(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092110
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】流体制御装置、気化システム、及びピエゾアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20230626BHJP
C23C 16/448 20060101ALN20230626BHJP
F16K 31/02 20060101ALN20230626BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
C23C16/448
F16K31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207113
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(71)【出願人】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】井上 崇行
(72)【発明者】
【氏名】池沢 紀研
(72)【発明者】
【氏名】田口 明広
(72)【発明者】
【氏名】池山 俊広
(72)【発明者】
【氏名】一ノ宮 剛
(72)【発明者】
【氏名】中村 彰宏
【テーマコード(参考)】
3H062
4K030
5H307
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062CC07
4K030EA01
4K030KA39
4K030KA41
5H307DD02
5H307EE01
5H307FF02
5H307FF12
(57)【要約】
【課題】ピエゾ素子のクラック発生を防止するとともに、制御基板への熱影響を低減する。
【解決手段】ピエゾアクチュエータ32で駆動する流体制御バルブ3と、流体の圧力又は流量を測定する流体センサ4と、流体センサ4で測定される測定値に基づいて、流体制御バルブ3を制御する制御基板5と、制御基板5とは異なる部材に設けられた放電用抵抗7とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピエゾアクチュエータで駆動する流体制御バルブと、
流体の圧力又は流量を測定する流体センサと、
前記流体センサで測定される測定値に基づいて、前記流体制御バルブを制御する制御基板と、
前記制御基板とは異なる部品に設けられた放電用抵抗とを備える、流体制御装置。
【請求項2】
前記放電用抵抗は、前記ピエゾアクチュエータに対して並列に接続されている、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記流体制御バルブ及び前記流体センサを有する本体ユニットと、前記制御基板とが分離して構成されており、
前記本体ユニットに前記放電用抵抗が設けられている、請求項1又は2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記放電用抵抗は、前記ピエゾアクチュエータのピエゾスタックを収容したケースから延び出る電源用端子部に設けられている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記放電用抵抗は、絶縁材料からなる基板上に抵抗膜を形成して構成されており、
前記基板には、前記電源用端子部に装着されるスルーホールが形成されている、請求項4に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記放電用抵抗は、前記ピエゾアクチュエータのピエゾスタックを収容したケース内に設けられている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記本体ユニットは、前記制御基板に接続される接続ケーブル又は接続コネクタを有しており、
前記放電用抵抗は、前記接続ケーブル又は前記接続コネクタに設けられている、請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記本体ユニットは、前記流体センサからの信号を処理する内部基板を有しており、
前記放電用抵抗は、前記内部基板に設けられている、請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項9】
液体材料を気化する気化部と、
前記気化部により気化されたガスの流量を制御する流体制御装置とを具備し、
前記流体制御装置が、請求項1乃至8の何れか一項に記載のものである、気化システム。
【請求項10】
流体制御バルブと、流体の圧力又は流量を測定する流体センサと、前記流体センサで測定される測定値に基づいて、前記流体制御バルブを制御する制御基板と、前記制御基板とは異なる部品に設けられる放電用抵抗とを備える流体制御装置における、前記流体制御バルブの駆動に用いられるピエゾアクチュエータであって、
