IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-圧着端子取付補助具 図1
  • 特開-圧着端子取付補助具 図2
  • 特開-圧着端子取付補助具 図3
  • 特開-圧着端子取付補助具 図4
  • 特開-圧着端子取付補助具 図5
  • 特開-圧着端子取付補助具 図6
  • 特開-圧着端子取付補助具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092221
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】圧着端子取付補助具
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/34 20060101AFI20230626BHJP
   H01R 9/18 20060101ALN20230626BHJP
【FI】
H01R4/34
H01R9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207319
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鶴海 陽己
【テーマコード(参考)】
5E012
5E086
【Fターム(参考)】
5E012BA26
5E086CC21
5E086DD45
(57)【要約】
【課題】簡便に固着具の脱落を抑制できる圧着端子取付補助具を提供する。
【解決手段】本発明の圧着端子取付補助具1は、端子台及び圧着端子に挿通される軸部と圧着端子を端子台に固着する頭部とを備える固着具に装着可能に構成され、圧着端子の端子台への取付けを補助する圧着端子取付補助具であって、固着具の頭部との間で圧着端子を押さえる押え面2aを有し、固着具に装着される本体部2と、本体部に連結される把持部3と、を備え、本体部には、押え面に開口するように本体部を貫通し、軸部が挿通可能な孔である挿通孔22aと、挿通孔の径方向外方に向かって、挿通孔から本体部の外縁まで延びる切目21aと、が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台及び圧着端子に挿通される軸部と圧着端子を前記端子台に固着する頭部とを備える固着具に装着可能に構成され、前記圧着端子の前記端子台への取付けを補助する圧着端子取付補助具であって、
前記固着具の前記頭部との間で前記圧着端子を押さえる押え面を有し、前記固着具に装着される本体部と、該本体部に連結される把持部と、を備え、
前記本体部には、
前記押え面に開口するように前記本体部を貫通し、前記軸部が挿通可能な孔である挿通孔と、
該挿通孔の径方向外方に向かって、前記挿通孔から前記本体部の外縁まで延びる切目と、が形成される圧着端子取付補助具。
【請求項2】
前記把持部を前記固着具及び前記圧着端子から絶縁させるための絶縁部を備える請求項1に記載の圧着端子取付補助具。
【請求項3】
前記本体部は、前記切目を画定する開閉部を備え、
前記開閉部は、前記切目の幅を広げた開状態と前記切目の幅を狭めた閉状態とを切り替え可能、かつ、前記開状態から前記閉状態へと付勢されるように構成され、
前記切目は、前記開閉部が前記開状態のときに、前記軸部を挿通可能な幅であり、前記閉状態のときに、前記軸部の挿通が規制される幅であるように構成される請求項1又は2に記載の圧着端子取付補助具。
【請求項4】
前記開閉部は弾性体で構成され、弾性変形により前記開状態及び前記閉状態を切り替え可能に構成され、自然状態のときに前記閉状態となるように構成されている請求項3に記載の圧着端子取付補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着端子の端子台への取付けを補助する圧着端子取付補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
端子台に圧着端子を取り付ける際には、ねじなどの固着具によって圧着端子が端子台に固着されることで、圧着端子が端子台に取り付けられる。しかしながら、圧着端子を端子台に固着する際に、固着具が圧着端子から脱落するおそれがあった。
【0003】
