「E7」をセットする。
【0123】
(ステップS112)
メインCPU200aは、エラーにより遊技の進行を停止させるためのエラー停止処理を実行する。なお、このエラー停止処理については後述する。
【0124】
図11は、主制御基板200におけるエラー停止処理(S112)を説明するフローチャートである。
【0125】
(ステップS112-1)
メインCPU200aは、スタックポインタのアドレスとして、初期スタックポインタ値をセットする。
【0126】
(ステップS112-3)
メインCPU200aは、エラー表示および警告音設定を行うエラー設定処理を実行する。
【0127】
(ステップS112-5)
メインCPU200aは、外部信号1~3に対応するビットの出力イメージをオフにする外部信号1~3出力ビットオフをセットする。
【0128】
(ステップS112-7)
メインCPU200aは、上記ステップS112-5でセットしたビットについて、出力イメージを更新する出力ポートイメージセット処理を実行する。
【0129】
(ステップS112-9)
メインCPU200aは、永久ループに移行する。これにより、遊技の進行が停止することになる。
【0130】
図12は、主制御基板200における設定値切り替え処理(S120)を説明するフローチャートである。
【0131】
(ステップS120-1)
メインCPU200aは、入力ポート1の信号を取得し、取得した入力ポート1の信号に基づいて、設定値切り替え条件が成立していないかを判定する。その結果、設定値切り替え条件が成立していないと判定した場合には当該設定値切り替え処理を終了し、設定値切り替え条件が成立していると判定した場合にはステップS120-3に処理を移す。ここで、入力ポート1の信号には、前面上扉104および前面下扉106が開放されているか否かを示す信号、および、設定キーがオンにされているか否かを示す信号が含まれる。そして、ここでは、前面上扉104および前面下扉106が開放されていることを示す信号、ならびに、設定キーがオンにされていることを示す信号を取得した場合に、設定値切り替え条件が成立していると判定している。
【0132】
(ステップS120-3)
メインCPU200aは、メインRAM200cにおいて設定変更時にクリアすべき使用領域をクリアするRAMクリア処理を実行する。
【0133】
(ステップS120-5)
メインCPU200aは、設定値切り替え時データテーブルのテーブルデータをメインRAM200cに転送するテーブル内容セット処理を実行する。
【0134】
(ステップS120-7)
メインCPU200aは、設定値の変更を開始することを示す設定変更開始コマンドを送信バッファにセットする。
【0135】
(ステップS120-9)
メインCPU200aは、入力ポートの信号の立ち下がりエッジ(オンエッジ)を検出するエッジチェック処理を実行する。
【0136】
(ステップS120-11)
メインCPU200aは、現在の設定値を示す設定値データを取得する。
【0137】
(ステップS120-13)
メインCPU200aは、上記ステップS120-9において設定変更スイッチのオンエッジを検出していないかを判定する。その結果、設定変更スイッチのオンエッジを検出していないと判定した場合にはステップS120-17に処理を移し、設定変更スイッチのオンエッジを検出したと判定した場合にはステップS120-15に処理を移す。
【0138】
(ステップS120-15)
メインCPU200aは、設定値データを1インクリメントする。
【0139】
(ステップS120-17)
メインCPU200aは、設定値データが、設定値として設定可能な範囲(1~6)内であるかを判定する。その結果、設定値データが範囲内であると判定した場合にはステップS120-21に処理を移し、設定値データが範囲内でないと判定した場合にはステップS120-19に処理を移す。
【0140】
(ステップS120-19)
メインCPU200aは、設定値データを0にセットする。
【0141】
(ステップS120-21)
メインCPU200aは、上記ステップS120-15または上記ステップS120-19でインクリメントまたはセットされた値に設定値データを更新する。
【0142】
(ステップS120-23)
メインCPU200aは、設定値をメインクレジット表示部130に表示する表示データ変換処理を実行する。
【0143】
(ステップS120-25)
メインCPU200aは、設定変更スイッチのオンエッジを検出していないかを判定する。その結果、設定変更スイッチのオンエッジを検出していないと判定した場合にはステップS120-31に処理を移し、設定変更スイッチのオンエッジを検出していると判定した場合にはステップS120-27に処理を移す。
【0144】
(ステップS120-27)
メインCPU200aは、設定変更スイッチがオンであるかを判定する。その結果、設定変更スイッチがオンであると判定した場合にはステップS120-27に処理を移し、設定変更スイッチがオンでないと判定した場合にはステップS120-29に処理を移す。
【0145】
(ステップS120-29)
メインCPU200aは、設定変更スイッチ間隔タイマをセットする。
【0146】
(ステップS120-31)
メインCPU200aは、設定変更スイッチ間隔タイマが0になるまで待つタイマウェイト処理を実行する。
【0147】
(ステップS120-33)
メインCPU200aは、スタートスイッチ118のオンエッジを検出していないかを判定する。その結果、スタートスイッチ118のオンエッジを検出していないと判定した場合にはステップS120-9に処理を移し、スタートスイッチ118のオンエッジを検出していると判定した場合にはステップS120-35に処理を移す。
【0148】
(ステップS120-35)
メインCPU200aは、設定キーがオフであるかを判定する。その結果、設定キーがオフであると判定した場合にはステップS120-35に処理を移し、設定キーがオフでないと判定した場合にはステップS120-37に処理を移す。
【0149】
(ステップS120-37)
メインCPU200aは、設定キーがオンであるかを判定する。その結果、設定キーがオンであると判定した場合にはステップS120-37に処理を移し、設定キーがオンでないと判定した場合にはステップS122に処理を移す。
【0150】
(ステップS122)
メインCPU200aは、初期化スタートを開始する初期化スタート処理を実行する。なお、この初期化スタート処理については後述する。
【0151】
図13は、主制御基板200における初期化スタート処理(S122)を説明するフローチャートである。
【0152】
(ステップS122-1)
メインCPU200aは、設定値の変更が終了したことを示す設定変更終了コマンドを送信バッファにセットする。
【0153】
(ステップS122-3)
メインCPU200aは、設定値の変更が終了したときの状態を示す設定変更状態コマンドを送信バッファにセットする。
【0154】
(ステップS122-5)
メインCPU200aは、初期化スタート時ウェイトタイマをセットする。
【0155】
(ステップS122-7)
メインCPU200aは、初期化スタート時ウェイトタイマが0になるまで待つタイマウェイト処理を実行する。
【0156】
(ステップS122-9)
メインCPU200aは、メインRAM200cのうちの別領域をクリアする設定変更時RAMクリア処理を実行する。
【0157】
(ステップS122-11)
メインCPU200aは、メインRAM200cにおいて設定変更時にクリアすべき使用領域をクリアするRAMクリア処理を実行する。
【0158】
(ステップS122-13)
メインCPU200aは、現在の遊技状態を示す遊技状態コマンドを送信バッファにセットする。
【0159】
(ステップS200)
メインCPU200aは、遊技を開始するための遊技開始処理を実行する。なお、この遊技開始処理については後述する。
【0160】
図14は、主制御基板200における状態復帰処理(S130)を説明するフローチャートである。
【0161】
(ステップS130-1)
メインCPU200aは、スタックポインタを復帰させる。
【0162】
(ステップS130-3)
メインCPU200aは、メインRAM200cのうちの未使用領域をクリアする未使用領域クリア処理を実行する。
【0163】
(ステップS130-5)
メインCPU200aは、スタックポインタ保存バッファをクリアする。
【0164】
(ステップS130-7)
メインCPU200aは、電源断復帰後フラグを設定(オン)する。
【0165】
(ステップS130-9)
メインCPU200aは、入力ポートのイメージを更新するポート入力処理を実行する。
【0166】
(ステップS130-11)
メインCPU200aは、上記ステップS130-9で更新された入力ポートのイメージに基づいて、操作対象ビットの情報を抽出する操作対象ビット抽出処理を実行する。
【0167】
(ステップS130-13)
メインCPU200aは、上記ステップS130-11で抽出した操作対象ビットを、前回状態の操作対象ビットとしてセットする。
【0168】
(ステップS130-15)
メインCPU200aは、リール110a、110b、110cのモータフェーズを取得する。ここで、リール110a、110b、110cの状態として、モータフェーズが設定されている。モータフェーズは、リール110a、110b、110cの動作状態、すなわち、加速中、定常回転中、停止中、待機中を示す。具体的に、モータフェーズに割り当てられた1バイト(記憶単位)の変数が、そのステッピングモータ152の動作状態に応じて、加速中=3、定常回転中=2、停止中=1、待機中=0といった値に変化する。
【0169】
(ステップS130-17)
メインCPU200aは、上記ステップS130-15で取得したモータフェーズに基づいて、リール110a、110b、110cのいずれもが定常回転中および加速中でないかを判定する。その結果、リール110a、110b、110cのいずれもが定常回転中および加速中でないと判定した場合にはステップS130-21に処理を移し、リール110a、110b、110cのいずれかが定常回転中または加速中であると判定した場合にはステップS130-19に処理を移す。
【0170】
(ステップS130-19)
メインCPU200aは、リール110a、110b、110cのエラー検出時の設定を行う回転エラー処理を実行する。
【0171】
(ステップS130-21)
メインCPU200aは、退避していたレジスタ群を復帰させる。
【0172】
(ステップS130-23)
メインCPU200aは、割込みを許可し、当該状態復帰処理を終了する。これにより、メインCPU200aは、電源断直前の状態に復帰する。
【0173】
図15は、主制御基板200における遊技開始処理(S200)を説明するフローチャートである。
【0174】
(ステップS200-1)
メインCPU200aは、再遊技であるか否かを示す再遊技状態識別信号を出力するための再遊技状態識別信号出力設定処理を実行する。
【0175】
(ステップS200-3)
メインCPU200aは、メダルの投入枚数(ベット枚数)を表示する投入枚数表示器に対応するビットをオフ(消灯)するための投入枚数表示器出力ビットオフをセットする。
【0176】
(ステップS200-5)
メインCPU200aは、上記ステップS200-3でセットしたビットについて、出力イメージを更新する出力ポートイメージセット処理を実行する。
【0177】
(ステップS200-7)
メインCPU200aは、遊技開始ウェイトタイマをセットする。
【0178】
(ステップS200-9)
メインCPU200aは、遊技開始ウェイトタイマが0になるまで待つタイマウェイト処理を実行する。
【0179】
(ステップS200-11)
メインCPU200aは、メインRAM200cにおける使用領域のうち、1遊技毎にクリアすべき領域をクリアする1遊技RAMクリア処理を実行する。
【0180】
(ステップS200-13)
メインCPU200aは、ボーナス信号を設定するボーナス信号設定処理を実行する。
【0181】
(ステップS200-15)
メインCPU200aは、入力ポートイメージのエッジ情報をクリアするエッジクリア処理を実行する。
【0182】
(ステップS210)
メインCPU200aは、メダルの投入を受け付ける遊技メダル投入処理を実行する。なお、この遊技メダル投入処理については後述する。
【0183】
図16は、主制御基板200における遊技メダル投入処理(S210)を説明するフローチャートである。
【0184】
(ステップS210-1)
メインCPU200aは、各種エラーの検出結果の確認を行うエラー確認処理を実行する。
【0185】
(ステップS210-3)
メインCPU200aは、入力ポートの信号の立ち下がりエッジ(オンエッジ)を検出するエッジチェック処理を実行する。
【0186】
(ステップS210-5)
メインCPU200aは、前面上扉104または前面下扉106が開放されているときに1が立つドア開放エラー検出フラグを取得する。
【0187】
(ステップS210-7)
メインCPU200aは、上記ステップS210-5で取得したドア開放エラー検出フラグに基づき、前面上扉104および前面下扉106が閉鎖されているかを判定する。その結果、前面上扉104および前面下扉106が閉鎖されていると判定した場合にはステップS210-17に処理を移し、前面上扉104または前面下扉106の少なくとも一方が閉鎖されていないと判定した場合にはステップS210-9に処理を移す。
【0188】
(ステップS210-9)
メインCPU200aは、前面上扉104または前面下扉106の少なくとも一方が開放されていることを示すエラーコード「E8」をセットする。
【0189】
(ステップS210-11)
メインCPU200aは、エラー表示、警告音の要求、ならびに、エラー復帰待ちを行うエラーウェイト処理を実行する。
【0190】
(ステップS210-13)
メインCPU200aは、設定値を確認する設定値確認処理を実行する。
【0191】
(ステップS210-15)
メインCPU200aは、入力ポートイメージのエッジ情報をクリアするエッジクリア処理を実行する。
【0192】
(ステップS210-17)
メインCPU200aは、貯留(クレジット)されているメダルを払い戻すためのクレジットスイッチ(不図示)が押下されている場合に、貯留されているメダルを払い戻すクレジットボタンチェック処理を実行する。
【0193】
(ステップS210-19)
メインCPU200aは、メダルをベットする遊技メダル投入ボタン関連処理を実行する。ここでは、ベットスイッチ116が押下された場合に、貯留(クレジット)されているメダルを規定数までベットするとともに、ベットした枚数分だけ貯留枚数を減算する。また、メダル投入口114aを通じてメダルが投入された場合、規定数までメダルをベットし、規定数よりも多くメダルが投入された場合、その分だけ貯留枚数に加算する。
【0194】
(ステップS210-21)
メインCPU200aは、投入枚数が規定数であるかを確認する遊技メダル取得処理を実行する。
【0195】
(ステップS210-23)
メインCPU200aは、上記ステップS210-21の確認結果に基づき、投入枚数が規定数でないかを判定する。その結果、投入枚数が規定数でないと判定した場合にはステップS210-1に処理を移し、投入枚数が規定数であると判定した場合にはステップS210-25に処理を移す。
【0196】
(ステップS210-25)
メインCPU200aは、スタートスイッチ118の操作が有効になったか否かを示すスタート表示器(不図示)をオン(点灯)するためのスタート表示器出力ビットをセットする。
【0197】
(ステップS210-27)
メインCPU200aは、スタートスイッチ118の立ち下がりエッジ(押下)を検出していなかを判定する。その結果、スタートスイッチ118の立ち下がりエッジを検出していないと判定した場合にはステップS210-1に処理を移し、スタートスイッチ118の立ち下がりエッジを検出していると判定した場合にはステップS210-29に処理を移す。
【0198】
(ステップS210-29)
メインCPU200aは、メイン払出表示部132の表示をクリアするためにメイン払出表示部バッファをクリアする。
【0199】
(ステップS210-31)
メインCPU200aは、再遊技状態識別信号をクリアする再遊技状態識別信号クリア処理を実行する。
【0200】
(ステップS210-33)
メインCPU200aは、スタート表示器をオフ(消灯)するためのブロッカー閉塞前処理を実行する。
【0201】
(ステップS210-35)
メインCPU200aは、スタートスイッチ118が押下されたことを示すレバー押下コマンドを送信バッファにセットする。
【0202】
(ステップS220)
メインCPU200aは、当選種別抽選を行う内部抽選処理を実行する。なお、この内部抽選処理については後述する。
【0203】
図17は、主制御基板200における内部抽選処理(S220)を説明するフローチャートである。
【0204】
(ステップS220-1)
メインCPU200aは、設定値データを取得する。
【0205】
(ステップS220-3)
メインCPU200aは、設定値異常エラーを示すエラーコード「EC」をセットする。
【0206】
(ステップS220-5)
メインCPU200aは、上記ステップS220-1で取得した設定値データが異常であるかを判定する。その結果、設定値データが異常であると判定した場合にはステップS112に処理を移し、設定値データが異常でないと判定した場合にはステップS220-7に処理を移す。
【0207】
(ステップS220-7)
メインCPU200aは、乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数を取得する。
【0208】
(ステップS220-9)
メインCPU200aは、遊技状態に係るオフセット値を取得する状態オフセット取得処理を実行する。
【0209】
(ステップS220-11)
メインCPU200aは、内部抽選エリア定義テーブル(当選種別抽選テーブル)のアドレスをセットする。
【0210】
(ステップS220-13)
メインCPU200aは、上記ステップS220-11でセットしたアドレスに対して、上記ステップS220-9で取得したオフセット値を加算したアドレスに示される値を当選領域の初期値としてセットする。ここでは、現在の遊技状態の当選種別抽選テーブルにおける最初の当選領域が初期値としてセットされることになる。
【0211】
(ステップS220-15)
メインCPU200aは、その当選領域の当選範囲を示す数値である抽選データを取得するとともに、当選領域を1ずらす抽選データ取得処理を実行する。
【0212】
(ステップS220-17)
メインCPU200aは、当選種別抽選を行わないかを判定する。その結果、当選種別抽選を行わないと判定した場合にはステップS220-21に処理を移し、当選種別抽選を行うと判定した場合にはステップS220-19に処理を移す。
