(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092097
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】非水系貼付剤およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/196 20060101AFI20230626BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20230626BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230626BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230626BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230626BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K31/196
A61K31/167
A61K9/70 401
A61K47/32
A61K47/12
A61P29/00
A61P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207095
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】521557805
【氏名又は名称】ジェイル ヘルス サイエンス インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】Jeil Health Science Inc.
【住所又は居所原語表記】343,Sapyeong-daero,Seocho-gu,Seoul,Korea
(71)【出願人】
【識別番号】521557816
【氏名又は名称】サモウ ファーマ カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】Samoh Pharma. Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Samoh B/D,151,Yeoksam-ro,Gangnam-gu,Seoul,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100207251
【弁理士】
【氏名又は名称】矢島 弘文
(72)【発明者】
【氏名】石川 和幸
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA74
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC18
4C076DD41
4C076DD43
4C076EE03A
4C076EE04A
4C076FF34
4C076FF70
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA31
4C206GA01
4C206GA31
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA52
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA13
4C206NA20
4C206ZA89
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】ジクロフェナックエポラミンを含む非水系性貼付剤は、消炎鎮痛の貼付剤としてリ経皮吸収性が十分ではなく、しかも皮膚に対する粘着性が弱く、補助的な支持体を必要とした。
【解決手段】膏体中に、薬用成分であるジクロフェナックエポラミン1質量%に対してクロタミトン0.1~1.5質量%を含む膏体として経皮吸収に優れた消炎鎮痛の非水系貼付剤とした。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消炎鎮痛膏体を布状体に展膏した非水系貼付剤において、膏体中に、薬用成分であるジクロフェナックエポラミン1質量%に対してクロタミトン0.1~1.5質量%を有することを特徴とする非水系貼付剤。
【請求項2】
請求項1に記載の非水系貼付剤において、ジクロフェナックエポラミンとクロタミトンの溶液に合成ゴムやエラストマーの粘着剤を混練りして得た膏体よりなることを特徴とする非水系貼付剤。
【請求項3】
請求項2に記載の非水系貼付剤において、粘着剤が、ポリイソプチレン、ポリイソプレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体から選択される1種または2種以上からなることを特徴とする非水系貼付剤。
【請求項4】
請求項2に記載の非水系貼付剤において、C4~C18の脂肪酸を、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して0.1~0.6質量%を含むことを特徴とする非水系貼付剤。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載の非水系貼付剤において、ヒドロキシ酸を、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して0.1~0.5質量%を含むことを特徴とする非水系貼付剤。
【請求項6】
膏体中に、ジクロフェナックエポラミン、クロタミトンを含む非水系貼付剤の製造方法であって、クロタミトンに、クロフェナックエポラミンを、常温もしくは加温溶解させ、合成ゴムやエラストマーの粘着剤を混練りする工程を有することを特徴とする非水系貼付剤の製造方法。
【請求項7】
ジクロフェナックエポラミンとクロタミトンの溶液に、C4~C18の脂肪酸を同時に溶解させ、粘着剤を混練りする工程を含むことを特徴とする非水系貼付剤の製造方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の非水系貼付剤の製造方法において、ジクロフェナックエポラミンとクロタミトンの溶液に、ヒドロキシ酸を同時に溶解させ、粘着剤を混練りする工程を含むことを特徴とする非水系貼付剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジクロフェナックエポラミンを薬効成分とし、その薬効成分の溶解剤としてクロタミトを有する非水系貼付剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジクロフェナックのような非ステロイド性の抗炎症剤は、水への溶解度が非常に低く、溶解度と溶出性を高めるために塩を形成して使われることが通常である。
