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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092344
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】運行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230626BHJP
   G08G 1/127 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/127 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207504
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡志
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA27
5H181BB04
5H181EE13
5H181EE14
5H181FF13
5H181FF18
5H181FF22
5H181MA23
(57)【要約】
【課題】走行している車両に対して、迅速かつ的確に対応した運行管理を行える運行管理システムを提供すること。
【解決手段】気象情報を受け付ける気象情報受付部WR(気象情報受信部10)と過去の運行実績を格納する運行実績保管部DSaと、気象情報受付部WRで受け付けた気象情報と、運行実績保管部DSaに格納された運行実績とに基づき、対象車両VEの運行について変更の要否を判定する判定部JGと、判定部JGでの判定内容に応じて、対象車両VEの運行について変更する運行変更部OCとを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象情報を受け付ける気象情報受付部と
過去の運行実績を格納する運行実績保管部と、
前記気象情報受付部で受け付けた前記気象情報と、前記運行実績保管部に格納された前記運行実績とに基づき、対象車両の運行について変更の要否を判定する判定部と、
前記判定部での判定内容に応じて、前記対象車両の運行について変更する運行変更部と
を備える運行管理システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記対象車両の運行について、ダイヤの変更及び走行経路の変更について要否を判定する、請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
前記判定部においてダイヤの変更又は走行経路の変更を要すると判定された場合に、新たなダイヤを生成するダイヤ生成部を備える、請求項2に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記運行実績保管部は、過去の天候情報及び地理的情報とともに前記運行実績を保管し、
前記判定部は、前記気象情報受付部で受け付けた気象センターからの前記気象情報を、場所ごとに前記運行実績と照合して、運行上の影響の有無を判定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項5】
前記運行実績保管部は、前記運行実績として、前記天候情報及び地理的情報ごとに行った交通規制の内容を含み、
前記判定部は、前記気象情報受付部で受け付けた前記気象情報に応じて、前記交通規制の内容の適否を判定する、請求項4に記載の運行管理システム。
【請求項6】
前記対象車両は、自動運転により運行される公共交通機関であり、
前記運行実績保管部は、前記対象車両の走行領域に対応した前記運行実績を保管する、請求項1~5のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項7】
前記対象車両の通常走行経路と迂回走行経路とを含む地図データを有する地図データ格納部を備え、
前記運行変更部は、前記判定部での判定内容に応じて、前記地図データ格納部から一の迂回走行経路を選択する、請求項1~6のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項8】
前記気象情報受付部で受け付けた前記気象情報と、前記対象車両の現在位置情報とに基づいて、運行を管理する運行管理部を備え、
前記判定部は、前記運行管理部から、前記気象情報とともに受け取った前記対象車両の現在位置情報に基づいて、前記対象車両の運行について変更の要否を判定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項9】
前記運行変更部において変更された運行について、前記対象車両に送信する通信部を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動運転車両の運行に際して、走行経路等の管理を行う運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転に関する技術として、経路選出方法や経路選出装置等において、天候が悪化する場合であっても、自動運転を継続可能な経路を選択するもの(特許文献1)が知られている。
【0003】
一方、列車の運行管理に関する技術として、列車の遅延が発生している場合に、運行実績に基づいて着発時間に幅を持たせた予測ダイヤを作成する運行予測システム(特許文献2)が知られている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1や上記特許文献2に記載された技術では、例えば道路を走行している車両の運行について、天候の変化に応じて迅速かつ的確に対応した運行管理を行えるようにするための管理システムといったものについては、言及がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-43058号公報