【0213】
(ステップS220-19)
メインCPU200aは、乱数値から抽選データを減算する。
【0214】
(ステップS220-21)
メインCPU200aは、上記ステップS220-19の減算結果が負であるか、すなわち、当選種別抽選によって、その当選領域に当選しているかを判定する。その結果、当選種別抽選に当選していると判定した場合にはステップS230に処理を移し、当選種別抽選に当選していないと判定した場合にはステップS220-23に処理を移す。
【0215】
(ステップS220-23)
メインCPU200aは、当選種別抽選が終了でないかを判定する。その結果、当選種別抽選が終了でないと判定した場合にはステップS220-15に処理を移し、当選種別抽選が終了であると判定した場合にはステップS220-25に処理を移す。
【0216】
(ステップS220-25)
メインCPU200aは、トリガー役種別をクリアする。
【0217】
(ステップS230)
メインCPU200aは、当選領域および遊技状態に基づいて、図柄コードを設定する図柄コード設定処理を実行する。なお、この図柄コード設定処理については後述する。
【0218】
図18は、主制御基板200における図柄コード設定処理(S230)を説明するフローチャートである。
【0219】
(ステップS230-1)
メインCPU200aは、上記ステップS220で当選した当選領域を取得し、取得した当選領域にボーナス役が含まれる場合には遊技状態を内部中遊技状態に設定する遊技状態設定処理を実行する。
【0220】
(ステップS230-3)
メインCPU200aは、上記ステップS230-1で取得した当選領域を停止制御番号として設定する。
【0221】
(ステップS230-5)
メインCPU200aは、上記ステップS230-1で取得した当選領域に基づいて、当選役グループを決定(設定)する。なお、決定された当選役グループによって、メインCPU200aは、疑似遊技実行フラグをオンにすることがある。なお、疑似遊技実行フラグは、オンのときには疑似遊技を実行することを示し、オフのときには疑似遊技を実行しないことを示す。
【0222】
(ステップS230-7)
メインCPU200aは、上記ステップS230-3で設定した停止制御番号に基づいて、表示可能な図柄、および、引き込み対象の図柄を示す図柄コードを設定する図柄コード初期設定処理を実行する。
【0223】
(ステップS230-9)
メインCPU200aは、表示図柄ビットを設定する表示図柄ビット初期値設定処理を実行する。
【0224】
(ステップS231)
メインCPU200aは、実行フラグの設定、演出状態に関する各種処理、補助演出に関する処理等を行う実行フラグ設定処理を実行する。なお、この実行フラグ設定処理については後述する。
【0225】
(ステップS230-13)
メインCPU200aは、有利区間に関するコマンドである演出コマンドを送信バッファにセットする。
【0226】
(ステップS230-15)
メインCPU200aは、当選種別を示す当選情報コマンドを送信バッファにセットする。
【0227】
(ステップS230-17)
メインCPU200aは、1遊技間タイマを確認する。
【0228】
(ステップS230-19)
メインCPU200aは、リール110a、110b、110cが回転前であることを示す回胴回転前コマンドを送信バッファにセットする。
【0229】
(ステップS230-21)
メインCPU200aは、ステッピングモータ152の励磁解放を待つ励磁解放待ち処理を実行する。
【0230】
(ステップS236)
メインCPU200aは、疑似遊技を実行する回胴演出処理を実行する。具体的に、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、各リール110a、110b、110cにおける所定の図柄(例えば、ボーナス役を構成する図柄)を、自動的に仮停止制御し、全てのリール110a、110b、110cが仮停止したら、もしくは、仮停止終了後にランダム遅延処理を通じて回転開始したら、疑似遊技実行フラグをオフする。
【0231】
(ステップS230-23)
メインCPU200aは、1遊技間タイマが0でないかを判定する。その結果、1遊技間タイマが0でないと判定した場合にはステップS230-23に処理を移し、1遊技間タイマが0であると判定した場合にはステップS230-25に処理を移す。
【0232】
(ステップS230-25)
メインCPU200aは、リール110a、110b、110cの回転を開始させるための回胴開始処理を実行する。ここでは、リール110a、110b、110cのモータフェーズを加速中に設定して各リールの回転を開始させたり、1遊技間タイマを4.1秒に相当する値にセットしたりする。
【0233】
(ステップS230-27)
メインCPU200aは、リール110a、110b、110cの回転が開始したことを示す回胴開始コマンドを送信バッファにセットする。
【0234】
(ステップS240)
メインCPU200aは、リール110a、110b、110cの回転中の処理である回胴回転中処理を実行する。なお、この回胴回転中処理については後述する。
【0235】
図19は、主制御基板200における実行フラグ設定処理(S231)を説明するフローチャートである。
【0236】
(ステップS231-1)
メインCPU200aは、次回ATフラグに基づいて演出状態を更新する(移行させる)AT状態更新処理を実行する。なお、次回ATフラグは、次遊技において設定する演出状態を示すものであり、下記の処理で設定されることになる。
【0237】
(ステップS232~ステップS238)
メインCPU200aは、演出状態、遊技区間毎のモジュールを実行する状態別モジュール実行処理を実行し、当該実行フラグ設定処理を終了する。なお、状態別モジュール実行処理では、移行されている演出状態、遊技区間に対応するモジュール(処理)がメインROM200bから読み出されて実行される。以下では、本実施形態の特徴に関係するモジュールについて詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係のモジュールについては説明を省略する。
【0238】
図20は、状態別モジュール実行処理で実行される非有利演出状態処理(S232)を説明するフローチャートである。非有利演出状態処理は、演出状態が非有利演出状態であるときに実行される。
【0239】
(ステップS232-1)
メインCPU200aは、当選種別抽選により決定された当選種別に基づき有利区間への移行抽選を行う。
【0240】
(ステップS232-3)
メインCPU200aは、上記ステップS232-1において有利区間に当選したかを判定する。その結果、有利区間に当選したと判定した場合にはステップS232-5に処理を移し、有利区間に当選していないと判定した場合には当該非有利演出状態処理を終了する。
【0241】
(ステップS232-5)
メインCPU200aは、次回ATフラグを振分演出状態に対応する値に設定するとともに、有利区間であることを示す有利区間フラグをオンにし、当該非有利演出状態処理を終了する。
【0242】
図21は、状態別モジュール実行処理で実行される振分演出状態処理(S233)を説明するフローチャートである。振分演出状態処理は、演出状態が振分演出状態であるときに実行される。
【0243】
(ステップS233-1)
メインCPU200aは、例えば、1/10の確率で前兆演出状態に、9/10の確率で通常演出状態に振り分ける抽選を行う。
【0244】
(ステップS233-3)
メインCPU200aは、上記ステップS233-1において通常演出状態に当選したかを判定する。その結果、通常演出状態に当選したと判定した場合にはステップS233-5に処理を移し、通常演出状態に当選していない(前兆演出状態に当選した)と判定した場合にはステップS233-13に処理を移す。
【0245】
(ステップS233-5)
メインCPU200aは、次回ATフラグを通常演出状態に対応する値に設定する。
【0246】
(ステップS233-7)
メインCPU200aは、通常演出状態において天井機能を実行する遊技数を、上限871遊技で決定し、決定された遊技数を天井遊技数カウンタに設定する。天井遊技数カウンタは、天井機能の実行までの遊技数をカウントするカウンタである。
【0247】
(ステップS233-9)
メインCPU200aは、非有利演出状態から移行した通常演出状態においてAT演出状態への移行を禁止するブロック期間の遊技数を上限96遊技で決定し、決定された遊技数をブロック遊技数カウンタに設定する。ブロック遊技数カウンタは、AT演出状態の実行(設定)を禁止する遊技数をカウントするカウンタである。
【0248】
(ステップS233-11)
メインCPU200aは、通常演出状態のAT抽選の当選確率として高確率(例えば、1/8)を設定し、当該振分演出状態処理を終了する。
【0249】
(ステップS233-13)
ステップS233-3において、通常演出状態に当選していない(前兆演出状態に当選した)と判定された場合、メインCPU200aは、次回ATフラグを前兆演出状態に対応する値に設定する。
【0250】
(ステップS233-15)
メインCPU200aは、前兆演出状態を継続する遊技数を、上限32遊技で決定し、決定された遊技数を前兆遊技数カウンタに設定し、当該振分演出状態処理を終了する。前兆遊技数カウンタは、前兆演出状態の終了までの遊技数をカウントするカウンタである。
【0251】
図22は、状態別モジュール実行処理で実行される通常演出状態処理(S234)を説明するフローチャートである。通常演出状態処理は、演出状態が通常演出状態であるときに実行される。
【0252】
(ステップS234-1)
メインCPU200aは、AT抽選の当選確率(低確率または高確率)および当選種別抽選により決定された当選種別に基づきAT抽選を行う。
【0253】
(ステップS234-3)
メインCPU200aは、AT抽選に当選したか、または、本前兆許可フラグがONであるか判定する。その結果、AT抽選に当選したか、または、本前兆許可フラグがONであると判定した場合にはステップS234-5に処理を移し、AT抽選に当選していない、かつ、本前兆許可フラグがOFFであると判定した場合にはステップS234-21に処理を移す。
【0254】
(ステップS234-5)
メインCPU200aは、ブロック遊技数カウンタが0であるか否か判定する。その結果、ブロック遊技数カウンタが0であると判定した場合にはステップS234-9に処理を移し、ブロック遊技数カウンタが0ではない(まだブロック期間中である)と判定した場合にはステップS234-7に処理を移す。
【0255】
(ステップS234-7)
メインCPU200aは、その時点の本前兆許可フラグがONであるかOFFであるかに拘わらず、本前兆許可フラグをONにする。
【0256】
(ステップS234-9)
ステップS234-5において、ブロック遊技数カウンタが0であると判定されると、メインCPU200aは、本前兆許可フラグをOFFにする。
【0257】
(ステップS234-11)
メインCPU200aは、天井遊技数カウンタが271を超えているか否か判定する。その結果、天井遊技数カウンタが271を超えている、すなわち、通常演出状態での滞在遊技数が600遊技より少ないと判定した場合にはステップS234-13に処理を移し、天井遊技数カウンタが271以下である、すなわち、通常演出状態での滞在遊技数が600遊技以上であると判定した場合にはステップS234-19に処理を移す。
【0258】
(ステップS234-13)
メインCPU200aは、次回ATフラグを前兆演出状態に対応する値に設定する。
【0259】
(ステップS234-15)
メインCPU200aは、前兆演出状態を継続する遊技数を、上限32遊技で決定し、決定された遊技数を前兆遊技数カウンタに設定する。
【0260】
(ステップS234-17)
メインCPU200aは、通常演出状態のAT抽選の当選確率が低確率であるか高確率であるかに拘わらず、次回の通常演出状態のため、AT抽選の当選確率を低確率(例えば、1/4000)に設定する。
【0261】
(ステップS234-19)
ステップS234-11において、天井遊技数カウンタが271以下である、すなわち、通常演出状態での滞在遊技数が600遊技以上であると判定されると、メインCPU200aは、次回ATフラグを特別前兆演出状態に対応する値に設定する。
【0262】
(ステップS234-21)
メインCPU200aは、ブロック遊技数カウンタが0より大きいか否かを判定する。その結果、ブロック遊技数カウンタが0より大きいと判定した場合にはステップS234-23に処理を移し、ブロック遊技数カウンタ0より大きくない(0である)と判定した場合にはステップS234-25に処理を移す。
【0263】
(ステップS234-23)
メインCPU200aは、ブロック遊技数カウンタを1だけデクリメントする。
【0264】
(ステップS234-25)
メインCPU200aは、天井遊技数カウンタが0であるかを判定する。その結果、天井遊技数カウンタが0であると判定した場合にはステップS234-27に処理を移し、天井遊技数カウンタが0ではないと判定した場合にはステップS234-29に処理を移す。
【0265】
(ステップS234-27)
メインCPU200aは、天井機能を実行するため、有利区間フラグをオフにし、次回ATフラグを非有利演出状態に対応する値に設定し、当該通常演出状態処理を終了する。
【0266】
(ステップS234-29)
メインCPU200aは、天井遊技数カウンタを1だけデクリメントし、当該通常演出状態処理を終了する。
【0267】
なお、ここでは、詳細な説明を省略するが、通常演出状態では、所定の遊技数を消化する度に、AT抽選の当選確率を高めたチャンスゾーン(CZ)を複数遊技に渡って実行する。また、AT抽選の当選確率は、通常演出状態の開始時は低確率だが、昇格抽選により高確率に移行する場合がある。
【0268】
図23は、状態別モジュール実行処理で実行される前兆演出状態処理(S235)を説明するフローチャートである。前兆演出状態処理は、演出状態が前兆演出状態であるときに実行される。
【0269】
(ステップS235-1)
メインCPU200aは、前兆遊技数カウンタが0であるかを判定する。その結果、前兆遊技数カウンタが0であると判定した場合にはステップS235-3に処理を移し、前兆遊技数カウンタが0ではないと判定した場合にはステップS235-5に処理を移す。
【0270】
(ステップS235-3)
メインCPU200aは、次回ATフラグをAT演出状態に対応する値に設定し、当該前兆演出状態処理を終了する。
【0271】
(ステップS235-5)
メインCPU200aは、前兆遊技数カウンタを1だけデクリメントし、当該前兆演出状態処理を終了する。
【0272】
図24は、状態別モジュール実行処理で実行されるAT演出状態処理(S236)を説明するフローチャートである。AT演出状態処理は、演出状態がAT演出状態であるときに実行される。
【0273】
(ステップS236-1)
メインCPU200aは、AT演出状態における終了条件である所定差枚数の上乗せ抽選を行い、上乗せ抽選に当選すると当選した差枚数を所定差枚数に加算する。
【0274】
(ステップS236-3)
メインCPU200aは、AT演出状態が終了条件を満たしたか否か判定する。その結果、終了条件を満たしたと判定した場合にはステップS236-5に処理を移し、終了条件を満たしていないと判定した場合には当該AT演出状態処理を終了する。
【0275】
(ステップS236-5)
メインCPU200aは、通常演出状態への移行が決定しているか否か判定する。その結果、通常演出状態への移行が決定している場合にはステップS236-7に処理を移し、通常演出状態への移行が決定していない、すなわち、非有利演出状態への移行が決定している場合にはステップS236-11に移行する。
【0276】
(ステップS236-7)
メインCPU200aは、次回ATフラグを通常演出状態に対応する値に設定する。
【0277】
(ステップS236-9)
メインCPU200aは、通常演出状態において天井機能を実行する遊技数を、上限871遊技で決定し、決定された遊技数を天井遊技数カウンタに設定し、当該AT演出状態処理を終了する。
【0278】
(ステップS236-11)
ステップS236-5において通常演出状態への移行が決定していないと判定されると、メインCPU200aは、有利区間フラグをオフにし、次回ATフラグを非有利演出状態に対応する値に設定し、当該AT演出状態処理を終了する。
【0279】
図25は、状態別モジュール実行処理で実行される特別前兆演出状態処理(S237)を説明するフローチャートである。特別前兆演出状態処理は、演出状態が特別前兆演出状態であるときに実行される。
【0280】
(ステップS237-1)
メインCPU200aは、特別演出状態において受け得る遊技利益である所定差枚数の上乗せ抽選を行い、上乗せ抽選に当選すると当選した差枚数を所定差枚数に加算する。
【0281】
(ステップS237-3)
メインCPU200aは、特別前兆演出状態が終了条件(ここでは、所定遊技数の消化)を満たしたか否か判定する。その結果、終了条件を満たしたと判定した場合にはステップS237-5に処理を移し、終了条件を満たしていないと判定した場合には当該特別前兆演出状態処理を終了する。
【0282】
(ステップS237-5)
メインCPU200aは、ステップS237-1において上乗せ抽選に当選したか否か判定する。その結果、上乗せ抽選に当選したと判定した場合にはステップS237-7に処理を移し、上乗せ抽選に当選していないと判定した場合にはステップS237-9に処理を移す。
【0283】
(ステップS237-7)
メインCPU200aは、次回ATフラグを特別演出状態に対応する値に設定し、当該特別前兆演出状態処理を終了する。
【0284】
(ステップS237-9)
ステップS237-5において上乗せ抽選に当選していないと判定されると、メインCPU200aは、有利区間フラグをオフにし、次回ATフラグを非有利演出状態に対応する値に設定し、当該特別前兆演出状態処理を終了する。
【0285】
図26は、状態別モジュール実行処理で実行される特別演出状態処理(S238)を説明するフローチャートである。特別演出状態処理は、演出状態が特別演出状態であるときに実行される。
【0286】
(ステップS238-1)
メインCPU200aは、特別演出状態が終了条件を満たしたか否か判定する。その結果、終了条件を満たしたと判定した場合にはステップS238-3に処理を移し、終了条件を満たしていないと判定した場合には当該特別演出状態処理を終了する。なお、特別演出状態の終了条件は、ステップS237-1で上乗せされた所定差枚数を獲得したことである。
【0287】
(ステップS238-3)
メインCPU200aは、有利区間フラグをオフにし、次回ATフラグを非有利演出状態に対応する値に設定し、当該特別演出状態処理を終了する。
【0288】
図27は、主制御基板200における回胴回転中処理(S240)を説明するフローチャートである。
