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特開2023-92274エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム
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  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図1
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図2
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図3
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図4
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図5
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図6
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図7
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図8
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図9
  • 特開-エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092274
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】エレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20230626BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20230626BHJP
   B66B 17/20 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B66B1/14 E
B66B1/14 K
B66B3/00 K
B66B17/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207413
(22)【出願日】2021-12-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA01
3F303CA02
3F303CA09
3F303CB23
3F502HC07
3F502JA05
3F502JA08
3F502JA28
3F502KA07
3F502MA03
3F502MA15
3F502MA37
(57)【要約】
【課題】自走型装置が利用者と接触する可能性が低減した状態で、利用者および自走型装置を割り当てることが可能なエレベータ管理装置を実現する。
【解決手段】エレベータ管理装置(1)は、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、自走型装置の出発階および行先階を特定する第1特定部(111)と、前記行先階呼び信号より先に受信された、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、利用者の出発階および行先階を特定する第2特定部(112)と、利用者の出発階から行先階に向かう方向と自走型装置の出発階から行先階に向かう方向とが同一方向の場合であり、且つ、利用者の乗車区間が自走型装置の乗車区間に含まれる場合、自走型装置をエレベータに割り当てる第1割当部(114)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、
自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部と、
前記行先階呼び信号より先に受信された、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部と、
前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てる割当部と、
を備えるエレベータ管理装置。
【請求項2】
前記割当部は、前記自走型装置の出発階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てない、
請求項1に記載のエレベータ管理装置。
【請求項3】
前記割当部は、前記自走型装置の行先階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てない、請求項1または2に記載のエレベータ管理装置。
【請求項4】
エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、
利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部と、
前記行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部と、
前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てる割当部と、
を備えるエレベータ管理装置。
【請求項5】
前記割当部は、前記自走型装置の行先階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てない、
請求項4に記載のエレベータ管理装置。
【請求項6】
前記割当部は、前記自走型装置の出発階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記利用者に前記エレベータを割り当てない、
請求項4または5に記載のエレベータ管理装置。
【請求項7】
エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置の制御方法であって、
自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定ステップと、
前記行先階呼び信号より先に受信された、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定ステップと、
前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てる割当ステップと、
を含むエレベータ管理装置の制御方法。
【請求項8】
エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置の制御方法であって、
利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定ステップと、
前記行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定ステップと、
前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てる割当ステップと、
を含むエレベータ管理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載のエレベータ管理装置と、
前記自走型装置と、
を含むエレベータ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行先階登録機能を有するエレベータを管理するエレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者または自律移動体のエレベータのかごに対する乗降を示す情報を当該自律移動体に設けられた機器に報知する自律移動体制御装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、エレベータかご内の人の存在を検出する検出部と、エレベータ乗降領域における人の存在を検出するための乗降領域指示入力部とを備えるエレベータシステムが開示されている。このエレベータシステムは、ロボットがエレベータかごを独占的に使用するロボット専用モードに設定可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/066054号
【特許文献2】特開2009-234716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている自律移動体制御装置の場合、利用者と自走型装置との接触への注意喚起が行われても、自走型装置の移動により利用者に接触する可能性がある。特許文献2のエレベータシステムの場合、自走型装置が利用者と同一のかごに割り当てられることがなく、エレベータを効率よく使用することができないという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、ロボットが利用者と同じエレベータに乗り合わせることが許容される場合に、自走型装置が利用者と接触する可能性を低減させるように、自走型装置または利用者をエレベータに割り当てることができるエレベータ管理装置、エレベータ管理装置の制御方法、およびエレベータ管理システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエレベータ管理装置は、エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部と、前記行先階呼び信号より先に受信された、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部と、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てる割当部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るエレベータ管理装置は、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部と、前記行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部と、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てる割当部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係るエレベータ管理装置の制御方法は、エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置の制御方法であって、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定ステップと、前記行先階呼び信号より先に受信された、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定ステップと、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てる割当ステップと、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係るエレベータ管理装置の制御方法は、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定ステップと、前記行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定ステップと、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てる割当ステップと、を含む。
