(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092208
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】使用機器制御システム、電動自転車、使用機器制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B62M 6/50 20100101AFI20230626BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20230626BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20230626BHJP
B60C 23/04 20060101ALI20230626BHJP
B62J 45/412 20200101ALI20230626BHJP
B62J 50/22 20200101ALI20230626BHJP
B62K 25/04 20060101ALI20230626BHJP
B62M 9/04 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B62M6/50
B62J45/41
B62J45/00
B60C23/04 220B
B62J45/412
B62J50/22
B62K25/04
B62M9/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207289
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】照岡 一史
(72)【発明者】
【氏名】加茂 広之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 隆太
(72)【発明者】
【氏名】宮前 翼
(72)【発明者】
【氏名】保坂 崚晶
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】乃生 将也
【テーマコード(参考)】
3D014
【Fターム(参考)】
3D014DD02
3D014DE21
(57)【要約】
【課題】車体に乗車するユーザの快適性を向上しやすくすること。
【解決手段】使用機器制御システム1は、取得部41と、検知部42と、制御部43と、を備える。取得部41は、車体10の走行速度に関する速度情報を取得する。検知部42は、取得部41が取得した速度情報に基づいて、車体10のタイヤの空気圧を検知する。制御部43は、検知部42が検知したタイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの状態に応じて、車体10に用いられる使用機器5を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の走行速度に関する速度情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記速度情報に基づいて、前記車体のタイヤの空気圧を検知する検知部と、
前記検知部が検知した前記タイヤの空気圧に基づく前記タイヤの状態に応じて、前記車体に用いられる使用機器を制御する制御部と、を備える、
使用機器制御システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記車体の車輪の速度を検知する第1速度センサによる第1検知結果と、測位システムを用いて前記車体の速度を検知する第2速度センサによる第2検知結果と、を前記速度情報として取得し、
前記検知部は、前記第1検知結果と前記第2検知結果との比較に基づいて、前記タイヤの空気圧を検知する、
請求項1に記載の使用機器制御システム。
【請求項3】
前記使用機器は、前記車体の走行を補助するための補助駆動力を付加する電動モータであって、
前記制御部は、前記タイヤの空気圧に応じて前記補助駆動力を調整するように前記電動モータを制御する、
請求項1又は2に記載の使用機器制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記タイヤの種類、及び前記タイヤの空気圧に基づく前記タイヤの周長を更に参照して、前記電動モータを制御する、
請求項3に記載の使用機器制御システム。
【請求項5】
前記使用機器は、変速機であって、
前記制御部は、前記タイヤの空気圧に応じてギア比を調整するように前記変速機を制御する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の使用機器制御システム。
【請求項6】
前記使用機器は、サスペンションであって、
前記制御部は、前記タイヤの空気圧に応じて減衰力を調整するように前記サスペンションを制御する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の使用機器制御システム。
【請求項7】
前記使用機器は、空気充填機であって、
前記制御部は、前記タイヤの空気圧に応じて前記タイヤに補充される空気が調整されるように前記空気充填機を制御する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の使用機器制御システム。
【請求項8】
前記使用機器は、外部装置との間で通信するための通知モジュールであって、
前記制御部は、前記タイヤの状態に関する状態情報を、前記外部装置へ送信するように前記通知モジュールを制御する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の使用機器制御システム。
【請求項9】
前記使用機器は、前記車体の周囲に報知するための報知モジュールであって、
前記制御部は、前記タイヤの状態に関する状態情報を前記車体の周囲に報知するように、前記報知モジュールを制御する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の使用機器制御システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の使用機器制御システムと、
前記車体の走行を補助するための補助駆動力を付加する電動モータと、を備える、
電動自転車。
【請求項11】
車体の走行速度に関する速度情報を取得することと、
取得した前記速度情報に基づいて、前記車体のタイヤの空気圧を検知することと、
検知した前記タイヤの空気圧に基づく前記タイヤの状態に応じて、前記車体に用いられる使用機器を制御することと、を含む、
使用機器制御方法。
【請求項12】
1以上のプロセッサに、
請求項11に記載の使用機器制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用機器制御システム、電動自転車、使用機器制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両環境を検知する性能の異なる複数のセンサと、複数のセンサのそれぞれの出力パターンによって車両異常内容を定める異常内容判定手段と、異常内容判定手段により車両異常内容が定められると、車両異常内容に関する情報を送信させる通信制御手段とを備えている車両異常配信装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車体に乗車するユーザの快適性を向上しやすい使用機器制御システム、電動自転車、使用機器制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る使用機器制御システムは、取得部と、検知部と、制御部と、を備える。前記取得部は、車体の走行速度に関する速度情報を取得する。前記検知部は、前記取得部が取得した前記速度情報に基づいて、前記車体のタイヤの空気圧を検知する。前記制御部は、前記検知部が検知した前記タイヤの空気圧に基づく前記タイヤの状態に応じて、前記車体に用いられる使用機器を制御する。
