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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092287
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
G01N21/27 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207436
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀和
(72)【発明者】
【氏名】五所尾 康博
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑弥
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE12
2G059GG02
2G059JJ05
2G059JJ17
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】水溶液といった各種溶液に溶解する溶質などの測定対象の濃度を簡易な構成で精度良く測定する。
【解決手段】濃度測定装置は、以下の各部を有する。検出部は、濃度の測定対象を通す測定管の中心軸から外れた位置に中心軸と交差する方向の光軸を有し、光軸に沿って測定管内部に存在する測定対象を通過した光を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度の測定対象を通す測定管の中心軸から外れた位置に前記中心軸と交差する方向の光軸を有し、前記光軸に沿って前記測定管内部に存在する前記測定対象を通過した光を検出する検出部を備えたことを特徴とする濃度測定装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記測定管の中心軸を中心として側壁に沿って回転可能であり、且つ、回転方向の特定の位置で前記測定管に固定可能な構造を有することを特徴とする請求項1に記載の濃度測定装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記測定管が地面に対して垂直方向から傾いている場合に、前記測定管の前記中心軸に対して前記地面に近い位置を前記光軸が通過するように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の濃度測定装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記測定管の断面の各領域における前記測定対象の流速がコントロール可能な場合に、前記流速が遅い位置を前記光軸が通過するように配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の濃度測定装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記測定管において前記測定対象の進行方向を曲げる湾曲部により前記流速がコントロールされる場合に、前記測定管における前記湾曲部に対して前記進行方向の先に配置され、且つ、前記中心軸に対して前記湾曲部の内側に近い前記測定管の内壁に近い位置を前記光軸が通過するように配置されることを特徴とする請求項4に記載の濃度測定装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記測定管の径よりも小さい径の前記光軸を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の濃度測定装置。
【請求項7】
前記濃度測定装置は、前記検出部により検出された光を基に前記測定対象の濃度を算出する演算部をさらに備えたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液などの測定対象の濃度を測定する濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を用いて半導体のエッチング液や洗浄液といった水溶液の濃度を測定する技術が知られている。例えば、LED(Light Emitting Diode)から照射された光を水溶液に照射し、水溶液を介して受光した光から得られるスペクトルを用いて水溶液の濃度を測定することが行われる。そして、濃度測定に用いる検出器の一例として、既設のテフロンチューブ(登録商標)に汚染無く、非接触で取り付け可能なクランプオン型の濃度計の検出器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005-505777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような濃度測定において、測定対象の中に気泡が含まれている場合がある。測定対象に、気泡が含まれるとその気泡によって光の過剰透過や散乱が生じるため、検出されるスペクトルが測定対象の気泡が無い場合のスペクトルとは大きく異なるスペクトルとなることがある。その場合、検出したスペクトルを用いて算出して求められる濃度値には、実際の測定対象の濃度地との間に濃度測定において問題となる程度の誤差が含まれることが考えられる。
