(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092378
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】無線親機、無線子機、無線親機の通信方法、無線子機の通信方法、および、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/18 20180101AFI20230626BHJP
H04W 48/10 20090101ALI20230626BHJP
H04W 12/06 20210101ALI20230626BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W48/10
H04W12/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207588
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】西原 友美
(72)【発明者】
【氏名】橋本 美波
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067FF36
(57)【要約】
【課題】データ通信にかかる処理を抑制することができる無線親機等を提供する。
【解決手段】無線親機10は、接続確立型の通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機10であって、通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線子機20から、データを含む接続要求の信号を受信する通信部11と、データに対する応答データを生成する処理部12と、を備え、通信部11は、無線子機20が認証された場合に、無線子機20から接続要求の信号に対し、応答データを含む、無線子機20との無線接続の確立を拒否することを示す信号を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続確立型の通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機であって、
前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線子機から、データを含む接続要求の信号を受信する通信部と、
前記データに対する応答データを生成する処理部と、を備え、
前記通信部は、前記無線子機が認証された場合に、前記無線子機からの前記接続要求の信号に対し、前記応答データを含む、前記無線子機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を送信する、
無線親機。
【請求項2】
前記データは、前記無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されたデータである、
請求項1に記載の無線親機。
【請求項3】
前記通信部は、定期的にビーコンを送信せず、且つ、前記無線子機との通信に用いるチャネルを変更するときのみに、第1ビーコンを送信する、
請求項1または2に記載の無線親機。
【請求項4】
前記通信部は、定期的にビーコンを送信せず、且つ、前記通信部が複数の前記無線子機に対してデータを送信するとき、通信の開始を知らせるビーコンに当該データを含む第2ビーコンを送信する、
請求項1または2に記載の無線親機。
【請求項5】
前記通信部は、前記第2ビーコンを複数回送信する、
請求項4に記載の無線親機。
【請求項6】
前記通信部は、前記通信部が1つの前記無線子機に対してデータを送信するとき、当該1つの前記無線子機に向けて、当該データを含むアクションフレームを送信する、
請求項1または2に記載の無線親機。
【請求項7】
接続確立型の通信プロトコルを用いた無線子機であって、
前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機に、データを含む接続要求の信号を送信する通信部を備え、
前記通信部は、前記無線親機により自機が認証された後、前記接続要求を送信した場合に、前記無線親機によって送信される応答データを含む、自機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を受信する、
無線子機。
【請求項8】
無線親機と無線接続を行うことで、前記無線親機のアドレスと、前記無線通信に用いられる暗号化鍵とを含むアクセス情報を取得する接続部と、
前記接続部が取得した前記アクセス情報を記憶する記憶部と、を備える、
請求項7に記載の無線子機。
【請求項9】
前記接続部は、前記無線親機との無線接続を切断した後、前記記憶部に記憶された動作チャネルにおいて、前記無線親機と他の前記無線子機との通信における信号を含む信号を傍受する、
請求項8に記載の無線子機。
【請求項10】
前記接続部は、前記通信部が、前記無線親機が通信を行うチャネルを変更することを示す第1ビーコンを受信したとき、前記第1ビーコンから判明したチャネルに無線通信を行うチャネルを変更する、
請求項8または9に記載の無線子機。
【請求項11】
接続確立型の通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機の通信方法であって、
前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線子機から、データを含む接続要求の信号を受信する通信ステップと、
前記データに対する応答データを生成する処理ステップと、を含み、
前記通信ステップでは、前記無線子機が認証された場合に、前記無線子機からの前記接続要求の信号に対し、前記応答データを含む、前記無線子機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を送信する、
無線親機の通信方法。
【請求項12】
接続確立型の通信プロトコルを用いた無線子機の通信方法であって、
前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機に、データを含む接続要求の信号を送信する通信ステップを含み、
