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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092188
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ホースの巻取り装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/22 20060101AFI20230626BHJP
   B65H 75/14 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B65H75/22
B65H75/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207255
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】中澤 智貴
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AA03
3F058AB02
3F058AC15
3F058BB19
3F058CA04
3F058DA05
3F058DC09
3F058HB07
3F058JA09
3F058JA19
(57)【要約】
【課題】内部空間にフランジ部を開閉させる流体シリンダを備え、ホースの巻取り工程、結束線による結束工程およびホースの取外し工程が行われるドラム体を簡便に小径化してホースの巻取り径をより小さくできるホースの巻取り装置および方法を提供する。
【解決手段】アーム2を旋回させて、その長手方向両端部のドラム体4A、4Bを、巻取り工程を行う巻取り位置P1と、結束工程及び取外し工程を行う取外し位置P2との間で移動させ、ドラム体4A、4Bのドラム幅方向他方端側に配置された基部4cに、各流体シリンダ5のロッド7の先端部7aを接続し、各シリンダ本体6の基端部6aを対応するフランジ部4fにリンク機構を介して接続し、結束工程では、各ロッド7を伸長移動させてドラム軸を中心にして各フランジ部4fを放射状に開いた状態にしてロッド7どうしのドラム周方向のすき間に結束機13の結束ガイド13bを挿入させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回軸を中心にして旋回可能に軸支されたアームと、このアームの長手方向両端部で回転軸を中心にして回転可能に軸支されるドラム体とを有し、
それぞれの前記ドラム体がドラム周方向に間隔をあけて配置される複数のセグメントと、それぞれのセグメントで囲まれる内周側空間に配置される複数本の流体シリンダと、それぞれの前記セグメントのドラム軸方向一方端側に配置されるフランジ部とを有し、それぞれの前記フランジ部が対応するそれぞれの前記流体シリンダによってドラム軸心を中心にして放射状に開いた状態と閉じた状態に切り換わる構成になっていて、
前記アームを旋回させることでそれぞれの前記ドラム体を巻取り位置と取外し位置との間で移動させ、前記巻取り位置では空の状態の前記ドラム体に対して所定長さのホースを巻取る巻取り工程が行われ、前記取外し位置では前記ドラムに巻き取られた前記ホースが結束線で結束される結束工程と、巻き取られた状態で前記結束線により結束された前記ホースが前記ドラム体から取外される取外し工程が行われるターレット式のホースの巻取り装置において、
それぞれの前記ドラム体がドラム幅方向他方端側に配置された基部を有し、それぞれの前記流体シリンダのロッドの先端部が前記基部に接続されていて、それぞれの前記流体リンダのシリンダ本体の基端部が対応するそれぞれの前記フランジ部にリンク機構を介して接続されていて、前記結束工程では、それぞれの前記ロッドを伸長移動させることにより、それぞれの前記フランジ部が前記開いた状態になり、伸長移動させている前記ロッドどうしのドラム周方向のすき間に結束機の結束ガイドが挿入される構成にしたことを特徴とするホースの巻取り装置。
【請求項2】
前記結束ガイドが挿入される前記ロッドどうしのドラム周方向のすき間が平面視で4cm以上10cm以下である請求項1に記載のホースの巻取り装置。
【請求項3】