【0289】
(ステップS240-1)
メインCPU200aは、ストップスイッチ120a、120b、120cの表示器(不図示)に対応するビットをオフ(消灯)するために停止表示器出力ビットオフ(出力イメージ)をセットする。ここで、停止表示器出力ビットは、3ビットのビット列で構成され、各ビットがそれぞれ3つのストップスイッチ120a、120b、120cの発光色に対応付けられており、青色=1、赤色=0で表される。
【0290】
(ステップS240-3)
メインCPU200aは、上記ステップS240-1でセットしたビットについて、出力イメージを更新する出力ポートイメージセット処理を実行する。
【0291】
(ステップS240-5)
メインCPU200aは、各種エラーの検出結果の確認を行うエラー確認処理を実行する。
【0292】
(ステップS240-7)
メインCPU200aは、インデックスフラグを参照し、回転しているリール110a、110b、110cのインデックスを取得する。なお、インデックスフラグは、リール110a、110b、110cが定常回転速度に到達した後にしか立たないので、換言すれば、インデックスフラグが立っているということは、リール110a、110b、110cが定常回転速度に到達していることも示すこととなる。
【0293】
(ステップS240-9)
メインCPU200aは、リール110a、110b、110c全てのインデックスフラグを検出済みでないかを判定する。その結果、全てのインデックスフラグを検出済みでないと判定した場合にはステップS240-1に処理を移し、全てのインデックスフラグを検出済みであると判定した場合にはステップS240-11に処理を移す。
【0294】
(ステップS240-11)
メインCPU200aは、停止または停止開始しているリール110a、110b、110cを示す停止回胴ビットを取得する。ここで、停止回胴ビットは、3ビットのビット列で構成され、各ビットがそれぞれ3つのリール110a、110b、110cのいずれかに対応付けられており、定常状態=1、加速状態、減速状態または停止状態=0で表される。
【0295】
(ステップS240-13)
メインCPU200aは、上記ステップS240-11で取得した停止回胴ビットを回胴回転中フラグとして保存する。
【0296】
(ステップS240-15)
メインCPU200aは、ストップスイッチ120a、120b、120cの表示器(不図示)に対応するビットをオン(消灯)するために停止表示器出力ビットオン(出力イメージ)をセットする。
【0297】
(ステップS240-17)
メインCPU200aは、入力ポート0のイメージを取得し、取得したイメージから、操作対象ビットを抽出する操作対象ビット抽出処理を実行する。ここで、操作対象ビットは、3ビットのビット列で構成され、各ビットがそれぞれ3つのストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかに対応付けられており、操作されている=1、操作されていない=0で表される。
【0298】
(ステップS240-19)
メインCPU200aは、上記ステップS240-13で取得した回胴回転中フラグと、上記ステップS240-17で抽出した操作対象ビットとの論理積を演算する。ここで、リール110が回転中であり、かつ、そのリールに対応するストップスイッチ120が操作されていれば、すなわち、操作したストップスイッチ120が有効に回転しているリール110に対応していれば、論理積は1となる。
【0299】
(ステップS240-21)
メインCPU200aは、上記ステップS240-19で演算した論理積が0である、すなわち、回転しているリール110に対応したストップスイッチ120が操作されていないかを判定する。その結果、回転しているリール110に対応したストップスイッチ120が操作されていないと判定した場合にはステップS240-3に処理を移し、回転しているリール110に対応したストップスイッチ120が操作されていると判定した場合にはステップS240-23に処理を移す。
【0300】
(ステップS240-23)
メインCPU200aは、停止表示器出力ビットが含まれる出力イメージを取得し、取得した出力イメージと、上記ステップS240-19で演算した論理積との論理積を演算する。ここでは、操作されたストップスイッチ120が、赤色点灯中である場合に論理積のビットが0となり、青色点灯中である場合に論理積のビットが1となる。
【0301】
(ステップS240-25)
メインCPU200aは、上記ステップS240-23で演算した論理積が0であるか、すなわち、操作されたストップスイッチ120が赤色点灯中であるかを判定する。その結果、操作されたストップスイッチ120が赤色点灯中であると判定した場合にはステップS240-1に処理を移し、操作されたストップスイッチ120が赤色点灯中でないと判定した場合にはステップS240-27に処理を移す。
【0302】
(ステップS240-27)
メインCPU200aは、操作されたストップスイッチ120が有効でないかを判定する。その結果、操作されたストップスイッチ120が有効でないと判定した場合にはステップS240-1に処理を移し、操作されたストップスイッチ120が有効であると判定した場合にはステップS240-29に処理を移す。なお、ここでは、操作されたストップスイッチ120が1つであるか否かを判定している。そして、操作されたストップスイッチ120が1つであると判定した場合にはステップS240-29に処理を移し、操作されたストップスイッチ120が1つでない、すなわち、2つ以上であると判定した場合にはステップS240-1に処理を移す。
【0303】
(ステップS240-29)
メインCPU200aは、操作されたストップスイッチ120に対応するリール110を停止させるための各種パラメータを取得する停止制御回胴設定処理を実行する。
【0304】
(ステップS240-31)
メインCPU200aは、割込みを禁止する。
【0305】
(ステップS240-33)
メインCPU200aは、有効ラインA上に位置する図柄の図柄番号を押下基準位置として導出する押下基準位置取得処理を実行する。
【0306】
(ステップS240-35)
メインCPU200aは、リール110の滑りコマ数を決定する滑りコマ数取得処理を実行する。
【0307】
(ステップS250)
メインCPU200aは、操作されたストップスイッチ120に対応するリール110を停止させる回胴停止処理を実行する。なお、この回胴停止処理については後述する。
【0308】
図28は、主制御基板200における回胴停止処理(S250)を説明するフローチャートである。
【0309】
(ステップS250-1)
メインCPU200aは、上記ステップS240-35で導出した押下基準位置を取得する。
【0310】
(ステップS250-3)
メインCPU200aは、上記ステップS250-1で取得した押下基準位置に対して、上記ステップS240-37で決定した滑りコマ数を補正することにより、停止要求番号を算定する。
【0311】
(ステップS250-5)
メインCPU200aは、停止要求フラグを設定する(1にする)。停止要求フラグは、並行して動作するプログラムに対し、対象となるリール110の停止処理を要求するためのフラグであり、停止要求フラグを1とすることで、停止要求番号に対応する図柄を有効ラインA上に停止することが可能となる。かかる停止要求フラグおよび上記の停止要求番号は、並行して動作するプログラムにより読み出され、リール110の停止処理が行われる。なお、停止処理が完了すると、そのプログラムによって、停止要求フラグは0(OFF)にリセットされる。
【0312】
(ステップS250-7)
メインCPU200aは、割込みを許可する。
【0313】
(ステップS250-9)
メインCPU200aは、リール110の停止順序を示す停止情報コマンドを送信バッファにセットする。
【0314】
(ステップS250-11)
メインCPU200aは、ストップスイッチ120の表示器(不図示)に対応するビットをオフ(消灯)するために停止表示器出力ビットオフ(出力イメージ)をセットする。
【0315】
(ステップS250-13)
メインCPU200aは、上記ステップS250-11でセットしたビットについて、出力イメージを更新する出力ポートイメージセット処理を実行する。
【0316】
(ステップS250-15)
メインCPU200aは、表示図柄ビットを設定する表示図柄ビット設定処理を実行する。
【0317】
(ステップS250-17)
メインCPU200aは、次のリール110を停止させるための次回胴設定前処理を実行する。
【0318】
(ステップS250-19)
メインCPU200aは、全てのリール110の停止処理が終了済みでないかを判定する。その結果、全てのリール110の停止処理が終了済みでないと判定した場合にはステップS240に処理を移し、全てのリール110の停止処理が終了済みであると判定した場合にはステップS250-21に処理を移す。
【0319】
(ステップS250-21)
メインCPU200aは、いずれかのリール110について停止要求フラグがオンである、すなわち、全てのリール110が停止済みでないかを判定する。その結果、全てのリール110が停止済みでないと判定した場合にはステップS250-21に処理を移し、全てのリール110が停止済みであると判定した場合にはステップS250-23に処理を移す。
【0320】
(ステップS250-23)
メインCPU200aは、各種エラーの検出結果の確認を行うエラー確認処理を実行する。
【0321】
(ステップS250-25)
メインCPU200aは、操作対象ビットの情報を抽出する操作対象ビット抽出処理を実行する。
【0322】
(ステップS250-27)
メインCPU200aは、上記ステップS250-25で取得した操作対象ビットに基づいて、ストップスイッチ120が押下されているかを判定する。その結果、ストップスイッチ120が押下されていると判定した場合にはステップS250-23に処理を移し、ストップスイッチ120が押下されていないと判定した場合にはステップS260に処理を移す。
【0323】
(ステップS260)
メインCPU200aは、入賞した当選役を判定する表示判定処理を実行する。なお、この表示判定処理については後述する。
【0324】
図29は、主制御基板200における表示判定処理(S260)を説明するフローチャートである。
【0325】
(ステップS260-1)
メインCPU200aは、メイン払出表示部132のバッファをクリアする。
【0326】
(ステップS260-3)
メインCPU200aは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせと、有効ラインA上に表示許可された図柄組み合わせとが一致するか否かによって、表示判定異常が発生しているかを判定する表示判定異常検出処理を実行する。
【0327】
(ステップS260-5)
メインCPU200aは、表示判定異常(エラー)であることを示すエラーコード「EE」をセットする。
【0328】
(ステップS260-7)
メインCPU200aは、上記ステップS260-3の判定結果に基づき、表示判定異常であるかを判定する。その結果、表示判定異常であると判定した場合にはステップS112に処理を移し、表示判定異常でないと判定した場合にはステップS260-9に処理を移す。
【0329】
(ステップS260-9)
メインCPU200aは、有効ラインA上に停止(表示)された図柄組み合わせに基づいて、入賞した当選役を決定する表示図柄識別生成処理を実行する。
【0330】
(ステップS260-11)
メインCPU200aは、払出枚数の初期値として0をセットする。
【0331】
(ステップS260-13)
メインCPU200aは、小役が入賞したかを判定する。その結果、小役が入賞したと判定した場合にはステップS260-15に処理を移し、小役が入賞していないと判定した場合にはステップS260-35に処理を移す。
【0332】
(ステップS260-15)
メインCPU200aは、小役が入賞したことを示す入賞フラグをオンにする。
【0333】
(ステップS260-17)
メインCPU200aは、入賞した小役に応じた払出枚数を設定する払出枚数設定処理を実行する。
【0334】
(ステップS260-19)
メインCPU200aは、有利区間でないかを判定する。その結果、有利区間でないと判定した場合にはステップS270に処理を移し、有利区間であると判定した場合にはステップS260-21に処理を移す。
【0335】
(ステップS260-21)
メインCPU200aは、有利区間中のMYをカウントする有利区間MYカウンタの値を取得する。
【0336】
(ステップS260-23)
メインCPU200aは、上記ステップS260-23で取得した有利区間MYカウンタの値に払出枚数を加算する。
【0337】
(ステップS260-25)
メインCPU200aは、当該遊技の投入枚数を取得する。
【0338】
(ステップS260-27)
メインCPU200aは、上記ステップS260-23で加算した値から投入枚数を減算する。
【0339】
(ステップS260-29)
メインCPU200aは、上記ステップS260-27の減算結果が負でないかを判定する。その結果、減算結果が負でないと判定した場合にはステップS260-33に処理を移し、減算結果が負であると判定した場合にはステップS260-31に処理を移す。
【0340】
(ステップS260-31)
メインCPU200aは、有利区間MYカウンタの値をクリアする(0にする)。
【0341】
(ステップS260-33)
メインCPU200aは、上記ステップS260-27で減算した値、または、上記ステップS260-31でクリアした値に、有利区間MYカウンタの値を更新する。
【0342】
(ステップS260-35)
メインCPU200aは、リプレイ役が入賞していなかを判定する。その結果、リプレイ役が入賞していないと判定した場合にはステップS270に処理を移し、リプレイ役が入賞していると判定した場合にはステップS260-37に処理を移す。
【0343】
(ステップS260-37)
メインCPU200aは、払出枚数に投入枚数をセットする。
【0344】
(ステップS260-39)
メインCPU200aは、再遊技作動中フラグをオンにする。
【0345】
(ステップS260-41)
メインCPU200aは、自動投入枚数をセットする。
【0346】
(ステップS270)
メインCPU200aは、メダルを払い出す払出処理を実行する。なお、この払出処理については後述する。
【0347】
図30は、主制御基板200における払出処理(S270)を説明するフローチャートである。
【0348】
(ステップS270-1)
メインCPU200aは、再遊技作動中フラグを取得する。
【0349】
(ステップS270-3)
メインCPU200aは、メダルの払い出しが開始されたことを示す払出開始コマンドを送信バッファにセットする。
【0350】
(ステップS270-5)
メインCPU200aは、上記ステップS270-1で取得した再遊技作動中フラグに基づいて、リプレイ役が入賞したかを判定する。その結果、リプレイ役が入賞したと判定した場合にはステップS270-41に処理を移し、リプレイ役が入賞していないと判定した場合にはステップS270-7に処理を移す。
【0351】
(ステップS270-7)
メインCPU200aは、メイン払出表示部132に0を表示するためのメイン表示器表示処理を実行する。
【0352】
(ステップS270-9)
メインCPU200aは、払い出しがない(払出枚数が0枚)を判定する。その結果、払い出しがないと判定した場合にはステップS270-35に処理を移し、払い出しがあると判定した場合にはステップS270-11に処理を移す。
【0353】
(ステップS270-11)
メインCPU200aは、貯留枚数が50枚以上であるかを判定する。その結果、貯留枚数が50枚以上であると判定した場合にはステップS270-13に処理を移し、貯留枚数が50枚以上でないと判定した場合にはステップS270-15に処理を移す。
【0354】
(ステップS270-13)
メインCPU200aは、メダル払出装置142からメダルを1枚払い出させるメダル払出装置制御処理を実行し、ステップS270-23に処理を移す。
【0355】
(ステップS270-15)
メインCPU200aは、払出開始間隔タイマをセットする。
【0356】
(ステップS270-17)
メインCPU200aは、払出開始タイマが0でない、すなわち、初回払出時であるかを判定する。その結果、初回払出時であると判定した場合にはステップS270-21に処理を移し、初回払出時でないと判定した場合にはステップS270-19に処理を移す。
【0357】
(ステップS270-19)
メインCPU200aは、払出開始間隔タイマが0になるまで待つタイマウェイト処理を実行する。
【0358】
(ステップS270-21)
メインCPU200aは、貯留枚数を1インクリメントする。
【0359】
(ステップS270-23)
メインCPU200aは、1枚のメダルが払い出されたことを示す払出実行コマンドを送信バッファにセットする。
【0360】
(ステップS270-25)
メインCPU200aは、既に払い出された払出枚数をメイン払出表示部132に表示するためのメイン表示器表示前処理を実行する。
【0361】
(ステップS270-27)
メインCPU200aは、ボーナス遊技状態でないかを判定する。その結果、ボーナス遊技状態でないと判定した場合にはステップS270-31に処理を移し、ボーナス遊技状態であると判定した場合にはステップS270-29に処理を移す。
【0362】
(ステップS270-29)
メインCPU200aは、ボーナス遊技状態において払い出されたメダルの枚数であるボーナス作動中獲得枚数を1インクリメントする。
【0363】
(ステップS270-31)
メインCPU200aは、払出枚数のメダルの払い出しが終了していないかを判定する。その結果、払い出しが終了していないと判定した場合にはステップS270-11に処理を移し、払い出しが終了していると判定した場合にはステップS270-33に処理を移す。
【0364】
(ステップS270-33)
メインCPU200aは、メダルの払い出しを終了するための払出終了処理を実行する。
【0365】
(ステップS270-35)
メインCPU200aは、オーバーエラーが検出されていないかを判定する。その結果、オーバーエラーが検出されていないと判定した場合にはステップS270-41に処理を移し、オーバーエラーが検出されていると判定した場合にはステップS270-37に処理を移す。
【0366】
(ステップS270-37)
メインCPU200aは、オーバーエラーを示すエラーコード「E5」をセットする。
【0367】
(ステップS270-39)
メインCPU200aは、エラー表示、警告音の要求、ならびに、エラー復帰待ちを行うエラーウェイト処理を実行する。
【0368】
(ステップS270-41)