前記通信ステップでは、前記無線親機により自機が認証された後、前記接続要求を送信した場合に、前記無線親機によって送信される応答データを含む、自機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を受信する、
無線子機の通信方法。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか1項に記載の無線親機と、
請求項7~10のいずれか1項に記載の無線子機と、を備える、
無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線親機、無線子機、無線親機の通信方法、無線子機の通信方法、および、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において、種々の規格が用いられている。無線子機と、無線親機との無線通信において、スキャン、接続、及び、認証のプロセスを高速化する規格としては、IEEE802.11aiが知られている。特許文献1は、IEEE802.11aiプロトコルに従って、多数のチャネルをスキャンすることなく、近隣アクセスポイントからの識別情報を検出するために専用チャネルをスキャンすることができる通信方法を開示している。
【0003】
また、無線子機と、無線親機との無線通信おいては、通常、無線親機からビーコンが定期的に送信されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、無線親機等において、データ通信にかかる処理を抑制することが難しいという問題がある。例えば、無線子機と、無線親機との無線通信おいては、無線接続を維持するために、通信規格に則った一定数の処理を無線親機と無線子機との間で行う必要がある。無線親機は、配下の複数の無線子機のうち、無線親機と無線通信を必要としない無線子機に対しても、例えば生存確認のための通信を行うなどの処理を行うことがあり、当該処理には電力消費を伴う。
【0006】
そこで、本発明は、データ通信にかかる処理を抑制することができる無線親機等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る無線親機は、接続確立型の通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機であって、前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線子機から、データを含む接続要求の信号を受信する通信部と、前記データに対する応答データを生成する処理部と、を備え、前記通信部は、前記無線子機が認証された場合に、前記応答データを含む、前記無線子機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を送信する。
【0008】
これにより、本発明の一態様に係る無線親機は、無線子機との無線接続を確立することなく、無線子機とデータのやりとりを行うことができる。よって、本発明の一態様に係る無線親機は、データ通信に係る処理を抑制することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る無線親機において、前記データは、前記無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されたデータである。
【0010】
これにより、通常の無線通信では無線接続を確立した後に暗号化されたデータの送受信が行われていたが、本発明の一態様に係る無線親機は、無線子機との無線接続を確立することなく、無線子機と暗号化されたデータのやりとりを行うことができる。よって、本発明の一態様に係る無線親機は、データ通信に係る処理を抑制することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る無線親機において、前記通信部は、定期的にビーコンを送信せず、且つ、前記無線子機との通信に用いるチャネルを変更するときのみに、第1ビーコンを送信する。
【0012】
これにより、本発明の一態様に係る無線親機は、送信するビーコンの数を抑制することができる。よって、本発明の一態様に係る無線親機は、データ通信に係る処理を抑制することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る無線親機において、前記通信部は、定期的にビーコンを送信せず、且つ、前記通信部が複数の前記無線子機に対してデータを送信するとき、通信の開始を知らせるビーコンに当該データを含む第2ビーコンを送信する。
【0014】
これにより、本発明の一態様に係る無線親機は、複数の無線子機に対して、無線親機から通信の開始を知らせるために、データを含んだビーコンを送信することができる。よって、本発明の一態様に係る無線親機は、データ通信に係る処理を抑制することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る無線親機において、前記通信部は、前記第2ビーコンを複数回送信する。
【0016】
これにより、本発明の一態様に係る無線親機は、複数の無線子機に対して、確実に通信の開始を知らせるビーコンとともに、データを送信することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る無線親機において、前記通信部は、前記通信部が1つの前記無線子機に対してデータを送信するとき、1つの前記無線子機に向けて当該データを送信するための通知信号と、当該データとを含むアクションフレームを送信する。
【0018】
これにより、本発明の一態様に係る無線親機は、単一の無線子機に対して、通信の開始を知らせる信号とともに、データを送信することができる。よって、本発明の一態様に係る無線親機は、データ通信に係る処理を抑制することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る無線子機は、接続確立型の通信プロトコルを用いた無線子機であって、前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機に、データを含む接続要求の信号を送信する通信部を備え、前記通信部は、前記無線親機により前記無線子機が認証された場合に、前記無線親機によって送信される応答データを含む、前記無線子機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を受信する。
