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特開2023-92177天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置
<図1>
  • 特開-天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092177
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20230626BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20230626BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230626BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230626BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
F21S8/06 100
F21S2/00 600
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207230
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】311003802
【氏名又は名称】セキシン電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】東野 真
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AB06
2B022DA08
(57)【要約】
【課題】
屋内または半屋外において天然芝を育成でき、同時に照明または大画面画像表示装置とし機能する装置の提供
【解決手段】
天然芝が床面に植生された屋内または半屋外に設置される天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置または天然芝育成兼用照明器具であって、当該装置は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー表示を可能とするディスプレイ面または照明面を備え、前記ディスプレイ面または照明面と前記床面との距離を変化自在に設定可能であり、ディスプレイ面または照明面を天井近傍に設置させる第1の設置状態と、床面近傍に設置させる第2の設置状態を有し、ディスプレイ面または照明面は、第1の設置状態でディスプレイまたは照明として機能し、第2の設置状態で、赤色光の波長を650nm~670nmとし、青色光の波長を460nm~480nmとする照明光を照射することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然芝が床面に植生された建物の屋内または半屋外に設置される天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置であって、
前記天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置は、
赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー表示を可能とするディスプレイ面を備えた表示手段と、
前記ディスプレイ面と前記床面との距離を変化自在に設定可能な昇降手段とを有し、
前記昇降手段は、少なくとも、
前記ディスプレイ面を天井近傍に設置させる第1の設置状態と、
前記ディスプレイ面を床面近傍に設置させる第2の設置状態を有し、
前記昇降手段の第1の設置状態において、前記表示手段は青空と雲や山々等の景色を放映し、
前記昇降手段の前記第2の設置状態において、前記表示手段は前記発光素子の赤色光の波長を650nm~670nmとし、青色光の波長を460nm~480nmとする照明光を照射する
ことを特徴とする、天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置。
【請求項2】
天然芝が床面に植生された建物の屋内または半屋外に設置される、照明手段と、昇降手段とを備えた天然芝育成兼用照明器具であって、
前記照明手段は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー照明を可能とする照明面を備え、
前記天然芝育成兼用照明器具は、建物の屋内または半屋外を照明するための第1の機能と、天然芝を育成するための第2の機能とを備え、
前記第1の機能において、前記照明手段は任意の色の照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を天井近傍に設置させる第1の状態とし、
前記第2の機能において、前記発光素子の赤色光の波長が650nm~670nmに設定され、青色光の波長が460nm~480nmに設定された照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を床面近傍に設置させる第2の状態とする
ことを特徴とする、天然芝育成兼用照明器具。
【請求項3】
前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチの制御装置を含み、
前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意の長さに設定可能である
ことを特徴とする、請求項1に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置または請求項2に記載の天然芝育成兼用照明器具。
【請求項4】
前記ディスプレイ面が、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置。
【請求項5】
前記照明面は、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の天然芝育成兼用照明器具。
【請求項6】
前記ディスプレイ面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離に固定されていることを特徴とする請求項1、3または4のいずれか1項に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置。
【請求項7】
前記照明面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離に固定されていることを特徴とする請求項2、3または5のいずれか1項に記載の天然芝育成兼用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置および天然芝育成兼用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内または半屋外で天然芝を育成したいという要請がある。
【0003】
この要請はゴルフ練習場に向けられている。ゴルフにおいては、ボールの転がり方が芝の状態に左右されることは良く知られている。ゴルフ練習場において練習者がゴルフの練習をする場合、練習者の打ったボールは、実際のゴルフ場と同じボールの転がり方をすることが望ましい。よって、ゴルフ練習場は実際のゴルフ場と同じように天然の芝が植えられていることが理想である。
もし、屋内または半屋外においても天然芝が育成できるとすれば、天候に左右されず、実際のゴルフ場と同等な条件でゴルフの練習が可能になる。
【0004】
前述の要請は大規模ショッピングセンターにも向けられている。大規模ショッピングセンターでは休憩スペースに天然芝の広場を作ることが考えられる。これが実現すると、客が芝生に腰を下ろして休憩や飲食ができるようになる。広場に植えられた芝が人工芝の場合には、子どもが芝の破片を誤って口に入れると、それが元で消化器系にトラブルを起こす虞があるが、天然芝であれば子どもが芝の破片を口にしたとしても天然素材であるために大きなトラブルを招く虞は少ない。それ故に、大規模ショッピングセンターの休憩スペースに天然芝の広場を作りたいという要請がある。
【0005】
前述の要請にもかかわらず、屋内または半屋外に天然芝を整備することは以下の理由により難しい。(イ)屋内または半屋外では芝の育成に必要な光量が確保できない、(ロ)もし、屋内または半屋外において天然芝の育成に充分な光量の光を日光以外の手段で確保することができたとしても、天然芝は大きな面積に亘って植えられているため、大面積の隅々までを太陽光に値する光量(典型的には0.1~1.0kW/m)で照射できる光源を天井に設置しようとすれば、そのような大光量を照射する照明設備への設備投資は膨大なものとなり、発生する熱量も膨大となり、必要な消費電力も商業的には許容できない程度になる、(ハ)平面状の光源を天然芝に近接させて、天然芝の育成に必要な波長に光源の波長を限定することによって、照射光が効率的に天然芝育成に利用されるようにすれば、天然芝育成に必要な電力は現実的な値になるが、天然芝の植生された大きな面積を、一日のある一定の時間平面状の光源を近接させて覆い天然芝を育成し、且つ商業施設の稼動時には光源を完全に撤去して光源を倉庫に収納するとともに芝生面を露出させて施設の営業を続けられるようにすることは、大きな労力を必要とし現実的ではない。そもそも大きな光源を撤去して収納する倉庫は、天然芝の大きな面積と同じだけの面積を必要とする。そのような倉庫を屋内または半屋外に確保することはできない。
【0006】
特許文献1には、サッカー場、野球場、ゴルフ場、大型陸上競技場などの競技場で使用される競技場用天然芝育成兼用照明装置及び天然芝育成照明装置付き競技場ディスプレイ装置であって、通常は照明器具やディスプレイ装置として競技場で使用でき、且つ競技により損傷した天然芝を通常の天然自然修復速度よりも早く傷みを改善修復できる競技場用天然芝育成兼用照明装置及び天然芝育成照明装置付き競技場ディスプレイ装置が開示されている。
特許文献1にかかる発明では、芝の修復を行う場合平面状の光源を天然芝に近接させること、第2に天然芝の生育に必要な波長に光源の波長を限定することによって、光源からの照射光が効率的に天然芝の修復に利用される。
一方芝の修復を行わない通常時には、照明装置やディスプレイ装置として競技場で当該光源が起立状態で使用されることで、当該光源は倉庫に収納される必要が無い。したがって光源装置の運用に大きな労力が必要とされない。