【0003】
報告されている塩としては、ナトリウムやカリウムのような無機塩やエポラミンやジエチルアミンのような有機塩がある。
【0004】
ジクロフェナックは、使用される対イオンにより、まったく異なる化合物として目的に応じて使い分けられている。
【0005】
例えば、経口投与型にはナトリウムやカリウムのような無機塩が使われる一方、エポラミンをはじめとする有機塩は、外用の製剤に適応するものとして開発された。
【0006】
外用剤は、皮膚に適用するものである。
【0007】
皮膚は、本来、化学物質、微生物、環境からの物理的刺激に対して体を守る重要な機能を持っている。
【0008】
皮膚の最外層は、死細胞である角質と呼ばれ、厚さ約20μmであり、防御ためのバリアの中心にある。
【0009】
角質は、非水溶性のケラチンと脂肪からできており、大きい密度(1.4g/cm3)と低い水分(15~20%)でできている。
【0010】
この角質細胞は、多くの薬物の皮膚からの浸透を妨げている。
【0011】
本来、化合物を吸収する機能を備えている消化管と異なり、皮膚、角質を通しての吸収には、新たな化学構造を持つ薬理活性物質が必要となる。
【0012】
かかる薬理活性物質が、皮膚(角質層)を透過するに必要な物理化学的性質として、水溶性と脂溶性の両方の物性を持つことが要求される。
【0013】
ジクロフェナックエポラミン塩は、このような皮膚吸収を目指して合成された新規な薬理活性化合物であり、従来、経口用製剤(錠剤)に使用されてきたナトリウム塩とは全く異なる物理化学的性質を有する。
【0014】
さらに、ジクロフェナックとエポラミンのイオン対は、臨界ミセル濃度と考えられる1.44%を超えると、界面活性剤のような挙動を示す。
【0015】
このことは、ナトリウム塩ではまったく観測されないもので、このイオン対が、皮膚での透過に有用な役割を果たしていると考えられる。
【0016】
このように、ジクロフェナックナトリウムと、ジクロフェナックエポラミンは、まったく物理化学的性質が異なり、ナトリウム塩で得た技術は、そのままエポラミン塩に適用することができない。
【0017】
ジクロフェナックエポラミンは、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛等の治療の外用剤として用いられ、そのような外用剤として、これらを配合した水性のゲルを展膏した水性の貼付剤が欧州や米国を中心に販売されている。
【0018】
ジクロフェナック関連化合物およびクロタミトンに関する先行技術はいくつか報告されている。
【0019】
例えば、ジクロフェナックナトリウム、クロタミトンおよび2-エチルへプタン酸、ぺラルゴン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸等の炭素数6~18の常温で液状の脂肪酸を溶解補助剤として含有するジクロフェナックナトリウム含有貼付剤(特許文献1参照)。
【0020】
(1)ジクロフェナックナトリウム、(2)ポリカルボン酸ポリアルキルエステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドまたはクロタミトンの中から選ばれた少なくとも1種の油分、(3)常温で液状の脂肪酸、(4)親水性界面活性剤、(5)水を含有するジクロフェナックナトリウム含有O/Wエマルジョンを貼付剤の膏体中に分散させたジクロフェナックナトリウム含有貼付剤(特許文献2参照)。
【0021】
消炎鎮痛薬クロタミトンおよびスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体を含有する薬物放出性および持続性に優れた消炎鎮痛消炎剤(特許文献3参照)。
【0022】
しかしながら、特許文献1、2は、いずれもジクロフェナックナトリウムに関する技術であり、ジクロフェナックエポラミンとは物理化学的物性が異なる。
【0023】
また、特許文献3は、ビフェニル酢酸系の薬物、フェルビナクに関するものであり、これも物性が異なる。
【0024】
ジクロフェナックエポラミンは、前述のごとく、経皮吸収製剤に適した薬剤として知られており(特許文献4参照)、ジクロフェナックエポラミンを含有する水性のゲル剤、パップ剤が開発されている(特許文献5および特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開昭61-280426号公報
【特許文献2】特開平9-291028号公報
【特許文献3】特開平4-321624号公報
【特許文献4】特開昭63-152372号公報
【特許文献5】特開平6-305958号広報
【特許文献6】WO/2011/083787公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
従来のジクロフェナックエポラミンを含む貼付剤は、貼付剤として経皮吸収性が十分ではなく、しかも皮膚に対する粘着性が弱く、包帯等の補助的な支持体を必要とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明者は、ジクロフェナックエポラミンを薬効成分、この薬効成分の溶剤としてクロタミトンを含む非水系貼付剤によって上記問題を解決することを見出した。
【0028】
この非水系貼付剤は、膏体中に薬効成分、ジクロフェナックエポラミン、クロタミトン、流動パラフィンを含み、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して、クロタミトン0.1~1.5質量%を用い、クロタミトンに、ジクロフェナックエポラミン常温溶解もしくは加温溶解し、粘着剤としての合成ゴムやエラストマー等のゴム系粘着剤を基本とする膏体中にすべての成分を均一になるまで混合したものである。
【0029】
また、上記とクロタミトンの溶液に、C4~C18の脂肪酸を同時に溶解させ、ゴム系粘着剤を基本とする膏体中に、すべての成分が均一になるまで混合してもよい。この場合、添加する脂肪酸は、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して0.1~1.2質量%であり好ましくは、0.3~0.6質量%である。
【0030】
さらに、上記ジクロフェナックエポラミンとクロタミトンの溶液に、リンゴ酸や酒石酸等のヒドロキシ酸を同時に溶解させ、ゴム系粘着剤を基本とする膏体中に、すべての成分が均一になるまで混合してもよい。この場合、添加するヒドロキシ酸は、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して、0.1~0.5質量%であり、好ましくは0.1質量%~0.3質量%である。