【0020】
これにより、本発明の一態様に係る無線子機は、無線親機との無線接続を確立することなく、無線親機とデータのやりとりを行うことができる。よって、本発明の一態様に係る無線子機は、データ通信に係る処理を抑制することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る無線子機は、無線親機と無線接続を行うことで、前記無線親機のアドレスと、前記無線通信に用いられる暗号化鍵とを含むアクセス情報を取得する接続部と、前記接続部が取得した前記アクセス情報を記憶する記憶部と、を備える。
【0022】
これにより、本発明の一態様に係る無線子機は、一度接続した無線親機のアクセス情報を記憶し、記憶したアクセス情報を使用して、迅速に無線親機にデータを送信することができる。
【0023】
本発明の一態様に係る無線子機において、前記接続部は、前記無線親機との無線接続を切断した後、前記記憶部に記憶された動作チャネルにおいて、前記無線親機と他の前記無線子機との通信における信号を含む信号を傍受する。
【0024】
これにより、本発明の一態様に係る無線子機は、無線親機の存在を確認でき、必要時に無線親機と無線接続を確立することなく、無線親機とデータのやりとりを開始することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る無線子機において、前記接続部は、前記通信部が、前記無線親機が通信を行うチャネルを変更することを示す第1ビーコンを受信したとき、前記第3ビーコンから判明したチャネルに無線通信を行うチャネルを変更する。
【0026】
これにより、本発明の一態様に係る無線子機は、無線親機と無線接続を確立することなく、無線親機が無線通信を行うチャネルに、自身が無線通信を行うチャネルを変更することができる。
【0027】
本発明の一態様に係る無線親機の通信方法は、接続確立型の通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機の通信方法であって、前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線子機から、データを含む接続要求の信号を受信する通信ステップと、前記データに対する応答データを生成する処理ステップと、を含み、前記通信ステップでは、前記無線子機が認証された場合に、前記応答データを含む、前記無線子機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を送信する。
【0028】
これにより、本発明の一態様に係る無線親機の通信方法は、上記無線親機と同様の効果を奏することができる。
【0029】
本発明の一態様に係る無線子機の通信方法は、接続確立型の通信プロトコルを用いた無線子機の通信方法であって、前記通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機に、データを含む接続要求の信号を送信する通信ステップを含み、前記通信ステップでは、前記無線子機が認証された場合に、前記無線親機によって送信される応答データを含む、前記無線子機との無線接続の確立を拒否することを示す信号を受信する。
【0030】
これにより、本発明の一態様に係る無線子機の通信方法は、上記無線子機と同様の効果を奏することができる。
【0031】
本発明の一態様に係る無線通信システムは、本発明の無線親機と、本発明の無線子機と、を備える。
【0032】
これにより、本発明の一態様に係る無線通信システムは、上記無線親機および上記無線子機と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一態様に係る無線親機等は、データ通信にかかる処理を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る無線通信システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る無線親機の動作を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る無線親機と無線子機との通信を示すシーケンス図である。
【
図4A】
図4Aは、実施の形態に係る無線子機の無線親機との初回接続時の通信シーケンスを表すシーケンス図である。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態に係る無線子機の無線親機との2回目以降の通信シーケンスを表すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る無線子機の無線親機との接続の動作を表すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る無線子機の無線親機にデータを送信する動作を表すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、実施の形態に係る無線親機が複数の無線子機にデータを送信する通信シーケンスを表すシーケンス図である。
【
図7B】
図7Bは、実施の形態に係る無線親機が単一の無線子機にデータを送信する通信シーケンスを表すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施の形態)
本実施の形態において、データ通信にかかる処理を抑制することができる無線親機等について説明する。
【0036】
[無線通信システムの概要]
図1は、実施の形態に係る無線通信システム1のブロック図である。無線通信システム1は、無線親機10と無線子機20とを備える。そして、無線親機10は、通信部11と処理部12と制御部13と記憶部14とを備える。
