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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092367
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ロータおよびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20230626BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20230626BHJP
   H02K 1/30 20060101ALI20230626BHJP
   H02K 1/276 20220101ALI20230626BHJP
【FI】
H02K1/28 D
H02K1/22 A
H02K1/30 A
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207549
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】398061810
【氏名又は名称】ニデックテクノモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】檀野 隼一
(72)【発明者】
【氏名】王 甫ヨウ
(72)【発明者】
【氏名】前野 彰利
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601AA25
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD33
5H601EE12
5H601EE19
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA33
5H601GA38
5H601GA40
5H601GC05
5H601GC12
5H601GC25
5H601GD03
5H601GD07
5H601GD08
5H601GD10
5H601GD13
5H601GD14
5H601KK08
5H601KK26
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CB05
5H622PP10
5H622PP20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内部の位置ずれを抑制できるとともに磁束漏れを低減可能なロータおよびモータを提供する。
【解決手段】ロータにおいて、外側コア110は、軸方向に沿って積層される複数の単位層ULを有する。複数の単位層のそれぞれは、複数の磁極部Mpに含まれる1つの磁極部を有する単一磁極鋼板10aと、複数の磁極部に含まれる2以上の磁極部と、2以上の磁極部を連結する連結部Ccとを有する連結磁極鋼板10bとを有する。単位層において、単一磁極鋼板および連結磁極鋼板は、周方向に配置され、複数の単位層のうちの隣接する2つの単位層において、一方の単位層における単一磁極鋼板および連結磁極鋼板の位置は、他方の単位層における単一磁極鋼板および連結磁極鋼板の位置に対して周方向にずれる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、
前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、
前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられる間隙部に配置されるマグネットと、
前記外側コア、前記内側コアおよび前記マグネットを覆う樹脂部と
を備え、
前記外側コアは、軸方向に沿って積層される複数の単位層を有し、
前記複数の単位層のそれぞれは、
前記複数の磁極部に含まれる1つの磁極部を有する単一磁極鋼板と、
前記複数の磁極部に含まれる2以上の磁極部と、前記2以上の磁極部を連結する連結部とを有する連結磁極鋼板と
を有し、
前記単位層において、前記単一磁極鋼板および前記連結磁極鋼板は、周方向に配置され、
前記複数の単位層のうちの隣接する2つの単位層において、一方の単位層における前記単一磁極鋼板および前記連結磁極鋼板の位置は、他方の単位層における前記単一磁極鋼板および前記連結磁極鋼板の位置に対して周方向にずれる、ロータ。
【請求項2】
前記内側コアおよび前記外側コアは、互いに離れて位置し、
前記樹脂部は、前記内側コアと前記外側コアとの間に介在し、
前記外側コアに含まれる前記単一磁極鋼板および前記連結磁極鋼板の少なくとも一方は、
前記磁極部に対して、前記連結部よりも前記内側コア側に突起する径方向突起部をさらに有する、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記径方向突起部は、前記磁極部に対して径方向内側に位置し、
前記径方向突起部は、前記径方向突起部と前記磁極部との接続部分よりも周方向外側に延びる、請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記単一磁極鋼板は、1つの磁極部を含む第1単一磁極鋼板を含み、
前記連結磁極鋼板は、前記磁極部に対して径方向内側に突起した径方向突起部をさらに有し、
前記複数の単位層のうち異なる単位層における前記連結磁極鋼板の間に、前記第1単一磁極鋼板が位置し、
前記複数の単位層のうち異なる単位層における前記連結磁極鋼板の前記径方向突起部の軸方向に沿った隙間に、前記樹脂部が介在する、請求項1から3のいずれかに記載のロータ。
【請求項5】
前記単一磁極鋼板は、1つの磁極部を含む第2単一磁極鋼板をさらに含み、
前記第2単一磁極鋼板は、前記磁極部に対して径方向内側に突起した径方向突起部をさらに有し、
前記一方の単位層における前記第2単一磁極鋼板の前記径方向突起部は、前記他方の単位層における前記連結磁極鋼板の径方向突起部と軸方向に重なる、請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記連結磁極鋼板は、第1連結磁極鋼板と、第2連結磁極鋼板とを含み、
前記第1連結磁極鋼板および前記第2連結磁極鋼板のそれぞれは、
第1磁極部と、
前記第1磁極部に対して周方向に位置する第2磁極部と、
前記第1磁極部および前記第2磁極部のそれぞれに対して周方向外側に突起した周方向突起部と、
前記第1磁極部に対して径方向内側に突起した第1径方向突起部と、
前記第2磁極部に対して径方向内側に、前記第1径方向突起部よりも大きく突起した第2径方向突起部と
を有し、
前記第1連結磁極鋼板において、前記第2磁極部は、前記第1磁極部に対して周方向一方側に位置し、
前記第2連結磁極鋼板において、前記第2磁極部は、前記第1磁極部に対して周方向他方側に位置し、
前記第1連結磁極鋼板の前記第2径方向突起部は、前記第2連結磁極鋼板の前記第2径方向突起部と軸方向に重なり、
前記第1連結磁極鋼板の前記第1径方向突起部は、前記第2連結磁極鋼板の前記第1径方向突起部と軸方向に重なり、
前記内側コアは、
本体部と、
前記本体部から径方向外側に突起した径方向突起部と
を有し、
前記内側コアの前記径方向突起部は、前記第1連結磁極鋼板および前記第2連結磁極鋼板のそれぞれの前記第1径方向突起部と向かい合い、前記第1連結磁極鋼板および前記第2連結磁極鋼板のそれぞれの前記第2径方向突起部の周方向の間に位置する、請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記複数の単位層のそれぞれは、前記第1単一磁極鋼板と、前記第2単一磁極鋼板と、前記第1連結磁極鋼板と、前記第2連結磁極鋼板とを有し、
前記外側コアにおいて、前記第1連結磁極鋼板および前記第2連結磁極鋼板のそれぞれの前記第1径方向突起部は、前記第1単一磁極鋼板の前記磁極部の径方向内側端部または前記第2単一磁極鋼板の前記径方向突起部と軸方向に重なり、
前記外側コアにおいて、前記第1連結磁極鋼板および前記第2連結磁極鋼板のそれぞれの前記第2径方向突起部は、前記第2単一磁極鋼板の前記径方向突起部または前記第1単一磁極鋼板の前記磁極部の径方向内側端部と軸方向に重なる、請求項6に記載のロータ。
【請求項8】
前記第1単一磁極鋼板と、前記第2単一磁極鋼板と、前記第1連結磁極鋼板と、前記第2連結磁極鋼板のそれぞれの前記磁極部には孔が設けられ、
前記第1単一磁極鋼板、前記第2単一磁極鋼板、前記第1連結磁極鋼板および前記第2連結磁極鋼板のそれぞれの前記孔は、軸方向に繋がり、
前記樹脂部は、前記第1単一磁極鋼板と、前記第2単一磁極鋼板と、前記第1連結磁極鋼板と、前記第2連結磁極鋼板の前記孔に介在する、請求項6または7に記載のロータ。
【請求項9】
前記樹脂部は、前記内側コアと前記外側コアとの間に介在する弾性体を有する、請求項1から8のいずれかに記載のロータ。
【請求項10】
前記樹脂部は、被覆樹脂部をさらに有し、
前記弾性体は、前記マグネットと、前記外側コアおよび前記内側コアのそれぞれの軸方向端部の一部分を覆い、
前記被覆樹脂部は、前記マグネットおよび前記外側コアの軸方向端部の他の部分および外周面を覆う、請求項9に記載のロータ。
【請求項11】
周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、
前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、
前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられる間隙部に配置されるマグネットと、
前記外側コア、前記内側コアおよび前記マグネットを覆う樹脂部と
を備え、