【0031】
上記ゴム系粘着剤が、ポリイソブチレン、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)から選択される1種または2種以上からなるものでよい。
【0032】
上記非水系貼付剤は、膏体と支持体から構成され、膏体中に水を含まない製剤を意味する。なお、添加物に含まれている水は許容される。
【0033】
膏体は、有効成分を含有し、皮膚に対する粘着性を有する粘着剤層を意味する。また、本発明において規定される成分の他に、一般的な非水系粘着剤の膏体に使用可能な他の成分を含んでもよい。
【0034】
本発明に含む薬効成分は、ジクロフェナックエポラミンである。ジクロフェナックエポラミンは、外用製剤のために開発されたものであり、経口製剤に使用されるジクロフェナックナトリウムとは異なる。
【0035】
このジクロフェナックエポラミンの配合量は、治癒効果と粘着力の観点から、膏体総質量の1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
【0036】
ジクロフェナックエポラミンの溶解剤として使われるクロタミトンは、ジクロフェナックエポラミンを溶解し、膏体中にジクロフェナックエポラミンが安定した状態で(結晶を出さずに)存在せしめる量であればよい。必要以上の量は、膏体より分離し、膏体表面に染み出してくることがあり適切でない。
【0037】
クロタミトンの量は、膏体総質量の1~10質量%が好ましく、2~7質量%が最も良い効果を示す。また、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して0.1~1.5質量%が好ましい。
【0038】
さらに、クロタミトンとともに脂肪酸やヒドロキシ酸を共存させると、さらにジクロフェナックエポラミンの放出、皮膚からの吸収がさらに高まることが見いだした。
【0039】
配合される脂肪酸としては、炭素鎖、C4~C18の飽和または不飽和のカルボン酸であり、例として、イソステアリン酸、オレイン酸そしてカプリル酸等があげられ、これらの脂肪酸を1種あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0040】
これらの脂肪酸の配合量は、膏体総質量の0.1~10質量%でよく、好ましくは0.5~5.0質量%である。また、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して0.1~0.6質量%が好ましい。
【0041】
ヒドロキシ酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸からなる群から選択される1種もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0042】
これらのヒドロキシ酸の配合量は、膏体総質量の0.1~5質量%が好ましく、0.1~2.0質量%がより好ましい。また、ジクロフェナックエポラミン1質量%に対して0.1~0.5質量%が好ましい。
【0043】
流動パラフィンとは、石油の常圧蒸留残油を減圧蒸留して留出した油を精製し、ろう分をろ過分離して得られるナフテン系炭化水素が主成で、沸点は300℃以上で、比重は0.85~0.94で、常温で液状の物質であり、貼付剤の基剤として用いられる。
【0044】
この流動パラフィンは、好ましくは膏体総質量の30~50質量%の範囲内で含有させる。
【0045】
本発明の貼付剤の膏体に使用することができる基剤としは、貼付剤として適度な柔軟性を保つことができる合成ゴムやエラストマー等のゴム系粘着剤を使用することができる。
【0046】
そのようなゴム系粘着剤としては、例えばイソプレンゴム、ポリイソブチレン、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体ゴムが好適である。
【0047】
エラストマーは、膏体総質量の10~50質量%が好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。
【0048】
本発明の貼付剤には粘着付与剤を配合してもよく、粘着付与剤は、貼付剤の粘着力を改善するものであり、ロジン系樹脂、合成石油樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂環族石油樹脂都等があげられる。
【0049】
ゴム系粘着組成物全体に占める粘着付与剤の割合は、10~40質量%が好ましい。
【0050】
そのほか、製剤の劣化防止を目的とする添加剤として、ジブチルヒドロキシルトルエン
(BHT)、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール等の酸化防止剤、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、t-ブチルメトキシジベンゾイ等の添加剤を使用してもよい。
【0051】
また、粉砕したゴム基剤の分散保護剤として、軽質無水ケイ酸を添加することもできる。
【0052】
本発明の貼付剤の支持体としては、一般的に使用可能な不織布、布、編布およびフィルムの単体またはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0053】
本発明の貼付剤には、膏体面を覆う剥離フィルムを設けてもよく、通常適温に離形処理
されたフィルムを用いる。また、フィルムの材質は、特に限定されないが、支持体や剥離フィルムへの薬剤の吸着が問題となる場合にはポリエステルを用いる。
【発明の効果】
【0054】
本発明の非水系貼付剤は、薬用成分であるジクロフェナックエポラミンの皮膚での吸収性に優れたものとなる。
【0055】
また、皮膚への接着性に優れ、補助的な支持体を必要としない。
【実施例0056】
本発明の実施例を表1に示し、それらを以下に具体的に説明する。なお、本発明は当該記述の実施例に限定して解釈されるものではない。
【0057】
(実施例1および実施例7)
表1に記載した配合で、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン、テルペン樹脂、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、軽質無水ケイ酸をミキサー入れ、ヘキサンを入れ、その後、クロタミトンに加温溶解したジクロフェナックエポラミンを投入し、均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定重量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせ、約14cm×約10cmの長方形に裁断した。