しかしながら、特許文献1にかかる発明は、部分的に損傷した天然芝の修復を目的としたものであって、大面積に植生された天然芝の育成を可能にするものではないので、大面積を有する光源を完全に撤去する方法を示したものではない。前述の問題点(ハ)に対する解決策を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5017478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、施設の屋内または半屋外において非営業時間に天然芝の植生された大きな面積を平面状の光源を近接させて覆うことにより必要最小限の電力で天然芝を育成でき、施設の営業時間には簡単に近接位置から撤去されて天然芝の商業的な利用を可能ならしめると同時に照明として屋内または半屋外を照明する、または大画面画像表示装置として屋内または半屋外の人々に情報やイメージの伝達をすることができる装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内または半屋外に設置される天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置であって、前記天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー表示を可能とするディスプレイ面を備えた表示手段と、前記ディスプレイ面と前記床面との距離を変化自在に設定可能な昇降手段とを有し、前記昇降手段は、少なくとも、前記ディスプレイ面を天井近傍に設置させる第1の設置状態と、前記ディスプレイ面を床面近傍に設置させる第2の設置状態を有し、前記昇降手段の第1の設置状態において、前記表示手段は青空と雲や山々等の景色を放映し、前記昇降手段の前記第2の設置状態において、前記表示手段は前記発光素子の赤色光の波長を650nm~670nmとし、青色光の波長を460nm~480nmとする照明光を照射することを特徴とする、天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内または半屋外に設置される、照明手段と、昇降手段とを備えた天然芝育成兼用照明器具であって、前記照明手段は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー照明を可能とする照明面を備え、前記天然芝育成兼用照明器具は、建物の屋内または半屋外を照明するための第1の機能と、天然芝を育成するための第2の機能とを備え、前記第1の機能において、前記照明手段は任意の色の照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を天井近傍に設置させる第1の状態とし、前記第2の機能において、前記発光素子の赤色光の波長が650nm~670nmに設定され、青色光の波長が460nm~480nmに設定された照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を床面近傍に設置させる第2の状態とすることを特徴とする、天然芝育成兼用照明器具に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチの制御装置を含み、前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意の長さに設定可能であることを特徴とする、請求項1に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置または請求項2に記載の天然芝育成兼用照明器具に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置に関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記照明面が、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の天然芝育成兼用照明器具に関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離に固定されていることを特徴とする請求項1、3または4のいずれか1項に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置に関する。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記照明面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離に固定されていることを特徴とする請求項2、3または5のいずれか1項に記載の天然芝育成兼用照明器具に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内または半屋外に設置される天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置であって、前記天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー表示を可能とするディスプレイ面を備えた表示手段と、前記ディスプレイ面と前記床面との距離を変化自在に設定可能な昇降手段とを有し、前記昇降手段は、少なくとも、前記ディスプレイ面を天井近傍に設置させる第1の設置状態と、前記ディスプレイ面を床面近傍に設置させる第2の設置状態を有している。
【0017】
前記表示手段は、前記昇降手段の第1の設置状態においては、青空と雲や山々等の景色を放映することにより、芝生上の人々にあたかも屋外にいるような疑似体験を与えることが出来る。
前記表示手段は、前記昇降手段の第2の設置状態においては、前記発光素子の赤色光の波長を650nm~670nmとし、青色光の波長を460nm~480nmとする照明光を照射するので、施設の屋内において大面積に植生された天然芝を育成することができる。表示手段を天然芝に近接させること、天然芝の生育に必要な波長に表示手段が照射する照射光の波長を限定することによって、照射光が効率的に天然芝育成に利用されるようになり、必要最小限の電力で天然芝を育成することができる。
【0018】
例えば、施設の営業時間外には昇降手段が第2の状態になると共に、表示手段が赤色光(650nm~670nm)と青色光(460nm~480nm)を芝生に照射することで、本発明にかかるディスプレイ装置が天然芝育成に使用され、一方、施設の営業時間には昇降手段は第1の状態になると共に表示手段は青空と雲や山々等の景色を放映することで、本発明にかかるディスプレイ装置は屋外の日中のイメージの演出に使用される。こうすることで本発明にかかるディスプレイ装置は常に稼動を行っていることになるため、該ディスプレイ装置を倉庫に格納するという局面を回避することが出来る。営業時間内と営業時間外の間で昇降手段を第1の状態と第2の状態の間で変化させる必要はあるものの、大面積を有するディスプレイ装置自体を芝生から撤去することはなくなるので、ディスプレイ装置の運用に大きな労力が費やされることは無い。
【0019】
請求項2に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内または半屋外に設置される、照明手段と、昇降手段とを備えた天然芝育成兼用照明器具であって、前記照明手段は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー照明を可能とする照明面を備え、前記天然芝育成兼用照明器具は、建物の屋内または半屋外を照明するための第1の機能と、天然芝を育成するための第2の機能とを備え、前記第1の機能において、前記照明手段は任意の色の照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を天井近傍に設置させる第1の状態となるので、照明手段は任意の色の照明光で屋内を照明することができる。芝生上の人々が活動をするのに必要な光を与えることが出来る。
天然芝を育成するための第2の機能において、前記発光素子の赤色光の波長が650nm~670nmに設定され、青色光の波長が460nm~480nmに設定された照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を床面近傍に設置させる第2の状態とされる。照射手段を天然芝に近接させること、照射手段が照射する照射光の波長を天然芝の生育に必要な波長に限定することによって、照射光が効率的に天然芝育成に利用されるようになり、必要最小限の電力で天然芝を育成することができる。
施設の営業時間外には、本発明に係る照明器具の第2の機能が働く。照明手段が床面近傍から赤色光(650nm~670nm)と、青色光(460nm~480nm)を芝生に照射する。一方、施設の営業時間には、本発明に係る照明器具の第1の機能が働く。照明手段は昼光色の光を天井近傍から発光する。こうすることで本発明にかかる照明器具は常に稼動を行っていることになるため、該照明器具を倉庫に格納する局面を回避することが出来る。営業時間内と営業時間外の間で昇降手段を第1の状態と第2の状態の間で変化させる必要はあるものの、大面積を有する本発明に係る照明器具自体を芝生から撤去することはなくなるので、照明器具の運用に大きな労力が費やされることは無い。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチの制御装置を含み、前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意の長さに設定可能であるので、前記照明手段はワイヤーによって前記天井と前記床面の間の任意の位置に設置できる。
【0021】
請求項4に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられているので、床面の任意の位置に居る人に対して平等に画像を提供することができる。
【0022】
請求項5に係る発明は、前記照明面が、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられているので、床面の任意の位置に対して充分な強度の光を提供することができる。
【0023】
請求項6に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離に固定されているので、照射光が効率的に天然芝育成に利用される。
【0024】
請求項7に係る発明は、前記照明面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離に固定されているので、照射光が効率的に天然芝育成に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が建物の屋内または半屋外を照明するために使用される状態を示す図である。
図2図2は、本発明に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が天然芝を育成するために使用される状態を示す図である。
図3図3は、図1の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置における発光素子光源の赤緑青(RGB)配列の一例の説明図であり、(a)は発光素子光源を配した面の説明図であり、(b)は(a)におけるXの拡大図であって1画素に1パッケージ内に1チップからなるRGBを内装した3イン1タイプのLEDを配列した様子を説明した説明図であり、(c)は(a)におけるYの拡大図であって1画素にRGB別々のLEDをディスクリート配列した様子を説明した説明図であり、(d)は(b)における1画素であるZの拡大図である。
図4図4は、本発明の他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の昇降手段を示す図である。
図5図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるゴルフ練習場の一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。
図6図6は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。
図7図7は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。
図8図8は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置される半屋外のドーム型の競技場の概念図を示す。