【0006】
また、本開示の一態様に係る電動自転車は、上記の使用機器制御システムと、前記車体の走行を補助するための補助駆動力を付加する電動モータと、を備える。
【0007】
また、本開示の一態様に係る使用機器制御方法は、車体の走行速度に関する速度情報を取得することと、取得した前記速度情報に基づいて、前記車体のタイヤの空気圧を検知することと、検知した前記タイヤの空気圧に基づく前記タイヤの状態に応じて、前記車体に用いられる使用機器を制御することと、を含む。
【0008】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の使用機器制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る使用機器制御システム等によれば、車体に乗車するユーザの快適性を向上しやすくなる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る使用機器制御システムを備えた電動自転車を例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る電動自転車を例示する側面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る空気充填機を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る車両シェアシステムを例示する模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る使用機器制御システムの基本動作例を例示するフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る使用機器制御システムにおける電動モータの制御例を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
以下、実施の形態に係る使用機器制御システム、電動自転車、使用機器制御方法及びプログラムについて説明する。
【0014】
(実施の形態)
<構成>
[電動自転車]
まず、使用機器制御システム1が用いられる電動自転車2について説明する。
図1は、実施の形態に係る使用機器制御システム1を備えた電動自転車2を例示するブロック図である。
図2は、実施の形態に係る電動自転車2を例示する側面図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、電動自転車2は、電気的な動力によって、走行面を走行可能な車両である。実施の形態では、車両の一例として電動自転車2を用いて説明するが、車両は、電動自転車2に限定されない。車両は、例えば、自動車、バイク、人力駆動車、自転車等のように、車輪の回転によって走行面を走行可能な車体10を有する移動体である。
【0016】
実施の形態の電動自転車2は、ユーザの踏力を電動モータ45の補助駆動力によって補助する電動アシスト自転車である。つまり、実施の形態では、電動自転車2は、使用機器制御システム1と、車体10の走行を補助するための補助駆動力を付加する電動モータ45と、を備えている。なお、電動自転車2は、踏力により車輪に動力を与える人力駆動と、電動モータ45により車輪に動力を与える補助駆動力とが独立していてもよく、電動モータ45のみでも走行可能(自走可能)な自転車であってもよい。
【0017】
例えば、電動自転車2は、アシストモードと、押し歩きモードと、自走モードとを有する。アシストモードは、ペダル16へのユーザの踏力に基づく電動自転車2の前進を補助するモードである。押し歩きモードは、ユーザが電動自転車2を押して歩くときに、ユーザによる車体10を前へ押す力に基づいて、電動自転車2の前進を補助するモードである。自走モードは、ユーザが電動自転車2を支えながら歩くときに、電動自転車2の前進を補助するモードである。
【0018】
電動自転車2は、使用機器制御システム1を搭載した車体10で構成されている。
【0019】
車体10は、フレーム11と、前輪12と、後輪13と、サドル14と、ハンドル15と、ペダル16と、クランク17と、チェーン19と、変速機51と、サスペンション52と、センサと、制御装置40と、モータユニット44と、通知モジュール50と、操作部61と、手動スイッチ62と、バッテリ63とを有している。
【0020】
フレーム11は、電動自転車2の骨組みである。フレーム11は、例えば、アルミニウム合金、鉄、クロムモリブデン鋼、スチール、又はチタン等の金属で構成されている。なお、フレーム11は、カーボン、又は合成樹脂等で構成されていてもよい。
【0021】
フレーム11は、前フレーム11aと、後フレーム11bとを有している。
【0022】
前フレーム11aは、フレーム11において前側部分を構成する。前フレーム11aは、ヘッドチューブ11a1と、ダウンチューブ11a2と、シートチューブ11a3とを有している。なお、フレーム11は、サスペンションを有する構成であってもよい。
【0023】
ヘッドチューブ11a1は、前フレーム11aの前端部に接続されている。ヘッドチューブ11a1には、ヘッドチューブ11a1の長手方向に沿った軸周りで回転自在となるように、前フォーク11a4及びハンドル15が取り付けられている。前フォーク11a4には、前輪12が回転可能に取り付けられている。ハンドル15を左右に回すことで、前フォーク11a4に支持された前輪12の向きを左右に回転させることができる。また、前フォーク11a4には、前照灯が取り付けられる。また、前フォーク11a4には、サスペンション52が取り付けられる。実施の形態では、サスペンション52は、後述する使用機器制御システム1により制御されることで、減衰力を調整可能に構成されている。
【0024】
ダウンチューブ11a2は、ヘッドチューブ11a1とシートチューブ11a3とを繋いでいる。ダウンチューブ11a2には、バッテリ63と、モータユニット44と、制御装置40とが設けられている。
【0025】
シートチューブ11a3は、サドル14を保持している。シートチューブ11a3には、シートチューブ11a3の長手方向に沿って移動可能に、サドル14が取り付けられている。シートチューブ11a3の下端は、ダウンチューブ11a2の後端部に接続されている。シートチューブ11a3は、前後方向において、前輪12と後輪13との間に位置している。シートチューブ11a3には、バッテリ63が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
後フレーム11bは、前フレーム11aよりも後側に配置され、フレーム11において後側部分を構成する。後フレーム11bには、後輪13と、後輪13の車軸に連動する後部スプロケット71と、リアシート80とが取り付けられている。実施の形態では、リアシート80は、子供を載せるためのキャリアとして機能する。もちろん、リアシート80は、子供を載せる代わりに、荷物を載せるためのキャリアとして機能してもよい。後部スプロケット71と前部スプロケット72との間には、チェーン19が架け渡されている。これにより、ペダル16が踏み込まれることによって回転した前部スプロケット72の回転力が、チェーン19及び後部スプロケット71を介して後輪13に伝達される。実施の形態では、ペダル16と前部スプロケット72と後部スプロケット71とチェーン19とで、人力に依拠する後輪駆動機構が形成されている。