固着具が圧着端子から脱落することを防止できるねじとして、特許文献1に記載の圧着端子付ねじが知られている。圧着端子付きねじは、頭部とねじ部の間に円周溝を備えたねじと、該円周溝に設けられる波型座金及び圧着端子と、を有する。また、このような圧着端子付きねじは、頭部を形成したねじ体に円周溝を形成し、円周溝に波型座金及び圧着端子を嵌め込んだのちに、ねじ山を転造により形成することで製造されるとされている。
【0004】
上記のような圧着端子付きねじによれば、波型座金及び圧着端子がねじの頭部とねじ部によって、円周溝から脱落することを抑制できるので、ねじが圧着端子から脱落することを抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-297805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような圧着端子付きねじでは、圧着端子1つにつき1本のねじ体を加工する必要がある。しかしながら、ねじ体の加工には手間がかかるので、上記圧着端子付きねじによって固着具の脱落防止をするのは煩雑であった。
【0007】
そこで、本発明は、簡便に固着具の脱落を抑制できる圧着端子取付補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧着端子取付補助具は、端子台及び圧着端子に挿通される軸部と圧着端子を前記端子台に固着する頭部とを備える固着具に装着可能に構成され、前記圧着端子の前記端子台への取付けを補助する圧着端子取付補助具であって、前記固着具の前記頭部との間で前記圧着端子を押さえる押え面を有し、前記固着具に装着される本体部と、該本体部に連結される把持部と、を備え、前記本体部には、前記押え面に開口するように前記本体部を貫通し、前記軸部が挿通可能な孔である挿通孔と、該挿通孔の径方向外方に向かって、前記挿通孔から前記本体部の外縁まで延びる切目と、が形成されるように構成される。
【0009】
かかる構成によれば、固着具の軸部を圧着端子に挿通した状態で、該軸部を本体部の挿通孔に挿通して本体部を軸部に装着することで、固着具を頭部と押え面の間で保持することができる。この状態で、固着具の一部を端子台に挿通すれば、切目を介して本体部を軸部から取り外すことができる。よって、簡便に固着具の脱落を抑制することができる。
【0010】
また、前記把持部を前記固着具及び前記圧着端子から絶縁させるための絶縁部を備えるよう構成することもできる。
【0011】
かかる構成によれば、固着具及び圧着端子と把持部が絶縁されるので、圧着端子を端子台に取り付ける際に感電するリスクを低減できる。
【0012】
また、前記本体部は、前記切目を画定する開閉部を備え、前記開閉部は、前記切目の幅を広げた開状態と前記切目の幅を狭めた閉状態とを切り替え可能、かつ、前記開状態から前記閉状態へと付勢されるように構成され、前記切目は、前記開閉部が前記開状態のときに、前記軸部を挿通可能な幅であり、前記閉状態のときに、前記軸部の挿通が規制される幅であるように構成することもできる。
【0013】
かかる構成によれば、開閉部は閉状態になるように付勢され、閉状態のときに切目が軸部の挿通を規制するように構成されているので、固着具に装着された状態のときに、切目から固着具が脱落することを抑制できる。
【0014】
また、前記開閉部は弾性体で構成され、弾性変形により前記開状態及び前記閉状態を切り替え可能に構成され、自然状態のときに前記閉状態となるように構成することもできる。
【0015】
かかる構成によれば、開閉部が弾性体で構成されるので、固着具の軸部の一部を端子台に挿通した状態でも、容易に固着具から本体部を取外すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡便に固着具の脱落を抑制できる圧着端子取付補助具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る圧着端子取付補助具の斜視図である。
図2】同圧着端子取付補助具の平面図である。
図3】同圧着端子取付補助具を用いて圧着端子を端子台に取り付ける準備段階を示す図である。
図4】同圧着端子取付補助具を用いて圧着端子を端子台に取り付ける際に、軸部の一部を端子台に挿通した状態を示す図である。
図5図4に示すV-V断面図である。(a)は開閉部が閉状態のときの状態を示し、(b)は開閉部が開状態のときの状態を示す。