メインCPU200aは、メダルの払い出しが終了したことを示す払出終了コマンドを送信バッファにセットする。
【0369】
(ステップS280)
メインCPU200aは、遊技状態の移行、有利区間を管理する処理等を行う遊技移行処理を実行する。なお、この遊技移行処理については後述する。
【0370】
図31は、主制御基板200における遊技移行処理(S280)を説明するフローチャートである。
【0371】
(ステップS280-1)
メインCPU200aは、再遊技作動中フラグを取得し、取得した再遊技作動中フラグに基づいて、次遊技が再遊技であることを示すリプレイ表示器(不図示)に対応するビットをオンまたはオフするために停止表示器出力ビットオフ(出力イメージ)をセットし、セットした出力イメージの出力ビットを更新するリプレイ表示器制御処理を実行する。
【0372】
(ステップS280-3)
メインCPU200aは、ボーナス役が入賞した場合に、ボーナス遊技状態を制御するための各種パラメータを設定する役物作動図柄表示処理を実行する。
【0373】
(ステップS281)
メインCPU200aは、演出状態、区間状態毎のモジュールを実行する状態別モジュール実行処理を実行する。なお、状態別モジュール実行処理では、移行されている演出状態に対応するモジュール(処理)がメインROM200bから読み出されて実行される。
【0374】
(ステップS280-5)
メインCPU200aは、ボーナス遊技状態において、ボーナス作動中獲得枚数が所定枚数に到達した場合に、遊技状態を非内部遊技状態に移行させるボーナス作動終了処理を実行する。
【0375】
(ステップS280-7)
メインCPU200aは、有利区間を管理する有利区間更新処理を実行する。
【0376】
(ステップS280-9)
メインCPU200aは、次遊技がAT演出状態でないかを判定する。その結果、次遊技がAT演出状態でないと判定した場合にはステップS280-15に処理を移し、次遊技がAT演出状態であると判定した場合にはステップS280-11に処理を移す。
【0377】
(ステップS280-11)
メインCPU200aは、ボーナス遊技状態でないかを判定する。その結果、ボーナス遊技状態でないと判定した場合にはステップS280-15に処理を移し、ボーナス遊技状態であると判定した場合にはステップS280-13に処理を移す。
【0378】
(ステップS280-13)
メインCPU200aは、区間表示器160を点灯させるための有利ランプフラグをオンにセットする。
【0379】
(ステップS280-15)
メインCPU200aは、有利区間に関するコマンドである演出コマンドを送信バッファにセットする演出コマンド設定処理を実行する。
【0380】
(ステップS280-17)
メインCPU200aは、1遊技が終了したことを示す遊技終了コマンドを送信バッファにセットする。
【0381】
(ステップS280-19)
メインCPU200aは、外部信号を出力するための端子板信号出力処理を実行する。
【0382】
(ステップS280-21)
メインCPU200aは、上記ステップS280-7において有利区間を終了させるときに設定される演出用ウェイトタイマが0でないかを判定する。その結果、演出用ウェイトタイマが0でないと判定した場合にはステップS280-21に処理を移し、演出用ウェイトタイマが0であると判定した場合にはステップS280-23に処理を移す。
【0383】
(ステップS280-23)
メインCPU200aは、遊技状態を示す遊技状態コマンドを送信バッファにセットする。
【0384】
(ステップS280-25)
メインCPU200aは、次遊技の開始を示す遊技開始コマンドを送信バッファにセットし、ステップS200に処理を移す。
【0385】
ステップS200からステップS280までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS280までを繰り返すこととなる。
【0386】
次に、主制御基板200における電源断時退避処理およびタイマ割込み処理について説明する。
【0387】
(主制御基板200の電源断時退避処理)
図32は、主制御基板200における電源断時退避処理を説明するフローチャートである。メインCPU200aは、電源断検知回路を監視しており、電源電圧が所定値以下になると、割り込んで電源断時退避処理を実行する。
【0388】
(ステップS300-1)
電源断予告信号が入力されると、メインCPU200aは、レジスタを退避する。
【0389】
(ステップS300-3)
メインCPU200aは、電源断予告信号をチェックする。
【0390】
(ステップS300-5)
メインCPU200aは、電源断予告信号を検出しているかを判定する。その結果、電源断予告信号を検出していると判定した場合にはステップS300-11に処理を移し、電源断予告信号を検出していないと判定した場合にはステップS300-7に処理を移す。
【0391】
(ステップS300-7)
メインCPU200aは、レジスタを復帰させる。
【0392】
(ステップS300-9)
メインCPU200aは、割込みを許可するための処理を行い、当該電源断時退避処理を終了する。
【0393】
(ステップS300-11)
メインCPU200aは、出力ポートの出力を停止する出力ポートクリア処理を実行する。
【0394】
(ステップS300-13)
メインCPU200aは、別領域についての電源断時の退避処理を実行する。
【0395】
(ステップS300-15)
メインCPU200aは、メインRAM200cへのアクセスを禁止するために必要なRAMプロテクト設定処理を実行する。
【0396】
(ステップS300-17)
メインCPU200aは、電源断発生監視時間を設定すべく、ループカウンタのカウンタ値に所定の電源断検出信号検出回数をセットする。
【0397】
(ステップS300-19)
メインCPU200aは、上記ステップS300-17でセットしたループカウンタの値を1減算する。
【0398】
(ステップS300-21)
メインCPU200aは、ループカウンタのカウンタ値が0でないかを判定する。その結果、カウンタ値が0ではないと判定した場合にはステップS300-19に処理を移し、カウンタ値が0であると判定した場合には上記したCPU初期化処理(ステップS1000)に移行する。
【0399】
なお、実際に電源断が生じた場合には、ステップS300-19~ステップS300-21をループしている間にスロットマシン100の稼働が停止する。
【0400】
(主制御基板200のタイマ割込み処理)
図33は、主制御基板200におけるタイマ割込み処理を説明するフローチャートである。主制御基板200には、所定の周期(同時回し参考例では1.49ミリ秒、以下「1.49ms」という)毎にクロックパルスを発生させるリセット用クロックパルス発生回路が設けられている。そして、リセット用クロックパルス発生回路によって、クロックパルスが発生すると、割り込んで、以下のタイマ割込み処理が実行される。
【0401】
(ステップS400-1)
メインCPU200aは、レジスタを退避する。
【0402】
(ステップS400-3)
メインCPU200aは、割込みフラグをクリアする。
【0403】
(ステップS400-5)
メインCPU200aは、各種の入力ポートイメージを読み込み、最新のスイッチ状態を正確に取得するためのポート入力処理を実行する。
【0404】
(ステップS400-7)
メインCPU200aは、セットされた出力イメージを出力ポートに出力し、メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132、投入枚数表示器、スタート表示器、ストップスイッチ120a、120b、120cの表示器、リプレイ表示器、区間表示器160を点灯制御するダイナミックポート出力処理を実行する。
【0405】
(ステップS400-9)
メインCPU200aは、タイマ割込み処理用フェーズを更新する。なお、タイマ割込み処理用フェーズは、0~3のいずれかであり、ここでは、タイマ割込み処理用フェーズが0、1、2の場合には1加算され、タイマ割込み処理用フェーズが3の場合には0に変更される。
【0406】
(ステップS400-11)
メインCPU200aは、送信バッファに格納されたコマンドを副制御基板202に送信するためのサブコマンド送信処理を行う。
【0407】
(ステップS400-13)
メインCPU200aは、ステッピングモータ152を制御するステッピングモータ制御処理を実行する。
【0408】
(ステップS400-15)
メインCPU200aは、メダル払出装置142へ出力する出力イメージを出力する出力ポートイメージ出力処理を実行する。
【0409】
(ステップS400-17)
メインCPU200aは、各種乱数値を更新する乱数更新処理を実行する。
【0410】
(ステップS400-19)
メインCPU200aは、エラーに対応する外部信号(外部信号4、5)を外部に出力するためにエラーを検出する不正監視処理を実行する。
【0411】
(ステップS400-21)
メインCPU200aは、上記ステップS400-9で更新したタイマ割込み処理用フェーズに対応するモジュール(サブルーチン)を実行する。ここで、タイマ割込み処理用フェーズは0~3のいずれかに設定されており、タイマ割込み処理用フェーズ0~3それぞれに対応するモジュールが1つずつ設けられているため(合計4つ)、1つのモジュールは、タイマ割込み処理の4回に1回(5.96ms毎に)実行されることになる。例えば、各種タイマを減算する時間監視処理を実行するモジュールが1つのタイマ割込み処理用フェーズに対応付けられている。
【0412】
(ステップS400-23)
メインCPU200aは、試験信号を外部に出力する試験信号出力処理を実行する。
【0413】
(ステップS400-25)
メインCPU200aは、各種の入力ポートイメージを読み込み、最新のスイッチ状態を正確に取得するためのポート入力処理を実行する。
【0414】
(ステップS400-27)
メインCPU200aは、レジスタを復帰する。
【0415】
(ステップS400-29)
メインCPU200aは、割込みを許可し、当該タイマ割込み処理を終了する。
【0416】
<スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理>
図4を用いて説明したように、主制御基板200には、遊技者が操作可能なスイッチとして、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、不図示の精算スイッチが接続されている。このような主制御基板200に接続され、主制御基板200に信号が入力されるスイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、精算スイッチ等)を纏めて主スイッチと呼ぶ場合がある。メインCPU200aは、このような主スイッチの操作有無を判定するスイッチ判定処理を行う。なお、スイッチ判定処理を行うメインCPU200aの機能手段をスイッチ判定手段と言う場合がある。
【0417】
例えば、規定数以上のメダルがクレジットされているが、ベットがなされていない状態で、スイッチ判定手段が遊技者によるベットスイッチ116の操作を検出すると、ベット手段302はメダルをベットする。なお、ここでは、スロットマシン100において、クレジットとして貯留されているメダルをベットする例を挙げているが、かかる場合に限らず、例えば、メダルレス遊技機の場合、ベット手段302は、メダルレス遊技機内に保持された電子化メダルをベットすることとなる。また、ベット完了後に、スイッチ判定手段が遊技者によるスタートスイッチ118の操作を検出すると、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cを回転制御する。また、リール110a、110b、110cの回転中に、スイッチ判定手段が遊技者によるストップスイッチ120の操作を検出すると、リール制御手段306は、対応するリール110a、110b、110cを停止制御する。このような、主制御基板200における、スロットマシン100の遊技(1遊技)を進行することを目的とする主スイッチの使用を目的内使用と呼ぶ場合がある。このような目的内使用については、主制御基板200で処理を完結することができる。
【0418】
ただし、かかる主スイッチの操作に応じて、演出制御手段334が演出を行う場合がある。例えば、演出制御手段334は、ストップスイッチ120a、120b、120cそれぞれの操作に応じて、液晶表示部124に表示された演出画像を変化させる。この場合、主制御基板200のコマンド送信手段316が、バッファに蓄積された、主スイッチが操作されたことを示すコマンド(以下、単に「主操作コマンド」という)を副制御基板202に送信するスイッチ送信処理を行う。副制御基板202のコマンド受信手段332は、かかる主操作コマンドを受信し、演出制御手段334は、操作された主スイッチに応じた演出を実行する。
【0419】
また、このような主スイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、精算スイッチ等)の操作情報を、目的内使用以外の目的で使用することもできる(目的外使用)。例えば、1遊技の終了後から次の1遊技を開始するまでの、所謂、客待ち中に、液晶表示部124のメニュー画面を通じて、遊技者に、BGMの音量、液晶表示部124の光量、出現頻度を高めたい楽曲や演出等、何らかの選択を促す場合がある。また、ボーナス遊技状態やAT演出状態への移行決定後に、液晶表示部124のメニュー画面を通じて、遊技者に、ボーナス遊技状態やAT演出状態における演出態様や楽曲等、何らかの選択を促す場合もある。このような場合、スイッチ判定手段がスイッチ判定処理を行い、コマンド送信手段316がスイッチ送信処理を行うことで、演出制御手段334は、主スイッチの操作に応じて目的外使用であるメニュー画面を通じた選択演出を実行することができる。ここで、選択演出は、液晶表示部124の選択画像に示された複数の選択肢から、主スイッチの操作に応じて少なくとも1の選択肢を決定(選択)する演出である。
【0420】
ただし、それが目的内使用であるか目的外使用であるか否かに拘わらず、スイッチ判定手段は、目的内使用により有効に操作待ちが行われているスイッチのみならず、操作が無効とされる目的外使用の他の主スイッチに対してもスイッチ判定処理を行い、コマンド送信手段316は、主スイッチ全てに対してスイッチ送信処理を行う。
【0421】
例えば、ベットがなされていない状態においては、目的内使用であるベットスイッチ116の操作待ちが行われている。ここで、スイッチ判定手段は、目的内使用であるベットスイッチ116のみならず、操作が無効とされる目的外使用の他の主スイッチに対してもスイッチ判定処理を行う。そして、ベット手段302は、ベットスイッチ116の操作に応じ、目的内使用としてメダルをベットする。これと並行して、コマンド送信手段316は、ベットスイッチ116のみならず、目的外使用の他の主スイッチに対してもスイッチ送信処理を行う。同様に、ベットが完了すると、目的内使用であるスタートスイッチ118の操作待ちが行われている。ここで、スイッチ判定手段は、目的内使用であるスタートスイッチ118のみならず、操作が無効とされる目的外使用の他の主スイッチに対してもスイッチ判定処理を行う。そして、リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じ、目的内使用として、リール110a、110b、110cを回転制御する。これと並行して、コマンド送信手段316は、スタートスイッチ118のみならず、目的外使用の他の主スイッチに対してもスイッチ送信処理を行う。同様に、リール110a、110b、110cの回転中は、目的内使用であるストップスイッチ120の操作待ちが行われている。ここで、スイッチ判定手段は、目的内使用であるストップスイッチ120のみならず、操作が無効とされる目的外使用の他の主スイッチに対してもスイッチ判定処理を行う。そして、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じ、目的内使用として、ストップスイッチ120a、120b、120cに対応する回転しているリール110a、110b、110cを停止制御する。これと並行して、コマンド送信手段316は、ストップスイッチ120のみならず、目的外使用の他の主スイッチに対してもスイッチ送信処理を行う。なお、ストップスイッチ120a、120b、120cに対応するリール110a、110b、110cの停止制御が開始されると、停止制御が行われたリール110に対応するストップスイッチ120は目的内使用を終えるので、スイッチ判定手段は、停止制御が行われたリール110に対応するストップスイッチ120に対し目的外使用としてスイッチ判定処理を行う。
【0422】
ここで、スロットマシン100においては、目的内使用か目的外使用かに拘わらず、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行することが可能な状態(実行可能状態)と、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行しない状態(不実行状態)とがある。ここで、実行可能状態となる期間を実行可能期間と呼び、不実行状態となる期間を不実行期間と呼ぶ場合がある。ここでは、まず、上記のフローチャートを用いて説明した1遊技の流れを、タイミングチャートを用いて時系列に説明し、そのタイミングチャートに基づいて、実行可能状態(実行可能期間)と、不実行状態(不実行期間)とを説明する。
【0423】
図34は、1遊技の処理の流れを説明するためのタイミングチャートである。ここでは、既に他のストップスイッチ120が操作されているか否かに拘わらず、また、操作されたストップスイッチ120に対応するリール110に対し、全相励磁により停止処理を開始する停止開始や、停止開始の結果、回転速度が減少してリール110が停止する停止完了を待つことなく、未だ操作されていないストップスイッチ120の操作が有効に許容される、所謂、スライドプッシュを採用した例を挙げる。また、説明の便宜上、左リール110a、中リール110b、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの打順、所謂、順押しの打順で操作された場合を説明するが、操作可能な全通り(ここでは6通り)のいずれの打順にも適用できることは言うまでもない。
【0424】
1遊技の開始準備中(客待ち中)における
図34の時点(a)において、遊技者が、ベットスイッチ116を操作(押止)し、メダルをベットすると、1遊技の開始準備が整う。続いて、
図34の時点(b)において、遊技者が、スタートスイッチ118を操作したとする。スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cに対応するステッピングモータ152を1-2相励磁し、リール110a、110b、110cそれぞれを回転開始する。そして、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cが、加速状態を経由し、例えば167msec後の時点(c)において、所定の速度(80rpm/min未満)に到達すると、1-2相励磁を継続して、定速状態に移行する。リール110a、110b、110cが定速状態となった後、