【0037】
通信部11は、無線親機10に備えられた無線通信を行う通信回路を基に、CPU(Central Processing Unit)がプログラムをメモリ(図示せず)に読み込んで実行することにより機能する。通信部11は、無線子機20から、認証要求またはデータを含む接続要求の信号を受信する。また、通信部11は、無線子機20が認証された場合にも、応答データ(以下、レスポンスデータとも呼ぶ)を含む信号であって、接続要求に基づく無線子機20との無線接続の確立を拒否することを示す信号を送信する。
【0038】
また、通信部11は、無線子機20との通信に用いるチャネルを変更するときのみに、CSA(Channel Switch Announcement)を含むビーコンである、チャネル変更を通知する第1ビーコンを送信する。
【0039】
また、通信部11は、通信部11が複数の無線子機20に対してデータを送信するとき、通信の開始を知らせるビーコンに暗号化されたデータを含む、第2ビーコンを送信する。このとき、通信部11は、当該第2ビーコンを複数回送信してもよい。
【0040】
処理部12は、CPUがプログラムをメモリに読み込んで実行することにより機能する。処理部12は、通信部11が受信したデータに対する応答データを生成する。つまり、処理部12は、通信部11が受信したデータの要求等に応じて、演算等を行い、演算の結果を生成する。
【0041】
制御部13は、CPUがプログラムをメモリに読み込んで実行することにより機能する。制御部13は、通信部11が行う無線通信を制御する。制御部13は、通信部11の無線子機20からのデータの受信と、無線子機20へのデータの送信とを制御する。また、制御部13は、無線子機20との無線接続の確立を制御してもよい。
【0042】
記憶部14は、無線通信の認証などに用いる鍵情報、無線子機20から受信したデータ等を記憶する。
【0043】
また、無線子機20は、通信部21と、処理部22と、制御部23と、接続部24と、記憶部25とを備える。
【0044】
通信部21は、無線通信を行う通信回路を基に、CPUがプログラムをメモリに読み込んで実行することにより機能する。接続確立型の通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線親機10に、データを含む接続要求の信号を送信する。ここで、接続確立型の通信プロトコルは、例えばIEEE802.11通信規格に準拠した通信プロトコルである。通信部21は、無線子機20が認証された場合に、無線親機10によって送信される応答データを含む、無線子機20との無線接続の確立を拒否することを示す信号を受信する。
【0045】
処理部22は、CPUがプログラムをメモリに読み込んで実行することにより機能する。処理部22は、データに対する応答データを生成する。つまり、処理部22は、通信部21が受信したデータの要求等に応じて、演算等を行い、演算の結果を生成する。
【0046】
制御部23は、CPUがプログラムをメモリに読み込んで実行することにより機能する。制御部23は、通信部21が行う無線通信を制御する。制御部23は、通信部21の無線親機10からのデータの受信と、無線親機10へのデータの送信とを制御する。また、制御部23は、無線親機10との無線接続の確立を制御してもよい。
【0047】
接続部24は、CPUがプログラムをメモリに読み込んで実行することにより機能する。接続部24は、無線親機10と無線接続を行うことで、無線親機10のアドレスと、無線通信に用いられる暗号化鍵とを含むアクセス情報を取得する。接続部24は、通信部21を介して、無線親機10と無線接続を確立することで、無線親機10と無線通信を行ってもよい。
【0048】
記憶部25は、メモリからなる。接続部24が取得したアクセス情報を記憶する。記憶部25は、無線親機10から受信したデータを記憶してもよい。また、記憶部25は、無線親機10と無線接続を確立するためのチャネル(動作チャネル)を記憶する。
【0049】
[無線親機の動作]
次に、無線親機10が無線子機20からデータを受信するときの動作について説明する。
図2は、実施の形態に係る無線親機10の動作を表すフローチャートである。なお、
図2では、無線親機10と無線子機20との間で認証プロセスを経て、無線親機10(自装置)によって認証された無線子機20から無線親機10(自装置)に接続要求がなされ、無線親機10が当該接続要求の信号を受信する処理より以降を説明する。
【0050】
まず、通信部11は、無線子機20からデータを含む接続要求の信号を受信する(ステップS10)。このとき、データは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されていてもよい。ここで、接続要求の信号とは、無線子機20と無線親機10との無線接続の確立を要求する信号のことである。
【0051】
次に、処理部12は、通信部11が受信したデータを処理することで、レスポンスデータを生成する(ステップS11)。つまり、処理部12は、ステップS10にて通信部11が受信したデータを読み、データが示す要求に従って、演算等を行う。そして、当該演算等の結果をレスポンスデータとする。
【0052】
次に、制御部13は、無線子機20が接続を許可された無線子機であるか否かを判定する(ステップS12)。制御部13は、無線通信に用いられる暗号化鍵が一致するか否かを判定する。
【0053】
制御部13が、無線子機20が接続を許可された子機であると判定した場合(ステップS12でYes)、通信部11は、レスポンスデータを含む、接続拒否の信号を送信する(ステップS13)。つまり、通信部11は、制御部13が、無線子機20が接続を許可されたと判定した場合であっても、ステップS10で接続要求の信号を送信した無線子機20に対して、無線接続の確立を拒否する接続拒否の信号を送信するのであるが、その際接続拒否の信号にレスポンスデータを含めて送信する。このとき、レスポンスデータは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されてもよい。
【0054】
