IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-タイヤの製造方法 図1
  • 特開-タイヤの製造方法 図2
  • 特開-タイヤの製造方法 図3
  • 特開-タイヤの製造方法 図4
  • 特開-タイヤの製造方法 図5
  • 特開-タイヤの製造方法 図6
  • 特開-タイヤの製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092004
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20230626BHJP
   B60C 19/08 20060101ALI20230626BHJP
   B29D 30/72 20060101ALI20230626BHJP
   B29D 30/60 20060101ALI20230626BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B60C11/00 Z
B60C19/08
B60C11/00 C
B29D30/72
B29D30/60
B60C11/00 E
B60C13/00 E
B60C11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206945
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 由彦
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131AA06
3D131BA01
3D131BA05
3D131BA09
3D131BC02
3D131BC13
3D131BC45
3D131BC52
3D131EA01X
3D131EA04X
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131LA15
3D131LA28
4F215AE03
4F215AH20
4F215VA11
4F215VD03
4F215VD09
4F215VK34
(57)【要約】
【課題】 トレッドのショルダー陸に不具合が発生することを抑制できるタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】 タイヤの製造方法は、リボンゴムがタイヤ周方向に巻かれることによって、トレッドゴムを形成する工程と、トレッドゴムを備える未加硫タイヤを加硫する工程と、を含み、加硫されたタイヤは、タイヤ周方向へ延びる複数の主溝と、複数の主溝及び一対の接地端によって区画される複数の陸と、を備え、複数の陸は、タイヤ軸方向の最も外側に配置されるショルダー陸を含み、ショルダー陸の少なくとも一部を形成することになるリボンゴムは、基材と、基材の外周の少なくとも一部を被覆し、基材の粘着力よりも大きい粘着力を有する粘着材と、を備える。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボンゴムがタイヤ周方向に巻かれることによって、トレッドゴムを形成する工程と、
前記トレッドゴムを備える未加硫タイヤを加硫する工程と、を含み、
加硫されたタイヤは、タイヤ周方向へ延びる複数の主溝と、前記複数の主溝及び一対の接地端によって区画される複数の陸と、を備え、
前記複数の陸は、タイヤ軸方向の最も外側に配置されるショルダー陸を含み、
前記ショルダー陸の少なくとも一部を形成することになる前記リボンゴムは、基材と、前記基材の外周の少なくとも一部を被覆し、前記基材の粘着力よりも大きい粘着力を有する粘着材と、を備える、タイヤの製造方法。
【請求項2】
前記基材は、非導電性ゴムで形成され、
前記粘着材は、導電性ゴムで形成される、請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記導電性ゴムは、前記ショルダー陸のうち、前記タイヤ軸方向の外側半分のみに配置される、請求項2に記載のタイヤの製造方法。
【請求項4】
サイドウォールゴムを形成する工程をさらに含み、
前記サイドウォールゴムは、非導電性ゴムのみで形成される、請求項2又は3に記載のタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、タイヤの製造方法は、リボンゴムがタイヤ周方向に巻かれることによって、トレッドゴムを形成する工程を含んでいる(例えば、特許文献1)。そして、例えば、未加硫タイヤが加硫されるときに、一般的に、トレッドゴムのショルダー領域が大きく変形(例えば、拡張)される。したがって、トレッドのショルダー陸には、リボンゴム間の隙間、亀裂、空気溜まり等の不具合が発生し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-121694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、トレッドのショルダー陸に不具合が発生することを抑制できるタイヤの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