【0027】
前輪12は、車体10が走行するためのタイヤ12aを有する。前輪12は、前後方向に並ぶ二つの車輪のうちの前側の車輪である。前輪12は、左右方向に沿った軸回りに回転し得るように前フォーク11a4に支持される。なお、前輪12はモータユニット44から動力の伝達を受けてもよく、例えば、前輪12を回転させる駆動力を付与するモータが設けられていてもよい。
【0028】
後輪13は、車体10が走行するためのタイヤ13aを有する。後輪13は、前後方向に並ぶ二つの車輪のうちの後側の車輪である。後輪13は、左右方向に沿った軸回りに回転し得るように後フォークに支持される。なお、後輪13はモータユニット44から動力の伝達を受けてもよく、例えば、後輪13を回転させる駆動力を付与するモータが設けられていてもよい。後輪13は、後部スプロケット71を有している。後部スプロケット71は、チェーン19を介して前部スプロケット72に連結されている。実施の形態では、後輪13には、モータユニット44から出力された動力が伝達される。
【0029】
サドル14は、ユーザが座る部分である。サドル14は、シートチューブ11a3に対して移動可能に取り付けられている。
【0030】
ハンドル15は、例えばユーザが電動自転車2を操縦する際に、電動自転車2の舵角を変更する。ハンドル15の両端部には、一対のグリップ及び一対のブレーキレバー81が設けられている。一対のグリップは、適切な姿勢で乗車された場合に、ユーザの手で握られる部分である。また、一対のグリップは、電動自転車2を押して又は支えて歩く際にも手で握られて、前方への押力を受ける。一方のブレーキレバー81は、図示しない前部ブレーキ装置を駆動させることで、前輪12に対して機械的な制動力を与える。他方のブレーキレバー81は、図示しない後部ブレーキ装置を駆動させることで、後輪13に対して機械的な制動力を与える。
【0031】
なお、一対のグリップの少なくとも一方には、握る力又は押力を検知するグリップセンサが設けられてもよい。なお、ハンドル15の中心に設けられる回転軸には、当該ハンドル15の操舵角を測定する操舵角センサが設けられていてもよく、この操舵角センサがハンドル15の舵角を検知してもよい。なお、ブレーキレバー81には、ブレーキセンサが設けられていてもよく、このブレーキセンサがブレーキレバー81に対する操作を検知してもよい。
【0032】
ペダル16は、例えばユーザが電動自転車2に乗車した際に、ユーザの踏力が付与される。ペダル16は、各クランクアーム17aの長手方向の端部のうち、クランク軸17b側とは反対側の端部に取り付けられている。ペダル16は、クランクアーム17aに対して、回転可能に取り付けられている。ペダル16の回転軸は、クランク17のクランク軸17bの回転軸に対して略平行である。
【0033】
クランク17は、クランク軸17bと、一対のクランクアーム17aと、前部スプロケット72とを有する。クランクアーム17aは、前フレーム11aの両側に1つずつ設けられており、左右方向に延びるクランク軸17bの両端に固定される。クランクアーム17aの一方端がクランク軸17bに回転自在に固定され、クランクアーム17aの他方端には、ペダル16が回転自在に固定される。ペダル16に踏力が加えられた場合、クランクアーム17aがクランク軸17bを中心に回転し、当該回転による人力駆動力が前部スプロケット72及びチェーン19を介して後輪13に伝達される。アシストモードで動作する場合には、踏力に基づく人力駆動力と、当該人力駆動力に付加された電動モータ45による補助駆動力とが後輪13に伝達される。前部スプロケット72は、クランクアーム17aのクランク軸17bに取り付けられている。前部スプロケット72は、ユーザによってペダル16が踏み込まれると、クランクアーム17a及びクランク軸17bを介して回転する。前部スプロケット72の回転により、チェーン19を介して後部スプロケット71が回転するととともに、後輪13が回転する。
【0034】
チェーン19は、ペダル16が踏み込まれることによって回転した前部スプロケット72の回転力、及び、モータユニット44から出力された補助駆動力を、後部スプロケット71に伝達する。チェーン19は、例えば、ベルト、シャフト、ワイヤ、又はギア等の動力伝達体である。
【0035】
変速機51は、互いにギア比の異なる複数の駆動力伝達経路を有する遊星ギア、多段ギア等の周知の変速機構で構成されている。変速機51は、駆動力伝達経路を切り換えることで、例えば、低速段(Lowギア)、中速段(Middleギア)、又は高速段(Topギア)等に変速可能である。変速機51は、手動で駆動力伝達経路を切り換えるように構成されていてもよいし、電動で駆動力伝達経路を切り換えるように構成されていてもよい。実施の形態では、変速機51は、後述する使用機器制御システム1の制御部43により制御されることで、電動でギア比を切り換え可能に構成されている。
【0036】
センサは、車体10の走行に関する情報を検知する。実施の形態では、複数のセンサが電動自転車2に搭載されている。複数のセンサとして、第1速度センサ31、第2速度センサ32、トルクセンサ33、及びジャイロセンサ34等が電動自転車2に搭載されている。
【0037】
第1速度センサ31及び第2速度センサ32は、いずれもアシストモード、押し歩きモード又は自走モードの実行時に、電動自転車2が走行する速度(電動自転車2の速度)を検知し、検知した電動自転車2の速度を示す情報を制御装置40に出力する。この情報は、車体10の走行速度(電動自転車2の速度)に関する速度情報に相当する。
【0038】
第1速度センサ31は、例えばホイルセンサであって、前輪12又は後輪13の回転から電動自転車2の速度を検知する。第2速度センサ32は、例えばGPS(Global Positioning System)等の測位システムを用いて電動自転車2の速度を検知する速度センサである。
【0039】
第1速度センサ31は、例えば、前フォーク11a4の下端部に設けられ、速度を測定し易い位置に配置される。前フォーク11a4に設けられた場合、前輪12の回転速度を好適に検知することができる。また、第1速度センサ31がフレーム11の後部に取り付けられた場合、後輪13の回転速度を好適に検知することができる。なお、第1速度センサ31の検知対象は、前輪12及び後輪13の少なくとも一方とすることができる。
【0040】
トルクセンサ33は、ペダル16への踏力に基づく人力駆動力を検知する。つまり、トルクセンサ33は、ペダル16への踏力に基づいてクランク軸17bが回転することにより発生する人力駆動力を検知する。トルクセンサ33は、コイルと、磁歪発生部とを有する磁歪式のセンサである。例えば、ペダル16に踏力が加えられて人力駆動力が発生した場合に、磁歪発生部に歪みが発生する。磁歪発生部には、透磁率が増加する部位と減少する部位とが発生する。トルクセンサ33は、このコイルのインダクタンス差を検知することで、人力駆動力を検知する。トルクセンサ33は、検知した人力駆動力を示す情報を制御装置40に出力する。なお、トルクセンサ33の構成は特に限定されず、ペダル16への人力駆動力が検知できればいかなる構成でもよい。トルクセンサ33は、例えば、クランク軸17bの近傍に配置される。
【0041】
ジャイロセンサ34は、電動自転車2の車体10の傾く速度(角速度)を検知する6軸センサである。ジャイロセンサ34は、電動自転車2の中心に対して、直交する3軸の各軸方向の加速度、及び、3軸の軸回りの角速度を検知する。ジャイロセンサ34は、3軸の各軸方向の加速度を検知したり、3軸の軸回りの角速度(ロール、ヨー、及びピッチ)を検知したりする。ジャイロセンサ34は、検知した角速度を示す情報、及び加速度を示す情報を制御装置40に出力する。ジャイロセンサ34は、例えば、ダウンチューブ11a2等に取り付けられている。直交する3軸の各軸方向は、例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向で表され、前後方向をX軸方向とし、Y軸方向を左右方向とし、Z軸方向を上下方向として規定してもよい。