図34の時点(d)において、リール110a、110b、110cのインデックスが全て検出されると、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。
【0425】
ストップスイッチ120a、120b、120cの操作の有効化に応じ、遊技者が、
図34の時点(e)において、ストップスイッチ120aを操作すると、リール制御手段306は、操作されたストップスイッチ120a、および、まだ、停止処理が行われていないリール110b、110cに対応するストップスイッチ120b、120cの操作(すなわち、全てのストップスイッチ120a、120b、120cの操作)を無効化する。そして、リール制御手段306は、押下基準位置を取得し、操作時において引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定する(滑りコマ数を決定する)停止処理を行う。
図34の時点(f)において、停止処理が完了すると、リール制御手段306は、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。したがって、ストップスイッチ120aの操作から滑りコマ数分回転するのに、操作検出や割込処理の反応時間も含めて0~189msec(190msec以内の所定時間)の時間を費やす場合がある。続いて、リール制御手段306は、左リール110aが、
図34の時点(g)において、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置に到達すると、左リール110aに対応するステッピングモータ152を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、左リール110aの停止処理を開始する(全相励磁により停止処理を開始することを、停止開始という)。こうして、左リール110aは、回転速度が減少し(以下、回転速度が減少している状態を、減速状態という)、停止処理の開始から約13msec後に停止し(停止開始の結果、回転速度が減少してリール110が停止したことを、停止完了という)、停止した状態を維持する(停止を維持している状態を、停止状態という)。かかる全相励磁は、200msecの間継続された後、時点(h)において開放される。全相励磁の開放に伴い、リール制御手段306は、まだ、停止処理が行われておらず、回転しているリール110b、110cに対応するストップスイッチ120b、120cの操作を有効化する。なお、リール110の動作状態を示す回転状態は、上述した、加速状態、定速状態、減速状態、停止状態のいずれかで表される。
【0426】
続いて、遊技者が、
図34の時点(i)において、ストップスイッチ120bを操作すると、ストップスイッチ120a操作時同様、リール制御手段306は、操作されたストップスイッチ120bおよび、まだ、停止処理が行われていない右リール110cに対応するストップスイッチ120cの操作を無効化する。そして、リール制御手段306は停止処理を行う。
図34の時点(j)において、停止処理が完了すると、リール制御手段306は、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。続いて、リール制御手段306は、中リール110bが、
図34の時点(k)において、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置に到達すると、中リール110bに対応するステッピングモータ152を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、中リール110bの停止処理を開始する。こうして、中リール110bは、停止処理の開始から約13msec後に停止する。ただし、全相励磁は、200msecの間継続され、時点(l)において開放される。全相励磁の開放に伴い、リール制御手段306は、まだ、停止処理が行われていない右リール110cに対応するストップスイッチ120cの操作を有効化する。
【0427】
次に、遊技者が、
図34の時点(m)において、ストップスイッチ120cを操作すると、ストップスイッチ120b操作時同様、リール制御手段306は、操作されたストップスイッチ120cの操作を無効化する。そして、リール制御手段306は停止処理を行う。
図34の時点(n)において、停止処理が完了すると、リール制御手段306は、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。続いて、リール制御手段306は、右リール110cが、
図34の時点(o)において、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置に到達すると、右リール110cに対応するステッピングモータ152を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、右リール110cの停止処理を開始する。こうして、右リール110cは、停止処理の開始から約13msec後に停止する。かかる全相励磁は、200msecの間継続され、時点(p)において開放される。
【0428】
そして、判定手段308は、全てのリール110a、110b、110cが停止し、所定の停止完了条件が満たされると、すなわち、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放され、かつ、最後に操作(第3停止)されたストップスイッチ120(ここではストップスイッチ120c)の操作が解除されているという条件が満たされると、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するか(入賞した当選役)を判定する。そして、判定手段308の判定結果に応じ、時点(q)において、払出制御手段310は、入賞した当選役に対応する払出枚数のメダルを払い出す。また、全てのリール110a、110b、110cの停止完了に応じて、遊技状態制御手段312は、遊技状態を移行させ、演出状態制御手段314は、演出状態を移行させる。さらに、全てのリール110a、110b、110cの停止完了に応じて、役比モニタに関する演算が行われたり、有利区間MYカウンタに関する演算が行われる場合がある。そして、
図34の時点(r)における、判定処理、払出処理、移行処理等の遊技結果を反映する処理の完了をもって1遊技が終了する。
【0429】
かかる
図34を用いて、実行可能状態(実行可能期間)と不実行状態(不実行期間)とを説明する。
【0430】
まず、
図34の時点(r)において前回の1遊技が終了(後述する、前回の1遊技に関する全てのリール110a、110b、110cの停止完了に応じた処理が終了)してから、
図34の時点(b)において新たな(今回の)1遊技における(有効な)スタートスイッチ118が操作されるまでの期間は、実行可能期間(第1実行可能期間)である。なお、ここでのスタートスイッチ118の操作は、1遊技で必要とされる規定数のメダルが投入された後の1遊技を有効に開始できる操作である。かかる第1実行可能期間のうち、ベットスイッチ116の操作待ちを行う客待ち中は処理負荷が小さい。また、第1実行可能期間中、ベットスイッチ116の操作によってベット処理が実行されるが、ベット処理自体は、処理負荷が小さく、また、ベットスイッチ116の操作に応じてリアルタイムに何らかの処理を実行する必要性がないので、厳密な時間管理(リアルタイム性)を要さない。この場合、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理が実行されたとしても遊技の進行に影響を及ぼすことはない。したがって、第1実行可能期間に、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行することが可能となる。なお、前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関するスタートスイッチ118が操作されるまでの第1実行可能期間には、前回の遊技に関する所定の処理が終了してから今回の遊技に関するベットが実行されるまでの期間、および、今回の遊技に関するベットが実行されてから今回の遊技に関するスタートスイッチ118が操作されるまでの期間が含まれる。
【0431】
かかる構成により、例えば、第1実行可能期間中に、演出制御手段334による選択演出が可能となる。演出制御手段334は、液晶表示部124に、デモ画面、メニュー画面、音量調整画面、光量調整画面、キャラクタ変更画面を表示して選択演出を実行する。例えば、演出制御手段334は、音量や光量をストップスイッチ120で調整可能なことを示す音量調整画面や光量調整画面を液晶表示部124に表示し、遊技者によるストップスイッチ120aの操作に応じて音量を小さくしたり、光量を低くし、遊技者によるストップスイッチ120cの操作に応じて音量を大きくしたり、光量を高くし、遊技者によるベットスイッチ116やスタートスイッチ118の操作に応じて音量や光量を確定する。また、演出制御手段334は、遊技の進行に伴って出現するキャラクタをストップスイッチ120で変更可能なことを示すキャラクタ変更画面を液晶表示部124に表示し、遊技者によるストップスイッチ120aの操作に応じ、併設された複数のキャラクタのうち、その時点でフォーカスされているキャラクタの左に位置するキャラクタにフォーカスを移し、遊技者によるストップスイッチ120cの操作に応じ、その時点でフォーカスされているキャラクタの右に位置するキャラクタにフォーカスを移し、遊技者によるベットスイッチ116やスタートスイッチ118の操作に応じてフォーカスされているキャラクタを、遊技の進行に係るキャラクタとして確定してもよい。ここで、演出制御手段334は、遊技者によるベットスイッチ116やスタートスイッチ118の操作の代わりに、遊技者によりストップスイッチ120が操作されてから所定時間の経過を待って音量、光量、キャラクタを確定してもよい。遊技者が、スイッチを通じて、デモ画面、メニュー画面、音量調整画面、光量調整画面中の所定の選択肢を選択すると(選択肢が確定すると)、そのスイッチに関する主操作コマンドが副制御基板202に送信される。こうして、演出制御手段334は、遊技者の所望する選択肢を取得することが可能となる。
【0432】
図34の時点(b)においてスタートスイッチ118が操作されてから、
図34の時点(d)においてリール110a、110b、110cの加速状態が終了する(リール110a、110b、110cのインデックスが全て検出され、全てのリール110の回転が安定する)までの期間は、不実行期間(第1不実行期間)である。当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に応じて、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。また、リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、リール110a、110b、110cを回転開始し、加速状態とする。また、コマンド送信手段316は、スタートスイッチ118の操作に応じて、このような当選種別抽選の抽選結果を含むコマンドや、リール110a、110b、110cの回転開始を伝達するコマンドを副制御基板202に送信しなければならない。このような状況下において、スイッチ判定手段がスイッチ判定処理を行ったり、コマンド送信手段316が、遊技において重要度の低い主操作コマンドを送信するとなると、遊技において重要度が高い当選種別抽選の抽選結果を含むコマンドや、リール110a、110b、110cの回転開始を伝達するコマンドの送信が遅れたり、副制御基板202での演出の遅れにより遊技者が違和感を覚えるおそれがある。したがって、第1不実行期間では、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行しない。なお、スタートスイッチ118が操作されてからリール110a、110b、110cの加速状態が終了するまでの第1不実行期間には、スタートスイッチ118が操作されてからリール110a、110b、110cの回転開始までの一部または全部の期間、および、リール110a、110b、110cの回転開始からリール110a、110b、110cの加速状態が終了するまでの一部または全部の期間が含まれる。ここで、スタートスイッチ118が操作されてからリール110a、110b、110cの回転開始までの一部の期間には、当選種別抽選手段304がスタートスイッチ118の操作に応じて当選種別抽選を行う(当選種別抽選が終了するまでの)期間、コマンド送信手段316がスタートスイッチ118の操作に応じて、当選種別抽選の抽選結果を含むコマンドやリール110a、110b、110cの回転開始を伝達するコマンドをバッファに設定する(設定完了するまでの)期間、または、それらのコマンドを副制御基板202に送信する(送信完了するまでの)期間が含まれる。また、ここでは、第1不実行期間の終了(リール110a、110b、110cの加速状態の終了)を、リール110a、110b、110cのインデックスが全て検出され、全てのリール110の回転が安定することとしたが、かかる場合に限らず、リール110a、110b、110cのうち、いずれかのリール110のインデックスが検出され、そのリール110の回転が定常回転となったこと、もしくは、リール110の回転が安定してストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化されたことをもって第1不実行期間が終了したと判断してもよい。
【0433】
また、
図34の時点(d)において加速状態の終了後、定常状態が開始してから(定常状態となってから)、
図34の時点(e)においてストップスイッチ120が操作されるまでの期間は、実行可能期間(第2実行可能期間)である。定常状態中、リール制御手段306は、1-2相励磁により所定の速度(80rpm/min未満)を維持しており、処理負荷は小さく、また、加速状態の終了に応じてリアルタイムに何らかの処理を実行する必要性がないので、厳密な時間管理(リアルタイム性)を要さない。この場合、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理が実行されたとしても遊技の進行に影響を及ぼすことはない。したがって、第2実行可能期間に、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行することが可能となる。
【0434】
ただし、定常状態中であっても、
図34の時点(e)、(i)、(m)においてストップスイッチ120が操作されてから、
図34の時点(f)、(j)、(n)において操作されたストップスイッチ120に対応するリール110の停止処理が完了するまで(停止するまで)の期間は、不実行期間(第2不実行期間)である。リール制御手段306は、ストップスイッチ120が操作されると、押下基準位置を取得し、操作時において引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定する(滑りコマ数を決定する)停止処理を行うとともに、操作されたストップスイッチ120に対応するリール110に対し、全相励磁による停止処理を開始する。また、コマンド送信手段316は、ストップスイッチ120の操作に応じて、当該リール110が停止する停止位置を含むコマンドを副制御基板202に送信しなければならない。このような状況下において、スイッチ判定手段がスイッチ判定処理を行ったり、コマンド送信手段316が、遊技において重要度の低い主操作コマンドを送信するとなると、遊技において重要度が高い当該リール110が停止する停止位置を含むコマンドの送信が遅れたり、副制御基板202での演出の遅れにより遊技者が違和感を覚えるおそれがある。したがって、第2不実行期間では、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行しない。
【0435】
また、
図34の時点(p)において全てのリール110a、110b、110cが停止完了してから、
図34の時点(r)において判定処理、払出処理等の各処理が完了するまでの期間は、不実行期間(第3不実行期間)である。ここでは、全てのリール110a、110b、110cの停止完了に応じて様々な処理が実行される。例えば、判定手段308は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するか(入賞した当選役)を判定する。そして、判定手段308の判定結果に応じ、払出制御手段310は、入賞した当選役に対応する払出枚数のメダルを払い出す。また、リプレイ役が入賞した場合、ベット手段302はメダルを自動投入する。また、全てのリール110a、110b、110cの停止完了に応じて、遊技状態制御手段312は、遊技状態を移行させ、演出状態制御手段314は、演出状態を移行させる。さらに、全てのリール110a、110b、110cの停止完了に応じて、役比モニタに関する演算が行われたり、有利区間MYカウンタに関する演算が行われる場合がある。また、コマンド送信手段316は、全てのリール110a、110b、110cの停止完了に応じて、判定手段308の判定結果を含むコマンドを副制御基板202に送信しなければならない。このような状況下において、スイッチ判定手段がスイッチ判定処理を行ったり、コマンド送信手段316が、遊技において重要度の低い主操作コマンドを送信するとなると、遊技において重要度が高い判定手段308の判定結果を含むコマンドの送信が遅れたり、副制御基板202での演出の遅れにより遊技者が違和感を覚えるおそれがある。したがって、第3不実行期間では、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行しない。なお、リール110a、110b、110cが停止完了してから、判定処理、払出処理等の各処理が完了するまでの第3不実行期間には、判定手段308が入賞した当選役を判定する入賞判定をしている間、および、その入賞判定に伴う処理(払出処理、遊技状態移行処理、演出状態移行処理、演算処理、コマンド送信処理)を実行している間のいずれか一方または双方が含まれる。
【0436】
なお、