一方、制御部13が、無線子機20が接続を許可されなかったと判定した場合(ステップS12でNo)、通信部11は、接続拒否の信号を送信する。つまり、通信部11は、制御部13が、無線子機20が接続を許可されなかったと判定した場合、ステップS10で接続要求の信号を送信した無線子機20に対して、当然に無線接続の確立を拒否する接続拒否の信号を送信する(ステップS14)。
【0055】
次に、無線親機10が無線子機20からデータを受信するときの通信シーケンスについて説明する。
図3は、実施の形態に係る無線親機10と無線子機20との通信であって、無線子機20の認証が成功した場合を示すシーケンス図である。
【0056】
まず、無線子機20の処理部22が、無線子機20の通信部21にデータを送信する(ステップS20)。処理部22は、演算等を行うことで、データを生成し、通信部21に送信する。または、処理部22は、記憶部25からデータを読み出して、通信部21に送信してもよい。
【0057】
次に、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11に対して、認証要求を送信する(ステップS21)。例えば認証要求は、IEEE802.11aiプロトコルに従った認証要求である。
【0058】
続いて、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された認証要求を認証する(ステップS22)。そして、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21に、認証信号を送信する。ここで、認証信号とは、無線親機10が無線子機20を認証したことを示す信号である。
【0059】
そして、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11に接続要求を送信する(ステップS23)。このとき、無線子機20の通信部21は、接続要求を示す信号とともに、ステップS20で処理部22から受信したデータを送信する。送信されるデータは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されていてもよい。
【0060】
次に、無線親機10の通信部11は、データを受信する(ステップS24)。無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された接続要求とデータとを、無線通信で受信する。そして、無線親機10の通信部11は、受信したデータを処理部12に送信する。
【0061】
続いて、処理部12は、レスポンスデータを生成する(ステップS25)。処理部12は、通信部11から受信したデータを読み、データが示す要求に従って、演算等を行う。そして、当該演算等の結果をレスポンスデータとする。そして、処理部12は、生成したレスポンスデータを通信部11に送信する。
【0062】
無線親機10の通信部11は、接続拒否を送信する(ステップS26)。このとき、無線親機10の通信部11は、接続拒否の信号にレスポンスデータを含めて、無線子機20の通信部21に送信する。送信されるレスポンスデータは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されていてもよい。
【0063】
無線子機20の通信部21は、レスポンスデータを受信する(ステップS27)。そして、無線子機20の通信部21は、受信したレスポンスデータを無線子機20の処理部22に送信する。
【0064】
[無線子機による無線親機のアクセス情報の保持]
次に、無線子機20による無線親機10のアクセス情報の保持について説明する。無線子機20は、無線親機10と無線接続を一度確立する。無線子機20と無線親機10との無線接続が確立した時に、無線子機20は、無線親機10のMACアドレス、および、暗号化鍵情報等の各種の情報(アクセス情報)を、記憶部25に記憶する。一旦各種の情報を記憶した後は、無線子機20は、無線親機10との無線接続を切断する。
【0065】
無線子機20が無線親機10との無線接続を切断した後、無線子機20は、無線親機10と無線接続を行ったチャネルで待機する。そして、無線子機20は、プロミスキャスモードで無線親機10からの信号のモニタリングを行う。ここで、プロミスキャスモードとは、無線親機10または他の無線子機20が発信した信号をすべて傍受するモードである。つまり、接続部24は、無線親機10との無線接続を切断した後、記憶部25に記憶された動作チャネルにおいて、無線親機10と他の無線子機20との通信における信号を含む信号を傍受する。
【0066】
このような構成により、無線子機20は、無駄に無線親機10との接続を長時間持続せず、一方、接続の必要が生じた際は、すべてのチャネルをスキャンすることなく、無線親機10または他の無線子機20と接続可能なチャネルを知ることができるため、短時間で無線親機10と再び接続可能となる。
【0067】
図4Aは、実施の形態に係る無線子機の無線親機との初回接続時の通信シーケンスを表すシーケンス図である。
【0068】
まず、無線子機20の通信部21は、無線親機10のアクティブスキャンを行う(ステップS30)。通信部21は、プローブリクエストを無線親機10に対して送信する。
【0069】
次に、無線親機10の通信部11は、スキャン応答を行う(ステップS31)。通信部11は、ステップS30で行われたアクティブスキャンに対して応答を行う。通信部11は、無線子機20に対して、応答信号としてプローブレスポンスを送信する。そして、無線子機20は、このプローブレスポンスを受信することで、無線親機10の存在を確認する。
【0070】
続いて、無線子機20の通信部21は、プローブレスポンスをもとに得られた無線親機10と無線接続を確立するためのチャネル(動作チャネル)を用いて、無線親機10に対して、認証要求を送信する(ステップS32)。この認証要求は、IEEE802.11aiプロトコルに従った認証要求でもよい。
【0071】
そして、無線親機10の通信部11は、無線子機20から受信した認証要求を認証する(ステップS33)。そして、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21に、認証信号を送信する。ここで、認証信号とは、無線親機10が無線子機20を認証したことを示す信号である。