【0011】
本発明の一態様に係るエレベータ管理システムは、上述のエレベータ管理装置と、前記自走型装置と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、ロボットが利用者と同じエレベータに乗り合わせることが許容される場合に、自走型装置が利用者と接触する可能性を低減させるように、自走型装置または利用者をエレベータに割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るエレベータ管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】エレベータ管理装置の構成の一例を示す図である。
図3】自走型装置の構成の一例を示す図である。
図4】エレベータ制御装置およびエレベータの構成の一例を示す図である。
図5】エレベータ管理装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】サブルーチンAの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】サブルーチンBの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】エレベータ管理システムの概要を説明するための図である。
図9】エレベータ管理システムの概要を説明するための図である。
図10】エレベータ管理システムの概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0015】
(エレベータ管理システム100の概要)
図1は、本実施形態に係るエレベータ管理システム100の構成の一例を示す図である。エレベータ管理システム100は、複数階床を有する建物に設けられたエレベータ4を管理するシステムである。エレベータ管理システム100は、行先階登録機能を備えるエレベータ4の利用者Hおよび例えばロボット等の自走型装置6に最適号機を通知することが可能なシステムである。以下、利用者Hおよび自走型装置6を総称して利用対象という。なお、一度の行先階登録操作、即ち後述する割当依頼操作により登録する利用者Hの人数は1人であってもよいし、複数人であってもよい。一度に登録する自走型装置6の台数も1つであってもよいし、複数であってもよい。以下、一度に登録する利用者Hの人数が1人であり、一度に登録する自走型装置6の台数が1である場合につき説明する。
【0016】
ここで、「行先階登録機能」とは、利用対象の行先階に応じて最適号機を割り当てると共に、最適号機を利用対象が乗車する号機として利用対象に案内することにより、利用対象がエレベータの到着を待つ時間を効果的に短縮することが可能な機能である。また、行先階登録機能によって、利用対象が行先階に到着するまでの時間も短縮され得る。なお、「最適号機」とは、利用対象の割当依頼操作に応じて、行先階登録機能を備えるエレベータ管理システム100のエレベータ管理装置1が、各割当依頼操作に対して割り当てるエレベータ4の号機である。「割当依頼操作に対して割り当てる号機」は、割当依頼操作を行った利用対象が利用すべき最適号機として、エレベータ管理装置1が決定したエレベータ4の号機を意図している。以下、エレベータ4が複数号機を備える場合を例に挙げて説明するが、本発明は、エレベータが号機を複数有することには限定されない。図1には、複数の号機を備えるエレベータ4を例示している。以下では、エレベータ4a~4cがそれぞれ、1~3号機である場合を例に挙げて説明する。
【0017】
また、「割当依頼操作」とは、利用対象が予め行先階を含む割当依頼データをエレベータ管理装置1に登録するための操作である。「割当依頼操作」は「行先階呼び登録操作」ともいう。利用対象が利用者Hである場合、割当依頼操作は、例えば、利用者Hが出発階において出発階に設置されている行先階呼び登録装置2に所望の行先階等を入力する操作であってもよい。行先階呼び登録装置2は、入力された行先階を示す情報と、当該行先階呼び登録装置2が設置されている階床の情報とを含む情報をエレベータ管理装置1に送信してもよい。利用者Hは、行先階呼び登録装置2を介さず、スマートフォン等の携帯端末を用いて、エレベータ管理装置1へ割当依頼データを直接送信してもよい。利用対象が自走型装置6である場合、割当依頼操作は、例えば、自走型装置6がエレベータ管理装置1へ割当依頼データを直接送信して割り当て依頼を行ってもよい。
【0018】
エレベータ管理システム100における自走型装置6は、予め建物に配備されている自動搬送装置、自走型掃除装置、およびその他の多機能ロボット等であってもよい。あるいは、自走型装置6は、エレベータ管理システム100の導入に合わせて建物に配備された専用の装置であってもよい。自走型装置6は自走機能の他に、利用者Hに対してメッセージを通知する機能(例えば、音声出力機能、および画面表示機能等)を備えていてもよい。
【0019】
(エレベータ管理システム100の技術的思想)
まず、エレベータ管理システム100の技術的思想について、図8図10を用いて説明する。図8図10は、エレベータ管理システム100の概要を説明するための図である。図8図10では、自走型装置6の出発階を始点として行先階を終点とする方向と、利用者Hの出発階を始点として行先階を終点とする方向とが同一である場合を例示している。
【0020】
図8の例では、自走型装置6は2Fで乗車し、5Fで降車する。利用者Hは3Fで乗車し、4Fで降車する。自走型装置6および利用者Hがそれぞれ割当依頼操作を行った結果、自走型装置6および利用者Hに1号機が割り当てられたとする。この場合、利用者Hが3Fから乗車する際に、自走型装置6は既に2Fから乗車しているので、自走型装置6が動くことはない。自走型装置6は5Fで降車するため、利用者Hが4Fで降車する際に、自走型装置6が動くことはない。このように、利用者Hと自走型装置6とが同一のエレベータ4に乗り合わせる状況において、利用者Hの乗降時に自走型装置6が動かないようにエレベータ4が割り当てられていれば、自走型装置6が利用者Hに接触する可能性を低減できる。
【0021】
一方、図9の例では、自走型装置6は2Fで乗車し、5Fで降車する。利用者Hは1Fで乗車し、4Fで降車する。自走型装置6および利用者Hがそれぞれ割当依頼操作を行った結果、自走型装置6および利用者Hに1号機が割り当てられたとする。この場合、利用者Hは既に1Fから乗車しているので、自走型装置6が2Fから乗車する際に、自走型装置6が利用者Hに接触する可能性がある。なお、自走型装置6が5Fで降車する際には、利用者Hが既に4Fで降車しているので、自走型装置6が利用者Hに接触することはない。
【0022】
また、図10の例では、自走型装置6は2Fで乗車し、5Fで降車する。利用者Hは4Fで乗車し、6Fで降車する。自走型装置6および利用者Hがそれぞれ割当依頼操作を行った結果、自走型装置6および利用者Hに1号機が割り当てられたとする。この場合、自走型装置6が2Fから乗車する際に、1号機に利用者Hは乗車していないので、自走型装置6が利用者Hと接触することはない。しかし、利用者Hは6Fで降車するので、自走型装置6が5Fで降車する際には利用者Hが乗車しており、利用者Hに自走型装置が接触する可能性がある。
【0023】
図9および図10のように、利用者Hが乗車している状態で、自走型装置6が乗車または降車する場合、自走型装置6が動くことにより自走型装置6が利用者Hに接触する可能性がある。そのため、自走型装置6と利用者Hとの接触により、利用者Hが負傷したり、自走型装置6が破損したりする可能性がある。従って、このような状況が発生しないように、自走型装置6および利用者Hをエレベータ4に割り当てることが要求される。
【0024】
本発明者等は、自走型装置6および利用者Hが同一号機に乗り合わせることを許容する場合、図8に示すように、利用者Hの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれるように、自走型装置6および利用者Hを号機に割り当てる必要があることを見出した。このように割り当てた場合、利用者Hが乗車している状態で、自走型装置6が乗車または降車することがなく、自走型装置6の乗車時および降車時に自走型装置6が利用者Hに接触することはない。即ち、自走型装置6と利用者Hとが同一号機に乗車することができる状況において、利用者Hの乗車中に自走型装置6が利用者Hに接触する可能性を低減できる。エレベータ管理装置1は、自走型装置6と利用者Hとの接触が抑制され、利用者Hが安全な状態で、自走型装置6を、利用者Hが割り当てられた号機に割り当てることができる。そして、利用者Hを、自走型装置6が割り当てられた号機に割り当てることができる。また、安全な状態で、自走型装置6および利用者Hが同一号機に乗り合わせることが可能となるため、効率良く、エレベータ4を使用することが可能となる。
【0025】
上述した割り当てを実現すべく、本開示のエレベータ管理装置1は、以下に示す装置利用階特定部と、利用者利用階特定部と、割当部とを備えてよい。装置利用階特定部は、自走型装置6からの行先階呼び信号、即ち割当依頼データに基づいて、自走型装置6の出発階および行先階を特定する。利用者利用階特定部は、自走型装置6からの行先階呼び信号より先に受信された、利用者Hによる行先階呼び信号に基づいて、利用者Hの出発階および行先階を特定する。割当部は、利用者Hの出発階から行先階に向かう方向と自走型装置6の出発階から行先階に向かう方向とが同一方向であり、且つ、利用者Hの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれる場合、自走型装置6を利用者Hの号機に割り当てる。
【0026】