図6】本発明の他の実施形態に係る圧着端子取付補助具の平面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る圧着端子取付補助具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る圧着端子取付補助具1について、図1乃至図5を参照して説明する。説明の便宜上、上下方向は、図3に記載の方向を基準に説明するが、実際に固着具4を端子台6に挿通する際の上下と必ずしも合致するものではない。
【0019】
まず、本実施形態の圧着端子取付補助具1が適用される固着具4、圧着端子5、及び端子台6について説明する。
【0020】
図3に示すように、固着具4は、上下方向に延びる柱状又は錘状の軸部41と、軸部41の上端部に連結され、軸部41の最大外径よりも外径が大きい頭部42と、を備える。本実施形態の固着具4はいわゆる端子ネジであり、後述するように端子台6に挿通可能である。
【0021】
圧着端子5は、圧着によりリード線と電気的に接続された平板状の導電体で構成された端子である。また、圧着端子5は、閉じた円環状の平板体であり、上面及び下面が平たい形状である。本実施形態の圧着端子5は、丸型の平板の中央部分に厚み方向に貫通する孔が形成されている、いわゆる丸形の圧着端子である。
【0022】
端子台6は、直方体状で、上面から下方に向かって雌ネジが形成された雌ネジ部61を有する台である。本実施形態の端子台6は、ねじで圧着端子5を固着可能ないわゆるねじ式の端子台である。
【0023】
以上のような構成の圧着端子5は、軸部41に圧着端子5を取り付けた固着具4(端子ネジ)を雌ネジ部61に螺合することで、圧着端子5が頭部42と端子台6の上面に挟まれて、端子台6に固着される。
【0024】
次に圧着端子取付補助具1について説明する。
【0025】
図1及び図2に示すように、圧着端子取付補助具1は、固着具4に装着可能な本体部2と、本体部2に連結される把持部3と、を備える。また、圧着端子取付補助具1は、平面視長方形状の板状体であり、長手方向における一端側が本体部2、他端側が把持部3として構成されている。本実施形態の圧着端子取付補助具1は、厚みが略一定であり、長手方向の一端部及び他端部が角張った形状の平板体である。さらに、圧着端子取付補助具1は、厚みが、長手方向長さ及び短手方向長さよりも小さい平板体である。さらに、本実施形態の圧着端子取付補助具1は、絶縁体で構成される。具体的に、圧着端子取付補助具1は、全体が絶縁性のある軟質樹脂(例えばゴム)で構成される。また、本実施形態の圧着端子取付補助具1は、表裏対称な形状の板状体である。さらに、圧着端子取付補助具1には、厚み方向に貫通する孔である挿通孔22aが形成されている。
【0026】
本体部2は、固着具4に装着可能であり、かつ、固着具4を保持可能な部位である。また、本体部2は、厚みがほぼ一定の平板状であり、上面に平坦な押え面2aと、下面に平坦な端子台対向面2bと、を備える。さらに、本体部2には、厚み方向に貫通する挿通孔22aと、挿通孔22aからの外縁までにわたって延びる切目21aと、が形成される。本体部2は、本体部2の長手方向一端部に配置され、切目21aを画定する開閉部21と、開閉部21の長手方向他端側に、開閉部21と隣り合って配置され、挿通孔22aを画定する保持部22と、を備える。本実施形態の本体部2は、圧着端子取付補助具1の長手方向の中央よりも一端側寄りの範囲を構成する。
【0027】
開閉部21は、本体部2の端部に設けられた部位である。具体的に開閉部21は、幅方向(圧着端子取付補助具1の短手方向に沿う方向)の一方側に設けられる第一開閉片23と、幅方向の他方側に設けられる第二開閉片24と、を備える。本実施形態では、第一開閉片23及び第二開閉片24の間が切目21aとなっている。また、本実施形態の開閉部21は、弾性体で構成される。
【0028】
保持部22は、上面及び下面が平坦な平板状の部位である。また、保持部22には、厚み方向に貫通する挿通孔22aが形成される。即ち、挿通孔22aは、上面(押え面2a)及び下面(端子台対向面2b)に開口するように形成された貫通孔である。さらに、保持部22は、絶縁性のある弾性体で構成される。
【0029】