前記外側コアは、軸方向に沿って積層される複数の単位層を有し、
前記複数の単位層のそれぞれは、複数の連結磁極鋼板を有し、
前記複数の単位層において隣接する2つの単位層のうちの一方の単位層は、複数の第1連結磁極鋼板を有し、前記隣接する2つの単位層のうちの他方の単位層は、複数の第2連結磁極鋼板を有し、
前記第1連結磁極鋼板および前記第2連結磁極鋼板のそれぞれは、
第1磁極部と、
前記第1磁極部に対して周方向に位置する第2磁極部と、
前記第1磁極部に対して径方向内側に突起した第1径方向突起部と、
前記第2磁極部に対して径方向内側に、前記第1径方向突起部よりも大きく突起した第2径方向突起部と
を有し、
前記第1連結磁極鋼板において、前記第2磁極部は、前記第1磁極部に対して周方向一方側に位置し、
前記第2連結磁極鋼板において、前記第2磁極部は、前記第1磁極部に対して周方向他方側に位置し、
前記一方の単位層における前記第1連結磁極鋼板の前記第1径方向突起部は、前記他方の単位層における前記第2連結磁極鋼板の前記第1径方向突起部と軸方向に積層され、
前記一方の単位層における前記第1連結磁極鋼板の前記第2径方向突起部は、前記他方の単位層における前記第2連結磁極鋼板の前記第2径方向突起部と軸方向に積層される、ロータ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のロータを備える、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータおよびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石をロータコアに搭載したIPM(Interior Permanent Magnetic)モータが知られている。IPMモータは、インダクションモータと比べて、二次電流による損失が生じないため、効率的に駆動できる。
【0003】
IPMモータにおいて、ロータコアの磁束漏れを防止してモータ効率を向上させることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、周方向に沿って並んで形成されたマグネット収納孔が回転軸の軸方向に対して斜めに貫通して、マグネット収納孔に樹脂マグネットを射出成形によって充填したロータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-144386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロータでは、ロータコアは、マグネット収納孔に対して径方向内側において連結しているため、ロータにおいて発生する磁束が連結部を介して流れてしまい、磁束漏れが生じることがある。一方、ロータのロータコアを分離してしまうと、ロータ内部の剛性が低下してしまい、ロータの内部構成の位置がずれてしまうことがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部の位置ずれを抑制できるとともに磁束漏れを低減可能なロータおよびモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る例示的なロータは、周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられる間隙部に配置されるマグネットと、前記外側コア、前記内側コアおよび前記マグネットを覆う樹脂部とを備える。前記外側コアは、軸方向に沿って積層される複数の単位層を有する。前記複数の単位層のそれぞれは、前記複数の磁極部に含まれる1つの磁極部を有する単一磁極鋼板と、前記複数の磁極部に含まれる2以上の磁極部と、前記2以上の磁極部を連結する連結部とを有する連結磁極鋼板とを有する。前記単位層において、前記単一磁極鋼板および前記連結磁極鋼板は、周方向に配置され、前記複数の単位層のうちの隣接する2つの単位層において、一方の単位層における前記単一磁極鋼板および前記連結磁極鋼板の位置は、他方の単位層における前記単一磁極鋼板および前記連結磁極鋼板の位置に対して周方向にずれる。
【0008】
本発明の例示的なモータは、上記ロータを備える。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、内部の位置ずれを抑制できるとともに磁束漏れを低減可能なロータおよびモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るモータの模式的な断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るロータの模式的な斜視図である。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットの模式的な斜視図である。
図3B図3Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットの模式的な平面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コアの複数の単位層の模式的な分解斜視図である。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける単一磁極鋼板の模式的な平面図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける連結磁極鋼板の模式的な平面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットの模式的な斜視図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コアの複数の単位層の模式的な分解斜視図である。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第1単一磁極鋼板の模式的な平面図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第2単一磁極鋼板の模式的な平面図である。
図8C図8Cは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第1連結磁極鋼板の模式的な平面図である。
図8D図8Dは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第2連結磁極鋼板の模式的な平面図である。
図9A図9Aは、図6の一部拡大図である。
図9B図9Bは、図9Aの一部拡大図である。
図9C図9Cは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第2単一磁極鋼板およびマグネットの模式的な平面図である。
図10A図10Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットおよび弾性体の模式的な平面図である。
図10B図10Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットおよび被覆樹脂部の模式的な平面図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットの模式的な斜視図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コアの複数の単位層の模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
本明細書では、便宜上、モータの中心軸AX(図1参照)の方向を上下方向として説明する場合がある。図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸を適宜記載する。Z軸の正方向は上方向を示し、Z軸の負方向は下方向を示す。ただし、上下方向、上方向、および下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係るモータの使用時および組立時の向きを限定しない。さらに、モータの中心軸AXと平行な方向を単に「軸方向AD」と記載し、モータの中心軸AXを中心とする径方向および周方向を単に「径方向RD」および「周方向CD」と記載する。また、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。なお、本明細書において「平行な方向」は、略平行な方向も含む。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施形態に係るモータ400およびロータ100を説明する。図1は、本発明の一実施形態のモータ400の構造を示す断面図である。モータ400は、例えば、空調機、洗濯機等の家電製品に使用される。ただし、本発明のモータ400は、家電製品以外の用途に使用されるものであってもよい。例えば、本発明のモータ400は、自動車または鉄道等の輸送機器、OA機器、医療機器、工具、産業用の大型設備等に搭載されて、種々の駆動力を発生させるものであってもよい。
【0014】
図1に示すように、モータ400は、ロータ100と、ステータ200と、シャフトSHと、第1カバー部材312と、第1軸受314と、第2カバー部材320と、第2軸受324と、ケーシング330と、回路基板340を有する。
【0015】
ロータ100は、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。一例として、モータ400は、インナーロータ型のモータである。ロータ100は、中心軸AXの回りに回転する。ロータ100は、ステータ200の径方向RD内方に配置される。
【0016】