図9図9は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の信号の流れを示す図である。
図10図10は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の特に色度補正部を中心として信号の流れを更に詳しく示した図である。
図11図11は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の説明図である。
図12図12は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の変更例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が建物の屋内または半屋外を照明するために使用される状態を示す図である。図2は、本発明に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が天然芝を育成するために使用される状態を示す図である。図3は、図1の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置おける発光素子光源の赤緑青(RGB)配列の一例の説明図であり、(a)は発光素子光源を配した面の説明図であり、(b)は(a)におけるXの拡大図であって1画素に1パッケージ内に1チップからなるRGBを内装した3イン1タイプのLEDを配列した様子を説明した説明図であり、(c)は(a)におけるYの拡大図であって1画素にRGB別々のLEDをディスクリート配列した様子を説明した説明図であり、(d)は(b)における1画素Zの拡大図である。図4は、本発明の他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の昇降手段を示す図である。図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるゴルフ練習場の一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。図6は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。図7は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。図8は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置される半屋外のドーム型の競技場の概念図を示す。図9は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の信号の流れを示す図である。図10は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の特に色度補正部を中心として信号の流れを更に詳しく示した図である。図11は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の説明図である。図12は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の変更例である。
以下、本発明に係る屋内用天然芝育成兼用照明器具(1)および屋内用天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置(2)の実施形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)において、昇降手段(5)が第1の状態にある様子を示している。照明手段(3)または表示手段(4)は天井(10)からワイヤー(11)によって懸垂され天井(10)近傍に位置している。照明手段(3)または表示手段(4)の下面には発光素子(20)が敷き詰められて固定されている。床面(12)には天然芝(13)が植えられている。
【0028】
照明手段(3)または表示手段(4)は、図3の(a)乃至(d)に示すように、フルカラー表示機能を持つ発光波長帯に属し一定間隔にマトリックス状に配列された赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光素子(20)からなる発光素子光源を前面に有する。なお、発光素子(20)としてLED(21)を使用する場合は、図3の(c)に示すように、LED(21)は、1画素にRGB別々のLED(21)をディスクリート配列したものや、図3の(b)および(d)に示すように、1パッケージ内に1チップからなるRGBを内装した3イン1タイプのLED(21)でも良い。RGBの順序はいずれでもよい。
【0029】
照明手段(3)は芝生(14)の上で活動をするために人々に必要な光を与える。光は任意の色であってよい。例えば人々に昼間の印象を与えたいときには、光は太陽光のスペクトラムに近い光であってよく、夕暮れの印象を与えたいときには夕暮れ時の赤い光であってよい。
【0030】
表示手段(4)は芝生(14)の上で活動をするための人々に情報やイメージを与える。例えば人々に昼間の印象を与えたいときには、表示手段(4)は青空と雲や山々等の景色を放映してもよい。人々に夕方の印象を与えたいときには表示手段(4)は夕焼け雲の景色を放映してもよい。人々に夜の印象を与えたいときには表示手段(4)は星空の景色を放映してもよい。さらに打ち上げ花火を放映することで花火大会の印象を人々に伝えてもよい。
【0031】
図2は、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)において、昇降手段(5)が第2の状態にある様子を示している。照明手段(3)または表示手段(4)は天井からワイヤーによって懸垂され芝生(14)近傍に位置している。床面には天然芝(13)が植えられている。
【0032】
天然芝(13)には近距離から赤色光(波長650nm~670nm)と青色光(波長460nm~480nm)が照射される。光源を天然芝(13)に近接させることで光の散乱による損失が少なくなること、且つ赤色光(波長650nm~670nm)と青色光(波長460nm~480nm)は天然芝(13)が光合成を行うのに特化された波長であることのために、必要最小限の電力で効率よく天然芝(13)の育成が可能になる。この発明において近距離とは10cm~60cm(図2中の参照符号d)のことを言う。
【0033】
図4は、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)の昇降手段(5)の一例を示している。特に該昇降手段(5)において、第1の状態と第2の状態を切り替えるための構成を示している。天井(10)にはウィンチ(16)が固定されている。ウィンチ(16)の巻き上げローラーにはワイヤー(11)の一端が固定されている。一方、照明手段(3)または表示手段(4)にはワイヤー(11)の一端が取り付けられ、ウィンチ(16)がワイヤー(11)を巻き上げることで、照明手段(3)または表示手段(4)を床面と天井の間において任意の床面からの高さに位置させることができる。この発明においては、昇降手段(5)は図示された実施形態に限定されず、ジャッキなどの当業者に自明な昇降装置が適用されることは言うまでもない。
照明手段(3)または表示手段(4)の照明面(18)またはディスプレイ面(17)は、天井(10)と平行(近接して)、場合によっては傾いて、さらには直交するように設置されてもよい。直交の場合、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)が天然芝育成に用いられる際には、照明面(18)またはディスプレイ面(17)が床面(12)に対して平行となるように角度を変えて、芝生に当接するようにしてもよい。
【0034】
本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)の昇降手段(5)を第1の状態に設定するのは施設の営業時間内であってよく、昇降手段(5)を第2の状態に設定するのは施設の営業時間外であってよい。施設に客が居るときには、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)は客のための照明または画像表示のために動作し、施設に客が居ないときには天然芝(13)育成のための照明として動作する。
【0035】
このように、本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)は常に稼動を行っていることになるため、該照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)が倉庫に格納されるという局面を回避することが出来る。営業時間内と営業時間外の間で昇降手段(5)を第1の状態と第2の状態の間で変化させる必要はあるものの、大面積を有する本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)自体を芝生(14)または芝生(14)の上方の空間から撤去することはなくなるので、本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)の運用に大きな労力が費やされることは無い。
【0036】
図5は、天然芝植生エリア(81)を有する屋内ゴルフ練習場(80)の一例を示す。(a)は上面図、(b)は横面図である。天然芝植生エリア(81)の中央部にはグリーン(82)が設けられているが、グリーン(82)の位置はそれに限られるものではない。グリーン(82)の周辺にはアプローチエリア(83)が設けられている。グリーン(82)とアプローチエリア(83)にはボールの転がり方を実際のゴルフ場でのボールの転がり方と同じにするために、天然芝(13)が植生されている。特にグリーン(82)の上ではボールの転がり方が均一になるように、芝が細かく均一な長さに手入れされている。これらの天然芝(13)を育成するために、少なくともグリーン(82)とアプローチエリア(83)の直上には本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)が設置される。
【0037】
天然芝(13)が植生された領域は、完全屋内型のショッピングセンターに設けられてもよい。図6は完全屋内型のショッピングセンターのフードコート(85)の一例を示す。(a)は上面図、(b)は横面図である。フードコート(85)の中央部には天然芝の広場(86)を作ってもよい。これにより客が芝生に腰を下ろして休憩や飲食ができるようになる。広場に植えられた芝が人工芝の場合には、子どもが芝の破片を誤って口に入れると、それが元で消化器系にトラブルを起こす虞があるが、天然芝であれば子どもが芝の破片を口にしたとしても天然素材であるために大きなトラブルを招く虞は少ない。天然芝の広場(86)の直上には本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)が設置される。
【0038】
天然芝(13)が植生された領域は、ショッピングセンターの半屋外に設けられてもよい。図7はショッピングセンター(100)の半屋外に設けられた芝生の一例を示す。(a)は上面図、(b)は横面図である。ショッピングセンター(100)の敷地にテント(101)の屋根が設けられた半屋外の天然芝の広場(86)を作ってもよい。これにより客が芝生に腰を下ろして休憩や飲食ができるようになる。芝生が完全な屋外ではなく半屋外に設けられている場合には外部からの日光の入射をある程度期待することはできるが、場所によっては芝生(14)の育成に充分な日射量が得られない。そのような場所において本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)を補助光源として用いることで、芝生(14)全域に亘って均一且つ充分に育成された天然芝(13)の提供がなされる。