【0072】
そして、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11に接続要求を送信する(ステップS34)。
【0073】
次に、無線親機10の制御部13は、無線子機20と無線接続を確立する(ステップS35)。無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された接続要求を受信し、無線親機10の制御部13は、無線子機20との無線接続を確立する。ここで説明するケースでは、
図3における振舞いと異なり、無線親機10は無線子機20からの接続要求に対して拒否しない。このとき、無線親機10の通信部11は、接続を確立するための信号である接続信号と、無線通信に用いられる暗号化鍵とを無線子機20に送信し、これらの情報(アクセス情報)を無線子機20は記憶部25に記憶する。
【0074】
そして、無線子機20の通信部21は、無線親機10との接続を切断して、無線親機10と無線接続を確立したことのあるチャネルで待機する(ステップS36)。すなわち、無線子機20の通信部21は、無線親機10と無線接続を確立したことのあるチャネルと同じチャネル(動作チャネル)において、プロミスキャスモードで無線親機10からの信号のモニタリングを行う。
【0075】
図4Bは、実施の形態に係る無線子機20の無線親機10との2回目以降の通信シーケンスを表すシーケンス図である。
【0076】
まず、無線子機20の通信部21は、無線親機10と無線接続を確立したことのあるチャネルで待機している(ステップS40)。
【0077】
続いて、無線親機との接続が必要になると、無線子機20の通信部21は、無線親機10に対して、
図4Aで説明したアクティブスキャン(ステップS30)を行うことなく、直ちに認証要求を送信する(ステップS41)。この認証要求は、IEEE802.11aiプロトコルに従った認証要求でもよい。
【0078】
そして、無線親機10の通信部11は、無線子機20から受信した認証要求を認証する(ステップS42)。そして、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21に、認証信号を送信する。ここで、認証信号とは、無線親機10が無線子機20を認証したことを示す信号である。
【0079】
そして、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11に接続要求を送信する(ステップS43)。
【0080】
次に、無線親機10の制御部13は、無線子機20と無線接続を確立する(ステップS44)。無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された接続要求を受信し、無線親機10の制御部13は、無線子機20との無線接続を確立する。もちろんこの時、無線親機10は、
図3に示したように、接続要求に対してこれを拒否する信号に所要のデータを含めて、無線子機20に送信することも可能である。
【0081】
そして、無線子機20は、必要なフレーム送受信が完了した後、再び無線親機10と無線接続したチャネルで待機する(ステップS45)。無線子機20は、無線親機10と無線接続したチャネルと同じチャネルにおいて、プロミスキャスモードで無線親機10からの信号のモニタリングを行う。
【0082】
このような態様で、無線親機10も、不必要に無線子機20との接続を長時間持続せず、一方、無線子機20は、接続の必要が生じた際には、短時間で無線親機10と接続可能となる。また、無線親機10は、無線子機20のために定期的なビーコンの送出を行う必要がなくなる。
【0083】
ただし、無線親機10は、必要により無線通信を行うチャネルを移動する事態も生じる。無線親機10はそうした時にのみ、CSAを含むビーコン(第1ビーコンに相当する)を送出する。無線子機20は、無線親機10と無線接続を確立したことのあるチャネルでプロミスキャスモードにより待機している時に、CSAを含むビーコンを受信すると、無線親機10に追従して、プロミスキャスモードで待機するチャネルを変更する。
【0084】
一方で、無線親機10が全く無線通信による通信フレームを送出していない状態が続いた状況で、無線子機20が接続を望む場合も、以前に確立した無線親機10との無線接続に関する記憶情報に基づいて、無線親機10に対して、認証要求を送信する。そして、無線親機10から認証要求に対する応答があった場合、ステップS44以降の処理を継続する。
【0085】
一方この認証要求に対して無線親機10から応答がない場合には、無線子機20は初めて、無線通信のための全チャネルにおいて、アクティブスキャンを実行することによって、無線親機10を検索する。
【0086】
次に、無線子機20による無線親機10に関するアクセス情報の保持の動作について、
図5により説明する。
【0087】
まず、無線子機20の接続部24は、無線親機10と無線接続を確立する(ステップS50)。無線子機20の接続部24は、通信部21を介して、無線親機10に接続要求を送信する。この接続要求は、IEEE802.11aiプロトコルに従った接続要求でもよい。そして、無線親機10が、当該接続要求に対し許可した場合、無線子機20と無線親機10との接続が確立される。無線子機20は、接続要求を送信する際に、データを含めて送信してもよい。そして、無線親機10は、無線接続を確立するために、接続信号を送信する際に、データを含めて送信してもよい。
【0088】
次に、無線子機20の接続部24は、無線親機10から無線通信に用いられる暗号化鍵を含むアクセス情報を取得する(ステップS51)。ここで、アクセス情報とは、無線親機10のMACアドレス、および、暗号化鍵情報等の各種の情報である。
【0089】
続いて、無線子機20の記憶部25は、当該アクセス情報を記憶する(ステップS52)。
【0090】