ロータ100は、外側コア110と、内側コア120と、マグネット130と、樹脂部140とを備える。マグネット130は、例えば、焼結で形成された板状の永久磁石である。ただし、マグネット130は、樹脂材料に磁性粉を混入したプラスチックマグネットで成型された永久磁石であってもよい。例えば、ロータ100は、略環状の単数のマグネット130を有していてもよいし、周方向CDに配列された複数のマグネット130を有していてもよい。「略環状」は例えば「略円環状」である。
【0017】
外側コア110は、例えば、電磁鋼板が軸方向ADに積層した電磁鋼板によって構成される。複数個のマグネット130は、外側コア110の磁極部の間隙部に配置される。本実施形態では、ロータ100はスポーク型ロータである。
【0018】
シャフトSHは、中心軸AXを中心として配置される。シャフトSHは、略柱状である。シャフトSHは、内側コア120に形成されたシャフト貫通孔120hを貫通して固定される。したがって、シャフトSHは、中心軸AXを中心として、ロータ100とともに回転する。
【0019】
樹脂部140は、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を軸方向ADの両側から覆う。さらに樹脂部140は、マグネット130の径方向RD外側を覆う。樹脂部140は、プラスチックを含んでもよい。または、樹脂部140は、ゴムまたはエラストマーを含んでもよい。詳細には、樹脂部140は、外側コア110、内側コア120およびマグネット130をインサート成型して各々の部品を固定する。
【0020】
ここでは、樹脂部140は、内側コア120と外側コア110との間に介在する弾性体142を有する。弾性体142は、マグネット130と、外側コア110および内側コア120のそれぞれの一部分を覆る。より詳細には、弾性体142は、マグネット130の内側コア120側において、軸方向AD端部、周方向CD両端、および、径方向RD内側端部を覆う。
【0021】
また、樹脂部140は、被覆樹脂部144をさらに有する。被覆樹脂部144は、マグネット130および外側コア110の軸方向AD端部において、弾性体142が覆っている箇所以外の部分および外周面を覆う。
【0022】
第1カバー部材312は、モータ400の軸方向AD上側部分に配置される。第1カバー部材312は、ケーシング330の軸方向AD上側部分を覆う。
【0023】
第1カバー部材312は、円筒形状の第1軸受保持部312aと、第1軸受保持部312aの中央に形成された貫通孔とを有する。シャフトSHは、貫通孔を貫通する。第1軸受保持部312aは、第1軸受314を保持する。第1軸受314は、シャフトSHを回転可能に支持する。第1軸受314は、例えば、転がり軸受である。第1カバー部材312の少なくとも一部は、インサート成型によりケーシング330に取り付けられる。
【0024】
第2カバー部材320は、モータ400の軸方向AD下側部分に配置される。第2カバー部材320は、ケーシング330の軸方向AD下側部分を覆う。
【0025】
第2カバー部材320は、円筒形状の第2軸受保持部322aを有する。第2軸受324は、シャフトSHを回転可能に支持する。第2軸受324は、例えば、転がり軸受である。第2カバー部材320は、ケーシング330に嵌め合いで固定される。第2軸受保持部322aは、第2軸受324を保持する。第2軸受保持部322aは、中心に孔を有する略有底円筒形状である。
【0026】
ステータ200は、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。ステータ200は、マグネット130と径方向RDに対向する。ステータ200は、ステータコア210と、インシュレータ220と、コイル230とを有する。
【0027】
コイル230は、インシュレータ220を介してステータコア210に導線が巻き付けられたることによって構成される。典型的には、導線は、金属線が被膜によって被覆された被覆導線である。金属線の素材は、例えば、アルミニウムである。ただし、金属線の素材は、アルミニウムに代えて銅でもよい。金属線を被覆する被膜は、例えば、絶縁性の樹脂である。樹脂の素材は、例えば、エナメルである。インシュレータ220は、ステータコア210とコイル230とを電気的に絶縁する。インシュレータ220は、絶縁材料で構成される。インシュレータ220は、例えば、熱可塑性の樹脂により構成される。
【0028】
ステータコア210は、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。一例として、ステータコア210は、中心軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。ステータコア210は、例えば、薄板の電磁鋼板が軸方向ADに積層した電磁鋼板によって構成される。ステータコア210は、コアバックと、複数のティースとを有する。
【0029】
インシュレータ220は、ステータコア210の少なくとも一部を覆う。一例として、インシュレータ220は、中心軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。インシュレータ220は、電気絶縁体である。インシュレータ220は、単一の部材によって構成されていてもよいし、複数個の別部材によって構成されていてもよい。例えば、インシュレータ220は、ステータコア210をインサートする樹脂成型品である。また、インシュレータ220は、ステータコア210に対して別途取り付ける構造であってもよい。
【0030】
ケーシング330は、ロータ100の少なくとも一部およびステータ200を収容する。具体的には、ケーシング330は、軸方向AD上方に向かって開放される開口を有する。ケーシング330は、略有底筒状であり、熱硬化性の樹脂製の部材である。「略有底筒状」は、例えば「略有底円筒状」である。ケーシング330は、ステータ200が挿入された金型の内部に、樹脂を流し込むことにより得られる。つまり、ケーシング330は、ステータ200をインサートする樹脂成型品である。従って、ステータ200はケーシング330によって固定される。第2軸受保持部322aは、ケーシング330の軸方向AD底部に固定される。
【0031】
ケーシング330は、少なくとも、ステータコア210の径方向RDの外面を覆う。例えば、ケーシング330は、樹脂から形成される。ステータコア210の少なくとも径方向RDの内面、つまり、複数のティースの径方向RDの内面は、ケーシング330から露出する。また、ケーシング330は、ロータ100の少なくとも一部を収容する。
【0032】
回路基板340は、ケーシング330内に収納される。回路基板340は、電子部品を搭載する。電子部品は、コイル230への通電量を制御する素子、およびロータ100の回転位置を検知する素子を含む。
【0033】
次に、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るロータ100の模式的な斜視図である。
【0034】
図1に示したように、ロータ100は、外側コア110と、内側コア120と、マグネット130と、樹脂部140とを備える。
【0035】
図2に示すように、外側コア110は、周方向CDに環状に延びる。外側コア110は、内側コア120に対して径方向RD外側に位置する。外側コア110は、周方向CDに配置される複数の磁極鋼板10を有する。磁極鋼板10は、周方向CDに沿って配置される。また、磁極鋼板10は、軸方向ADに沿って積層される。複数の磁極鋼板10のそれぞれは、少なくとも1つの磁極部Mpを有する。このため、外側コア110は、周方向CDに配置される複数の磁極部Mpを有する。
【0036】
内側コア120は、外側コア110の径方向RD内側に位置する。内側コア120には、シャフトSH(図1)が取り付けられる。ここでは、内側コア120のシャフトSH側の一部が露出する。
【0037】
マグネット130は、複数の磁極部Mpのうちの隣り合う磁極部Mp間に設けられる間隙部Msに配置される。
【0038】
このように、ロータ100は、周方向CDに配置される複数の磁極部Mpを有する外側コア110と、外側コア110に対して径方向RD内側に位置する内側コア120と、複数の磁極部Mpのうちの隣り合う磁極部Mpの間に設けられる間隙部Msに配置されるマグネット130と、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を覆う樹脂部140とを備える。
【0039】
次に、図1図3Bを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100を説明する。図3Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120およびマグネット130の模式的な斜視図である。図3Aは、図2に示したロータ100から樹脂部140を取り除いた図である。また、図3Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120およびマグネット130の模式的な平面図である。
【0040】
図3Aに示すように、外側コア110およびマグネット130は、周方向CDに沿って環状に配置される。外側コア110は、複数の磁極鋼板10を有する。複数の磁極鋼板10のそれぞれは、磁極部Mpを有する。複数の磁極部Mpは、周方向CDに配置される。また、複数の磁極部Mpは、軸方向ADに積層される。外側コア110は、軸方向ADに沿って積層される複数の単位層ULを有する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るロータ100の外側コア110の軸方向ADに沿った長さは、ステータコア210の軸方向ADに沿った長さよりも大きい。ただし、仕様によっては、外側コア110の軸方向ADに沿った長さは、ステータコア210の軸方向ADに沿った長さと略同一であってもよく、あるいは、ステータコア210の軸方向ADに沿った長さよりも小さくてもよい。