それぞれの前記ドラム体の内部に配置される前記流体シリンダの本数が3本または4本である請求項1または2に記載のホースの巻取り装置。
【請求項4】
旋回軸を中心にして旋回可能に軸支されたアームの長手方向両端部にドラム体を回転軸により回転可能に軸支して、
それぞれの前記ドラム体が、ドラム周方向に間隔をあけて配置される複数のセグメントと、それぞれのセグメントで囲まれる内周側空間に配置される複数本の流体シリンダと、それぞれの前記セグメントのドラム軸方向一方端側に配置されるフランジ部とを有し、それぞれの前記フランジ部が対応するそれぞれの前記流体シリンダによってドラム軸心を中心にして放射状に開いた状態と閉じた状態に切り換わる構成にして、
前記アームを旋回させてそれぞれの前記ドラム体を巻取り位置と取外し位置との間で移動させて、前記巻取り位置では空の状態の前記ドラム体に対して所定長さのホースを巻取る巻取り工程を行い、前記取外し位置では前記ドラムに巻き取られた前記ホースが結束線で結束される結束工程と、巻き取られた状態で前記結束線により結束された前記ホースを前記ドラム体から取外す取外し工程を行うターレット式のホースの巻取り装置を用いたホースの巻取り方法において、
それぞれの前記ドラム体のドラム幅方向他方端側に基部を配置し、それぞれの前記流体シリンダのロッドの先端部を前記基部に接続して、それぞれの前記流体リンダのシリンダ本体の基端部を対応するそれぞれの前記フランジ部にリンク機構を介して接続して、前記結束工程では、それぞれの前記流体シリンダのロッドを伸長移動させることにより、それぞれの前記フランジ部を前記開いた状態にして、伸長移動させている前記ロッドどうしのドラム周方向のすき間に結束機の結束ガイドを挿入させることを特徴とするホースの巻取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースの巻取り装置および方法に関し、さらに詳しくは、内部空間にフランジ部を開閉させる流体シリンダを備えて、ホースの巻取り工程、結束線による結束工程およびホースの取外し工程が行われるドラム体を簡便に小径化して、ホースの巻取り径をより小さくできるホースの巻取り装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムホースなどのホースの製造ラインでは、一時保管や輸送のために、ホースは所定長さでドラム体に巻き取られる(例えば、特許文献1参照)。ホースの巻取り装置には種々のタイプがあり、ホースの巻取り工程を効率化するために、ターレット式の巻取り装置が使用されている。
【0003】
ターレット式の巻取り装置では、アームの両端にドラム体が回転軸を中心にして回転可能に軸支されている。アーム一方端部のドラム体に対するホースの巻取り工程が完了すると旋回軸を中心にしてアームを旋回させて、このドラム体を巻取り位置からドラム体の取外し位置に移動させるとともに、取外し位置に待機していた空の状態のドラム体を巻取り位置に移動させる。巻取り位置では空の状態のドラム体に対して巻取り工程が行われる。取外し位置では、ドラム体に巻き取られたホースが結束線によって結束する結束工程と、その後に、巻き取られた状態で結束線によって結束されたホースをドラム体から取り外す取外し工程が行われる。ドラム体から取り外されたホースは、保管庫等に移送される。
【0004】
ホースを所定の高さの渦巻き状に巻き取るために、ドラム体のドラム軸方向両端部にはフランジ部が備わっている。ドラム幅方向一方側に配置されたフランジ部は、巻き取られたホースをドラム体から取外すために、ドラム体の外周面から突出した状態(放射状に開いた状態)と外周面から突出しない状態(閉じた状態)とに切り換えられる。そのため、ドラム体の内部空間にはフランジ部を開いた状態と閉じた状態に切り換えるための流体シリンダが配置されている。この流体シリンダのロッドを進退移動させてリンク機構を介してフランジ部は開いた状態と閉じた状態に切り換えられる。
【0005】