【0039】
天然芝(13)が植生された領域は、半屋外または屋内のドーム型の競技場(110)に設けられてもよい。図8には、半屋外のドーム型の競技場(110)の概念図を示す。天然芝が半屋外のドーム(111)に覆われている部分は日光が差し込まず、天然芝の育成に充分な光量が到達しない可能性がある。天然芝の育成に必要な光量を補うために本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)を補助光源として用いてもよい。芝生(14)全域に亘って均一且つ充分に育成された天然芝(13)の提供がなされるので、半屋外のドーム型の競技場(110)でありながら選手は天然芝(13)の上でプレイが可能となる。
【0040】
天然芝(13)の養生に必要な波長は、赤(R)の650~670nm、青(B)460~480nmであるのに対して、画像表示のために必要な波長は、赤(R)の615~635nm、緑(G)510~550nm、青(B)455~475nmであるので、照明用及び画像表示用の画面コンテンツの色度は、天然芝(13)育成時の画面コンテンツの色度と異なる。したがって、本発明にかかる照明器具(1)とディスプレイ装置(2)は、照明用および画像表示用として使用する場合と、天然芝(13)育成用として使用する場合においてそれぞれ色度補正を行う必要がある。
【0041】
[本実施形態に係るディスプレイ装置を画像表示のために使用する場合または本実施形態に係る照明器具を屋内照明のために使用する場合]
図9は本実施形態に係るディスプレイ装置または本実施形態に係る照明器具における信号の流れを示す図である。図10は特に色度補正部を中心として信号の流れを更に詳しく示した図である。
本実施形態に係るディスプレイ装置(2)を画像表示のために使用する場合または、照明器具(1)を屋内照明のために使用する場合、MPU(38)でスイッチ(SW)を制御し映像(照明)信号入力に切り替える。
本実施形態に係るディスプレイ装置(2)を画像表示のために使用する場合は、映像信号送出器(30)から送られた映像信号が色度補正を行なう色度補正部(31a)を備えた信号処理装置(31)により処理され、処理された信号が各LED表示部(40)に送られて映像が表示される。
【0042】
本実施形態に係る照明器具(1)を屋内照明のために使用する場合も、照明信号送出器(42)から送られた照明信号が色度補正を行なう色度補正部(31a)を備えた信号処理装置(31)により処理され、処理された信号が各LED表示部(40)に送られて屋内照明を行なう。以下、照明器具(1)を屋内照明のために使用する場合と、ディスプレイ装置(2)を画像表示のために使用する場合の色度補正の具体的な処理について説明する。
【0043】
映像信号あるいは照明信号が色度補正部(31a)に送られ、それぞれRGBのDATAラッチ部(32)に送られラッチされる。演算処理部(33)は、ラッチされたRGBデータと記憶部である色度補正データメモリー(34)又は色補正係数レジスターに書き込まれた色度補正係数(35)とを演算して補正発光データを生成させる。
【0044】
補正発光データはデータメモリー(36)に送られる。データメモリー(36)では補正発光データがフレーム単位でストアされる。
【0045】
補正発光データの書き込み、読み出しはMPU(38)によって制御される。ストアされた補正発光データは定電流ドライバー(37)に供給される。MPU(38)から制御信号が輝度補正データメモリー(39)に送られ、輝度補正データが定電流ドライバー(37)に供給される。また、定電流ドライバー(37)には、データメモリー(36)から補正発光データが供給される。
【0046】
定電流ドライバー(37)は、輝度補正データで決められた電流量で、かつ、補正発光データで決められた時間だけ、PWM(パルス幅変調)でLED表示部(40)を駆動する。
【0047】
[本実施形態に係るディスプレイ装置および照明器具を天然芝育成照明器具として使用する場合]
一方、本実施形態に係るディスプレイ装置(2)および照明器具(1)を天然芝(13)育成のために使用する場合は、MPU(38)でスイッチ(SW)を制御し芝照明内部信号(41)に切り替える。演算処理部(33)では、芝育成用の色感覚を照明用またはディスプレイ用と同一化するために、さらに色度補正係数を加味して演算される。この場合色感覚とは、赤さ加減の違いを示す。芝生育成用赤色LEDの波長は660nm付近であるので、ディスプレイ用赤色LEDの波長が620nm付近で見えるようにするために、上記の補正がなされる。すなわち、演算処理部(33)は、芝照明用補正発光データを生成あるいは無補正発光データを生成させる。
【0048】
この芝照明用補正発光データあるいは無補正発光データは、データメモリー(36)に送られる。データメモリー(36)では、芝照明用補正発光データまたは無補正発光データがフレーム単位でストアされる。補正発光データの書き込みと読み出しはMPU(38)によって制御される。ストアされた補正発光データは定電流ドライバー(37)に供給される。MPU(38)から制御信号が輝度補正データメモリー(39)に送られ、輝度補正データが定電流ドライバー(37)に供給される。また、定電流ドライバー(37)には、芝照明用補正発光データまたは無補正発光データが供給される。定電流ドライバー(37)は、輝度補正データで決められた電流量で、かつ、照明用補正発光データあるいは無補正発光データで決められた時間だけ、PWM(パルス幅変調)でLED表示部(40)を駆動する。このようにして、本実施形態に係る照明器具(1)とディスプレイ装置(2)は、LED(21)の特定波長の光を照射して天然芝(13)の育成を行う。
【0049】
これにより、本実施形態に係る照明器具(1)とディスプレイ装置(2)は、照明効果やディスプレイ効果に支障をきたすことなく、LED(21)の赤色光の波長を光合成に最も効果のある波長である660nmとし、青色光の波長を天然芝(13)の形態形成に効果のある460nmとする天然芝育成照明器具として使用することができる。
【0050】
なお、上述した色度補正機能の回路は一例であり、これに限定されない。以下、本実施形態の照明器具(1)とディスプレイ装置(2)の色度補正機能の回路の変更例について説明する。
【0051】
通常、本実施形態に係るディスプレイ装置(2)を表示装置として使用する場合は、まず、図11に示すように、映像信号送出器(30)から送られたデジタル映像信号(シリアルRGB信号)が、デジタル・ビジュアル・インターフェース レシーバ(DVI Receiver)(52)を介しフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)(53)に送られる。信号送出部(54)のDVI Receiver(52)でシリアルRGB信号がパラレルRGB信号に変換されFPGA(53)に送られる。FPGA(53)ではRGB信号を1フレーム毎に一旦RAM(55)に記録する。
【0052】
FPGA(53)は、EP ROM(56)に格納されたデータを電源投入時にロードすることによって、予めプログラムされた回路が形成される。この回路によって、RAM(55)に記録されたデータを演算処理する。ここでは主に、複数の信号受信部(57)への信号の割り振りが行われる。その後のLAN Transmitter(58)ではパラレルRGB信号を1bitのシリアルに変換する。1bitのシリアルRGB信号はLANケーブル(図示されず)を介して信号受信部(57)へ送られる。
【0053】
信号受信部(57)では、LAN Transmitter(59)によって1bitシリアルRGB信号がパラレルRGB信号に変換されFPGA(60)に送られる。FPGA(60)では自分(FPGA(60))に割り振られた信号のみを受け取って1フレーム毎にRAM(61)に記録する。FPGA(60)はEP ROM(62)に格納されたデータを電源投入時にロードすることによって、予めプログラムされた回路が形成される。この回路によって、RAM(61)に記録されたデータを演算処理し、映像表示部(63)に信号を振り分けるとともに画質調整を行う。
【0054】
映像表示部(63)では割り当てられたパラレルRGB信号を受け取ってLED(21)を表示させる。ここでRow Driver(64)は表示するLED Matrix Array(65)の行を切り換える。LED Matrix Array(65)の縦の列にはそれぞれ定電流Drive IC(66)が直列に接続されていてRGB信号に対応したパルス幅でLED(21)に電流を供給する。定電流Drive IC(66)に外付けされた抵抗R(67)は抵抗値に応じて電流値を決定する。
【0055】
照明器具(1)と競技場ディスプレイ装置(2)を天然芝育成照明器具として兼用して使用する場合は、図12に示すように、PC(71)からRS232Cケーブル(72)を介して操作信号が信号送信部(54)のFPGA(53)に送られる。さらに信号は変換され信号受信部(57)のFPGA(60)まで送られる。操作信号が送られると、天然芝育成照明器具として必要な機能を備えるためFPGA(60)によって新たにEP ROM(62)から指定されたデータがロードされ、回路が更新される。
【0056】
回路が更新されると、外部からのRGB映像信号を遮断し、天然芝育成に最適なRGBのパルス幅の内部信号を発生させる。各定電流 Drive IC(66)の外付け抵抗(67)を天然芝(13)育成に最適な電流値になるように切り換えるためスイッチ(SW)を操作する。切り換えが完了すると、信号送出部(54)は不要になるため切り離される。
【0057】
また、天然芝育成照明用途から照明用途または表示用途に切り換えて使用する場合は、PC(71)から切り換え操作を行ない、信号送出部(54)と信号受信部(57)と映像表示部(63)を全て接続する。このとき、各定電流 Drive IC(66)の外付け抵抗(67)を照明用途または表示用途に最適な電流値になるように切り換えるためスイッチ(SW)を操作する。また、このとき、天然芝育成用の波長のRGBの発光素子を使用しているので、入力したRGB信号のままでは忠実な色再現が行われない。このため、色度変換をRGB信号変換で行なう。このRGB信号変換は入力した信号に一定の係数を掛けて行う。
【0058】
この発明においては、天然芝(13)の養生に必要な光の波長は、赤(R)650~670nm、青(B)460~480nmであるのに対し、ディスプレイとして使用させる波長は、赤(R)615~635nm、緑(G)510~550nm、青(B)455~475nmであり、上述のごとく制御回路により補正することによって、天然芝育成用色度660nm(色度とは色感覚を数値化したもの)が、照明用およびディスプレイ用の色度620nm付近に見えるようにする。この発明においては、この照明用、ディスプレイ用と芝育成用の色度的違和感をなくすため色度補正を行い天然芝育成照明用途と、照明用途または画像表示用途の両方の兼用が達成できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、施設の屋内または半屋外において非営業時間に天然芝の植生された大きな面積を平面状の光源を近接させて覆うことにより必要最小限の電力で天然芝を育成でき、施設の営業時間には光源を簡単に近接位置から撤去して天然芝の商業的な利用を可能ならしめると同時に照明として屋内または半屋外を照明する、または大画面ディスプレイとして屋内または半屋外の人々に情報やイメージの伝達をすることができる装置の提供に好適に利用される。