第一開閉片23は、保持部22から、長手方向一端側に向かって延出する平板状の部位である。具体的に、第一開閉片23は、厚みが保持部22の厚みと略等しい平面視四角形状の板状体である。また、第一開閉片23は、保持部22から、長手方向一端側に向かって直線状に延出する部位である。さらに、第一開閉片23は、幅方向他端側の面が、圧着端子取付補助具1の長手方向に沿って延びるように構成された平板体である。また、本実施形態の第二開閉片24は、本体部2の幅方向中心で第一開閉片23と対称な形状の板状体である。
【0030】
挿通孔22aは、保持部22に形成された厚み方向に貫通する孔である。また、挿通孔22aは、内径が、閉状態CLの切目21aの幅よりも大きい平面視円形状の孔である。具体的に、挿通孔22aは、固着具4が挿通された際に、内径が固着具4の外径と等しい又は固着具4の外径よりも大きい孔である(図5(a)参照)。本実施形態の挿通孔22aは、保持部22が自然状態のときに、内径が固着具4の軸部41の外径よりも小さい孔である。また、挿通孔22aは、固着具4が挿通された際に、内径が固着具4の頭部42の内径よりも小さい孔である。
【0031】
切目21aは、挿通孔22aの径外方に向かって延び、本体部2の外縁よりも外側の空間と挿通孔22aとを連通するように形成されている。また、切目21aは、挿通孔22aから径外方に向かって直線状に延びるように形成されている。
【0032】
図2に示すように、把持部3は、圧着端子取付補助具1の長手方向他端部に設けられる部位である。また、把持部3は、本体部2に連結された、上面及び下面が平坦な平板状の部位である。さらに、把持部3は、厚みが保持部22と略等しい平板状の部位である。本実施形態の把持部3は、本体部2に直接連結されている。本実施形態の把持部3は、少なくとも圧着端子取付補助具1の長手方向の中央よりも他端側の全域を構成する。さらに、把持部3は絶縁性のある材料で構成されている。把持部3の幅(圧着端子取付補助具1の短手方向に沿った長さ)は、本体部2の幅と略同じである。本実施形態の把持部3は、幅方向中心が圧着端子取付補助具1の長手方向に沿って直線状に延びる板状体である。
【0033】
本実施形態の圧着端子取付補助具1は、切目21aが、本体部2の把持部3が連結される側と反対側の外縁に向かって延びるように構成されている。また、本実施形態の圧着端子取付補助具1では、開閉部21、保持部22、及び把持部3が、切目21aの延伸方向に沿って、直線状に並んで配置されている。
【0034】
本実施形態の圧着端子取付補助具1で、本体部2は、絶縁体で構成されているので、本体部2に装着された固着具4及び該固着具4に取り付けられた圧着端子5から把持部3を絶縁する絶縁部として機能する。本実施形態では、圧着端子取付補助具1は、全体が絶縁体で構成されているので、圧着端子取付補助具1全体が本体部2に装着された固着具4及び該固着具4に取り付けられた圧着端子5から把持部3を絶縁する絶縁部として機能する。
【0035】
以上のような構成の圧着端子取付補助具1を用いて、圧着端子5を端子台6に取り付ける方法について図3乃至図5を参照して説明する。説明の便宜上、水平面に設けられた端子台6に圧着端子5を固着する場合について説明するが、このような場合に限らず、上下方向に延びる面に設けられた端子台6に圧着端子5を固着することもできる。上下方向に延びる面に設けられた端子台6に圧着端子5を固着する場合には、上下方向を水平方向に置き換える。
【0036】
図3及び図4に示すように、圧着端子5を端子台6に取り付ける際には、圧着端子5を固着具4の軸部41に取り付ける。本実施形態のように、圧着端子5が閉じた環状の端子を有するいわゆる丸形の圧着端子5である場合には、閉じた環状の端子に軸部41を挿通することで圧着端子5を軸部41に取り付けることができる。なお、圧着端子5が、先端が開いた形状の端子を有するいわゆる先開形の圧着端子5である場合には、先端が開いた形状の端子を軸部41に嵌めることで圧着端子5を軸部41に取り付けることができる。
【0037】
次に、軸部41のうち、上下方向で圧着端子5に対して頭部42とは反対側の圧着端子5よりも下方に位置に本体部2を装着する。本体部2を軸部41に装着する際には、図3に示すように、厚み方向に沿って軸部41を挿通孔22aに挿通する。なお、後述するように、切目21aから軸部41を挿通孔22aに挿通することもできる。
【0038】
上述のように圧着端子5が取付けられた固着具4に本体部2を装着すると、圧着端子5は、頭部42と押え面2aの間で押えられる。具体的に、圧着端子5は、頭部42と押え面2aによって挟持される。本実施形態では、固着具4が工具などによって端子台6側(下側)に押されることで、圧着端子5は、頭部42と押え面2aに挟まれる。よって、圧着端子5が軸部41から脱落することを抑制できる。