前記放電用抵抗が、前記ピエゾアクチュエータのピエゾスタックを収容したケースから延び出る電源用端子部に並列に接続されている、ピエゾアクチュエータ。
【請求項11】
前記放電用抵抗は、絶縁材料からなる基板上に抵抗膜を形成して構成されており、
前記基板には、前記電源用端子部に装着されるスルーホールが形成されている、請求項10に記載のピエゾアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御装置、当該流体制御装置を用いた気化システム、及びそれらに用いられるピエゾアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の流体制御装置としては、特許文献1に示すように、流体制御バルブとしてはピエゾアクチュエータを用いたものが考えられている。
【0003】
このピエゾアクチュエータは、ピエゾ素子が多数積層されたピエゾスタックを有しており、ピエゾ素子にクラックが生じると、ピエゾ素子間で短絡が生じて故障してしまう。
【0004】
このクラックの原因としては、外力による衝撃の他、ピエゾ素子への急激な充放電による要因もある。このため、急激な充放電が行われないように、制御基板に放電用抵抗を搭載し、当該放電用抵抗をピエゾアクチュエータのプラス端子及びマイナス端子に並列に接続して対策している。
【0005】
なお、充放電の要因としては、制御基板からの電圧印加及び放電の他に、温度変化による焦電効果や外力による圧電効果が挙げられる。
【0006】
しかしながら、制御基板内に放電用抵抗を設けてしまうと、放電用抵抗による抵抗発熱が、制御基板に搭載されたその他の素子に悪影響を与えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2020/066491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上述したような問題に鑑みてなされたものであり、ピエゾ素子のクラック発生を防止するとともに、制御基板への熱影響を低減することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る流体制御装置は、ピエゾアクチュエータで駆動する流体制御バルブと、流体の圧力又は流量を測定する流体センサと、前記流体センサで測定される測定値に基づいて、前記流体制御バルブを制御する制御基板と、前記制御基板とは異なる部品に設けられた放電用抵抗とを備えることを特徴とする。
【0010】
このような流体制御装置であれば、温度変化による焦電効果や外力による圧電効果によりピエゾ素子に充電が行われても、その都度、放電用抵抗により放電させることができるので、ピエゾ素子のクラック発生を防止することができる。また、放電用抵抗を制御基板とは異なる部品に設けているので、放電用抵抗の抵抗発熱による制御基板への熱影響を低減することができる。
【0011】
ピエゾアクチュエータの放電を行うための簡単な接続態様としては、前記放電用抵抗は、前記ピエゾアクチュエータに対して並列に接続されていることが望ましい。
【0012】
流体制御装置を高温環境下で使用する場合には、制御基板の耐熱性の問題が出てくる。このため、流体制御装置を高温環境下でも使用できるようにするためには、前記流体制御バルブ及び前記流体センサを有する本体ユニットと、前記制御基板とが分離して構成されており、前記本体ユニットに前記放電用抵抗が設けられていることが望ましい。
【0013】
前記放電用抵抗は、前記ピエゾアクチュエータのピエゾスタックを収容したケースから延び出る電源用端子部に設けられていることが望ましい。
この構成であれば、放電用抵抗の導通不良が生じた場合に、外観検査が容易となる。また、放電用抵抗を組み込む作業も容易となる。
【0014】
具体的に前記放電用抵抗は、例えばセラミック等の絶縁材料からなる基板上に抵抗膜を形成したものであり、前記基板には、前記電源用端子部に装着されるスルーホールが形成されていることが望ましい。
この構成であれば、スルーホールを介して電源用端子部に対して確実に導電接続を行うことができる。また、ピエゾアクチュエータのピエゾスタックと抵抗膜の間に隙間や基板が介在することになり、抵抗発熱がピエゾスタックへ与える影響を軽減することができる。
【0015】
前記放電用抵抗は、前記ピエゾアクチュエータのピエゾスタックを収容したケース内に設けられていることが望ましい。
この構成であれば、ピエゾアクチュエータの内部に放電用抵抗を設けているので、流体制御装置の組み立てを従来と同じにすることができる。
【0016】
前記本体ユニットは、前記制御基板に接続される接続ケーブル又は接続コネクタを有しており、前記放電用抵抗は、前記接続ケーブル又は前記接続コネクタに設けられていることが望ましい。
この構成であれば、放電用抵抗の導通不良が生じた場合に、外観検査が容易となる。また、ピエゾスタックから十分に離すことができるので、抵抗発熱がピエゾスタックへ与える影響を軽減することができる。さらに、放電用抵抗を高温環境下から離すことができ、耐熱性を有する高価な放電用抵抗を用いる必要がない。
