(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092253
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】サイドバイザーの取付構造
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
B60J3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207383
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】314014184
【氏名又は名称】DNP田村プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴士
(57)【要約】
【課題】サイドバイザーに外力が加わえられた場合にも取付部材との組付状態を安定して保つことができると共に、組付作業時に作業者への負担を軽減可能なサイドバイザーの取付構造を提供することにある。
【解決手段】サイドバイザー1の取付構造は、サイドバイザー1と、サイドバイザー1を自動車の窓枠2に取り付ける際に用いられる取付部材6とを含み、サイドバイザー1は、窓枠2への取付状態において窓枠2側へ突出する突起体5を備え、突起体5は、根元側の外周に当接部7を備えると共に、先端側に突起体5よりも大径の抜止部8を備え、取付部材6は、板状部材であり、一方の端部に窓枠引掛部9が形成され、他方の端部に係合部10が形成され、係合部10には、挿通孔11と、挿通孔11と連通し、収容孔12とが形成されると共に、挿通孔11と収容孔12との間に、当接部7と当接可能な突部13が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状の鍔部と、前記鍔部に沿って長尺帯状に形成された庇体とを含むサイドバイザーと、前記サイドバイザーを自動車の窓枠に取り付ける際に用いられる取付部材とを含むサイドバイザーの取付構造であって、
前記サイドバイザーは、前記窓枠への取付状態において前記窓枠側へ突出する突起体を備え、
前記突起体は、先端側に、突起体より外周が大きい抜止部を備えると共に、少なくとも前記抜止部より根元側の外周に当接部を備え、
前記取付部材は、板状部材であり、一方の端部に前記窓枠に引っ掛けられる窓枠引掛部が形成され、他方の端部に前記突起体が係合可能な係合部が形成され、
前記係合部には、前記突起体及び前記抜止部が挿通可能な挿通孔と、前記挿通孔と連通し、前記突起体のみが遊挿可能な収容孔とが形成されると共に、前記挿通孔と前記収容孔との間に、前記突起体の前記当接部と当接可能な突部が形成され、
前記突起体を、前記取付部材の前記自動車と対向する側から前記収容孔に遊挿した状態において、前記突起体は、前記抜止部により前記収容孔から抜け止めされると共に、前記当接部と前記突部との当接により前記挿通孔への移動が規制されることを特徴とするサイドバイザーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドバイザーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サイドバイザーの自動車の窓枠への取り付けには、取付安定性等の様々な観点から、多様な取付構造が知られている。例えば、特許文献1には、サイドバイザーに設けられた係止突起と取付金具に設けられた係止部とを係止させて組み付けて窓枠に取り付ける構造が開示されている。この時、取付金具の取付孔には、爪が設けられており、爪が、係止孔に挿入された係止突起を係止する構成となっている。また、引用文献2には、サイドバイザーに設けられた突起体と、ブラケットとを、補助部材を介して組み付けて窓枠に取り付ける構造が開示されている。この時、補助部材の係止リングに設けられた爪が突起体と係止する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-321528号公報