【0039】
また、保持部22は、挿通孔22aに挿通された軸部41の外周面に接して固着具4を保持する。本実施形態の保持部22は、挿通孔22aの自然状態の内径が軸部41の外径よりも小さく構成されるので、挿通孔22aを画定する内周面が軸部41の外周面に接して固着具4を保持する。さらに、保持部22が絶縁体で構成されるので、保持部22に保持されたときに、固着具4圧着端子5と及び把持部3と絶縁される。
【0040】
圧着端子5の軸部41への取付け及び本体部2の固着具4への装着が完了してから、軸部41は端子台6に挿通される。具体的に、軸部41の下端部を端子台6の雌ネジ部61にあてがい、固着具4を雌ネジ部61に螺合することで、軸部41は端子台6に挿通される。このとき、端子台対向面2bは、端子台6の上面と対向した状態となる。軸部41を端子台6に挿通する際に、作業者は、例えば、一方の手で軸部41を雌ネジ部61に螺合しつつ、他方の手で固着具4に装着された圧着端子取付補助具1の把持部3を把持する。よって、固着具4を端子台6に挿通する際に、固着具4に軸部41における径外方への力がかかったとしても、固着具4は保持部22に保持されているので、固着具4が脱落することを抑制できる。
【0041】
軸部41の少なくとも一部が雌ネジ部61に螺合してから、本体部2は軸部41から取り外される。ここで、本体部2を軸部41から取り外すのは、軸部41の少なくとも一部が雌ネジ部61に螺合した後、かつ、頭部42と端子台6の上面との間の距離が、圧着端子5の厚みと自然状態の本体部2の厚みの合計以下となる前であることが好ましい。このような間に取り外すことで、圧着端子5の脱落を確実に抑制でき、かつ、押え面2aと圧着端子5、及び、端子台対向面2bと端子台6の上面、の間で生じる摩擦を抑制できるので、本体部2を軸部41から取り外しやすい。
【0042】
次に、本体部2の軸部41への取外し及び切目21aを介して軸部41に本体部2を取り付ける方法について図5を参照して説明する。
【0043】
開閉部21は、切目21aの間隔を切り替えることで、切目21aの幅を広げた開状態OP(図5(b)に示す状態)と切目21aの幅を狭めた閉状態CL(図5(a)に示す状態)とを切り替え可能である。具体的に、開閉部21は、開状態OPのときに、切目21aの幅が固着具4の軸部41の外径と等しい又は外径よりも大きくなり、閉状態CLのときに、切目21aの幅が固着具4の軸部41の外径よりも小さくなるように構成されている。さらに、開閉部21は、開状態OPから閉状態CLへと付勢されるように構成されている。本実施形態の開閉部21は、弾性体で構成されるので、開閉部21全体が弾性変形することで、開状態OPと閉状態CLを切り替え可能に構成されている。また、開閉部21は、自然状態(外力を受けていない状態)のときに、閉状態CLとなるように構成されている。このような開閉部21は、開状態OPのときに、切目21aに固着具4の軸部41を挿通可能な状態となり、閉状態CLのときに、固着部の軸部41の切目21aへの挿通が規制される状態となる。また、本実施形態では、第一開閉片23及び第二開閉片24が幅方向で互いに接離する方向に移動することで、開閉部21が開閉する。
【0044】
図5(a)に示すように、軸部41を雌ネジ部61に螺合する段階で、開閉部21は、開く方向に外力を受けていないので、閉状態CLである。即ち、切目21aの幅は、軸部41の外径よりも小さい状態であり、軸部41の挿通が規制される。本体部2を軸部41から取り外すためには、図5(b)に示すように、開閉部21を開状態OPとし、切目21aを軸部41が挿通可能な幅とする必要がある。具体的には、第一開閉片23及び第二開閉片24に外力を加え、第一開閉片23及び第二開閉片24を互いに離間させて、切目21aの幅を大きくする。
【0045】