【0017】
前記本体ユニットは、前記流体センサからの信号を処理する内部基板を有しており、前記放電用抵抗は、前記内部基板に設けられていることが望ましい。
この構成であれば、本体ユニットの内部に放電用抵抗を設けることができる。また、放電用抵抗を内部基板に設けることで、組み立てが容易となる。さらに、放電用抵抗の導通不良が生じた場合に、外観検査が容易である。
【0018】
また、本発明に係る気化システムは、液体材料を気化する気化部と、前記気化部により気化されたガスの流量を制御する上述した流体制御装置とを具備することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明に係るピエゾアクチュエータは、流体制御バルブと、流体の圧力又は流量を測定する流体センサと、前記流体センサで測定される測定値に基づいて、前記流体制御バルブを制御する制御基板と、前記制御基板とは異なる部品に設けられる放電用抵抗とを備える流体制御装置における、前記流体制御バルブの駆動に用いられるピエゾアクチュエータであって、前記放電用抵抗が、前記ピエゾアクチュエータのピエゾスタックを収容したケースから延び出る電源用端子部に並列に接続されていることが望ましい。
【0020】
前記放電用抵抗の具体的な実施の態様としては、前記放電用抵抗は、絶縁材料からなる基板上に抵抗膜を形成して構成されていることが考えられる。この構成において、前記基板には、前記電源用端子部に装着されるスルーホールが形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上に述べた本発明によれば、ピエゾ素子のクラック発生を防止するとともに、制御基板への熱影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る流体制御装置の構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態の放電用抵抗の設置例1を示す模式図である。
【
図4】同実施形態の放電用抵抗の設置例2を示す模式図である。
【
図5】同実施形態の放電用抵抗の設置例3を示す模式図である。
【
図6】同実施形態の放電用抵抗の設置例4を示す模式図である。
【
図7】本発明の流体制御装置を組み込んだ気化システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0024】
<第1実施形態>
まず、本発明に係る流体制御装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
<装置構成>
本実施形態の流体制御装置100は、いわゆるマスフローコントローラであって、例えば半導体製造プロセスを行うチャンバに供給されるガスの流量を制御するために用いられるものである。なお、流体制御装置100はガスだけでなく、液体を制御するものであってもよい。
【0026】
具体的に流体制御装置100は、
図1に示すように、内部に流路Rが形成されたボディ2と、流路Rの流体を制御するための流体制御バルブ3と、流路Rの流量を測定する流量センサ4と、流量センサ4で測定される測定値に基づいて、流体制御バルブ3を制御する制御基板5とを備えている。
【0027】
本実施形態の流体制御バルブ3及び流量センサ4は、
図1に示すように、ボディ2の一面(例えば上面)に取り付けられ、ボディ2の一面に取り付けられるカバー6内に収容されている。これにより、流体制御バルブ3及び流量センサ4は本体ユニット10としてパッケージ化されている。また、制御基板5を有する制御ユニット20は、本体ユニット10とは分離して設けられており、本体ユニット10の各部を制御するための接続ケーブルKで接続されている。なお、接続ケーブルKは、少なくとも制御ユニット20に対して着脱可能に接続される。
【0028】
この構成において、流体制御装置100を高温環境下で使用する場合には、本体ユニット10を高温環境下で使用するとともに、制御ユニット20を高温環境下から離して別置きにする。これにより、制御基板5の耐熱性の問題を解決することができる。また、この流体制御装置100は、輸送時及び据付時には、本体ユニット10と制御ユニット20とに分けて梱包及び設置される。
【0029】
流体制御バルブ3は、いわゆるピエゾバルブであり、印加される電圧によってその開度が制御される。具体的に流体制御バルブ3は、ボディ2の上面に形成された凹部内に収容される弁座31a及び弁体31bからなる弁機構31と、弁座31aに対する弁体31bの位置を変更する駆動力を発揮するピエゾアクチュエータ32と、弁機構31とピエゾアクチュエータ32との間を接続するプランジャ33を備えている。なお、本実施形態の流体制御バルブ3は、ノーマルオープンのものであるが、ノーマルクローズのものであっても良い。また、弁機構31の構成も上記に限られず、ボディ2の上面に形成された凹部内に弁座31a又は弁体31bを収容する構成でも良いし、ボディ2の上面に弁座が形成された構成でも良い。