【符号の説明】
【0060】
1 天然芝育成兼用照明器具
2 天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置
3 照明手段
4 表示手段
5 昇降手段
10 天井
11 ワイヤー
12 床面
13 天然芝
16 ウィンチ
17 ディスプレイ面
18 照明面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然芝が床面に植生された建物の屋内に設置される、照明手段と、昇降手段とを備えた 天然芝育成兼用照明器具であって、
前記照明手段は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フ ルカラー照明を可能とする照明面を備え、
前記天然芝育成兼用照明器具は、建物の屋内を照明するための第1の機能と、天然芝を 育成するための第2の機能とを備え、
前記第1の機能において、前記照明手段は任意の色の照明光を照射し、前記昇降手段 は前記照明面を天井近傍に設置させる第1の状態とし、
前記第2の機能において、前記発光素子の赤色光の波長が650nm~670nmに 設定され、青色光の波長が460nm~480nmに設定された照明光を照射し、前記昇 降手段は前記照明面を床面近傍に設置させる第2の状態とする
ことを特徴とする、天然芝育成兼用照明器具。
【請求項2】
天然芝が床面に植生された建物の屋内に設置される天然芝育成照明装置付きディスプレ イ装置であって、
前記天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置は、
赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー表示を可 能とするディスプレイ面を備えた表示手段と、
前記ディスプレイ面と前記床面との距離を変化自在に設定可能な昇降手段とを有し、
前記昇降手段は、少なくとも、
前記ディスプレイ面を天井近傍に設置させる第1の設置状態と、
前記ディスプレイ面を床面近傍に設置させる第2の設置状態を有し、
前記昇降手段の第1の設置状態において、前記表示手段は青空と雲や山々等の景色を 放映し、
前記昇降手段の前記第2の設置状態において、前記表示手段は前記発光素子の赤色光 の波長を650nm~670nmとし、青色光の波長を460nm~480nmとする照 明光を照射する
ことを特徴とする、天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置。
【請求項3】
前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチの制御装置を含み、
前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意の長さに設定可能である
ことを特徴とする、請求項1に記載の天然芝育成兼用照明器具。
【請求項4】
前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻き上げローラーに一端が 固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチの制御装置を含み、
前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意の長さに設定可 能である
ことを特徴とする、請求項2に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置。
【請求項5】
前記照明面は、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられているこ とを特徴とする請求項1または3に記載の天然芝育成兼用照明器具。
【請求項6】
前記ディスプレイ面が、第1の設置状態において天井に平行または傾いて取り付けられ ていることを特徴とする請求項2または4に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ 装置。
【請求項7】
前記照明面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離に固定さ れていることを特徴とする請求項1、3または6のいずれか1項に記載の天然芝育成兼用 照明器具。
【請求項8】
前記ディスプレイ面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至60cmの距離 に固定されていることを特徴とする請求項2、4または5のいずれか1項に記載の天然芝 育成照明装置付きディスプレイ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内または半屋外で天然芝を育成したいという要請がある。
【0003】
この要請はゴルフ練習場に向けられている。ゴルフにおいては、ボールの転がり方が芝の状態に左右されることは良く知られている。ゴルフ練習場において練習者がゴルフの練習をする場合、練習者の打ったボールは、実際のゴルフ場と同じボールの転がり方をすることが望ましい。よって、ゴルフ練習場は実際のゴルフ場と同じように天然の芝が植えられていることが理想である。
もし、屋内または半屋外においても天然芝が育成できるとすれば、天候に左右されず、実際のゴルフ場と同等な条件でゴルフの練習が可能になる。
【0004】
前述の要請は大規模ショッピングセンターにも向けられている。大規模ショッピングセンターでは休憩スペースに天然芝の広場を作ることが考えられる。これが実現すると、客が芝生に腰を下ろして休憩や飲食ができるようになる。広場に植えられた芝が人工芝の場合には、子どもが芝の破片を誤って口に入れると、それが元で消化器系にトラブルを起こす虞があるが、天然芝であれば子どもが芝の破片を口にしたとしても天然素材であるために大きなトラブルを招く虞は少ない。それ故に、大規模ショッピングセンターの休憩スペースに天然芝の広場を作りたいという要請がある。
【0005】
前述の要請にもかかわらず、屋内または半屋外に天然芝を整備することは以下の理由により難しい。(イ)屋内または半屋外では芝の育成に必要な光量が確保できない、(ロ)もし、屋内または半屋外において天然芝の育成に充分な光量の光を日光以外の手段で確保することができたとしても、天然芝は大きな面積に亘って植えられているため、大面積の隅々までを太陽光に値する光量(典型的には0.1~1.0kW/m)で照射できる光源を天井に設置しようとすれば、そのような大光量を照射する照明設備への設備投資は膨大なものとなり、発生する熱量も膨大となり、必要な消費電力も商業的には許容できない程度になる、(ハ)平面状の光源を天然芝に近接させて、天然芝の育成に必要な波長に光源の波長を限定することによって、照射光が効率的に天然芝育成に利用されるようにすれば、天然芝育成に必要な電力は現実的な値になるが、天然芝の植生された大きな面積を、一日のある一定の時間平面状の光源を近接させて覆い天然芝を育成し、且つ商業施設の稼動時には光源を完全に撤去して光源を倉庫に収納するとともに芝生面を露出させて施設の営業を続けられるようにすることは、大きな労力を必要とし現実的ではない。そもそも大きな光源を撤去して収納する倉庫は、天然芝の大きな面積と同じだけの面積を必要とする。そのような倉庫を屋内または半屋外に確保することはできない。
【0006】
特許文献1には、サッカー場、野球場、ゴルフ場、大型陸上競技場などの競技場で使用される競技場用天然芝育成兼用照明装置及び天然芝育成照明装置付き競技場ディスプレイ装置であって、通常は照明器具やディスプレイ装置として競技場で使用でき、且つ競技により損傷した天然芝を通常の天然自然修復速度よりも早く傷みを改善修復できる競技場用天然芝育成兼用照明装置及び天然芝育成照明装置付き競技場ディスプレイ装置が開示されている。
特許文献1にかかる発明では、芝の修復を行う場合平面状の光源を天然芝に近接させること、第2に天然芝の生育に必要な波長に光源の波長を限定することによって、光源からの照射光が効率的に天然芝の修復に利用される。
一方芝の修復を行わない通常時には、照明装置やディスプレイ装置として競技場で当該光源が起立状態で使用されることで、当該光源は倉庫に収納される必要が無い。したがって光源装置の運用に大きな労力が必要とされない。
しかしながら、特許文献1にかかる発明は、部分的に損傷した天然芝の修復を目的としたものであって、大面積に植生された天然芝の育成を可能にするものではないので、大面積を有する光源を完全に撤去する方法を示したものではない。前述の問題点(ハ)に対する解決策を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5017478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、施設の屋内において非営業時間に天然芝の植生された大きな面積を平面状の光源を近接させて覆うことにより必要最小限の電力で天然芝を育成でき、施設の営業時間には簡単に近接位置から撤去されて天然芝の商業的な利用を可能ならしめると同時に照明として屋内を照明する、または大画面画像表示装置として屋内の人々に情報やイメージの伝達をすることができる装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内に設置される、照明手段 と、昇降手段とを備えた天然芝育成兼用照明器具であって、前記照明手段は、赤色、緑色 、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー照明を可能とする照明面 を備え、前記天然芝育成兼用照明器具は、建物の屋内を照明するための第1の機能と、天 然芝を育成するための第2の機能とを備え、前記第1の機能において、前記照明手段は任 意の色の照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を天井近傍に設置させる第1の状態 とし、前記第2の機能において、前記発光素子の赤色光の波長が650nm~670nm に設定され、青色光の波長が460nm~480nmに設定された照明光を照射し、前記 昇降手段は前記照明面を床面近傍に設置させる第2の状態とすることを特徴とする、天然 芝育成兼用照明器具に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内に設置される天然芝育成 照明装置付きディスプレイ装置であって、前記天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置 は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー表示を可 能とするディスプレイ面を備えた表示手段と、前記ディスプレイ面と前記床面との距離を 変化自在に設定可能な昇降手段とを有し、前記昇降手段は、少なくとも、前記ディスプレ イ面を天井近傍に設置させる第1の設置状態と、前記ディスプレイ面を床面近傍に設置さ せる第2の設置状態を有し、前記昇降手段の第1の設置状態において、前記表示手段は青 空と雲や山々等の景色を放映し、前記昇降手段の前記第2の設置状態において、前記表示 手段は前記発光素子の赤色光の波長を650nm~670nmとし、青色光の波長を46 0nm~480nmとする照明光を照射することを特徴とする、天然芝育成照明装置付き ディスプレイ装置に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチの制御装置を含み、前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意の長さに設定可能であることを特徴とする、請求項1に記載の天然芝育成兼用照明器具に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻 き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチ の制御装置を含み、前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意 の長さに設定可能であることを特徴とする、請求項2に記載の天然芝育成照明装置付きデ ィスプレイ装置に関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記照明面は、第1の設置状態において天井に平行または傾い て取り付けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の天然芝育成兼用照明器 に関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第1の設置状態において天井に平行ま たは傾いて取り付けられていることを特徴とする請求項2または4に記載の天然芝育成照 明装置付きディスプレイ装置に関する。