【0005】
例えば、アンモニア過酸化水素水(以下、SC-1)の様に化学反応で気泡を発生する薬液では、気泡が光軸上を通過した場合に、スペクトルが気泡の影響を受けて、正しい濃度を計測することが困難となる。この点、従来のクランプオン型の濃度計の検出器では、測定対象を通す測定管の中心軸を光軸が通過するため、測定管に対する光軸の位置の自由度が低く、気泡を避けて光を通すことは難しい。そのため、従来のクランプオン型の濃度計の検出器では、気泡の影響を抑えて精度良く測定対象の濃度を測定することは困難であった。
【0006】
本願はこのような課題を解決するためのものであり、水溶液といった各種溶液に溶解する溶質などの測定対象の濃度を簡易な構成で精度良く測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る濃度測定装置は、濃度の測定対象を通す測定管の中心軸から外れた位置に中心軸と交差する方向の光軸を有し、光軸に沿って測定管内部に存在する測定対象を通過した光を検出する検出部を有する。
【0008】
上記濃度測定装置において、検出部は、測定管の中心軸を中心として側壁に沿って回転可能であり、且つ、回転方向の特定の位置で測定管に固定可能な構造を有してもよい。
【0009】
また、上記濃度測定装置において、検出部は、測定管が地面に対して垂直方向から傾いている場合に、測定管の前記中心軸に対して地面に近い位置を光軸が通過するように配置されてもよい。
【0010】
また、上記濃度測定装置において、検出部は、測定管の断面の各領域における測定対象の流速がコントロール可能な場合に、流速が遅い位置を光軸が通過するように配置されてもよい。
【0011】
また、上記濃度測定装置において、検出部は、測定管において測定対象の進行方向を曲げる湾曲部により流速がコントロールされる場合に、測定管における湾曲部に対して進行方向の先に配置され、且つ、中心軸に対して湾曲部の内側に近い測定管の内壁に近い位置を光軸が通過するように配置されてもよい。
【0012】
また、上記濃度測定装置は、検出部により検出された光を基に測定対象の濃度を算出する演算部をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
上述した濃度測定装置によれば、濃度の測定対象を通す測定管の中心軸から外れた位置に中心軸と交差する方向の光軸を有し、光軸に沿って測定管内部に存在する測定対象を通過した光を検出する。このように、濃度測定装置は、測定管の中心軸を通過する光軸を用いて光を検出するのではなく、測定対象に含まれる気泡が少ない領域を通過させた光を検出して濃度測定を行うことができる。この結果、濃度測定装置は、気泡の影響の少ない光を用いて濃度を測定することができ、水溶液といった各種溶液に溶解する溶質などの測定対象の濃度を簡易な構成で精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、濃度測定装置の検出部の一例を示す斜視図である。
図2図2は、度測定装置の検出部をチューブの貫通方向に見た概要図である。
図3図3は、濃度測定装置の検出部を固定部材側から見た概要図である。
図4図4は、濃度測定装置の検出部を光ファイバの通過方向に見た概要図である。
図5図5は、チューブが地面に対して垂直方向から傾けて配置された状態を示す図である。
図6図6は、チューブの前にエルボが設けられた状態を示す図である。
図7図7は、チューブが地面に対して垂直に配置された状態を示す図である。
図8図8は、実施形態における測定システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0016】
[原理]
図1は、濃度測定装置の検出部の一例を示す斜視図である。濃度測定装置の検出部1は、気泡がスペクトルに与える影響を可能な限り小さくするクランプオン型の光検出器である。チューブ2は、薬液などの測定対象を通す測定管であり、検出部1を取り付ける対象となるテフロンチューブ(登録商標)である。濃度測定装置におけるチューブ2の姿勢や、チューブ2の薬液などの測定対象の進行方向における前後の状況や、薬液の流速はさまざまである。例えば、チューブ2の姿勢としては、地面に対して垂直な姿勢や、地面に対してチューブ2が傾いている姿勢などいろいろな姿勢が考えられる。また、チューブ2の測定対象の進行方向における前後の状況としては、チューブ2の前後に継手がついているなど様々な状況が考えられる。