また、上述した割り当てを実現すべく、本開示のエレベータ管理装置1は、以下に示す装置利用階特定部と、利用者利用階特定部と、割当部とを備えてよい。利用者利用階特定部は、利用者Hの操作により発せられた行先階呼び信号、即ち割当依頼データに基づいて、利用者Hの出発階および行先階を特定する。装置利用階特定部は、利用者Hからの行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置6による行先階呼び信号に基づいて、自走型装置6の出発階および行先階を特定する。割当部は、利用者Hの出発階から行先階に向かう方向と自走型装置6の出発階から行先階に向かう方向とが同一方向であり、且つ、利用者Hの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれる場合、利用者Hを自走型装置6の号機に割り当てる。
【0027】
なお、上述の「利用者Hの乗車区間」とは、利用者Hの出発階を始点として利用者Hの行先階を終点とする区間である。また、上述の「自走型装置6の乗車区間」とは、自走型装置6の出発階を始点として自走型装置6の行先階を終点とする区間である。
【0028】
ここで、上記2つの方向が互いに異なる場合、既に割り当てられた利用者Hの号機が自走型装置6に割り当てられたり、既に割り当てられた自走型装置6の号機が利用者Hに割り当てられたりすることはない。従って、自走型装置6が乗車または降車することにより、自走型装置6が利用者Hに接触する可能性はない。
【0029】
また、上記2つの方向が同一であっても、以下の場合には、自走型装置6の乗車または降車により、自走型装置6が利用者Hに接触する可能性はない。即ち、自走型装置6と利用者Hとが同一号機に乗り合わせることがないように、自走型装置6および利用者Hがエレベータ4に割り当てられる場合には、自走型装置6が利用者Hに接触する可能性はない。
【0030】
従って、本実施形態では、このような自走型装置6が利用者Hに接触する可能性が無い場合の制御については説明を割愛する。以下では、自走型装置6と利用者Hとが同一号機に乗り合わせることが可能な場合の制御について説明する。また、以下では、利用者Hの出発階から行先階に向かう方向と自走型装置6の出発階から行先階に向かう方向とが同一方向であることを前提として説明する。
【0031】
(エレベータ管理システム100の構成)
エレベータ管理システム100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るエレベータ管理システム100の構成の一例を示す図である。なお、図1に示すエレベータ管理システム100は、エレベータ管理装置1が、自走型装置管理装置5を介して自走型装置6を制御する構成である。エレベータ管理装置1は、自走型装置管理装置5を介さずに自走型装置6を制御するものであってもよい。
【0032】
エレベータ管理システム100は、エレベータ管理装置1、行先階呼び登録装置2、エレベータ制御装置3、エレベータ4、自走型装置管理装置5、および自走型装置6を含んでいる。
【0033】
エレベータ管理装置1は、建物に設けられた複数号機のエレベータ4の運転を管理する。エレベータ管理装置1の詳細については後述する。
【0034】
行先階呼び登録装置2は、建物の各階のエレベータ乗り場に設けられている。行先階呼び登録装置2は、利用者Hによる割当依頼操作を受付けて、入力された行先階等の割当依頼データをエレベータ管理装置1に送信する。エレベータ管理装置1と、行先階呼び登録装置2との間の通信では、行先階呼び登録装置2の各々に付与された識別情報(ID)が用いられる。例えば、1Fに配置している行先階呼び登録装置2のIDを「DESTREG-001」、2Fに配置している行先階呼び登録装置2のIDを「DESTREG-002」等とする。エレベータ管理装置1は、各割当依頼操作に応じて割り当てた最適号機の情報を行先階呼び登録装置2へ送信し、利用者Hは、行先階呼び登録装置2の表示画面等により最適号機を確認する。利用者Hが行先階呼び登録装置2を介さず、エレベータ管理装置1へ携帯端末により直接割当依頼データを送信する場合、利用者H毎にIDが付与されており、携帯端末とエレベータ4との通信に当該IDが用いられる。以下、利用者Hが行先階呼び登録装置2を介して割当依頼操作を行う場合について説明する。
【0035】
自走型装置6は、割当依頼データをエレベータ管理装置1に送信する。エレベータ管理装置1は、割当依頼データに応じて割り当てた最適号機の情報を自走型装置6に送信する。
【0036】
エレベータ制御装置3は、エレベータ4の運転を制御する。エレベータ制御装置3は、エレベータ4の各号機に対応して設けられている。例えば、エレベータ制御装置3aはエレベータ4aの運転を制御し、エレベータ制御装置3bはエレベータ4bの運転を制御する。なお、エレベータ管理システム100では、エレベータ制御装置3およびエレベータ4の数は複数である。
【0037】
自走型装置管理装置5は、建物に配備されている自走型装置6の移動および動作等を制御する。建物に自走型装置6が複数配備されている場合、自走型装置管理装置5と、自走型装置6との間の通信では、自走型装置6の各々に付与された識別情報(ID)が用いられる。自走型装置管理装置5は、各自走型装置6から適宜、自走型装置6の現在の位置を示す情報、および現在行っている作業に関する情報等を含む作業状況情報を受信する構成であってもよい。これにより、自走型装置管理装置5は、自走型装置6毎の位置と作業状況とを監視し、制御することができる。自走型装置管理装置5は、例えば、自走型装置6の出発階および行先階を決定し、当該出発階および行先階の情報を自走型装置6へ送信してもよい。自走型装置管理装置5は、作業状況情報等をエレベータ管理装置1に送信してもよい。
【0038】
(エレベータ管理装置1の構成)
エレベータ管理装置1の構成について、図2を用いて説明する。図2は、エレベータ管理装置1の構成の一例を示す図である。
【0039】
エレベータ管理装置1は、行先階呼び登録装置2、およびエレベータ制御装置3等と通信可能に接続されているコンピュータであり、例えば、制御部11、記憶部12、および通信部13を備えている。
【0040】
制御部11はCPU(Central Processing Unit)であり、制御部11は、エレベータ管理装置1が備える各機能の処理を実行するように制御する。制御部11は、利用対象から割当依頼データを受信し、受信した割当依頼データおよび既に割り当てた号機の情報に基づいて、当該利用対象のエレベータの号機への割り当て可否を決定する。制御部11は、割り当て可能である号機の候補の中から最適号機を決定し、当該最適号機に利用対象の割り当てを行う。また、制御部11は、各号機の運転を統括的に管理する。
【0041】
制御部11は、例えば、第1特定部111、第2特定部112、第3特定部113、第1割当部114、第2割当部115、決定部116、および通信制御部117を備える。
【0042】
第1特定部111は、自走型装置6からの割当依頼データに基づいて、自走型装置6の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部の一例として機能する。また、第1特定部111は、利用者Hの操作により発せられた割当依頼データに基づいて、利用者Hの出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部の一例として機能する。
【0043】
具体的には、第1特定部111は、通信制御部117を介して、利用対象から割当依頼データを受信したか否かを判定する。割当依頼データは、例えば、利用対象の登録元ID、利用対象属性Rz、出発階Rsおよび行先階Riの情報を含む。第1特定部111は、利用対象から割当依頼データを受信した場合、割当依頼データに含まれる利用対象の登録元ID、利用対象属性Rz、出発階Rsおよび行先階Riを特定するとともに、登録情報テーブル121に記憶する。
【0044】
第2特定部112は、自走型装置6からの割当依頼データより先に受信された、利用者Hによる割当依頼データに基づいて、利用者Hの出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部の一例として機能する。
【0045】
具体的には、第2特定部112は、自走型装置6から割当依頼データを受信した場合、号機に既に割り当てられており、自走型装置6の出発階Rsに到着するまでに号機に乗車中または乗車予定である全ての利用者Hの出発階および行先階を、号機毎に特定する。第2特定部112は、特定した全ての利用者Hの出発階および行先階を、第1出発階Fsおよび第1行先階Fiとして第1リスト122に記憶する。第2特定部112は、当該全ての利用者Hの第1出発階Fsおよび第1行先階Fiを、号機毎に記憶する。第2特定部112は、例えば、自走型装置6が現在いる階から上層階に移動する場合、自走型装置6の出発階Rsより下層階が出発階として登録されている利用者Hの出発階および行先階を、登録情報テーブル121から読み出す。そして、第2特定部112は、読み出した利用者Hの出発階および行先階を、第1出発階Fsおよび第1行先階Fiとして第1リスト122に記憶する。
【0046】
また、第2特定部112は、号機に既に割り当てられており、自走型装置6の出発階Rsを出発した後に号機に乗車予定である全ての利用者Hの出発階および行先階を、号機毎に特定する。第2特定部112は、特定した全ての利用者Hの出発階および行先階を、第2出発階Ssおよび第2行先階Siとして第2リスト123に記憶する。第2特定部112は、当該全ての利用者Hの第2出発階Ssおよび第2行先階Siを、号機毎に記憶する。第2特定部112は、例えば自走型装置6が現在いる階から上層階に移動する場合、自走型装置6の出発階Rsより上層階が出発階として登録されている利用者Hの出発階および行先階を登録情報テーブル121から読み出す。そして、第2特定部112は、読み出した利用者の出発階および行先階を、第2出発階Ssおよび第2行先階Siとして第2リスト123に登録する。
【0047】
第3特定部113は、利用者Hからの割当依頼データより先に受信された、自走型装置6による割当依頼データに基づいて、自走型装置6の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部の一例として機能する。
【0048】
具体的には、第3特定部113は、利用者Hからの割当依頼データを受信した場合、号機に既に割り当てられており、利用者Hの出発階Rsに到着するまでに号機に乗車中または乗車予定である全ての自走型装置6の行先階を、号機毎に特定する。第3特定部113は、特定した全ての自走型装置6の行先階を、第3行先階Miとして第3リスト124に記憶する。第3特定部113は、例えば利用者Hが現在いる階から上層階に移動する場合、利用者Hの出発階Rsより下層階が出発階として登録されている自走型装置6の行先階を、登録情報テーブル121から読み出す。そして、第3特定部113は、読み出した自走型装置6の行先階を、第3行先階Miとして第3リスト124に記憶する。
【0049】