図34ではその説明を割愛したが、上述したように、リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化してから、当選種別抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化するまでの時間を規定の時間より延長し、その間、リール110a、110b、110cを多彩な態様で回転制御するリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。このようなフリーズ演出が実行された場合、スタートスイッチ118が操作されてから、リール演出が完了するまでの期間は実行可能期間である。ここでは、リール制御手段306が様々な回転制御を行うものの、スタートスイッチ118の操作に応じて、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う必要がなく、当選種別抽選の抽選結果を含むコマンドを副制御基板202に送信する必要もないので、厳密な時間管理(リアルタイム性)を要さない。この場合、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理が実行されたとしても遊技の進行に影響を及ぼすことはない。したがって、かかる実行可能期間に、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行することが可能となる。かかる構成により、上記の疑似遊技において、副制御基板202は、主操作コマンドを受信することができ、演出制御手段334は、主スイッチの操作に応じた演出を実行することが可能となる。
【0437】
また、スロットマシン100においてエラーが生じた場合、そのエラー開始時からエラー終了までの期間は、不実行期間である。したがって、エラー中の不実行期間では、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行しない。
【0438】
このように、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、実行可能状態(実行可能期間)のいずれかのタイミングでスイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を行い、不実行状態(不実行期間)においてスイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行しない。以下、このような処理の組み合わせを実現する手法(第1の手法、第2の手法)を説明する。
【0439】
(第1の手法)
図35は、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316の処理を説明するための図である。スイッチ判定手段は、
図33のタイマ割込み処理S400におけるポート入力処理S400-5において主スイッチの操作有無を判定し、主スイッチの操作に応じて主操作コマンドをバッファに設定し、コマンド送信手段316は、
図33のタイマ割込み処理S400におけるサブコマンド送信処理S400-11において、主操作コマンドがバッファに蓄積されていると、主操作コマンドを副制御基板202に送信する。すなわち、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図35に示すように、タイマ割込み処理S400の度に、常に、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行する。
【0440】
ただし、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図35に示すように、第1不実行期間において、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行しない(実行を禁止する)。例えば、スイッチ判定手段は、現在進行している処理が
図27のステップS240-1~S240-9の処理であるか否か判定し、ステップS240-1~S240-9の処理であれば、第1不実行期間であると判定し、スイッチ判定処理を行わない。スイッチ判定処理が行われないと、主操作コマンドは設定されないので、コマンド送信手段316は、スイッチ送信処理を実行することがない。
【0441】
また、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図35に示すように、第2不実行期間において、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行しない(実行を禁止する)。例えば、スイッチ判定手段は、現在進行している処理が
図27の回胴回転中処理S240におけるステップS240-29~
図28の回胴停止処理S250におけるステップS250-19の処理であるか否か判定し、ステップS240-29~S250-19の処理であれば、第2不実行期間であると判定し、スイッチ判定処理を行わない。スイッチ判定処理が行われないと、主操作コマンドは設定されないので、コマンド送信手段316は、スイッチ送信処理を実行することがない。
【0442】
また、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図35に示すように、第3不実行期間において、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行しない(実行を禁止する)。例えば、スイッチ判定手段は、現在進行している処理が
図29の表示判定処理S260、
図30の払出処理S270、遊技移行処理S280のいずれかであるか否か判定し、ステップS260~S280のいずれかの処理であれば、第3不実行期間であると判定し、スイッチ判定処理を行わない。スイッチ判定処理が行われないと、主操作コマンドは設定されないので、コマンド送信手段316は、スイッチ送信処理を実行することがない。
【0443】
このように、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、常時、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行可能状態としつつ、不実行期間(第1不実行期間、第2不実行期間、第3不実行期間)であれば、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行しない構成により、スイッチの操作有無を適切に判定し、主操作コマンドを適切なタイミングで副制御基板202に送信することができるとともに、不要な主操作コマンドによる不具合の発生を回避することができる。また、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、常時、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行可能状態としているので、プログラムを単純化でき、メモリの容量を削減することが可能となる。
【0444】
(第2の手法)
図36は、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316の他の処理を説明するための図である。スイッチ判定手段は、
図33のタイマ割込み処理S400におけるポート入力処理S400-5において主スイッチの操作有無を判定せず、かつ、コマンド送信手段316は、
図33のタイマ割込み処理S400におけるサブコマンド送信処理S400-11において、主操作コマンドを副制御基板202に送信しない。その代わりに、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、タイマ割込み処理S400以外の所定の処理において個々にスイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行する。
【0445】
まず、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図36に示すように、第1実行可能期間において、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行する。例えば、スイッチ判定手段は、
図16の遊技メダル投入処理S210におけるステップS210-1~ステップS210-27間のいずれかのタイミングにおいてコマンド送信に関するサブルーチンを呼び出す。かかるコマンド送信に関するサブルーチンでは、スイッチ判定手段が、主スイッチの操作有無を判定し、主スイッチの操作に応じて主操作コマンドをバッファに設定し、コマンド送信手段316が、バッファから主操作コマンドを読み出して、主操作コマンドを副制御基板202に送信する。
【0446】
また、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図36に示すように、第2実行可能期間において、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行する。例えば、スイッチ判定手段は、
図27の回胴回転中処理S240におけるステップS240-11~S240-27間のいずれかのタイミングにおいて、上記のコマンド送信に関するサブルーチンを呼び出す。こうして、少なくとも1つのリール110が定常状態中であれば、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理が実行される。
【0447】
ここでは、
図27の回胴回転中処理S240におけるステップS240-11~S240-27間にコマンド送信に関するサブルーチンを呼び出し、
図27の回胴回転中処理S240におけるステップS240-29~
図28の回胴停止処理S250におけるステップS250-19では呼び出さないとする構成により、定常状態でありながら、不実行期間のみを除いてスイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行することができる。
【0448】
このように、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図33のタイマ割込み処理S400を用いず、実行可能期間(第1実行可能期間、第2実行可能期間)のみにおいて、コマンド送信に関するサブルーチンを呼び出す構成により、スイッチの操作有無を適切に判定し、主操作コマンドを適切なタイミングで副制御基板202に送信することができるとともに、不要な主操作コマンドによる不具合の発生を回避することができる。また、常時、実行可能期間のいずれかのタイミングにコマンド送信に関するサブルーチンを配置するだけなので、プログラムを単純化でき、メモリの容量を削減することが可能となる。
【0449】
上述した第1の手法では、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、常時、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行可能状態としつつ、不実行期間であれば、スイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を実行しない。また、第2の手法では、スイッチ判定手段およびコマンド送信手段316は、
図33のタイマ割込み処理S400を用いず、実行可能期間のみにおいて、コマンド送信に関するサブルーチンを呼び出している。ここでは、複数ある不実行期間においてスイッチ判定処理およびスイッチ送信処理を禁止するプログラム容量が少ない場合、第1の手法を用いた方がプログラムに占有される領域を小さくすることができる。一方、複数ある実行可能期間においてコマンド送信に関するサブルーチンを呼び出すプログラム容量が少ない場合、第2の手法を用いた方がプログラムに占有される領域を小さくすることができる。したがって、排他的な関係となっている実行可能期間と不実行期間との関係に基づいて、第1の手法か第2の手法を用いることが望ましい。
【0450】
なお、上述した実施形態では、主スイッチとして、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120とを挙げて説明したが、精算スイッチに関してもベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120同様、実行可能状態においてスイッチ判定処理やスイッチ送信処理を実行し、不実行状態においてスイッチ判定処理やスイッチ送信処理の実行を禁止するとしてもよい。また、精算スイッチを用いた、クレジットされたメダルの精算処理において、処理負荷が高かったり、重要度の高いコマンドが副制御基板202に送信される場合、その精算処理を不実行期間としてもよい。一方、重要度の高いコマンドが副制御基板202に送信されない場合等、処理負荷が低いようであれば、その精算処理を実行可能期間としてもよい。
【0451】
ここでは、上述した実施形態においては、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、および、ストップスイッチ120の少なくともいずれかの操作有無を判定するスイッチ判定処理を実行するスイッチ判定手段、および、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、および、ストップスイッチ120の少なくともいずれかの操作に応じて、その旨のコマンドを副制御基板202に送信するスイッチ送信処理を実行するコマンド送信手段を挙げ、実行可能期間のいずれかのタイミングで、スイッチ判定手段が、スイッチ判定処理を実行し、コマンド送信手段316がスイッチ送信処理を行い、また、不実行期間において、スイッチ判定手段が、スイッチ判定処理を実行せず、コマンド送信手段316がスイッチ送信処理を実行しない例を挙げて説明した。しかし、スイッチ判定手段が、スイッチ判定処理を実行し、コマンド送信手段316がスイッチ送信処理を行うのは、実行可能期間に限らず、任意の処理(第1処理)が実行されている間のいずれかのタイミングであれば足り、また、スイッチ判定手段が、スイッチ判定処理を実行せず、コマンド送信手段316がスイッチ送信処理を実行しないのは、不実行期間に限らず、第1処理とは異なる任意の処理(第2処理)であれば足りる。
【0452】
また、上述した実施形態においては、スイッチ判定手段が、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、および、ストップスイッチ120(主スイッチ)の少なくともいずれかの操作有無を判定(操作判定)する例を挙げて説明した。ここで、スイッチ判定手段が判定する主スイッチの操作には、主スイッチが操作されていない状態、主スイッチの操作時(操作されていない状態から操作された状態に変化したタイミング:押下時)、主スイッチの操作が維持されている状態、主スイッチの操作解除時(操作されている状態から操作されていない状態に変化したタイミング:離し時)が含まれ、スイッチ判定手段は、いずれも単独で判定することができる。
【0453】
また、このように、主スイッチの操作時と主スイッチの操作解除時とが判定されることで、主操作コマンドを受信した演出制御手段334は、主スイッチが操作されている時間を計時することが可能となる。したがって、演出制御手段334は、例えば、主スイッチの操作が短押し(例えば500msec未満)であるか長押し(例えば、500msec以上)であるかを判定(長押し判定)でき、短押しか長押しかに応じて演出を異ならせることが可能となる。こうして、メインROM200bにおけるプログラム容量を増加させることなく、主スイッチの長押し判定を実行することができる。
【0454】
また、実行可能期間では、主スイッチが操作される度に、スイッチ判定処理やスイッチ送信処理が実行されるので、演出制御手段334は、主スイッチが操作された時間間隔を計時したり、所定時間内に操作された主スイッチの操作頻度を導出することが可能となる。したがって、演出制御手段334は、例えば、所定時間内に主スイッチが高頻度に操作されていることを判定(連打判定)でき、連打されているか否か、または、連打が継続されているか否かに応じて演出を異ならせることが可能となる。こうして、メインROM200bにおけるプログラム容量を増加させることなく、主スイッチの連打判定を実行することができる。
【0455】
ここで、演出制御手段334が主スイッチの操作判定、長押し判定、連打判定を行う例を挙げる。演出制御手段334は、スイッチの操作を促す操作演出を実行し、スイッチの操作の待機状態となる。かかる判定対象となるスイッチは、演出スイッチ122(例えば、図示しないPUSHスイッチ)および主スイッチ(例えば、ベットスイッチ116のうちマックスベットスイッチ)の双方または一方としてもよい。例えば、PUSHスイッチを搭載していないスロットマシン100の場合、その判定対象をマックスベットスイッチのみとしてもよい。また、演出制御手段334は、実行可能期間に、演出スイッチ122および主スイッチの一方に対し、操作判定、長押し判定、連打判定を行ったり、演出スイッチ122の操作判定、長押し判定、連打判定と、主スイッチの操作判定、長押し判定、連打判定を所定の順で行ったり(例えば、演出スイッチ122と主スイッチとが交互に操作されていることを判定したり)することができる。具体例を挙げると、演出制御手段334は、前回の1遊技が終了してから、新たな1遊技におけるスタートスイッチ118が操作されるまでの期間(第1実行可能期間)において、操作演出を実行して演出スイッチ122または主スイッチの操作を促し、遊技者の操作(主スイッチが操作されていない状態、主スイッチの操作時、主スイッチの操作が維持されている状態、主スイッチの操作解除時、短押し、長押し、連打)に応じて、操作判定、長押し判定、連打判定を行い、判定内容に応じた演出を実行する。また、演出制御手段334は、加速状態の終了後、定常状態が開始してから、ストップスイッチ120が操作されるまでの期間(第2実行可能期間)において、操作演出を実行して演出スイッチ122または主スイッチの操作を促し、遊技者の操作(主スイッチが操作されていない状態、主スイッチの操作時、主スイッチの操作が維持されている状態、主スイッチの操作解除時、短押し、長押し、連打)に応じて、操作判定、長押し判定、連打判定を行い、判定内容に応じた演出を実行する。なお、第2実行可能期間に関しては、加速状態の前にスタートスイッチ118が操作されているので、演出制御手段334は、スタートスイッチ118の操作を契機とした操作演出を実行することができる。例えば、演出制御手段334は、スタートスイッチ118の操作に応じて、操作演出を開始する。ただし、第2実行可能期間に達するまで、すなわち、スタートスイッチ118が操作されてから、リール110a、110b、110cの加速状態が終了するまでの期間(第1不実行期間)、演出制御手段334は、操作演出における演出スイッチ122または主スイッチの操作を促す画像(例えば、操作するスイッチを模した画像)にエフェクトやフェードイン等のアニメーションを施し、まだ、演出スイッチ122または主スイッチの操作を有効に受け付けていないことを示す。そして、第2実行可能期間が開始されると、演出制御手段334は、操作演出における演出スイッチ122または主スイッチの操作を促す画像に施したアニメーションを削除して演出スイッチ122または主スイッチの操作を有効に受け付け可能になったことを示し、演出スイッチ122または主スイッチの操作を有効に受け付ける。なお、演出制御手段334は、第2実行可能期間が開始される前、すなわち、第1不実行期間中に、操作演出における演出スイッチ122または主スイッチの操作を促す画像に施したアニメーションを削除して演出スイッチ122または主スイッチの操作を有効に受け付け可能になったことを示し、第2実行可能期間が開始されてから演出スイッチ122または主スイッチの操作を有効に受け付けるとしてもよい。