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記照明面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至 60cmの距離に固定されていることを特徴とする請求項1、3または6のいずれか1項 に記載の天然芝育成兼用照明器具に関する。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第2の設置状態において床面から10 cm乃至60cmの距離に固定されていることを特徴とする請求項2、4または5のいず れか1項に記載の天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置に関する。
【発明の効果】
【0017】
請求項に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内に設置される、照明手段と、昇降手段とを備えた天然芝育成兼用照明器具であって、前記照明手段は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー照明を可能とする照明面を備え、前記天然芝育成兼用照明器具は、建物の屋内を照明するための第1の機能と、天然芝を育成するための第2の機能とを備え、前記第1の機能において、前記照明手段は任意の色の照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を天井近傍に設置させる第1の状態となるので、照明手段は任意の色の照明光で屋内を照明することができる。芝生上の人々が活動をするのに必要な光を与えることが出来る。
天然芝を育成するための第2の機能において、前記発光素子の赤色光の波長が650nm~670nmに設定され、青色光の波長が460nm~480nmに設定された照明光を照射し、前記昇降手段は前記照明面を床面近傍に設置させる第2の状態とされる。照射手段を天然芝に近接させること、照射手段が照射する照射光の波長を天然芝の生育に必要な波長に限定することによって、照射光が効率的に天然芝育成に利用されるようになり、必要最小限の電力で天然芝を育成することができる。
施設の営業時間外には、本発明に係る照明器具の第2の機能が働く。照明手段が床面近傍から赤色光(650nm~670nm)と、青色光(460nm~480nm)を芝生に照射する。一方、施設の営業時間には、本発明に係る照明器具の第1の機能が働く。照明手段は昼光色の光を天井近傍から発光する。こうすることで本発明にかかる照明器具は常に稼動を行っていることになるため、該照明器具を倉庫に格納する局面を回避することが出来る。営業時間内と営業時間外の間で昇降手段を第1の状態と第2の状態の間で変化させる必要はあるものの、大面積を有する本発明に係る照明器具自体を芝生から撤去することはなくなるので、照明器具の運用に大きな労力が費やされることは無い。
【0018】
請求項に係る発明は、天然芝が床面に植生された建物の屋内に設置される天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置であって、前記天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置は、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を一定間隔に配列し、フルカラー表示を可能とするディスプレイ面を備えた表示手段と、前記ディスプレイ面と前記床面との距離を変化自在に設定可能な昇降手段とを有し、前記昇降手段は、少なくとも、前記ディスプレイ面を天井近傍に設置させる第1の設置状態と、前記ディスプレイ面を床面近傍に設置させる第2の設置状態を有している。
【0019】
前記表示手段は、前記昇降手段の第1の設置状態においては、青空と雲や山々等の景色を放映することにより、芝生上の人々にあたかも屋外にいるような疑似体験を与えることが出来る。
前記表示手段は、前記昇降手段の第2の設置状態においては、前記発光素子の赤色光の波長を650nm~670nmとし、青色光の波長を460nm~480nmとする照明光を照射するので、施設の屋内において大面積に植生された天然芝を育成することができる。表示手段を天然芝に近接させること、天然芝の生育に必要な波長に表示手段が照射する照射光の波長を限定することによって、照射光が効率的に天然芝育成に利用されるようになり、必要最小限の電力で天然芝を育成することができる。
【0020】
例えば、施設の営業時間外には昇降手段が第2の状態になると共に、表示手段が赤色光(650nm~670nm)と青色光(460nm~480nm)を芝生に照射することで、本発明にかかるディスプレイ装置が天然芝育成に使用され、一方、施設の営業時間には昇降手段は第1の状態になると共に表示手段は青空と雲や山々等の景色を放映することで、本発明にかかるディスプレイ装置は屋外の日中のイメージの演出に使用される。こうすることで本発明にかかるディスプレイ装置は常に稼動を行っていることになるため、該ディスプレイ装置を倉庫に格納するという局面を回避することが出来る。営業時間内と営業時間外の間で昇降手段を第1の状態と第2の状態の間で変化させる必要はあるものの、大面積を有するディスプレイ装置自体を芝生から撤去することはなくなるので、ディスプレイ装置の運用に大きな労力が費やされることは無い。
【0021】
請求項3に係る発明は、前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチの制御装置を含み、前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意の長さに設定可能であるので、前記照明手段はワイヤーによって前記天井と前記床面の間の任意の位置に設置できる。
【0022】
請求項4に係る発明は、前記昇降手段が、天井に固定されたウィンチと、ウィンチの巻 き上げローラーに一端が固定され前記照明手段に他端が固定されたワイヤーと、ウィンチ の制御装置を含み、前記ワイヤーの繰り出し長さは前記ウィンチの巻き上げによって任意 の長さに設定可能であるので、前記照明手段はワイヤーによって前記天井と前記床面の間 の任意の位置に設置できる。
【0023】
請求項5に係る発明は、前記照明面が、第1の設置状態において天井に平行または傾い て取り付けられているので、床面の任意の位置に対して充分な強度の光を提供することが できる。
【0024】
請求項6に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第1の設置状態において天井に平行ま たは傾いて取り付けられているので、床面の任意の位置に居る人に対して平等に画像を提 供することができる。
【0025】
請求項7に係る発明は、前記照明面が、第2の設置状態において床面から10cm乃至 60cmの距離に固定されているので、照射光が効率的に天然芝育成に利用される。
【0026】
請求項8に係る発明は、前記ディスプレイ面が、第2の設置状態において床面から10 cm乃至60cmの距離に固定されているので、照射光が効率的に天然芝育成に利用され る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が建物の屋内または半屋外を照明するために使用される状態を示す図である。
図2図2は、本発明に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が天然芝を育成するために使用される状態を示す図である。
図3図3は、図1の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置における発光素子光源の赤緑青(RGB)配列の一例の説明図であり、(a)は発光素子光源を配した面の説明図であり、(b)は(a)におけるXの拡大図であって1画素に1パッケージ内に1チップからなるRGBを内装した3イン1タイプのLEDを配列した様子を説明した説明図であり、(c)は(a)におけるYの拡大図であって1画素にRGB別々のLEDをディスクリート配列した様子を説明した説明図であり、(d)は(b)における1画素であるZの拡大図である。
図4図4は、本発明の他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の昇降手段を示す図である。
図5図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるゴルフ練習場の一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。
図6図6は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。
図7図7は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。
図8図8は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置される半屋外のドーム型の競技場の概念図を示す。
図9図9は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の信号の流れを示す図である。
図10図10は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の特に色度補正部を中心として信号の流れを更に詳しく示した図である。
図11図11は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の説明図である。