タイヤの製造方法は、リボンゴムがタイヤ周方向に巻かれることによって、トレッドゴムを形成する工程と、前記トレッドゴムを備える未加硫タイヤを加硫する工程と、を含み、加硫されたタイヤは、タイヤ周方向へ延びる複数の主溝と、前記複数の主溝及び一対の接地端によって区画される複数の陸と、を備え、前記複数の陸は、タイヤ軸方向の最も外側に配置されるショルダー陸を含み、前記ショルダー陸の少なくとも一部を形成することになる前記リボンゴムは、基材と、前記基材の外周の少なくとも一部を被覆し、前記基材の粘着力よりも大きい粘着力を有する粘着材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】加硫タイヤのタイヤ子午面における要部断面図
図2図1の要部拡大図
図3】タイヤ製造装置の要部正面図
図4】同タイヤ製造装置の要部斜視図
図5】リボンゴムの断面図
図6】未加硫タイヤのタイヤ子午面における要部断面図
図7図6の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、タイヤ及びタイヤの製造方法における一実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0008】
まず、本実施形態に係る加硫後のタイヤ(以下、「加硫タイヤ」ともいう)の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0009】
図1に示すように、加硫タイヤ1は、ビードコアを有する一対のビード部2と、各ビード部2からタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール3と、一対のサイドウォール3のタイヤ径方向D2の外端に連接され、タイヤ径方向D2の外表面(トレッド面4a)が路面に接地するトレッド4とを備えている。本実施形態においては、加硫タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤ1であって、リム5に装着される。
【0010】
各図において、第1の方向D1は、タイヤ1の回転中心であるタイヤ回転軸と平行であるタイヤ軸方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りのタイヤ周方向D3である。
【0011】
タイヤ軸方向D1の内側は、タイヤ赤道面S1に近い側であり、タイヤ軸方向D1の外側は、タイヤ赤道面S1から遠い側である。また、タイヤ径方向D2の内側は、タイヤ回転軸に近い側であり、タイヤ径方向D2の外側は、タイヤ回転軸から遠い側である。
【0012】
タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ1のタイヤ軸方向D1の中心に位置する面のことであり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面のことである。
【0013】
なお、加硫タイヤ1における後述する各寸法値、位置関係及び大小関係等は、加硫タイヤ1を正規リム5に装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態で測定したものである。正規リムは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1ごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0014】
また、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、トラックバス用タイヤ、ライトトラック用タイヤの場合は、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。乗用車用タイヤの場合は、正規内圧は、通常180kPaとするが、Extra Load又はReinforcedと記載されたタイヤの場合は、正規内圧は、220kPaとする。
【0015】
また、加硫タイヤ1は、一対のビードコアの間に架け渡されるカーカス6と、カーカス6の内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナ7とを備えている。カーカス6及びインナーライナ7は、ビード部2、サイドウォール3、及びトレッド4に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0016】
トレッド4は、路面に接地するトレッド面4aを有するトレッドゴム4bと、トレッドゴム4bとカーカス6との間に配置されるベルト4cとを備えている。そして、トレッド面4aは、実際に路面に接地する接地面を有しており、当該接地面のうち、タイヤ軸方向D1の外端は、接地端4d,4eという。なお、該接地面は、タイヤ1を正規リム5にリム組みし、正規内圧を充填した状態でタイヤ1を平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときの路面に接地するトレッド面4aを指す。
【0017】
正規荷重は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている荷重であり、JATMAであれば”最大負荷能力”、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”LOAD CAPACITY”である。タイヤ1が乗用車用タイヤである場合は、正規荷重は、前記荷重の88%に相当する荷重であり、タイヤ1がレーシングカート用タイヤである場合は、正規荷重は、392Nである。
【0018】