【0042】
なお、実施の形態では、電動自転車2が有するセンサの一例として、第1速度センサ31、第2速度センサ32、トルクセンサ33、及びジャイロセンサ34を例示しているが、これには限定されない。
【0043】
例えば、電動自転車2は、水平面に対する電動自転車2の傾きを検知する傾斜センサを更に備えていてもよい。傾斜センサは、検知した傾斜角度を示す情報を制御装置40に出力してもよい。
【0044】
また、例えば、電動自転車2は、バッテリ63の充電率、放電性能、又は残容量等といったバッテリ63の状態を検知するバッテリ状態検知センサを更に備えていてもよい。バッテリ状態検知センサは、検知したバッテリ63の状態を示す情報を制御装置40に出力してもよい。
【0045】
また、例えば、電動自転車2は、車体10の振動を検知する振動センサを有していてもよい。振動センサは、振動の大きさ(周波数)を示す情報を制御装置40へ出力してもよい。
【0046】
また、例えば、電動自転車2は、走行する車体10の加速度を検知する加速度センサを有していてもよい。加速度センサは、車体10の加速度を示す情報を制御装置40へ出力してもよい。
【0047】
また、例えば、電動自転車2は、車体10及びモータユニット44等から発生する音を検知する音センサを有していてもよい。音は、例えば、前部スプロケット72及び後部スプロケット71、チェーン19、ブレーキ装置等から発せられる音である。前部スプロケット72及び後部スプロケット71、チェーン19、ブレーキ装置、タイヤ12a、13a、並びに変速機51等に異常が生じていれば、正常な状態とは異なる異音が発生する。音センサは、音質及び音量等の音を示す情報を制御装置40へ出力してもよい。
【0048】
また、電動自転車2は、電動モータ45の単位時間当たりの回転数を検知するモータ回転センサを有していてもよい。モータ回転センサは、ホールICセンサ等であり、電動モータ45の単位時間当たりの回転数を示す情報を制御装置40へ出力してもよい。電動モータ45の単位時間当たりの回転数を示す情報に基づいて、電動自転車2の速度、電動モータ45の駆動力等を算出してもよい。
【0049】
モータユニット44は、補助駆動力を出力することで、人力駆動力である踏力に補助駆動を加えて、チェーン19を介して後輪13に伝達する。
【0050】
モータユニット44は、電動モータ45を有している。モータユニット44は、電動モータ45及び制御装置40を、樹脂製又は金属製の筐体に収納してユニット化されている。筐体の内部には、トルクセンサ33等が設けられている。モータユニット44は、車体10に取り付けられている。
【0051】
電動モータ45は、車体10の走行を補助するための補助駆動力を付加する。電動モータ45は、制御装置40による制御に基づいて、バッテリ63からの電力を受けて駆動する。電動モータ45は、補助駆動力としての回転トルクを、チェーン19を介して後部スプロケット71に伝達することで、後輪13を回転させる。回転トルクは、人力駆動力に付加するための電動モータ45による駆動力である補助駆動力、及び、電動自転車2に対する押して又は支えて歩く力に付与される補助力である補助駆動力である。電動モータ45は、アシストモードを実行中に、ペダル16への踏力に基づく人力駆動力に、補助駆動力を付加する。また、電動モータ45は、押し歩きモードを実行中に、電動自転車2に対する押し歩く力に補助駆動力を付加する。また、電動モータ45は、自走モードを実行中に、電動自転車2がユーザに支えられながら自走する補助駆動力を付加する。
【0052】
制御装置40は、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)等で実現され、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ(記憶部)、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で構成される。なお、制御装置40は、専用の電子回路で実現されてもよい。
【0053】
制御装置40には、電動モータ45、第1速度センサ31、第2速度センサ32、トルクセンサ33、ジャイロセンサ34、通知モジュール50、変速機51、サスペンション52、操作部61、手動スイッチ62、バッテリ63、及び前照灯が電気的に接続される。制御装置40には、操作部61及び手動スイッチ62によるそれぞれの操作信号、及び、各センサからの検知結果を示す情報が入力される。
【0054】
制御装置40は、電動自転車2の動作モードに応じて、電動モータ45を駆動する。具体的には、制御装置40は、アシストモードと、押し歩きモード又は自走モードとを切り替えてそれぞれのモードを実行する。アシストモードは、手動スイッチ62が押下されて電源がオンされた後、ユーザが電動自転車2に乗車している場合に実行される。制御装置40は、アシストモードを実行する場合、ペダル16への踏力及び電動自転車2の速度等に基づいて、電動モータ45が生成する補助駆動力の大きさを決定する。押し歩きモードは、ユーザが電動自転車2に乗車しておらず、手動スイッチ62が押下されて電源がオン状態で、ユーザが電動自転車2の車体10を押し歩く場合に実行される。自走モードは、押し歩きモードと同様に、ユーザが電動自転車2に乗車しておらず、電動自転車2の車体10を支えながら歩く場合に実行される。自走モードにおいて、ユーザは、車体10を前方に押す力を加えていない。また、制御装置40は、押し歩きモードを実行する場合、電動自転車2に対する押し歩く力及び電動自転車2の速度等に基づいて、電動モータ45が生成する補助駆動力の大きさを決定する。また、制御装置40は、自走モードを実行する場合、電動モータ45が生成する所定の補助駆動力の大きさを決定する。
【0055】
また、制御装置40は、バッテリ63から供給される電力を、電動モータ45及び前照灯等に供給する。
【0056】
実施の形態では、制御装置40は、モータユニット44の筐体の内部に収納されているが、これに限られない。制御装置40は、モータユニット44とは別体で設けられていてもよい。
【0057】
通知モジュール50は、外部装置9と無線通信又は有線通信することが可能な通知モジュールである。ここで、外部装置9は、使用機器制御システム1の外部に存在する装置である。外部装置9は、一例として、情報端末又は後述するサーバ装置(
図3参照)等を含み得る。情報端末は、電動自転車2に乗車するユーザが所有する機器であって、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等である。例えば、情報端末がスマートフォンである場合、ユーザは、スマートフォンを介して通知モジュール50から送信される各種情報を確認することが可能である。
【0058】
操作部61は、例えば一対のブレーキレバー81の一方の近傍に設けられる。操作部61は、前照灯を点灯させるライトスイッチ(図示省略)等を備えたサイクルコンピュータ等の端末装置である。操作部61は、ユーザによる操作を受け付けるためボタン等を有する。ボタンは、タッチパネルディスプレイ、又は機械式のボタン等である。
【0059】