本実施形態では、挿通孔22aに挿通された状態の軸部41を、長手方向(切目21aの延伸方向)一端側に本体部2に対して相対移動させて、第一開閉片23及び第二開閉片24を互いに離間させる。具体的に、把持部3を長手方向他端側に引っ張ることで、挿通孔22aに挿通された状態の軸部41を、長手方向(切目21aの延伸方向)一端側に本体部2に対して相対移動させる。軸部41が本体部2に対して長手方向一端側に相対移動すると、切目21aの両端を画定する内壁面が軸部41の外周面に当接する。当接後もさらに軸部41を本体部2に対して長手方向一端側に移動させると、第一開閉片23及び第二開閉片24は軸部41によって内方から押し広げられるように力がかかり、弾性変形する。よって、第一開閉片23及び第二開閉片24を互いに離間し、開閉部21が開状態OPとなる。開閉部21が開状態OPとなった後も軸部41をさらに本体部2に対して長手方向一端側に相対移動させると、軸部41は切目21aに沿って移動し、本体部2が軸部41から取り外される。
【0046】
上述の取外し手順と反対に軸部41を本体部2に対して相対移動させることで、切目21aを介して軸部41に本体部2を取り付けることができる。具体的に、軸部41を切目21aにあてがい、本体部2に対して長手方向他端側に相対移動させる。軸部41の相対移動によって、第一開閉片23及び第二開閉片24は軸部41によって内方から押し広げられるように力がかかり、弾性変形する。よって、第一開閉片23及び第二開閉片24を互いに離間し、開閉部21が開状態OPとなる。開閉部21が開状態OPとなった後も軸部41をさらに本体部2に対して長手方向他端側に相対移動させると、軸部41は切目21aに沿って移動し、挿通孔22aに到達する。
【0047】
以上のような構成の圧着端子取付補助具1によれば、固着具4の軸部41に圧着端子5を挿通した状態で、本体部2を軸部41に装着することで、固着具4を保持することができ、かつ、固着具4の一部が端子台6に挿通された状態で切目21aを介して本体部2を軸部41から取り外すことができる。よって、簡便に固着具4の脱落を抑制することができる。
【0048】
また、固着具4及び圧着端子5と把持部3が絶縁されるので、圧着端子5を端子台6に取り付ける際に感電するリスクを低減できる。
【0049】
さらに、開閉部21は閉状態CLになるように付勢され、閉状態CLのときに切目21aが軸部41の挿通を規制するように構成されているので、固着具4に装着された状態のときに、切目21aから固着具4が脱落することを抑制できる。
【0050】
また、開閉部21が弾性体で構成されるので、固着具4の一部を端子台6に挿通したときに、容易に固着具4から本体部2を取外すことができる。
【0051】
さらに、切目21aは、弾性変形可能な開閉部21によって画定され、把持部3、挿通孔22a、及び切目21aは、切目21aの延伸方向に沿う直線状に並んで配置されているので、軸部41を本体部2に対して直線状に相対移動させることで、開閉部21が弾性変形によって開状態OPとなり、本体部2を軸部41に装着又は軸部41から取り外すことができる。具体的には、例えば、把持部3を切目21aの延伸方向に沿って移動させることで、本体部2を軸部41に装着又は軸部41から取り外すことができる。よって、本体部2の軸部41への装着又は軸部41からの取外しを簡便に行うことができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0053】
例えば、固着具4は端子ネジである場合について説明したが、このような固着具4に限らず、圧着端子5を端子台6に圧着可能な種々の固着具4を採用できる。
【0054】
また、開閉部21が自然状態のとき、切目21aの幅は固着具4の外径よりも小さい場合について説明したが、このような場合に限らず、開閉部21が自然状態のときの切目21aの幅が固着具4の外径と同じ又は外径よりも大きく構成することもできる。
【0055】
さらに、把持部3と本体部2は略同じ幅である場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば、把持部3を本体部2よりも幅狭に構成することもできるし、図6に示すように、把持部3を本体部2よりも幅広に構成することもできる。このような構成によれば、把持部3が幅広であるので、把持しやすく、かつ、本体部2が幅狭であるので、固着具4を端子台6に挿通する際に邪魔になりにくい。
【0056】