【0041】
マグネット130の軸方向ADに沿った長さは、外側コア110が軸方向ADに沿って積層される複数の単位層ULより長い。つまり、外側コア110の軸方向ADの両側からマグネット130が突出している。マグネット130が長いことで、マグネット130の体積に応じて磁束量が増加して、モータ400のトルクを大きくすることができる。また、回路基板340に設けられたロータ100の回転位置を検出する素子との距離を近づけることができるため、ロータ100の回転時の位置検出精度を向上させることができる。
【0042】
ここでは、磁極部Mpは、略扇形状である。なお、磁極部Mpには孔he(図6)が設けられてもよい。この場合、磁極部Mpの孔に樹脂部140(図2)が配置されることが好ましい。これにより、樹脂部140が磁極部Mpを強く固定できる。
【0043】
図3Aおよび図3Bに示すように、内側コア120は、外側コア110およびマグネット130の径方向RD内側に位置する。外側コア110および内側コア120は、互いに離れて位置する。なお、図2に示した樹脂部140は、内側コア120と外側コア110との間に介在する。
【0044】
磁極鋼板10は、単一磁極鋼板10aと、連結磁極鋼板10bとを有する。単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの詳細は後述する。
【0045】
なお、マグネット130は、隣り合う磁極部Mpの間の間隙部Msに放射状に配置される。マグネット130は、対向する面同士が同じ磁極を有するように配置される。この場合、隣接するマグネット130に挟まれた磁極部Mpには、マグネット130の対向する面の磁極と同極の磁束が流れる。各磁極部Mpの磁束がステータ200(図1)の磁界と反発・吸引することにより、ステータ200に対してロータ100が回転する。このようなロータ100は、スポークロータとも呼ばれる。
【0046】
次に、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の複数の単位層ULの模式的な分解斜視図である。
【0047】
図4に示すように、外側コア110は、複数の単位層ULを有する。ここでは、複数の単位層ULのそれぞれは、複数の磁極鋼板10を有する。各単位層ULにおいて、複数の磁極鋼板10は、単一磁極鋼板10aと、連結磁極鋼板10bとを有する。単一磁極鋼板10aは、1つの磁極部Mpを有する磁極鋼板10であり、連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部Mpを有する磁極鋼板10である。連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部Mpと、2つの磁極部Mpを連結する連結部Ccとを有する。ここでは、複数の単位層ULのそれぞれは、10個の磁極部Mpを有する。
【0048】
図4には、5つの単位層ULとして、単位層ULa、単位層ULb、単位層ULc、単位層ULdおよび単位層ULeを示す。単位層ULaから単位層ULeは、軸方向ADに沿って順番に積層される。ここでは、単位層ULaから単位層ULeのそれぞれは、6個の単一磁極鋼板10aと、2個の連結磁極鋼板10bとを含む。
【0049】
単位層ULaでは、基準位置Paから周方向CDに沿って時計回りに、単一磁極鋼板10a、連結磁極鋼板10b、3つの単一磁極鋼板10a、連結磁極鋼板10bおよび2つの単一磁極鋼板10aが順番に配置される。
【0050】
単位層ULbでは、基準位置Pbから周方向CDに沿って時計回りに、連結磁極鋼板10bの一方の磁極部Mp、3つの単一磁極鋼板10a、連結磁極鋼板10b、3つの単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの他方の磁極部Mpが順番に配置される。
【0051】
単位層ULcでは、基準位置Pcから周方向CDに沿って時計回りに、2つの単一磁極鋼板10a、連結磁極鋼板10b、3つの単一磁極鋼板10a、連結磁極鋼板10bおよび1つの単一磁極鋼板10aが順番に配置される。
【0052】
単位層ULdでは、基準位置Pdから周方向CDに沿って時計回りに、連結磁極鋼板10b、3つの単一磁極鋼板10a、連結磁極鋼板10bおよび3つの単一磁極鋼板10aが順番に配置される。
【0053】
単位層ULeでは、基準位置Peから周方向CDに沿って時計回りに、3つの単一磁極鋼板10a、連結磁極鋼板10b、3つの単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bが順番に配置される。
【0054】
なお、図4では、単位層ULeに続く単位層ULを省略している。単位層ULeに続く単位層では、単位層ULaと同様に、単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bが配置される。その後、単位層ULb~ULeと同様に、単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bが配置される。
【0055】
ここで、単位層ULaから単位層ULeにおいて連結磁極鋼板10bの基準位置Pa~Peに対する配置に着目すると、連結磁極鋼板10bは、単位層ULごとに72°反時計回りに回転した場所に位置する。同様に、単位層ULaから単位層ULeにおいて、単一磁極鋼板10aも、単位層ULごとに72°反時計回りに回転した場所に位置する。すなわち、複数の単位層ULでは、単位層ULa~ULeの単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの配置が繰り返される。
【0056】
上述したように、外側コア110は、軸方向ADに沿って積層される複数の単位層ULを有する。複数の単位層ULのそれぞれは、複数の磁極部Mpに含まれる1つの磁極部Mpを有する単一磁極鋼板10aと、複数の磁極部Mpに含まれる2以上の磁極部Mpと、2以上の磁極部Mpを連結する連結部Ccとを有する連結磁極鋼板10bとを有する。単位層ULにおいて、単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bは、周方向CDに配置される。複数の単位層ULのうちの隣接する2つの単位層ULにおいて、一方の単位層ULにおける単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの位置は、他方の単位層ULにおける単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの位置に対して周方向CDにずれる。
【0057】
積層された複数の単位層ULのうちの隣接する2つの単位層ULにおいて、1つの磁極部Mpを含む単一磁極鋼板10aおよび2以上の磁極部Mpが連結された連結磁極鋼板10bの位置を周方向CDにずらして積層することにより、内側コア120およびマグネット130とともに外側コア110を樹脂部140で覆う際に外側コア110全体が位置ずれすることを抑制できる。また、単位層ULの磁極部Mpが周方向CDの全周にわたって繋がらず、また、積層された単位層ULにおいて連結磁極鋼板10bの連結部が軸方向ADにわたって繋がらないため、連結部Ccを流れる磁束の漏れを低減できる。
【0058】
次に、図1図5Bを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bを説明する。図5Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における単一磁極鋼板10aの模式的な平面図である。図5Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における連結磁極鋼板10bの模式的な平面図である。
【0059】
図5Aに示すように、単一磁極鋼板10aは、1つの磁極部Mpを有する。磁極部Mpは、略扇形状の薄板である。
【0060】
単一磁極鋼板10aは、周方向突起部Cpをさらに有してもよい。周方向突起部Cpは、磁極部Mpの径方向RD外側において、磁極部Mpから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。周方向突起部Cpは、マグネット130が径方向RD外側への移動を規制する。
【0061】
図5Bに示すように、連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部Mpと、連結部Ccとを有する。ここでは、2つの磁極部Mpのうちの一方の磁極部Mpを磁極部Mpaと示し、他方の磁極部Mpを磁極部Mpbと示す。具体的には、磁極部Mpaは、磁極部Mpbに対して反時計回り側に位置し、磁極部Mpbは、磁極部Mpaに対して反時計回り側に位置する。
【0062】
磁極部Mpaおよび磁極部Mpbは、略扇形状の薄板である。連結磁極鋼板10bの磁極部Mpaおよび磁極部Mpbは、単一磁極鋼板10aの磁極部Mpと同様の構成を有することが好ましい。
【0063】
連結部Ccは、磁極部Mpaおよび磁極部Mpbを連結する。連結部Ccは、磁極部Mpaおよび磁極部Mpbの径方向内側部分を連結する。連結部Ccは、磁極部Mpaの径方向内側部分と磁極部Mpbの径方向内側部分との間を周方向CDに延びる。
【0064】
連結磁極鋼板10bは、周方向突起部Cpをさらに有してもよい。周方向突起部Cpは、磁極部Mpaおよび磁極部Mpbのそれぞれの径方向RD外側において、磁極部Mpから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0065】