【特許文献2】特開2015-105068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の取付金具や特許文献2の補助部材及びブラケットを用いた取付構造では、サイドバイザーに外力が加えられた際には、爪が変形する等して、サイドバイザーと取付金具又はサイドバイザーと補助部材及びブラケットとの組付状態が不安定になる可能性があった。一方、爪の剛性を高めることで、爪の変形を防止できると考えられる。しかし、爪の剛性を高めることで、サイドバイザーとの組付作業時に強い力が必要となり、作業者の負担が増加する可能性があった。また、サイドバイザーに外力が加えられた際には、外力同等の力が係止突起や突起体に伝わり、係止突起や突起体に負荷がかかる可能性があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、サイドバイザーに外力が加えられた場合にも取付部材との組付状態を安定して保つことができ、突起体にかかる負荷を軽減できると共に、組付作業時に作業者への負担を軽減可能なサイドバイザーの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、長尺帯状の鍔部と、鍔部に沿って長尺帯状に形成された庇体とを含むサイドバイザーと、サイドバイザーを自動車の窓枠に取り付ける際に用いられる取付部材とを含むサイドバイザーの取付構造であって、サイドバイザーは、窓枠への取付状態において窓枠側へ突出する突起体を備え、突起体は、先端側に、突起体より外周が大きい抜止部を備えると共に、少なくとも抜止部より根元側の外周に当接部を備え、取付部材は、板状部材であり、一方の端部に窓枠に引っ掛けられる窓枠引掛部が形成され、他方の端部に突起体が係合可能な係合部が形成され、係合部には、突起体及び抜止部が挿通可能な挿通孔と、挿通孔と連通し、突起体のみが遊挿可能な収容孔とが形成されると共に、挿通孔と収容孔との間に、突起体の当接部と当接する突部が形成され、突起体を、取付部材の自動車と対向する側から収容孔に遊挿した状態において、突起体は、抜止部により収容孔から抜け止めされると共に、当接部と突部とにより挿通孔への移動が規制されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、サイドバイザーが窓枠に取り付けられた状態において、突起体が収容孔に遊挿された状態にあるため、サイドバイザーに外力が加えられた場合にも突起体にかかる負荷を低減でき、サイドバイザーと取付部材との安定した組付状態を保持することができる。加えて、突起体を挿通孔に挿通させた後、収容孔へ移動させるという作業のみで組付作業を行うことができるため、作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のサイドバイザーの取付構造の説明図であって、(a)は斜視、(b)は(a)のA-A線端面図である。
【
図2】(a)はサイドバイザーの突起体周辺を示す説明図、(b)は取付部材を示す説明図である。
【
図3】(a)は取付部材を組み付けたサイドバイザーの一部を示す説明図、(b)はサイドバイザーと取付部材との係合状態を示す説明図である。
【
図4】(a)は変形例1のサイドバイザーの突起体周辺を示す説明図、(b)は変形例1の取付部材の説明図、(c)は(b)とは別方向から見た取付部材の説明図である。
【
図5】(a)は変形例1のサイドバイザーの取付構造を適用した場合における
図1のA-A線端面図、(b)は取付部材を組み付けたサイドバイザーの一部を示す説明図、(c)はサイドバイザーと取付部材との係合状態を示す説明図である。
【
図6】(a)は変形例2のサイドバイザーの突起体周辺を示す説明図、(b)は変形例2の取付部材の説明図である。
【
図7】(a)は変形例2の取付部材を組み付けた変形例2のサイドバイザーの一部を示す説明図、(b)はサイドバイザーと取付部材との係合状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のサイドバイザーの取付構造の説明図であって、
図1(a)は斜視、(b)は
図1(a)のA-A線端面図である。
図2(a)はサイドバイザーの突起体周辺を示す説明図、
図2(b)は取付部材を示す説明図である。
図3(a)は取付部材を組み付けたサイドバイザーの一部を示す説明図、
図3(b)はサイドバイザーと取付部材との係合状態を示す説明図である。なお、図中に示す方向は、自動車への取付状態における方向を示す。
サイドバイザー1は、