結束工程では、ドラム体を構成する周方向に隣り合うセグメントの間に結束機の結束ガイドが挿入されてドラム体の内部空間に結束ガイドが進入する。そのため、ドラムの内部空間では流体シリンダどうしをある程度の間隔をあけて配置する必要があるので、ドラム体を小径化することが難しい。それ故、ドラム体を簡便に小径化してホースの巻取り径をより小さくするには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60-120040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、内部空間にフランジ部を開閉させる流体シリンダを備えて、ホースの巻取り工程、結束線による結束工程およびホースの取外し工程が行われるドラム体を簡便に小径化してホースの巻取り径をより小さくできるホースの巻取り装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明のホースの巻取り装置は、旋回軸を中心にして旋回可能に軸支されたアームと、このアームの長手方向両端部で回転軸を中心にして回転可能に軸支されるドラム体とを有し、それぞれの前記ドラム体がドラム周方向に間隔をあけて配置される複数のセグメントと、それぞれのセグメントで囲まれる内周側空間に配置される複数本の流体シリンダと、それぞれの前記セグメントのドラム軸方向一方端側に配置されるフランジ部とを有し、それぞれの前記フランジ部が対応するそれぞれの前記流体シリンダによってドラム軸心を中心にして放射状に開いた状態と閉じた状態に切り換わる構成になっていて、前記アームを旋回させることでそれぞれの前記ドラム体を巻取り位置と取外し位置との間で移動させ、前記巻取り位置では空の状態の前記ドラム体に対して所定長さのホースを巻取る巻取り工程が行われ、前記取外し位置では前記ドラムに巻き取られた前記ホースが結束線で結束される結束工程と、巻き取られた状態で前記結束線により結束された前記ホースが前記ドラム体から取外される取外し工程が行われるターレット式のホースの巻取り装置において、それぞれの前記ドラム体がドラム幅方向他方端側に配置された基部を有し、それぞれの前記流体シリンダのロッドの先端部が前記基部に接続されていて、それぞれの前記流体リンダのシリンダ本体の基端部が対応するそれぞれの前記フランジ部にリンク機構を介して接続されていて、前記結束工程では、それぞれの前記ロッドを伸長移動させることにより、それぞれの前記フランジ部が前記開いた状態になり、伸長移動させている前記ロッドどうしのドラム周方向のすき間に結束機の結束ガイドが挿入される構成にしたことを特徴とする。
【0009】
本発明のホースの巻取り方法は、旋回軸を中心にして旋回可能に軸支されたアームの長手方向両端部にドラム体を回転軸により回転可能に軸支して、それぞれの前記ドラム体が、ドラム周方向に間隔をあけて配置される複数のセグメントと、それぞれのセグメントで囲まれる内周側空間に配置される複数本の流体シリンダと、それぞれの前記セグメントのドラム軸方向一方端側に配置されるフランジ部とを有し、それぞれの前記フランジ部が対応するそれぞれの前記流体シリンダによってドラム軸心を中心にして放射状に開いた状態と閉じた状態に切り換わる構成にして、前記アームを旋回させてそれぞれの前記ドラム体を巻取り位置と取外し位置との間で移動させて、前記巻取り位置では空の状態の前記ドラム体に対して所定長さのホースを巻取る巻取り工程を行い、前記取外し位置では前記ドラムに巻き取られた前記ホースが結束線で結束される結束工程と、巻き取られた状態で前記結束線により結束された前記ホースを前記ドラム体から取外す取外し工程を行うターレット式のホースの巻取り装置を用いたホースの巻取り方法において、それぞれの前記ドラム体のドラム幅方向他方端側に基部を配置し、それぞれの前記流体シリンダのロッドの先端部を前記基部に接続して、それぞれの前記流体リンダのシリンダ本体の基端部を対応するそれぞれの前記フランジ部にリンク機構を介して接続して、前記結束工程では、それぞれの前記流体シリンダのロッドを伸長移動させることにより、それぞれの前記フランジ部を前記開いた状態にして、伸長移動させている前記ロッドどうしのドラム周方向のすき間に結束機の結束ガイドを挿入させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記結束工程では、それぞれの前記流体シリンダのロッドを伸長移動させることにより、それぞれの前記フランジ部を前記開いた状態にして、伸長移動させている前記ロッドどうしのドラム周方向のすき間に結束機の結束ガイドを挿入させる。