なお、図3A図5Bを参照した上述の説明では、単位層ULは、2種類の磁極鋼板10(単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10b)を有したが、本実施形態はこれに限定されない。単位層ULは、3種類以上の磁極鋼板10を有してもよい。また、磁極鋼板10は、径方向RD内側に突起した突起部を有してもよい。
【0066】
次に、図6図10を参照して、本実施形態のロータ100を説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120およびマグネット130の模式的な斜視図である。図6は、図3Aと同様に、樹脂部140を取り除いたロータ100を示している。図6のロータ100は、外側コア110が、磁極部Mpに対して径方向RD内側に向かって突起した径方向突起部をさらに有する点を除いて、図3Aに示したロータ100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0067】
図6に示すように、ロータ100は、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を有する。
【0068】
外側コア110は、複数の磁極鋼板10を有する。複数の磁極鋼板10は、周方向CDに沿って配置される。また、複数の磁極鋼板10は、軸方向ADに沿って積層される。複数の磁極鋼板10のそれぞれは、少なくとも1つの磁極部Mpを有する。このため、外側コア110は、複数の磁極部Mpを有する。
【0069】
磁極部Mpは、略扇形状を有する。ここでは、複数の磁極鋼板10のうちのいくつかの磁極鋼板10は、磁極部Mpに対して径方向RD内側に径方向突起部を有する。磁極鋼板10の径方向突起部の詳細は後述する。
【0070】
なお、磁極部Mpには孔heが設けられる。積層される磁極部Mpにおいて、複数の磁極部Mpの孔heは、軸方向ADに沿って直線状に配置されることが好ましい。この場合、磁極部Mpの孔heに樹脂部140が配置され、ロータ100の軸方向AD両端の被覆樹脂部144同士が繋がることにより、樹脂部140が磁極部Mpを強く固定できる。
【0071】
内側コア120は、本体部122と、本体部122から径方向RD外側に突起した径方向突起部124とを有する。本体部122は、筒形状である。本体部122の軸方向ADに沿った長さ(高さ)は、外側コア110の軸方向ADに沿った長さ(高さ)と略等しい。
【0072】
ここでは、径方向突起部124は、本体部122から径方向RDに延びる。径方向突起部124は、本体部122から5つの方向に等間隔に径方向RD外側に延びる。また、径方向突起部124は、軸方向ADに延びる。径方向突起部124は、本体部122と単一の部材である。内側コア120は、樹脂部140にインサート成型により覆われる。径方向突起部124は樹脂部140内で楔となり、内側コア120は、外側コア110に対してお互いの相対的な位置がずれることを抑制する。
【0073】
ここでは、径方向突起部124に孔124hが設けられる。径方向突起部124の孔124hは、軸方向ADに沿って直線状に延びることが好ましい。この場合、径方向突起部124の孔124hに樹脂部140が配置されることにより、樹脂部140が内側コア120を強く固定できる。
【0074】
次に、図6および図7を参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110を説明する。図7は、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の複数の単位層ULの模式的な分解斜視図である。
【0075】
図7に示すように、外側コア110は、複数の単位層ULを有する。ここでは、複数の単位層ULのそれぞれは、単一磁極鋼板10aと、連結磁極鋼板10bとを有する。外側コア110において、単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの少なくとも一方は、磁極部Mpに対して、連結部Ccよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpを有する。
【0076】
ここで、単一磁極鋼板10aは、第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2とを有する。第1単一磁極鋼板10a1は、1つの磁極部Mpを有する磁極鋼板10である。第2単一磁極鋼板10a2は、1つの磁極部Mpと、1つの磁極部Mpから径方向RD内側に突起した径方向突起部Rpaとを有する磁極鋼板10である。
【0077】
ここで、連結磁極鋼板10bは、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2とを有する。第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2は、それぞれ2つの磁極部Mpから径方向RD内側に突起した径方向突起部Rpbを有する磁極鋼板10である。第1連結磁極鋼板10b1は、2つの磁極部Mpのうちの時計回り側に位置する磁極部Mpからより大きい突起部が突起する磁極鋼板10である。第2連結磁極鋼板10b2は、2つの磁極部Mpのうちの反時計回り側に位置する磁極部Mpからより大きい突起部が突起する磁極鋼板10である。ここでは、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれにおいて、より小さい径方向突起部を第1径方向突起部Rpb1と示し、より大きい径方向突起部を第2径方向突起部Rpb2と示すことがある。また、ここでは、複数の単位層ULのそれぞれは、10個の磁極部Mpを有する。
【0078】
図7には、5つの単位層ULとして、単位層ULa、単位層ULb、単位層ULc、単位層ULdおよび単位層ULeを示す。単位層ULaから単位層ULeは、軸方向ADに沿って順番に積層される。ここでは、単位層ULaから単位層ULeのそれぞれは、3個の第1単一磁極鋼板10a1と、3個の第2単一磁極鋼板10a2と、1個の第1連結磁極鋼板10b1と、1個の第2連結磁極鋼板10b2とを含む。
【0079】
単位層ULaでは、基準位置Paから周方向CDに沿って時計回りに、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2連結磁極鋼板10b2、第2単一磁極鋼板10a2および第1単一磁極鋼板10a1が順番に配置される。
【0080】
単位層ULbでは、基準位置Pbから周方向CDに沿って時計回りに、第1連結磁極鋼板10b1の一方の磁極部Mp、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2連結磁極鋼板10b2、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2および第1連結磁極鋼板10b1の他方の磁極部Mpが順番に配置される。
【0081】
単位層ULcでは、基準位置Pcから周方向CDに沿って時計回りに、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2連結磁極鋼板10b2、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第1単一磁極鋼板10a1が順番に配置される。
【0082】
単位層ULdでは、基準位置Pdから周方向CDに沿って時計回りに、第2連結磁極鋼板10b2、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2および第1単一磁極鋼板10a1が順番に配置される。
【0083】
単位層ULeでは、基準位置Peから周方向CDに沿って時計回りに、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2連結磁極鋼板10b2が順番に配置される。
【0084】
なお、単位層ULeに続く単位層では、単位層ULaと同様に、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2が配置される。その後、単位層ULb~ULeと同様に、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2が配置される。
【0085】
ここで、単位層ULaから単位層ULeにおいて第1連結磁極鋼板10b1の基準位置Pa~Peに対する配置に着目すると、第1連結磁極鋼板10b1は、単位層ULごとに72°ずつ反時計回りに回転した場所に位置する。同様に、単位層ULaから単位層ULeにおいて、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれも、単位層ULごとに72°反時計回りに回転した場所に位置する。
【0086】
図6および図7に示すように、内側コア120は、外側コア110およびマグネット130の径方向RD内側に位置する。外側コア110および内側コア120は、互いに離れて位置する。樹脂部140(図2)は、内側コア120と外側コア110との間に介在する。外側コア110に含まれる単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの少なくとも一方は、磁極部Mpに対して、連結部Ccよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpをさらに有する。
【0087】