【0017】
そのため、チューブ2内を通過する測定対象には偏流が存在する。偏流は、流速分布ということもできる。チューブ2内の測定対象に気泡が含まれる場合、偏流が発生することでその気泡の流れにも偏りが生じる。そこで、検出部1は、チューブ2の断面における気泡の少ない領域に光軸を通すことで、気泡がスペクトルに与える影響を小さくすることができる。
【0018】
[実施形態]
図1に示すように、濃度測定装置の検出部1は、クランプオン型検出器100、光ファイバ12及び16、並びに、固定部材110を有する。図2は、濃度測定装置の検出部をチューブの貫通方向に見た概要図である。また、図3は、濃度測定装置の検出部を固定部材側から見た概要図である。また、図4は、濃度測定装置の検出部を光ファイバの通過方向に見た概要図である。
【0019】
光ファイバ12及び16は、例えば、図1図4に示すように、クランプオン型検出器100に取り付けられる。光ファイバ12及び16は、クランプオン型検出器100に対して取り外し可能な構成であっても良いし、クランプオン型検出器100と一体となった構成でもよい。光ファイバ12は、外部から送られてきた光をクランプオン型検出器100に誘導する。また、光ファイバ12は、クランプオン型検出器100から出力された光を外部へ送る。光ファイバ12及び16の径は、5mm程度である。
【0020】
固定部材110は、チューブ2が貫通するように配置されたクランプオン型検出器100を特定の位置でチューブ2に対して固定するための部材である。固定部材110は、例えば、イモねじなどである。固定部材110は、図1図4に示すように、クランプオン型検出器100に取り付けられる。
【0021】
クランプオン型検出器100は、チューブ2を通す貫通孔101を有する。クランプオン型検出器100は、入力用の光ファイバ12及び出力用の光ファイバ16が接続される。クランプオン型検出器100は、チューブ2を貫通させた状態で、チューブ2の中心軸を中心としてチューブ2の側面に沿って回転可能である。すなわち、クランプオン型検出器100は、図2に示すように、矢印Pで示すようにチューブ2の中心軸を中心としてチューブ2を固定させた状態で回転することができる。クランプオン型検出器100が回転すると、光ファイバ12及び16の接続部分、並びに、固定部材110も一体となって回転する。
【0022】
クランプオン型検出器100は、光ファイバ12により送られてきた光を投光部から照射して、受光部で受光して光ファイバ16に出力する。ここで、図2に示すように、矢印で表されるクランプオン型検出器100における投光部から受光部へ送られる光の光軸Qは、チューブ2の中心軸から外れた位置を中心軸と交差する方向に通過する、すなわち中心軸を通過する経路Aから外れた位置を経路Aに並行に通過するように設定される。以下では、クランプオン型検出器100における投光部から受光部へ送られる光の光軸を、「クランプオン型検出器100の光軸」と呼ぶ。例えば、クランプオン型検出器100の光軸は、チューブ2の中心軸を通過する経路とチューブ2の内壁との中間の位置を通過することができる。クランプオン型検出器100が回転することで、クランプオン型検出器100の光軸もチューブ2の中心軸を中心に回転する。これにより、クランプオン型検出器100の光軸は、中心軸からの距離を維持しつつチューブ2に対する位置を変えることができる。
【0023】
ここで、例えば、クランプオン型検出器100は、光ファイバ12の接続された側の端部を投光部とし、光ファイバ16の接続された側の端部を受光部として光を照射することができる。この場合、光軸の径は、光ファイバ12及び16の径と一致する。チューブ2の内径は3/4~1インチであり、光ファイバ12及び16の径が5mm程度の場合、光軸の径はチューブ2の内径よりも小さくなる。そのため、図1のような構成とした場合に、チューブ2内の中心軸を外れた位置に光軸を通過させることが可能となる。これに対して、例えば、チューブ2の内径に対して光軸の径が同じかもしくはそれ以上の場合、チューブ2の中心軸を外れた位置に光軸を通すと、光がチューブ2の内部の測定対象以外の部分を通過することになる。その場合、濃度を測定精度が低下してしまうため、チューブ2の中心軸を外れた位置に光軸を通す構成を採用することは困難である。
【0024】
以上のような構成を有する検出部1を使用するにあたり、利用者は、検出部1を配置する位置のチューブ2の断面における気泡の状態を計測する。そして、チューブ2の断面において気泡の少ない領域が特定される。そのうえで、特定した気泡の少ない領域をクランプオン型検出器100の光軸が通過するようにクランプオン型検出器100をチューブ2に対して回転させる。そして、クランプオン型検出器100は、特定した気泡の少ない領域をクランプオン型検出器100の光軸が通過する位置で固定される。これにより、濃度測定装置は、気泡の影響が少ないスペクトルを用いて濃度測定を行うことが可能となる。