図1(a)に示すように、自動車の窓枠2に取り付けられ、日除けや雨除けとして機能する。サイドバイザー1は、長尺帯状の鍔部3と、鍔部3に沿って長尺帯状に形成された庇体4とを含み、
図1(b)及び
図2(a)に示すように、自動車への取付状態における庇体4の窓枠2側の表面に、窓枠2側へ向けて突出する突起体5を備える。
サイドバイザー1は、突起体5に後述する取付部材6を組み付け、取付部材6及び両面テープT等の固定手段によって窓枠2に固定される。
【0010】
サイドバイザー1の突起体5は、
図1(b)、
図2(a)及び
図3(a)に示すように、庇体4と連結する根元から先端までの間の外周の一部が切り欠かれた変形円柱状体である。この切欠部分が本発明の当接部7である。突起体5の先端には、突起体5の直径よりも大きな径を備える円盤状の抜止部8が突起体5と一体に設けられている。
【0011】
取付部材6は、折曲成形された板状部材であって、
図1(b)、
図2(b)及び
図3(a),(b)に示すように、一方の端部に窓枠2に引っ掛けられる窓枠引掛部9が形成され、他方の端部には、突起体5の当接部7が係合可能な係合部10が形成されている。
係合部10には、突起体5及び抜止部8が挿通可能なように、抜止部8の直径よりも大きな直径を有する挿通孔11と、挿通孔11と連通し、突起体5を遊挿状態で収納可能な収容孔12が穿設されている。収容孔12は、突起体5の直径よりも僅かに大きく、且つ抜止部8の直径よりも小さい大きさに形成される。挿通孔11と収容孔12との連通部分には、突起体5の当接部7と当接可能な突部13が形成されている。突部13は、突起体5の挿通孔11から収容孔12への移動を許容する大きさ、且つ、突起体5が収容孔12に収納されている場合、当接部7と当接して、突起体5の収容孔12から挿通孔11への移動を規制する大きさで形成される。
【0012】
続いて、サイドバイザー1の窓枠2への取付方法について説明する。
まず、サイドバイザー1と取付部材6とを組み付ける。突起体5及び抜止部8を、取付部材6の係合部10に穿設された挿通孔11に取付部材6の外側から挿通させる。その状態のまま、突起体5を挿通孔11から収容孔12へ移動させる。突起体5は、挿通孔11から収容孔12へ移動する際、突部13を押し広げて、挿通孔11と収容孔12との連通部分を通過する。突起体5の挿通孔11から収容孔12への移動により、挿通孔11と収容孔12との連通部分における突部13による狭小部分が一時的に拡がるが、突起体5の通過後は、元の状態に戻る。そのため、突起体5が収容孔12へ移動した後、挿通孔11へ戻ろうとすると、突起体5の当接部7と、突部13とが当接し、突起体5の収容孔12から挿通孔11への移動が規制される。また、収容孔12の直径は、抜止部8の直径よりも小さいため、取付部材6が突起体5の突出方向に移動し脱落することがない。このように、突起体5及び抜止部8を挿通孔11に挿通し、突起体5を挿通孔11から収容孔12へ移動させるだけでサイドバイザー1と取付部材6との組み付けができる。さらに、突部13は、挿通孔11から収容孔12への突起体5の移動を許容する大きさであるため、サイドバイザー1と取付部材6との組付作業に大きな力を要することがなく、組付作業にあたる作業員の負担を軽減できる。
【0013】
サイドバイザー1と取付部材6とを組み付けた後、取付部材6の窓枠引掛部9を窓枠2に引っ掛けると共に、両面テープT等の固定手段を用いて、サイドバイザー1を窓枠2に固定する。このようにして、サイドバイザー1は窓枠2に取り付けられる。
このとき、取付部材6の収容孔12の直径が、突起体5の直径よりも大きいことから、サイドバイザー1の突起体5は、収容孔12に遊挿された状態にあるため、サイドバイザー1に外力が加えられた場合にも突起体5にかかる負荷を低減でき、サイドバイザー1と取付部材6との安定した組付状態を保持することができる。
【0014】