【特許文献2】特開2021-98425号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、走行している車両に対して、迅速かつ的確に対応した運行管理を行える運行管理システムを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するための運行管理システムは、気象情報を受け付ける気象情報受付部と過去の運行実績を格納する運行実績保管部と、気象情報受付部で受け付けた気象情報と、運行実績保管部に格納された運行実績とに基づき、対象車両の運行について変更の要否を判定する判定部と、判定部での判定内容に応じて、対象車両の運行について変更する運行変更部とを備える。
【0008】
上記運行管理システムでは、気象情報と運行実績とに基づいて、走行している車両を対象とした車両の運行について、変更の要否判定や変更態様の決定を迅速かつ的確に行える。
【0009】
本発明の具体的な側面では、判定部は、対象車両の運行について、ダイヤの変更及び走行経路の変更について要否を判定する。この場合、状況に応じた運行変更に対応した走行を対象車両にさせることができる。
【0010】
本発明の別の側面では、判定部においてダイヤの変更又は走行経路の変更を要すると判定された場合に、新たなダイヤを生成するダイヤ生成部を備える。この場合、新たに生成したダイヤに基づく運行管理を行える。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、運行実績保管部は、過去の天候情報及び地理的情報とともに運行実績を保管し、判定部は、気象情報受付部で受け付けた気象センターからの気象情報を、場所ごとに運行実績と照合して、運行上の影響の有無を判定する。この場合、過去の運行実績に基づいて、現状の天候や場所に応じて適切な運行管理に関する判断を行える。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、運行実績保管部は、運行実績として、天候情報及び地理的情報ごとに行った交通規制の内容を含み、判定部は、気象情報受付部で受け付けた気象情報に応じて、交通規制の内容の適否を判定する。この場合、運行管理のための交通規制の適否に関する適切な判断が可能となる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、対象車両は、自動運転により運行される公共交通機関であり、運行実績保管部は、対象車両の走行領域に対応した運行実績を保管する。この場合、例えば公共交通機関としてのバスの運行において、天候状況に対応して、適切な走行経路の変更(これに伴うダイヤ変更)が可能となる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、対象車両の通常走行経路と迂回走行経路とを含む地図データを有する地図データ格納部を備え、運行変更部は、判定部での判定内容に応じて、地図データ格納部から一の迂回走行経路を選択する。この場合、地図データに基づき走行経路変更の要否等の判定が可能となる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、気象情報受付部で受け付けた気象情報と、対象車両の現在位置情報とに基づいて、運行を管理する運行管理部を備え、判定部は、運行管理部から、気象情報とともに受け取った対象車両の現在位置情報に基づいて、対象車両の運行について変更の要否を判定する。この場合、運行管理部での運行管理に対応させつつ、必要な運行の変更に関する判定ができる。
【0016】
本発明のさらに別の側面では、運行変更部において変更された運行について、対象車両に送信する通信部を備える。この場合、対象車両側において、変更内容の把握ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る運行管理システムに関して説明するための概念図である。
図2】運行管理システムの一構成例について説明するためのブロック図である。
図3】現在の気象情報と過去の運行実績とに基づく運行変更の要否判定について説明するための概念図である。
図4】(A)及び(B)は、運行管理システムにおける全体動作について一例を説明するためのフローチャートである。
図5】運行管理システムにおける経路判定について一例を説明するためのフローチャートである。
図6】運行管理システムにおけるダイヤ生成について一例を説明するためのフローチャートである。
図7】運行管理システムの一構成例について概要を説明するための概念図である。
図8】一変形例の運行管理システムによる管理態様について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1等を参照して、一実施形態に係る運行管理システムについて、一例を説明する。図1として例示する概念図にあるように、本実施形態に係る運行管理システム100は、自動運転車両を対象車両VEとする運行管理を担う交通システムであり、気象情報受信部10と、制御部50と、車両通信部70とを備える。運行管理システム100は、気象情報受信部10を介して、気象情報すなわち気象状況に関する種々の情報を、外部から取得しつつ、必要に応じて上記気象情報を利用しながら制御部50により所轄の交通領域TAにおける対象車両VEの運行管理を行う。このため、運行管理システム100は、制御部50からの各種情報を、車両通信部70を介して対象車両VEに対して送信する。
【0019】
ここで、図示の一例では、運行管理システム100における運行管理の対象となっている対象車両VEは、交通領域TAにおいて、走行経路を通常走行経路ROとして走行している。対象車両VEの典型的一例としては、公共交通機関としての路線バスBUがあげられる。つまり、対象車両VE(路線バスBU)は、通常走行経路RO上に設けられた停留所BSを、順次発着していき、その間の走行経路が、通常時においては、通常走行経路ROとなっている。ここでは、運行管理システム100は、路線バスBUの運行ダイヤについて管理を行うものとなっており、この際に、特に、気象状況に応じて、路線バスBUの走行経路とその変更について、ダイヤ変更ととともに取り扱っている。すなわち、路線バスBUは、必要に応じて、例えば図中において破線で示すように、予め設定された迂回走行経路NRを走行することも可能となっている。さらには、必要に応じて、運行管理システム100において新たな経路を作成し、作成された新たな経路に沿った走行を行うこともあるものとする。また、これらの通常とは異なる経路を利用する場合に新たなダイヤの作成すなわちダイヤの組直しを行う。