【0025】
[検出部の配置の拡張]
チューブ2に対する検出部1の配置は、チューブ2の姿勢別又は検出部1の取付位置の前後の状況別の気泡が少ない領域とクランプオン型検出器100の光軸との位置関係により、クランプオン型検出器100の光軸が気泡の少ない領域に位置するように決められる。以下に、チューブ2の姿勢又は検出部1の取付位置の前後の状況に応じた検出部1の配置例をいくつか説明する。
【0026】
図5は、チューブが地面に対して垂直方向から傾けて配置された状態を示す図である。図5では、光ファイバ12及び光ファイバ16を省略して、クランプオン型検出器100の光軸Qを図示した。ここでは、図5の矢印の方向に測定対象が流れる場合を考える。チューブ2が地面に対して垂直方向から傾いている場合、図5に示すように、気泡Bは、重力がかかる方向と逆の方向、すなわちチューブ2における地面とは反対側の方向に寄る。そこで、この場合、図5で示される位置を光軸Qが通過するように、クランプオン型検出器100がチューブ2に対して取り付けられて固定される。すなわち、クランプオン型検出器100は、チューブ2の中心軸に対して地面に近い位置を光軸Qが通過するように配置されて固定される。これにより、光軸Qは、チューブ2における地面とは逆側に寄った気泡Bにあたらず、気泡の少ない場所を通過することが可能となる。
【0027】
図6は、チューブの前にエルボが設けられた状態を示す図である。図6では、光ファイバ12及び光ファイバ16を省略して、クランプオン型検出器100の光軸Qを図示した。エルボ3は、測定対象の進行方向を曲げるための湾曲した部材である。エルボ3により進行方向が曲げられた測定対象は、図6の矢印で示されるように流れる。この場合、エルボ3の直後は、測定対象は、湾曲の外側に近いチューブ2の内壁側の流速が速く、湾曲の内側に近いチューブ2の内壁側の流速が遅い。そのため、気泡Bは、図6に示すように、エルボ3の湾曲の外側に近いチューブ2の内壁側に寄る。そこで、この場合、図6で示される位置を光軸Qが通過するように、クランプオン型検出器100がチューブ2に対して取り付けられて固定される。すなわち、クランプオン型検出器100は、チューブ2の中心軸に対してエルボ3の湾曲の内側に近いチューブ2の内壁に近い位置を通過するように配置されて固定される。これにより、光軸Qは、エルボ3の湾曲の外側に近いチューブ2の内壁側に寄った気泡Bにあたらず、気泡の少ない場所を通過することが可能となる。
【0028】
このように、エルボ3などを用いてチューブ2の断面の各領域における流速分布をコントロールすることが可能な構成を取ることができる。流速が速い領域に気泡が集まりやすいため、流速分布をコントロールすることで、流速の速い気泡が多い領域以外の位置を光軸が通るように配置することが容易となる。
【0029】
図7は、チューブが地面に対して垂直に配置された状態を示す図である。図7では、光ファイバ12及び光ファイバ16を省略して、クランプオン型検出器100の光軸Qを図示した。ここでは、図7の矢印の方向に測定対象が流れる場合を考える。この場合、測定対象の流速が遅く層流が発生する。層流の流速分布は、一般にチューブ2の中心が速い。そのため、図7に示すように、気泡Bは、チューブ2の中心に寄る。そこで、この場合、図7で示される位置を光軸Qが通過するように、クランプオン型検出器100がチューブ2に対して取り付けられて固定される。クランプオン型検出器100は、チューブ2の中心軸から外れた位置に光軸Qを有するため、この場合はどの位置に固定されても気泡Bから光軸Qを外すことができる。これにより、光軸Qは、チューブ2における中心に寄った気泡Bにあたらず、気泡の少ない場所を通過することが可能となる。
【0030】
[測定システム]
以下、上述した検出部1を用いて測定対象の濃度を測定する実施形態の一例について、図8を用いて説明する。図8は、実施形態における測定システムの概要を示す図である。図8に示す例では、測定システム10は、LED11、光ファイバ12及び16、投光部13、フローセル14、受光部15、分光装置17、並びに、測定装置18を有する。
【0031】
LED11は、光源装置であり、溶質と対応する特定波長を含む光を出射する。LED11は、薬液が光吸収する波長を有する光源であれば特に制限はない。例えば、LED11は、半値幅が100ナノメートル程度の光を出力可能な発光素子である。例えば、LED11は、ハロゲンランプでもよい。
【0032】
光ファイバ12は、LED11から出射された光を投光部13へと伝達する光ファイバであり、例えば、単相の光ファイバ等により実現される。投光部13は、光ファイバ12を介して、LED11が出射した光を受光すると、受光した光をフローセル14へと出射する。