磁極部Mpに対して連結部Ccよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpが樹脂部140に対して楔として機能する。そのため、外側コア110が内側コア120に対して周方向CDに捻じれることを抑制できる。
【0088】
ここで、単位層ULaにおける第1連結磁極鋼板10b1の反時計回り側の磁極部Mpと、この磁極部Mpに対して軸方向ADに積層する磁極部Mpに着目する。単位層ULaにおいて第1連結磁極鋼板10b1の径方向突起部Rbp1が設けられた磁極部Mpに対して、単位層ULbにおいて第1単一磁極鋼板10a1の磁極部Mpが隣接する。さらに、単位層ULcにおいて第1単一磁極鋼板10a1の磁極部Mpが隣接する。さらに、単位層ULdにおいて第2連結磁極鋼板10b2の径方向突起部Rbp1が設けられた磁極部Mpが隣接する。
【0089】
このように、単一磁極鋼板10aは、1つの磁極部を含む第1単一磁極鋼板10a1を含む。連結磁極鋼板10bは、磁極部Mpに対して径方向RD内側に突起した径方向突起部Rpbをさらに有する。複数の単位層ULのうち異なる単位層ULにおける連結磁極鋼板10bの間に、第1単一磁極鋼板10a1が位置する。第1単一磁極鋼板10a1には径方向突起部Rpaが設けられていないため、複数の単位層ULのうち異なる単位層ULにおける連結磁極鋼板10bの径方向突起部Rpの軸方向ADに沿った隙間に、樹脂部140が介在する。
【0090】
この場合、連結磁極鋼板10bの径方向突起部Rpbの間に、径方向突起部Rpaを有さない第1単一磁極鋼板10a1を配置でき、連結磁極鋼板10bの径方向突起部Rpbの軸方向ADに沿った隙間に樹脂部140が介在するため、外側コア110が軸方向ADに移動することを抑制できる。
【0091】
ここで、単位層ULaにおける基準位置Pa~Peに対して時計回り側に位置する第2単一磁極鋼板10a2の磁極部Mpと、この磁極部Mpに対して軸方向ADに積層する磁極部Mpに着目する。単位層ULaにおいて第2単一磁極鋼板10a2の磁極部Mpに対して、単位層ULbにおいて第1連結磁極鋼板10b1の径方向突起部Rbp2が設けられた磁極部Mpが隣接する。さらに、単位層ULcにおいて第2単一磁極鋼板10a2の磁極部Mpが隣接する。さらに、単位層ULdにおいて第2連結磁極鋼板10b2の径方向突起部Rbp2が設けられた磁極部Mpが隣接する。
【0092】
このように、単一磁極鋼板10aは、1つの磁極部を含む第2単一磁極鋼板10a2をさらに含む。第2単一磁極鋼板10a2は、磁極部Mpに対して径方向RD内側に突起した径方向突起部Rpaをさらに有する。一方の単位層ULにおける第2単一磁極鋼板10a2の径方向突起部Rpaは、他方の単位層ULにおける連結磁極鋼板10bの径方向突起部Rpと軸方向ADに重なる。
【0093】
単一磁極鋼板10aの径方向突起部Rpaが連結磁極鋼板10bの径方向突起部Ppbと軸方向ADに重なることにより、周方向CDに楔となる強度が向上し、外側コア110および内側コア120が周方向CDに相対的に位置ずれすることを抑制できる。
【0094】
複数の単位層ULのそれぞれは、第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2と、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2とを有する。外側コア110において、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第1径方向突起部Rpb1は、第1単一磁極鋼板10a1の磁極部Mpの径方向RD内側端部または第2単一磁極鋼板10a2の径方向突起部Rpaと軸方向ADに重なる。
【0095】
外側コア110において、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第2径方向突起部Rpb2は、第2単一磁極鋼板10a2の径方向突起部Rpまたは第1単一磁極鋼板10a1の磁極部Mpの径方向RD内側端部と軸方向ADに重なる。
【0096】
第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2の第1径方向突起部Rpb1および第2径方向突起部Rpb2が、第1単一磁極鋼板10a1の磁極部Mpの径方向RD内側端部または第2単一磁極鋼板10a2の径方向突起部Rpaと軸方向ADに重なるため、外側コアが軸方向ADまたは周方向CDに位置ずれすることを抑制できる。
【0097】
第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2と、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの磁極部Mpには孔heが設けられる。第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの孔heは、軸方向ADに繋がる。
【0098】
樹脂部140は、第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2と、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2の孔heに介在する。第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの磁極部Mpの孔heに樹脂が介在することにより、積層された磁極鋼板10同士が軸方向ADおよび径方向RDに位置ずれすることを抑制できる。
【0099】
連結磁極鋼板10bは、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2とを含む。第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれは、第1磁極部Mp1と、第1磁極部Mp1に対して周方向CDに位置する第2磁極部Mp2と、第1磁極部Mp1に対して径方向RD内側に突起した第1径方向突起部Rpb1と、第2磁極部Mp2に対して径方向RD内側に、第1径方向突起部Rpb1よりも大きく突起した第2径方向突起部Rpb2とを有する。
【0100】
第1連結磁極鋼板10b1において、第2磁極部Mp2は、第1磁極部Mp1に対して周方向CD一方側に位置する。第2連結磁極鋼板10b2において、第2磁極部Mp2は、第1磁極部Mp1に対して周方向CD他方側に位置する。第1連結磁極鋼板10b1の第2径方向突起部Rpb2は、第2連結磁極鋼板10b2の第2径方向突起部Rpb2と軸方向ADに重なる。第1連結磁極鋼板10b1の第1径方向突起部Rpb1は、第2連結磁極鋼板10b2の第1径方向突起部Rpb1と軸方向ADに重なる。
【0101】
内側コア120は、本体部122と、本体部122から径方向RD外側に突起した径方向突起部124とを有する。内側コア120の径方向突起部124は、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第1径方向突起部Rpb1と向かい合い、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第2径方向突起部Rpb2の周方向CDの間に位置する。
【0102】
内側コア120の径方向突起部124が外側コア110の第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第1径方向突起部Rpb1と向かい合うことにより、外側コア110および内側コア120が径方向RDに位置ずれすることを抑制できる。また、内側コア120の径方向突起部124と向かい合う第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2の第1径方向突起部Rpb1が、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2の第2径方向突起部Rpb2よりも小さいことから、内側コア120の径方向突起部124を比較的大きくでき、内側コア120の周方向CDのずれ(捻じれ)に対する強度を向上できる。また、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2の第2径方向突起部Rpb2が内側コア120の径方向突起部124と向かい合わないことから、内側コアの120の径方向突起部124を比較的大きくでき、外側コア110の周方向CDのずれ(捻じれ)に対する強度を向上できる。
【0103】
ここで、基準位置Pa~Peに対して時計回り側の1個目に位置する磁極部Mpに着目すると、単位層ULaから単位層ULeにおいてそれぞれ第2単一磁極鋼板10a2の径方向突起部Rpaおよび連結磁極鋼板10bの第2径方向突起部Rpb2(すなわち、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第2径方向突起部Rpb2)が積層している。
【0104】
また、上記磁極部Mpに対してさらに時計回り側に位置する磁極部Mpに着目すると、単位層ULaから単位層ULeにおいてそれぞれ第1単一磁極鋼板10a1および連結磁極鋼板10bの第1径方向突起部Rpb1(すなわち、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第1径方向突起部Rpb1)が積層している。
【0105】