【0030】
ピエゾアクチュエータ32は、通電により板厚方向に伸張する板状のピエゾ素子を多数積層して構成されたピエゾスタック32aと、当該ピエゾスタック32aを収容するケース32bとを有している。各ピエゾ素子は、板状の圧電セラミック体と、当該圧電セラミックス体の両面に設けられた電極体とから構成される。このピエゾアクチュエータ32は、図示しない駆動回路により電圧駆動される。なお、駆動回路は、制御基板5から出力される指令電圧に応じた電圧を出力するものである。
【0031】
流量センサ4は、熱式のものであり、流路Rに設けられた分流素子(抵抗素子)41と、分流素子41の上流側から分岐し、当該分流素子41の下流側に合流する細管42と、細管42に巻回され、それぞれ一定温度に保たれるように電圧が印加される2つの電熱コイル43と、各電熱コイル43に印加される電圧差を検出する検出回路44とを有している。この流量センサ4は、流路Rにおいて、流体制御バルブ3の上流側又は下流側に設けられる。なお、流量センサ4は、熱式の他に、例えば圧力式であっても良い。
【0032】
制御基板5は、流量センサ4で測定される測定流量に基づいて、流体制御バルブ3を制御するものである。この制御基板5は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、各種入出力手段を備えたコンピュータであり、メモリに格納されている流体制御プログラムが実行され、CPU及び周辺機器が協働することによって、流量算出部51及びバルブ制御部52等としての機能を発揮する。
【0033】
流量算出部51は、流量センサ4の検出回路44の出力に基づいて、流路Rを流れるガスの流量を算出するものである。
【0034】
バルブ制御部52は、外部から入力される指令流量と、流量センサ4で測定される測定流量とに基づいて流体制御バルブ3の開度を制御する。具体的にバルブ制御部52は、指令流量と測定流量の偏差が小さくなるように流体制御バルブ3の開度を制御する。本実施形態のバルブ制御部52は、指令流量と測定流量の偏差に対してPID演算を行い、その結果に応じた指令電圧をピエゾアクチュエータ32の駆動回路に対して出力する。駆動回路は入力された指令電圧に対応する電圧をピエゾスタック32aに対して印加する。
【0035】
<放電用抵抗7の構成>
上記の流体制御装置100は、上述したように、輸送時及び据付時に、本体ユニット10と制御ユニット20とに分けて梱包及び設置される。特に輸送時は温度変化が大きく、焦電効果によりピエゾスタック32aに充電が行われる。また、輸送時の振動による圧電効果によりピエゾスタック32aに充電が行われる。その後に、例えば据え付けする際にピエゾスタック32aがショートする等により、急激な放電が生じてピエゾスタック32aのピエゾ素子にクラックが生じる可能性がある。
【0036】
このため、本実施形態の流体制御装置100は、
図2~
図6に示すように、制御基板5とは異なる部品に設けられた放電用抵抗7をさらに備えている。この放電用抵抗7は、本体ユニット10に設けられており、ピエゾアクチュエータ32に対して並列に接続されている。
【0037】
このように放電用抵抗7を設けているので、温度変化による焦電効果や外力による圧電効果によりピエゾスタック32aに充電が行われても、放電用抵抗7により放電させることができる。その結果、ピエゾスタック32aのピエゾ素子のクラック発生を防止することができる。また、放電用抵抗7を制御基板5とは異なる部品に設けているので、放電用抵抗7の抵抗発熱による制御基板5への熱影響を低減することができる。
【0038】
以下、放電用抵抗7の具体的な構成について説明する。
【0039】
図2(a)に示す構成では、放電用抵抗7は、ピエゾアクチュエータ32のピエゾスタック32aを収容したケース32bから延び出る電源用端子部32cに設けられている。この電源用端子部32cは、いわゆるハーメチック端子であり、ケース32bの上面から延び出ており、プラス端子32c1及びマイナス端子32c2からなる。そして、放電用抵抗7は、このプラス端子32c1及びマイナス端子32c2に接続されている。
【0040】
具体的に放電用抵抗7は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、例えばセラミック等の絶縁材料からなる基板71上に抵抗膜72を形成して構成されたものである。基板71は、
図2(b)に示すように、平面視において概略矩形状をなすものであり、この基板71には、電源用端子部32cに装着されるスルーホール71hが形成されている。スルーホール71hは、基板71の互いに対向する辺に形成された半円形状をなすものである。このように構成された放電用抵抗7は、プラス端子32c1及びマイナス端子32c2の間に配置されるとともに、2つのスルーホール71hそれぞれにプラス端子32c1及びマイナス端子32c2が嵌るように構成されている。そして、この放電用抵抗7は、スルーホール71hにおいてプラス端子32c1及びマイナス端子32c2と半田付けされる。