トレッドゴム4bは、タイヤ周方向D3に延びる複数の主溝8,9,10と、複数の主溝8,9,10及び一対の接地端4d,4eによって区画される複数の陸11,12,13,14とを備えている。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、主溝8,9,10の個数は、三つとし、陸11,12,13,14の個数は、四つとしてもよい。
【0019】
主溝8,9,10は、タイヤ周方向D3に連続して延びている。主溝8,9,10は、例えば、摩耗するにしたがって露出することで摩耗度合が分かるように、溝を浅くしてある部分、所謂、トレッドウエアインジケータ(図示していない)を備えていてもよい。また、例えば、主溝8,9,10は、接地端4d,4e間の距離(タイヤ軸方向D1の寸法)の3%以上の溝幅を有していてもよい。また、例えば、主溝8,9,10は、5mm以上の溝幅を有していてもよい。
【0020】
タイヤ軸方向D1の最外側に配置される一対の主溝8,9は、ショルダー主溝8,9という。ショルダー主溝8,9のうち、一方側(図1において右側)に配置される主溝8は、第1ショルダー主溝8といい、他方側(図1において左側)に配置される主溝9は、第2ショルダー主溝9という。また、一対のショルダー主溝8,9間に配置される主溝10は、センター主溝10という。
【0021】
ショルダー主溝8,9と接地端4d,4eによって区画される陸11,12は、ショルダー陸11,12といい、隣接される一対の主溝8,9,10によって区画される陸13,14は、センター陸13,14という。ショルダー陸11,12のうち、一方側(図1において右側)に配置される陸11は、第1ショルダー陸11といい、他方側(図1において左側)に配置される陸12は、第2ショルダー陸12という。
【0022】
図2に示すように、第1ショルダー陸11は、例えば、本実施形態のように、非導電性ゴム15及び導電性ゴム16によって、形成されていてもよい。これにより、第1ショルダー陸11は、トレッド面4aの一部が導電性ゴム16で形成されている。なお、図2図1も同様)において、導電性ゴム16は、実線で図示されており、それ以外の部分のゴムは、非導電性ゴム15である。
【0023】
加硫前後に拘らず、導電性ゴム16の体積抵抗率は、非導電性ゴム15の体積抵抗率よりも、小さい。例えば、導電性ゴム16は、体積抵抗率が10Ω・cm未満を示すゴムが例示され、原料ゴムに補強剤として、例えば、カーボンブラックを高比率で配合したものが例示される。また、例えば、非導電性ゴム15は、体積抵抗率が10Ω・cm以上を示すゴムが例示され、原料ゴムに補強剤として、例えば、シリカを高比率で配合したものが例示される。
【0024】
また、特に限定されないが、加硫後の導電性ゴム16の損失正接は、例えば、本実施形態のように、加硫後の非導電性ゴム15の損失正接よりも、大きくてもよい。なお、損失正接(tanδ)は、UBM社製スペクトロメーターを使用し、初期歪み10%、動的歪み±1.0%、周波数10Hz、温度60℃の状態で測定した値としてもよい。
【0025】
また、特に限定されないが、加硫後の導電性ゴム16のゴム硬度は、例えば、本実施形態のように、加硫後の非導電性ゴム15のゴム硬度よりも、大きくてもよい。なお、ゴム硬度は、JIS K6253-1-2012 3.2 デュロメータ硬さ(durometer hardness)であり、一般ゴム(中硬さ)用のタイプAデュロメータを用いて、23℃の雰囲気下で測定される。
【0026】
ところで、導電性ゴム16の損失正接が大きいため、導電性ゴム16に起因して、タイヤ1の転がり抵抗が増加する虞がある。そして、直進時に、タイヤ軸方向D1の外側へ行くほど、タイヤ周方向D3の接地長さが短くなることに対して、例えば、本実施形態のように、導電性ゴム16は、第1ショルダー陸11の外領域11aのみに配置され、第1ショルダー陸11の内領域11bに配置されていない、という構成でもよい。
【0027】
これにより、直進時に、接地する導電性ゴム16の面積が大きくなることを抑制することができるため、導電性ゴム16に起因して、転がり抵抗が増加することを抑制することができる。なお、外領域11aとは、第1ショルダー陸11のうち、トレッド面4aにおけるタイヤ軸方向D1の外側半分の領域であり、内領域11bとは、第1ショルダー陸11のうち、トレッド面4aにおけるタイヤ軸方向D1の内側半分の領域である。
【0028】
また、旋回時に、ショルダー陸11,12、特に、外領域11aに大きな力が加えられることに対して、導電性ゴム16のゴム硬度が大きくなっているため、ショルダー陸11,12の外領域11aの剛性を大きくすることができる。これにより、例えば、旋回時の操縦安定性能を向上させることができる。
【0029】
図1に戻り、トレッド面4aの導電性ゴム16は、例えば、本実施形態のように、カーカス6及びビード部2から構成される導電経路を介して、リム5と電気的に接続されていてもよい。即ち、サイドウォール3は、サイドウォール3の外表面を含むサイドウォールゴム3aを備え、サイドウォールゴム3aは、非導電性ゴム15のみで形成されている、という構成でもよい。
【0030】
これにより、走行時に、サイドウォールゴム3aが変形することに対して、サイドウォールゴム3aは、損失正接の小さい非導電性ゴム15のみで形成されている。したがって、走行時に、サイドウォールゴム3aの変形に起因して、転がり抵抗が増加することを抑制することができる。
【0031】