【0033】
フローセル14は、サンプルが流れる測定管であり、図1のチューブ2にあたる。フローセル14は、薬液を流せて光を透過できる流路であれば特に制限はない。例えば、フローセル14は、半透明なテフロンチューブ(登録商標)でもよい。例えば、図8に示す例では、フローセル14の内容には、洗浄液供給装置CPから洗浄装置CMへと供給される半導体の洗浄液がサンプルとして流れている。
【0034】
光ファイバ12、投光部13、受光部15及び光ファイバ16が、図1に例示した検出部1にあたる。投光部13及び受光部15は、図1のクランプオン型検出器100に格納される。
【0035】
受光部15は、投光部13から投光された光を、フローセル14内のサンプルを介して受光する。そして、受光部15は、受光した光をファイバ16へと出力する。光ファイバ16は、光ファイバ12と同様に、受光部15から出力された光を分光装置17へと伝達する光ファイバであり、例えば、単相の光ファイバ等により実現される。
【0036】
分光装置17は、サンプルを介してLED11から出射された光を受光すると、受光した光を分光する分光装置である。ここで、用いる分光装置17に関しては、光の分光を行えれば特に制限はない。例えば、分光装置17は、全測定波長に対して時間的に同時にスペクトルを測定する分光装置である。そのような分光装置17としては、グレーティング分光方式の分光装置がある。また、分光装置17は、ファブリペロー型の分光装置を用いてもよい。
【0037】
測定装置18は、分光装置17により測定された光強度に基づいて、測定対象であるサンプルの濃度を測定する。例えば、測定装置18は、フローセル14内を流れる水溶液に溶解している溶質の濃度を測定する。
【0038】
[実施形態における効果]
以上に説明したように、本実施形態に係る測定装置18が有する検出部1は、測定対象を通過させるチューブ2の中心軸から外れた位置に光軸を有する。そして、検出部1は、チューブ2が貫通したクランプオン型検出器100をチューブ2の中心軸を中心に回転させることで、チューブ2の断面において測定対象に含まれる気泡が多い領域以外の位置を光軸が通るように配置される。これにより、測定対象を通過する光の気泡へあたることを軽減できる。したがって、測定装置18は、測定対象の気泡の少ない位置を通過した光を用いて濃度測定を行うことで気泡影響を低減した濃度測定が可能となり、簡易な構成で測定対象の濃度を精度良く測定することができる。
【0039】
また、チューブ2の姿勢や前後の状態により、気泡の多い領域が推測できるため、検出部1をチューブ2の断面において測定対象に含まれる気泡が多い領域以外の位置を光軸が通るように配置することが可能である。特に、エルボ3などを用いてチューブ2の断面の各領域における流速分布をコントロール可能な場合、流速が速い領域に気泡が集まりやすいため、流速の速い気泡が多い領域以外の位置を光軸が通るように配置することが可能である。これにより、測定装置18は、測定対象の気泡の少ない位置を通過した光を用いて濃度測定を行うことで気泡影響を低減した濃度測定が可能となり、簡易な構成で測定対象の濃度を精度良く測定することができる。
【0040】
[実施形態の拡張]
上記の説明では、サンプルに含まれる測定対象の濃度を測定する測定システム10について説明したが、実施形態は、これに限定されるものではない。以下の説明では、測定システム10が実行する測定手法のバリエーションについて説明する。
【0041】
[サンプルについて]
測定システム10は、各種溶質が溶解した水溶液のみならず、例えば、各種溶質が溶解した有機溶剤等の溶液をサンプルとしてもよい。また、測定システム10は、溶質ではなく、溶媒となる物質の濃度を測定してもよい。
【0042】
[装置構成について]
なお、測定システム10の装置構成は、上述した説明に限定されるものではない。例えば、測定装置18は、測定システム10全体を有し、フローセル14内のサンプルにおける測定対象の濃度を測定する装置であってもよい。
【0043】
以上、実施形態の一例を説明したが、これらは例示であり、本実施形態は上記した説明に限定されるものではない。発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、実施形態の構成や詳細は、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 検出部
2 チューブ
3 エルボ
10 測定システム
11 LED
12、16 光ファイバ
13 投光部
14 フローセル
15 受光部
17 分光装置
18 測定装置
100 クランプオン型検出器
101 貫通孔
110 固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8