操作部61は、車体10の周囲に報知するための報知モジュール61aを有している。例えば、報知モジュール61aは、各種情報を表示する表示部である。表示部は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイ等である。また、報知モジュール61aは、各種情報を音によって車体10の周囲に報知するための電子ベル等の音響部であってもよい。音響部は、音を出力するスピーカ等であってもよい。また、報知モジュール61aは、各種情報を振動によってユーザに報知するための振動部であってもよい。振動部は、操作部61を振動させることで、ユーザに振動を伝達するための振動発生機能(バイブレーション機能)を有する振動発生装置であってもよい。振動発生装置は、振動を発生させる振動モータ等であってもよい。また、報知モジュール61aは、各種情報を光によってユーザに報知するための光源部であってもよい。光源部は、単色の又は複数色の光を発するLEDモジュール等であってもよい。
【0060】
このように、表示部、音響部、振動部、及び光源部は、報知モジュール61aの一例である。操作部61は、報知モジュール61aとして、表示部、音響部、振動部、及び光源部のうちの少なくとも1つを有している。
【0061】
手動スイッチ62は、押し歩きモード又は自走モードを実行するための押し歩き操作又は自走させる操作を受け付ける機械式のスイッチである。ユーザによって手動スイッチ62が押下されている期間では、操作部61は、押し歩きモード又は自走モードを実行するためのモードオン信号を制御装置40に出力し続ける。一方、手動スイッチ62が押下されていない期間では、操作部61は、モードオン信号を制御装置40に出力しない。
【0062】
なお、手動スイッチ62を1回押下した場合、その後、手動スイッチ62を押し続けなくても、押し歩きモード又は自走モードが実行されてもよい。押し歩きモード又は自走モードの実行中に、再び手動スイッチ62を押下した場合に、押し歩きモード又は自走モードが停止されてもよい。
【0063】
バッテリ63は、電動モータ45の駆動用の電力を蓄電する蓄電池である。バッテリ63は、例えば、二次電池であるが、キャパシタ等であってもよい。バッテリ63は、電動モータ45に電気的に接続されている。具体的には、バッテリ63は、電動モータ45に対して電力を供給する。
【0064】
[使用機器制御システム]
次に、使用機器制御システム1について説明する。使用機器制御システム1は、取得部41と、検知部42と、制御部43と、を備えている。実施の形態では、取得部41、検知部42、及び制御部43は、いずれも制御装置40の一機能として実現されている。
【0065】
取得部41は、車体10の走行速度に関する速度情報を取得する。速度情報は、例えば車体10の走行速度のみならず、車体10の走行時の加速度を含み得る。また、速度情報は、例えば車体10全体ではなく、車体10の一部(例えば、車輪)についての速度に関する情報を含み得る。実施の形態では、取得部41は、車体10の車輪(前輪12又は後輪13)の速度を検知する第1速度センサ31による第1検知結果と、測位システム(ここでは、GPS)を用いて車体10の速度を検知する第2速度センサ32による第2検知結果と、を速度情報として取得する。
【0066】
検知部42は、取得部41が取得した速度情報に基づいて、車体10のタイヤ12a,13aの空気圧を検知する。ここで、検知部42は、前輪12のタイヤ12a及び後輪13のタイヤ13aの各々の空気圧を個別に検知してもよいし、いずれか一方のみの空気圧を検知してもよい。また、検知部42は、前輪12のタイヤ12a及び後輪13のタイヤ13aを区別せずに、検知結果をタイヤ12a,13aの空気圧の代表値としてもよい。また、ここでいう「タイヤ12a,13aの空気圧を検知する」ことは、タイヤ12a,13aの空気圧を推定することを含み得る。
【0067】
実施の形態では、検知部42は、第1速度センサ31の第1検知結果と、第2速度センサ32の第2検知結果との比較に基づいて、タイヤ12a,13aの空気圧を検知する。例えば、第1速度センサ31で検知された車輪の回転速度に基づく車体10の速度と、第2速度センサ32で検知された車体10の速度との差分が零であるときのタイヤ12a,13aの空気圧を、基準空気圧と仮定する。この場合、第1速度センサ31で検知された車体10の速度が、第2速度センサ32で検知された車体10の速度よりも高くなれば、検知部42は、その差分に応じてタイヤ12a,13aの空気圧が基準空気圧よりも低い値にあると検知する。一方、第1速度センサ31で検知された車体10の速度が、第2速度センサ32で検知された車体10の速度よりも低くなれば、検知部42は、その差分に応じてタイヤ12a,13aの空気圧が基準空気圧よりも高い値にあると検知する。
【0068】
制御部43は、検知部42が検知したタイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの状態に応じて、車体10に用いられる使用機器5を制御する。ここでいう「使用機器」とは、車体10に搭載されている機器の他に、車体10とは別に設けられているが車体10に対して使用される機器を含み得る。車体10に搭載されている使用機器5は、一例として、電動モータ45、通知モジュール50、変速機51、サスペンション52、又は報知モジュール61a等を含み得る。また、車体10とは別に設けられている使用機器5は、一例として、空気充填機3(
図3参照)等を含み得る。
【0069】
以下、制御部43による使用機器5の制御の例を列挙する。制御部43は、以下に列挙する全ての例に従って使用機器5を制御しなくてもよく、以下に列挙する例のうち少なくとも1つの例に従って使用機器5を制御すればよい。
【0070】
第1例では、使用機器5は、車体10の走行を補助するための補助駆動力を付加する電動モータ45である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧に応じて補助駆動力を調整するように電動モータ45を制御する。すなわち、タイヤ12a,13aの空気圧が低下すると、タイヤ12a,13aと地面との接地面積が増える。このため、同じ補助駆動力を付与した場合に、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と比較して、車体10の走行速度が小さくなりやすい。したがって、ユーザは、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同じ車体10の走行速度を実現するためには、更にペダル16に対して踏力を付与せねばならず、ユーザに負荷が掛かりがちである。
【0071】
そこで、第1例では、制御部43は、例えばタイヤ12a,13aの空気圧の下降に伴って補助駆動力を大きくするように電動モータ45を制御する。これにより、タイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合であっても、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の踏力をペダル16に付与すれば、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の車体10の走行速度を実現することができる。その結果、ユーザに掛かる負荷を低減することができる。
【0072】
ここで、第1例では、制御部43は、タイヤ12a,13aの種類、及びタイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの周長を更に参照して、電動モータ45を制御してもよい。ここでいうタイヤ12a,13aの種類とは、例えばタイヤ12a,13aのトレッドパターン、又はタイヤ12a,13aの外径等である。
【0073】