【0020】
運行管理システム100は、上記のような態様となるべく、気象情報を、例えば気象センターMCから取得する。一方、運行管理システム100は、対象車両VEである路線バスBUとの通信を行うことで、必要な情報の授受を可能としている。ここでは、運行管理システム100は、少なくとも所轄の交通領域TAを含む範囲における気象情報を取得することで、交通領域TAに生じ得る気象の変化が捉えられるものとなっている。
【0021】
また、本実施形態では、路線バスBU(対象車両VE)は、自律走行可能な自動運転車両であるものとし、路線バスBUには、自律走行に必要な自己位置を把握するための設備や、既定のダイヤに沿った走行を行うための各種設備(図示略)が搭載され、車載の自動運転制御部CUvにおいて、これらの設備を動作させるとともに、通信部TTvを介して、運行管理システム100から必要な情報を受けるととともに、運行管理システム100側における路線バスBUの運行管理に必要な情報を提供する。
【0022】
上記のように、ここでは、自動運転車両となっている路線バスBUを、運行管理システム100における管理対象たる対象車両VEとして説明する、すなわち自動運転により運行される公共交通機関を運行管理システム100の管理対象とするが、対象車両VEは、路線バスBUに限らず種々のものとすることが可能である。
【0023】
本実施形態では、運行管理システム100において、過去の運行実績を格納しており、過去の運行実績と、気象センターMCから取得した気象情報とに基づき、対象車両VEの運行について変更の要否を判定し、判定内容に応じて、対象車両の運行についての変更態様を決定するものとなっている。これにより、運行管理システム100は、走行している車両を対象とした車両の運行(ここでの一例では路線バスBUの運行)について、変更の要否判定や変更態様の決定を迅速かつ的確に行えるものとなっている。
【0024】
以下、図2として示すブロック図を参照して、運行管理システム100の一構成例について説明する。
【0025】
図示のように、また、既述のように、運行管理システム100は、気象情報受信部10と、制御部50と、車両通信部70とを備える。さらに、制御部50は、運行情報管理部51と、運行情報処理部52と、ダイヤ変更判定部53と、ダイヤ管理システム54と、運行実績保管部DSaと、運行情報保管部DSsとを有する。
【0026】
気象情報受信部10は、外部から送信される各種気象情報を受け付けるインターフェース部である、すなわち気象情報受信部10は、気象情報を受け付ける気象情報受付部WRとして機能する。図示の一例では、気象情報受信部10は、外部の気象センターMCのうち、例えば気象に関するデータを管理する気象管理システムMSから、必要な各種気象情報を受信する。なお、気象情報受信部10において受け付ける気象情報については、気象に関する種々の情報を広く含むものとし、例えば気象の変化に伴って生じる土砂災害情報や、道路陥没情報のほか、道路冠水、洪水、河川氾濫、河川の水位、高潮、潮位に関する情報等も、含まれるものとする。また、気象情報の種類としては、予報、警報、注意報等種々のものが含まれ、また、各種値としては、雨(降雨、雨量)、雪(降雪、積雪量)、風(風向、風速)、雷、気温等についての観測値のほか、予測値等も含まれる。以上のように、運行管理システム100は、気象情報受信部10を介してこれらの各種情報を、気象情報とし、運行管理を行う際の判定用のデータの1つとして取り扱う。
【0027】
制御部50は、例えばCPUやストレージデバイス、あるいは各種電子回路等で構成され、車両の運行管理等の各種動作制御を担う主要部として機能する。
【0028】
制御部50のうち、運行情報管理部51は、例えばCPUあるいは各種電子回路等で構成され、運行情報の管理を行う。運行情報管理部51は、例えば、運行情報保管部DSsに格納されたダイヤデータや走行経路データを取得して、これらに基づく走行を対象車両VEに行わせるべく、車両通信部70を介して各種指令を送信する。また、対象車両VEからは、車両通信部70を介して、対象車両VEの現在位置情報(経度、緯度情報及び時刻情報)を受け付ける。すなわち、対象車両VEとしての路線バスが現在どこを走っているかを把握する。以上のようにして、運行情報管理部51は、路線バスBUの運行に関する各種情報を取り扱い、運行に関する管理全般を担っている。つまり、運行情報管理部51は、運行管理部であり、気象情報受信部10で受け付けた気象情報と、対象車両VEの現在位置情報とに基づいて、運行を管理する。
【0029】
運行情報処理部52は、例えばCPUあるいは各種電子回路等で構成され、運行情報管理部51から運行管理に関する情報(運行情報)や、気象情報を受け取るとともに、運行実績保管部DSaや運行情報保管部DSsに格納されている各種情報を参照して、現状の走行経路やダイヤでの運行維持が可能であるか否かを判定し、必要に応じて、これらの変更(あるいは調整や選択)等を行うための各種処理をする。
【0030】
運行実績保管部DSaは、ストレージデバイス等で構成され、過去の運行実績を格納する。ここでは、特に、走行範囲の各地点において、過去の気象情報等との関係から、走行態様の変更が必要になった場合にどのような措置を取ったかを示す内容を、過去の運行実績として記録している。運行情報処理部52は、対象車両VEの現在位置情報及び気象センターMCから取得した気象情報について、運行実績保管部DSaに格納された過去の運行実績の内容と照合することで、例えば過去における近似した状況とその時の対処方法(実績)を勘案することで、走行経路やダイヤの変更要否等について、的確な判定を行えるようにしている。
【0031】