それぞれの前記流体シリンダでは、シリンダ本体よりもロッドの方が細径である。前記結束工程では、前記結束ガイドを挿入させるのは、前記シリンダ本体どうしのドラム周方向のすき間ではなく前記ロッドどうしのドラム周方向のすき間なので、前記結束ガイドを挿入させるすき間をより大きく確保できる。これに伴って、それぞれの前記流体シリンダどうしをより近接して配置するには有利になり、ドラム体を簡便に小径化してホースの巻取り径をより小さくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のホースの巻取り装置の実施形態を側面視で例示する説明図である。
図2図1のA-A矢視で巻取り装置を例示する説明図である。
図3図1の巻取り位置にあるドラム体の拡大図である。
図4図3のドラム体を平面視で例示する説明図である。
図5図1の取外し位置にあるドラム体を、ホースを省略して拡大して例示する説明図である。
図6図5のドラム体を平面視で例示する説明図である。
図7図1の取外し位置での結束工程が終了した状態の巻取り装置を例示する説明図である。
図8図7の取外し位置にあるドラム体を平面視で例示する説明図である。
図9図7の取外し位置にあるドラム体を、ホースを省略して拡大して例示する説明図である。
図10図9のドラム体を平面視で例示する説明図である。
図11図7の取外し位置での取外し工程および巻取り位置での巻取り工程が終了した状態の巻取り装置を例示する説明図である。
図12図11のアームを上下方向に旋回させてそれぞれのドラム体を巻取り位置と取外し位置との間で移動させている状態を例示する説明図である。
図13図12の一方のドラム体が取外し位置に移動し、他方のドラム体が巻取り位置に移動した状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のホースの巻取り装置および方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1図4に例示するホースの巻取り装置1の実施形態はターレット式であり、旋回軸2aに軸支されたアーム2と、アーム2を旋回させる旋回駆動モータ3と、アーム2の長手方向両端部で回転軸8a、8bに回転可能に軸支されたドラム体4A、4Bと、制御部11とを有している。ホースHの製造ラインでは、巻取り装置1の上流側にはホース供給部12が配置されていて、下流側には結束機13が配置されている。
【0014】
図1のホース供給部12側に配置されているドラム体4Aの位置が、後述する巻取り位置P1になる。結束機13側に配置されているドラム体4Bの位置が、後述する取外し位置P2になる。
【0015】
この巻取り装置1では、アーム2を上下方向に旋回させることにより、それぞれのドラム体4A、4Bを巻取り位置P1と取外し位置P2との間で移動させる。巻取り位置P1では空の状態のドラム体4Aに対して所定長さのホースを巻取る巻取り工程が行われる。取外し位置P2ではドラム4Bに巻き取られたホースHが結束線14で結束される結束工程と、巻き取られた状態で結束線14により結束されたホースHがドラム体4Bから取外される取外し工程が行われる。
【0016】
巻取り装置1によって巻き取られるホースHは、ゴムホース、樹脂ホースなど種々のタイプである。例えば、金属製や樹脂製の補強コードがスパイラル状に巻き付けられて構成した補強層やこれら補強コードが編組されて構成した補強層が埋設されているホースHなどが巻取り装置1によって巻き取られる。ホースHの外径は例えば10mm~40mm程度である。
【0017】
アーム2は旋回軸2aに接続されていて、旋回軸2aを中心にして上下方向に旋回する。旋回軸2aを回転駆動する旋回駆動モータ3には種々のモータを用いることができ、例えばサーボモータが用いられる。この実施形態ではベースに立設された支持ポストに旋回駆動モータ3が取付けられている。
【0018】
それぞれのドラム体4A、4Bは、それぞれの回転軸8a、8bを中心にして、それぞれの回転駆動モータ9a、9bにより回転駆動される。それぞれの回転駆動モータ9a、9bにはサーボモータが用いられる。
【0019】
それぞれのドラム体4A、4Bは、回転軸8a、8bとともに回転する基部4cに接続された複数のセグメント4sと複数のフランジ部4fとを有している。それぞれのドラム体4A、4Bは同様の構造なので、以下、ドラム体4Aについて説明する。