また、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、第2ショルダー陸12も、第1ショルダー陸11と同様に、非導電性ゴム15及び導電性ゴム16によって、形成されていてもよい。これにより、第2ショルダー陸12も、トレッド面4aの一部が導電性ゴム16で形成される。
【0032】
次に、本実施形態に係るタイヤ製造装置の構成及びタイヤ1の製造方法について、図3図5を参照しながら説明する。
【0033】
図3図5に示すように、タイヤ製造装置20は、例えば、本実施形態のように、基材31となるゴムを押し出す第1押出部21と、粘着材32となるゴムを押し出す第2押出部22と、各押出部21,22から押し出されて形成される紐状のリボンゴム30が巻き付けられる巻付部23とを備えていてもよい。
【0034】
巻付部23は、例えば、本実施形態のように、円柱状に形成されており、回転可能で、且つ、押出部21,22に対して、タイヤ軸方向D1に相対変位可能であってもよい。これにより、押し出されて成形されたリボンゴム30は、巻付部23の外周部に螺旋状に巻き付けられる。このように、リボンゴム30がタイヤ周方向D3に巻かれることによって、トレッドゴム4bが形成される。
【0035】
なお、特に限定されないが、基材31の断面形状は、例えば、本実施形態のように、幅方向中央部が最大の厚みで、該中央部から両側端に向かって厚みが次第に薄くなる略三角形状としてもよい。また、特に限定されないが、粘着材32は、基材31の外周の一部を被覆していてもよい。
【0036】
そして、粘着材32の粘着力は、基材31の粘着力よりも、大きくなっている。なお、粘着力(N)は、例えば、株式会社東洋精機製作所製の粘着力測定装置(商品名「タックテスターII」)を使用し、被測定ゴムからなる試験片(JIS T9233に準拠)を、例えば、圧着荷重1N及び圧着時間10秒の条件で金属平板に圧着させ、該金属平板から速度30mm/minの条件で引き剥がすのに要する力を測定した値とする。
【0037】
特に限定されないが、粘着材32を構成するゴムは、粘着性を高めるために、ゴム原料に粘着付与剤を添加して混錬されてもよい。特に限定されないが、粘着付与剤は、例えば、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂などの合成樹脂系粘着付与剤、クロマン・インデン系樹脂、ロジン誘導体などの天然樹脂系粘着付与剤等とすることができる。
【0038】
なお、例えば、他の部材が巻付部23の外周部に巻き付けられた上から、リボンゴム30が巻き付けられることによって、トレッドゴム44bが形成されてもよい。また、例えば、トレッドゴム44bが形成された後に、トレッドゴム44bは、他の部材(例えば、サイドウォールゴム43a等。図6及び図7参照。)に一体となるように接合されてもよい。
【0039】
このようにして、加硫前の未加硫のタイヤ41(以下、単に「未加硫タイヤ」ともいう。図6及び図7参照。)が成形される。そして、未加硫タイヤ41が加硫されることによって、加硫タイヤ1(図1及び図2参照)が製造される。なお、粘着材32のゴムは、加硫されることによって、その粘着力を消失してもよい。
【0040】
ところで、例えば、第2押出部22が、粘着材32となるゴムを押し出す状態と押し出すことを停止する状態とで切り替えられることによって、粘着材32を配置する位置を変更することができる。これにより、未加硫タイヤ41の所望の位置に粘着材32を配置することができる。
【0041】
そこで、次に、本実施形態に係る未加硫タイヤ41の構成について、図6及び図7を参照しながら説明する。
【0042】
図6に示すように、未加硫タイヤ41は、例えば、本実施形態のように、それぞれ加硫タイヤ1のビード部2、サイドウォール3及びトレッド4となる、ビード部42、サイドウォール43及びトレッド44を備えていてもよい。
【0043】
また、未加硫タイヤ41は、例えば、本実施形態のように、それぞれ加硫タイヤ1のカーカス6、インナーライナ7、サイドウォールゴム3a、トレッド面4a、トレッドゴム4b及びベルト4cとなる、カーカス46、インナーライナ47、サイドウォールゴム43a、トレッド面44a、トレッドゴム44b及びベルト44cを備えていてもよい。
【0044】
そして、粘着材32は、例えば、本実施形態のように、トレッドゴム44bのショルダー領域48に配置されていてもよい。即ち、ショルダー領域48の少なくとも一部を形成するリボンゴム30は、粘着材32を備えていてもよい。これにより、粘着材32によって、リボンゴム30,30間の粘着性を向上することができるため、タイヤ1を製造するときに(例えば、未加硫タイヤ41を加硫するときに)、トレッド44のショルダー領域48に不具合が発生することを抑制できる。
【0045】
なお、ショルダー領域48とは、未加硫タイヤ41に外力を付与しない状態で、トレッドゴム44bのトレッド面44aをタイヤ軸方向D1で四等分した領域48,48,49,49のうち、タイヤ軸方向D1の両外側に配置される一対の領域48,48である。そして、一対のショルダー領域48,48の間に配置される領域49,49は、センター領域49,49という。なお、図6図7も同様)において、粘着材32は、実線で図示されており、それ以外の部分のゴムは、基材31である。
【0046】