また、第3特定部113は、号機に既に割り当てられており、利用者の出発階Rsを出発した後に乗車予定である全ての自走型装置6の出発階を、号機毎に特定する。第3特定部113は、特定した全ての自走型装置6の出発階を、第4出発階Nsとして第4リスト125に記憶する。第3特定部113は、例えば利用者Hが現在いる階から上層階に移動する場合、利用者Hの出発階Rsより上層階が出発階として登録されている自走型装置6の出発階を、登録情報テーブル121から読み出す。そして第3特定部113は、読み出した自走型装置6の出発階を、第4出発階Nsとして第4リスト125に記憶する。
【0050】
第1割当部114は、自走型装置6から割当依頼データを受信したとき、既に号機に割り当てられた利用者Hの乗車区間が当該自走型装置6の乗車区間に含まれる場合には、当該自走型装置6を当該利用者Hの号機に割り当てる割当部の一例として機能する。第1割当部114は、割当対象として特定した号機を、割当候補リスト126に記憶する。
【0051】
具体的には、第1割当部114は、割当依頼データを送信した自走型装置6の出発階が、既に号機に割り当てられた利用者Hの出発階または行先階と同一階である場合、当該自走型装置6に当該利用者Hの号機を割り当てない。また、第1割当部114は、当該自走型装置6の出発階が、当該利用者Hの出発階と行先階との間に存在する場合、当該自走型装置6に当該利用者Hの号機を割り当てない。さらに、第1割当部114は、自走型装置6の行先階が、既に号機に割り当てられた利用者Hの出発階または行先階と同一階である場合、当該自走型装置6に当該利用者Hの号機を割り当てない。また、第1割当部114は、当該自走型装置6の行先階が、当該利用者Hの出発階と行先階との間に存在する場合、当該自走型装置6に当該利用者Hの号機を割り当てない。
【0052】
第2割当部115は、利用者Hから行先階呼び登録装置2を介し割当依頼データを受信したとき、利用者Hの乗車区間が、既に号機に割り当てられた自走型装置6の乗車区間に含まれる場合、利用者Hを自走型装置6の号機に割り当てる割当部の一例として機能する。第2割当部115は、割当対象として特定した号機を、割当候補リスト126に記憶する。
【0053】
具体的には、第2割当部115は、既に号機に割り当てられた自走型装置6の行先階が、割当依頼データを送信した利用者Hの出発階または行先階と同一階である場合、当該利用者Hに当該自走型装置6の号機を割り当てない。また、第2割当部115は、当該自走型装置6の行先階が当該利用者Hの出発階と行先階との間に存在する場合、当該利用者Hに当該自走型装置6の号機を割り当てない。さらに、第2割当部115は、既に号機に割り当てられた自走型装置6の出発階が、割当依頼データを送信した利用者Hの出発階または行先階と同一階である場合、当該利用者Hに当該自走型装置6の号機を割り当てない。また、第2割当部115は、当該自走型装置6の出発階が、当該利用者Hの出発階と行先階との間に存在する場合、当該利用者Hに当該自走型装置6の号機を割り当てない。
【0054】
決定部116は、割当候補リスト126に記憶された号機の中から最適号機を決定し、登録情報テーブル121に記憶する。決定部116は、例えば出発階における利用対象の待ち時間が最も短くなる号機を最適号機として決定する。
【0055】
通信制御部117は、通信部13を制御して、行先階呼び登録装置2、エレベータ制御装置3、自走型装置管理装置5および自走型装置6との間で通信を行う。具体的には、通信制御部117は、行先階呼び登録装置2または自走型装置6から割当依頼データを受信し、行先階呼び登録装置2または自走型装置6へ最適号機の情報を送信する制御を行う。通信制御部117は、利用対象が自走型装置6である場合、自走型装置6に最適号機の情報を送信する。通信制御部117は、利用対象が利用者Hである場合、行先階呼び登録装置2に最適号機の情報を送信する。
【0056】
記憶部12は、制御部11によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部11が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。記憶部12には、例えば、登録情報テーブル121が記憶されている。記憶部12には、例えば、第1リスト122、第2リスト123、第3リスト124、第4リスト125、および割当候補リスト126も記憶されている。第1リスト122、第2リスト123、第3リスト124および第4リスト125については後述する。割当候補リスト126には、割り当てが可能である号機のNo.が記憶される。
【0057】
表1に登録情報テーブル121の一例を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
登録情報テーブル121は、例えば、受信日時、登録元ID、利用対象属性、出発階、行先階、および最適号機の項目を有する。登録情報テーブル121には、例えば、エレベータ管理装置1が割当依頼データを受信した順に、割当依頼データに含まれる情報が登録されてよい。「受信日時」の列には、エレベータ管理装置1が自走型装置6または利用者Hから割当依頼データを受信した日時が記憶される。「受信日時の列」には、例えば、年、月、日、時、分および秒が記憶される。「登録元ID」の列には、利用対象を識別する情報が記憶される。「登録元ID」の列には、利用対象の利用対象属性が利用者Hである場合、行先階呼び登録装置2のIDが記憶され、利用対象の利用対象属性が自走型装置6である場合、自走型装置6のIDが記憶される。「利用対象属性」の列には、利用対象に応じて「利用者」または「自走型装置」を示す情報が記憶される。「出発階」の列には、利用対象がエレベータ4に乗車する階が記憶される。「行先階」の列には、利用対象がエレベータ4から降車する階が記憶される。「最適号機」の列には、決定部116が決定した最適号機が記憶される。
【0060】
登録情報テーブル121には全ての利用対象の登録情報が記憶されている。登録情報は利用対象から割当依頼データを受信する都度、および最適号機が決定される都度、更新される。表1においては、IDが「DESTREG-001」、「DESTREG-003」、および「DESTREG-004」である各行先階呼び登録装置2から割当依頼データを送信した各利用者Hが既に1号機を割り当てられている。そして、IDが「ROBOT-001」である自走型装置6から割当依頼データを受信して、第1特定部111が登録元ID、利用対象属性、出発階、および行先階を記憶した状態を示している。
【0061】
通信部13は、無線LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介した通信を行うためのインタフェースである。通信部13は、行先階呼び登録装置2または自走型装置6から割当依頼データを受信し、最適号機の情報を行先階呼び登録装置2または自走型装置6に送信する。
【0062】
(自走型装置6の構成)
続いて、自走型装置6の構成について、図3を用いて説明する。図3は、自走型装置6の構成の一例を示す図である。
【0063】
自走型装置6は、エレベータ管理装置1と通信可能に接続されている自走機能を備える多機能装置である。自走型装置6は、自律走行あるいは自立歩行が可能なロボットであってもよい。
【0064】
自走型装置6は、例えば、制御部60、移動機構63、通信部64、および記憶部65を備えている。制御部60はCPUであり、制御部60は、自走型装置6が備える各機能の処理を実行するように制御する。
【0065】
制御部60は、例えば、管理部61、および通信制御部62を備える。管理部61は、自走型装置6の動作を統括的に管理する。
【0066】
通信制御部62は、通信部64を制御して、エレベータ管理装置1、および自走型装置管理装置5との間で通信を行う。具体的には、通信制御部62は、自走型装置管理装置5から荷物の運搬等の指示を受信する、エレベータ管理装置1へ割当依頼データを送信する、または、エレベータ管理装置1から最適号機の情報を受信する等の通信の制御を行う。
【0067】
移動機構63は、自走型装置6が移動するための駆動機構である。移動機構63は、車輪、キャタピラ、および歩行用の脚等任意の駆動機構であってもよい。
【0068】
通信部64は、無線LAN等の通信ネットワークを介した通信を行うためのインタフェースである。通信部64は、自走型装置管理装置5から荷物の運搬等の指示を受信する、エレベータ管理装置1へ割当依頼データを送信する、エレベータ管理装置1から最適号機の情報を受信する等の通信を行う。
【0069】
記憶部65は、制御部60によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部60が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
【0070】
(エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成)
続いて、エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成について、図4を用いて説明する。図4は、エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成の一例を示す図である。
【0071】
エレベータ4は、利用者H等を乗車させるかご41、かご41の昇降を制御する運転制御盤40、および、号機毎に各階の乗場に設けられている扉42を備えている。
【0072】
エレベータ制御装置3は、例えば、エレベータ4の号機毎に設けられており、エレベータ4と通信可能に接続されているコンピュータである。例えば、エレベータ制御装置3は、エレベータ4の運転を制御する。
【0073】
エレベータ制御装置3は、制御部30を備えている。制御部30はCPUであり、制御部30は、エレベータ制御装置3が備える各機能の処理を実行するように制御する。
【0074】
制御部30は、例えば、指示取得部31、運転状況管理部32、および扉開閉制御部33を備えている。
【0075】
指示取得部31は、エレベータ管理装置1から最適号機の割り当て結果に伴う各種指示を取得する。指示取得部31が取得する指示としては、停止階設定指示、行先階設定指示等が挙げられる。
【0076】
運転状況管理部32は、エレベータ4のかご41の位置、運転状況、各階の乗場の扉42の開閉状況等を示す各情報を、運転制御盤40から取得する。
【0077】
扉開閉制御部33は、エレベータ管理装置1からの指示に応じて、指定された階の乗場の扉42の開閉を制御する。例えば、扉開閉制御部33は、エレベータ4に対して、指定された階の乗場のエレベータ4の扉42を開状態で保持させたり、該開状態の保持を解除させたりすることが可能である。
【0078】
(エレベータ管理装置1が行う処理)
次に、エレベータ管理装置1が行う処理の一例について、図5を用いて説明する。図5は、エレベータ管理装置1の制御部11による処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、利用者Hの出発階から行先階に向かう方向と自走型装置6の出発階から行先階に向かう方向とが同一方向であることを前提とする。