【0020】
ドラム体4Aは、複数のセグメント4sと、それぞれのセグメント4sで囲まれる内周側空間に配置される複数本の流体シリンダ5と、それぞれのセグメント4sのドラム軸方向両端側に配置されるフランジ部4fとを有している。ドラム体4Aを構成するセグメント4sはこの実施形態では4個であるが、セグメント4sの数は例えば3個~4個である。
【0021】
それぞれのセグメント4sは円筒体を周方向に等分割した形状になっている。周方向に隣り合うセグメント4sどうしの間には、ドラム軸方向に延在するすき間が形成されている。それぞれのセグメント4sの外周面は、ホースHが巻き取られるドラム外周面になる。ドラム外周面の外径は例えば30cm~60cmである。
【0022】
それぞれのセグメント4sで囲まれる内周側の円筒状空間には、ドラム軸方向に延在する4本の流体シリンダ5が配置されている。セグメント4sと同数の流体シリンダ5が配置される。流体シリンダ5としては公知のエアシリンダ、油圧シリンダなどを用いることができる。それぞれの流体シリンダ5は、シリンダ本体6に対してロッド7を伸長移動および収縮移動させる。
【0023】
それぞれの流体シリンダ5のロッド7の先端部7aは基部4cに接続されている。それぞれの流体リンダ5のシリンダ本体6の基端部6aは、対応するそれぞれのフランジ部4fにリンク機構を介して接続されている。このリンク機構は直線運動を回転運動に変換する公知の種々のリンク機構を用いることができる。
【0024】
フランジ部4fは、それぞれのセグメント4s毎にドラム軸方向両端部に配置されている。この実施形態ではそれぞれのセグメント4sのドラム軸方向両端部に略四角形の板状のフランジ部4fが配置されている。
【0025】
ドラム体4Aは回転軸8aに片持ち支持されていて、ドラム体4Aのドラム軸方向一方端側は自由端である。ドラム体4Aのドラム軸方向他方端側(回転駆動モータ9aが配置されている側)に回転軸8aが接続されている。ドラム体4Aのドラム軸方向他方端側に配置されているそれぞれのフランジ部4fは、ドラム半径方向外側に向かって延在していて、ドラム体4A(セグメント4s)の外周面よりも常に外周側に突出するように設定されている。
【0026】
ドラム体4Aのドラム軸方向一方端側(自由端側)に配置されているそれぞれのフランジ部4fには、対応する流体シリンダ5のシリンダ本体6の基端部6aがリンク機構を介して接続されている。ドラム軸方向一方端側に配置されているそれぞれのフランジ部4fは、接続されているそれぞれの流体シリンダ5によってドラム軸心を中心にして放射状に開いた状態と閉じた状態に切り換わる構成になっている。
【0027】
図3図4に例示するそれぞれのフランジ部4fが、ドラム軸心(回転軸8a)を中心にして放射状に開いた状態であり、それぞれのフランジ部4fはドラム半径方向外側に向かって延在している。この開いた状態のそれぞれのフランジ部4fは、ドラム外周面(対応するそれぞれのセグメント4sの外周面)よりも外周側に突出している。それぞれのフランジ部4fが閉じた状態とは、それぞれのフランジ部4fがドラム軸方向に向かって延在している状態である。閉じた状態のそれぞれのフランジ部4fは、ドラム体4A(セグメント4s)の外周面よりも外周側に突出しない。
【0028】
ドラム軸方向一方端側(自由端側)に配置されているそれぞれのフランジ部4fは、それぞれの流体シリンダ5のロッド7の進退(伸長移動および収縮移動)によって、開いた状態と閉じた状態とに切り換わる。図4に例示するように、ドラム周方向に隣り合って配置されている流体シリンダ5のロッド7どうしのドラム周方向すき間Lが最大になる時のドラム体4Aの回転軸8aを中心にした回転位置(回転角度)は、予め把握されていて制御部11に記憶されている。
【0029】
さらにドラム体4Aには、ドラム体4A(セグメント4s)の外周面に対して近接および離反移動するホース始端保持部10が備わっている。各種の流体シリンダなどによって作動するホース始端保持部10は、ドラム体4A(セグメント4s)の外周面に対して近接移動すると、ドラム体4A(セグメント4s)の外周面との間にホースHの始端部Htを挟んで保持する。