また、例えば、本実施形態のように、粘着材32は、導電性ゴムで形成され、基材31は、非導電性ゴムで形成されている、という構成でもよい。これにより、導電性ゴムで形成されたトレッド44を有する未加硫タイヤ41を製造することができ、そして、導電性ゴム16で形成されたトレッド4を有する加硫タイヤ1(図1及び図2参照)を製造することができる。
【0047】
なお、トレッドゴム44bのうち、センター領域49,49は、例えば、本実施形態のように、粘着材32(導電性ゴム)を備えておらず、基材31(非導電性ゴム)のみで形成されていてもよい。また、サイドウォールゴム43aは、例えば、本実施形態のように、粘着材32(導電性ゴム)を備えておらず、基材31(非導電性ゴム)のみで形成されていてもよい。
【0048】
また、図7に示すように、粘着材32(導電性ゴム)は、例えば、本実施形態のように、ショルダー領域48のうち、外領域48aのみに配置され、内領域48bに配置されていない、という構成でもよい。これにより、加硫タイヤ1において、ショルダー陸11,12の外領域11aのみに、導電性ゴム16を配置することができる(図2参照)。
【0049】
なお、ショルダー領域48の外領域48aとは、未加硫タイヤ41に外力を付与しない状態で、ショルダー領域48のうち、トレッド面44aにおけるタイヤ軸方向D1の外側半分の領域であり、ショルダー領域48の内領域48bとは、未加硫タイヤ41に外力を付与しない状態で、ショルダー領域48のうち、トレッド面44aにおけるタイヤ軸方向D1の内側半分の領域である。
【0050】
なお、本実施形態においては、一対のショルダー領域48,48のそれぞれは、粘着材32(導電性ゴム)を備えている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、一対のショルダー領域48,48のうち、一方のみが、粘着材32(導電性ゴム)を備えている、という構成でもよい。
【0051】
以上より、本実施形態のように、タイヤ1の製造方法は、リボンゴム30がタイヤ周方向D3に巻かれることによって、トレッドゴム44bを形成する工程と、前記トレッドゴム44bを備える未加硫タイヤ41を加硫する工程と、を含み、加硫されたタイヤ1は、タイヤ周方向D3へ延びる複数の主溝8,9,10と、前記複数の主溝8,9,10及び一対の接地端4d,4eによって区画される複数の陸11,12,13,14と、を備え、前記複数の陸11,12,13,14は、タイヤ軸方向D1の最も外側に配置されるショルダー陸11,12を含み、前記ショルダー陸11,12の少なくとも一部を形成することになる前記リボンゴム30は、基材31と、前記基材31の外周の少なくとも一部を被覆し、前記基材31の粘着力よりも大きい粘着力を有する粘着材32と、を備える、という方法が好ましい。
【0052】
斯かる方法によれば、ショルダー陸11,12の少なくとも一部を形成することになるリボンゴム30が、基材31の外周の少なくとも一部を被覆する粘着材32を備えているため、粘着材32によって、リボンゴム30,30間の粘着性を向上することができる。これにより、タイヤ1を製造するときに、トレッド4のショルダー陸11,12に不具合が発生することを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態のように、タイヤ1の製造方法においては、前記基材31は、非導電性ゴムで形成され、前記粘着材32は、導電性ゴムで形成される、という方法が好ましい。
【0054】
斯かる方法によれば、粘着材32が導電性ゴムで形成されているため、タイヤ1を製造するときに、トレッド4のショルダー陸11,12に不具合が発生することを抑制できるだけでなく、導電性ゴム16で形成されたトレッド4を有するタイヤ1を製造することができる。
【0055】
また、本実施形態のように、タイヤ1の製造方法においては、前記導電性ゴム16は、前記ショルダー陸11,12のうち、前記タイヤ軸方向D1の外側半分のみに配置される、という方法が好ましい。
【0056】
斯かる方法によれば、例えば、導電性ゴム16の損失正接が非導電性ゴム15の損失正接よりも大きく、且つ、直進時に、タイヤ軸方向D1の外側へ行くほど、タイヤ周方向D3の接地長さが短くなることに対して、導電性ゴム16は、ショルダー陸11,12のうち、タイヤ軸方向D1の外側半分のみに配置されている。これにより、直進時に、接地する導電性ゴム16の面積が大きくなることを抑制することができるため、導電性ゴム16に起因して、転がり抵抗が増加することを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態のように、タイヤ1の製造方法は、サイドウォールゴム43aを形成する工程をさらに含み、前記サイドウォールゴム3a,43aは、非導電性ゴム15のみで形成される、という方法が好ましい。
【0058】
斯かる方法によれば、例えば、導電性ゴム16の損失正接が非導電性ゴム15の損失正接よりも大きく、且つ、走行時に、サイドウォールゴム3aが変形することに対して、サイドウォールゴム3a,43aは、非導電性ゴム15のみで形成されている。これにより、直進時に、サイドウォールゴム3aの変形に起因して、転がり抵抗が増加することを抑制することができる。
【0059】
なお、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0060】