【0041】
ここで、放電用抵抗7の基板71に形成される抵抗膜72は、ピエゾアクチュエータ32の絶縁抵抗に応じて、その抵抗値を種々変更可能である。例えば、抵抗膜72の抵抗値としては、1MΩ、10MΩ、100MΩとすることができる。これらは抵抗膜72の印刷パターンを変更することによって設定することができる。なお、汎用性の観点から、抵抗膜72の抵抗値の違いに関わらず、基板71(スルーホール71hを含む)の形状は同じである。
【0042】
その他、放電用抵抗7は、基板71に抵抗膜72を形成する構成の他に、基板71に抵抗器を搭載したものであっても良いし、
図3に示すように、基板71を有さずに、プラス端子32c1及びマイナス端子32c2に抵抗器を接続したものであっても良い。
【0043】
図2の構成であれば、スルーホール71hを介して確実に導電接続を行うことができる。また、
図2及び
図3の構成であれば、放電用抵抗7の導通不良が生じた場合に、外観検査が容易となる。また、ピエゾアクチュエータ32(ピエゾスタック32a)と抵抗膜62の間に隙間や基板71が介在することになり、抵抗発熱がピエゾスタック32aへ与える影響を軽減することができる。
【0044】
図4に示す構成では、放電用抵抗7は、ピエゾアクチュエータ32のピエゾスタック32aを収容したケース32b内に設けられている。具体的に放電用抵抗7は、ケース32b内に延びる電源用端子部32cのプラス端子32c1及びマイナス端子32c2に接続されている。その他、放電用抵抗7は、ケース32bの内部であれば、電源用端子部32cに接続された内部配線に接続しても良い。
【0045】
図4の構成であれば、ピエゾアクチュエータ32の内部に放電用抵抗7を設けているので、流体制御装置100の組み立てを従来と同じにすることができる。
【0046】
図5に示す構成では、放電用抵抗7は、本体ユニット10の接続ケーブルK又は接続コネクタCに設けられている。接続ケーブルK又は接続コネクタCに放電用抵抗7を設ける場合には、接続ケーブルK又は接続コネクタCにおいて、ピエゾアクチュエータ32の電源用端子部32cに接続される電源線K1に放電用抵抗7を接続する。
図5(a)は、接続ケーブルKにおける電源線K1に放電用抵抗7を接続した例であり、
図5(b)は、接続コネクタCにおける電源線K1に放電用抵抗7を接続した例である。
【0047】
図5の構成であれば、放電用抵抗7を電源線K1に接続する構成であり、組み立てが容易となる。また、放電用抵抗7の導通不良が生じた場合に、外観検査が容易である。また、ピエゾスタック32aから十分に離すことができるので、抵抗発熱がピエゾスタック32aへ与える影響を軽減することができる。さらに、放電用抵抗7を高温環境下から離すことができ、耐熱性を有する高価な放電用抵抗7を用いる必要がない。
【0048】
図6に示す構成では、放電用抵抗7を本体ユニット10に設けられた中継基板8に設けられている。この中継基板8は、流量センサ4からの信号を処理する内部基板であり、接続ケーブルKにおける電源線K1を中継するものである。中継基板8は、電源線K1が接続される接続ピン81を有しており、当該接続ピン81に放電用抵抗7を接続する。
【0049】
図6の構成であれば、本体ユニット10の内部に放電用抵抗7を設けることができる。また、放電用抵抗7を中継基板8に接続する構成であり、組み立てが容易となる。また、放電用抵抗7の導通不良が生じた場合に、外観検査が容易である。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る流体制御装置を組み込んだ気化システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0051】
本実施形態の気化システム1000は、例えば半導体製造ライン等に組み込まれて半導体製造プロセスを行うチャンバに所定流量のガスを供給するためのものであり、
図7に示すように、液体材料を気化する気化部200と、気化部200により気化されたガスの流量を制御する流体制御装置100と、気化部200及び流体制御装置100の動作を制御する制御装置400とを具備している。なお、流体制御装置100の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0052】
本実施形態では気化部200及び流体制御装置100が共通の筐体500に収容されることにより、気化ユニット600としてユニット化されており、当該気化ユニット600とは分離して制御装置400が設けられている。なお、気化ユニット600及び制御装置400とは、気化ユニット600の各部を制御するための接続ケーブルKで接続されている。
【0053】
気化部200は、液体材料を例えばベーキング方式により気化する気化器201と、気化器201への液体材料の供給量を制御する供給量制御機器202と、気化器201に供給される液体材料を所定の温度に予熱する予熱器203とを備えている。
【0054】