運行情報保管部DSsは、ストレージデバイス等で構成され、ダイヤデータや走行経路データ等を保管する。典型的には、天候等に問題が無く、通常の走行(理想通りの運行)がなされている間において、使用される通常ダイヤやこの際の走行経路についてのデータが、運行情報保管部DSsに格納されている。運行情報保管部DSsは、このような通常の運行に関するデータに加え、図中において別途のブロック図として示すように、各種地図データGDを含む地図データ格納部となっている。具体的には、運行情報保管部DSsは、対象車両VEの通常走行経路RO(図1参照)についてのデータDD1と迂回走行経路NR(図1参照)についてのデータDD2とを含む地図データGDを有しており、各データDD1,DD2は、運行情報保管部DSsに含まれる走行経路データRDにより構成されている。例えば、迂回走行経路のデータDD2については、走行経路データRDの各要素を適宜組み合わせることで、単数または複数の迂回走行経路が予め作成されたものが、予め格納されている。運行情報処理部52は、迂回走行経路のデータDD2に格納された迂回走行経路のうちから状況に応じて選択可能な走行経路への変更(経路の選択)を行う。つまり、運行情報処理部52は、地図データ格納部である運行情報保管部DSsから一の迂回走行経路を選択するものとなっている。
【0032】
ここで、地図データGDには、走行経路データRDとして、上記通常走行経路ROや迂回走行経路NR、さらにはこれらの周辺における道路(通路)やその周辺に存在する設備等に関するデータが格納されている。すなわち、走行経路データRDについては、図1に例示した通常走行経路ROや迂回走行経路NR、さらにはこれらの周辺の走行経路であって、対象車両VEたる路線バスBUが走行可能な経路(例えばサイズ的に走行可能な経路等を意味する)等に関する種々の情報が含まれる。例えば、通行路の長さの情報等の地理的データを構成する経路上の各点を示す緯度経度についての情報(緯度、経度情報)や、交差点に関する情報すなわち交差点の位置や信号機の有無や信号機がある場合における信号灯器の情報といったもの(交差点情報)があげられる。なお、上記信号灯器の情報については、信号灯器を特定するための情報のほか、例えば対象車両VEが通過する信号灯器における信号情報(赤信号や青信号である時間の長さや切り替わりのタイミング)が含まれるものとする。さらに、バスの各停留所間の距離についての情報(バス停間距離情報)や、走行経路を構成する各道路区間における走行時間についての情報(走行時間情報)といったものも含まれる。このほか、例えば、土砂崩落や地震で道路が寸断されるような場合には、寸断箇所に近い信号交差点(例えば寸断箇所から半径100m以内)は、交通上のボトルネックになりやすいと考えられる。そこで、信号情報に加え、土砂崩落や地震に関する情報がある場合には、寸断箇所あるいはこれに近い箇所に存在する信号交差点を含む道路を回避するように、迂回走行経路NRを生成あるいは選択等できるようにしておくことも考えられる。
【0033】
以上のように、走行経路データRDについては、管轄範囲(図1の交通領域TA)における種々の情報が含まれる。本実施形態では、気象の変化によって走行経路の変更が必要になった場合に、これに応じるべく、運行情報保管部DSsに格納された走行経路データRDに基づいて、新たな走行経路(迂回走行経路)が予め準備されている、あるいは、必要に応じて準備される。さらに、運行情報処理部52において、例えば運行実績保管部DSaとの対比すなわち過去のデータとの対比では、適切な経路選択ができないような場合には、走行経路データRDのうち、通常走行経路ROや迂回走行経路NR以外の走行経路であって、路線バスBUが走行可能な経路を探し、これに基づいて、新たな走行経路を作成(あるいは選択)するものとしてもよい。なお、運行情報処理部52は、新たな走行経路すなわち変更した走行経路についての情報(経路変更情報)を、運行情報管理部51に対して通知する。
【0034】
また、運行情報処理部52は、上記のような迂回走行経路を利用するか否かの判定とともに、ダイヤ変更の要否を判定する。ダイヤ変更必要と判断した場合、後述するダイヤ変更判定部53に対して、その旨の通知(ダイヤ変更指示依頼)をする。ただし、ここでの一例では、ダイヤ変更の要否についての最終決定は、ダイヤ変更判定部53においてなされるものとする。
【0035】
ダイヤ変更判定部53は、CPUあるいは各種電子回路等で構成され、運行情報処理部52からダイヤ変更指示依頼を受けると、例えば気象情報受信部10(気象情報受付部WR)で受け付けた気象情報等を必要に応じて参照し、その妥当性を判断した上で、ダイヤ変更の要否について判定をする。ダイヤ変更判定部53において、ダイヤ変更を要すると判定されると、ダイヤ変更判定部53は、ダイヤ管理システム54に対して、運行情報処理部52において選択された走行経路に基づく新たなダイヤの作成指令をする。なお、ダイヤ変更判定部53は、ダイヤ変更の要否についての判定結果を運行情報処理部52に対して通知する。
【0036】
ダイヤ管理システム54は、CPUあるいは各種電子回路等で構成され、ダイヤ変更判定部53からダイヤの作成指令を受けると、ダイヤ生成部54aにおいて、当該作成指令に応じた新たなダイヤを作成する。なお、ダイヤ管理システム54において作成された新たなダイヤ(新たなダイヤ情報)は、ダイヤ変更判定部53に対して提供され、ダイヤ変更判定部53は、提供された新たなダイヤに基づくダイヤ変更の情報(ダイヤ変更情報)を、運行情報管理部51に対して通知する。
【0037】
運行情報管理部51は、運行情報処理部52からの経路変更情報や、ダイヤ変更判定部53からのダイヤ変更情報を受け付けると、これらの新たな情報に基づいて運行管理を行うべく、各種処理を行うとともに、これらの情報に対応する新たなダイヤ情報や走行経路情報を、車両通信部70を介して、対象車両VEたる路線バスBUに対して行う。
【0038】
なお、以上の場合において、上記新たな各種情報は、例えば運行情報保管部DSsに格納されるものとしてもよい。つまり、運行情報保管部DSsにおいて、新たなダイヤ情報の登録(取得)がなされることで、現状のダイヤデータが書き換えられる。また、運行情報管理部51における運行管理も、これらの情報を基準としてなされるものとなる。
【0039】
さらに、上記新たな経路及びダイヤによる運行については、例えば運行終了後において、過去の実績として、さらに、運行実績保管部DSaにおいて蓄積される(過去に実績として追加される)ものとなる(運行実績データ保管)。