上記形態のサイドバイザー1の取付構造は、長尺帯状の鍔部3と、鍔部3に沿って長尺帯状に形成された庇体4とを含むサイドバイザー1と、サイドバイザー1を自動車の窓枠2に取り付ける際に用いられる取付部材6とを含み、サイドバイザー1は、窓枠2への取付状態において窓枠2側へ突出する突起体5を備え、突起体5は、先端側に突起体5より外周が大きい抜止部8を備えると共に、根元から先端までの間の一部の外周に当接部7を備え、取付部材6は、板状部材であり、一方の端部に窓枠2に引っ掛けられる窓枠引掛部9が形成され、他方の端部に突起体5が係合可能な係合部10が形成され、係合部10には、突起体5及び抜止部8が挿通可能な挿通孔11と、挿通孔11と連通し、突起体5のみが遊挿可能な収容孔12とが形成されると共に、挿通孔11と収容孔12との間に、突起体5の当接部7と当接可能な突部13が形成され、突起体5を、取付部材6の自動車と対向する側から収容孔12に遊挿した状態において、突起体5は、抜止部8により収容孔12から抜け止めされると共に、当接部7と突部13との当接により挿通孔11への移動が規制される。
このようにして構成されるサイドバイザー1の取付構造によれば、サイドバイザー1が窓枠2に取り付けられた状態において、突起体5が収容孔12に遊挿された状態にあるため、サイドバイザー1に外力が加えられた場合にも突起体5にかかる負荷を低減でき、サイドバイザー1と取付部材6との安定した組付状態を保持することができる。加えて、突起体5を挿通孔11に挿通させた後、収容孔12へ移動させるという作業のみで組付作業を行うことができるため、作業者の負担を軽減できる。
【0015】
図4(a)は変形例1のサイドバイザーの突起体周辺を示す説明図、
図4(b)は変形例1の取付部材の説明図、
図4(c)は(b)とは別方向から見た取付部材の説明図である。
図5(a)は変形例1のサイドバイザーの取付構造を適用した場合における
図1のA-A線端面図、
図5(b)は取付部材を組み付けたサイドバイザーの一部を示す説明図、
図5(c)はサイドバイザーと取付部材との係合状態を示す説明図である。
図1~3に示した構成と同様の効果を示す構成については、
図1~3と同じ符号を付し、説明を省略する。なお、図中に示す方向は、自動車への取付状態における方向を示す。
サイドバイザー1aの突起体5aは、
図4(a)及び
図5(c)に示すように、突起体5aの根元で、窓枠2への取付状態における突起体5aの上部前後に、突起体5aの径方向に突出する当接部7a,7aが形成された変形円柱状体である。この当接部7aは、突起体5aの強度を向上させるリブとしての機能も有する。突起体5aの先端側には、中央に突起体5aが挿通可能な貫通孔14が形成された抜止部としての抜止リング8aが取り付けられている。抜止リング8aと突起体5aとは、抜止リング8aの貫通孔14周縁から中央に向けて突出する爪15により固定されている。
【0016】
取付部材6aは、
図4(b),(c)及び
図5(a),(b),(c)に示すように、挿通孔11aが、係合部10から係合部10の窓枠引掛部9側に形成される折曲部10aにわたって形成されている。挿通孔11aにおける係合部10に形成された部分は、突起体5aが挿通可能な大きさで形成されると共に、収容孔12へ近づくにつれて幅狭に形成される。一方、挿通孔11aにおける折曲部10aに形成された部分は、抜止リング8aが挿通可能なように抜止リング8aの直径よりも大きな幅で形成される。挿通孔11aと収容孔12との連通部分には、突起体5aの当接部7a,7aと当接可能な一対の突部13,13が形成されている。突部13,13の間隔は、突起体5aの挿通孔11aから収容孔12への移動を許容する大きさ、且つ、突起体5aが収容孔12に収納されている場合、当接部7a,7aと当接して、突起体5aの収容孔12から挿通孔11aへの移動を規制する大きさで形成される。
【0017】
続いて、サイドバイザー1aの窓枠2への取付方法について説明する。
まず、サイドバイザー1aと取付部材6aとを組み付ける。抜止リング8aを取り付けた状態の突起体5aを、
図4(c)の矢印Aの方向から、取付部材6aの係合部10に穿設された挿通孔11aに、抜止リング8aが挿通孔11aの折曲部10aに形成された部分を通るように挿通させる。その状態のまま、突起体5aを挿通孔11aから収容孔12へ移動させる。突起体5aは、挿通孔11aから収容孔12へ移動する際、突部13,13を押し広げて、挿通孔11aと収容孔12との連通部分を通過する。突起体5aの挿通孔11aから収容孔12への移動により、挿通孔11aと収容孔12との連通部分における突部13,13による狭小部分が一時的に拡がるが、突起体5の通過後は、元の状態に戻る。この時、挿通孔11aにおける係合部10に形成された部分は、収容孔12へ近づくに連れて幅狭に形成されるため、突起体5aが挿通孔11aの前後側縁を押し広げながら通過することができる。