【0030】
制御部11は、旋回駆動モータ3、回転駆動モータ9a、9b、ホース始端保持部10、それぞれの流体シリンダ5の動きを制御する。したがって、上述したフランジ部4fを開いた状態と閉じた状態とに切り換える動きは制御部11により制御される。制御部11としては公知のコンピュータが用いられる。
【0031】
ホース供給部12は、搬送機構12aとカッタ12bとを有している。搬送機構12aとしては公知のベルトコンベヤやこれに類する機器が用いられる。製造されたホースHは搬送機構12aに載置されて移動して巻取り装置1に供給される。供給されるホースHは、カッタ12bによって所定長さに切断される。
【0032】
結束機13は、巻取り装置1によってドラム体4A、4Bに巻き取られたホースHを巻取り状態で結束線14によって結束する。結束機13としては公知の種々のタイプを用いることができる。結束機13の結束ガイド13a、13bによって導出された結束線14が、周方向に隣り合うセグメント4sどうしの間に形成されているドラム軸方向に延在するすき間の位置でホースHを結束する。
【0033】
以下、この巻取り装置1を用いてホースHを巻き取る手順の一例を説明する。
【0034】
図1、2に例示するように、巻取り位置P1では空の状態のドラム体4Aに対して所定長さのホースHを巻取る巻取り工程が行われ、取外し位置P2ではドラム4Bに巻き取られたホースHが結束線14で結束される結束工程と、巻き取られた状態で結束線14により結束されたホースHがドラム体4Bから取外される取外し工程が行われる。巻取り工程と、結束工程および取外し工程とは、並行して行われる。
【0035】
巻取り工程では、ホース供給部12から供給されたホースHの始端部Htが、ドラム体4Aの外周面との間にホース始端保持部10との間に挿入され、ホース始端保持部10がドラム体4Aの外周面に対して近接移動する。これにより、始端部Htは、ホース始端保持部10とドラム体4Aの外周面との間に挟まれて保持される。巻取り工程では、ドラム体4Aのドラム軸方向両端部のフランジ部4fは、ドラム外周面から外周側に突出した状態になっている。
【0036】
次いで、回転駆動モータ9aを作動させて、図3図4に例示するように回転軸8aを中心にしてドラム体4Aを回転させることにより、ホースHをドラム体4Aに巻き取る。適宜のタイミングでカッタ12bによって所定長さに切断されたホースHは、ドラム体4Aのドラム軸方向に離間して配置されているフランジ部4fの間で渦巻き状にドラム体4Aの外周面上に巻き取られる。
【0037】
結束工程では、ドラム体4Bの周方向に隣り合うセグメント4sどうしの間に形成されているドラム軸方向に延在するすき間で、結束ガイド13a、13bから導出された結束線14を、ドラム体4Bに巻き取られているホースHを横断させて繰り返し巻き回す。これにより、ドラム体4Bに渦巻き状に巻き取られているホースHが、結束線14によって結束される。回転軸8bを中心にしてドラム体4Bを順次90°回転させて、周方向に隣り合うセグメント4sどうしのすき間のすべての箇所(この実施形態では4箇所)で同様に結束線14によってホースHを結束する。
【0038】
結束工程では、ドラム体4Bのドラム軸方向両端部のフランジ部4fは、ドラム外周面から外周側に突出した状態になっている。尚、ホース始端保持部10は適宜のタイミングでドラム体4Bの外周面から離反移動させて、ホース始端保持部10による始端部Htに対する保持を解除する。
【0039】
詳述すると、図5図6に例示するように結束工程では、それぞれのロッド7を伸長移動させることにより、ドラム軸方向一方端側(自由端側)のそれぞれのフランジ部4fがドラム軸心を中心にして放射状に開いた状態になっている。したがって、それぞれのロッド7は伸長移動していて、それぞれのシリンダ本体6は基部4cから遠ざかっている。ドラム体4Bの上方からは一方の結束ガイド13bが下方移動してドラム体4Bの内部に進入する。即ち、上方にある2本の伸長移動させているロッド7どうしのドラム周方向すき間(平面視で間隔L)に一方の結束ガイド13bが上方から進入する。
【0040】