次に、図8A図8Cを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2を説明する。図8Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第1単一磁極鋼板10a1の模式的な平面図であり、図8Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第2単一磁極鋼板10a2の模式的な平面図である。また、図8Cは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第1連結磁極鋼板10b1の模式的な平面図であり、図8Dは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第2連結磁極鋼板10b2の模式的な平面図である。
【0106】
図8Aに示すように、第1単一磁極鋼板10a1は、1つの磁極部Mpを有する。磁極部Mpは、略扇形状の薄板である。磁極部Mpには孔heが設けられる。
【0107】
第1単一磁極鋼板10a1は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、磁極部Mpの径方向RD外側において、磁極部Mpから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0108】
図8Bに示すように、第2単一磁極鋼板10a2は、1つの磁極部Mpを有する。磁極部Mpは、略扇形状の薄板である。磁極部Mpには孔heが設けられる。第2単一磁極鋼板10a2は、磁極部Mpから径方向RD内側に突起する径方向突起部Rpaをさらに有する。径方向突起部Rpaは、磁極部Mpと径方向突起部Rpaとの接続部分から周方向CDに延びる。
【0109】
第2単一磁極鋼板10a2は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、磁極部Mpの径方向RD外側において、磁極部Mpから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0110】
図8Cに示すように、第1連結磁極鋼板10b1は、2つの磁極部Mpと、連結部Ccとを有する。磁極部Mpは、略扇形状の薄板である。磁極部Mpには孔heが設けられる。連結磁極鋼板10bの2つの磁極部Mpは、単一磁極鋼板10aの磁極部Mpと同様の構成を有することが好ましい。
【0111】
第1連結磁極鋼板10b1は、第1磁極部Mp1と、第1磁極部Mp1に対して周方向CDに位置する第2磁極部Mp2と、連結部Ccと、第1磁極部Mp1に対して径方向RD内側に突起した第1径方向突起部Rpb1と、第2磁極部Mp2に対して径方向RD内側に、第1径方向突起部Rpb1よりも大きく突起した第2径方向突起部Rpb2とを有する。第1連結磁極鋼板10b1において、第2径方向突起部Rpb2は、第1径方向突起部Rpb1に対して時計回り側に位置する。
【0112】
連結部Ccは、2つの磁極部Mpを連結する。連結部Ccは、第1磁極部Mp1および第2磁極部Mp2の径方向内側部分を連結する。連結部Ccは、第1磁極部Mp1の径方向内側部分と第2磁極部Mp2の径方向内側部分との間を周方向CDに延びる。
【0113】
第1連結磁極鋼板10b1は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、第1磁極部Mp1および第2磁極部Mp2の径方向RD外側において、磁極部Mpから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0114】
図8Dに示すように、第2連結磁極鋼板10b2は、2つの磁極部Mpと、連結部Ccを有する。磁極部Mpは、略扇形状の薄板である。磁極部Mpには孔heが設けられる。連結磁極鋼板10bの2つの磁極部Mpは、単一磁極鋼板10aの磁極部Mpと同様の構成を有することが好ましい。
【0115】
第2連結磁極鋼板10b2は、第1磁極部Mp1と、第1磁極部Mp1に対して周方向CDに位置する第2磁極部Mp2と、連結部Ccと、第1磁極部Mp1に対して径方向RD内側に突起した第1径方向突起部Rpb1と、第2磁極部Mp2に対して径方向RD内側に、第1径方向突起部Rpb1よりも大きく突起した第2径方向突起部Rpb2とを有する。第1連結磁極鋼板10b1において、第2径方向突起部Rpb2は、第1径方向突起部Rpb1に対して反時計回り側に位置する。
【0116】
連結部Ccは、2つの磁極部Mpを連結する。連結部Ccは、第1磁極部Mp1および第2磁極部Mp2の径方向RD内側部分を連結する。連結部Ccは、第1磁極部Mp1の径方向内側部分と第2磁極部Mp2の径方向RD内側部分との間を周方向CDに延びる。
【0117】
第2連結磁極鋼板10b2は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、第1磁極部Mp1および第2磁極部Mp2のそれぞれの径方向RD外側において、第1磁極部Mp1および第2磁極部Mp2から周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0118】
ここで、再び、図6および図7を参照すると、径方向突起部Rpは、磁極部Mpに対して径方向RD内側に位置する。径方向突起部Rpは、径方向突起部Rpと磁極部Mpとの接続部分よりも周方向CD外側に延びる。径方向突起部Rpが、磁極部Mpに対して径方向RD内側に位置するとともに径方向突起部Rpと磁極部Mpとの接続部分に対して周方向CD外側に延びることにより、マグネット130を径方向RDに位置決めできる。
【0119】
内側コア120は、本体部122と、本体部122から径方向RD外側に突起した径方向突起部124とを有する。内側コア120の径方向突起部124は、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第1径方向突起部Rpb1と向かい合い、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第2径方向突起部Rpb2の周方向CDの間に位置する。
【0120】
次に、図9A図9Cを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120およびマグネット130を説明する。図9Aは、図6の一部拡大図である。図9Bは、図9Aの一部拡大図である。図9Cは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第2単一磁極鋼板10a2およびマグネット130の模式的な平面図である。
【0121】
図9Aおよび図9Bに示すように、内側コア120は、本体部122と、本体部122から径方向RD外側に突起した径方向突起部124とを有する。本体部122は、筒形状である。
【0122】
径方向突起部124は、外側コア110において第1単一磁極鋼板10a1および連結磁極鋼板10bの第1径方向突起部Rpb1(すなわち、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第1径方向突起部Rpb1)が積層する部分と対向する。一方で、径方向突起部124は、外側コア110において第2単一磁極鋼板10a2の径方向突起部Rpaおよび連結磁極鋼板10bの第2径方向突起部Rpb2(すなわち、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第2径方向突起部Rpb2)が積層している部分と対向せずに、第2単一磁極鋼板10a2の径方向突起部Rpaおよび連結磁極鋼板10bの第2径方向突起部Rpb2(すなわち、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの第2径方向突起部Rpb2)が積層している部分の間に位置する。
【0123】
図9Cに示すように、マグネット130は、第2単一磁極鋼板10a2の周方向突起部Cpと径方向突起部Rpaとの間に位置する。第2単一磁極鋼板10a2は、磁極部Mpから径方向RD内側に突起する径方向突起部Rpaを有する。径方向突起部Rpaは、磁極部Mpと径方向突起部Rpaとの接続部分から周方向CDに延びる。
【0124】
次に、図10Aおよび図10Bを参照して、ロータ100における弾性体142および被覆樹脂部144を説明する。図10Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100において、外側コア110、内側コア120、マグネット130および弾性体142を示す模式的な平面図であり、図10Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100において、外側コア110、内側コア120、マグネット130および被覆樹脂部144を示す模式的な平面図である。
【0125】
上述したように、樹脂部140は、内側コア120と外側コア110との間に介在する弾性体142を有する。弾性体142は、マグネット130と、外側コア110および内側コア120のそれぞれの一部分を覆る。より詳細には、弾性体142は、マグネット130の内側コア120側において、軸方向AD端部、周方向CD両端、および、径方向RD内側端部を覆う。さらに、弾性体142は、外側コア110の内側コア120側において、軸方向AD端部、および、径方向RD内側端部を覆う。さらに、弾性体142は、内側コア120のシャフト貫通孔120hの周囲が露出するように覆う。例えば、弾性体142は、ゴムまたはエラストマーを含む。弾性体142により、磁極部Mp側の磁気的作用に伴う振動をシャフトSH(図1)に伝わることを抑制できる。
【0126】
樹脂部140は、被覆樹脂部144をさらに有する。被覆樹脂部144は、マグネット130および外側コア110の軸方向AD端部において、弾性体142が覆っている箇所以外の部分および外周面を覆う。より詳細には、被覆樹脂部144は、マグネット130の径方向RD外側において、軸方向AD端部、周方向CD両端、および、径方向RD外側端部を覆う。さらに、被覆樹脂部144は、外側コア110の径方向RD外側において、軸方向AD端部および径方向RD外側端部を覆う。