その後、無線親機10と接続を再び望む場合、無線子機20の通信部21は、記憶部25が記憶したアクセス情報を使って、無線親機10にデータを送信する(ステップS53)。通信部21は、記憶部25が記憶した無線親機10のMACアドレスに、記憶部25が記憶した暗号化鍵を用いて暗号化したデータを送信する。データは、IEEE802.11aiプロトコルに従った接続要求のフレームに含められて送信されてもよい。
【0091】
[無線子機から無線親機へのデータ送信]
次に、無線子機20から無線親機10へのデータ送信の詳細について、説明する。
図6は、実施の形態に係る無線子機20が無線親機10にデータを送信する動作を表すフローチャートである。
【0092】
まず、無線子機20の制御部23は、記憶部25が接続可能な無線親機10のアクセス情報を保持しているか否かを判定する(ステップS60)。
【0093】
無線子機20の制御部23が、記憶部25が接続可能な無線親機10のアクセス情報を保持していると判定した場合(ステップS60でYes)、無線子機20の接続部24は、無線親機10に接続処理を行う(ステップS61)。
【0094】
次に、無線子機20の通信部21は、無線親機10にデータを送信する(ステップS62)。このとき、送信されるデータは、無線通信に用いられる暗号化鍵を用いて暗号化されていてもよい。
【0095】
続いて、無線子機20の制御部23は、無線親機10へのデータ転送が成功したか否かを判定する(ステップS63)。無線子機20の制御部23は、通信部21が無線親機10からの接続拒否の信号を受信したか否かを判定することによって、無線親機10へのデータ転送が成功したか否かを判定してもよい。
【0096】
無線子機20の制御部23が、無線親機10へのデータ転送が成功したと判定した場合(ステップS63でYes)、無線子機20の通信部21は、無線親機10と接続を確立したチャネルで待機する。無線子機20の通信部21は、無線親機10と無線接続を確立したチャネルと同じチャネルにおいて、プロミスキャスモードで無線親機10からの信号のモニタリングを行う。
【0097】
無線子機20の制御部23が、無線親機10へのデータ転送が成功しなかったと判定した場合(ステップS63でNo)、ステップS62に戻る。
【0098】
無線子機20の制御部23が、記憶部25が接続可能な無線親機10のアクセス情報を保持していないと判定した場合(ステップS60でNo)、無線子機20の接続部24は、アクティブスキャンを行う(ステップS65)。通信部21は、プローブリクエストを無線親機10に対して送信する。
【0099】
続いて、無線子機20の制御部23は、通信部21が接続可能な無線親機10を発見したか否かを判定する(ステップS66)。無線子機20の制御部23は、記憶部25に接続可能な無線親機10のアクセス情報が書き込まれたか否かを判定することによって、通信部21が接続可能な無線親機10を発見したか否かを判定してもよい。
【0100】
無線子機20の制御部23が、通信部21が接続可能な無線親機10を発見したと判定した場合(ステップS66でYes)、ステップS62に進む。
【0101】
無線子機20の制御部23が、通信部21が接続可能な無線親機10を発見しなかったと判定した場合(ステップS66でNo)、ステップS65に戻る。
【0102】
[無線親機から無線子機へのデータ転送]
次に、無線親機10から無線子機20へのデータ転送の動作について説明する。まず、無線親機10が、複数の無線子機20にデータを送信する場合について説明する。
図7Aは、実施の形態に係る無線親機10が複数の無線子機20にデータを送信する通信シーケンスを表すシーケンス図である。具体的には、例えば無線子機20が記憶している無線通信に必要な初期設定、アプリケーションなどに、無線親機10から複数の無線子機20にデータを送信し一括処理する場合などである。
【0103】
まず、無線親機10の処理部12は、無線親機10の通信部11にデータを送信する(ステップS70)。処理部12は、演算等を行うことで、データを生成し、通信部11に送信する。または、処理部12は、記憶部(図示せず)からデータを読み出して、通信部11に送信してもよい。
【0104】
次に、無線親機10の通信部11は、処理部12から受信したデータを含む、通信の開始を知らせるビーコンを、複数の無線子機20に送信する(ステップS71)。通信部11は、当該ビーコンを、複数回送信してもよい。
【0105】
続いて、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11が送信したデータを含むビーコンを受信する(ステップS72)。無線子機20の通信部21は、プロミスキャスモードで待機して、データを含むビーコンを受信してもよい。通信部21は、受信したデータを処理部22に送信してもよい。
【0106】
そして、データを含むビーコンを受信した複数の無線子機20のうち1つ以上の無線子機は、必要に応じて無線子機20の通信部21は、無線親機10に認証要求を送信する(ステップS73)。この認証要求は、IEEE802.11aiプロトコルに従った認証要求でもよい。
【0107】
続いて、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された認証要求を認証する(ステップS74)。そして、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21に、認証信号を送信する。ここで、認証信号とは、無線親機10が無線子機20を認証したことを示す信号である。
【0108】
そして、処理部22は、レスポンスデータを生成する(ステップS75)。処理部22は、通信部21から受信したデータを読み、データが示す要求に従って、演算等を行う。そして、当該演算等の結果をレスポンスデータとする。そして、処理部22は、生成したレスポンスデータを通信部21に送信する。
【0109】
そして、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11に接続要求を送信する(ステップS76)。このとき、無線子機20の通信部21は、接続要求を示す信号とともに、ステップS20で処理部22から受信したレスポンスデータを送信する。送信されるデータは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されていてもよい。