【0040】
車両通信部70は、上記の通り、対象車両VEとの通信を行うためのインターフェース部であり、運行管理システム100の管理下にあるダイヤ情報や走行経路についての情報を、制御部50からの指示に従って、対象車両VEに対して送信する。特に、本実施形態では、上記のように、気象の変化に伴う走行経路やダイヤの変更に関する情報が送信されることになる。
【0041】
以上において、制御部50を構成する各部についての見方を変えると、運行情報処理部52やダイヤ変更判定部53は、運行管理システム100において、気象情報受信部10(気象情報受付部WR)で受け付けた気象情報と、運行実績保管部DSaに格納された運行実績とに基づき、対象車両VEの運行について変更の要否を判定する判定部JGとして機能している、とも捉えることができる。上記態様の場合、判定部JGは、運行管理部である運行情報管理部51から、記気象情報とともに受け取った対象車両VEの現在位置情報に基づいて、対象車両VEの運行について変更の要否を判定するものとなっている。
【0042】
また、運行情報処理部52、ダイヤ変更判定部53、運行実績保管部DSa、運行情報保管部DSs、さらには、ダイヤ管理システム54は、あるいはこれらの一部は、協働して、判定部JGでの判定内容に応じて、対象車両VEの運行について変更する運行変更部OCとして機能している、とも捉えることができる。また、この場合、運行管理システム100は、運行変更部OCにおいて変更された運行について、対象車両VEに送信する通信部として、車両通信部70を有している。
【0043】
さらに、上記態様の場合、ダイヤ管理システム54のダイヤ生成部54aは、判定部JGにおいてダイヤの変更又は走行経路の変更を要すると判定された場合に、新たなダイヤを生成するものとなっている。
【0044】
一方、対象車両VE(路線バスBU)については、既述のように、自律走行可能な自動運転車両として、自動運転制御部CUvや、外部からの情報を取得するための通信部TTvを備えるとともに、各種データを格納するデータ格納部DDvが設けられている。この場合、特に、対象車両(自動運転車両)VEは、路線バスBUとしての走行を可能とすべく、自己の位置を検知可能とするとともに、通信部TTvを介して、自己の位置についての情報を、運行管理システム100に対して送信している。また、対象車両VEは、通信部TTvを介して、既述のように、走行経路やダイヤに関する変更情報を運行管理システム100から受けるとともに、これらの情報、すなわちダイヤデータや走行経路データを、データ格納部DDvに格納する。すなわち、自動運転制御部CUvは、通信部TTvを介して新たな情報を受け付けつつ、データ格納部DDvに格納されたダイヤデータや走行経路データを参照して、対象車両(自動運転車両)VEの自律走行のための各種動作制御を行う。すなわち、各種センシング等により周囲状況を検知しつつ、アクセルやブレーキ等の各部(図示略)の操作を行う。以上のようにして、対象車両VEにおける経路に沿った自律走行が実現される。また、この場合、災害等により、事後的に通信不能となった場合には、それまでに受信し、格納していたダイヤデータや走行経路データに基づく自律走行を行うものとしてもよい。
【0045】
以下、図3として示す概念図を参照して、過去の運行実績と現在の気象情報等とに基づく運行変更の要否判定について一例を説明する。
【0046】
まず、過去の運行実績に関する情報(過去情報)について説明する。ここでは、図示のように、運行実績保管部DSaに格納された過去の運行実績を示す実績データADが、3つのレイヤーで構成された情報に基づいて作成されている場合について説明する。まず、図示のように、ここでは、第1のレイヤー(レイヤー1)として、過去の気象情報(過去天候情報)を採用するものとし、第2のレイヤー(レイヤー2)として、過去の交通規制情報(過去規制情報)を採用するものとし、第3のレイヤー(レイヤー3)として、地物情報を採用するものとする。
【0047】
これらの過去情報に基づいて、例えば図示のように、多数の実績データADが作成できる。すなわち、対象となる所轄の交通領域TA内の一部を占めるエリア(エリアα,β…)ごとに、過去の日時における天候(例えば雨量や風量等)や、経路上に発生した種々の状況(例えば水没や、がけ崩れ等)、その際にとられた交通規制や、どのような迂回を行ったか、また、当時の地物情報(山間部であったのか、都心部であったのか等)の情報が多数蓄積されている。なお、地物情報については、記録された当時(過去の時点)における状況のほか、現在において、同じ地点がどのようになっているか(農村部であったところが都心部に変わった)等の情報が含まれていてもよい。
【0048】
地物情報については、例えば同じ雨量であったとしても、その場所が山間部であるのか都心部であるのか、あるいは、農村部であるのかによって発生する被害等が異なる可能性がある。また、川や海の周辺であったところが、その後、護岸工事等がなされることで、安全性が高まっているような場合には、運行情報処理部52における迂回を行うべきか否かの判定基準が、変更されることになる。これらのような地物情報が加味されることで、運行情報処理部52等において、より的確な判定が可能となる。
【0049】
以上のように、運行実績保管部DSaは、過去の天候情報(過去天候情報)及び地理的情報(地物情報)とともに運行実績を保管し、判定部JGとしての運行情報処理部52は、気象情報受信部10で受け付けた気象センターMCからの気象情報を、場所ごとに運行実績と照合して、運行上の影響の有無を判定している。また、上記態様の場合、運行実績保管部DSaは、運行実績として、過去天候情報及び地物情報ごとに行った交通規制の内容(過去規制情報)を含んでおり、判定部JGとしての運行情報処理部52は、気象情報受信部10で受け付けた気象情報に応じて、交通規制の内容(過去規制情報)の適否を判定することができる。
【0050】