【0127】
被覆樹脂部144がマグネット130および外側コア110の軸方向AD端部の他の部分および外周面を被覆することにより、マグネット130および外側コア110が軸方向ADおよび径方向RDに位置ずれすることを抑制できる。
【0128】
なお、図3A図10Bを参照した上述の説明では、各単位層ULは、単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bをそれぞれ有したが、本実施形態はこれに限定されない。単位層ULは、単一磁極鋼板10aを有することなく複数種類の連結磁極鋼板10bを有してもよい。
【0129】
次に、図11および図12を参照して、本実施形態のロータ100を説明する。図11は、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120およびマグネット130の模式的な斜視図である。図11は、図3Aおよび図6と同様に、樹脂部140を取り除いたロータ100を示している。図11のロータ100は、外側コア110において単位層ULが異なる種類の連結磁極鋼板10bを有する点を除いて、図3Aおよび図6に示したロータ100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0130】
図11に示すように、ロータ100は、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を有する。外側コア110は、複数の磁極鋼板10を有する。複数の磁極鋼板10のそれぞれは、少なくとも1つの磁極部Mpを有する。
【0131】
ここでは、磁極部Mpは、略扇形状である。なお、磁極部Mpには孔heが設けられる。積層される磁極部Mpにおいて、複数の磁極部Mpの孔heは、軸方向ADに沿って直線状に配置されることが好ましい。この場合、磁極部Mpの孔heに樹脂部140(図2)が配置されることにより、樹脂部140が磁極部Mpを強く固定できる。
【0132】
外側コア110は、複数の磁極鋼板10を有する。複数の磁極鋼板10のそれぞれは、少なくとも1つの磁極部Mpを有する。磁極部Mpは、略扇形状を有する。このため、外側コア110は、複数の磁極部Mpを有する。複数の磁極鋼板10は、周方向CDに沿って配置される。また、複数の磁極鋼板10は、軸方向ADに沿って積層される。ここでは、複数の磁極鋼板10のうちのいくつかの磁極鋼板10は、磁極部Mpに対して径方向RD内側に径方向突起部を有する。磁極鋼板10の径方向突起部の詳細は後述する。
【0133】
ロータ100は、周方向CDに配置される複数の磁極部Mpを有する外側コア110と、外側コア110に対して径方向RD内側に位置する内側コア120と、複数の磁極部Mpのうちの隣り合う磁極部Mp間に設けられる間隙部Msに配置されるマグネット130と、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を覆う樹脂部140とを備える。
【0134】
図12は、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の複数の単位層ULの模式的な分解斜視図である。
【0135】
図12に示すように、外側コア110は、複数の単位層ULを有する。ここでは、複数の単位層ULのそれぞれは、複数の磁極鋼板10を有する。各単位層ULにおいて、複数の磁極鋼板10は、連結磁極鋼板10bを有する。連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部Mpを有する磁極鋼板10である。連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部Mpと、2つの磁極部Mpを連結する連結部Ccとを有する。ここでは、複数の単位層ULのそれぞれは、10個の磁極部Mpを有する。
【0136】
図12には、5つの単位層ULとして、単位層ULa、単位層ULb、単位層ULc、単位層ULdおよび単位層ULeを示す。単位層ULaから単位層ULeは、軸方向ADに沿って順番に積層される。ここでは、単位層ULaから単位層ULeのそれぞれは、5個の連結磁極鋼板10bを含む。ただし、隣接する単位層ULは、異なる種類の連結磁極鋼板10bを含む。
【0137】
単位層ULaでは、基準位置Paから周方向CDに沿って時計回りに、第1連結磁極鋼板10b1の一方の磁極部Mp、4つの第1連結磁極鋼板10b1および第1連結磁極鋼板10b1の他方の磁極部Mpが順番に配置される。
【0138】
単位層ULbでは、基準位置Pbから周方向CDに沿って時計回りに、5つの第2連結磁極鋼板10b2が順番に配置される。
【0139】
単位層ULcでは、単位層ULaと同様に、基準位置Pcから周方向CDに沿って時計回りに、第1連結磁極鋼板10b1の一方の磁極部Mp、4つの第1連結磁極鋼板10b1および第1連結磁極鋼板10b1の他方の磁極部Mpが順番に配置される。
【0140】
単位層ULdでは、単位層ULbと同様に、基準位置Pdから周方向CDに沿って時計回りに、5つの第2連結磁極鋼板10b2が順番に配置される。
【0141】
単位層ULeでは、単位層ULaおよび単位層ULcと同様に、基準位置Peから周方向CDに沿って時計回りに、第1連結磁極鋼板10b1の一方の磁極部Mp、4つの第1連結磁極鋼板10b1および第1連結磁極鋼板10b1の他方の磁極部Mpが順番に配置される。
【0142】
なお、図4では、単位層ULeに続く単位層ULを省略している。単位層ULeに続く単位層では、単位層ULbおよび単位層ULdと同様に、第2連結磁極鋼板10b2が配置される。その後、単位層ULaおよびULbと同様に、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2が配置される。
【0143】
このように、外側コア110は、軸方向ADに沿って積層される複数の単位層ULを有する。複数の単位層ULのそれぞれは、複数の連結磁極鋼板10bを有する。複数の単位層ULにおいて隣接する2つの単位層ULのうちの一方の単位層ULは、複数の第1連結磁極鋼板10b1を有し、複数の単位層ULのうちの隣接する2つの単位層ULのうちの他方の単位層ULは、複数の第2連結磁極鋼板10b2を有する。
【0144】
第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれは、第1磁極部Mp1と、第1磁極部Mp1に対して周方向CDに位置する第2磁極部Mp2と、第1磁極部Mp1に対して径方向RD内側に突起した第1径方向突起部Rpb1と、第2磁極部Mp2に対して径方向RD内側に、第1径方向突起部Rpb1よりも大きく突起した第2径方向突起部Rpb2とを有する。
【0145】
第1連結磁極鋼板10b1において、第2磁極部Mp2は、第1磁極部Mp1に対して周方向CD一方側に位置する。第2連結磁極鋼板10b2において、第2磁極部Mp2は、第1磁極部Mp1に対して周方向CD他方側に位置する。一方の単位層ULにおける第1連結磁極鋼板10b1の第1径方向突起部Rpb1は、他方の単位層ULにおける第2連結磁極鋼板10b2の第1径方向突起部Rpb1と軸方向ADに積層される。
【0146】
一方の単位層ULにおける第1連結磁極鋼板10b1の第2径方向突起部Rpb2は、他方の単位層ULにおける第2連結磁極鋼板10b2の第2径方向突起部Rpb2と軸方向ADに積層される。
【0147】
積層された複数の単位層ULのうちの隣接する2つの単位層ULにそれぞれ含まれる第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2において比較的大きい第2径方向突起部Rpb2および比較的小さい第1径方向突起部Rpb1がそれぞれ積層されることにより、外側コア110全体が位置ずれすることを抑制した状態で、外側コア110を内側コア120およびマグネット130とともに樹脂部140で覆うことができる。また、単位層ULの磁極部Mpが周方向CDの全周にわたって繋がっていないため、連結部Ccを流れる磁束の漏れを低減できる。
【0148】
図1に示したように、モータ400は、上述したロータ100を備えることが好ましい。これにより、外側コア110を内側コア120およびマグネット130とともに樹脂部140で覆う際に外側コア110全体が位置ずれすることを抑制できる。また、単位層ULの磁極部Mpが周方向CDの全周にわたって繋がっていないとともに積層された単位層において連結磁極鋼板10bの連結部Ccが軸方向ADにわたって繋がっていないため、連結部Ccを流れる磁束の漏れを低減できる。
【0149】
以上、図面(図1図12)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0150】
例えば、図3A図12に示したロータ100では、単位層UL内の構成は、5層ごとに繰り返された周期構造であったが、本実施形態はこれに限定されない。単位層UL内における周期構造の繰り返される層数は5でなくてもよく、任意の数であってもよい。
【0151】
例えば、図3A図12に示したロータ100では、複数の単位層ULのそれぞれは、10個の磁極部Mpを有する構造であったが、本実施形態はこれに限定されない。ロータ100は、8個の磁極部Mpを有する構造、あるいは、14個の磁極部Mpを有する構造であってもよい。
【符号の説明】
【0152】
100 ロータ
110 外側コア
120 内側コア
130 マグネット
140 樹脂部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12