他方の結束ガイド13aは、ドラム軸方向一方端側(自由端側)から水平移動してドラム体4Bの内部に進入する。即ち、他方の結束ガイド13aはドラム軸心方向に移動してドラム体4Bの内部に進入して、互いの結束ガイド13a、13bが近接した状態なる。この状態で、結束ガイド13a、13bの間で結束線14を導出させて、ホースHの結束が行われる。
【0041】
結束工程が終了した後の取外しで工程では、図7図8に例示するようにドラム体4Bのドラム軸方向自由端側のフランジ部4fを、開いた状態から閉じた状態に切り換える。これにより、このフランジ部4fは、ドラム外周面から外周側に突出しない状態になる。
【0042】
次いで、ドラム体4Bに渦巻き状に巻き取られた状態で結束線14により結束されたホースHを、公知の移送装置を用いてドラム体4Bのドラム軸方向自由端側に移動させてドラム体4Bから取外す。そして、ドラム体4Bから取外したホースHをこの移送装置により保管庫等に移送する。
【0043】
ドラム軸方向自由端側のそれぞれのフランジ部4fを閉じた状態にするには、図9図10に例示するように、それぞれのロッド7を収縮移動させる。これにより、それぞれのシリンダ本体6は基部4cに近接した状態になる。それぞれのフランジ部4fは、接続されているそれぞれのシリンダ本体6の基端部6a側で回動して閉じた状態になる。
【0044】
巻取り工程と取外し工程とが終了すると、図11に例示するように、巻取り位置P1にあるドラム体4Aには所定長さのホースHが巻き取られた状態になる。取り外し位置P2にあるドラム体4BはホースHが巻き取られていない空の状態になる。
【0045】
次いで、図12に例示するように旋回軸2aを中心にしてアーム2を反時計回りに180°旋回させる。これにより、図13に例示するようにホースHが巻き取られたドラム体4Aを巻取り位置P1から取外し位置P2へ移動させるとともに、空の状態のドラム体4Bを取外し位置P2から巻取り位置P1へ移動させる。
【0046】
この実施形態の結束工程では、伸長移動させているロッド7どうしのドラム周方向のすき間(平面視で間隔L)に結束ガイド13bを挿入させる。仮に、それぞれの流体シリンダ5の長手方向向きを反対にして、それぞれのシリンダ本体6の基端部6aを基部4cに接続し、それぞれのロッド7の先端部7aをリンク機構を介して対応するそれぞれのフランジ部4fに接続した場合は、結束ガイド13bが挿入される場所のすき間(平面視で間隔L)は、シリンダ本体6どうしのドラム周方向のすき間になる。それぞれの流体シリンダ5では、シリンダ本体6よりもロッド7の方が細径である。ロッド7の外径は、シリンダ本体6の外径よりも例えば、2cm~6cm程度小さい。それ故、この実施形態では、この間隔Lをより大きく確保するには有利になっている。
【0047】
即ち、この実施形態では、結束ガイド13bを挿入させるのは、シリンダ本体6どうしのドラム周方向のすき間ではなくロッド7どうしのドラム周方向のすき間なので、結束ガイド13bを挿入させるすき間(平面視で間隔L)をより大きく確保できる。これに伴って、ドラム体4A、4Bのそれぞれのセグメント4sで囲まれる内周側空間に配置される流体シリンダ5どうしをより近接して配置するには有利になる。その結果、ドラム体4A、4Bを簡便に小径化してホースHの巻取り径をより小さくすることが可能になる。このすき間(平面視で間隔L)の大きさは例えば、4cm以上10cm以下である。
【0048】
従来、ドラム体4A、4Bのそれぞれのセグメント4sで囲まれる内周側空間に配置される流体シリンダ5の数は4本以上であったが、この実施形態によれば、それぞれのドラム体4A、4Bの内部に配置される流体シリンダ5の数を3本にすることも可能になり、一段とドラム体4A、4Bを小径化してホースHの巻取り径をより小さくすることも可能になる。
【0049】
アーム2を旋回させる際には、ドラム体4Aは、巻き取られたホースHが巻き崩れないように(巻き解けが生じないように)、図12に例示するように、ドラム体4Aを巻取り位置P1から取外し位置P2まで移動させている間に、制御部11は旋回駆動モータ3と回転駆動モータ9aとを連動させて制御することもできる。制御部11は、巻取り位置P1から取外し位置P2まで移動させているドラム体4Aを、回転軸8aを中心にした相対的な回転を無くすように回転駆動モータ9aを制御する。
【0050】