【0110】
次に、無線親機10の通信部11は、接続要求とレスポンスデータとを受信する(ステップS77)。無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された接続要求と応答データとを、無線通信で受信する。そして、無線親機10の通信部11は、受信した応答データを処理部12に送信する。
【0111】
続いて、処理部12は、データを生成する(ステップS78)。処理部12は、通信部11から受信した応答データを読み、データが示す要求に従って、演算等を行う。そして、当該演算等の結果を新たな応答データとする。そして、処理部12は、生成した新たな応答データを通信部11に送信する。
【0112】
無線親機10の通信部11は、
図3で説明した動作と同じく、接続拒否を送信する(ステップS79)。このとき、無線親機10の通信部11は、接続拒否の信号に当該新たな応答データを含め、無線子機20の通信部21に送信する。送信される新たな応答データは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されていてもよい。
【0113】
無線子機20の通信部21は、新たな応答データを受信する(ステップS80)。無線子機20の通信部21は、無線親機10によって送信される応答データを含む、無線子機20との無線接続の確立を拒否することを示す信号を受信する。そして、無線子機20の通信部21は、受信した新たな応答データを無線子機20の処理部22に送信する。
【0114】
続いて、無線親機10が、単一の無線子機20にデータを送信する場合について説明する。
図7Bは、実施の形態に係る無線親機10が単一の無線子機20にデータを送信する通信シーケンスを表すシーケンス図である。具体的には、例えば複数の無線子機20が記憶している無線通信に必要な初期設定、または、アプリケーション等に、無線親機10から無線子機20にデータを送信し、無線親機10が複数の無線子機20それぞれ個別に処理する場合などである。
【0115】
まず、無線親機10の処理部12は、無線親機10の通信部11にデータを送信する(ステップS90)。処理部12は、演算等を行うことで、データを生成し、通信部11に送信する。または、処理部12は、記憶部(図示せず)からデータを読み出して、通信部11に送信してもよい。
【0116】
次に、無線親機10の通信部11は、処理部12から受信したデータの送信を通知する通知信号と、当該データを、無線子機20に送信する(ステップS91)。送信は、アクションフレーム(ユニキャスト通信)により行われてもよい。
【0117】
続いて、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11が送信した通知信号と当該データを受信する(ステップS92)。無線子機20の通信部21は、プロミスキャスモードで待機しており、通知信号と当該データとを受信する。通信部21は、受信したデータを処理部22に送信してもよい。
【0118】
そして、無線子機20の通信部21は、無線親機10に認証要求を送信する(ステップS93)。この認証要求は、IEEE802.11aiプロトコルに従った認証要求でもよい。
【0119】
続いて、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された認証要求を認証する(ステップS94)。そして、無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21に、認証信号を送信する。ここで、認証信号とは、無線親機10が無線子機20を認証したことを示す信号である。
【0120】
そして、処理部22は、レスポンスデータを生成する(ステップS95)。処理部22は、通信部21から受信したデータを読み、データが示す要求に従って、演算等を行う。そして、当該演算等の結果をレスポンスデータとする。そして、処理部22は、生成したレスポンスデータを通信部21に送信する。
【0121】
そして、無線子機20の通信部21は、無線親機10の通信部11に接続要求を送信する(ステップS96)。このとき、無線子機20の通信部21は、接続要求を示す信号とともに、ステップS20で処理部22から受信したレスポンスデータを送信する。送信されるデータは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されていてもよい。
【0122】
次に、無線親機10の通信部11は、接続要求と応答データとを受信する(ステップS97)。無線親機10の通信部11は、無線子機20の通信部21から送信された接続要求と応答データとを、無線通信で受信する。そして、無線親機10の通信部11は、受信した応答データを処理部12に送信する。
【0123】
続いて、処理部12は、データを生成する(ステップS98)。処理部12は、通信部11から受信した応答データ(ステップS97のレスポンスデータ)を読み、当該応答データが示す要求に従って、演算等を行う。そして、当該演算等の結果を新たな応答データとする。そして、処理部12は、生成した新たな応答データを通信部11に送信する。
【0124】
無線親機10の通信部11は、
図7Aで説明した動作と同じく、接続拒否を送信する(ステップS99)。無線親機10の通信部11は、接続拒否の信号と、新たな応答データとを、無線子機20の通信部21に送信する。送信される新たな応答データは、無線通信に用いられる暗号化鍵で暗号化されていてもよい。
【0125】
無線子機20の通信部21は、データを受信する(ステップS100)。そして、無線子機20の通信部21は、受信した新たな応答データを無線子機20の処理部22に送信する。
【0126】
以上、本発明の無線親機等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、従来より高速なデータ転送を行うことができる無線通信システム等に適用されうる。
【符号の説明】
【0128】
1 無線通信システム
10 無線親機
11、21 通信部
12、22 処理部
13、23 制御部
24 接続部
14、25 記憶部