また、圧着端子取付補助具1は板状である場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、図7に示すように、複数の棒状の部位を組み合わせて構成することもできる。例えば、図7に示す実施形態の圧着端子取付補助具1のように、棒状の把持部3と、把持部3の延伸方向の一端部に連結され、円弧状に延びる棒状の円弧片25を一対備える本体部2と、を備えるように構成することもできる。このような構成の圧着端子取付補助具1では、一対の円弧片25が、保持部22と開閉部21を兼ねている。具体的に、一対の円弧片25は、一端部における両円弧片25で切目21aを画定しつつ、両円弧片25の内周面で挿通孔22aを画定する。なお、圧着端子取付補助具1を、複数の棒状の部位を組み合わせて構成する場合には、固着具4を保持するための剛性を得るため、硬質の材料で構成することが好ましい。
【0057】
さらに、保持部22が自然状態の際の挿通孔22aの内径は軸部41の外径よりも小さい場合について説明したが、このような構成に限らず、挿通孔22aの内径を軸部41の外径と等しく、又は、軸部41の外径よりも大きく構成することもできる。このように構成した場合であっても、挿通孔22aに軸部41を挿通した際に、保持部22によって軸部41が挿通孔22aから径外方に移動することが規制されるので、固着具4の脱落を抑制できる。
【0058】
また、開閉部21は、第一開閉片23と第二開閉片24とを備え、第一開閉片23及び第二開閉片24の両方が互いに接離する方向に移動可能である場合について説明したが、このような構成に限らず、第一開閉片23及び第二開閉片24のいずれか一方が他方に対して接離する方向に移動可能なように構成することもできる。
【0059】
さらに、開閉部21は、開閉部21自体の復元力で閉状態CLとなるように付勢される場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、開閉部21は、開状態OPから閉状態CLとなるように付勢されない構成とすることもできるし、開閉部21の外部に設けられた付勢体によって開状態OPから閉状態CLへと付勢されるように構成することもできる。
【0060】
また、切目21aは、本体部2のうち、把持部3が連結される側と反対側の外縁に向かって延びる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、装着される固着具4の周方向において、切目21aと把持部3が略90度離間して延びるように構成することもできる。
【0061】
さらに、把持部3は、本体部2に装着される固着具4の径方向に沿って延びる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、固着具4の軸線方向に沿って延びるように構成することもできる。
【0062】
また、押え面2aと端子台対向面2bは同様の構成である場合について説明したが、このような構成に限らず、押え面2aと端子台対向面2bを別の構成とすることができる。例えば、押え面2aに滑り止め加工を施して、押え面2aを端子台対向面2bよりも滑りにくく構成することもできる。このような構成によれば、押え面2aは滑りにくく構成されるので、圧着端子5が押え面2aに接した際に生じる摩擦力を大きくすることができるため、圧着端子5を頭部42と押え面2aの間で強固に挟持することができ、かつ、端子台対向面2bは滑りやすく構成されるので、端子台6の上面と端子台対向面2bの間に生じる摩擦力を抑制することができるため、端子台対向面2bが端子台6に当接した場合であっても、本体部2を固着具4の径外方に移動させやすいので、固着具4から圧着端子取付補助具1を取外しやすくなる。
【0063】
さらに、圧着端子取付補助具1全体が絶縁部として構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、圧着端子取付補助具1の一部を絶縁部として構成することもできる。例えば、本体部2を導電体で構成し、把持部3は、絶縁体で構成された絶縁部を介して本体部2に連結されるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1…圧着端子取付補助具、2…本体部、2a…押え面、2b…端子台対向面、21…開閉部、21a…切目、22…保持部、22a…挿通孔、23…第一開閉片、24…第二開閉片、25…円弧片、3…把持部、4…固着具、41…軸部、42…頭部、5…圧着端子、6…端子台、61…雌ネジ部、OP…開状態、CL…閉状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7