(1)上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、基材31は、非導電性ゴムで形成され、粘着材32は、導電性ゴムで形成される、という構成である。しかしながら、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、斯かる構成に限られない。
【0061】
例えば、基材31は、導電性ゴムで形成され、粘着材32は、非導電性ゴムで形成される、という構成でもよい。また、例えば、基材31及び粘着材32は、それぞれ非導電性ゴムで形成される、という構成でもよい。また、例えば、基材31及び粘着材32は、それぞれ導電性ゴムで形成される、という構成でもよい。
【0062】
(2)また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、導電性ゴム16は、ショルダー陸11,12のうち、タイヤ軸方向D1の外側半分のみに配置される、という構成である。しかしながら、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、斯かる構成に限られない。
【0063】
例えば、導電性ゴム16は、ショルダー陸11,12のうち、タイヤ軸方向D1の内側半分のみに配置される、という構成でもよい。また、例えば、導電性ゴム16は、ショルダー陸11,12のうち、タイヤ軸方向D1の外側半分及び内側半分の両方に亘って配置される、という構成でもよい。
【0064】
(3)また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、粘着材32は、ショルダー領域48のうち、タイヤ軸方向D1の外側半分のみに配置される、という構成である。しかしながら、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、斯かる構成に限られない。
【0065】
例えば、粘着材32は、ショルダー領域48のうち、タイヤ軸方向D1の内側半分のみに配置される、という構成でもよい。また、例えば、粘着材32は、ショルダー領域48のうち、タイヤ軸方向D1の外側半分及び内側半分の両方に亘って配置される、という構成でもよい。
【0066】
(4)また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、サイドウォールゴム3a,43aは、非導電性ゴム15のみで形成される、という構成である。しかしながら、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、斯かる構成に限られない。例えば、サイドウォールゴム3a,43aの少なくとも一部は、導電性ゴム16で形成される、という構成でもよい。
【0067】
(5)また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、粘着材32は、基材31の外周の一部を被覆する、という構成である。しかしながら、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、斯かる構成に限られない。例えば、粘着材32は、基材31の外周の全部を被覆する、という構成でもよい。
【0068】
(6)また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、導電性ゴム16は、ショルダー陸11,12に配置され、センター陸13,14に配置されていない、という構成である。しかしながら、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、斯かる構成に限られない。例えば、導電性ゴム16は、ショルダー陸11,12だけでなく、センター陸13,14にも配置されている、という構成でもよい。
【0069】
(7)また、上記実施形態に係るタイヤ1及びタイヤ1の製造方法においては、粘着材32は、ショルダー領域48,48に配置され、センター領域49,49に配置されていない、という構成である。しかしながら、タイヤ1及びタイヤ1の製造方法は、斯かる構成に限られない。例えば、粘着材32は、ショルダー領域48,48だけでなく、センター領域49,49にも配置されている、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…加硫タイヤ、2…ビード部、3…サイドウォール、3a…サイドウォールゴム、4…トレッド、4a…トレッド面、4b…トレッドゴム、4c…ベルト、4d…接地端、4e…接地端、5…リム、6…カーカス、7…インナーライナ、8…第1ショルダー主溝、9…第2ショルダー主溝、10…センター主溝、11…第1ショルダー陸、11a…外領域、11b…内領域、12…第2ショルダー陸、13…センター陸、14…センター陸、15…非導電性ゴム、16…導電性ゴム、20…タイヤ製造装置、21…第1押出部、22…第2押出部、23…巻付部、30…リボンゴム、31…基材、32…粘着材、41…未加硫タイヤ、42…ビード部、43…サイドウォール、43a…サイドウォールゴム、44…トレッド、44a…トレッド面、44b…トレッドゴム、44c…ベルト、46…カーカス、47…インナーライナ、48…ショルダー領域、48a…外領域、48b…内領域、49…センター領域、D1…タイヤ軸方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、S1…タイヤ赤道面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7