そのため、突起体5aが収容孔12へ移動した後、挿通孔11aへ戻ろうとすると、突起体5aの当接部7a,7aと、突部13,13とが当接し、突起体5aの収容孔12から挿通孔11aへの移動が規制される。また、収容孔12の直径は、抜止リング8aの直径よりも小さいため、取付部材6aが突起体5aの突出方向に移動し脱落することがない。このように、突起体5a及び抜止リング8aを挿通孔11aに挿通し、突起体5aを挿通孔11aから収容孔12へ移動させるだけでサイドバイザー1aと取付部材6aとの組み付けができる。さらに、突部13は、挿通孔11aから収容孔12への突起体5aの移動を許容する大きさであるため、抜止リング8aが取り付けられたサイドバイザー1aと取付部材6aとの組付作業に大きな力を要することがなく、組付作業にあたる作業員の負担を軽減できる。
【0018】
サイドバイザー1aと取付部材6aとを組み付けた後、取付部材6aの窓枠引掛部9を窓枠2に引っ掛けると共に、両面テープT等の固定手段を用いて、サイドバイザー1aを窓枠2に固定する。このようにして、サイドバイザー1aは窓枠2に取り付けられる。
このとき、取付部材6aの収容孔12の直径が、突起体5aの直径よりも大きいことから、サイドバイザー1aの突起体5aは、収容孔12に遊挿された状態にあるため、サイドバイザー1aに外力が加えられた場合にも突起体5aにかかる負荷を低減でき、サイドバイザー1aと取付部材6aとの安定した組付状態を保持することができる。
【0019】
図6(a)は変形例2のサイドバイザーの突起体周辺を示す説明図、
図6(b)は変形例2の取付部材の説明図である。
図7(a)は変形例2の取付部材を組み付けた変形例2のサイドバイザーの一部を示す説明図、
図7(b)はサイドバイザーと取付部材との係合状態を示す説明図である。
図1~5に示した構成と同様の効果を示す構成については、
図1~3と同じ符号を付し、説明を省略する。なお、図中に示す方向は、自動車への取付状態における方向を示す。
サイドバイザー1bの突起体5bは、
図6(a)及び
図7(b)に示すように、突起体5bの根元で、窓枠2への取付状態における突起体5bの上部前後、及び突起体5bの下部に、突起体5bの径方向に突出する当接部7b,7b,7bが形成された変形円柱状体である。この当接部7bは、突起体5bの強度を向上させるリブとしての機能も有する。
【0020】
取付部材6bは、
図6(b)及び
図7(a),(b)に示すように、挿通孔11bが、係合部10から係合部10の窓枠引掛部9側に形成される折曲部10bにわたって形成されている。挿通孔11bにおける係合部10に形成された部分は、突起体5bが挿通可能な大きさで形成される。一方、挿通孔11bにおける折曲部10bに形成された部分は、抜止リング8bが挿通可能なように抜止リング8bの直径よりも大きな幅で形成される。収容孔12の下部には、突起体5bの当接部7bが遊挿可能な大きさの凹部16が形成されている。挿通孔11bと収容孔12との連通部分には、突起体5bの上部に設けられた当接部7b,7bと当接可能な一対の突部13,13が形成されている。突部13,13は、突起体5bの挿通孔11bから収容孔12への移動を許容する大きさ、且つ、突起体5bが収容孔12に収納されている場合、突起体5bの上部の当接部7b,7bと当接して、突起体5bの収容孔12から挿通孔11bへの移動を規制する大きさで形成される。
【0021】
続いて、サイドバイザー1bの窓枠2への取付方法について説明する。
まず、サイドバイザー1bと取付部材6bとを組み付ける。抜止リング8bを取り付けた状態の突起体5bを、折曲部10b側から取付部材6bの係合部10に穿設された挿通孔11bに、抜止リング8bが挿通孔11bの折曲部10bに形成された部分を通るように挿通させる。その状態のまま、突起体5bを挿通孔11bから収容孔12へ移動させる。突起体5bが収容孔12へ移動した後、挿通孔11bへ戻ろうとすると、突起体5bの上部の当接部7b,7bと、突部13,13とが当接し、突起体5bの収容孔12から挿通孔11bへの移動が規制される。また、収容孔12の直径は、抜止リング8aの直径よりも小さいため、取付部材6bが突起体5bの突出方向に移動し脱落することがない。このように、突起体5b及び抜止リング8bを挿通孔11bに挿通し、突起体5bを挿通孔11bから収容孔12へ移動させるだけでサイドバイザー1bと取付部材6bとの組み付けができる。さらに、突部13は、挿通孔11bから収容孔12への突起体5bの移動を許容する大きさであるため、抜止リング8bが取り付けられたサイドバイザー1bと取付部材6bとの組付作業に大きな力を要することがなく、組付作業にあたる作業員の負担を軽減できる。