すなわち、タイヤ12a,13aの空気圧が増減すると、タイヤ12a,13aの周長も増減する。例えば、タイヤ12a,13aの空気圧が低下すると、タイヤ12a,13aの周長が小さくなる。そして、車体10の走行速度は、車輪の回転速度と、タイヤ12a,13aの周長とに基づいて算出される。このため、タイヤ12a,13aの周長が変化することで、車体10の走行速度の算出精度が低下する可能性がある。
【0074】
そこで、制御部43は、タイヤ12a,13aの種類と、タイヤ12a,13aの空気圧の変化とに基づいて、タイヤ12a,13aの周長を推定し、推定したタイヤ12a,13aの周長を参照して車体10の走行速度を算出する。これにより、タイヤ12a,13aの空気圧の増減が車体10の走行速度に与える影響を把握しやすくなり、タイヤ12a,13aの空気圧に応じてより適切に補助駆動力を調整しやすくなる。
【0075】
第2例では、使用機器5は、変速機51である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧に応じてギア比を調整するように変速機51を制御する。例えば、タイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合に、制御部43は、タイヤ12a,13aの下降に伴ってギア比を小さくするように変速機51を制御する。これにより、ユーザは、タイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合においても、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の乗り心地を感じやすくなる。
【0076】
第3例では、使用機器5は、サスペンション52である。そして、制御部43は、タイヤ12a.13aの空気圧に応じて減衰力を調整するようにサスペンション52を制御する。例えば、タイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合に、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧の下降に伴って減衰力を小さくするように変速機51を制御する。これにより、ユーザは、タイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合においても、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の乗り心地を感じやすくなる。
【0077】
第4例では、使用機器5は、空気充填機3である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧に応じてタイヤ12a,13aに補充される空気が調整されるように空気充填機3を制御する。ここで、
図3は、実施の形態に係る空気充填機3を例示する模式図である。空気充填機3は、例えば公共施設又は商業施設等に設置されている。空気充填機3は、タイヤ12a,13aのバルブに差し込み可能な口金を備えており、当該口金をバルブに差し込んだ状態で所定の操作(例えば、空気充填機3に備えられたスイッチの押下等)を受け付けることで、口金及びバルブを介してタイヤ12a,13aへ空気を供給する。
【0078】
制御部43は、例えば空気充填機3との間で有線通信又は無線通信を行うことにより、空気充填機3を間接的に制御する。そして、制御部43は、例えばタイヤ12a,13aの空気圧が低下している場合であれば、タイヤ12a,13aの空気圧が適正な空気圧に達するまでタイヤ12a,13aに空気を補充するように、空気充填機3を制御する。これにより、ユーザは、自ら空気充填機3を操作してタイヤ12a,13aに補充する空気を加減せずとも、自動的にタイヤ12a,13aの空気圧を適切な空気圧とすることができるので、利便性が向上する。
【0079】
第5例では、使用機器5は、外部装置9との間で通信するための通知モジュール50である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの状態に関する状態情報を、外部装置9へ送信するように通知モジュール50を制御する。ここで、状態情報は、前輪12のタイヤ12a及び後輪13のタイヤ13aの各々の状態に関する情報であってもよいし、いずれか一方のみの状態に関する情報であってもよい。また、状態情報は、前輪12のタイヤ12a及び後輪13のタイヤ13aを区別しない情報であってもよい。
【0080】
状態情報は、例えばタイヤ12a,13aの空気圧の変化を示す情報、又はタイヤ12a,13aの空気圧が適正でないことを示す情報等を含み得る。また、状態情報は、タイヤ12a,13aの空気圧が低下している場合であれば、例えばリアシート80等のキャリアへの人又は荷物の積載を禁止する旨の情報、又は車体10を押して歩くことを推奨する旨の情報等を含み得る。
【0081】
制御部43は、例えば通知モジュール50を制御することにより、外部装置9としての情報端末へ状態情報を送信する。これにより、ユーザは、情報端末を介して状態情報を確認することにより、例えばタイヤ12a,13aの空気圧が低下しているか否か等、タイヤ12a,13aの状態を把握することができる。
【0082】
第6例では、使用機器5は、車体10の周囲に報知するための報知モジュール61aである。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの状態に関する状態情報を車体10の周囲に報知するように、報知モジュール61aを制御する。これにより、例えば車体10に乗車すべく車体10の周囲にいるユーザは、例えばタイヤ12a,13aの空気圧が低下しているか否か等、タイヤ12a,13aの状態を把握することができる。
【0083】
[車両シェアシステム]
次に、車両シェアシステム100について説明する。
図4は、実施の形態に係る車両シェアシステム100を例示する模式図である。
【0084】
図4に示すように、車両シェアシステム100は、車両の貸し出し等を行うサービサーが、車両の利用を希望するユーザに対して車両の貸し出し等を行う。車両シェアシステム100は、車両の状態、スペック、車種、及び製品番号等を管理している。また、車両をユーザに対して貸し出す場合、車両シェアシステム100は、利用開始時刻、利用終了時刻、利用開始場所、及びユーザの識別情報等を管理している。実施の形態では、車両シェアシステム100は、電動自転車2の貸し出し等を行う。
【0085】
車両シェアシステム100は、外部装置9としてのサーバ装置を備えている。サーバ装置は、複数の電動自転車2を所有しているサービサーが管理しているサーバであり、使用機器制御システム1の外部に存在する装置である。サーバ装置は、使用機器制御システム1から送信される状態情報を収集することで、電動自転車2ごとに車体10のタイヤ12a,13aの状態を管理する。サーバ装置は、電動自転車2ごとに、サービサーに対して車体10のタイヤ12a,13aの状態を、モニタ等の通知装置に出力する。これにより、サービサーは、電動自転車2の車体10のタイヤ12a,13aの状態に応じて、電動自転車2の修理、又は調整等のメンテナンスを行うタイミングを把握することが可能である。
【0086】
<動作>
以下、実施の形態に係る使用機器制御システム1の動作例について
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、実施の形態に係る使用機器制御システム1の基本動作例を例示するフローチャートである。
図6は、実施の形態に係る使用機器制御システム1における電動モータ45の制御例を例示するフローチャートである。この制御例は、上述の制御部43の第1例に対応する。