【0456】
<主制御基板のCPU周辺の構成>
図37は、メインCPU200a周辺の電気的な接続を説明するための図である。メインCPU200aは、CPUコア700とバスコントローラ702とを含む。CPUコア700は、BC端子から出力されるバス制御信号(Bus Cont)を通じてバスコントローラ702を制御し、メインROM200b、メインRAM200c、もしくは、入出力部704からデータを読み出し、または、メインRAM200cや入出力部704にデータを書き込む。なお、ここでは、メインCPU200aとして、Z80系CPUをベースとするエルイーテック(LETech)社が販売するマイクロプロセッサを用いている。
【0457】
例えば、メインROM200b、メインRAM200c、または、入出力部704からデータを読み出す場合、バスコントローラ702は、16ビットのアドレス(A[16])信号を出力し、デコーダ706a、706b、706cを通じてメインROM200b、メインRAM200c、または、入出力部704のいずれかを特定するとともに、リード(RD)信号を制御して、メインROM200b、メインRAM200c、または、入出力部704からデータ(D[8])信号を読み出す。また、メインRAM200c、または、入出力部704にデータを書き込む場合、バスコントローラ702は、アドレス(A[16])信号およびデータ(D[8])信号を出力し、デコーダ706b、706cを通じてメインRAM200c、または、入出力部704のいずれかを特定するとともに、ライト(WR)信号を制御して、メインRAM200c、または、入出力部704にデータ(D[8])信号を書き込む。
【0458】
ここでは、後述するように、入出力部704のアドレス空間を、メインROM200bおよびメインRAM200cのアドレス空間と一体化している。したがって、従来、メモリとI/Oのいずれにアクセスするかを特定するための信号を出力するメモリリクエスト(MREQ)端子およびI/Oリクエスト(IORQ)端子を設けていない。かかる2端子を任意の他の信号に割り当て直すことで、プログラム開発の自由度を高めることができる。
【0459】
また、CPUコア700には、割込処理の開始トリガとなる割り込み/待ち(INT/WAIT)信号、最優先で割込処理を実行できるマスク不可割込(NMI)信号、バス信号をハイインピーダンスに遷移可能なバスリクエスト(BUSREQ)信号等の外部信号も入力される。
【0460】
図38は、CPUコア700の内部構成を示したブロック図である。CPUコア700は、外部入力ユニット710、状態制御ユニット712、中央制御ユニット714、レジスタユニット716、算術論理演算装置(ALU)718を含む。外部入力ユニット710は、外部信号を受信し、その外部信号に基づいた制御情報を状態制御ユニット712および中央制御ユニット714に出力する。
【0461】
状態制御ユニット712は、入力された制御情報に基づいて、内部状態(RESET、命令フェッチ、命令デコード、演算、メモリロード、メモリストア、HALT等)を管理および遷移させてCPUコア700の動作状態を決定するとともに、その動作状態に基づいた制御情報を中央制御ユニット714に出力する。
【0462】
中央制御ユニット714は、バスコントローラ702を経由して入力された入力データ(DI[8])からオペコード(命令)を抽出し、命令デコーダによってデコードしたコマンドに基づいてALU718を制御する。また、中央制御ユニット714は、デコードしたコマンドによりレジスタユニット716の各レジスタから必要な情報を取得したり、各レジスタを更新したりする。
【0463】
レジスタユニット716は、セレクタポート722a、722b、722c、入力側バンクセレクタ724、第1レジスタバンク726、第2レジスタバンク728、出力側バンクセレクタ730、アドレスポート732、個別レジスタ734を含む。なお、個別レジスタ734には、次に実行すべきプログラムのアドレスを示す16ビットのプログラムカウンタ(PC)、割込モード時に使用される8ビットのインタラプト(I)レジスタ、オペコードフェッチサイクルを計数する8ビットのリフレッシュ(R)レジスタ、割込の許可/禁止を制御する8ビットの割込許可(IFF)レジスタが含まれる。
【0464】
また、レジスタユニット716には、大役抽選に係る種々の乱数値(大当たり決定乱数、当たり図柄乱数、リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数、当たり決定乱数)を取得するための乱数発生器(図示せず)が対応付けられ、入力ポート(FE73h~FE9Ch)を介してラッチされた乱数値が取得される。
【0465】
乱数発生器は、システムクロック(外部入力を2分周したクロック)で動作し、所定の最大値未満の乱数を発生する。なお、乱数発生器は、乱数の最大値を設定可能な乱数発生器である最大値設定乱数発生器として、16ビットの最大値を設定可能な乱数発生器が4チャンネル、8ビットの最大値を設定可能な乱数発生器が8チャンネル準備されている。ここで、16ビットの最大値設定乱数発生器は、乱数更新周期が32~47クロックの範囲で選択でき、最大値の設定範囲が256~65535の範囲で設定できる。また、8ビットの最大値設定乱数発生器は、乱数更新周期が16~31クロックの範囲で選択でき、最大値の設定範囲が4チャンネルで16~255の範囲で設定でき、他の4チャンネルで64~255の範囲で設定できる。また、乱数の最大値が固定された乱数発生器である最大値固定乱数発生器として、16ビットの最大値を設定可能な乱数発生器が4チャンネル、8ビットの最大値を設定可能な乱数発生器が8チャンネル準備されている。ここで、16ビットの最大値固定乱数発生器は、乱数更新周期が1クロックに、最大値が65535に固定されている。また、8ビットの最大値固定乱数発生器は、乱数更新周期が1クロックに、最大値が255に固定されている。
【0466】
なお、乱数の種類が足りない場合、ハードウェア乱数生成部(乱数発生器)から取得した乱数値に、プログラム内において所定の数値を乗じ、また、除算することで他の乱数を生成する(ソフトウェア乱数生成部)ことも可能である。
【0467】
図39は、レジスタの構成を説明した図である。レジスタユニット716には、第1レジスタバンク(バンク0)726と、第1レジスタバンク726と対(ペア)となる第2レジスタバンク(バンク1)728が設けられている。また、第1レジスタバンク726には、メインレジスタ群(表レジスタ群)726aと、メインレジスタ群726aと対となるサブレジスタ群(裏レジスタ群)726bが設けられ、第2レジスタバンク728には、メインレジスタ群728aと、メインレジスタ群728aと対となるサブレジスタ群728bが設けられている。第1レジスタバンク726のメインレジスタ群726aおよびサブレジスタ群726b、ならびに、第2レジスタバンク728のメインレジスタ群728aおよびサブレジスタ群728bには、いずれも、8ビットのレジスタ(Q、A、F、B、C、D、E、H、L)と、16ビットのレジスタ(IX、IY)が含まれる。ただし、メインレジスタ群726a、728aには、サブレジスタ群726b、728bと異なり、さらに、8ビットのレジスタ(U)と16ビットのレジスタ(SP)が含まれている。メインCPU200aは、第1レジスタバンク726と第2レジスタバンク728とを切り換えて利用し、後述するFレジスタにおけるレジスタバンク指定レジスタRBの示す一方のレジスタバンクのみにアクセスでき、そのレジスタバンクと対になる他方のレジスタバンクには同時にアクセスすることができない。
【0468】
図39に示すレジスタのうち、Qレジスタは、拡張レジスタとして、各レジスタバンクに2セット設けられ、一部のコマンドにおいて用いられるアドレスの上位バイトを格納する8ビットのレジスタである。かかるQレジスタの値として、例えば、F0hが設定されている場合、メインCPU200aは、メインRAM200cのF000h~F0FFhへのアクセスにQレジスタを利用することができる。Uレジスタは、拡張レジスタとして、各レジスタバンクに1セット設けられ、一部のコマンドにおいて用いられるアドレスの上位バイトを格納する8ビットのレジスタである。かかるUレジスタの値として、例えば、FEhが設定されている場合、メインCPU200aは、FE00h~FFFFhの入出力部704に接続された内蔵デバイス(タイマ、乱数発生器、外部入出力回路等)へのアクセスにUレジスタを利用することができる。Aレジスタは、演算処理やデータ転送に使う8ビットのアキュムレータとしても機能する汎用レジスタである。Fレジスタは、各種演算結果を保持する8ビットのフラグレジスタである。ここで、Fレジスタの各ビットは、
図39に示すように、最上位ビット(MSB:Most Significant Bit)から最下位ビット(LSB:Least Significant Bit)にかけて、Sは、演算結果が負のとき1にセットされるサインフラグであり、Zは、演算の結果、全ビットが0のとき1にセットされるゼロフラグ(第1ゼロフラグ)であり、TZは、データ転送命令(LD;ロード)の実行により、全ビットが0のとき1にセットされる(値の変わる)遊技機用拡張仕様の特定ビットフラグ(第2ゼロフラグ)であり、ティーゼットフラグと呼ぶ場合もある。Hは、プログラマーが関与できないハーフキャリーフラグであり、RB(レジスタバンク指定レジスタ)は、現在のレジスタバンク(第1レジスタバンク726=0、第2レジスタバンク728=1)を示すレジスタバンクモニタであり、P/Vは、パリティオーバーフローフラグであり、Nは、プログラマーが関与できない加減算フラグであり、Cは、演算の結果、桁上げまたはボロー発生時に1がセットされるキャリーフラグである。なお、Fレジスタは、AレジスタとペアレジスタAFを構成する。
【0469】
また、Bレジスタ、Cレジスタ、Dレジスタ、Eレジスタ、Hレジスタ、Lレジスタは、各レジスタバンクに2セット設けられた8ビットの汎用レジスタであり、それぞれ予め組合せが定められている16ビットのペアレジスタ(例えば、レジスタBC、DE、HL、その他複数の組み合わせが存在する)を構成して利用される。IXレジスタ、IYレジスタは、インデックスアドレッシングに用いられる16ビットの汎用レジスタである。SP(スタックポインタ)レジスタは、16ビットであり、スタックポインタとなるアドレスを格納する。Q’レジスタ、A’レジスタ、F’レジスタ、B’レジスタ、C’レジスタ、D’レジスタ、E’レジスタ、H’レジスタ、L’レジスタ、IX’レジスタ、IY’レジスタは、Qレジスタ、Aレジスタ、Fレジスタ、Bレジスタ、Cレジスタ、Dレジスタ、Eレジスタ、Hレジスタ、Lレジスタ、IXレジスタ、IYレジスタのメインレジスタ群726a、728aとの交換命令または転送命令によりデータ(内容)交換またはデータ転送可能なサブレジスタ群726b、728bであり、A’レジスタとF’レジスタでペアレジスタAF’を構成し、B’レジスタとC’レジスタでペアレジスタBC’を構成し、D’レジスタとE’レジスタでペアレジスタDE’を構成し、H’レジスタとL’レジスタでペアレジスタHL’を構成して利用される。なお、ペアレジスタはBC’、DE’、HL’に限らず、その他複数の組み合わせが存在する。一方、Uレジスタ、SPレジスタについては、各レジスタバンクに1セット設けられている。
【0470】
ところで、上述したように、主制御基板200においては、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働して遊技の進行を制御する。これらの機能部を実行するためのプログラムは、メインROM200bおよびメインRAM200cの所定の領域(使用領域)に配される。
【0471】
図40は、メモリマップを示す説明図である。メインROM200bには、0000h~3FFFh(12kbyte)のメモリ空間が割り当てられ、メインRAM200cには、F000h~F3FFh(1kbyte)のメモリ空間が割り当てられ、入出力部704には、FE00h~FEFFh(256byte)のメモリ空間が割り当てられている。なお、プログラムの命令コードはアセンブラ言語で記述されている。ここで、プログラムは、命令コードで構成されたものであり、コンピュータに読み出され、データやワークエリアと協働して所定の処理を実現することができる。
【0472】
メインROM200bの0000h~1DF3hのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。使用領域は、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行するためのプログラムやデータを格納する領域である。具体的に、0000h~11FFh(4.5kbyte)に制限されたメモリ空間(制御領域)に、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314、コマンド送信手段316を機能させて遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行するためのプログラムの命令コードが格納され、1200h~1DF3h(3.0kbyte)に制限されたメモリ空間(データ領域)に、遊技制御処理のプログラムに用いられるデータが格納されている。また、1E00h~1FFFhのメモリ空間にはコメント領域が割り当てられ、3FC0h~3FFFhのメモリ空間にはプログラム管理領域が割り当てられている。また、2000h~3FBFhのメモリ空間には別領域(使用外領域)が割り当てられている。別領域は、後述するように、使用領域に格納することが定められていないプログラムやデータを格納する領域である。具体的に、2000h~3FBFhのメモリ空間には、遊技の進行に影響を及ぼさない、遊技機用試験処理やセキュリティ関連処理のうち一部または全部の処理(以降では、単に遊技制御外処理という場合がある)を遂行するプログラムの命令コードおよびプログラムデータが格納されている。
【0473】
また、メインRAM200cのF000h~F1FFhのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。具体的に、F000h~F13Fhのメモリ空間には、上記遊技制御処理のワークエリアが割り当てられ、タイマ、カウンタ、フラグ等の変数管理に用いられる。F1C0h~F1FFhのメモリ空間には、上記遊技制御処理のスタック領域が割り当てられている。また、メインRAM200cのF200h~F3FFhのメモリ空間には別領域が割り当てられている。具体的に、F210h~F22Fhのメモリ空間には、上記セキュリティ関連処理のうち一部または全部の処理のワークエリアが割り当てられ、タイマ、カウンタ、フラグ等の変数管理に用いられる。F230h~F246hのメモリ空間には、上記セキュリティ関連処理のうち一部または全部の処理のスタック領域が割り当てられている。
【0474】
また、FE00h~FEFFhのメモリ空間には入出力部704が割り当てられている。従来、入出力部704に対応するデバイスにアクセスするため、メモリ空間と独立して256バイトのI/O空間が設けられていた。これに対し、本実施形態では、MREQ、IORQの信号をなくし、メモリ、入出力部704へのアクセスを共通化してRD、WR信号で行うこととした。また、入出力部704に接続されたデバイスにアクセスするための上位8ビットのアドレスを指定するハードウェアとしてのUレジスタを設け、ここに予め8ビットの上位アドレスを指定しておく。これにより、メモリ空間とは独立して設けられていたI/O空間を、メモリ空間に統合して一つのアドレス空間とし、IN命令、OUT命令を実行するとメモリ空間に割り当てられた入出力部704に対し、上位8ビットをUレジスタで指定し下位8ビットはIN命令、OUT命令のオペランドで指定した下位8ビットを用いてアクセス可能とした。
【0475】
本実施形態では、LDQ命令ではQレジスタの値を用いてメモリ空間(主にデータエリア、ワークエリア)にアクセスし、IN命令、OUT命令ではUレジスタを用いてデバイス(タイマ、乱数発生器、外部入出力回路等)のI/Oにアクセスするようにプログラムを記述できるようになる。かかる構成により、設計時にプログラムを把握し易くなる。また、メモリおよびI/Oを、16ビットのアドレスで特定してアクセスしていたものを下位8ビットのオペランドでアクセスすることが可能になり、プログラム容量を圧縮することができる。さらにQレジスタ、Q’レジスタ、Uレジスタと複数の上位指定レジスタを持つことにより、上位レジスタが1つだけの時よりも上位レジスタの使い回しによる入れ替えの回数が少なくなり、プログラム容量をさらに圧縮することができる。
【0476】
上記の例ではIN命令、OUT命令でI/O空間に対応するメモリ空間にアクセスしたが、IN命令、OUT命令で直接メモリ空間にアクセスしてもよい。このことは、例えばメモリ上の3つの256バイト領域にアクセスする場合に、Qレジスタ、Q’レジスタ、Uレジスタにそれぞれの上位8ビットを指定しておき、LDQ命令とIN命令、OUT命令でそれぞれの領域にアクセスすることで実現できる。
【0477】
(投入数表示器133の点灯制御)
図41は、主制御基板200に接続された各表示部(メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132、投入数表示器(表示手段)133、スタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器)の回路構成を説明するための回路図である。ここでは、メインCPU200aが、複数の制御信号(コモン信号C4~C0やデータ信号D7~D0)を用いて集合発光体L1~L5の点灯状態を制御する。
【0478】
集合発光体L1~L5のうち、集合発光体L1~L4は7セグメントであり、集合発光体L5は6つのLEDで構成される。集合発光体L1~L5は、いずれも複数のLEDのアノード端子またはカソード端子が共通化されたコモン端子(C)を有しており、コモン端子(C)とセグメント端子(a~g、dp)に電位差が生じると(電流が流れると)その対応するセグメントが発光する。
【0479】