【0079】
まず、第1特定部111は、行先階呼び登録装置2または自走型装置6が送信する割当依頼データを、通信制御部117を介して受信したか否かを判定する(ステップS1)。第1特定部111は、割当依頼データを受信していないと判定した場合(ステップS1:NO)、ステップS1の処理を繰り返す。
【0080】
第1特定部111は、割当依頼データを受信したと判定した場合(ステップS1:YES)、割当依頼データに含まれる登録元ID、利用対象属性Rz、出発階Rs、および行先階Riを特定するとともに、登録情報テーブル121に記憶する(ステップS2)。表1に示す例では、自走型装置6から受信した割当依頼データに含まれる利用対象属性Rz、出発階Rs、および行先階Riが、No.4に記憶されている。
【0081】
第1特定部111は、利用対象属性Rzが自走型装置6であるか否かを判定する(ステップS3)。自走型装置6から割当依頼データを受信した場合、割当依頼データには、自走型装置6を示す利用対象属性が含まれている。そのため、第1特定部111は、利用対象属性Rzが自走型装置6であると判定する。第1特定部111は、行先階呼び登録装置2から割当依頼データを受信した場合、割当依頼データには、利用者Hを示す利用対象属性が含まれている。そのため、第1特定部111は、利用対象属性Rzが利用者Hであると判定する。
【0082】
第1特定部111が、利用対象属性Rzは自走型装置6であると判定した場合(ステップS3:YES)、第2特定部112および第1割当部114が、サブルーチンAの処理を行う(ステップS4)。一方、第1特定部111が、利用対象は自走型装置6でない、即ち利用者Hであると判定した場合(ステップS3:NO)、第3特定部113および第2割当部115が、サブルーチンBの処理を行う(ステップS5)。サブルーチンAの処理およびサブルーチンBの処理については後述する。
【0083】
サブルーチンAまたはBでは、複数号機の中から、割当候補対象となる号機が選択され、割当候補リスト126に記憶される。決定部116は、割当候補リスト126の中から最適号機を選択し、選択した号機を最適号機として決定する(ステップS6)。決定部116は、上述したように、例えば出発階Rsにおける利用対象の待ち時間が最も短くなる号機を最適号機として決定する。
【0084】
通信制御部117は、最適号機の情報を、割当依頼データを受信した受信元である利用対象に送信し(ステップS7)、処理を終了する。利用対象が自走型装置6である場合、通信制御部117は、当該自走型装置6に最適号機の情報を送信する。利用対象が利用者Hである場合、通信制御部117は、当該利用者Hが割当依頼操作を行った行先階呼び登録装置2に最適号機の情報を送信する。
【0085】
(サブルーチンAの処理)
以下、サブルーチンAの処理について説明する。図6は、サブルーチンAの処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2特定部112は、号機のNo.であるcを1とする(ステップS11)。即ち、第2特定部112は、まず、自走型装置6を1号機であるエレベータ4aに割り当てることの可否を判定する。
【0086】
第2特定部112は、登録情報テーブル121を読み出し、1号機が出発階Rsに到着するまでに、1号機に乗車中または乗車予定である全ての利用者Hの出発階および行先階を特定する。第2特定部112は、特定した出発階および行先階を、第1出発階Fsおよび第1行先階Fiとして第1リスト122に記憶する(ステップS12)。表1に示す例において、第2特定部112は、No.1の利用者Hの第1出発階Fsおよび第1行先階Fi((Fs,Fi)=(1,4))を第1リスト122に記憶する。
【0087】
次に、第2特定部112は、1号機が出発階Rsを出発した後に、1号機に乗車中または乗車予定である全ての利用者Hの出発階および行先階を特定する。第2特定部112は、特定した出発階および行先階を、第2出発階Ssおよび第2行先階Siとして第2リスト123に記憶する(ステップS13)。表1に示す例において、第2特定部112は、No.2の利用者Hの第2出発階Ssおよび第2行先階Si((Ss,Si)=(3,4))を第2リスト123に記憶する。また、第2特定部112は、No.3の利用者Hの第2出発階Ssおよび第2行先階Si((Ss,Si)=(4,6))を第2リスト123に記憶する。
【0088】
なお、ステップS12の処理は、ステップS14の処理前までに実行されていればよい。また、ステップS13の処理は、ステップS20の処理前までに実行されていればよい。
【0089】
次に、第1割当部114は、第1リスト122が空であるか否かを判定する(ステップS14)。第1割当部114は、第1リスト122が空であると判定した場合(ステップS14:YES)、処理をステップS20へ進める。第1リスト122が空である場合、自走型装置6の到着前に1号機に乗車している利用者Hは存在しないので、自走型装置6が出発階Rsで1号機に乗車する際に利用者Hに接触する可能性はない。そのため、第1割当部114は、処理をステップS20へ進め、第2リスト123を参照して、自走型装置6の1号機への割り当ての可否を判定する。
【0090】
第1割当部114は、第1リスト122が空でないと判定した場合(ステップS14:NO)、第1リスト122の中の特定の利用者H、即ち利用者Hiの第1出発階Fsおよび第1行先階Fiを、それぞれ第1出発階Fsiおよび第1行先階Fiiとして特定する(ステップS15)。表1に示す例において、第1割当部114は、No.1の利用者Hiについて、第1出発階Fsi=1、第1行先階Fii=4と特定する。
【0091】
次に、第1割当部114は、自走型装置6の出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいか否かを判定する(ステップS16)。自走型装置6の出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さい場合、自走型装置6は上方向に移動することになる。
【0092】
第1割当部114は、自走型装置6の出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいと判定した場合(ステップS16:YES)、第1出発階Fsi≦自走型装置6の出発階Rs≦第1行先階Fiiであるか否かを判定する(ステップS17)。
【0093】
第1割当部114は、第1出発階Fsi≦自走型装置6の出発階Rs≦第1行先階Fiiであると判定した場合(ステップS17:YES)、処理をステップS27へ進める。この場合、利用者Hiが1号機に乗車している状態で、自走型装置6が出発階Rsにおいて1号機に乗車することになるので、自走型装置6が利用者Hiに接触する可能性がある。そのため、第1割当部114は自走型装置6を1号機に割り当てず、ステップS27において、号機のNo.であるcをインクリメントする。
【0094】
第1割当部114は、第1出発階Fsi≦自走型装置6の出発階Rs≦第1行先階Fiiでないと判定した場合(ステップS17:NO)、処理をステップS19へ進める。第1行先階Fii<自走型装置6の出発階Rsである場合、自走型装置6が出発階Rsで乗車する際に、既に利用者Hiは降車しており、1号機には利用者Hiが存在しないので、自走型装置6が利用者Hiに接触する可能性はない。従って、ステップS17にてNOの場合、第1割当部114は、自走型装置6を1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS19に進める。
【0095】
ステップS16において、第1割当部114は、自走型装置6の出発階Rsの階数が行先階Riの階数より大きいと判定した場合(ステップS16:NO)、第1行先階Fii≦自走型装置6の出発階Rs≦第1出発階Fsiであるか否かを判定する(ステップS18)。出発階Rsの階数が行先階Riの階数より大きい場合、自走型装置6は下方向に移動することになる。
【0096】
第1割当部114は、第1行先階Fii≦自走型装置6の出発階Rs≦第1出発階Fsiであると判定した場合(ステップS18:YES)、処理をステップS27へ進める。この場合、利用者Hiが1号機に乗車している状態で、自走型装置6は出発階Rsにおいて1号機に乗車することになるので、自走型装置6は利用者Hiに接触する可能性がある。そのため、第1割当部114は、自走型装置6を1号機に割り当てず、ステップS27で号機のNo.であるcをインクリメントする。
【0097】
第1割当部114は、第1行先階Fii≦自走型装置6の出発階Rs≦第1出発階Fsiでないと判定した場合(ステップS18:NO)、処理をステップS19へ進める。自走型装置6の出発階Rs<第1行先階Fiiである場合、自走型装置6が出発階Rsで乗車する際に利用者Hiは降車しており、1号機には利用者Hiが乗車していないので、自走型装置6が利用者Hiに接触する可能性がない。従って、ステップS18にてNOの場合、第1割当部114は、自走型装置6を1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS19に進める。
【0098】
ステップS19において、第1割当部114は、第1リスト122の全ての要素について、ステップS15~S18の処理を完了しているか否かを判定する。即ち、第1割当部114は、1号機に割り当てられた全ての利用者Hについて、ステップS15~S18の処理を完了しているか否かを判定する。
【0099】
第1割当部114は、第1リスト122の全ての要素について、ステップS15~S18の処理を完了していないと判定した場合(ステップS19:NO)、処理をステップS15へ戻す。第1割当部114は、ステップS15において第1リスト122の中の他の利用者Hiの第1出発階Fsおよび第1行先階Fiを、それぞれ第1出発階Fsiおよび第1行先階Fiiとして特定し、ステップS16以降の処理を行う。
【0100】
表1に示す例の場合、自走型装置6が2Fで乗車する際に、No.1の利用者Hiが1号機に乗車していることになる。即ち、第1出発階Fsi<自走型装置6の出発階Rs<第1行先階Fiiである。そのため、ステップS17においてYESとなり、第1割当部114は、自走型装置6を1号機に割り当てないことになる。
【0101】
第1割当部114は、第1リスト122の全ての要素について、ステップS15~S18の処理を完了したと判定した場合(ステップS19:YES)、第2リスト123が空であるか否かを判定する(ステップS20)。第1割当部114は、第2リスト123が空であると判定した場合(ステップS20:YES)、処理をステップS26へ進める。この場合、自走型装置6が出発階Rsで乗車する際に、1号機には、全ての利用者Hが乗車していない。且つ、1号機が出発階Rsを出発した後、1号機に乗車予定である利用者Hiが存在しないので、自走型装置6が行先階Riで1号機から降車する際に、1号機に利用者Hは存在しない。そのため、自走型装置6が利用者Hiに接触する可能性はなく、第1割当部114は、ステップS26において、1号機を割当候補リスト126に追加する。