これらの気化器201、供給量制御機器202及び予熱器203は、内部に流路Rが形成されたボディブロックBの一面に設定された機器取付面Bxに取り付けられている。ここでボディブロックBは、例えばステンレス鋼等の金属製であり、長手方向を有する概略直方体形状をなすものである。このボディブロックBは、液体材料導入ポートP1が下側に位置し、気化ガス導出ポートP2が上側に位置するように、その長手方向が上下方向(鉛直方向)を向くように半導体製造ライン等に設置される。
【0055】
気化器201は、内部に液体材料を貯留する気化タンクである貯留容器201aと、当該貯留容器201aに設けられて液体材料を気化させるための気化ヒータ201bとを有する。貯留容器201aには、貯留された液体材料の貯留量を検知するための液面センサ201cが設けられている。
【0056】
供給量制御機器202は、気化器201への液体材料の供給流量を制御する制御弁であり、本実施形態では、電磁開閉弁である。具体的には、電磁開閉弁202の図示しない弁体が、ボディブロックBに形成された内部流路の開口を開放又は閉塞して、液体材料を気化器201へ供給する又はその供給を停止するように構成されている。
【0057】
予熱器203は、内部に液体材料が流れる流路が形成された予熱ブロック203aと、当該予熱ブロック203aに設けられて液体材料を予熱するための予熱ヒータ203bとを有する。この予熱器23によって、液体材料は気化直前の温度(沸点未満)まで加熱される。
【0058】
以上のように構成した気化部200により、液体材料導入ポートP1から導入された液体材料は、予熱器203の予熱ブロック203aの流路を流れることにより、所定温度まで予熱される。この予熱器203により予熱された液体材料は、供給量制御機器である電磁開閉弁202を制御することにより、気化器201に導入される。そして、気化器201では液体材料が常時貯留された状態となり、当該液体材料が気化されてその気化ガスが連続的に生成されて、流体制御装置100に連続的に導出される。
【0059】
流体制御装置100は、気化部200と同様にボディブロックBの一面に設定された機器取付面Bxに取り付けられている。具体的に流体制御装置100は、ボディブロックBにおいて気化部200よりも下流側に設けられている。この流体制御装置100の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0060】
制御装置400は、気化システム1000による液体材料の気化動作を制御するものである。具体的に制御装置400は、上述した電磁開閉弁22を制御することにより、気化運転時において、液体材料を気化器21に供給するように構成されている。また、制御装置400は、流量センサ4で測定される測定流量に基づいて、流体制御バルブ3を制御するように構成されている。この制御装置400は、前記第1実施形態の制御基板5を有している。
【0061】
この気化システム1000において、流体制御装置100に設けられる放電用抵抗7の構成も前記第1実施形態と同様である。
【0062】
具体的には、放電用抵抗7をピエゾアクチュエータ32の電源用端子部32cに設ける構成は、
図2又は
図3と同じであり、放電用抵抗7をピエゾアクチュエータ32のケース32bの内部に設ける構成は、
図4と同じである。
【0063】
また、
図5では、本体ユニット10が気化ユニット600に置き換わり、放電用抵抗7を気化ユニット600の接続ケーブルK又は接続コネクタCに設けた構成となる。さらに、
図6では、気化ユニット600に設けられた中継基板8に放電用抵抗7を設けた構成となる。
【0064】
<その他の実施形態>
例えば、前記各実施形態では、流体センサとして、流体の流量を測定する流量センサであったが、流体の圧力を測定する圧力センサであっても良い。
【0065】
また、放電用抵抗7は、ピエゾアクチュエータ32(ピエゾスタック32a)に並列に接続する構成のほか、制御電源に接続しているとき、又は、ピエゾスタックの信号線がショートした際に、ピエゾスタック32aの充電を放電できるように直列に接続しても良い。
【0066】
さらに、前記実施形態では、流体制御装置100が本体ユニット10と制御基板5とが分離した構成であったが、本体ユニット10と制御基板5とが分離していなくても良い。具体的には、制御基板5もカバー6に収容してパッケージ化したものであっても良い。
【0067】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0068】
100・・・流体制御装置
10・・・本体ユニット
3・・・流体制御バルブ
32・・・ピエゾアクチュエータ
32a・・・ピエゾスタック
32b・・・ケース
32c・・・電源用端子部
4・・・流体センサ(流量センサ)
5・・・制御基板
7・・・放電用抵抗
71・・・基板
71h・・・スルーホール
72・・・抵抗膜
8・・・内部基板(中継基板)
K・・・接続ケーブル
C・・・接続コネクタ
1000・・・気化システム
200・・・気化部