具体的には図11図12図13に例示するように、巻取り位置P1においてドラム体4Aの外周面右斜め下に位置していたホースHの終端部Heが、ドラム体4Aが巻取り位置P1から取外し位置P2に移動する間、常に、ドラム体4Aの外周面右斜め下に位置するように、回転駆動モータ9aを制御して回転軸8aを中心にしてドラム体4Aを回転させる。
【0051】
このように、終端部Heは巻き解け(巻き崩れ)が生じ難いドラム体4Aの外周面右斜め下の位置に維持されつつ、ドラム体4Aは巻取り位置P1から取外し位置P2に旋回移動する。尚、ドラム体4Aが巻取り位置P1から取外し位置P2に旋回移動する過程で終端部Heが維持される位置は、ドラム体4Aの外周面右斜め下の位置に限らず、ホースHの巻き解け(巻き崩れ)が生じ難い位置であればよい。例えば、終端部Heはドラム体4Aの外周面左斜め下の位置や外周面下端の位置などに維持されてもよい。
【0052】
巻取り位置P1から取外し位置P2に移動したドラム体4Aに対しては、上述のドラム体4Bに対して行った結束工程および取外し工程を行う。取外し位置P2から巻取り位置P1に移動したドラム体4Bに対しては、上述のドラム体4Aに対して行った巻取り工程を行う。巻取り工程と取外し工程とが終了した後は、旋回軸2aを中心にしてアーム2を時計回りに旋回させて、ドラム体4Bを巻取り位置P1から取外し位置P2に移動させるとともに、ドラム体4Aを取外し位置P2から巻取り位置P1に移動させる。
【0053】
空の状態のドラム体4Bを取外し位置P2から巻取り位置P1まで移動させている間に、制御部11により旋回駆動モータ3と回転駆動モータ9bとを連動させて制御して、ドラム体4Bに備わるホース始端保持部10を所定のホース保持位置に位置決めすることもできる。空の状態のドラム体4Bが巻取り位置P1に配置された時に、ホース供給部12から供給されるホースHの始端部Htを、ホース始端保持部10が保持し易い位置が、この所定のホース保持位置として設定される。
【0054】
このようにホース始端保持部10を位置決めすると、空の状態のドラム体4Bが巻取り位置P1に移動すると、ホース供給部12から供給されたホースHの始端部Htを迅速にホース始端保持部10によって保持できる。そのため、巻き取り工程を即座に開始できるので、ドラム体4Bに対してホースHの巻取りを効率的に行うには益々有利になる。
【0055】
この実施形態では、旋回軸2aを中心にしてアーム2を時計回りに180°および反時計回りに180°に交互に旋回させる動作を繰り返すことで、それぞれのドラム体4A、4Bを巻取り位置P1と取外し位置P2との間で移動させる。そのため、それぞれの回転駆動モータ9a、9b、フランジ部4f、ホース始端保持部10の動作のために電気を供給するケーブル類を、スリップリングを介してそれぞれの機器に接続しなくても済む。
【0056】
それぞれのドラム体4A、4Bを巻取り位置P1と取外し位置P2との間で移動させために、旋回軸2aを中心にしてアーム2を360°回転させる仕様にすることもできる。即ち、旋回軸2aを中心にしてアーム2を、時計回りまたは反時計回りのいずれか一方向のみに回転可能にした仕様にしてもよい。この仕様にした場合は、それぞれの回転駆動モータ9a、9b、フランジ部4f、ホース始端保持部10の動作のために電気を供給するケーブル類は、スリップリングを介してそれぞれの機器に接続される。
【0057】
本発明が適用できるのは、アーム2の旋回方向が上下方向である場合に限定されない。例えば、旋回軸2aが上下に延在していてアーム2が水平方向に旋回する巻取り装置1についても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 巻取り装置
2 アーム
2a 旋回軸
3 旋回駆動モータ
4A、4B ドラム体
4c 基部
4s セグメント
4f フランジ部
5 流体シリンダ
6 シリンダ本体
6a 基端部
7 ロッド
7a 先端部
8a、8b 回転軸
9a 9b 回転駆動モータ
10 ホース始端保持部
11 制御部
12 ホース供給部
12a 搬送機構
12b カッタ
13 結束機
13a、13b 結束ガイド
14 結束線
H ホース
Ht 始端部
He 終端部
図1
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