【0102】
第1割当部114は、第2リスト123は空でないと判定した場合(ステップS20:NO)、第2リスト123の中の特定の利用者H、即ち利用者Hjの第2出発階Ssおよび第2行先階Siを、それぞれ第2出発階Ssjおよび第2行先階Sijとして特定する(ステップS21)。表1に示す例において、第1割当部114は、No.2の利用者Hjについて、第2出発階Ssj=3、第2行先階Sij=4と特定する。また、第1割当部114は、No.3の利用者Hjについて、第2出発階Ssj=4、第2行先階Sij=6と特定する。
【0103】
第1割当部114は、自走型装置6の出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいか否かを判定する(ステップS22)。第1割当部114は、自走型装置6の出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいと判定した場合(ステップS22:YES)、第2出発階Ssj≦自走型装置6の行先階Ri≦第2行先階Sijであるか否かを判定する(ステップS23)。
【0104】
第1割当部114は、第2出発階Ssj≦自走型装置6の行先階Ri≦第2行先階Sijであると判定した場合(ステップS23:YES)、処理をステップS27へ進める。この場合、利用者Hjが1号機に乗車している状態で、自走型装置6が行先階Riにおいて1号機から降車することになるので、自走型装置6が利用者Hjに接触する可能性がある。そのため、第1割当部114は自走型装置6を1号機に割り当てず、ステップS27において、号機のNo.であるcをインクリメントする。
【0105】
第1割当部114は、第2出発階Ssj≦自走型装置6の行先階Ri≦第2行先階Sijでないと判定した場合(ステップS23:NO)、処理をステップS25へ進める。ステップS23にてNOとなる場合、自走型装置6の行先階Ri<第2出発階Ssjである。または、自走型装置6の出発階Rs<第2出発階Ssj、且つ第2行先階Sij<自走型装置6の行先階Riであり、利用者Hjの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれている。これらの場合、自走型装置6が行先階Riで降車する際に、1号機には利用者Hjが乗車していないことになり、自走型装置6が降車時に利用者Hjに接触する可能性がない。後者の場合、自走型装置6と利用者Hjとが同乗している区間があるが、自走型装置6は動かず、自走型装置6が利用者Hjに接触する可能性は低減している。そのため、第1割当部114は、自走型装置6を1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS25に進める。
【0106】
第1割当部114は、自走型装置6の出発階Rsの階数が行先階Riの階数より大きいと判定した場合(ステップS22:NO)、第2行先階Sij≦自走型装置6の行先階Ri≦第2出発階Ssjであるか否かを判定する(ステップS24)。
【0107】
第1割当部114は、第2行先階Sij≦自走型装置6の行先階Ri≦第2出発階Ssjであると判定した場合(ステップS24:YES)、処理をステップS27へ進める。この場合、利用者Hjが1号機に乗車している状態で、自走型装置6は行先階Riにおいて1号機から降車することになるので、自走型装置6が利用者Hjに接触する可能性がある。そのため、第1割当部114は自走型装置6を1号機に割り当てず、ステップS27において、号機のNo.であるcをインクリメントする。
【0108】
第1割当部114は、第2行先階Sij≦自走型装置6の行先階Ri≦第2出発階Ssjでないと判定した場合(ステップS24:NO)、処理をステップS25へ進める。ステップS24にてNOとなる場合、第2出発階Ssj<自走型装置6の行先階Riである。または、自走型装置6の行先階Ri<第2行先階Sij、且つ第2出発階Ssj<自走型装置6の出発階Rsであり、利用者Hjの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれている。これらの場合、自走型装置6が行先階Riで降車する際に、1号機には利用者Hjが乗車していないことになり、自走型装置6が降車時に利用者Hjに接触する可能性がない。後者の場合、自走型装置6と利用者Hjが同乗している区間があるが、自走型装置6は動かず、自走型装置6が利用者Hjに接触する可能性は低減している。そのため、第1割当部114は、自走型装置6を1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS25に進める。
【0109】
ステップS25において、第1割当部114は、第2リストの全ての要素について、ステップS21~S24の処理を完了しているか否かを判定する。即ち、第1割当部114は、1号機に割り当てられた全ての利用者Hについて、ステップS21~S24の処理を完了しているか否かを判定する。
【0110】
第1割当部114は、第2リストの全ての要素について処理を完了していないと判定した場合(ステップS25:NO)、処理をステップS21へ戻す。第1割当部114は、ステップS21において第2リスト123の中の他の利用者Hjの第2出発階Ssおよび第2行先階Siを、第2出発階Ssjおよび第2行先階Sijとして特定し、ステップS22以降の処理を行う。
【0111】
第1割当部114は、第2リスト123の全ての要素について、ステップS21~S24の処理を完了したと判定した場合(ステップS25:YES)、c号機のNo.を割当候補リスト126に追加する(ステップS26)。ここで、c号機が1号機である場合、自走型装置6が出発階Rsで乗車する際に、1号機には第1リスト122の全ての利用者Hが乗車しておらず、行先階Riで降車する際に、1号機には第2リスト123の全ての利用者Hが乗車していない。そのため、第1割当部114は、ステップS26において、1号機を割当候補リスト126に記憶する。
【0112】
ステップS17、ステップS18、ステップS23およびステップS24でYESの場合、並びに、ステップ26の処理後、第1割当部114は、cの値に1を加え、インクリメントする(ステップS27)。例えば、第1割当部114は、ステップS26において、割当候補リスト126に、エレベータ4aを示す「1」の値を記憶した場合、ステップS27においてc=2とし、2号機であるエレベータ4bを第1割当部114による判定対象とする。
【0113】
次に、第1割当部114は、cが総号機数mより大きいか否かを判定する(ステップS28)。第1割当部114は、cが総号機数m以下であると判定した場合(ステップS28:NO)、処理をステップS12へ戻す。以上のようにして、全ての号機に対して、第2特定部112が特定処理を実行すると共に、第1割当部114が割当処理を実行する。
【0114】
第1割当部114は、cが総号機数mより大きいと判定した場合、(ステップS28:YES)、全ての号機に対して、第2特定部112が特定処理を実行し、且つ第1割当部114が割当処理を実行したことになるので、処理を図5のステップS6へ進める。なお、ステップS14~S19の処理と、ステップS20~S25の処理とは、並行して実行されてもよいし、その処理順が逆順であってもよい。
【0115】
(サブルーチンBの処理)
以下、サブルーチンBの処理について説明する。図7は、サブルーチンBの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0116】
第3特定部113は、号機のNo.であるcを1とする(ステップS31)。即ち、第3特定部113は、まず、1号機であるエレベータ4aに対する利用者Hの割り当て可否を判定する。
【0117】
第3特定部113は、登録情報テーブル121を読み出し、1号機が利用者Hの出発階Rsに到着するまでに、1号機に乗車中または乗車予定である全ての自走型装置6の行先階を特定する。第3特定部113は、特定した行先階を、第3行先階Miとして第3リスト124に記憶する(ステップS32)。
【0118】
次に、第3特定部113は、登録情報テーブル121を読み出し、1号機が出発階Rsを出発した後に、1号機に乗車中または乗車予定である全ての自走型装置6の出発階を特定する。第3特定部113は、特定した出発階を、第4出発階Nsとして第4リスト125に記憶する(ステップS33)。
【0119】
なお、ステップS32の処理は、ステップS34の処理前までに実行されていればよい。また、ステップS33の処理は、ステップS40の処理前までに実行されていればよい。
【0120】
次に、第2割当部115は、第3リスト124が空であるか否かを判定する(ステップS34)。第2割当部115は、第3リスト124が空であると判定した場合(ステップS34:YES)、処理をステップS40へ進める。第3リスト124が空である場合、利用者Hが出発階Rsで1号機に乗車する際に、1号機には自走型装置6は乗車していない。即ち、利用者Hが乗車している状態で、1号機から降車する自走型装置6は存在しない。そのため、自走型装置6が利用者Hに接触する可能性はない。従って、第2割当部115は、処理をステップS40へ進め、第4リスト125を参照して、利用者Hの1号機への割り当ての可否を判定する。
【0121】
第2割当部115は、第3リスト124が空でないと判定した場合(ステップS34:NO)、第3リスト124の中の特定の自走型装置6、即ち自走型装置6iの第3行先階Miを、第3行先階Miiとして特定する(ステップS35)。
【0122】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいか否かを判定する(ステップS36)。出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さい場合、利用者Hは上方向に移動することになる。
【0123】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいと判定した場合(ステップS36:YES)、利用者Hの出発階Rs≦第3行先階Mii≦利用者Hの行先階Riであるか否かを判定する(ステップS37)。
【0124】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rs≦第3行先階Mii≦利用者Hの行先階Riであると判定した場合(ステップS37:YES)、処理をステップS47へ進める。この場合、利用者Hが1号機に乗車している状態で、自走型装置6iが第3行先階Miiにおいて1号機から降車することになる。そのため、第2割当部115は、自走型装置6iを1号機に割り当てず、ステップS47において、号機のNo.であるcをインクリメントする。