図12図12は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の変更例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が建物の屋内または半屋外を照明するために使用される状態を示す図である。図2は、本発明に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が天然芝を育成するために使用される状態を示す図である。図3は、図1の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置おける発光素子光源の赤緑青(RGB)配列の一例の説明図であり、(a)は発光素子光源を配した面の説明図であり、(b)は(a)におけるXの拡大図であって1画素に1パッケージ内に1チップからなるRGBを内装した3イン1タイプのLEDを配列した様子を説明した説明図であり、(c)は(a)におけるYの拡大図であって1画素にRGB別々のLEDをディスクリート配列した様子を説明した説明図であり、(d)は(b)における1画素Zの拡大図である。図4は、本発明の他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の昇降手段を示す図である。図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるゴルフ練習場の一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。図6は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。図7は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置されるショッピングセンターの一例を示す図である。(a)は上面図、(b)は横面図を示す。図8は、本発明のまた更に他の実施形態に係る天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置が設置される半屋外のドーム型の競技場の概念図を示す。図9は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の信号の流れを示す図である。図10は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の特に色度補正部を中心として信号の流れを更に詳しく示した図である。図11は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の説明図である。図12は、図1乃至図8の天然芝育成兼用照明器具および天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置の回路構成の変更例である。
以下、本発明に係る屋内用天然芝育成兼用照明器具(1)および屋内用天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置(2)の実施形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)において、昇降手段(5)が第1の状態にある様子を示している。照明手段(3)または表示手段(4)は天井(10)からワイヤー(11)によって懸垂され天井(10)近傍に位置している。照明手段(3)または表示手段(4)の下面には発光素子(20)が敷き詰められて固定されている。床面(12)には天然芝(13)が植えられている。
【0030】
照明手段(3)または表示手段(4)は、図3の(a)乃至(d)に示すように、フルカラー表示機能を持つ発光波長帯に属し一定間隔にマトリックス状に配列された赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光素子(20)からなる発光素子光源を前面に有する。なお、発光素子(20)としてLED(21)を使用する場合は、図3の(c)に示すように、LED(21)は、1画素にRGB別々のLED(21)をディスクリート配列したものや、図3の(b)および(d)に示すように、1パッケージ内に1チップからなるRGBを内装した3イン1タイプのLED(21)でも良い。RGBの順序はいずれでもよい。
【0031】
照明手段(3)は芝生(14)の上で活動をするために人々に必要な光を与える。光は任意の色であってよい。例えば人々に昼間の印象を与えたいときには、光は太陽光のスペクトラムに近い光であってよく、夕暮れの印象を与えたいときには夕暮れ時の赤い光であってよい。
【0032】
表示手段(4)は芝生(14)の上で活動をするための人々に情報やイメージを与える。例えば人々に昼間の印象を与えたいときには、表示手段(4)は青空と雲や山々等の景色を放映してもよい。人々に夕方の印象を与えたいときには表示手段(4)は夕焼け雲の景色を放映してもよい。人々に夜の印象を与えたいときには表示手段(4)は星空の景色を放映してもよい。さらに打ち上げ花火を放映することで花火大会の印象を人々に伝えてもよい。
【0033】
図2は、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)において、昇降手段(5)が第2の状態にある様子を示している。照明手段(3)または表示手段(4)は天井からワイヤーによって懸垂され芝生(14)近傍に位置している。床面には天然芝(13)が植えられている。
【0034】
天然芝(13)には近距離から赤色光(波長650nm~670nm)と青色光(波長460nm~480nm)が照射される。光源を天然芝(13)に近接させることで光の散乱による損失が少なくなること、且つ赤色光(波長650nm~670nm)と青色光(波長460nm~480nm)は天然芝(13)が光合成を行うのに特化された波長であることのために、必要最小限の電力で効率よく天然芝(13)の育成が可能になる。この発明において近距離とは10cm~60cm(図2中の参照符号d)のことを言う。
【0035】
図4は、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)の昇降手段(5)の一例を示している。特に該昇降手段(5)において、第1の状態と第2の状態を切り替えるための構成を示している。天井(10)にはウィンチ(16)が固定されている。ウィンチ(16)の巻き上げローラーにはワイヤー(11)の一端が固定されている。一方、照明手段(3)または表示手段(4)にはワイヤー(11)の一端が取り付けられ、ウィンチ(16)がワイヤー(11)を巻き上げることで、照明手段(3)または表示手段(4)を床面と天井の間において任意の床面からの高さに位置させることができる。この発明においては、昇降手段(5)は図示された実施形態に限定されず、ジャッキなどの当業者に自明な昇降装置が適用されることは言うまでもない。
照明手段(3)または表示手段(4)の照明面(18)またはディスプレイ面(17)は、天井(10)と平行(近接して)、場合によっては傾いて、さらには直交するように設置されてもよい。直交の場合、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)が天然芝育成に用いられる際には、照明面(18)またはディスプレイ面(17)が床面(12)に対して平行となるように角度を変えて、芝生に当接するようにしてもよい。
【0036】
本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)の昇降手段(5)を第1の状態に設定するのは施設の営業時間内であってよく、昇降手段(5)を第2の状態に設定するのは施設の営業時間外であってよい。施設に客が居るときには、本実施形態に係る照明器具(1)およびディスプレイ装置(2)は客のための照明または画像表示のために動作し、施設に客が居ないときには天然芝(13)育成のための照明として動作する。
【0037】
このように、本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)は常に稼動を行っていることになるため、該照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)が倉庫に格納されるという局面を回避することが出来る。営業時間内と営業時間外の間で昇降手段(5)を第1の状態と第2の状態の間で変化させる必要はあるものの、大面積を有する本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)自体を芝生(14)または芝生(14)の上方の空間から撤去することはなくなるので、本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)の運用に大きな労力が費やされることは無い。
【0038】
図5は、天然芝植生エリア(81)を有する屋内ゴルフ練習場(80)の一例を示す。(a)は上面図、(b)は横面図である。天然芝植生エリア(81)の中央部にはグリーン(82)が設けられているが、グリーン(82)の位置はそれに限られるものではない。グリーン(82)の周辺にはアプローチエリア(83)が設けられている。グリーン(82)とアプローチエリア(83)にはボールの転がり方を実際のゴルフ場でのボールの転がり方と同じにするために、天然芝(13)が植生されている。特にグリーン(82)の上ではボールの転がり方が均一になるように、芝が細かく均一な長さに手入れされている。これらの天然芝(13)を育成するために、少なくともグリーン(82)とアプローチエリア(83)の直上には本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)が設置される。
【0039】
天然芝(13)が植生された領域は、完全屋内型のショッピングセンターに設けられてもよい。図6は完全屋内型のショッピングセンターのフードコート(85)の一例を示す。(a)は上面図、(b)は横面図である。フードコート(85)の中央部には天然芝の広場(86)を作ってもよい。これにより客が芝生に腰を下ろして休憩や飲食ができるようになる。広場に植えられた芝が人工芝の場合には、子どもが芝の破片を誤って口に入れると、それが元で消化器系にトラブルを起こす虞があるが、天然芝であれば子どもが芝の破片を口にしたとしても天然素材であるために大きなトラブルを招く虞は少ない。天然芝の広場(86)の直上には本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)が設置される。
【0040】
天然芝(13)が植生された領域は、ショッピングセンターの半屋外に設けられてもよい。図7はショッピングセンター(100)の半屋外に設けられた芝生の一例を示す。(a)は上面図、(b)は横面図である。ショッピングセンター(100)の敷地にテント(101)の屋根が設けられた半屋外の天然芝の広場(86)を作ってもよい。これにより客が芝生に腰を下ろして休憩や飲食ができるようになる。芝生が完全な屋外ではなく半屋外に設けられている場合には外部からの日光の入射をある程度期待することはできるが、場所によっては芝生(14)の育成に充分な日射量が得られない。そのような場所において本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)を補助光源として用いることで、芝生(14)全域に亘って均一且つ充分に育成された天然芝(13)の提供がなされる。
【0041】