【0087】
[基本動作例]
基本動作例では、使用機器制御システム1の取得部41は、車体10の走行速度に関する速度情報を取得する(S11)。ここでは、取得部41は、第1速度センサ31の検知結果、及び第2速度センサ32の検知結果を定期的に取得する。
【0088】
次に、使用機器制御システム1の検知部42は、取得部41が取得した速度情報に基づいて、タイヤ12a,13aの空気圧を検知する(S12)。ここでは、検知部42は、第1速度センサ31の検知結果と第2速度センサ32の検知結果との比較に基づいて、タイヤ12a,13aの空気圧を検知する。
【0089】
そして、使用機器制御システム1の制御部43は、検知部42が検知したタイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの状態に応じて、使用機器5を制御する(S13)。以下、上記のステップS11~S13を繰り返す。
【0090】
[電動モータの制御例]
電動モータ45の制御例では、基本動作例と同様に、使用機器制御システム1の取得部41は、車体10の走行速度に関する速度情報を取得する(S21)。次に、使用機器制御システム1の検知部42は、取得部41が取得した速度情報に基づいて、タイヤ12a,13aの空気圧を検知する(S22)。
【0091】
そして、この制御例では、使用機器制御システム1の制御部43は、検知部42で検知されたタイヤ12a,13aの空気圧と、閾値範囲とを比較する(S23)。ここでいう「閾値範囲」とは、タイヤ12a,13aの適正な空気圧を含む一定の幅を有する閾値の範囲である。
【0092】
タイヤ12a,13aの空気圧が閾値範囲を下回っている場合(S23:Yes)、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧の低下分に応じて補助駆動力を上昇させるように電動モータ45を制御する(S24)。一方、タイヤ12a,13aの空気圧が閾値範囲を上回っている場合(S23:No、S25:Yes)、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧の上昇分に応じて補助駆動力を下降させるように電動モータ45を制御する(S26)。また、タイヤ12a,13aの空気圧が閾値範囲内に収まっている場合(S25:No)、制御部43は、現在の補助駆動力を維持するように電動モータ45を制御する(S27)。以下、ユーザが車体10に乗車している間、上記のステップS21~S27を繰り返す。
【0093】
[作用効果]
以下、実施の形態における使用機器制御システム1、電動自転車2、使用機器制御方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0094】
上述したように、実施の形態に係る使用機器制御システム1は、取得部41と、検知部42と、制御部43と、を備える。取得部41は、車体10の走行速度に関する速度情報を取得する。検知部42は、取得部41が取得した速度情報に基づいて、車体10のタイヤ12a,13aの空気圧を検知する。制御部43は、検知部42が検知したタイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの状態に応じて、車体10に用いられる使用機器5を制御する。
【0095】
これによれば、速度情報を検知可能なセンサを車体10が備えていれば、タイヤ12a、13aの空気圧をリアルタイムに検知することができる。このため、車体10を停止させた状態でタイヤ12a,13aの空気圧を検知するための装置を用いたり、タイヤ12a、13aの空気圧を直接的に検知するためのセンサを車体10に搭載したりしなくて済む。また、タイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの状態に応じて使用機器5を制御するため、例えばタイヤ12a,13aの空気圧が低下している等の異常がある場合に、異常による車体10への悪影響を抑制又は解消したり、悪影響を解消するための手段をユーザに通知したりすることが可能である。このように、車体10に乗車するユーザの快適性を向上しやすい、という利点がある。
【0096】
また、実施の形態に係る電動自転車2は、使用機器制御システム1と、車体10の走行を補助するための補助駆動力を付加する電動モータ45とを備える。
【0097】
この電動自転車2においても、上述の使用機器制御システム1と同様の作用効果を奏する。
【0098】
また、実施の形態に係る使用機器制御方法は、車体10の走行速度に関する速度情報を取得することと、取得した速度情報に基づいて、車体10のタイヤ12a,13aの空気圧を検知することと、検知したタイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの状態に応じて、車体10に用いられる使用機器5を制御することと、を含む。
【0099】
この使用機器制御方法においても、上述の使用機器制御システム1と同様の作用効果を奏する。
【0100】
また、実施の形態に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の使用機器制御方法を実行させる。
【0101】
このプログラムにおいても、上述の使用機器制御システム1と同様の作用効果を奏する。
【0102】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1において、取得部41は、車体10の車輪の速度を検知する第1速度センサ31による第1検知結果と、測位システムを用いて車体10の速度を検知する第2速度センサ32による第2検知結果と、を速度情報として取得する。そして、検知部42は、第1検知結果と第2検知結果との比較に基づいて、タイヤ12a,13aの空気圧を検知する。
【0103】
これによれば、車体10の走行中においてタイヤ12a、13aの空気圧をリアルタイムに検知することができる、という利点がある。
【0104】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1において、使用機器5は、車体10の走行を補助するための補助駆動力を付加する電動モータ45である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧に応じて補助駆動力を調整するように電動モータ45を制御する。
【0105】
これによれば、例えばタイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合であっても、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の踏力をペダル16に付与すれば、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の車体10の走行速度を実現することができる。その結果、ユーザに掛かる負荷を低減することができる、という利点がある。
【0106】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1において、制御部43は、タイヤ12a,13aの種類、及びタイヤ12a,13aの空気圧に基づくタイヤ12a,13aの周長を更に参照して、電動モータ45を制御する。
【0107】
これによれば、タイヤ12a,13aの空気圧の増減が車体10の走行速度に与える影響を把握しやすくなり、タイヤ12a,13aの空気圧に応じてより適切に補助駆動力を調整しやすくなる、という利点がある。