【0125】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rs≦第3行先階Mii≦利用者Hの行先階Riでないと判定した場合(ステップS37:NO)、処理をステップS39へ進める。ステップS37にてNOとなる場合、第3行先階Mii<利用者Hの出発階Rsである。または、利用者Hの行先階Ri<第3行先階Miiであり、当然に自走型装置6iの第3出発階Msi<利用者Hの出発階Rsであるので、利用者Hの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれている。これらの場合、自走型装置6iが第3行先階Miiで降車する際に、1号機には利用者Hiが乗車していないことになり、自走型装置6が降車時に利用者Hに接触する可能性がない。後者の場合、自走型装置6iと利用者Hが同乗している区間があるが、自走型装置6iは動かず、自走型装置6iが利用者Hに接触する可能性は低減している。そのため、第2割当部115は、利用者Hを1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS39に進める。
【0126】
ステップS36において、第2割当部115は、利用者Hの出発階Rsの階数が行先階Riの階数より大きいと判定した場合(ステップS36:NO)、利用者Hの行先階Ri≦第3行先階Mii≦利用者Hの出発階Rsであるか否かを判定する(ステップS38)。出発階Rsの階数が行先階Riの階数より大きい場合、利用者Hは下方向に移動することになる。
【0127】
第2割当部115は、利用者Hの行先階Ri≦第3行先階Mii≦利用者Hの出発階Rsであると判定した場合(ステップS38:YES)、処理をステップS47へ進める。この場合、利用者Hiが1号機に乗車している状態で、自走型装置6iは第3行先階Miiにおいて1号機から降車することになるので、第2割当部115は、利用者Hを1号機に割り当てず、ステップS47において、号機のNo.であるcをインクリメントする。
【0128】
第2割当部115は、利用者Hの行先階Ri≦第3行先階Mii≦利用者Hの出発階Rsでないと判定した場合(ステップS38:NO)、処理をステップS39へ進める。ステップS38にてNOとなる場合、利用者Hの出発階Rs<第3行先階Miiである。または、第3行先階Mii<利用者Hの行先階Riであり、当然に自走型装置6iの第3出発階Msi>利用者Hの出発階Rsであるので、利用者Hの乗車区間が自走型装置6iの乗車区間に含まれている。これらの場合、自走型装置6iが第3行先階Miiで降車する際に、1号機には利用者Hが乗車していないことになり、自走型装置6iが降車時に利用者Hに接触する可能性がない。後者の場合、自走型装置6iと利用者Hが同乗している区間があるが、自走型装置6iは動かず、自走型装置6iが利用者Hに接触する可能性は低減している。そのため、第2割当部115は、利用者Hを1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS39に進める。
【0129】
ステップS39において、第2割当部115は、第3リスト124の全ての要素について、ステップS35~S38の処理を完了しているか否かを判定する。即ち、第2割当部115は、1号機に割り当てられた全ての自走型装置6について、ステップS35~S38の処理を完了しているか否かを判定する。
【0130】
第2割当部115は、第3リスト124の全ての要素について、ステップS35~S38の処理を完了していないと判定した場合(ステップS39:NO)、処理をステップS35へ戻す。第2割当部115は、ステップS35において第3リスト124の中の他の自走型装置6iの第3行先階Miを第3行先階Miiとして特定し、ステップS36以降の処理を行う。
【0131】
第2割当部115は、第3リスト124の全ての要素について、ステップS35~S38の処理を完了したと判定した場合(ステップS39:YES)、第4リスト125が空であるか否かを判定する(ステップS40)。第2割当部115は、第4リスト125が空であると判定した場合(ステップS40:YES)、処理をステップS46へ進める。この場合、1号機が出発階Rsを出発した後、1号機に乗車予定である自走型装置6が存在しないので、第2割当部115は、ステップS46において、1号機を割当候補リスト126に追加する。
【0132】
第2割当部115は、第4リスト125が空でないと判定した場合(ステップS40:NO)、第4リスト125の中の特定の自走型装置6、即ち自走型装置6jの第4出発階Nsを、第4出発階Nsjとして特定する(ステップS41)。
【0133】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいか否かを判定する(ステップS42)。第2割当部115は、利用者Hの出発階Rsの階数が行先階Riの階数より小さいと判定した場合(ステップS42:YES)、利用者Hの出発階Rs≦第4出発階Nsj≦利用者Hの行先階Riであるか否かを判定する(ステップS43)。
【0134】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rs≦第4出発階Nsj≦利用者Hの行先階Riであると判定した場合(ステップS43:YES)、処理をステップS47へ進める。この場合、利用者Hが1号機に乗車している状態で、自走型装置6jは第4出発階Nsjにおいて1号機に乗車することになるので、自走型装置6jが利用者Hに接触する可能性がある。そのため、第2割当部115は、自走型装置6jを1号機に割り当てず、ステップS47において、号機のNo.であるcをインクリメントする。
【0135】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rs≦第4出発階Nsj≦利用者Hの行先階Riでないと判定した場合(ステップS43:NO)、処理をステップS45へ進める。ステップS43にてNOとなる場合、利用者Hの行先階Ri<第4出発階Nsjである。この場合、自走型装置6jが第4出発階Nsjで乗車する際に、1号機には利用者Hが乗車していないことになり、自走型装置6jが乗車時に利用者Hに接触する可能性がない。従って、ステップS43にてNOの場合、第2割当部115は、利用者Hを1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS45に進める。
【0136】
第2割当部115は、利用者Hの出発階Rsの階数が行先階Riの階数より大きいと判定した場合(ステップS42:NO)、利用者Hの行先階Ri≦第4出発階Nsj≦利用者Hの出発階Rsであるか否かを判定する(ステップS44)。
【0137】
第2割当部115は、行先階Ri≦第4出発階Nsj≦出発階Rsであると判定した場合(ステップS44:YES)、処理をステップS47へ進める。この場合、利用者Hが1号機に乗車している状態で、自走型装置6jは第4出発階Nsjにおいて1号機に乗車するので、第2割当部115は利用者Hを1号機に割り当てず、ステップS47において、号機のNo.をインクリメントする。
【0138】
第2割当部115は、利用者Hの行先階Ri≦第4出発階Nsj≦利用者Hの出発階Rsでないと判定した場合(ステップS44:NO)、処理をステップS45へ進める。ステップS44にてNOとなる場合、第4出発階Nsj<利用者Hの行先階Riである。この場合、自走型装置6jが第4出発階Nsjで乗車する際に、1号機には利用者Hが乗車していないことになり、自走型装置6jが乗車時に利用者Hに接触する可能性がない。従って、ステップS44にてNOの場合、第2割当部115は、利用者Hを1号機に割り当てることが可能か否かを判定するため、処理をステップS45に進める。
【0139】
ステップS45において、第2割当部115は、第4リスト125の全ての要素について、ステップS41~S44の処理を完了しているか否かを判定する。即ち、第2割当部115は、1号機に割り当てられた全ての自走型装置6について、ステップS41~S44の処理を完了しているか否かを判定する。
第2割当部115は、第4リスト125の全ての要素について、ステップS41~S44の処理を完了していないと判定した場合(ステップS45:NO)、処理をステップS41へ戻す。第2割当部115は、ステップS41において第4リスト125の中の他の自走型装置6jの第4出発階Nsを第4出発階Nsjとして特定し、ステップS42以降の処理を行う。
【0140】
第2割当部115は、第4リスト125の全ての要素について、ステップS41~S44の処理を完了したと判定した場合(ステップS45:YES)、1号機を割当候補リストに追加する(ステップS46)。この場合、利用者Hが1号機に乗車しているときに、第3リスト124の全ての自走型装置6が第3行先階Miiで降車することはなく、第4リスト125の全ての自走型装置6が第4出発階Nsjで乗車することはない。そのため、第2割当部115は、ステップS46において、1号機を割当候補リスト126に記憶する。
【0141】
ステップS37、ステップS38、ステップS43およびステップS44でYESの場合、並びに、ステップ46の処理後、第2割当部115は、cの値に1を加え、インクリメントする(ステップS47)。例えば、第2割当部115は、ステップS46において、割当候補リスト126に、エレベータ4aを示す「1」の値を記憶した場合、ステップS47においてc=2とし、2号機であるエレベータ4bを第2割当部115による判定対象とする。
【0142】
次に、第2割当部115は、cが総号機数mより大きいか否かを判定する(ステップS48)。第1割当部114は、cが総号機数m以下でないと判定した場合(ステップS48:NO)、処理をステップS32へ戻す。これにより、全ての号機に対して、第3特定部113が特定処理を実行すると共に、第2割当部115が割当処理を実行する。
【0143】
第1割当部114は、cが総号機数より大きいと判定した場合(ステップS48:YES)、全ての号機に対して、第3特定部113が特定処理を実行し、且つ第2割当部115が割当処理を実行したことになるので、処理を図5のステップS6へ進める。なお、ステップS34~S39の処理と、ステップS40~S45の処理とは、並行して実行されてもよいし、その処理順が逆順であってもよい。
【0144】
(エレベータ管理装置1の制御方法)