【0022】
サイドバイザー1bと取付部材6bとを組み付けた後、取付部材6bの窓枠引掛部9を窓枠2に引っ掛けると共に、両面テープT等の固定手段を用いて、サイドバイザー1bを窓枠2に固定する。このようにして、サイドバイザー1bは窓枠2に取り付けられる。
このとき、取付部材6bの収容孔12の直径が、突起体5bの直径よりも大きいことから、サイドバイザー1bの突起体5bは、収容孔12に遊挿された状態にあるため、サイドバイザー1bに外力が加えられた場合にも突起体5bにかかる負荷を低減でき、サイドバイザー1bと取付部材6bとの安定した組付状態を保持することができる。
【0023】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、実施例では自動車の左のフロントドアの窓枠に取り付ける場合を説明したが、本発明のサイドバイザーの取付構造は、左右のフロントサイドバイザー及び左右のリアサイドバイザーの何れについても適用可能である。
また、突起体は、上述のようにサイドバイザーと一体に設けられても良いし、別体で設けても良い。また、自動車への取付状態におけるサイドバイザーの内側であれば、突起体は、どこに設けられても良いし、1つだけ設けられても複数設けられても良い。さらに、突起体の形状は、円柱状以外にも、ボスやリベット等による円形や多角形の柱状、中空の筒状やドーム状等でも良く、限定されない。
また、突起体に設けられる当接部は、上述のように、突起体から突出して形成されても良いし、突起体の一部を切り欠いて形成されても良いし、形成される数も限定されない。さらに、突起体から突出して設けた場合の当接部のサイドバイザーの内側表面から突起体先端に向けた高さ及び突起体を切り欠いて設けた場合の当接部のサイドバイザーの内側表面から突起体先端に向けた切欠の長さは、少なくとも取付部材に設けられる突部と当接可能なものであれば良く、突起体の根元から先端までの間で任意に設定できる。
また、抜止部は、自動車への取付状態におけるサイドバイザーの内側表面から少なくとも取付部材の板厚分の距離を空けて設けられれば良く、取付部材の板厚分以上の距離を空けて設けられても良い。加えて、上述のように、抜止部は突起体と一体でも別体でも良い。別体の場合、抜止部と突起体との固定は、上述した爪によるものだけでなく、溶着、螺着等の任意の固定方法を設定できる。さらに、抜止部の形状は、取付部材の突起体の突出方向への移動を規制できれば、任意の形状を設定可能である。
また、挿通孔は、抜止部を含む突起体が挿通可能であれば良く、取付部材の係合部に収容孔と連通して設けられていれば、その形状及び形成位置は限定されない。実施例のように、自動車への取付状態で、上方に挿通孔、下方に収容孔の位置関係であることが望ましいが、例えば、収容孔と前後方向に連通するような位置に形成されても良い。
また、収容孔は、突起体が遊挿される大きさであれば、開口形状及び大きさは限定されない。
また、取付部材の係合部は、上述のように、自動車への取付状態における下方に向けて板状部材を折り曲げて形成されても良いし、上方に向けて折り曲げて形成されても良い。
また、突部は、収容孔に収容された突起体の動きを効率よく規制するために挿通孔と収容孔との連通部分に設けられることが望ましいが、突起体の収容孔から挿通孔への移動を規制できれば、挿通孔及び収容孔のどの位置に設けられても良い。
また、既にリブ等の突片が設けられた突起体においては、当該突片を当接部として利用することで、本発明を適用しても良い。
また、挿通孔における係合部に形成される部分は、前後側縁を一定幅で形成しても良い。
【符号の説明】
【0024】
1,1a,1b・・サイドバイザー、2・・窓枠、3・・鍔部、4・・庇体、5,5a,5b・・突起体、6・・取付部材、7・・当接部、8・・抜止部、8a,8b・・抜止リング(抜止部)、9・・窓枠引掛部、10・・係合部、11,11a,11b・・挿通孔、12・・収容孔、13・・突部。