図41の例において、メインCPU200aは、集合発光体L1~L5のうち発光対象となる集合発光体を特定するコモン信号C4~C0を時分割に切り換えて出力する。また、メインCPU200aは、並行して、コモン信号C4~C0によって特定された集合発光体L1~L5に、発光させるデータを示すデータ信号D7~D0を出力する。こうして、5つのデータが、コモン信号に応じ、集合発光体L1~L5それぞれに時分割に切り換わり表示される(ダイナミック点灯方式)。具体的に、メインCPU200aは、任意のタイミングで集合発光体L1のコモン信号C0のみを有効にし(LOW電位とし)、その間に、集合発光体L1に表示すべきデータ信号D7~D0を出力する。そうすると、集合発光体L1~L5全てにデータ信号D7~D0が供給されるものの、コモン信号C0は集合発光体L1にしか供給されていないので、集合発光体L1のみがデータ信号D7~D0に対応するデータを表示する。次に、メインCPU200aは、コモン信号を、集合発光体L1のコモン信号C0から集合発光体L2のコモン信号C1に切り換え、同様に、集合発光体L2に表示すべきデータ信号D7~D0を出力する。このように、コモン信号C4~C0を集合発光体L1~L5に対して所定周期(例えば、1.49msec)で順次切り換え、その都度、対応するデータ信号D7~D0を出力することで、集合発光体L1~L5にデータが恰も同時に表示されているように見せることができる。なお、その発光時間は集合発光体L1~L5間で等しいので、その輝度も均等になる。こうして、5つのコモン信号と8つのデータ信号といった少ない制御信号で、5つの集合発光体L1~L5の点灯状態を制御することが可能となる。
【0480】
また、集合発光体L1~L5は、各表示部に対応付けられている。例えば、集合発光体L1は、メインクレジット表示部130の10の位を示し、集合発光体L2は、メインクレジット表示部130の1の位を示し、集合発光体L3は、メイン払出表示部132の10の位を示し、集合発光体L4は、メイン払出表示部132の1の位を示す。また、集合発光体L5では、6つのLEDのうち、3つのLEDが投入数表示器133を示し、他の3つのLEDがそれぞれ、スタート表示器(スタートスイッチ118操作可能状態で点灯)、インサート表示器(メダル投入受付可能状態で点灯)、リプレイ表示器(リプレイ役の入賞で点灯)を示す。
【0481】
なお、投入数表示器133は、コモン信号C4が供給されているタイミングで、データ信号D0が「1」(HIGH電位)であれば、1BETの投入数表示器133が点灯し、データ信号D0が「0」(LOW電位)であれば、1BETの投入数表示器133が消灯する。また、データ信号D1が「1」(HIGH電位)であれば、2BETの投入数表示器133が点灯し、データ信号D1が「0」(LOW電位)であれば、2BETの投入数表示器133が消灯する。また、データ信号D2が「1」(HIGH電位)であれば、3BETの投入数表示器133が点灯し、データ信号D2が「0」(LOW電位)であれば、3BETの投入数表示器133が消灯する。こうして、投入数表示器133の点灯制御が可能となる。
【0482】
図42は、投入数表示器133の具体的な点灯制御を説明するための説明図である。ここでは、データ信号D7~D0に応じた投入数表示器133の点灯態様を説明する。なお、
図42において、黒の塗り潰しは点灯を示し、白抜きは消灯を示す。ここでは、メインCPU200a(投入数取得手段)は、メダル投入口114aを通じて投入された、ベットスイッチ116によってベットされた、もしくは、前回の遊技でリプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに伴い自動投入された、1遊技に用いられるメダルの投入数を取得する。そして、ベットされていない間、すなわち、投入数が「0」であれば、メインCPU200aは、データ信号D7~D0に点灯情報「00×××000B」を出力する。ここで、点灯情報(特定情報)は、投入数表示器133、スタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器の点灯態様(表示態様)を特定するための1バイトの情報である。なお、点灯情報における「×」は、スタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器の値が不定値(0または1)であることを示している。ここでは、点灯情報のうち、主として、投入数表示器133に関する下位3ビットについて述べる。点灯情報「00×××000B」が出力されることにより、ビット2に対応するデータ信号D2=0、ビット1に対応するデータ信号D1=0、ビット0に対応するデータ信号D0=0となるので、投入数表示器133のうち3BET、2BET、1BETのいずれも点灯しないこととなる。遊技者は、投入数表示器133が何ら点灯していないことで、ベットされていないことを把握できる。
【0483】
また、投入数が「1」であれば、メインCPU200aは、データ信号D7~D0に点灯情報「00×××001B」を出力する。点灯情報「00×××001B」が出力されることにより、ビット2に対応するデータ信号D2=0、ビット1に対応するデータ信号D1=0、ビット0に対応するデータ信号D0=1となるので、投入数表示器133のうち3BETおよび2BETは点灯しないが、1BETは点灯することとなる。遊技者は、投入数表示器133が1つ点灯しているので、投入数が「1」であることを把握できる。
【0484】
また、投入数が「2」であれば、メインCPU200aは、データ信号D7~D0に点灯情報「00×××011B」を出力する。点灯情報「00×××011B」が出力されることにより、ビット2に対応するデータ信号D2=0、ビット1に対応するデータ信号D1=1、ビット0に対応するデータ信号D0=1となるので、投入数表示器133のうち3BETは点灯しないが、2BETおよび1BETは点灯することとなる。遊技者は、投入数表示器133が2つ点灯しているので、投入数が「2」であることを把握できる。
【0485】
また、投入数が「3」であれば、メインCPU200aは、データ信号D7~D0に点灯情報「00×××111B」を出力する。点灯情報「00×××111B」が出力されることにより、ビット2に対応するデータ信号D2=1、ビット1に対応するデータ信号D1=1、ビット0に対応するデータ信号D0=1となるので、投入数表示器133のうち3BET、2BET、1BETのいずれも点灯することとなる。遊技者は、投入数表示器133が3つ点灯しているので、投入数が「3」であることを把握できる。こうして、投入数表示器133は、点灯情報を、投入数「1」、「2」、「3」に対応する点灯態様で表示することができる。
【0486】
ここで、点灯情報の下位3ビットに焦点を当てると、メインCPU200aは、投入数が「0」(「000B」)のときには点灯情報「000B」を出力し、投入数が「1」(「001B」)のときには点灯情報「001B」を出力し、投入数が「2」(「010B」)のときには点灯情報「011B」を出力し、投入数が「3」(「011B」)のときには点灯情報「111B」を出力しなければならない。そうすると、投入数を点灯情報に変換する必要が生じる。例えば、まだベットされていないときは、投入数を2進数で表した「000B」を「000B」に変換し、1枚ベットされると、投入数を2進数で表した「001B」を「001B」に変換し、2枚ベットされると、投入数を2進数で表した「010B」を「011B」に変換し、3枚ベットされると、投入数を2進数で表した「011B」を「111B」に変換しなければならない。
【0487】
このような変換は単純な加減算では導出できず、複雑な計算を強いられる。したがって、メインROM200bに、投入数と点灯情報とを1対1に対応付けたテーブルを設け、テーブルを参照して点灯情報を抽出することが考えられる。しかし、テーブルは、メモリの容量を大きく占有するので、主制御基板200のメインROM200bの使用領域(制御領域)が圧迫されるおそれがある。また、単純な加減算でのプログラムを試みたとしても、まだベットされていないときには、その投入数を2進数で表した「000B」を除外する分岐を設けなければならない等、プログラムが煩雑になり、やはり、メインROM200bの使用領域(制御領域)が圧迫されるおそれがある。
【0488】
そこで、本実施形態では、遊技制御処理を行うための制御領域の容量を抑制しつつ、メインCPU200a(演算処理手段)が、投入数を、点灯情報(特定情報)に効率的に変換する演算処理を行う。ここでは、投入数を点灯情報に変換するプログラムの例として、
図31に示したタイマ割込み処理S400中のダイナミックポート出力処理S400-7を示す。
【0489】
(ダイナミックポート出力処理S400-7)
ダイナミックポート出力処理S400-7において、メインCPU200aは、セットされた出力イメージを出力ポートに出力し、メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132、投入数表示器133、スタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器、ストップスイッチ120a、120b、120cの表示器、区間表示器160を点灯制御するダイナミックポート出力処理を実行する。ここでは、説明の便宜上、ダイナミックポート出力処理S400-7の一部の処理、すなわち、メイン表示器データバッファの投入数を更新する処理について詳述する。ここで、メイン表示器データバッファは、集合発光体L5に送信する1バイトの点灯情報を格納している。メインCPU200aは、メインROM200bからプログラムを読み出し、プログラム中のDYNMOUTモジュールを実行する。
【0490】
図43は、DYNMOUTモジュールの具体的な処理を示したフローチャートであり、
図44は、DYNMOUTモジュールの具体的なコマンドの一例を示した図である。かかる
図43の説明におけるステップSの数値は、本図の説明においてのみ用いることとする。なお、「_SIR_DAT」は、メイン表示器データバッファを示す2バイトのアドレスを示し、「_INS_MDL」は、投入数を格納している2バイトのアドレスを示す。
【0491】
図43に示すように、メインCPU200aは、メイン表示器データバッファに格納された値(点灯情報)を取得し(S1)、その値のうち、投入数表示器133以外のスタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器の点灯情報を退避させる(S2)。具体的に、
図44の1行目の指標「DYNMOUT:」は、当該DYNMOUTモジュールの先頭アドレスを示す。2行目のコマンド「LDQ A,(LOW _SIR_DAT)」(コマンドサイズ=2)によって、Qレジスタの値をアドレスの上位1バイトとし、アドレス「_SIR_DAT」自体の下位1バイトの値をアドレスの下位1バイトとしたアドレスが示すメモリ領域に格納された値、すなわち、メイン表示器データバッファに格納された点灯情報がAレジスタに設定される。3行目のコマンド「AND 00111000B」(コマンドサイズ=2)によって、上位2ビットおよび下位3ビットがマスクされ、点灯情報のうちスタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器の点灯情報のみがAレジスタに残る。4行目のコマンド「LD D,A」(コマンドサイズ=1)によって、Aレジスタの値(点灯情報の一部)がDレジスタに退避される。
【0492】
次に、
図43に示すように、メインCPU200aは、メダルの投入数を取得し(S3)、投入数表示器133の点灯情報を導出する(S4)。具体的に、
図44の5行目のコマンド「LDQ A,(LOW _INS_MDL)」(コマンドサイズ=2)によって、Qレジスタの値をアドレスの上位1バイトとし、アドレス「_INS_MDL」自体の下位1バイトの値をアドレスの下位1バイトとしたアドレスが示すメモリ領域に格納された値、すなわち、投入数がAレジスタに設定される。6行目のコマンド「LD E,A」(コマンドサイズ=1)によって、Aレジスタの値、すなわち、投入数がEレジスタに退避される。7行目のコマンド「SRL A」(コマンドサイズ=2)によってAレジスタの値が1ビットだけ右シフトされる。かかるコマンド「SRL A」は除数を2とする割り算に相当し、Aレジスタには除算した商(除算結果)が残る。8行目のコマンド「ADD A,E」(コマンドサイズ=1)によってAレジスタの値(除算結果)に、Eレジスタの値(退避された投入数)が加算され、Aレジスタには加算された結果(加算結果)が残る。9行目のコマンド「OR E」(コマンドサイズ=1)によって、Aレジスタの値(加算結果)とEレジスタの値(退避された投入数)との論理和が計算される。こうしてAレジスタには投入数表示器133の点灯情報が設定される。
【0493】
次に、
図43に示すように、メインCPU200aは、ステップS2で退避させたスタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器の点灯情報を復帰させ(S5)、メイン表示器データバッファに格納された値を更新する(S6)。具体的に、
図44の10行目のコマンド「OR D」(コマンドサイズ=1)によって、Aレジスタの値(投入数表示器133の点灯情報)とDレジスタの値(退避されたスタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器の点灯情報)との論理和が計算され、計算結果がAレジスタに保持される。11行目のコマンド「LDQ (LOW _SIR_DAT),A」(コマンドサイズ=2)によって、Aレジスタの値、すなわち、投入数表示器133、スタート表示器、インサート表示器、リプレイ表示器の点灯情報が、Qレジスタの値をアドレスの上位1バイトとし、アドレス「_SIR_DAT」自体の下位1バイトの値をアドレスの下位1バイトとした2バイトのアドレスが示すメモリ領域、すなわち、メイン表示器データバッファに格納される。
【0494】
ここでは、投入数を右に1ビットシフトし(2で除算し)、その演算結果に投入数を加算し、その演算結果と投入数との論理和演算を行うことで投入数表示器133の点灯情報が導出される。なお、かかる処理を実現する
図44における7行目~9行目のコマンドの総コマンドサイズは4バイトとなり、メモリ容量をほとんど占有しないことが理解できる。以下、投入数に基づく投入数表示器133の点灯情報の導出態様を説明する。
【0495】
図45は、投入数に基づく投入数表示器133の点灯情報の導出態様を説明した説明図である。
図45の投入数「0」で示されるように、投入数が2進数の「000B」である場合、投入数「000B」を右に1ビットシフト(2で除算)すると演算結果(除算結果)は「000B」となる。その演算結果「000B」に投入数「000B」を加算すると演算結果(加算結果)は「000B」となる。その演算結果「000B」と投入数「000B」との論理和を行うと演算結果は「000B」となる。したがって、投入数表示器133の点灯情報は「000B」となる。
【0496】
図45の投入数「1」で示されるように、投入数が2進数の「001B」である場合、投入数「001B」を右に1ビットシフト(2で除算)すると演算結果(除算結果)は「000B」となる。その演算結果「000B」に投入数「001B」を加算すると演算結果(加算結果)は「001B」となる。その演算結果「001B」と投入数「001B」との論理和を行うと演算結果は「001B」となる。したがって、投入数表示器133の点灯情報は「001B」となる。
【0497】
図45の投入数「2」で示されるように、投入数が2進数の「010B」である場合、投入数「010B」を右に1ビットシフト(2で除算)すると演算結果(除算結果)は「001B」となる。その演算結果「001B」に投入数「010B」を加算すると演算結果(加算結果)は「011B」となる。その演算結果「011B」と投入数「011B」との論理和を行うと演算結果は「011B」となる。したがって、投入数表示器133の点灯情報は「011B」となる。
【0498】
図45の投入数「3」で示されるように、投入数が2進数の「011B」である場合、投入数「011B」を右に1ビットシフト(2で除算)すると演算結果(除算結果)は「001B」となる。その演算結果「001B」に投入数「011B」を加算すると演算結果(加算結果)は「100B」となる。その演算結果「100B」と投入数「011B」との論理和を行うと演算結果は「111B」となる。したがって、投入数表示器133の点灯情報は「111B」となる。
【0499】
かかる構成によると、まだベットされていないときでも、その投入数「000B」を除外する分岐を設けることなく、投入数から投入数表示器133の点灯情報を画一的に導出することができる。したがって、遊技制御処理を行うための制御領域の容量を抑制しつつ、投入数を投入数表示器133の点灯情報に効率的に変換することが可能となる。
【0500】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0501】
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0502】
また、上記した実施形態では、遊技価値としてのメダルを用いて遊技を行うようにしたが、遊技価値は電気的な情報であってもよい(所謂メダルレスであってもよい)。この場合、当選役が入賞したときに、当選役に対応する価値量を遊技者に電気的な情報で付与すればよい。
【0503】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【0504】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0505】
また、上述した実施形態においては、リール110の数が3つ(左リール110a、中リール110b、右リール110c)の例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、リール110の数が4つ(第1リール、第2リール、第3リール、第4リール)や5つ以上の場合にも適用できる。
【0506】
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0507】
また、上記した実施形態では、遊技価値としてのメダルを用いて遊技を行うようにしたが、遊技価値は電気的な情報であってもよい(所謂メダルレスであってもよい)。この場合、当選役が入賞したときに、当選役に対応する価値量を遊技者に電気的な情報で付与すればよい。
【0508】
また、上述した実施形態では、スロットマシン100に適用する例を挙げて説明したが、遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な大入賞口と、大入賞口を開閉する開閉部材と、所定条件が成立すると、開閉部材を開閉制御し、大入賞口が開放される複数回のラウンド遊技を含んで構成される大役遊技を実行する大入賞口制御手段と、を備える遊技機、所謂、パチンコ機に適用することもできる。
【0509】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0510】
100 スロットマシン(遊技機)
110 リール
118 スタートスイッチ
120 ストップスイッチ
304 当選種別抽選手段
306 リール制御手段
314 演出状態制御手段
334 演出制御手段