次に、現在の気象情報等として、ここでは、図示のように、また、既述のように、気象情報と対象車両VEの現在位置情報とが取り扱い対象となっている。すなわち、気象情報として、所轄の交通領域TAにおける現時点でのリアルタイムでの天候情報(例えば現在の気象情報や近い未来における気象予報の情報等)が採用される。また、対象車両VEから送信され運行情報管理部51において取得される対象車両VEの現在位置情報が採用される。ここでは、特に、対象車両VEの現在位置情報から対象車両VEの走行に影響を及ぼすと想定されるエリアAR1が推定され、推定されたエリアAR1の情報(エリア推定情報)における気象情報が判定の対象となる。なお、ここでは、エリア推定情報は、運行情報管理部51から運行情報処理部52に対して通知される運行情報の一部であるものとする。また、運行情報は、図中に例示する運行データODのようなもの、すなわち路線バスBUの運行ダイヤ(あるいはその一部)のようなもので、構成されている。
【0051】
運行情報処理部52やダイヤ変更判定部53は、上記のような各種情報を受け取ってこれらに基づいて、経路変更やダイヤ変更を行うべきか否かを判定する。例えば、上記各種情報については、数値データの組合せでパラメータ化されて、運行情報処理部52やダイヤ変更判定部53は、予め設定されている各種閾値に基づいて、上記判定を行う。
【0052】
さらに、上記各種情報に加えて、所轄の交通領域TAにおける現時点での交通規制に関する情報(現在規制情報)が存在する場合には、併せてこれを加味して、各種判断を行うことができる。
【0053】
以下、上記構成による経路変更のための動作手順の一例について概要を説明する。まず、気象情報が気象情報受信部10から入力されると、制御部50において、当該気象情報が閾値を超えているか否かについての判定がなされる。閾値を超えていた場合、制御部50は、バスBUの現在位置から対象となるエリアAR1を特定して、気象情報を条件とした運行実績保管部DSaを利用して過去の規制、迂回経路等を調べ、存在すれば、制御部50は、これを経路変更内容として採用する。一方、過去の実績を調べても、該当するものが存在しない場合には、現在の規制情報を調べて、交通に支障があるところを回避するようにしつつ、経路の候補を抽出・選定する。また、規制情報が無い場合であっても、通行に支障が出るリスクがある場合(例えば過去の実績を照合すると規制発生のおそれがあると判定される場合)は、リスク回避できるような経路の抽出・選定を行うようにしてもよい。なお、上記に伴ってダイヤ変更の要否やダイヤ変更の具体的内容の決定に関する処理がなされることになる。なお、大幅な経路変更が生じるといった場合には、これに伴うダイヤ変更が必須的になると想定されるが、例えばバス停の変更を伴わない若干の迂回だけを行う、といった場合には、ダイヤの変更までは不要と判定される場合もあり得ると考えられる。
【0054】
以下、図4(A)及び図4(B)のフローチャートを参照して、運行管理システム100における全体動作等について一例を説明する。
【0055】
図4(A)は、運行管理システム100のダイヤ生成に関する全体動作の概要を示すフローチャートである。まず、運行管理システム100は、気象情報受信部10において、気象センターMCの気象管理システムMSから、気象情報として、例えば雨天情報や風速情報を取得すると(ステップS101)、制御部50のうち、例えば運行情報管理部51において、取得した雨天情報や風速情報に含まれる雨量及び風速(風量)の値が、予め定めた基準値以上であるか否かが確認される(ステップS102)。
【0056】
ステップS102において、基準値未満であれば(ステップS102:No)、ステップS101からの動作が継続される。
【0057】
一方、ステップS102において、(例えば雨量及び風速のうちの一方が)基準値以上であった場合(ステップS102:Yes)、制御部50は、運行情報処理部52において、過去の情報と現在の情報との照合を行い、必要に応じて、経路やダイヤの変更作業や、変更作業のための通知を行う(ステップS103)。
【0058】
ステップS103での通知に応じて、ダイヤ変更判定部53やダイヤ管理システム54が各種処理を行って新たなダイヤが生成されたり、あるいは、運行情報処理部52において新たな走行経路の設定がなされたりすると(ステップS104)、制御部50は、運行情報管理部51において、新たなダイヤや走行経路に関する情報を、対象車両VEに対して送信するための各種処理を行う(ステップS105)。
【0059】
なお、上記動作のきっかけとなる気象情報の発信・受信に関しては、図4(B)のフローチャートに示すように、まず、気象センターMCの気象管理システムMSから、雨天情報や風速情報を含む気象情報が、運行管理システム100の気象情報受信部10に向けて送信され(ステップS201)、これを気象情報受信部10が受信するものとなっている(ステップS202)。
【0060】
次に、図5のフローチャートを参照して、運行管理システム100における経路判定について一例を説明する。すなわち、運行情報処理部52における迂回経路を利用するか否かを含めた迂回経路の選択判定に関して、一例を説明する。なお、ここでは、図4(A)に示したもののうち、ステップS103の状況下にあるものとする。
【0061】
この場合、まず、運行情報処理部52は、現在の情報と過去の情報との照合を行うべく、現状の対象車両VEの存在位置に対応して推定されたエリアAR1の情報を取得するとともに(ステップS301)、運行実績保管部DSaに格納された実績データADのうち、対応するものを読み出す(ステップS302)。さらに、運行情報処理部52は、エリアAR1に影響のある地図データGD中の各種データを読み出す(ステップS303)。すなわち、停留所に関する情報やこれを繋ぐ各種迂回ルート、さらには、迂回ルートを選択した場合に発生する遅延の度合等を算出できるようにするための各種データを抽出する。
【0062】
次に、運行情報処理部52は、準備した上記各種データに基づいて、現状(近未来を含んでもよい)における気象情報から、停留所や経路において、天候に起因する大きな遅延等の影響が存在するか否かを確認する(ステップS304)。
【0063】
ステップS304において、影響がないと判定した場合(ステップS304:No)、以後特段の処理をすることなく動作を終了する。