【0108】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1において、使用機器5は、変速機51である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧に応じてギア比を調整するように変速機51を制御する。
【0109】
これによれば、ユーザが、タイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合においても、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の乗り心地を感じやすくなる、という利点がある。
【0110】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1において、使用機器5は、サスペンション52である。そして、制御部43は、タイヤ12a.13aの空気圧に応じて減衰力を調整するようにサスペンション52を制御する。
【0111】
これによれば、ユーザが、タイヤ12a,13aの空気圧が低下した場合においても、タイヤ12a,13aの空気圧が低下していない場合と同様の乗り心地を感じやすくなる、という利点がある。
【0112】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1において、使用機器5は、空気充填機3である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの空気圧に応じてタイヤ12a,13aに補充される空気が調整されるように空気充填機3を制御する。
【0113】
これによれば、ユーザは、自ら空気充填機3を操作してタイヤ12a,13aに補充する空気を加減せずとも、自動的にタイヤ12a,13aの空気圧を適切な空気圧とすることができるので、利便性が向上する、という利点がある。
【0114】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1は、使用機器5は、外部装置9との間で通信するための通知モジュール50である。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの状態に関する状態情報を、外部装置9へ送信するように通知モジュール50を制御する。
【0115】
これによれば、外部装置9が状態情報を取得することができるため、外部装置9を取り扱う人(例えば、サービサー)が車体10のタイヤ12a,13aの状態を把握することができる、という利点がある。このため、例えばタイヤ12a,13aの空気圧が低下している場合等のタイヤ12a,13aに異常が発生している場合において、サービサーは、車体10の状態を改善するために、電動自転車2の修理、又は調整等のメンテナンスを行う等の対応を実行することができる。また、サービサーは、このようなメンテナンスを行うタイミングを把握することができるため、逐一車体10の状態を確認するための作業を行わなくてもよくなる。
【0116】
また、実施の形態に係る使用機器制御システム1は、使用機器5は、車体10の周囲に報知するための報知モジュール61aである。そして、制御部43は、タイヤ12a,13aの状態に関する状態情報を車体10の周囲に報知するように、報知モジュール61aを制御する。
【0117】
これによれば、車体10に乗車するユーザに対して、タイヤ12a,13aの状態を報知することができる、という利点がある。このため、ユーザは、タイヤ12a,13aの状態が正常であるか異常であるかを把握することができる。そして、タイヤ12a,13aの状態が異常である場合には、ユーザは、例えばタイヤ12a,13aに空気を補充したり、サービサーに車体10の修理又は調整を要求したり等のメンテナンスを行いやすい。
【0118】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態等に限定されるものではない。
【0119】
例えば、上記の実施の形態において、タイヤ12a,13aの空気圧との比較に用いる閾値は、車体10の種類に応じて異なっていてもよい。例えば、車体10が通勤用の自転車である場合の閾値を基準値として、車体10がマウンテンバイクであれば、閾値は基準値よりも低くてもよい。また、車体10がロードバイクであれば、閾値は基準値よりも高くてもよい。その他、車体10が比較的重量のある荷物又は子供を載せることを想定した自転車であれば、閾値は基準値よりも高くてもよい。
【0120】
また、閾値は、あらかじめ設定された固定値に限らず、例えばユーザにより適宜設定されてもよい。例えば、ユーザは、情報端末にインストールされた使用機器制御システム1用のアプリケーションを実行することにより、閾値を自由に変更してもよい。
【0121】
例えば、上記の実施の形態において、検知部42は、第1速度センサ31の第1検知結果と、第2速度センサ32の第2検知結果との比較に基づいてタイヤ12a,13aの空気圧を検知しているが、これに限られない。例えば、検知部42は、車輪(前輪12又は後輪13)のZ軸方向の加速度、言い換えれば上下方向の振動に基づいて、タイヤ12a,13aの空気圧を検知してもよい。すなわち、車輪の上下方向の振動は、タイヤ12a,13aの空気圧に依拠しており、タイヤ12a,13aの空気圧が高くなれば増大し、低くなれば減少する傾向を有している。したがって、検知部42は、車輪のZ軸方向の加速度に基づいて、タイヤ12a,13aの空気圧を検知することが可能である。この場合、取得部41は、例えば車輪に設けられたジャイロセンサから車輪のZ軸方向の加速度を取得すればよい。
【0122】
例えば、上記の実施の形態において、使用機器制御システム1のうちの取得部41、検知部42、及び制御部43は、電動自転車2の制御装置40に搭載されているが、これには限定されない。例えば、取得部41、検知部42、及び制御部43は、電動自転車2において制御装置40以外の場所に搭載されていてもよい。また、例えば、取得部41、検知部42、及び制御部43は、情報端末又はサーバ装置に搭載されていてもよい。この場合、情報端末又はサーバ装置は、通知モジュール50としての機能を兼ねることができ、電動自転車2において通知モジュール50は不要である。また、この場合、情報端末又はサーバ装置は、電動自転車2との間で無線通信を行うことにより、電動自転車2との間で情報を送受すればよい。
【0123】
また、上記各実施の形態に係る使用機器制御システム1、及び電動自転車2に用いられる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0124】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0125】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0126】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0127】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0128】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0129】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1 使用機器制御システム
2 電動自転車
9 外部装置
10 車体
12 前輪(車輪)
13 後輪(車輪)
12a,13a タイヤ
31 第1速度センサ
32 第2速度センサ
41 取得部
42 検知部
43 制御部
45 電動モータ
50 通知モジュール
61a 報知モジュール