天然芝(13)が植生された領域は、半屋外または屋内のドーム型の競技場(110)に設けられてもよい。図8には、半屋外のドーム型の競技場(110)の概念図を示す。天然芝が半屋外のドーム(111)に覆われている部分は日光が差し込まず、天然芝の育成に充分な光量が到達しない可能性がある。天然芝の育成に必要な光量を補うために本実施形態に係る照明器具(1)またはディスプレイ装置(2)を補助光源として用いてもよい。芝生(14)全域に亘って均一且つ充分に育成された天然芝(13)の提供がなされるので、半屋外のドーム型の競技場(110)でありながら選手は天然芝(13)の上でプレイが可能となる。
【0042】
天然芝(13)の養生に必要な波長は、赤(R)の650~670nm、青(B)460~480nmであるのに対して、画像表示のために必要な波長は、赤(R)の615~635nm、緑(G)510~550nm、青(B)455~475nmであるので、照明用及び画像表示用の画面コンテンツの色度は、天然芝(13)育成時の画面コンテンツの色度と異なる。したがって、本発明にかかる照明器具(1)とディスプレイ装置(2)は、照明用および画像表示用として使用する場合と、天然芝(13)育成用として使用する場合においてそれぞれ色度補正を行う必要がある。
【0043】
[本実施形態に係るディスプレイ装置を画像表示のために使用する場合または本実施形態に係る照明器具を屋内照明のために使用する場合]
図9は本実施形態に係るディスプレイ装置または本実施形態に係る照明器具における信号の流れを示す図である。図10は特に色度補正部を中心として信号の流れを更に詳しく示した図である。
本実施形態に係るディスプレイ装置(2)を画像表示のために使用する場合または、照明器具(1)を屋内照明のために使用する場合、MPU(38)でスイッチ(SW)を制御し映像(照明)信号入力に切り替える。
本実施形態に係るディスプレイ装置(2)を画像表示のために使用する場合は、映像信号送出器(30)から送られた映像信号が色度補正を行なう色度補正部(31a)を備えた信号処理装置(31)により処理され、処理された信号が各LED表示部(40)に送られて映像が表示される。
【0044】
本実施形態に係る照明器具(1)を屋内照明のために使用する場合も、照明信号送出器(42)から送られた照明信号が色度補正を行なう色度補正部(31a)を備えた信号処理装置(31)により処理され、処理された信号が各LED表示部(40)に送られて屋内照明を行なう。以下、照明器具(1)を屋内照明のために使用する場合と、ディスプレイ装置(2)を画像表示のために使用する場合の色度補正の具体的な処理について説明する。
【0045】
映像信号あるいは照明信号が色度補正部(31a)に送られ、それぞれRGBのDATAラッチ部(32)に送られラッチされる。演算処理部(33)は、ラッチされたRGBデータと記憶部である色度補正データメモリー(34)又は色補正係数レジスターに書き込まれた色度補正係数(35)とを演算して補正発光データを生成させる。
【0046】
補正発光データはデータメモリー(36)に送られる。データメモリー(36)では補正発光データがフレーム単位でストアされる。
【0047】
補正発光データの書き込み、読み出しはMPU(38)によって制御される。ストアされた補正発光データは定電流ドライバー(37)に供給される。MPU(38)から制御信号が輝度補正データメモリー(39)に送られ、輝度補正データが定電流ドライバー(37)に供給される。また、定電流ドライバー(37)には、データメモリー(36)から補正発光データが供給される。
【0048】
定電流ドライバー(37)は、輝度補正データで決められた電流量で、かつ、補正発光データで決められた時間だけ、PWM(パルス幅変調)でLED表示部(40)を駆動する。
【0049】
[本実施形態に係るディスプレイ装置および照明器具を天然芝育成照明器具として使用する場合]
一方、本実施形態に係るディスプレイ装置(2)および照明器具(1)を天然芝(13)育成のために使用する場合は、MPU(38)でスイッチ(SW)を制御し芝照明内部信号(41)に切り替える。演算処理部(33)では、芝育成用の色感覚を照明用またはディスプレイ用と同一化するために、さらに色度補正係数を加味して演算される。この場合色感覚とは、赤さ加減の違いを示す。芝生育成用赤色LEDの波長は660nm付近であるので、ディスプレイ用赤色LEDの波長が620nm付近で見えるようにするために、上記の補正がなされる。すなわち、演算処理部(33)は、芝照明用補正発光データを生成あるいは無補正発光データを生成させる。
【0050】
この芝照明用補正発光データあるいは無補正発光データは、データメモリー(36)に送られる。データメモリー(36)では、芝照明用補正発光データまたは無補正発光データがフレーム単位でストアされる。補正発光データの書き込みと読み出しはMPU(38)によって制御される。ストアされた補正発光データは定電流ドライバー(37)に供給される。MPU(38)から制御信号が輝度補正データメモリー(39)に送られ、輝度補正データが定電流ドライバー(37)に供給される。また、定電流ドライバー(37)には、芝照明用補正発光データまたは無補正発光データが供給される。定電流ドライバー(37)は、輝度補正データで決められた電流量で、かつ、照明用補正発光データあるいは無補正発光データで決められた時間だけ、PWM(パルス幅変調)でLED表示部(40)を駆動する。このようにして、本実施形態に係る照明器具(1)とディスプレイ装置(2)は、LED(21)の特定波長の光を照射して天然芝(13)の育成を行う。
【0051】
これにより、本実施形態に係る照明器具(1)とディスプレイ装置(2)は、照明効果やディスプレイ効果に支障をきたすことなく、LED(21)の赤色光の波長を光合成に最も効果のある波長である660nmとし、青色光の波長を天然芝(13)の形態形成に効果のある460nmとする天然芝育成照明器具として使用することができる。
【0052】
なお、上述した色度補正機能の回路は一例であり、これに限定されない。以下、本実施形態の照明器具(1)とディスプレイ装置(2)の色度補正機能の回路の変更例について説明する。
【0053】
通常、本実施形態に係るディスプレイ装置(2)を表示装置として使用する場合は、まず、図11に示すように、映像信号送出器(30)から送られたデジタル映像信号(シリアルRGB信号)が、デジタル・ビジュアル・インターフェース レシーバ(DVI Receiver)(52)を介しフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)(53)に送られる。信号送出部(54)のDVI Receiver(52)でシリアルRGB信号がパラレルRGB信号に変換されFPGA(53)に送られる。FPGA(53)ではRGB信号を1フレーム毎に一旦RAM(55)に記録する。
【0054】
FPGA(53)は、EP ROM(56)に格納されたデータを電源投入時にロードすることによって、予めプログラムされた回路が形成される。この回路によって、RAM(55)に記録されたデータを演算処理する。ここでは主に、複数の信号受信部(57)への信号の割り振りが行われる。その後のLAN Transmitter(58)ではパラレルRGB信号を1bitのシリアルに変換する。1bitのシリアルRGB信号はLANケーブル(図示されず)を介して信号受信部(57)へ送られる。
【0055】
信号受信部(57)では、LAN Transmitter(59)によって1bitシリアルRGB信号がパラレルRGB信号に変換されFPGA(60)に送られる。FPGA(60)では自分(FPGA(60))に割り振られた信号のみを受け取って1フレーム毎にRAM(61)に記録する。FPGA(60)はEP ROM(62)に格納されたデータを電源投入時にロードすることによって、予めプログラムされた回路が形成される。この回路によって、RAM(61)に記録されたデータを演算処理し、映像表示部(63)に信号を振り分けるとともに画質調整を行う。
【0056】
映像表示部(63)では割り当てられたパラレルRGB信号を受け取ってLED(21)を表示させる。ここでRow Driver(64)は表示するLED Matrix
Array(65)の行を切り換える。LED Matrix Array(65)の縦の列にはそれぞれ定電流Drive IC(66)が直列に接続されていてRGB信号に対応したパルス幅でLED(21)に電流を供給する。定電流Drive IC(66)に外付けされた抵抗R(67)は抵抗値に応じて電流値を決定する。
【0057】
照明器具(1)と競技場ディスプレイ装置(2)を天然芝育成照明器具として兼用して使用する場合は、図12に示すように、PC(71)からRS232Cケーブル(72)を介して操作信号が信号送信部(54)のFPGA(53)に送られる。さらに信号は変換され信号受信部(57)のFPGA(60)まで送られる。操作信号が送られると、天然芝育成照明器具として必要な機能を備えるためFPGA(60)によって新たにE
ROM(62)から指定されたデータがロードされ、回路が更新される。
【0058】
回路が更新されると、外部からのRGB映像信号を遮断し、天然芝育成に最適なRGBのパルス幅の内部信号を発生させる。各定電流 Drive IC(66)の外付け抵抗(67)を天然芝(13)育成に最適な電流値になるように切り換えるためスイッチ(SW)を操作する。切り換えが完了すると、信号送出部(54)は不要になるため切り離される。
【0059】
また、天然芝育成照明用途から照明用途または表示用途に切り換えて使用する場合は、PC(71)から切り換え操作を行ない、信号送出部(54)と信号受信部(57)と映像表示部(63)を全て接続する。このとき、各定電流 Drive IC(66)の外付け抵抗(67)を照明用途または表示用途に最適な電流値になるように切り換えるためスイッチ(SW)を操作する。また、このとき、天然芝育成用の波長のRGBの発光素子を使用しているので、入力したRGB信号のままでは忠実な色再現が行われない。このため、色度変換をRGB信号変換で行なう。このRGB信号変換は入力した信号に一定の係数を掛けて行う。
【0060】
この発明においては、天然芝(13)の養生に必要な光の波長は、赤(R)650~670nm、青(B)460~480nmであるのに対し、ディスプレイとして使用させる波長は、赤(R)615~635nm、緑(G)510~550nm、青(B)455~475nmであり、上述のごとく制御回路により補正することによって、天然芝育成用色度660nm(色度とは色感覚を数値化したもの)が、照明用およびディスプレイ用の色度620nm付近に見えるようにする。この発明においては、この照明用、ディスプレイ用と芝育成用の色度的違和感をなくすため色度補正を行い天然芝育成照明用途と、照明用途または画像表示用途の両方の兼用が達成できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、施設の屋内または半屋外において非営業時間に天然芝の植生された大きな面積を平面状の光源を近接させて覆うことにより必要最小限の電力で天然芝を育成でき、施設の営業時間には光源を簡単に近接位置から撤去して天然芝の商業的な利用を可能ならしめると同時に照明として屋内または半屋外を照明する、または大画面ディスプレイとして屋内または半屋外の人々に情報やイメージの伝達をすることができる装置の提供に好適に利用される。
【符号の説明】
【0062】
1 天然芝育成兼用照明器具
2 天然芝育成照明装置付きディスプレイ装置
3 照明手段
4 表示手段
5 昇降手段
10 天井
11 ワイヤー
12 床面
13 天然芝
16 ウィンチ
17 ディスプレイ面
18 照明面