【0064】
一方、ステップS304において、影響が存在すると判定した場合(ステップS304:Yes)、すなわち、大きな遅延等を回避すべく迂回を要すると判定した場合、運行情報処理部52は、運行情報管理部51に現状の走行状況における所要時間等の各種情報を問い合わせ(ステップS305)、候補となるエリアAR1の走行として選択可能な迂回経路を抽出する。すなわち、準備されている複数の迂回経路の中から、発生した状況に対応したものを、新たな経路となるべき候補(代替走行経路候補)として、単数または複数抽出する(ステップS306)。
【0065】
次に、運行情報処理部52は、ステップS306で抽出されたもののうち、各停留所を除く(スキップする)ことなく走行を継続可能なものがあるか否かを確認し(ステップS307)、そのようなものが候補の中にある場合(ステップS307:Yes)、さらに、当該候補が複数(2以上)あるか否かを確認する(ステップS308)。
【0066】
ステップS308において、複数の候補が存在すると判定された場合(ステップS308:Yes)、運行情報処理部52は、当該複数の候補を比較して、予め定めている所定時間の差以内(遅延が許容範囲内)となる経路が、候補中に存在するか否かを確認する(ステップS309)。
【0067】
ステップS309において、所定時間の差以内となる経路が存在する場合(ステップS309:Yes)、条件を満たす(単数または複数の)候補のうち、理想通りの場合(ダイヤ乱れ無し)と比較して最短時間差となっているものを、新たな迂回経路として選択する(ステップS310)。
【0068】
一方、ステップS309において、所定時間の差以内となる経路が存在しない場合(ステップS309:No)、運行情報処理部52は、候補となっている複数の迂回経路上の交差点情報(走行経路データRDとして格納されている)を取得し(ステップS311)、複数の迂回経路の間で信号機のある交差点の個数を比較して、当該個数が最小のものを、新たな迂回経路として選択する(ステップS312)。
【0069】
なお、ステップS308において、複数の候補が存在しないと判定された場合(ステップS308:No)、つまり候補が1つしかない場合、当該候補を新たな迂回経路として選択する(ステップS313)。
【0070】
一方、ステップS307において、迂回経路の中に、各停留所を除く(スキップする)ことなく走行を継続可能なものが存在しないと判定された場合(ステップS307:No)、通行不能となっている停留所を除いた他の停留所全てを走行できる迂回経路があるか否かを確認し(ステップS314)、かかる迂回経路が存在すれば(ステップS314:Yes)、当該迂回経路を、新たな迂回経路として選択する(ステップS315)。
【0071】
ステップS314において、迂回経路が存在しない場合(ステップS314:No)、運行情報処理部52は、走行経路データRDから、通常走行経路ROや迂回走行経路NR以外の走行経路であって、路線バスBUが走行可能な経路を探し(ステップS316)、これを新たな迂回経路として取り扱う(ステップS317)。
【0072】
ステップS310、ステップS312、ステップS313、ステップS315又はステップS317における迂回経路の選択後、運行情報処理部52は、ダイヤ変更判定部53に対してダイヤ変更指示依頼をするととともに(ステップS318)、運行情報管理部51に対して、経路変更情報を通知し(ステップS319)、迂回経路の選択に関する一連の処理を終える。
【0073】
以下、図6のフローチャートを参照して、運行管理システム100におけるダイヤ生成について一例を説明する。
【0074】
まず、ダイヤ変更判定部53は、運行情報処理部52からダイヤ変更指示依頼の通知(図5のステップS318に相当)を受けているか否かを確認し(ステップS401)、ダイヤ変更指示依頼の通知が無ければ(ステップS401:No)、以後特段の処理をすることなく動作を終了する。
【0075】
一方、ステップS401において、ダイヤ変更指示依頼の通知を受けている場合(ステップS401:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、例えば運行データOD(図3参照)のような現状のダイヤ情報を運行情報管理部51に問い合わせるとともに(ステップS402)、必要に応じて、現在の気象情報等を確認し(ステップS403)、ダイヤ変更が必要であるか否かを判定する(ステップS404)。
【0076】
ステップS404において、ダイヤ変更は必要でないと判断した場合(ステップS404:No)、ダイヤ変更判定部53は、現行のダイヤを適用し(ステップS405)、その後の遅延の発生について確認する(ステップS406)。
【0077】
ステップS406において、遅延が発生していないと判断されれば(ステップS406:No)、以後特段の処理をすることなく動作を終了する。なお、このような場合としては、例えば、運行情報処理部52において選択された迂回経路が、ほとんど遅れを増大させず、かつ、運行データODが元々時間に余裕のある構成(多少の遅れが元々加味されている等)のような場合に生じ得ると考えられる。
【0078】
一方、ステップS406において、遅延が発生していると判断された場合(ステップS406:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、再度、ステップS402からの動作を繰り返す。なお、この場合、併せてステップS404における判断基準を変更する等が考えられる。
【0079】
ステップS404において、ダイヤ変更が必要であると判断した場合(ステップS404:Yes)、ダイヤ変更判定部53は、運行情報処理部52において選択された迂回経路に沿った新たな走行経路でのダイヤ作成(生成)をダイヤ管理システム54に対して要求する(ステップS407)。ステップS407の要求に応じて、ダイヤ管理システム54のダイヤ生成部54aにおいて、発着時間の再計算等がなされ、新たなダイヤが例えば自動生成される(ステップS408)。なお、この際、可能な範囲で、各停留所間における所要時間の調整や、複数の走行車両の間での調整等がなされる。