【0058】
(実施例2および実施例8)
表1に記載した配合で、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン、水添ロジンエステル、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、軽質無水ケイ酸をミキサーに入れ、ヘキサンを入れ、その後、クロタミトンに加温溶解したジクロフェナックエポラミンを投入し、均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせ、約14cm×約10cmの長方形に裁断した。
【0059】
(実施例3および実施例9)
表1に記載した配合で、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン、アルコン、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、軽質無水ケイ酸をミキサー入れ、ヘキサンを入れ、その後、クロタミトンに加温溶解したジクロフェナックエポラミンを投入し、均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定重量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせ、約14cm×約10cmの長方形に裁断した。
【0060】
(実施例4および実施例10)
表1に記載した配合で、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン、水添ロジンエステル、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、軽質無水ケイ酸をミキサーに入れ、ヘキサンを入れ、その後クロタミトンに加熱溶解したジクロフェナックエポラミンを投入し、均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせ、約14cm×約10cmの長方形に裁断した。
【0061】
(実施例5および実施例11)
表1に記載した配合で、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン、水添ロジンエステル、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、軽質無水ケイ酸をミキサーに入れ、ヘキサンを入れ、その後、クロタミトンと加熱溶解したジクロフェナックエポラミンとクエン酸を上記ミキサーに投入し、均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせ、約14cm×約10cmの長方形に裁断した。
【0062】
(実施例6および実施例12)
表1に記載した配合で、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン、水添ロジンエステル、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、軽質無水ケイ酸をミキサーに入れ、ヘキサンを入れ、その後、クロタミトンと加熱溶解したジクロフェナックエポラミンとオレイン酸を上記ミキサーに投入し、均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定重量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせ、約14cm×約10cmの長方形に裁断した。
【0063】
【0064】
(比較例1)
上記実施例2においてクロタミトンに代えてイソステアリン酸を用いた。
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソプチレン、水添ロジンエステル、流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、軽質無水ケイ酸、クエン酸をミキサーに入れ、ヘキサンを入れ、その後、イソステアリン酸に加温溶解したジクロフェナックエポラミンを上記ミキサーに入れ均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定重量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせ、約14cm×約10約cmの長方形に裁断した。
【0065】
(比較例2)
上記実施例3において、クロタミトンに代えてイソステアリン酸を用いた。
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソプチレン、アルコン流動パラフィン、ジブチルヒドロキシトルエン、オレイン酸をミキサーに入れ、ヘキサンを入れ、加熱しながら混練する。
一方、ジクロフェナックエポラミンを、イソステアリン酸に加熱溶解さえ、この溶液を上記ミキサーに投入し、均一になるまで混合して膏体液を調製した(溶剤法)。
膏体液をシリコン処理したポリエステル製のフィルムに一定重量展膏したのち、ポリエステルからなる編み布を張り合わせたのち、約14cm×約10cmの長方形に裁断した。
【0066】
以上の実施例および比較例につてのジクロフェナックエポラミンの皮膚内移行性の評価を表3に示す。
【0067】
各実施例および比較例の製剤からのジクロフェナックエポラミン放出とその後の皮膚吸収を次のような方法で直接評価した。
【0068】
表1の処方に従って製造された製剤を3cm×3cmの大きさに裁断し、健常成人男子6名の背部に貼付した。
【0069】
12と18時間後に製剤を剥離し、製剤の残存するジクロフェナックエポラミンを抽出して測定した。
【0070】
測定においては、製剤を剥離後貼付した部位をメタノールを含侵させた脱脂綿でふき取り、この脱脂綿も同時に抽出測定した。
【0071】
製剤中の初期のジクロフェナックエポラミン含量から、上記残存量を減じて薬物の皮膚移行量(見かけの皮膚からの吸収量)とした。
【0072】
これらの見かけの皮膚からの吸収量は、薬物の製剤からの放出とも相関関係があると知られている。
【0073】
これらの結果は、表3に次の計算式の基づき示される。
見かけの吸収量(%)=貼付後12あるいは18時間での製剤中の薬物残存量
/
初期製剤中の薬物量×100
結果で示されるように、本発明におけるジクロフェナックエポラミンとクロタミトンの組み合わせは、ジクロフェナックエポラミンの皮膚吸収に優れていることがわかり、発明の完成に至った。
【0074】
さらに、クロタミトンとともに脂肪酸やヒドロキシ酸を共存させると、さらにジクロフェナックエポラミンの放出、皮膚からの吸収が高まることが見いだされた。