エレベータ管理装置1の制御方法は、以下に示す装置利用階特定ステップと、利用者利用階特定ステップと、割当ステップと、を含む。装置利用階特定ステップは、自走型装置6からの行先階呼び信号に基づいて、自走型装置6の出発階Rsおよび行先階Riを特定する。上述のステップS1およびS2が装置利用階特定ステップに相当する。利用者利用階特定ステップは、自走型装置6からの行先階呼び信号より先に受信された、利用者Hの操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、利用者Hの出発階および行先階を特定する。上述のステップS12およびS13が利用者利用階特定ステップに相当する。割当ステップは、利用者Hの出発階から行先階に向かう方向と自走型装置6の出発階から行先階に向かう方向とが同一方向の場合であり、且つ、利用者Hの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれる場合、自走型装置6をエレベータ4の号機に割り当てる。上述のステップS14~S28が割当ステップに相当する。
【0145】
また、エレベータ管理装置1の制御方法は、以下に示す利用者利用階特定ステップと、装置利用階特定ステップと、割当ステップと、を含む。利用者利用階特定ステップは、利用者Hの操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、利用者の出発階および行先階を特定する。上述のステップS1およびS2が利用者利用階特定ステップに相当する。装置利用階特定ステップは、利用者Hの操作により発せられた行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置6からの行先階呼び信号に基づいて、自走型装置6の出発階および行先階を特定する。上述のステップS32およびS33が装置利用階特定ステップに相当する。割当ステップは、利用者Hの出発階から行先階に向かう方向と自走型装置6の出発階から行先階に向かう方向とが同一方向の場合であり、且つ、利用者Hの乗車区間が自走型装置6の乗車区間に含まれる場合、利用者Hをエレベータの号機に割り当てる。上述のステップS34~S48が割当ステップに相当する。
【0146】
上述したエレベータ管理装置1およびその制御方法によれば、自走型装置6と利用者Hとが接触する可能性を低減した状態で、即ち安全な状態で、自走型装置6を利用者Hが割り当てられた号機に割り当てることができる。そのため、安全な状態で、自走型装置6と利用者Hとが同一号機に乗り合わせることを許容できる。また、このような乗り合わせを許容できることにより、効率良く、エレベータ4を使用することが可能となる。
【0147】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エレベータ管理装置1、自走型装置管理装置5、自走型装置6、エレベータ制御装置3の制御ブロック(特に制御部11、60)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0148】
後者の場合、エレベータ管理装置1、自走型装置管理装置5、自走型装置6、エレベータ制御装置3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPUを用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等をさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0149】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係るエレベータ管理装置は、エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部と、前記行先階呼び信号より先に受信された、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部と、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てる割当部と、を備える。
【0150】
上記の構成によれば、エレベータ管理装置は、上述の場合に自走型装置をエレベータに割り当てる。そのため、利用者がエレベータに乗車している区間において乗降しない自走型装置のみをエレベータに割り当てることができる。これにより、乗降するために自走型装置が移動することによって、自走型装置が利用者と接触する状況を生じさせないようにすることができる。従って、エレベータ管理装置は、自走型装置が利用者と接触する可能性が低減されるため、安全性を確保した状態で、自走型装置をエレベータに割り当てることができる。
【0151】
本発明の態様2に係るエレベータ管理装置では、上記態様1において、前記割当部は、前記自走型装置の出発階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てない構成であってもよい。
【0152】
上記構成によれば、エレベータ管理装置は、利用者が存在する状況下において自走型装置が乗車する事態を回避するように、自走型装置をエレベータに割り当てることができる。
【0153】
本発明の態様3に係るエレベータ管理装置では、上記態様1または2において、前記割当部は、前記自走型装置の行先階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てない構成であってもよい。
【0154】
上記構成によれば、エレベータ管理装置は、利用者が存在する状況下において自走型装置が降車する事態を回避するように、自走型装置をエレベータに割り当てることができる。
【0155】
本発明の態様4に係るエレベータ管理装置は、エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定部と、前記行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定部と、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てる割当部と、を備える。
【0156】
上記構成によれば、エレベータ管理装置は、上述した場合に、利用者をエレベータに割り当てる。そのため、利用者がエレベータに乗車する区間において自走型装置が乗降しない場合に限り、利用者をエレベータに割り当てることができる。これにより、乗降するために自走型装置が移動することによって、自走型装置が利用者と接触する状況を生じさせないようにすることができる。従って、エレベータ管理装置は、自走型装置が利用者と接触する可能性が低減されるため、安全性を確保した状態で、利用者をエレベータに割り当てることができる。
【0157】
本発明の態様5に係るエレベータ管理装置では、上記態様4において、前記割当部は、前記自走型装置の行先階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てない構成であってもよい。
【0158】
上記構成によれば、エレベータ管理装置は、利用者が存在する状況下において自走型装置が降車する事態を回避するように、利用者をエレベータに割り当てることができる。
【0159】
本発明の態様6に係るエレベータ管理装置では、上記態様4または5において、前記割当部は、前記自走型装置の出発階が、前記利用者の出発階もしくは行先階と同一階か、または、前記利用者の出発階と行先階との間に存在する場合、前記利用者に前記エレベータを割り当てない構成であってもよい。
【0160】
上記構成によれば、エレベータ管理装置は、利用者が存在する状況下において自走型装置が乗車する事態を回避するように、利用者をエレベータに割り当てることができる。
【0161】
本発明の態様7に係るエレベータ管理装置の制御方法は、エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置の制御方法であって、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定ステップと、前記行先階呼び信号より先に受信された、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定ステップと、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記自走型装置を前記エレベータに割り当てる割当ステップと、を含む。
【0162】
上記方法によれば、上記態様1と同様、安全性を確保した状態で、自走型装置をエレベータに割り当てることができる。
【0163】
本発明の態様8に係るエレベータ管理装置の制御方法は、エレベータの運転を管理するエレベータ管理装置の制御方法であって、利用者の操作により発せられた行先階呼び信号に基づいて、前記利用者の出発階および行先階を特定する利用者利用階特定ステップと、前記行先階呼び信号より先に受信された、自走型装置からの行先階呼び信号に基づいて、前記自走型装置の出発階および行先階を特定する装置利用階特定ステップと、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする方向と前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする方向とが同一方向の場合であって、且つ、前記利用者の出発階を始点として前記利用者の行先階を終点とする区間が前記自走型装置の出発階を始点として前記自走型装置の行先階を終点とする区間に含まれる場合、前記利用者を前記エレベータに割り当てる割当ステップと、を含む。
【0164】
上記方法によれば、上記態様4と同様、安全性を確保した状態で、利用者をエレベータに割り当てることができる。
【0165】
本発明の態様9に係るエレベータ管理システムは、上記態様1から6のいずれかに記載のエレベータ管理装置と、自走型装置と、を含む。
【0166】
上記構成によれば、上記態様1又は上記態様4と同様、安全性を確保した状態で、自走型装置をエレベータに割り当てることができる。
【0167】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0168】
1 エレベータ管理装置
2 行先階呼び登録装置
3 エレベータ制御装置
4 エレベータ
6 自走型装置
11 制御部
111 第1特定部(装置利用階特定部、利用者利用階特定部)
112 第2特定部(利用者利用階特定部)
113 第3特定部(装置利用階特定部)
114 第1割当部(割当部)
115 第2割当部(割当部)
116 決定部
117 通信制御部
12 記憶部
121 登録情報テーブル
122 第1リスト
123 第2リスト
124 第3リスト
125 第4リスト
126 割当候補リスト
100 エレベータ管理システム
S1およびS2 装置利用階特定ステップ、利用者利用階特定ステップ
S12およびS13 利用者利用階特定ステップ
S14~S28 割当ステップ
S32およびS33 装置利用階特定ステップ
S34~S48 割当ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10