【0080】
ステップS408において、再計算された新たなダイヤの情報が、ダイヤ変更判定部53に提供され、ダイヤ変更判定部53において、新たなダイヤについての整合性が確認された(ステップS409)後、当該新たなダイヤの情報(ダイヤ変更情報)が、運行情報管理部51に対して出力され(ステップS410)、ダイヤ変更判定部53は、ダイヤ生成に関する一連の処理を終える。
【0081】
なお、上記図5図6を参照して説明した処理の結果として、運行情報管理部51において運行情報処理部52からの経路変更情報や、ダイヤ変更判定部53からのダイヤ変更情報が受け付けられると、運行情報管理部51は、これらを紐づけて、管理対象たる路線バスBUに対して送信(通知)する。
【0082】
以下、図7として示す概念図を参照して、運行管理システム100の一構成例について概要を説明する。図示のように、また、既述のように、本実施形態に係る運行管理システム100は、気象情報を受け付ける気象情報受付部WR(気象情報受信部10)と過去の運行実績を格納する運行実績保管部DSaと、気象情報受付部WRで受け付けた気象情報と、運行実績保管部DSaに格納された運行実績とに基づき、対象車両VEの運行について変更の要否を判定する判定部JGと、判定部JGでの判定内容に応じて、対象車両VEの運行について変更する運行変更部OCとを備える。特に、判定部JGは、対象車両VEの運行について、ダイヤの変更及び走行経路の変更について要否を判定するものとなっている。これにより、上記運行管理システム100では、気象情報と運行実績とに基づいて、例えば走行している対象車両VEを対象とした車両の運行について、変更の要否判定や変更態様の決定を迅速かつ的確に行うことができ、また、反射的に、状況に応じた運行変更に対応した走行を、管理対象である対象車両VEに行わせることができる。
【0083】
図8は、一変形例の運行管理システム100による管理態様について説明するための概念図である。上記一例では、領域的な気象情報の取得範囲を、少なくとも所轄の交通領域TAを含む範囲としていたが、図8に示すものにおいては、例えば、異なる複数の路線に対応する複数の交通領域TA1,TA2,TA3…に関して、一括して管理を行うようなものとなっている。このような場合には、例えばこれらの交通領域TA1,TA2,TA3…すべてを包含するような範囲RRにおける気象情報を取得する態様としておき、路線ごとすなわち交通領域TA1,…ごとに必要な範囲の気象情報を取得しつつ、各交通領域TA1,…を走行する対象車両VEについての運行管理を行うものとしてもよい。
【0084】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0085】
まず、上記において、過去の運行実績の参照等に関して、過去情報を、3つのレイヤーにより構成されるものとしているが、これに限らず、過去についてのデータは、種々の態様とすることが可能である。
【0086】
また、上記では、運行情報処理部52やダイヤ変更判定部53が判定部JGを構成するもの等としているが、上記のような態様に限らず、種々の態様とすることができ、例えば1つのCPUで、運行情報処理部52とダイヤ変更判定部53との双方の役割を行うようなものとすることも可能であり、また、判定部JGとしての機能を有する部分と、運行変更部OCとしての機能を有する部分とを、別個独立に設けた構成とすることも考えられる。
【0087】
また、判定を行うための閾値等についても、種々のものとすることができ、例えば各数値に重み付け等を行い、複合的な組み合わせで判定基準を作成するものとしてもよい。
【0088】
また、迂回経路の選択に際しても、上記一例に限らず、種々の態様が想定され、例えば上記では、複数の候補がある場合に、時間や距離あるいは信号機の個数等を選択における基準としていたが、これに限らず他の事項を選択基準としてもよい。例えば、経路による水没のし難さ等が判明している場合には、これを基準に優先的に選択する迂回経路を定めることが考えられる。また、上記のほか、迂回走行をする場合として、地震の情報に関して地割れが発生して道路に段差ができて通行できない、というような場合も想定される。このような場合、例えば地震等に関する調査を行う役人等の調査員による道路の損傷(ひび割れ)具合等が分かるデータが、気象センターMCからの入力情報として入力されると、これについての解析結果が、運行管理システム100の運行情報保管部DSsに保管されるといった態様とすることができる。
【0089】
また、気象情報に加え、地震情報や津波情報を加味して運行管理が行われるものとしてもよい。例えば、発生した地震の震度が、予め定めた閾値未満であれば徐行とする一方、閾値以上であれば、震度や存在位置等の状況に応じて、近場のバス停で停止する、あるいは、避難所に行先変更(経路変更)する、運転中止する等を設定しておく態様とすることも考えられる。
【0090】
また、実績データADに蓄積されている過去の情報を利用して、例えば現状の雨量等が迂回等を要する基準値以下であっても、将来的に基準値を超える可能性があることを見越して、前もって迂回を開始するような態様としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10…気象情報受信部、50…制御部、51…運行情報管理部、52…運行情報処理部、53…ダイヤ変更判定部、54…ダイヤ管理システム、54a…ダイヤ生成部、70…車両通信部、100…運行管理システム、AD…実績データ、AR1…エリア、BS…停留所、BU…路線バス、CUv…自動運転制御部、DD1,DD2…データ、DDv…データ格納部、DSa…運行実績保管部、DSs…運行情報保管部、GD…地図データ、JG…判定部、MC…気象センター、MS…気象管理システム、NR…迂回走行経路、OC…運行変更部、OD…運行データ、RD…走行経路データ、RO…通常走行経路、RR…範囲、TA…交通領域、TA1,TA2,TA3…交通領域、TTv…通信部、VE…対象車両(自動運転車両)、WR…気象情報受付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8